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サードパーティCookie廃止の現在地と企業がとるべき対策【2026年最新】

「サードパーティCookieはいつ廃止されるのか」「どう対策すればいいのか」を調べると、いまだに2024年前後の情報が多く残っています。しかし状況は2025年に大きく動きました。GoogleはChromeでのサードパーティCookie廃止を撤回し、その受け皿だったPrivacy Sandboxの主要APIも終了しています。一方でSafariやFirefoxは以前から既定でブロックしており、国内では対策が不要になったわけではありません。この記事は、2026年時点の正確な現在地と、Chromeの方針に左右されずに進めるべき企業の対策を整理します。

まとめ:Chromeは廃止しないが、対策はやめてはいけない

  • Chromeは廃止を撤回:Googleは2025年4月、ChromeでサードパーティCookieを廃止せず、既存の設定でユーザーが選べる形を維持すると表明した。強制的な全廃も、選択を促す新プロンプトも実施しない。
  • Privacy Sandboxは主要APIが終了:2025年10月、TopicsやProtected Audienceなど広告向けの主要APIが採用低調を理由に廃止された。これらを前提にした「代替技術で乗り換える」という設計は白紙になった。
  • それでも対策は必要:Safari・Firefoxはすでに既定でサードパーティCookieをブロックしており、iOS利用者の多い国内では相当数のトラフィックが実質Cookieレス。加えて改正電気通信事業法の外部送信規律への対応も求められる。
  • やるべきこと:ブラウザ各社の方針に賭けるのではなく、ファーストパーティデータの整備・同意管理・サーバーサイド計測という「自社で制御できる基盤」に投資するのが2026年の正解。

サードパーティCookieは結局廃止されるのか【2026年の現在地】

結論から言えば、「Chromeでは廃止されないが、他ブラウザではすでに使えない」という分裂した状態が続いています。ブラウザごとに扱いが違うため、「廃止されたか否か」を一括で語ること自体が実態に合いません。現在地を3点に分けて押さえます。

ブラウザ サードパーティCookieの既定 時期
Chrome 許可(廃止を撤回) 2025年4月に方針確定
Safari ブロック(ITP) 2020年3月に全面ブロック
Firefox ブロック(Total Cookie Protection) 2022年6月に既定化
Edge トラッカーを制限(全Cookie遮断ではない) 既定の追跡防止機能で対応

Chromeは廃止を撤回(2025年4月)

Googleは2025年4月22日、ChromeでサードパーティCookieを段階的に廃止する計画を進めないと正式に表明しました。当初検討していた「ユーザーに選択を促す独立したプロンプト」も展開せず、これまで通りChromeの設定画面でユーザー自身がCookieを管理できる形を維持します。2020年から数年かけて延期を繰り返した「Chromeでの全廃」は、ここで事実上取り下げられました。ただし「撤回」であって「Cookieを推奨する」わけではなく、ユーザーが設定でブロックを選ぶ余地は残っている点に注意が必要です。

Safari・Firefoxはすでに既定でブロック済み

Chromeが方針を変えても、他ブラウザは動きません。SafariはITP(Intelligent Tracking Prevention)により2020年3月からサードパーティCookieを全面的にブロックしています。Firefoxも2022年6月14日にTotal Cookie Protectionを既定で有効化しました。国内はiPhone利用者が多くSafari経由のアクセス比率が高いため、Chromeが存続してもサイト訪問者の相当割合はサードパーティCookieが届かない前提で計測・配信を設計する必要があります。SafariのITPの仕組みはITP(Intelligent Tracking Prevention)とは何かで詳しく解説しています。

Privacy Sandboxの主要APIは終了(2025年10月)

