AI

Google I/O 2024の発表と周辺技術の総まとめ|Imagen 3・NotebookLM・AlphaFold 3・Gemsのその後

Google I/O 2024の発表と周辺技術の総まとめ|Imagen 3・NotebookLM・AlphaFold 3・Gemsのその後

Google I/O 2024は、2024年5月14日から15日(米国時間)に開催されたGoogleの年次開発者会議です。基調講演は初日の14日に行われました。この回の発表は約100件あり、その大半がAI関連でした。この回で発表された画像生成モデルはImagen 3で、デザインツールではなくテキストから画像を生成するモデルです(「Imagin3」という綴りについては後述します)。同様に「Gems」もエンターテインメント配信基盤ではなく、Geminiのカスタム版です。

この記事は当日の速報ではありません。I/O 2024で発表されたImagen 3・NotebookLM・Gemsの3件と、同時期の発表と混同されがちなAlphaFold 3を合わせた4件が、2026年8月時点でどこへ行き着いたかまで追います。提供が終わったもの、標準機能として定着したもの、規約が理由で企業では使えないものが、はっきり分かれています。

まとめ:Google I/O 2024の要点と2026年8月時点の到達点

結論から並べます。発表から約2年が経ち、モデル名で覚えた情報はほぼ入れ替わり、機能名で覚えた情報が残りました。

発表 I/O 2024時点(2024年5月) 2026年8月時点
Imagen 3 ImageFXで限定プレビュー 2025年11月10日にGemini APIで提供終了
NotebookLM Audio Overviews 早期プロトタイプの披露 2024年9月11日に提供開始
AlphaFold 3 I/Oの6日前に別途発表 2024年11月11日にコード公開(当時CC BY-NC-SA 4.0)
Gems Gemini Advanced向けに予告 2025年3月13日から無料ユーザーへ順次開放
Veo VideoFXで限定プレビュー Veo 3.1系へ更新
  • Imagen 3を「デザインツール」と説明する記述は誤りです。Google DeepMindの画像生成モデルであり、レイアウト調整や共同編集の機能はありません。
  • AlphaFold 3はI/O 2024の発表ではありません。2024年5月8日に別枠で公表され、論文はNatureに掲載されています。
  • 企業がAlphaFold 3の学習済みパラメータを使うことは、商用組織の研究目的であっても規約で認められていません。
  • Gemsはエンターテインメント配信の基盤ではありません。Geminiを目的別に作り替えるカスタム機能で、2025年3月13日から無料ユーザーにも開放されています。

Google I/O 2024の発表100項目から、開発者に効いた5件

Googleは公式ブログで、この回に発表した内容を100項目のリストとして公開しました。スマートフォンなどコンシューマー向けハードウェアの新製品発表はなく(Pixel 8aはI/Oの1週間前、2024年5月7日に別途発表済み)、データセンター向けのTPU「Trillium」を除けば基調講演はGeminiを中心としたAI一色でした。開発者に影響が大きかったものを挙げます。

  • Gemini 1.5 Flash:大規模に提供することを前提に軽量化されたモデルで、当時はAPIで最速のGeminiという位置づけでした。100万トークンのコンテキストで公開プレビューが始まりました。
  • AI による概要(AI Overviews):検索結果の上部にAIの要約を出す機能です。米国で全ユーザーへの展開が始まり、他国は順次拡大の予定とされていました。
  • Project Astra:カメラや音声を通じて周囲を理解するAIアシスタントの構想。この時点では製品ではなくデモでした。
  • Trillium:第6世代のTPU。1チップあたりのピーク演算性能はTPU v5e比で4.7倍、電力効率は67%以上の改善という数字が示されました。提供開始はこの時点で年内予定とされました。
  • Gemma 2:新しいアーキテクチャを採用したオープンモデルの次世代版で、I/O 2024ではプレビューの告知でした。27Bパラメータ版が単一のTPUホストで動作するとされ、実際の一般提供は約6週間後の2024年6月27日でした。正式リリース時には、単一のGoogle Cloud TPUホストに加えてNVIDIA A100 80GBまたはH100でも全精度推論が動くと案内されました。

