OpenAIのCodexとAnthropicのClaude Codeは、どちらもターミナルから動くコーディングエージェントで、できることの一覧はほぼ重なっています。差が出るのは、業務へ入れたあとに触る場所です。設定ファイルの形式、権限の決め方、使用量の数え方、1人あたりコストの掴み方が、それぞれ別の思想で作られています。この記事では2026年9月時点の公式ドキュメントと料金ページを突き合わせ、料金と上限の実額、config.tomlとsettings.jsonの対応関係、AGENTS.mdとCLAUDE.mdの二重管理を避ける書き方、受託開発でどちらへ寄せるかの条件までを整理しました。
まとめ:どちらか一方へ寄せる条件と、両方を入れて回収できる環境
選定を1文で言うと、非同期で放てる定型作業が案件の多くを占めるならCodex、設計判断と長い調査が中心ならClaude Codeです。入口の額はPlus 20ドルとPro 20ドルでほぼ並ぶため、額では決まりません。手元の案件が「投げて待てる仕事」なのか「相談しながら進める仕事」なのかで決めてください。
併用が回収できるのは、開発者が5人以上いて、レビューと実装を別の担当に割れる体制です。1人か2人のチームで両方を契約すると、設定ファイルを2系統書き、上限の当たり方を2つ覚えることになり、浮いた時間を管理コストが食います。併用するなら、AGENTS.mdを正としてCLAUDE.mdから読み込ませる構成にして、指示書だけは1本に保ってください。ここを分けたまま走らせると、片方だけが古い規約でコードを書きます。
提供形態・対応モデル・更新頻度で見るCodexとClaude Codeの土台の差
比較の前提として、両者が何として配られているかを揃えておきます。
CLI・IDE拡張・クラウド実行という3経路と2026年9月時点の版番号
Codexは3つの入口があります。公式のCLIドキュメントは、インストール手段としてインストールスクリプト、npmの@openai/codex、Homebrewの3通りを示しています。対話セッションはcodex、非対話実行はcodex exec、途中のセッション再開はcodex resume、手元の作業をクラウド環境へ移すのがcodex cloudです。実装はRustで、GitHubのopenai/codexリポジトリの最新リリースは2026年9月9日公開のrust-v0.154.0でした。
Claude Codeも入口はCLI・IDE拡張・デスクトップと揃っており、リリースは2026年9月15日時点でv2.1.272系です。版番号の刻み方も、両製品で異なる点です。Claude Code側はパッチ番号が3桁まで伸び、公式ドキュメントは「v2.1.211より前は挙動が違った」と版ごとの差分を明記しています。製品単体の機能一覧はCodexとは?OpenAIの自律型AIコーディングエージェントの使い方・料金・モデルを解説とClaude Codeとは?できること・使い方・料金とコード解析の実力で個別に扱っているので、この記事では両者が分かれる箇所だけを追います。
config.tomlとsettings.jsonに表れる設定の持ち方の違い
設定ファイルの形式は、そのまま運用の違いにつながる要素です。Codexは~/.codex/config.tomlというユーザー単位のTOMLが基本で、プロジェクト側に.codex/config.tomlを置けます。加えてプロファイル機能があり、--profileで名前を指定して設定一式を切り替えられます。案件ごとにモデルと権限の組み合わせを変えたいとき、プロファイル名1つで丸ごと入れ替わる形です。
Claude Codeはsettings.jsonを5階層に分け、どの層の値が勝つかを明示しています。組織が配るmanaged settingsが最優先で、以下コマンドライン、.claude/settings.local.json、チーム共有の.claude/settings.json、個人の~/.claude/settings.jsonと続きます。前者はユーザーが自分の道具箱を持ち替える設計、後者は組織が個人の設定を上書きできる設計です。
料金と使用量上限の比較|個人で使う場合とチームへ配る場合の実額差
金額は2026年9月時点の公式料金ページの表示額です。改定で動くため、稟議へ載せる前に当日の表示を見てください。
個人向けプランの実額|Plusは月20ドル、Proは月100ドルから
OpenAIのプラン一覧は、Free、Go 月8ドル、Plus 月20ドル、Pro 月100ドルからを個人向けとして並べ、Codexはこれらのプランに同梱される形で、API keyでの従量課金も選べます。一方、Claudeの料金ページはPro 月20ドル(年払いで年200ドル)、Max 月100ドルからで、Claude Codeは有料プラン全てに含まれ、無料プランでは使えません。
| 区分 | Codex側 | Claude Code側 |
|---|---|---|
| 入口の有料プラン | Plus 月20ドル | Pro 月20ドル |
| 上位プラン | Pro 月100ドルから | Max 月100ドルから |
| 無料枠 | Free・Go 月8ドル | 無料プランは対象外 |