廃止の受け皿として期待されていたPrivacy Sandboxも縮小しました。Googleは2025年10月17日、広告向けの主要APIを採用が低調だったことを理由に廃止すると発表しました。対象はTopics、Protected Audience(PAAPI)、Attribution Reporting、IP Protection、Private Aggregation(Shared Storageを含む)、Related Website Sets、SelectURL、On-Device Personalization、Protected App Signals、SDK Runtimeにおよびます。存続するのはCHIPS、FedCM、Private State Tokensなど採用が進んだ基盤的なAPIに限られます。計測の代替とされたAttribution Reportingは、ChromeでのAPI実装としては廃止され、相互運用可能なWeb標準としての議論のみW3Cで続く形に切り替わりました。つまり「Chromeの廃止に備えてTopicsやProtected Audienceへ移行する」という数年来の準備は、前提が崩れたことになります。

なぜ廃止方針は撤回されたのか(背景と理由)

そもそもGoogleがサードパーティCookieを廃止しようとしたのは、プライバシー保護を求める世論と、Safari・Firefoxが先行してブロックした流れが背景にありました。しかし撤回に至ったのは、次の3つの圧力が重なったためです。

  • 広告業界の反発と代替技術の未成熟:サードパーティCookieに依存した広告配信・効果測定の代替が十分に育たず、全廃すれば計測精度と収益が大きく損なわれるという懸念が業界から強く出た。
  • 規制当局の監視:英国CMA(競争・市場庁)などが、Googleが自社に有利な形で市場を再編するのではないかと監視を続け、Google単独の判断で進めにくい状況が続いた。
  • Privacy Sandboxの採用低調:代替として用意したTopicsやProtected Audienceの利用が広がらず、Google自身が「期待した価値を出せなかった」と評価した。これが2025年10月の主要API廃止に直結した。

要するに、技術的な代替が定着しないまま強制的に廃止すれば副作用が大きすぎる、という現実的判断です。「プライバシー保護の理想が後退した」というより、「Cookieを一斉に止める方法では立ち行かなかった」と読むのが実態に近い。

Chromeが存続してもCookie対策が必要な理由

「Chromeが廃止しないなら、対策はもう不要では」と考えるのは危険です。むしろ、Chromeの撤回とPrivacy Sandboxの終了は、対策の方向性をはっきりさせました。ここは立場を明確にしておきます。ブラウザベンダーの方針に賭ける対策はやめ、自社で制御できるデータ基盤に投資すべきです。理由は3つあります。

第一に、マルチブラウザの現実です。Chromeが許可を続けても、Safari・FirefoxではサードパーティCookieは届きません。国内のスマートフォンはiOSの比率が高く、Safari経由の訪問はサードパーティCookieを前提にできません。「Chromeだけ見れば動く」計測は、実際には無視できない割合のユーザーを取りこぼします。

第二に、Privacy Sandboxが消えたことです。TopicsやProtected Audienceへの移行を進めていた企業は、投資先を失いました。今後もブラウザ発の代替技術に乗り換える戦略は、また白紙化されるリスクを抱えます。特定ベンダーの新APIに依存しない設計が、結果的に最も安定します。

第三に、法規制です。日本では2023年6月16日に改正電気通信事業法の外部送信規律が施行され、Cookieに限らずIPアドレス・端末ID・フィンガープリントなど外部送信される情報の利用者への通知・公表が求められます。ブラウザがCookieを許可するかどうかとは無関係に、同意取得と情報開示の体制整備は避けられません。

サードパーティCookieとファーストパーティCookieの違い(前提整理)

対策を検討する前提として、両者の違いを押さえておきます。ファーストパーティCookieは訪問中のサイト自身が発行するCookieで、ログイン状態の保持やカート情報など、そのサイト内の機能に使われます。ブラウザの規制対象からは基本的に外れ、廃止の議論の外にあります。一方サードパーティCookieは、閲覧中のサイトとは別のドメイン(広告・計測タグの提供元など)が発行するCookieで、複数サイトをまたいだ追跡に使われるため規制の中心になってきました。用語の詳細はサードパーティークッキーとは?仕組みと基本的な概念で解説しています。対策の要点は、サードパーティCookieへの依存を減らし、ファーストパーティデータに寄せることに尽きます。

