ティザー(teaser)は、内容の全体を伏せて一部だけを先に出し、続きへの関心をつくる予告素材のことです。英語のスペルは teaser で、発音は「ティーザー」に近い音です。映画のティザー予告、K-POPのカムバック前の短い映像、新商品のティザーサイトと、日本語では複合語で使われることがほとんどですが、英語に直すときには言い方が変わるものがあります。この記事では辞書と語源、ティザー〇〇の英語表現、「ティーザー」との表記差、予告編との線引き、ティザーが機能しない条件までを一次情報で整理します。
まとめ:ティザーの英語・表記・使いどころの要点
ティザーは英語 teaser の音写で、動詞 tease(じらす)から来ています。Cambridge Dictionary は「後でもっと見たい・聞きたいと思わせるために、対象や製品についてわずかな情報だけを与える記事・広告・短い映像など」と定義しています。広告用語としての teaser は1934年から記録されている用法です。
英語に直すときは、映画の短いティザー予告なら teaser trailer、ティザー広告そのものなら teaser ad、広告施策の一連の展開なら teaser campaign と使い分けます。分野によっては、teaser はM&Aの匿名の企業概要書やテレビ番組の冒頭場面を指します。teaser transformer は変圧器、teaser rate は当初の低い優遇金利を指すので、複合語と文脈を確認します。
カタカナ表記は「ティーザー」と「ティザー」が併存します。内閣告示「外来語の表記」の本則に沿えば tea の部分は長音なので「ティーザー」が原則形で、辞書の見出し語もこちらです。ただし同告示は、語形や表記について慣用が定まっている場合にはそれによるとしており、「ティザー」も誤りではなく慣用表記として扱えます。
実務では、解禁日を先に確定させてから逆算すること、そして「未完了だから記憶に残る」というツァイガルニク効果を根拠に置かないことの2点が効きます。2025年のメタ分析では、未完了課題の記憶上の優位は全体として確認されず、効果の普遍性が疑問視されています。
綴りは t-e-a-s-e-r の6文字です。動詞 tease(じらす、からかう)に「〜するもの・人」を表す -er が付いた形で、tease の語末の e と -er の e が重なるため teaser になります。検索では tearser、teezer、teasee のような綴りも多く見られますが、辞書に載っているのは teaser だけです。発音記号は英国式が /ˈtiː.zər/、米国式が /ˈtiː.zɚ/ で、第1音節にアクセントがあります。
似た綴りの taser(テイザー)は別の語で、Axon社の電気ショック兵器 TASER の商標が一般名のように使われたものです。teaser と混同すると意味がまったく通じなくなります。
Cambridgeが立てる4区分とスラングの意味
Cambridge Dictionary は名詞 teaser を FOR PRODUCT(製品・広告)、PROBLEM(難問)、PERSON(人をからかう人)、ANIMAL(繁殖用の雄)の4区分で立てています。日本語でティザーと言うときに指すのは最初の区分で、例文には「They ran a 30-second teaser for the upcoming movie.」(近日公開の映画の30秒のティザーを流した)が載っています。
難問の意味は brainteaser(頭の体操、パズル)と同義です。PERSON の区分は「冗談で、または相手を困らせるために、よく人を笑ったり意地の悪いことを言ったりする人」で、日常会話の teasing は「いじる」に近い軽い意味です。スラングとして調べられることがありますが、Cambridge が別項目に立てている prick-teaser は性的な含みを持つ侮蔑語で、日本語のティザーとは関係がありません。英語で teaser 単独を使うときは、この区分を文脈で見分けます。
羊毛を梳く動作という原義と、1934年からの広告用法
Etymonline によれば、動詞 tease は中英語 tesen「(亜麻や羊毛の)繊維を引き離して整える」にさかのぼり、さらに古英語 tæsan「引き抜く、引き裂く、梳く」に由来します。原義は繊維をほぐす作業で、「じらす、いらだたせる」という比喩的な意味が記録に現れるのは1610年代です。