| チーム席 | 年契約で月20ドル | Standard 席25ドル |
| 上位のチーム席 | 月契約で月25ドル | Premium 席125ドル |
入口の20ドルは並びます。差が出るのは上位側で、Claude側は席単価125ドルのTeam Premiumという枠を持ちます。席の額面だけならCodex側が安く見えますが、次の上限の数え方まで見ないと比較になりません。
5時間ウィンドウと週次上限という同じ形でも中身が違う数え方の差
制限の骨格は似ています。どちらも短いローリングウィンドウと週次上限の二段構えです。違うのは公表の粒度でした。OpenAI側は5時間あたりに送れるローカルメッセージ数の目安をモデル別に幅で示しており、GPT-5.6 SolでPlusが10〜100、Pro 5xが50〜500、Pro 20xが200〜2,000という書き方をしています。軽いモデルほど本数は増えます。
Claude側はコスト管理のドキュメントで、Team・Enterpriseの席あたり割り当てが5時間ローリングと週次の両方でリセットされ、その枠をClaudeチャットやCoworkと共有すると説明しています。数量は公表されず、代わりに使用量が何に食われたかを/usageで内訳表示する方向です。つまり見積もりの手触りが逆で、Codexは事前に本数レンジを読み、Claude Codeは走らせてから内訳を見ます。月末に予算が読めないのが困る組織は、前者の書き方のほうが説明しやすいはずです。
チーム配布時の席単価と、1人あたりの実コストを掴む手段の違い
席単価より効いてくるのが、配ったあとに誰がいくら使ったかを掴めるかどうかです。Claude Code側にはその手段が複数用意されている点が差です。公式ドキュメントは企業導入時の平均を「1人1稼働日あたりおよそ13ドル、月150〜250ドル、利用者の90%は1稼働日30ドル未満」と実数で示したうえで、OpenTelemetryでのメトリクス出力、Enterprise Analytics API、Console上の1人あたりレポートを挙げています。契約単価で表示させたいときはmodelPricingをmanaged settingsへ置く、という逃げ道まで書かれています。
チーム規模ごとのレート上限の推奨値も具体的です。1〜5人なら1人あたり200k〜300k TPM、500人超なら10k〜15k TPMと、人数が増えるほど1人あたりを絞る前提で表になっています。Codex側の公表はプラン単価とクレジット単価(100万トークンあたりGPT-5.6 Solが入力100・出力500クレジット)が中心で、誰がどれだけ使ったかの可視化は運用側で組む前提です。100人規模で配るなら、この差は導入後の工数として跳ね返ります。
AGENTS.mdとCLAUDE.mdを二重管理しない設定ファイルの書き分け
併用で最初に詰まるのが指示書です。同じ内容を2ファイルに書き、片方だけ更新して食い違う、という事故が起きます。
Claude CodeはAGENTS.mdを読まない|importとsymlink
AGENTS.mdは、コーディングエージェント向けのREADMEとして提案されている形式です。ビルド手順・テスト方法・コード規約を書いておき、リポジトリのルートに置きます。モノレポではサブプロジェクトごとに入れ子にでき、優先されるのは編集対象に最も近いAGENTS.mdです。
ところがClaude Codeは、公式ドキュメントが明言するとおりCLAUDE.mdを読み、AGENTS.mdは読みません。回避策として選べるのは、CLAUDE.mdの先頭でのインポートと、シンボリックリンクの2つです。Windowsでのシンボリックリンク作成には管理者権限か開発者モードが必要なため、公式はimport側を勧めています。v2.1.213以降なら/importコマンドで他エージェントの設定を取り込む手もあります。
CLAUDE.md(リポジトリのルートに置く)
@AGENTS.md
## Claude Code 固有の指示
- billing 配下の変更は plan mode で進める
シンボリックリンクで済ませる場合(Windows以外)
ln -s AGENTS.md CLAUDE.md
approval_policyとsandbox_modeで決めるCodexの実行権限
権限まわりはCodexのほうがキー名で細かく指定できます。設定リファレンスによると、approval_policyはon-requestとneverのほか、サンドボックス承認・ルール・MCPの確認・権限要求・スキル承認を個別に切り替える細粒度指定を取ります。sandbox_modeはread-only、workspace-write、danger-full-accessの3値です。推論の深さはmodel_reasoning_effortでminimalからxhighまで段階指定できます。
~/.codex/config.toml の最小構成
model = "gpt-5.6"
model_reasoning_effort = "medium"
approval_policy = "on-request"
sandbox_mode = "workspace-write"
案件ごとに切り替えるプロファイル
