ClaudeとBlenderの連携は、MCP(Model Context Protocol)でClaudeにBlenderのPython APIを触らせる仕組みです。2026年10月時点で手段は2つあり、Blenderの開発者が作った公式コネクタと、個人開発者が公開している「MCP for Blender」(旧名blender-mcp)が並んでいます。この記事では両者の違い、Claude Desktopでの導入、Claude Codeからの接続コマンド、AIが書いたスクリプトの確かめ方、安全に使う設定までを、一次情報とコピーして動かせるコードで整理します。
まとめ:ClaudeとBlenderの連携は公式コネクタで始め、素材生成が要るときだけMCP for Blenderを足す
シーンの解析、名前の整理、繰り返し作業のスクリプト化が目的なら、Claude Desktopの公式コネクタで足ります。無料プランでも使え、設定ファイルを書く必要もありません。Poly Havenの素材取り込みや生成AIでの3Dモデル作成まで任せたい場合に限り、MCP for Blenderを選んでください。
どちらもClaudeが書いたPythonをBlenderの中でそのまま実行します。公式ページ自身が仮想マシンでの利用をすすめているため、作業前の保存と、機密データのない環境で動かすことを前提にします。
Blenderを動かす2系統:公式コネクタとMCP for Blenderの違い
名前が似ているため混同されがちですが、作り手も得意分野も異なります。
Blender開発者が作った公式コネクタと2026年4月28日の発表内容
Anthropicは2026年4月28日のClaude for Creative Workの発表で、Adobe、Ableton、Autodesk Fusion、SketchUpなど9つの創作ツール向けコネクタを公開しました。Blenderのコネクタは「Blenderの開発者が作成したMCPコネクタ」と紹介され、シーン全体の解析とデバッグ、オブジェクトへの一括変更、Blenderの画面に新しいツールを足す用途が挙げられています。MCPで作られているため、Claude以外のLLMからも使える点も明記されました。
なお、発表当初は開発基金を通じた支援と書かれていましたが、2026年5月1日の更新で「Blender側の判断により一度限りの寄付として受け取る」形に改められています。年額の支援だと紹介する二次記事が残っているので、引用するときは原文の更新履歴を確かめてください。
配布元はBlender LabのMCP Serverページです。このページはllama.cppを例にLLMクライアント全般とつなぐ手順を載せており、Claude専用ではありません。
MCP for Blender(旧blender-mcp)の10ツールと外部素材連携
MCP for BlenderのGitHubリポジトリは、「Blender公式ではないサードパーティ製」と自ら明記しています。PyPIのパッケージ名はblender-mcpからmcp-for-blenderに変わりましたが、旧名の設定も引き続き動きます。ツールは次の10種です。
execute_blender_code:起動中のBlenderでPythonを実行するlook:ビューポートや複数アングル、ワイヤーフレームを画像で確認するget_scene_info:シーンの要約を1オブジェクト1行で返すgenerate_3d:Tripo・Hunyuan3D・Hyper3D Rodinでモデルを生成して取り込むsearch_assetsとimport_asset:Poly Haven・Sketchfab・Poly Pizzaの素材を探して読み込むget_guide:リギングやリトポロジーなどの作業ガイドを必要なときだけ読むget_addon_status:Blenderとアドオンの版、有効な連携先を返すdisable_telemetryとrecord_trajectory_feedback:データ収集の制御
2つの違いを表にまとめます。
| 項目 | 公式コネクタ | MCP for Blender |
|---|---|---|
| 作成者 | Blender開発者 | 個人開発者 |
| 要件(公式記載) | Blender 5.1以降 | Blender 3.0以降 |
| Claude Desktopへの導入 | コネクタ一覧から追加 | 設定JSONかインストーラ |
| 外部素材・3D生成 | なし | Poly Havenなど対応 |
| 安全機能 | 保護なしと明記 | safe modeあり |
2つを同時に有効にすると、どちらのツールを使うかがClaudeの判断に委ねられ、結果が読みにくくなります。用途に合わせてどちらか1つに絞るのが無難です。
Claude DesktopでBlender公式コネクタを導入して接続する3ステップ
Claude AcademyのBlenderコネクタ解説に沿った手順です。Free含むすべてのプランで使えますが、ブラウザ版のclaude.aiでは動きません。BlenderとClaude Desktopが同じマシンで動いている必要があるためです。
公式コネクタの追加とBlender Labリポジトリの2回ドラッグによる導入
- Claude Desktopで「Customize」から「Connectors」を開き、「Blender」を検索して「Add」を押す
- ブラウザでBlender LabのMCP Serverページを開き、インストール用のリンクをBlenderのウィンドウへドラッグする。1回目は「lab」拡張リポジトリの追加、2回目でアドオン本体が入る
