Campfire OSS版とは?無料で利用できるオープンソース版Campfireの概要と基本機能を紹介

目次

Campfire OSS版とは?無料で利用できるオープンソース版Campfireの概要と基本機能を紹介

Campfire OSS版は、37signals社(Basecamp)が提供するグループチャットツール「Campfire」をオープンソース化した無償版です。もともとSlackやMicrosoft Teamsの競合となり得る自社ホスト型のチャットアプリケーションとして開発され、2025年にMITライセンスでソースコードが公開されました。OSS版Campfireを自分のサーバーにインストールすることで、誰でも無料でCampfireを利用できます。

機能面では、Slackなどと同様に社内チーム向けの基本的なチャット機能を一通り備えています。例えば複数のチャットルーム(公開/非公開ルームの設定可能)、@メンション付きのメッセージやダイレクトメッセージ(DM)、ファイル添付とプレビュー、メッセージ検索と保存、Webプッシュ通知による通知機能などが含まれています。モバイル端末からはブラウザ経由のPWA(プログレッシブウェブアプリ)として快適に利用でき、必要な基本機能が過不足なく実装されたシンプルなチャットシステムとなっています。

Campfire有償版とは?一度きりの購入で使える有償版Campfireの概要と主要機能を詳しく紹介

Campfire有償版は、サブスクリプション不要で一度購入すれば自社サーバーで運用できる有料版のCampfireです。37signals社の「ONCE」という製品ラインで販売されており、SlackやTeamsと同様のグループチャットを月額課金なしで利用できることを売りにしています。料金は$299(約4万円)という一回払いのライセンス費用のみで、ユーザー数に応じた追加料金は発生しません。

機能面の特徴として、有償版Campfireを購入するとソースコード一式を入手でき、自社サーバーにDockerコンテナ経由で簡単に導入できます。インストールは提供されるワンライナーのコマンドをサーバー上で実行するだけで完了し、SSL証明書の設定も自動化されています。チャットアプリケーションとしての機能自体はOSS版と同一であり、複数のチャネルやDM、検索、通知など「必要充分な基本機能」が網羅されたシンプルな設計になっています。さらに購入者にはベンダーによる基本的なサポートも提供され、ソフトウェアのアップデート通知・自動インストール機能など運用面で便利なサービスも含まれています。

Campfire OSS版と有償版の違いとは?インストール手順から機能・アップデート・運用コストまでを徹底比較解説

続いて、Campfire OSS版と有償版の相違点をインストール方法、提供機能、アップデート方法、運用コスト、サポート体制といった観点で比較します。

インストール手順

OSS版ではDocker環境の準備やイメージのビルドなどユーザー自身で一からセットアップを行う必要があります。一方、有償版では購入後に提供されるワンコマンドのインストーラを実行するだけで必要な環境が自動構築され、SSL設定まで含めて簡単に導入できます。

提供機能

両者のアプリケーション機能に大きな違いはありません。OSS版も有償版も同一のソースコードに基づいており、チャットの基本機能セットは共通です。したがって、メッセージングやルーム機能、通知などユーザー視点での機能差はありません。

アップデート

有償版では運用中のサーバーが定期的に公式サーバーへ更新の有無を確認し、同じメジャーバージョン内でのアップデートがあれば自動適用されます。OSS版の場合、更新版(新しいリリースやソースコードの変更)が公開されても自動適用はされないため、管理者が手動でイメージをビルドし直すなどの対応が必要です。

運用コスト

OSS版はサーバー構築・保守の手間がすべてユーザー側にかかります。一方、有償版では自動バックアップやアップデート機能により運用時の手間が大幅に軽減されており、メンテナンスに要する工数や技術的負担が小さく抑えられます。また、有償版ではソフトウェア自体のライセンス費用が発生しますが、OSS版はライセンスフリー(無料)で利用できます。

サポート体制

OSS版は無償提供であるため公式のサポートは付属しません。問題発生時の対応や疑問点の解消はユーザーコミュニティや自身での調査に委ねられます。一方、有償版では購入者向けにベンダーからのベーシックなサポートが提供され、基本的な問い合わせ対応などのサポートを受けることができます。