名詞 teaser も同じ流れで、15世紀末には「(羊毛などを)梳く人」の意味でした。「短いサンプル、導入用の広告」という現在の意味は1934年から記録されています(Etymonline は媒体や広告手法の起源までは特定していません)。インターネットより半世紀以上前からある語義なので、デジタル大辞泉がティーザー広告を「インターネットを利用した広告手法の一」と定義しているのは、範囲を狭く取った記述です。
ティザーPV・ティザーサイトは英語で何と言うか|書籍コーパスで見る複合語の頻度
日本語のティザー〇〇は、英語でもほぼ teaser +名詞の形で言えます。ただし実際に使われる頻度には大きな差があります。Google Books Ngram Viewer の英語コーパスで、大文字小文字を区別せずに2018〜2022年の出現頻度を平均し、teaser trailer を100として並べると次のとおりです(2026年10月22日に取得)。
| 日本語での呼び方 | 英語の言い方 | 頻度(teaser trailer=100) | 出現のピーク年 |
|---|---|---|---|
| ティザー予告・ティザーPV | teaser trailer | 100 | 2012年 |
| (金融の優遇金利) | teaser rate | 65 | 2009年 |
| ティザー映像・ティザー動画 | teaser video | 29 | 2020年 |
| ティザーポスター | teaser poster | 23 | 2012年 |
| ティザーキャンペーン | teaser campaign | 22 | 1947年 |
| ティザー広告 | teaser ad | 8 | 1947年 |
| ティザー画像・ティザービジュアル | teaser image | 5 | 2021年 |
| ティザーサイト | teaser site | 1 | 2013年 |
書籍のコーパスなのでWeb上の使用頻度とは一致しません。頻度は指定した8表現どうしの比較で、teaser を含む複合語すべての順位ではありません。ピーク年は1900〜2022年の範囲で年ごとの値が最大の年です。teaser campaign と teaser ad は1940年代に、teaser rate は2009年に山があり、teaser trailer・teaser video・teaser image のような映像や画像の言い方は2010年代以降に山があります。山ができた理由まではこのデータからは特定できません。
ティザーPV・映像の英訳とtrailer・videoの使い分け
Dictionary.com は映画の語義に teaser trailer という別称を載せ、Oxford Advanced Learner's Dictionary は広告の語義に teaser ad を併記しています。映画の短い予告映像には teaser trailer という呼び方があり、文脈が明らかなら teaser だけでも足ります。PV(プロモーションビデオ)は日本で定着した呼び方で、英語の告知では trailer か video を使います。ティザーに続く本予告は official trailer や main trailer、公開直前の最終予告は final trailer と呼び分けられます。K-POPで静止画を出す場合は teaser photo や teaser image です。
ティザーサイトの英訳候補と書籍での使用頻度
ティザーサイトは英語でも teaser site や teaser website と書けば意味は通じますが、上の表のとおり書籍での出現は teaser trailer の約80分の1にとどまります。英語のページで「近日公開」の暫定ページを指すなら、ページの役割をそのまま書く coming soon page も選択肢です。こちらも書籍では出現が少なく(小文字の表記で teaser site の約1.4倍)、どちらかが標準と言えるほどの差はありません。社内資料などで迷ったら、teaser site と書いて launch date(公開日)や sign-up(通知登録)の説明を添えるのが確実です。
英語の teaser は広告以外の分野でも専門用語として使われます。英文の資料で teaser を見かけたら、まず分野を確かめます。