- Blenderの「Edit」から「Preferences」の「Add-ons」を開き、BlenderMCPを有効にして「Start MCP server」を押す
2回ドラッグする方式にしておくと、アドオンの新版が出たときにBlenderのステータスバーへ通知が届きます。Claudeが加えた変更は開いているセッションに反映され、Blenderで保存した時点でようやく.blendファイルに書き込まれます。
Blender 5.1以降が安全な理由と公式ページ間で食い違う対応バージョン
2026年10月5日時点で、対応バージョンの記載が割れています。Claude Academyは「Blender 4.2以降」、配布元のBlender LabのページはBlender 5.1以降を要件としています。アドオンを配る側の記載を優先し、5.1以降で揃えるのが確実です。Blenderのダウンロードページでは同日時点で5.2.2 LTSが配布されており、新規に入れるならこの系列で問題ありません。
Claude Desktop自体の入れ方やほかのMCPサーバーとの付き合わせ方は、Claude Desktopとは?できること・料金・インストール・MCP連携で解説しています。
Claude CodeにMCP for Blenderを登録するコマンド手順
Claude Codeから使うと、Blenderの操作とプロジェクトのファイル編集を同じ会話で進められます。ゲームやWebの3D素材をリポジトリで管理しているチームに向いた構成です。
claude mcp addでuvxを登録しsafe modeと送信停止を同時に設定
MCP for Blenderはuvで動かす前提です。Claude CodeのMCPドキュメントの書式どおり、--より前にClaude Code側のオプション、後ろにサーバーの起動コマンドを置きます。
# 1) Blenderアドオンを導入(Blenderのaddonsフォルダへコピーされる)
uvx mcp-for-blender install-addon
# 2) Claude Codeへ登録。.mcp.jsonに書かれチームで共有できる
claude mcp add --scope project --transport stdio \
--env BLENDER_MCP_SAFE_MODE=1 \
--env DISABLE_TELEMETRY=true \
blender -- uvx mcp-for-blender
# 3) 接続状態を確認する
claude mcp get blender
BLENDER_MCP_SAFE_MODE=1は、実行前にスクリプトを検査し、ファイルの直接読み書き、外部プログラムの起動、ネットワーク接続などを含むコードを止める設定です。止めたスクリプトは理由つきでClaudeに返るため、Claudeが書き直して再実行します。DISABLE_TELEMETRY=trueは後述する匿名の利用記録まで送信を止めるための設定です。登録後、プロジェクト直下の.mcp.jsonは次の形になります。
{
"mcpServers": {
"blender": {
"type": "stdio",
"command": "uvx",
"args": ["mcp-for-blender"],
"env": {
"BLENDER_MCP_SAFE_MODE": "1",
"DISABLE_TELEMETRY": "true"
}
}
}
}
Claude DesktopやCursorのようにスタートメニューから起動するアプリは、ターミナルのPATHを引き継ぎません。spawn uvx ENOENTが出たら、where uvxで調べたフルパスをcommandに書くか、Windowsなら"command": "cmd"と"args": ["/c", "uvx", "mcp-for-blender"]の組み合わせに替えてください。Claude Code自体の初期設定はClaude Codeの使い方|導入から権限とCLAUDE.md設定までにまとめています。
add-from-claude-desktopで公式コネクタを取り込めない場合の対処
Claude Academyは公式コネクタがClaude Codeでも使えると案内しています。Claude Codeにはclaude mcp add-from-claude-desktopという取り込みコマンドがありますが、ドキュメント上はmacOSとWSLだけの機能で、読むのはClaude Desktopの設定ファイルです。コネクタ一覧から追加したサーバーは拡張として別に管理されるため、一覧に出てこない場合があります。
その場合は、Claude Desktopの拡張フォルダにあるBlender MCPサーバーの実行ファイルを、claude mcp add blender -- <実行ファイルのフルパス>の形で直接登録します。新しいMCPクライアント向けには、Blender Labのページから.mcpb形式のバンドルも配布されています。
ポート9876の待ち受けをpingで確かめるPythonの疎通確認スクリプト
MCP for Blenderのアドオンは、Blenderの中にTCPのソケットサーバーを立て、typeとparamsを持つJSONを受け取ります。既定の待ち受けはlocalhostの9876番です。Claudeが「Blenderに接続できない」と返すとき、原因がアドオン側かMCPサーバー側かを切り分けるには、次のスクリプトを手元のPythonで実行します。
import json
import socket
HOST, PORT = "localhost", 9876
def call(cmd_type, params=None):