Campfire OSS版と有償版の主要な機能と特徴を徹底比較・解説:チャット機能からセキュリティまで

Campfire OSS版と有償版はいずれも同一のアプリケーションであるため、ユーザーが利用できるチャット機能やUI上の特徴は共通しています。両版とも、前述のように複数のチャットルーム(公開/限定)、DM、メンション通知、ファイル共有、検索機能、プッシュ通知対応(Web Push)やダークモードなど、チームチャットに必要な主要機能をひと通り備えています。操作感もシンプルで直感的なインターフェースが提供されており、過度に複雑化したSlack/Teamsとは異なる「基本に忠実」な設計となっています。

セキュリティ面についてもOSS版・有償版で機能差はありません。Campfire自体がオンプレミス/セルフホスト型のシステムであり、チャットデータはすべて自社のサーバー内に留まります。外部のクラウドサービスと異なり、自社内ネットワークだけで動作させることも可能で、インターネット未接続(エアギャップ)環境下でも運用できます。Slackのようにサードパーティによるデータ閲覧や情報漏洩リスクがない一方、セキュリティアップデートの適用は自社で管理する必要がある点に留意が必要です。なお、通信の暗号化(SSL/TLS)については両版とも対応しており、有償版では導入時に証明書設定が自動化されるという違いがあります。

Campfire OSS版と有償版の導入メリット・デメリット:コストやサポート体制の違いを徹底解説

次に、Campfire OSS版と有償版それぞれを導入する際のメリット・デメリットを整理します。特にコスト面(初期費用・ランニングコスト)やサポート体制の違いに注目して比較します。

OSS版のメリット

初期費用が無料

OSS版はソフトウェアライセンスに費用がかからず、誰でも無償で利用開始できます。月額料金もユーザー数による追加費用も一切ありません。

制約なく複数環境で利用可能

MITライセンスで公開されているため、一つの購入ライセンスで一サーバーのみといった制限がなく、必要に応じて複数のサーバーやドメインにインストールして運用できます(OSS版は商用利用も含め自由に複製・導入可能です)。

カスタマイズ性が高い

ソースコードが公開されており、自由に改変や拡張が可能です。独自機能の追加や他ツールとの統合もコードレベルで実装でき、コミュニティによる改善やフォークも期待できます。

学習用途に最適

Railsを用いた実践的なチャットアプリケーションのコードベースを無償で学習できます。以前はコードを入手するには有償版を購入する必要がありましたが、OSS化により教材としても気軽に利用可能になりました。

OSS版のデメリット

導入・運用の負担

システムのセットアップから環境構築、アップデート適用やバックアップ取得まで、すべてユーザー自身で行う必要があります。Dockerの知識やサーバー管理のスキルが求められ、手間と時間がかかります。

公式サポートがない

無償版にはベンダーからのサポートが付属しません。不具合対応や質問への回答はコミュニティ頼みとなり、トラブルシューティングに時間を要する可能性があります。

アップデート対応の遅延リスク

新機能やセキュリティ修正が公開されても、自動通知・適用されないため、管理者が定期的に情報収集しメンテナンスを実施しないとソフトウェアが古いまま運用されるリスクがあります。結果として、OSS版は有償版に比べ最新状態の維持や脆弱性対応で後手に回る可能性があります。

有償版のメリット

セットアップと運用が簡便

提供されるインストーラにより環境構築が迅速で、導入ハードルが低いです。また、自動バックアップ・アップデート機能により、日々の運用管理に手間がかからず、専任のエンジニアがいない組織でも扱いやすくなっています。

ランニングコストが低廉

$299の買い切りで以後追加料金が発生しないため、長期的にはSlack等のサブスクリプション型サービスと比べて大幅なコスト削減になります。ユーザー数に制限なく利用でき、例えば従業員数が増えても費用が増大しない点もメリットです。

基本的なサポート提供

ベンダーによるサポートが含まれており、インストールの疑問や不具合の問い合わせに応じてもらえます。重大な問題発生時にも、オフィシャルから最低限の助言や修正提供が期待でき、安心感があります。

信頼性・安定性の担保

自動更新により常に最新リリースが適用されるため、バグ修正やセキュリティパッチがタイムリーに反映されやすく、システムを安定稼働させやすいです。有償版ユーザーの報告に基づき不具合修正が迅速に行われる可能性も高く、プロダクション利用における信頼性で優位と言えます。