検索面のその後についてはGoogle AIモードとは?日本語での使い方・出し方から検索履歴の消し方まで【2026年最新ガイド】で扱っています。

Imagen 3の正体:デザインツールではなく画像生成モデル

Google I/O 2024で発表された画像生成モデルの正式名称はImagen 3です。Google DeepMindが開発したテキストから画像を生成するモデルで、Googleは発表時に「これまでで最高品質の画像生成モデル」と説明しています。

日本語圏では「Imagin3」「イマジン3」という綴りで探されることがありますが、Googleの表記はImagen 3です。ただし「Imagin3」という文字列そのものは、ドバイのデジタルスタジオ「Imagin3 Studio」や同名の音楽アーティストも使っており、Googleとは無関係の別主体を指す場合があります。この記事が扱うのは前者、Googleの画像生成モデルの方です。

ImageFXの非公開プレビューとVertex AI「この夏」予告

Googleが挙げた特徴は、プロンプトの自然言語と意図を理解すること、長いプロンプトの細部まで反映すること、そして画像内の文字描画がそれまでのモデルより正確なことです。誕生日メッセージやプレゼン資料のように、文字が入る画像で効きます。

提供はごく限定的でした。画像生成ツールImageFXでの非公開プレビューとして、順番待ちに登録したトラステッドテスターにのみ開放され、Vertex AIへの提供は100項目リストで「この夏」と案内されています。実際にVertex AIの全顧客が使えるようになったのは2024年12月で、予告から半年ずれ込みました。

Geminiアプリへの展開が告知されたのは2024年8月28日です。この時点でも「数日のうちに順次」というロールアウト形式で、人物画像の生成はGemini Advanced、Business、Enterpriseの利用者に限った早期アクセス版として英語から始まりました。生成画像に目に見えない電子透かしを埋め込むSynthIDが使われることも、このときのGeminiアップデートで明記されています。

2026年8月時点で使えるかどうか

経路によって状況が違うので、分けて確認します。Gemini APIでは、Imagen 3(imagen-3.0-generate-002)が2025年11月10日に提供を終了しました。後継のImagen 4系(imagen-4.0-generate-001ほか)も非推奨扱いで、シャットダウン日は2026年8月17日と告知され、本記事の更新時点で予定日を過ぎています。Vertex AIでは2026年8月時点でもImagen 3系のモデルIDがドキュメントに残っていますが、こちらも非推奨です。移行期限は2026年6月30日と案内されており、本記事の更新時点ですでに経過しています。どちらの経路でも新規に選ぶ対象ではありません。

Geminiのドキュメントが2026年8月時点で現行として挙げる画像生成モデルは、Nano Banana 2(gemini-3.1-flash-image)、Nano Banana 2 Lite(gemini-3.1-flash-lite-image)、Nano Banana Pro(gemini-3-pro-image)、そして初代のNano Banana(gemini-2.5-flash-image)です。Imagenという独立系列は、約2年でGemini本体のマルチモーダル機能に吸収されました。

画像生成ツール側の変遷はImageFX(イメージFX)は終了—後継Google Flowで無料画像生成する使い方とアプリ対応【2026年】にまとめています。

NotebookLMのAudio Overviews:試作の披露から4か月で正式提供

I/O 2024でのNotebookLMは、100項目リストの9番目に「アップロードした資料から、利用者向けに調整された会話音声を作るAudio Overviewsの早期プロトタイプ」として登場しました。この時点では製品版ではなく試作の披露です。

正式な提供開始は2024年9月11日でした。2人のAIホストが資料を要約し、話題どうしを結びつけながら掛け合いで話す形式です。Googleは提供開始時点の制約も明示していました。英語のみで動作すること、大きなノートブックでは生成に数分かかること、内容に誤りが混ざる場合があること、再生中にホストへ割り込めないことです。この4点のうち割り込みについては、2024年12月13日の更新で解消されました。再生中に「Join」を押すと音声でホストに質問でき、ホストはノートブックの資料をもとに答えます。