codex --profile client-a
共有リポジトリで走らせるならworkspace-writeまでに留め、danger-full-accessは使い捨てのコンテナ内だけにしてください。CLI側の導入と、社内コードを学習に回さない設定はCodex CLIとは|始め方・料金・コードを学習させない設定まで解説で個別に扱っています。
settings.jsonの5階層と、組織へ配る設定が上書きされない順序
Claude Code側は権限をJSONで書き、どの層に置くかで強制力が変わります。設定の優先順位は、managed settings、コマンドラインの--settings、project local、共有プロジェクト、ユーザーの順です。managedに書いた値は個人設定で覆せません。ツールやコマンドの禁止を配りたいならpermissions.deny、サンドボックス強制ならsandbox.enabledをmanaged側へ置きます。
.claude/settings.json(チーム共有)
{
"permissions": {
"deny": ["Bash(rm -rf:*)"],
"ask": ["Bash(git push:*)"]
},
"model": "claude-sonnet-4-6"
}
ドキュメントは「設定は技術的な強制、CLAUDE.mdは振る舞いの誘導」と役割を分けています。指示書に「本番へpushするな」と書くのは強制力を持たず、止めたいならdenyかフックで落とす、という考え方です。Codexのconfig.tomlにも同種の指定はありますが、組織が個人を上書きする階層としては定義されていません。
MCPサーバーとサブエージェントを両方へ配るときの重複コスト
どちらもMCPに対応しているため、社内ツールへの接続定義は共通化できそうに見えます。実際には記法が別で、Codexはcodex mcp系のコマンドとconfig.tomlで持ち、Claude Codeは独自のMCP設定で持ちます。規格そのものの解説はMCPとは?AIと外部ツールをつなぐ標準規格とMCPサーバーの仕組み・作り方を解説に譲りますが、併用時は同じサーバーを2箇所に登録する前提で見積もってください。
サブエージェントも同様です。CodexはTOMLで定義して並列実行でき(Codexサブエージェントとカスタムエージェントの使い方)、Claude Code側はMarkdownのファイルで定義します。両製品の間での移植は手作業です。接続先が3つも4つもある組織では、この二重定義が席単価の差より大きな実コストになります。
受託開発の現場でCodexへ寄せる案件とClaude Codeへ寄せる案件
ここからは判断です。機能一覧は年内にまた揃うので、選定基準は案件の性質に置きます。
非同期で放てる定型作業が多い案件をCodex側へ寄せる判断基準
Codexを主にするのは、作業がチケット単位で切れていて、投げてから結果を見るまで待てる案件です。codex execで非対話実行ができ、codex cloudで手元の作業をクラウド環境へ移せるため、レビュー待ちの時間に別の作業を走らせられます。既存コードの規約に沿った実装、テストの追加、依存の更新追従といった、仕様が文書で固まっている作業がこれに当たります。
判断基準は3つです。作業が着手前に文章で説明し切れること。失敗しても差し戻せる粒度であること。そして5時間あたりの本数レンジが、そのチームの1日の投入量に足りること。3つ目は見落とされがちで、1人が日に30本以上投げるような使い方なら、Plusの10〜100という幅の下限側に当たったときに止まります。
長い調査と設計判断が中心の案件をClaude Code側へ寄せる基準
Claude Codeを主にするのは、着手前に仕様が固まっていない案件です。既存システムの調査、移行方針の検討、影響範囲の洗い出しのように、何をするかを対話で決める仕事です。プランモードで方針を立ててから実装へ移る流れが組み込まれており、途中で方向がずれたら/rewindでチェックポイントへ戻せます。
コスト管理の手段が揃っている点も、この用途と噛み合います。長いセッションは使用量を食いますが、公式ドキュメントは長いコンテキストやキャッシュミスが使用量の10%以上を占めたら/usageの内訳で警告する、と説明しています。どこで使用量を消費しているかが見えるので、無関係な作業の前に/clearを挟む、といった対処が可能です。どちらを社内標準にするかを含め、生成AIを前提にした開発体制ごと相談したい場合は生成AI開発・AI受託開発の窓口で承っています。
両方を契約しても回収できないチーム体制と、そこでの見送り条件
併用を勧めない体制があります。開発者が3人以下で、全員が同じリポジトリを触っているチームです。この規模では設定の二重管理が1人あたりに直撃し、AGENTS.mdとCLAUDE.md、config.tomlとsettings.json、2系統のMCP定義を全員が覚える負担が、月20ドルの差を上回ります。片方に寄せて、浮いた時間を上位プランへ回すほうが手取りが増えます。