有償版のデメリット

初期費用が発生

OSS版に比べて導入時に$299(約4万円)のライセンス購入費用が必要です。短期的な小規模利用や予算が限られる場合には負担となる可能性があります。

ライセンス上の制約

購入したライセンスは基本的に単一のドメイン/インスタンスでの利用に限られます。別のサーバーや複数拠点で運用する場合は追加購入が必要となるなど、OSS版に比べ運用形態に制約があります。

カスタマイズ時のサポート制限

ソース改変自体は可能ですが、コードを変更した場合はベンダーサポートの対象外になります。独自改修を加えた結果生じた不具合は自力で解決する必要があり、OSS版同様の自己対応が求められる場面もあります。

Campfire OSS版と有償版はどんな場合に適しているのか?利用シーン別におすすめの活用例を詳しく紹介

以上を踏まえ、Campfire OSS版と有償版のどちらを選ぶべきか、想定される利用シーン別に考えてみます。

予算をかけず手軽に試したい場合(個人利用や小規模チーム)

初期費用ゼロで始められるOSS版が適しています。サーバーの用意と基本的な技術スキルさえあれば、小規模な試験導入や個人的なプロジェクト用チャットとしてOSS版を活用すると良いでしょう。

専門IT担当者がいない中小企業で社内チャットを導入したい場合

セットアップの簡便さと運用保守の省力化を重視して、有償版の導入が適しています。有償版なら難しいサーバー管理の知識がなくてもワンコマンドで導入でき、ベンダーからのサポートも受けられるため安心です。

Slack/Teamsの利用コストを削減したい場合

社内チャットをSlackなどから置き換えてコスト削減を図る用途では、一度きりの支払いで済むCampfireは魅力的な選択肢です。自前で運用するリソースがあるならOSS版で費用を極限まで抑えることもできますが、管理負荷とのバランスを考えると有償版で手間を減らす方が総合的なコストメリットが高いケースもあります。

既存のチャットに加えてバックアップ用のチャットが欲しい場合

万一SlackやTeamsがダウンした際の緊急連絡手段としてCampfireを用意するなら、有償版を購入しておくのが手軽です。スタンバイ用途で普段は使わないシステムに月額料金を払い続けるのは無駄が大きいため、一度購入して必要時のみ使えるCampfireはバックアップ用途に最適です。

機密性の高いコミュニケーション(役員用チャットなど)

社内の一部だけで使う閉じたチャット環境を構築する場合、Campfireはオンプレミスで運用でき外部と隔離できるため適しています。この場合、OSS版・有償版いずれを選んでもセキュリティ面の強みは同等ですが、セキュリティパッチ適用漏れを防ぐためにも自動更新機能のある有償版が望ましいでしょう。

技術習得・検証目的でソフトウェアを触りたい場合

ソースコードが公開されているOSS版が適しています。自分で環境を構築しながら学ぶことで、Campfireの内部実装やRailsアプリケーションの構造を深く理解できます。

短期間のイベントやコミュニティで一時的なチャットルームを提供したい場合

イベント会場やオンラインコミュニティ向けに一時的なチャット空間を用意する用途にもCampfireは使えます。開催頻度が低く常設運用しない場合、コストを抑えるためにOSS版を必要なときだけ立ち上げて利用するのが良いでしょう。ただしイベント当日のスムーズな利用を考えると、セットアップが簡単な有償版を事前に用意しておく選択もあります。

Campfire有償プランで追加される機能やサービス内容とは?OSS版にはないメリットを詳しく解説

Campfire有償プラン(有償版)では、OSS版には含まれない追加機能やサービスも提供されています。主な有償プラン独自のメリットを挙げると次の通りです。

ワンコマンド導入ツール

購入後に提供されるインストール用コマンドを使うことで、Docker環境の構築からSSL証明書の設定まで一括で自動実行できます。手動設定に比べ大幅に簡略化されており、短時間で安全にシステムを稼働させることが可能です。

自動バックアップ・アップデート機能

有償版は運用中に自動的にデータバックアップを行い、新しいパッチリリースがあれば自動的にソフトウェアを更新してくれます。管理者が常に気を配らなくてもCampfireを最新の状態に保てるため、セキュリティリスク低減やバグ修正取りこぼし防止につながります。