NotebookLMそのものの使い方はNotebookLMはオフラインで使える?できること・エクスポート方法・他ツールからの移行を解説で詳しく扱っています。

AlphaFold 3のI/O 2024混同:2024年5月8日発表・Nature掲載

AlphaFold 3をGoogle I/O 2024の発表として紹介する記事が少なくありませんが、これは誤りです。Google DeepMindとIsomorphic Labsが2024年5月8日に公表したもので、I/Oの基調講演より6日前にあたります。Googleが公開したI/O 2024の100項目リストにもAlphaFold 3は含まれていません。

タンパク質・DNA・RNA・リガンドへの拡張と最低50%改善

AlphaFold 2がタンパク質の構造予測に限られていたのに対し、AlphaFold 3はタンパク質、DNA、RNA、リガンドを含む「生命を構成するすべての分子」の構造と相互作用を予測します。Googleはタンパク質と他分子との相互作用について、既存の予測手法と比べて最低50%の精度改善があり、カテゴリによっては精度が2倍になったとしています。研究成果はNatureに掲載されました。発表と同時に、非商用研究向けの無償の実行環境としてAlphaFold Serverが公開されています。

コードは公開されたが、企業は学習済みパラメータを使えない

発表時にコードが公開されなかったことは研究者から批判を受け、Google DeepMindは2024年11月11日にGitHubでソースコードを公開しました(google-deepmind/alphafold3)。ここでよく取り違えられるのがライセンスです。公開時点のコードはApache 2.0ではなく、CC BY-NC-SA 4.0(表示・非営利・継承)でした。Apache License 2.0への再ライセンスは2026年6月9日のv3.0.3で、リリースノートにも「コードのライセンスをCC BY-NC-SA 4.0からApache 2.0へ変更する」と明記されています。

  • ソースコード:2026年8月時点はApache License 2.0です(2026年6月9日にCC BY-NC-SA 4.0から変更)。リポジトリのLICENSEファイルとコミット履歴で確認できます。
  • 学習済みパラメータ(重み):別規約のWEIGHTS_TERMS_OF_USEに従います。非商用組織、またはそこに所属する個人による非商用利用に限られ、商用組織のために行う研究も明示的に禁止されています。

つまり、事業会社の研究開発部門がAlphaFold 3の重みを使って創薬検討を行う計画は、この規約の下では成立しません。無償のAlphaFold Serverも非商用研究向けです。企業で構造予測を業務利用するなら、Isomorphic Labsとの提携か、ライセンス条件の異なる別ツールを検討することになります。インストール手順と商用利用の線引きはAlphaFold 3のインストール手順|CPU対応v3.0.4と商用利用の線引きで詳述しています。

I/O 2024で予告されたGems:提供開始から無料開放まで

I/O 2024でのGemsは、100項目リストの37番目に「Gemini Advancedの利用者が、思いついたものに合わせてカスタマイズしたGeminiを作れるようになる」と予告された段階でした。エンターテインメント配信の場でもクリエイター向けの収益化基盤でもありません。

提供開始は2024年8月28日です。対象はGemini Advanced、Business、Enterpriseの契約者で、150か国以上、ほとんどの言語で使えるようになりました。あらかじめ用意されたGemの例として、学習コーチ、ブレインストーマー、キャリアガイド、文章編集者、コーディングパートナーの5つが挙げられています。

その後2025年3月13日に、Googleは「Gemsを誰でも無料でGeminiアプリで使えるよう順次提供を開始する」と告知しました。有料前提だった機能が半年強で無料枠に降りてきた形です。作り方とテンプレートはGemini Gem(ジェム)とは?カスタム指示で自分専用AIを作る使い方・作り方・テンプレート【2026年版】で扱っています。