もう1つは、社内規程でクラウド実行を禁じている場合です。Codexの強みである非同期実行が使えないなら、併用する理由の半分が消えます。逆に併用が効くのは、レビュー担当と実装担当が分かれていて、レビュー側に別の観点を入れたいときです。検討の前に、どちらか一方を1か月フル稼働させて上限の当たり方を測ってください。測らずに2契約すると、片方が月の後半しか使われません。
併用を前提にした最小構成|設定の共通化とレビュー分担の決め方
併用すると決めた場合に、管理コストを最小にする形を示します。
AGENTS.mdを正としてCLAUDE.mdから読ませる最小構成の作り方
手順は3つです。AGENTS.mdへ規約の本体(ビルドコマンド、テストの走らせ方、命名規則、触ってはいけないディレクトリ)を書く。CLAUDE.mdの1行目に@AGENTS.mdを置く。Claude Code固有の指示だけをその下へ足す。以後はAGENTS.mdを直せば両方に反映されます。
注意が2点あります。1つはサイズで、CLAUDE.mdは200行以下が目安とされており、これを超えると指示の遵守率が落ちるというのが明記された注意点です。AGENTS.mdが肥大していると、インポートした側もそのまま重くなります。もう1つは確認方法で、読み込まれたかは/contextのMemory filesで見ます。一覧に出ていなければ、そのファイルは存在しないのと同じです。
コードレビューをどちらに任せるかで変わる分担とCodeRabbit
併用で分担を決めやすいのがレビューです。Codexには/reviewがあり、Claude Code側にもレビュー用のコマンドがあります。同じ差分を両方に見せると指摘が重複するため、実装がCodexならレビューはClaude Code側、と担当を分けてください。
ただしPR単位の定型レビューまでエージェントで回すなら、専用ツールのほうが安く付く場面があります。設定ファイルで観点を固定でき、PRイベントで自動起動するためです。導入判断と料金はCodeRabbitの導入手順と.coderabbit.yaml設定・料金と分担の決め方で扱っています。人の目を入れる箇所を残す前提で、機械が拾える指摘だけを外へ出すのが現実的な線でしょう。
よくある質問
選定時に実際に問い合わせの多い5点を、公式ドキュメントの記載に沿って答えます。
CodexとClaude Codeはどちらが安いですか?
個人の入口プランはCodex側のPlusが月20ドル、Claude側のProが月20ドルで並びます。上位もCodex Pro、Claude Maxともに月100ドルからで同水準です。差が出るのはチーム利用で、Codex Businessは年契約で1ユーザー月20ドル、Claude側はTeam Standardが席25ドル、Team Premiumが席125ドルです。席単価だけでは決まらないため、1か月試してから比べてください。
Claude Code側のプランを決めるときは、スタンダード席にもClaude Codeが含まれる点と、APIキーが環境変数に残っていると定額枠ではなく従量で請求される点も確認が要ります。席の配り分けと支出上限の設定はClaude Codeの料金プラン比較|Pro・Max・Team・APIの損益分岐と支出上限で扱っています。
無料プランだけでCodexやClaude Codeは使えますか?
Codex側はFreeプランが存在し、軽いコーディング作業向けと位置づけられています。月8ドルのGoも同様の位置づけです。Claude Codeは有料プラン専用で、無料プランでは使えません。無料で試すならCodex側から入る形ですが、実案件の評価には有料プランでの試用が要ります。
AGENTS.mdとCLAUDE.mdは両方置く必要がありますか?
Claude Codeを使うなら必要です。Claude CodeはCLAUDE.mdだけを読み、AGENTS.mdは読み込みません。ただし内容を二重に書く必要はなく、CLAUDE.mdに@AGENTS.mdと1行書けばインポートされます。シンボリックリンクでも同じことができますが、Windowsでは管理者権限が要るため、インポート記法が無難です。
併用するとMCPサーバーの設定も二重に書く必要がありますか?
現状は二重になります。MCPという規格自体は共通でも、サーバーの登録方法が製品ごとに異なるためです。Codexはconfig.tomlとcodex mcp系のコマンド、Claude Codeは独自の設定で持ちます。接続先が多い組織では、この二重定義が併用時の実コストになります。社内ツール連携が3つを超えるなら、片方に寄せる判断も検討してください。
Windowsでも同じように併用できますか?
できますが、シンボリックリンクだけは避けてください。Claude Codeの公式ドキュメントは、Windowsでのシンボリックリンク作成に管理者権限か開発者モードが必要なため、AGENTS.mdのインポート記法を使うよう明記しています。Codex側はnpmとHomebrewのほかインストールスクリプトが用意されており、npm経由なら環境を問わずインストールが可能です。共有リポジトリでWindowsとmacOSが混在するチームは、インポート記法へ統一しておくと分岐が減ります。
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