Google I/O 2025は、2025年5月20日と21日に米国マウンテンビューのShoreline Amphitheatreとオンラインで開かれたGoogleの年次開発者会議です。基調講演の中心はGemini 2.5、Google検索のAIモード、動画生成のVeo 3、新プランのGoogle AI Ultraでした。この記事では、Google公式の発表一覧「100 things we announced at I/O」を軸に発表内容を分野別に整理し、そのあと各発表が実際にいつ一般提供され、どれが提供を終えたかを2026年10月時点で追跡します。
2026年の回(2026年5月19〜20日開催)の内容はGoogle I/O 2026まとめ|エージェント型Geminiの発表内容と9月時点の提供状況で扱っています。前年の回はGoogle I/O 2024の発表と周辺技術の総まとめを参照してください。
まとめ:Google I/O 2025の発表の要点
- モデル:Gemini 2.5 Flashの新プレビューと、2.5 Proの推論強化モード「Deep Think」を発表。2.5 Pro・2.5 Flashは2025年6月17日に一般提供(GA)されました。
- 検索:AIモードを米国でLabs登録なしに展開開始。日本語版は2025年9月9日から順次提供されています。
- 生成メディア:音声付き動画を生成するVeo 3、画像生成のImagen 4、映像制作ツールFlowを同日に公開。Gemini APIのImagen 4は2026年8月17日に提供を終えました。
- プラン:月額249.99ドルのGoogle AI Ultraを米国で開始し、従来のAI PremiumプランはGoogle AI Pro(日本は月額2,900円)に改称されました。
- 開発者向け:コーディングエージェントJulesを公開ベータ化(2025年8月6日に正式公開)、UI生成のStitch、Gemma 3nなどを発表。
- デバイス:Android XRのグラス構想とGoogle Beam(旧Project Starline)を発表。Android 16は2024年に開発者プレビューが公開され、Material 3 ExpressiveとTPU「Ironwood」もI/O本会期より前に発表されています。
I/O 2025で発表されたモデルIDの多くはすでに後継へ置き換わっています。新規の開発でI/O 2025当時の記事を参考にするときは、後述の「提供状況の追跡表」でモデルIDの現状を確認してください。
I/O 2025の開催概要と発表の全体像
Google公式の発表一覧は、1番から100番までの項目を検索、Geminiアプリ、Geminiモデル、AIプラン、生成メディア、AIアシスタント、コミュニケーション、開発者向け、業務支援、数字の10区分に分けています。分野ごとの主な発表は次のとおりです。
| 分野 | 主な発表 | 発表当日の提供範囲 |
|---|---|---|
| Geminiモデル | 2.5 Flashプレビュー、Deep Think、Gemini Diffusion | Flashはアプリで全員、Deep Thinkは予告 |
| 検索 | AIモード、Deep Search、検索Live | AIモードは米国で展開開始 |
| Geminiアプリ | Liveのカメラ・画面共有、Agent Mode | Liveは18歳以上へ無料展開、iOSは順次。Agent Modeは予告 |
| 生成メディア | Veo 3、Imagen 4、Flow、Lyria RealTime | Veo 3は米国のUltra加入者 |
| AIプラン | Google AI Ultra、Google AI Pro | Ultraは米国のみ |
| 開発者向け | Jules、Stitch、Gemma 3n、MCP対応 | Julesは公開ベータ |
| デバイス・通信 | Android XRグラス、Google Beam、Meetの音声翻訳 | グラスは試験利用者のみ |
基調講演でスンダー・ピチャイ氏が示した数字は、GoogleのプロダクトとAPI全体で処理するトークン数が前年の月9.7兆から月480兆超へ50倍、Geminiで開発する開発者が700万人超、Geminiアプリの月間アクティブユーザーが4億超というものでした。発表一覧の100番目には、基調講演で「AI」と言った回数が92回で、それを上回ったのが「Gemini」だったという集計まで載っています。
Gemini 2.5 ProとFlash、Deep Thinkの発表内容
I/O 2025のモデル発表はGemini 2.5系です。Gemini 1.5 Pro・Flashの新機能はI/O 2024の発表なので、混同しないよう注意してください。
2.5 Flashプレビューと一般提供の時期
開発者向けには新しい2.5 Flashのプレビュー(モデルID gemini-2.5-flash-preview-05-20)が公開され、推論・コード・長文脈で旧プレビューを上回ると説明されました。発表時点では「6月初めに一般提供、2.5 Proもその後すぐ」とされ、実際には2025年6月17日に2.5 Proと2.5 Flashが安定版としてGAになっています。