ベンダーからの公式サポート

有償版利用者には開発元から基本的な問い合わせサポートが提供されます。セットアップ時の不明点や障害発生時にメーカーに相談できる安心感は、OSS版にはない大きな利点です。

機能追加リクエスト等の窓口

OSS版では利用者自身がGitHub上でIssueを立てる程度しか要望を伝える手段がありませんが、有償ユーザーであればメール等で新機能のリクエストを公式に送ることができます。必ずしも全てが実現される保証はありませんが、ユーザーの声が開発元に直接届く経路がある点は有償版ならではです。

Campfire OSS版(無料版)でできることとは?無償で利用可能な機能範囲と制限事項を詳しく解説

Campfire OSS版(無料版)でも、有償版とほぼ同じ機能を利用できます。前述のチャットルーム機能、DM、ファイル共有、検索、通知、Bot APIなど、Campfireの基本機能はすべて無償で開放されています。また、1つのインスタンスで数百人から数千人規模のユーザーを収容でき、大規模な利用にも耐える設計です。さらに、ソースコードが公開されているため、必要に応じて機能を拡張したり外部ツールと連携することも可能です。

無料版ゆえの制限事項としては、公式サポートや自動アップデートなどのサービスが付属しない点が挙げられます。運用上の利便性(バックアップ自動化やアップデート管理)は有償版ほど手厚くないため、OSS版を使用する場合は管理者自身で定期的なメンテナンスを行う必要があります。また、導入や運用に必要な技術的ノウハウが前提とされており、手軽さの面では有償版に一歩譲ります。しかし、機能面で「OSS版だからできない」ことは基本的になく、Campfireのコア機能はすべて無償版で余すところなく利用可能です。

Campfire OSS版と有償版のコラボレーション機能の違いを徹底比較:チームチャット運用への影響を解説

「コラボレーション機能」に関して、OSS版と有償版の間に大きな差異はありません。チャットルームでのグループディスカッションやメンション通知、ファイル共有といった共同作業を促進する機能は両版とも共通して備えています。そのため、どちらの版を導入しても、ユーザー(チームメンバー)が享受できる日常的なコラボレーション体験に違いはありません。

ただし、運用面の違いがチームチャットの継続性や快適さに影響を及ぼす可能性があります。例えば、有償版ではソフトウェア更新が自動で適用されるため、新機能の提供や不具合修正が迅速に反映され、常に最新の状態でチームに提供されます。一方、OSS版では管理者による手動アップデートが必要なため、更新が滞った場合には最新機能をチームがすぐに使えなかったり、既知の不具合が残ったまま運用されるリスクがあります。また、障害発生時の対応についても、OSS版では社内対応に時間がかかるケースがあり、最悪の場合その間チームのチャットが停止するといった影響も考えられます。対照的に、有償版であればベンダーから助言を得られる可能性があるため問題解決が早まり、結果的にユーザーへの影響を抑えられるでしょう。

Campfire OSS版と有償版のプロジェクト管理・拡張性を徹底検証:他ツール連携やカスタマイズ性を比較

Campfireはチャットに特化したシンプルなツールであり、タスク管理やプロジェクト管理機能(いわゆるTrelloやJiraのような機能)は内蔵していません。しかし、外部ツールとの連携や機能拡張の面では、OSS版・有償版ともに柔軟性が確保されています。CampfireにはシンプルなHTTPベースのAPIが用意されており、これを利用してメッセージの送受信やファイル投稿などを外部システムから操作できます。例えば、CI/CDの結果を通知するボットや、プロジェクト管理ツールでの更新を自動投稿する連携プログラムを作成するといったことが可能です。

コードレベルでのカスタマイズ性についても、OSS版・有償版に差はありません。CampfireはRails製のオープンソースアプリケーションであり、両版ともユーザーがソースコードにアクセスできます。そのため、自社のニーズに合わせてUIを変更したり、新しい機能を実装するといった拡張が可能です。OSS版ではMITライセンスの下でコミュニティへの寄与やフォークによる発展も期待できます。一方、有償版でも内部利用の範囲でコード改変は許容されていますが、改変によって生じた問題はサポート対象外となる点には注意が必要です。

資料請求

RELATED POSTS 関連記事