企業がとるべきサードパーティCookie対策【実務】

方向性は「自社で持てるデータと、ブラウザに依存しない計測へ寄せる」の一点です。優先度の高い順に4つの施策を挙げます。

ファーストパーティデータの収集・統合基盤を整える

最優先はファーストパーティデータ、つまり自社サイト・会員登録・購買履歴・アンケートなど、自社が直接取得したデータを起点に据えることです。サードパーティCookieが届かない環境でも失われず、同意を前提に取得すれば規制対応とも両立します。会員IDやメールアドレスを軸に行動データを統合し、CDP(顧客データ基盤)で名寄せする設計が中心になります。自社CookieであるファーストパーティCookieの位置づけはファーストパーティークッキーとは何かで整理しています。

同意管理(CMP)と外部送信規律への対応

ファーストパーティデータを取得する前提として、同意管理は必須です。CMP(Consent Management Platform)を導入し、Cookieや外部送信の利用目的を提示して同意を記録します。改正電気通信事業法の外部送信規律では、送信先・送信情報・利用目的の通知または公表が求められ、対象はCookieだけでなくIPアドレスや端末識別子にもおよびます。同意状況をタグ配信の条件に連動させ、同意のないユーザーには計測タグを発火させない運用まで含めて設計します。

サーバーサイド計測とコンバージョンAPIへの移行

ブラウザ側のCookieに依存する計測は、ITPなどで有効期限が短縮され精度が落ちます。これを補うのがサーバーサイド計測です。GoogleタグマネージャーのサーバーサイドコンテナやMeta・GoogleのコンバージョンAPIを使い、計測データをブラウザではなく自社サーバー経由で送る構成にすると、ブラウザ側の制限を受けにくくなります。ファーストパーティのデータを起点にする点で、上の2施策と地続きです。

コンテキストターゲティングと共通ID・データクリーンルーム

広告配信では、ユーザー追跡に頼らない手法へ比重を移します。閲覧中のコンテンツ内容に合わせて配信するコンテキストターゲティングは、Cookieの有無に左右されません。加えて、同意を得たメールアドレス等を突き合わせる共通ID(ユニバーサルID)ソリューションや、生データを持ち出さずに突合するデータクリーンルームも、プライバシーに配慮した突合手段として選択肢になります。ただし共通IDも同意と外部送信規律の対象になる点は、CMPの設計に含めておく必要があります。

よくある質問

サードパーティCookieは結局廃止されるのですか?

ブラウザによって異なります。ChromeはGoogleが2025年4月に廃止を撤回し、既定では許可のままです。一方Safariは2020年から、Firefoxは2022年から既定でブロックしています。「一律に廃止された」わけでも「安泰」でもなく、ブラウザごとに扱いが分かれた状態です。

Chromeが廃止しないなら、対策はしなくてよいですか?

いいえ。SafariやFirefoxでは既にブロックされており、国内はSafari利用者が多いため、Chromeだけ見ても取りこぼしが出ます。改正電気通信事業法への対応も必要で、ファーストパーティデータや同意管理の整備は引き続き求められます。

Privacy Sandboxに移行すればよいのではないですか?

推奨できません。Googleは2025年10月、TopicsやProtected Audienceなど広告向けの主要APIを採用低調を理由に廃止しました。存続はCHIPS・FedCM・Private State Tokensなど基盤的なAPIに限られ、広告・計測の代替としてPrivacy Sandboxに投資する前提は崩れています。

いま最優先で取り組むべき対策は何ですか?

ファーストパーティデータの収集・統合と、その前提となる同意管理(CMP)の整備です。ブラウザ各社の方針に左右されず、規制対応とも両立できるためです。計測面ではサーバーサイド計測への移行が続きます。

日本ではCookie利用に法規制はありますか?

あります。2023年6月16日施行の改正電気通信事業法で外部送信規律が新設され、Cookieや端末ID・IPアドレスなど外部へ送信される情報について、利用者への通知または公表が求められます。ブラウザの方針とは別に、同意取得と情報開示の体制が必要です。

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