| 分野 | 英語 | 日本語での呼び方 | 指すもの |
|---|---|---|---|
| 広告・映画 | teaser (trailer) | ティザー、ティザー予告 | 本発表前の一部だけの告知 |
| M&A | teaser | ノンネームシート、ティーザー | 社名を伏せた売り手の概要 |
| テレビ | teaser, cold open | アバン(アバンタイトル) | オープニング前の導入場面 |
| 電気 | teaser transformer | T座変圧器 | スコット結線のもう一方の変圧器 |
| 金融 | teaser rate | 当初優遇金利 | 後で上がる前提の低い金利 |
| 畜産 | teaser | 試情雄(馬では当て馬) | 雌の発情を確かめる雄 |
M&Aのティーザーの記載内容と送付手順
M&Aでは、売り手の社名を伏せて事業の概要だけをまとめた資料を teaser と呼び、日本ではノンネーム・シートとも呼びます。中小企業庁の中小M&Aガイドライン(第3版、2024年8月)は用語集で「ノンネーム・シート(ティーザー)」を「譲り渡し側が特定されないよう企業概要を簡単に要約した企業情報」と定義し、譲り受け側に関心の有無を打診するために使うとしています。流れとしては、数十社程度の候補を並べたロングリストからティーザーの送付先を選び、関心を示した先と秘密保持契約を結んでから、社名入りの企業概要書(IM)を渡します。情報の拡散を防ぐため、数社程度に絞ったショートリストにだけ送るケースもあると同ガイドラインは書いています。広告のティザーと同じく「一部だけ見せて関心を確かめる」役割ですが、伏せる理由は話題づくりではなく、売却の検討が取引先や従業員に漏れるのを防ぐことにあります。
米国のテレビドラマでは、オープニングタイトルの前に置く導入場面を teaser と呼びます。この手法は cold open とも呼ばれ、英辞郎も映画・テレビドラマの teaser の同義語として cold open を挙げています。ドイツ映画アカデミーの用語集は teaser の用法として「映画やテレビドラマがオープニングタイトルの前に物語へ直接入ること(cold opener とも呼ぶ)」を挙げ、BBCが公開している脚本書式『TV TAPE-LIVE』も、脚本を TEASER または COLD OPENING で始めるよう指示しています。日本のアニメやドラマでいう「アバン」に当たる部分で、作品の告知素材ではなく本編の一部です。
電気工学では、三相交流を二相に変換するスコット結線の2台の変圧器のうち、中間タップ付きの main transformer に対するもう一方を teaser transformer と呼びます。電気学会論文誌の1990年の論文も英文要旨で main phase を M、teaser transformer を T と表記しています。英文の仕様書でスコット結線が出てきたら、teaser は広告ではなく変圧器です。
金融の teaser rate は、Collins の定義では「短期間の後に上がる、信用取引の低い導入金利」です。畜産の teaser は、Collins の獣医学の語義で「雌の発情を発見するために使う、精管切除した雄」とされています。Cambridge の ANIMAL の区分もこの意味です。
「ティザー」と「ティーザー」の表記差|内閣告示の原則とIT業界の慣用
「ティーザー」表記の根拠となる長音の原則
外来語のカタカナ表記の基準は、1991年6月28日の内閣告示第二号「外来語の表記」です。留意事項その2(細則的な事項)III-3 は「長音は,原則として長音符号『ー』を用いて書く」と定め、エネルギー・テーブル・パーティーなどを例に挙げています。teaser の tea は /tiː/ の長音ですから、本則に従えば「ティーザー」です。
辞書の見出し語もこれに一致します。デジタル大辞泉・日本大百科全書・ブリタニカ国際大百科事典はいずれも見出しを「ティーザー広告」とし、大辞泉は本文で「ティザー広告。じらし広告。覆面広告。」と別表記を併記しています。「ティザー」は辞書に無い誤記ではなく、同義の異表記として登録されている扱いです。
IT業界の長音省略ルールでは説明できない語頭の短縮