payload = json.dumps({"type": cmd_type, "params": params or {}})
with socket.create_connection((HOST, PORT), timeout=10) as sock:
sock.sendall(payload.encode("utf-8"))
buf = b""
while True:
chunk = sock.recv(8192)
if not chunk:
break
buf += chunk
try:
return json.loads(buf.decode("utf-8"))
except ValueError:
continue # 応答が分割されて届いた場合は続きを待つ
raise RuntimeError("応答がありません")
print(call("ping")) # bpyに触れない死活確認
print(call("get_scene_info")) # シーン名とオブジェクトの一部を返す
pingは成功するのにget_scene_infoだけ失敗するなら、通信路ではなくBlender側のデータ取得に問題があります。pingも接続拒否になる場合は、サイドバー(3DビューでNキー)の「MCP for Blender」タブで「Start MCP Server」を押し直してください。複数のBlenderを同時に扱うときは、アドオン側のポートと--port 9877の起動引数を揃えて別々に登録します。
Claudeが書くbpyスクリプトを検証する:ポリゴン数の偏りを調べる実例
連携で頼みやすいのが、重いオブジェクトの洗い出しです。ただしAIの集計をそのまま信じると見落としが出ます。
モディファイア適用後の面数をdepsgraphで数えるbpyスクリプト
Blender Labのページには、デモファイル「Classroom」で重いオブジェクトを探させた例が載っています。最初の分析は表示に効くモディファイアしか考慮しておらず、面数を倍にするSolidifyを見落としていた、と配布元自身が書いています。次のスクリプトは、Claudeの回答を同じ観点で確かめるためのものです。Blenderの「Scripting」タブで実行すると、元のメッシュと評価後のメッシュの面数を並べて表示します。
import bpy
scene = bpy.context.scene
depsgraph = bpy.context.evaluated_depsgraph_get()
rows = []
for obj in scene.objects:
if obj.type != "MESH":
continue
base = len(obj.data.polygons)
evaluated_obj = obj.evaluated_get(depsgraph)
mesh = evaluated_obj.to_mesh()
evaluated = len(mesh.polygons)
evaluated_obj.to_mesh_clear()
notes = []
for mod in obj.modifiers:
if mod.type == "SUBSURF" and mod.render_levels != mod.levels:
notes.append(f"Subsurf 表示{mod.levels} レンダー{mod.render_levels}")
if not mod.show_viewport and mod.show_render:
notes.append(f"{mod.type}はレンダー時のみ有効")
rows.append((evaluated, base, obj.name, " ".join(notes)))
print(f"Simplify: {scene.render.use_simplify}")
for evaluated, base, name, note in sorted(rows, reverse=True)[:15]:
print(f"{name:30} 元{base:>8} 評価後{evaluated:>8} {note}")
evaluated_getはモディファイアやジオメトリノードを適用した後のオブジェクトを返します。使い終わったらto_mesh_clearで一時メッシュを解放してください。関数の詳細はBlender Python APIリファレンス(2026年10月時点でBlender 5.2版)で確認できます。
ビューポート表示とレンダー設定の差でAIの分析結果がずれる落とし穴
上のスクリプトで使うevaluated_depsgraph_getは、ビューポートでの評価結果を返します。Subsurfの表示レベルとレンダーレベルが違う場合や、レンダー時だけ有効なモディファイアがある場合、最終出力の面数とは一致しません。シーン全体の簡略化(Simplify)が有効なら、その分も変わります。
Claudeに分析を頼むときは、プロンプトに「レンダー時の設定で数えて」「Solidifyなど面数を増やすモディファイアを含めて」と条件を書き、返ってきた数字をこのスクリプトのnotes欄と突き合わせます。公式ページの別の例では、データブロック名の誤字修正、マテリアルの使用先の洗い出し、ジオメトリノードの説明をフレームに書き込む作業もこなせたと報告されており、いずれも結果を人が確かめる前提で任せるのが安全です。
ClaudeとBlenderの連携で起きる事故とVM・safe modeでの防ぎ方
連携の便利さは、任意のPythonが動くことの裏返しです。どちらの系統にも同じ注意が要ります。
公式コネクタはLLM生成コードを無防備に実行すると明記している