2年後に振り返って分かる、I/O発表の読み方

I/O 2024の4件を追うと、残ったものと消えたものの分かれ目がはっきりします。消えたのはモデル名、残ったのは機能名です。

Imagen 3はモデル名でした。ImageFXの限定プレビューから約18か月でGemini APIから姿を消し、後継のImagen 4もGemini APIでのシャットダウン日が2026年8月17日と告知されました。一方、Audio OverviewsとGemsは機能名で、どちらも提供範囲を広げながら定着しました。Veoも同じで、モデル番号は3.1まで進みましたが、動画生成という機能そのものは残っています。

ここから導かれる実務上の判断は明快です。I/Oで発表された直後のモデル名を、社内資料や見積の前提に固定して書くべきではありません。「Imagen 3を使った画像生成基盤」と提案書に書いた場合、その名前は2年以内に有効でなくなります。「Googleの画像生成モデル(当時Imagen 3、現行はNano Banana系)」のように、機能で書いて版数を注記に落とす方が長持ちします。

逆に、発表時点の制約は軽く見ない方が安全です。AlphaFold 3は「コードが公開された」「Apache 2.0になった」という見出しだけが広まりましたが、コードのライセンスが何であれ、実際に使いたい重みは商用組織を除外したままです。発表の華やかさと、自社が使えるかどうかは別の話として確認する必要があります。

翌年以降の回についてはGoogle I/O 2025で発表された注目の新技術と全体の概要まとめ、直近の回についてはGemini Omniとは?Google I/O 2026で発表された動画生成モデルの正体・仕様・使い方とGoogle I/O 2026で発表されたDocs Liveの全体像と位置づけをご覧ください。

よくある質問

Google I/O 2024はいつ開催されましたか?

基調講演は2024年5月14日午前10時(米国太平洋時間)で、日本時間では5月15日未明にあたります。イベント自体は5月14日から15日の2日間開催されました。Googleは公式ブログで、この回の発表内容を100項目のリストとして公開しています。

Imagin3とは何ですか?

Google I/O 2024の文脈で使われる場合は、Google DeepMindの画像生成モデルImagen 3を指す綴り違いです。デザインの自動レイアウト調整や共同編集を行うツールではありません。同名の別主体との区別は本文のImagen 3の章で整理しています。

Imagen 3は2026年8月時点でも使えますか?

新規に選ぶ対象ではありません。Gemini APIでは2025年11月10日に提供を終了し、Vertex AIでもモデルIDは残っているものの非推奨で、2026年6月30日までの移行が推奨されています。後継のImagen 4系もGemini APIでのシャットダウン日が2026年8月17日と告知され、本記事の更新時点で予定日を過ぎています。現在の推奨はNano Banana 2(gemini-3.1-flash-image)などGemini本体に統合された画像生成モデルです。

AlphaFold 3は無料で使えますか?

非商用研究であれば無料です。AlphaFold Serverが無償で提供され、ソースコードも2026年6月9日以降はApache License 2.0で公開されています。ただし学習済みパラメータは別規約で、利用できるのは非商用組織またはそこに所属する個人による非商用利用に限られ、商用組織のために行う研究も禁止されています。

Gemsを使うのに有料プランは必要ですか?

現在は必要ありません。2024年8月28日のロールアウト開始時点ではGemini Advanced、Business、Enterpriseの契約者に限られていましたが、2025年3月13日から無料のGeminiユーザーへ順次提供が始まりました。

関連記事

お気に入りに入れた記事の一覧

資料請求

今日のトレンド記事 直近 24 時間で、いつもより多く読まれている記事

  1. 2026.09.28 テックブログ タイムズカーの不正アクセスと約660万件の流出|免許証画像を退会者まで残さない保管設計
  2. 2026.09.25 コラム 最低賃金引き上げ【令和8年度】47都道府県の改定額・発効日と企業の対応手順
  3. 2026.09.25 コラム 障害者雇用の助成金一覧:月いくら・支給要件と申請書類を勤怠データで揃える方法
  4. 2026.09.05 コラム 犯罪収益移転防止法の本人確認:2027年4月の対面IC読み取り義務化と改修要件
  5. 2026.04.03 テックブログ マイナビ情報漏洩11万件|不正アクセスの経緯・対象確認と「登録は危険か」の判断材料

RELATED POSTS 関連記事

目次