API側の追加機能は、思考に使うトークン量を指定する「thinking budgets」の2.5 Proへの拡大予告、モデルの思考過程を見出し付きで要約する「thought summaries」、Gemini APIのSDKでのModel Context Protocol(MCP)定義のネイティブ対応、2話者に対応した音声合成のプレビューです。
Deep Thinkの位置づけと提供開始日
Deep Thinkは、複数の仮説を並行して検討する「並列思考」を使う2.5 Proの推論強化モードで、数学と競技プログラミング級の問題を対象に発表されました。I/O時点では追加の安全性評価のため、まずGemini APIの限られた試験利用者に出すとされました。Geminiアプリで使えるようになったのは2025年8月1日で、対象はGoogle AI Ultra加入者です。
Gemini Diffusionの生成方式と研究上の位置づけ
Gemini Diffusionは、ランダムなノイズから段階的にテキストやコードを組み立てる「テキスト拡散モデル」です。画像・動画生成で使われてきた手法を文章生成に持ち込んだ実験で、デモは待機リスト方式でした。Googleは低遅延化の研究の一つと位置づけ、将来のモデル開発に向けた実験的なデモとして公開しています。
Google検索のAIモードとDeep Search・検索Live
検索分野の発表は、AIモードの本格展開と、その上に載る3つの機能です。
- AIモード:検索結果にAI専用のタブを設け、追加の質問を重ねられる検索体験。2025年5月20日に米国でLabs登録なしの展開を始め、同じ週からAIモードとAIによる概要(AI Overviews)にGemini 2.5を使うと発表しました。
- Deep Search:数百件規模の検索を自動で重ねて出典付きのレポートを作る機能。2025年7月16日から、米国のGoogle AI Pro・Ultra加入者のうちLabs参加者に提供されました。
- 検索Live:カメラに映したものについて音声で検索と対話する機能。Project Astraの技術を検索に移したもので、米国英語版は2025年9月24日にLabs参加不要で正式提供されました。
- ショッピング:自分の写真で服を試着できる「try on」とエージェントによる購入手続きを発表。
AIモードの日本語版は2025年9月9日から順次提供が始まり、検索Liveは2026年3月27日から日本を含むAIモード対応の全言語・地域に広がっています。日本語での使い方や検索履歴の扱いはGoogle AIモードとは?日本語での使い方・出し方から検索履歴の消し方までにまとめています。
Project AstraとGemini Live、Agent Modeの発表内容
Project Astraは、見聞きしたものを理解して答える「汎用AIアシスタント」を目指すGoogle DeepMindの研究プロトタイプです。I/O 2025ではネイティブ音声出力、記憶の強化、コンピューター操作の3点が追加され、成果をGemini Live、検索、開発者向けLive API、Android XRグラスへ順次移すと説明されました。
すぐ使える形で出たのは、Gemini Liveのカメラ共有と画面共有です。Androidに続き、iOSでも発表当日から無料提供の段階的な展開が始まりました。当時の対象は18歳以上で、端末などによって利用可否が異なりました。
もう一つの柱がProject Marinerです。ブラウザ操作を代行するエージェントで、I/O時点では最大10件のタスクを同時に処理でき、米国のGoogle AI Ultra利用者に提供されていました。Geminiアプリには、Web閲覧・Deep Research・Googleアプリ連携を組み合わせて複数段階の作業を任せる「Agent Mode」として、デスクトップから早期提供する計画が示されています。Marinerのコンピューター操作機能はGemini APIとVertex AIにも持ち込むと発表されました。
Veo 3・Imagen 4・Flowによる生成メディアの発表
Veo 3とImagen 4の特徴
Veo 3は、映像と同時に効果音・環境音・セリフまで生成できる動画モデルです。発表当日は米国のGoogle AI Ultra加入者向けGeminiアプリとVertex AIで提供されました。Imagen 4は肌や毛並みなど細部の描写と文字の綴りの正確さを改善した画像モデルで、最大2Kの解像度に対応し、Imagen 3の最大10倍速い「Fast」版を予告していました。I/O 2025で案内されたImagen 4の上限は、4Kではなく2Kです。
既存のVeo 2にはカメラ操作、アウトペインティング、物体の追加・削除が加わりました。
FlowとLyriaの制作機能・提供先
Flowは、Veo・Imagen・Geminiを組み合わせて登場人物や場面、画風をそろえながら短編映像を作る制作ツールで、米国のGoogle AI Pro・Ultra加入者に提供されました。音楽分野では、Lyria 2のYouTube ShortsとVertex AIでの提供と、演奏しながら曲を操作できるLyria RealTimeのGemini API提供が発表されています。Flowのその後の機能と画像生成の扱いはImageFX(イメージFX)は終了—後継Google Flowで無料画像生成する使い方とアプリ対応で解説しています。