「コンピュータ」のようにIT業界で長音を省く慣習があったため、ティザーもその流れだと説明されることがありますが、正確ではありません。マイクロソフトは2008年7月25日、JIS Z 8301に準拠した長音省略をやめ、内閣告示に沿って語末の -er、-or、-ar に長音を付ける方針へ変更すると発表しました。当日の@ITとPC Watchの報道はいずれも、変更が語末に限られることを伝えています(バッファはバッファーになるが、バッファリングは従来どおり)。
IT業界のルールが扱ってきたのは語末の長音で、ティザーで落ちているのは語頭の tea の長音です。どちらのルールでも「ティザー」は説明できず、理屈より前に定着した慣用と理解するのが実態に合います。
テザー・ディザー・テイザーとの語源・意味の違い
| 表記 | 元の語 | 意味 | ティザーとの関係 |
|---|---|---|---|
| ティーザー/ティザー | teaser | じらす予告素材 | 同義(原則形と慣用形) |
| テザー | tether | つなぎ留める綱 | 別語(テザリングの語源) |
| ディザ/ディザー | dither | 画像の階調表現手法 | 別語(印刷・画像処理) |
| テイザー/テーザー | TASER | 電気ショック兵器 | 別語(Axonの商標) |
ディザー広告という表記を見かけたら、ほぼティザー広告の誤変換です。dither に広告の意味はありません。「ティージング」は teasing の音写で、ティージング広告と書けばティザー広告と同じものを指します。
ティザーと予告編・トレーラーの違い|尺ではなく明かす情報量による線引き
米国の劇場ガイドラインが定める予告2分・150日前という上限
ティザーと本予告の違いを尺で説明する記事は多いものの、数字を定めた文書は限られます。参照できる一次資料は、全米劇場所有者協会(NATO、2025年3月18日にCinema Unitedへ改称)が2014年に策定した In-Theater Marketing Guidelines です。2014年10月1日以降の米国公開作品を対象に、次のように定めています。
- 予告編は2分を超えてはならない(配給会社あたり年2本まで、最長3分の例外を認める)
- 広域公開作品の劇場宣伝は、原則として予告編が公開150日前以降、その他の宣伝物が120日前以降(配給会社ごとに年2作品まで例外あり)
この全2ページの文書に teaser という語は一度も出てきません。尺と開始時期の枠はあっても、ティザーという区分は設けておらず、ティザーと本予告の呼び分けは業界慣行です。ティザー予告の尺も規定ではなく、作品ごとの宣伝設計で決まります。150日ルールは米国の劇場内の宣伝物に対する自主基準で、オンライン公開の予告や日本の配給には適用されません。
日本語での呼び分け:ティザーPV・本予告・ティザーカット
日本ではPVという呼び名が併存するため、順序で整理すると迷いません。最初にロゴとタイトルだけの短いティザーPVが出て、次に物語の輪郭を見せる本予告が続き、公開直前に最終予告が来ます。ティザーカットは、そのティザー段階で公開される1枚の静止画や短い抜粋です。
どこからがティザーかを決める共通規格はありません。前掲のガイドラインは、公開日が決まった劇場向け宣伝物には公開日を入れるよう求めています。ティザーでも公開日を出すことはあり、公開日の有無だけで線を引くことはできません。
ティザーの種類|映像・ビジュアル・サイト・K-POPでの使い分け
ティザー映像・ムービー・PVの呼称と制作例
動画形式のティザーは、ティザー映像・ティザームービー・ティザートレーラー・ティザーPVと呼ばれ、どれも同じものです。トレーラーやPVだけでは本予告や通常の販促映像も含むため、ティザーを付けるかどうかで区別します。任天堂が2025年1月16日に公開したNintendo Switch 2の映像は、公式に「予告映像」と表記された例です。制作時には、既存素材の再編集や専用素材の撮影などから、告知内容と制作スケジュールに合う構成を選びます。
ティザービジュアル・ポスターの掲載情報と設計例
静止画のティザーは、キービジュアルの前段に置く1枚です。ティザービジュアルとティザーポスターはほぼ同義で、掲出先が印刷物ならポスター、Web中心ならビジュアルと呼ばれる程度の差です。載せるのはタイトルロゴ、公開時期、象徴的なモチーフに絞り、キャストや詳細なコピーは本ビジュアルまで温存します。