Blender Labのページには「MCPサーバーはLLMが生成したコードを、データの削除や外部送信から守る仕組みなしにBlenderで実行する」というセキュリティ警告があり、仮想マシンか機密情報に触れられないシステムでの利用を推奨しています。bpyは標準のPythonと同じくファイル操作も通信もできるため、プロンプトや読み込んだ素材の指示次第で、作業フォルダの外まで触られる可能性があります。
Claude Code側の権限ルールやサンドボックスは、MCPサーバーの中で起きる処理には届きません。Claude Codeの守備範囲はClaude Codeのセキュリティ設定|権限ルール・サンドボックス・管理設定で扱っていますが、Blenderの中で動くコードはBlender側か仮想マシンで囲う必要があります。
接続前に確認するソケットの認証欠如と外部送信のテレメトリ既定値
MCP for BlenderのREADMEは、アドオンのソケットサーバーに認証も暗号化も無いと書いています。そのポートに届く人なら誰でもBlenderの中でPythonを実行できるため、BLENDER_HOSTはlocalhostのままにし、別マシンのBlenderにつなぐならSSHトンネルを使ってください。
テレメトリは、プロンプトやコード、画面の内容は同意するまで送らない設計です。ただし既定でも、ランダムなインストールID、使ったツール名、成否、Blenderの版、OSなどの匿名の利用記録は送られます。社内規程で外部送信を禁じているなら、前章のとおりDISABLE_TELEMETRY=trueを設定に入れてから使い始めます。
Claude×Blender連携を採用する場面と見送る場面の判断基準
得意な作業と任せてはいけない環境を分けて考えると、導入の判断がぶれません。
AIに任せるシーン解析・命名整理・社内ツール化と結果確認の条件
採用をすすめるのは、結果を目で確かめられて、失敗しても保存前に戻せる作業です。他人が作った.blendのノード構成を読ませる、オブジェクトやマテリアルの名前を規則に沿って付け直す、どのオブジェクトが特定のマテリアルを使っているか洗い出す、といった用途がこれに当たります。毎回同じ手作業をしているなら、Claudeにオペレーターやパネルを書かせてアドオン化すると、以降はAIなしでも使えるツールとして残せます。
素材の自動配置や3Dモデルの生成まで求めるなら、MCP for Blenderを選びます。生成系は外部サービスのAPIキーや利用規約が絡むため、商用利用の条件を確かめてから組み込んでください。
機密アセットや顧客データの入った端末で接続を見送る判断と代替構成
未公開の製品データや受託案件の素材が入った端末では、公式の警告どおり接続を見送ります。どうしても使うなら、作業用の仮想マシンへ必要なファイルだけをコピーし、ネットワークを絞ったうえで動かすのが現実的な線です。外部のクラウドに素材を出せない案件では、Blender Labのページが例示するllama.cppのようなローカルLLMとつなぐ構成も選べます。
Blender単体の操作にとどまらず、社内の業務システムやデータベースとAIエージェントを安全につなぐ仕組みが必要な場合は、一創のAIエージェント開発でMCPサーバーの設計から支援しています。
ClaudeとBlenderの連携の利用条件についてよくある質問
導入前によく出る質問に、2026年10月時点の一次情報で答えます。
Claudeの無料プランでもBlenderコネクタは使えますか?
無料プランでも利用可能です。Claude Academyの解説では、前提条件として「Freeを含むすべてのClaudeプラン」のClaude Desktopが挙げられています。ただしブラウザ版のclaude.aiからは使えず、BlenderとClaude Desktopを同じマシンで動かす必要があります。
Pythonの知識がなくてもClaudeでBlenderを操作できますか?
操作自体は自然言語の指示だけで進めることが可能です。ClaudeがPythonを書いて実行する仕組みで、実行前にコードを見せてもらうこともできます。ただし本記事の検証例のように、分析結果の正しさを確かめる場面ではbpyの基礎があると判断が速くなります。
Claudeが加えた変更は元に戻せますか?
変更は開いているセッションに適用され、Blenderで保存するまでファイルには書き込まれません。保存前ならファイルを開き直せば元に戻ります。MCP for BlenderのREADMEも、コード実行の前に必ず保存するよう警告しているため、大きな変更の前には別名で保存しておくと安心です。
PhotoshopやAbletonのコネクタとは何が違いますか?
同じ発表で公開された創作コネクタですが、違いは操作できる範囲の深さです。BlenderはPython APIを丸ごと開いているため、シーンの解析からツールの自作まで届きます。Photoshopの公式コネクタとOSSサーバーの差はPhotoshop MCPとは|Claude公式AdobeコネクタとOSSサーバーで、Ableton Liveの操作はAbleton MCPの導入と使い方で解説しています。
Claude以外のAIからBlender MCPを使えますか?
使えます。公式コネクタはMCPで作られており、Anthropicの発表でも他のLLMから使えると明記されています。Blender Labのページで案内されているのは、llama.cppを使った接続手順です。MCP for BlenderもCursor、VS Code、Codexなどの設定例をREADMEに載せています。MCPそのものの仕組みはMCPとは?AIと外部ツールをつなぐ標準規格を参照してください。
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