SynthID Detectorによる生成物の識別
SynthID Detectorは、Googleの生成AIで作られた画像・音声・動画・テキストに埋め込まれた電子透かし「SynthID」を検出する確認用ポータルです。報道関係者や研究者などの初期テスターへの展開から始まりました。発表時点でSynthIDの透かしが入ったコンテンツは100億件を超えています。
Google AI UltraとGoogle AI Proの料金と特典
I/O 2025で、Geminiの有料プランは2段階に再編されました。
| 項目 | Google AI Pro | Google AI Ultra |
|---|---|---|
| 米国の月額 | 19.99ドル | 249.99ドル |
| 日本の月額(発表時) | 2,900円 | 発表時は米国のみ |
| 位置づけ | 旧AI Premiumを改称 | 新設の最上位 |
| 主な特典 | Flow、NotebookLMの上限拡大 | Veo 3、Deep Think(当時は予告)、YouTube Premium |
| ストレージ | AI Premiumから継続 | 30TB |
Ultraは新規加入者向けに最初の3か月を50%割引にする特典付きで始まりました。米国・ブラジル・インドネシア・日本・英国の大学生には、Geminiの有料プランを1学年分無料にする施策も発表されています。プランの中身はその後も改定が続いているため、契約前にはGeminiの公式プラン比較ページで現在の内容を確認してください。
Jules・Stitch・Gemma 3nなど開発者向けの発表
コーディングエージェントのJulesは、GitHubのリポジトリをクラウド上の仮想環境に複製し、複数のタスクを非同期・並列で進める仕組みです。I/O 2025当日に待機リストなしの公開ベータになりました。2025年8月6日にベータを終えて正式公開され、Google AI Proで5倍、Ultraで20倍の利用上限を持つ階層が設けられています。使い方と料金はGoogle Julesとは?使い方・料金とCI/CD連携、VS Codeから使う方法で扱っています。
- Stitch:自然言語や画像からUIデザインとフロントエンドのコードを生成するGoogle Labsの実験。Figmaへの貼り付けとコード書き出しに対応。
- Gemma 3n:スマートフォンやノートPCで動かす前提の軽量オープンモデル。音声・テキスト・画像・動画を扱える。
- Google AI Studio:画面を刷新し、Imagen・Veoを試せる「Generate Media」タブを追加。
- Android Studio:自然言語でテスト手順を書く「Journeys」と、依存関係を自動更新する「Version Upgrade Agent」を発表。
- その他:Gemini Code Assistの個人向け・GitHub向けのGA、Flutter 3.32、Agent Development KitとAgent2Agent(A2A)プロトコルの更新、医療向けオープンモデルMedGemma、手話を訳すSignGemma。
Android XR・Google Beam・Android 16の発表と初出イベント
Android XRグラスとGoogle Beamの機能・製品化計画
Android XRでは、サムスンのヘッドセット「Project Moohan」を年内に出すと予告し、Geminiを載せたグラスでメッセージ送信や道案内、2人の会話のリアルタイム翻訳をデモしました。グラスはGentle MonsterとWarby Parkerが開発パートナーとして発表されています。
Google Beamは、2Dの映像をAIで3D化し、相手が同じ部屋にいるように見せる企業向けのビデオ通話基盤です。研究プロジェクト「Project Starline」の製品化で、HPとZoomと組んで2025年中に一部の顧客へ出すと発表されました。Google Meetでは、話し手の声の調子を保ったまま訳す音声翻訳が英語とスペイン語でベータ提供されています。
Android 16とIronwoodはI/O本会期より前の発表
I/O 2025のまとめとして語られがちな次の2つは、初出が別のイベントです。
- Android 16とMaterial 3 Expressive:Material 3 Expressiveは2025年5月13日の「The Android Show: I/O Edition」で発表。Android 16はそれ以前の2024年11月19日に最初の開発者プレビューが公開されています。Android 16の安定版は2025年6月10日に対応Pixelへ配信されました。
- 第7世代TPU「Ironwood」:初出は2025年4月9日のGoogle Cloud Next 25。I/Oの基調講演では「前世代比10倍の性能、Podあたり42.5エクサフロップス」と改めて紹介されました。9,216チップ構成のPodの値で、2025年11月6日に「数週間以内に一般提供」と案内されています。
TPUの世代ごとの違いはTPUとは?GPU・CPUとの違い、世代別の性能と料金で整理しています。