ティザーサイトに載せる要素と公開後の扱い
ティザーサイトは、本発表に先立って情報の一部を公開するサイトです。通知登録を主な目的とするなら、1ページで完結させる設計も選べます。載せるのはキービジュアル、キャッチコピー、公開日またはカウントダウン、SNSの導線、メール通知の登録フォームです。製品仕様や価格を伏せる設計でも、購入判断に必要な情報や法令上必要な表示までは隠しません。
設計上の要点は、公開後の扱いを先に決めておくことです。別URLで作ると、正式サイトの公開後に同じ製品名で2つのページが検索結果に並び、被リンクと評価が分散します。正式サイトと同じURLで中身を差し替えるか、公開日にリダイレクトを設定するところまで、ティザー公開前に決めておきます。期間限定の別ドメインで立てる場合の判断はマイクロサイトとは?LP・特設サイトとの違いと作る判断基準、閉鎖後のドメイン管理で整理しています。1ページで通知登録まで完結させる設計は、LP制作・ランディングページ制作と同じ考え方で組めます。
K-POPのティザーの公開素材と告知スケジュール
K-POPでティザー(韓国語で티저)が頻出するのは、カムバック(新曲・新アルバムでの活動再開)の前に、素材の公開日程を告知してから順に出していく運用が多いためです。公開素材にはコンセプトフォト、ティザー映像、楽曲のプレビューなどがあります。例えばTOMORROW X TOGETHERの『minisode 2: Thursday's Child』公式ページでは、PROMOTION SCHEDULER、PREVIEW、メンバー別の Official Teaser を確認できます。ファーストティザーは、この一連の最初に出る素材の呼び名です。公開日が最初から告知されているので、隠しているのは発売の有無ではなくコンセプトの中身だけです。
ティザー広告の設計手順|解禁日から逆算した情報の割り付け
フォード・エゼルが作った原型と、期待値を超過させた副作用
ティザー広告の教科書的な原型は、フォードが1957年に投入したエゼルです。同社は車体を見せない広告を打ち、ディーラーには公開日前に実車を見せることを禁じました。発表日は1957年9月4日、通称E Dayです。しかし発売後の販売は失速します。不振の要因は一つではなく、ティザーだけに帰すことはできませんが、事前に積み上げた期待と実車の落差が語られる代表例です。TIME誌の1959年11月30日号によれば、最初の6か月で54,600台を生産したあと、1958年は26,500台、1959年は3万台を下回りました。同誌は研究・設計・生産設備への投下費用の総額を2億5,000万ドルとし、記事に「The $250 Million Flop」の見出しを付けています。フォードがエゼルの廃止を発表したのは1959年11月19日です。
ティザーは期待値を上げる装置で、上げた期待は製品が返さなければなりません。完成度に自信が無い段階でティザーの期間を延ばすのは、失望の落差を大きくするだけです。
解禁日を先に固定する逆算設計(Nintendo Switch 2の76日)
進め方は、解禁日を先に確定させ、そこから逆算して各段階に何を割り付けるかを決める順序です。任天堂はNintendo Switch 2で、2025年1月16日に外観を見せる予告映像を公開し、価格・発売日・ソフトラインナップは伏せたまま、詳細を出す場を2025年4月2日のNintendo Directとして同時に予告しました。ティザーから本発表まで76日です。
要点は、じらす期間の長さではなく「いつ全部わかるか」を最初に示したことにあります。続きの公開時期を示さない小出しでは、受け手は次の情報をいつまで待てばよいか判断できません。SNSで分割投稿するときも、各投稿から通知登録やティザーサイトへ進める導線を用意します。動画広告で配信するなら、本編の前に流れるプレロール広告の面を選びます。視聴後に流れるポストロール広告についても、遷移率や獲得単価を比較して採否を判断します。
ティザーが機能しない条件|根拠の誤用と買い控えのリスク
ツァイガルニク効果の普遍性と広告への適用限界
ティザー広告の解説の多くが、根拠として「中断された課題は完了した課題より記憶に残る」というツァイガルニク効果(1927年)を挙げますが、それだけでティザー広告の記憶効果を裏付けることはできません。2025年の Ghibellini と Meier のメタ分析(Humanities and Social Sciences Communications 第12巻962号)では、中断課題と完了課題の再生比は38件で0.99で、記憶上の優位はありませんでした。中断した課題を自発的に再開するオヴシアンキナ効果では、原研究を含む21文献の加重再開率が67.00%、原研究を除く20文献では66.79%でしたが、これも広告効果を直接検証したものではありません。引用する場合も、中断した課題を再開する機会が与えられた実験で再開傾向が見られた、という範囲に限定します。詳しくは未完了タスクがストレスになる理由と減らし方|ツァイガルニク効果の例と研究で整理しています。
現行品の売上を止めるオズボーン効果
後継製品のティザーには、現行製品の販売を止める副作用が伴うことがあります。後継機の存在を知らせた時点で現行機の購入が止まる現象はオズボーン効果と呼ばれ、1983年に破産したオズボーン・コンピュータが名前の由来です(破綻の主因を競合に求める分析もあり、経緯はオズボーン効果とは?名前の由来と企業破綻の通説を裁判記録で検証で検証しています)。在庫を抱えたまま発売時期の遠い後継品を匂わせると、現行品の売上を自社で止めるおそれがあります。
ティザーを避けるべき製品・状況の判断基準
次の条件では、ティザーの実施前に解消すべき課題があります。解禁日や告知先を決められず、買い控えへの対応も用意できない段階では公開を見送ります。
- 解禁日を確定できない(遅延すると、期待の減衰と信頼の毀損を招きやすい)
- 既存の顧客接点がほとんど無い(通知登録などで続報を届ける相手が少ない)
- 現行品の在庫を抱えた後継製品で、買い控えによる損失を抑える販売計画がない
- 価格と仕様で比較検討される商材である(情報を伏せている間は比較の候補に入りにくい)
逆に、発売日が確定していて、ファンや見込み客の名簿があり、購入判断が価格比較ではなく体験や世界観で決まる商材なら、ティザーは有効な選択肢です。映画やゲーム、化粧品の新ライン、周年イベントがこれに当たります。
ティザーに関するよくある質問
ティザーとティーザーはどちらが正しい表記ですか?
内閣告示「外来語の表記」の本則に沿えば「ティーザー」が原則形です。同告示は長音を原則として長音符号「ー」で書くと定めており、teaser の tea は長音にあたります。デジタル大辞泉などの見出し語も「ティーザー広告」ですが、大辞泉は本文で「ティザー広告」を別表記として併記しています。告示自体も慣用が定まっている表記はそれによるとしているので、「ティザー」も誤りではありません。社内表記を決めるなら「ティーザー」、やり取りでは「ティザー」も通じる、という理解で足ります。
ティザーの英語のスペルと発音は?
スペルは teaser です。tearser や teezer は誤りで、似た綴りの taser は電気ショック兵器の商標なので別の語です。発音記号は英国式 /ˈtiː.zər/、米国式 /ˈtiː.zɚ/ で、「ティーザー」に近い音になります。
ティザーPVは英語で何と言いますか?
映画の短い予告には teaser trailer が使われ、文脈が明らかなら teaser とも呼べます。本文で比較した8表現については、書籍の英語コーパスで teaser trailer の出現頻度が最も高く、ティザーサイトにあたる teaser site はその約80分の1です。
ティザーと予告編(トレーラー)の違いは何ですか?
違いは尺ではなく、明かす情報量です。ティザーは情報を絞って関心を引く先行予告で、本予告は作品内容をより詳しく伝える傾向があります。公開する情報の組み合わせは作品によって異なります。米国の劇場ガイドラインは予告を原則2分以内、劇場での掲出を原則として公開150日前以降と定めていますが、この文書にティザーという区分は登場せず、どこからがティザーかを決める共通規格はありません。
M&Aでいうティーザーとは何ですか?
売り手の社名を伏せて事業の概要だけをまとめた資料で、ノンネーム・シートとも呼びます。中小企業庁の中小M&Aガイドライン(第3版)は「譲り渡し側が特定されないよう企業概要を簡単に要約した企業情報」と定義しています。関心を示した買い手候補と秘密保持契約を結んだ後に、社名入りの企業概要書を渡す流れです。