I/O 2025の発表は今どうなったか|2026年10月時点の提供状況
ここでは、I/O 2025当日の予告と、その後の提供開始・終了を分けて確認します。I/O 2025から約1年4か月が経った時点で、主な発表の行き先を公式の変更履歴とブログで追うと次のようになります。
| 発表 | I/O 2025時点 | その後 |
|---|---|---|
| Gemini 2.5 Pro・Flash | プレビュー | 2025-06-17 GA |
| 2.5 Flashプレビュー05-20 | 公開 | 2025-11-18 提供終了 |
| Deep Think | 試験利用者のみ | 2025-08-01 Ultraで提供 |
| AIモード | 米国で展開開始 | 2025-09-09 日本語提供 |
| 検索Live | 夏に提供と予告 | 2026-03-27 日本でも提供 |
| Imagen 4(Gemini API) | APIは未提供(Vertex AIのみ) | 2026-08-17 提供終了 |
| Veo 3.0(Gemini API) | APIは未提供(Vertex AIのみ) | 2026-06-30 提供終了 |
| Jules | 公開ベータ | 2025-08-06 正式公開 |
| Project Moohan | 年内発売と予告 | 2025-10-21 Galaxy XR発売 |
| Google Beam | 年内に製品化と予告 | 2025-06-11 HP Dimension発表 |
モデルの世代交代とGemini 2.5の扱い
I/O 2025の主役だったGemini 2.5は、2025年11月18日のGemini 3 Proで世代交代が始まりました。2025年12月17日にはGemini 3 FlashがGeminiアプリと検索のAIモードの標準モデルになり、2026年9月2日にはGemini 3.8 Flashが公開されています。
Gemini APIの廃止予定一覧(2026年10月1日更新)では、gemini-2.5-proとgemini-2.5-flashのGA版に提供終了日は設定されていません。ただし「過去に使っていた利用者にアクセスを限定する」と明記され、新規プロジェクトには3.5 Flash-Liteか3.8 Flashを使うよう案内しています。I/O 2025の記事やサンプルコードを手元の新規案件に流用するなら、モデルIDは必ず現行のものへ差し替えてください。I/O 2025時点のプレビューID(-preview-05-20など)はすでに呼び出せません。Gemini 3世代のモデル仕様の公開範囲はGemini 3のパラメータ数は非公開|開発元Google DeepMindとモデルカードの公開範囲で扱っています。
Android XRグラスとAgent Modeの追跡上の留意点
発表の中には、2026年10月時点でも当時の形での提供を公式に確認できないものがあります。Gentle Monster・Warby Parker製のAndroid XRグラスは、発売を告げる公式の製品ページを確認できていません。GeminiアプリのAgent Modeも、のちに公開された「Gemini Agent」と同一製品であると明記した一次情報は見当たりません。I/Oの予告を根拠に「すでに使える」と書いている記事は、発表の日付と現在の提供状況を分けて読む必要があります。
Google I/O 2025に関するよくある質問
Google I/O 2025はいつ開催されましたか?
2025年5月20日と21日の2日間です。会場は米国マウンテンビューのShoreline Amphitheatreで、基調講演はオンラインでも配信されました。
Google I/O 2025で発表された主な内容は何ですか?
Gemini 2.5 FlashのプレビューとDeep Think、Google検索のAIモードの米国展開、Veo 3・Imagen 4・Flow、Google AI Ultraの新設、Julesの公開ベータ、Android XRグラスとGoogle Beamが中心です。公式の発表一覧は100項目に及びます。
AIモードとGeminiの違いは何ですか?
AIモードはGoogle検索の中の機能で、検索結果のタブからWeb上の情報をもとに回答し、出典リンクを示します。Geminiは独立したAIアシスタントのアプリで、文章作成や画像生成、Googleアプリとの連携まで扱います。どちらもGeminiのモデルを使いますが、AIモードは検索を前提に作られています。
Google AI Studioでは何ができますか?
Gemini APIのモデルをブラウザから試し、APIキーを発行してアプリに組み込むための開発者向けツールです。I/O 2025では画面が刷新され、ImagenやVeoで画像・動画を生成できる「Generate Media」タブが加わりました。
I/O 2025で発表されたGemini 2.5は今も使えますか?
Gemini APIのGA版(gemini-2.5-pro・gemini-2.5-flash)は2026年10月時点で提供終了日が未定ですが、過去の利用者に限定されています。新規プロジェクトではGemini 3系の現行モデルを使うのが公式の案内です。