Gemini Omniとは?Google I/O 2026で発表された動画生成モデルの正体・仕様・使い方
Gemini Omniは、テキスト・画像・音声・動画のどの入力からでも動画を作れるGoogleの新しい生成モデルです。2026年5月のGoogle I/O 2026で正式発表され、まず提供が始まったのが「Gemini Omni Flash」です。開催前は「Create with Gemini Omni」というUIのリークをもとにした予想が飛び交っていましたが、本記事は開催後に公開された公式情報(Google公式ブログ・Google DeepMind・Gemini API開発者ドキュメント)に基づき、Gemini Omniの正体・仕様・料金・使い方、そしてVeoやSora・Klingとの違いまでを整理します(数値は変動が速いため、最新は公式で確認してください)。
まとめ:Gemini Omniの要点
- 正体:Google I/O 2026で発表された「あらゆる入力から何でも作れる」モデル。まずは動画生成から提供が始まった。
- 最初のモデル:Gemini Omni Flash(開発者向けモデルID `gemini-omni-flash-preview`)。テキスト・画像・動画を組み合わせて入力し、動画を生成する(音声のアップロード入力は現時点のAPIでは非対応)。
- 編集の特徴:会話で「ここをこう変えて」と指示して部分修正できる対話型編集。前の編集を保持したまま次の指示を重ねられる。
- 仕様(プレビュー時点・要公式確認):出力は720p・最長10秒、アスペクト比は16:9と9:16。1080p/4Kは提供されていない。
- Veoとは別:Gemini OmniはVeoの新バージョンではなく別系統のモデル。現行のVeo系はVeo 3.1で、「Veo 4」は本稿執筆時点で公式発表が確認できない。
- 提供:Gemini アプリとGoogle FlowはGoogle AI Plus/Pro/Ultra、YouTube Shorts(Remix)・YouTube Createでは無料で利用できる。全動画にSynthID電子透かしが入る。
以下で、Gemini Omniの定義、Gemini Omni Flashの仕様、料金と使い方、競合との比較、同時発表モデルの順に掘り下げます。
Gemini Omniとは:あらゆる入力から動画を作る統合モデル
Googleは公式ブログでGemini Omniを「あらゆる入力から何でも作れる新モデル。まずは動画から」と説明しています。テキストだけでなく、画像・音声・動画を同時に入力として渡し、Geminiが持つ現実世界の知識に基づいた動画を生成します。単一のプロンプトに複数の素材を混ぜられる点と、生成後に会話で編集できる点が中核です。
「オムニモーダル」の意味とマルチモーダルとの違い
「オムニモーダル(omnimodal)」は、テキスト・画像・音声・動画といったあらゆるモダリティを1つのモデルで扱う設計を指します。複数の入力形式に対応する「マルチモーダル」より踏み込んだ言い方で、入力から出力までを別々のモデルの継ぎ足しでなく1つのモデルで処理することを強調した呼称です。Gemini Omniは現状は動画出力から始まり、Googleは画像・音声の出力にも順次対応すると案内しています。Gemini自体の歴史・科学・文化的文脈の知識に加え、重力・運動エネルギー・流体力学といった物理の直感的な理解が向上している点も特徴として挙げられています。
リーク「Create with Gemini Omni」から正式発表までの経緯
開催前はGeminiアプリのUIに現れた「Create with Gemini Omni」という表示のリークから、正体をVeoの拡張と推測する見方が広がっていました。実際にはVeoの新版ではなく独立した新モデルとしてGoogle I/O 2026で発表され、最初の提供モデルがGemini Omni Flashです。開催前の「予想」段階の情報(4K対応やVeo 4との同一視など)は公式仕様と食い違う部分があるため、現在は公式発表を基準に判断する必要があります。
Gemini Omni Flashの仕様:最初に提供される実体
Gemini Omni FlashはOmniファミリーの第一弾で、高速な動画生成と対話型編集に向けた位置づけです。開発者向けにはGemini APIとGoogle AI Studioでモデルとして提供され、モデルIDは `gemini-omni-flash-preview` です。
入力と出力の対応範囲
入力はテキスト、画像(JPEG・PNG)、動画を組み合わせられます。動画はFiles API経由で最長3秒までアップロードできますが、公式ドキュメントには「プレビュー時点ではモデルが正しく処理しない」と注記されています。音声(声の参照)のアップロードは現時点のAPIでは非対応で、将来的な対応が見込まれます(Googleはオムニモーダルの将来像として音声入力にも触れています)。出力は音声付きのMP4動画で、アスペクト比は16:9(既定)と9:16の縦横に対応します。解像度と尺は開発者ドキュメントに明記されていませんが、プレビュー時点では720p・最長10秒で、1080pや4Kの出力は用意されていないと各社が報じています(対応解像度・尺は今後変わり得るため公式で確認してください)。
会話で修正を重ねる対話型編集
Gemini Omni Flashの目玉は、生成した動画を自然言語の会話で編集できる点です。「背景を夜に」「この人物の服を変えて」といった指示を出すと、残したい部分を保ったまま該当箇所だけを変更します。APIではInteractions APIの `previous_interaction_id` で会話履歴と生成済み動画の状態を引き継ぎ、動画を再アップロードせずに前の編集を土台に次の編集を積み重ねられます。毎回ゼロから作り直す従来の動画生成と違い、修正の反復コストを下げられるのが実務上の利点です。
SynthID電子透かしと生成物の検証
Gemini Omniで作った動画には、すべて目に見えないSynthID電子透かしが埋め込まれます。GeminiアプリやGemini in Chrome、Google検索から、その動画がGemini Omniで生成されたものかを確認できます。生成物の出所を後から判別できる仕組みで、社内配布や公開前のチェックに使えます。
現時点で非対応の機能
公式ドキュメントは、プレビュー段階で使えない機能も明示しています。動画の延長(video extension)と補間(interpolation)は非対応、音声だけを差し替える音声編集(voice editing)も非対応、複数の動画をまたいだ参照・横断的な推論もできません。アップロードした動画の編集は、EEA・スイス・英国では利用できません。言語は英語が完全対応で、それ以外は未評価とされているため、日本語プロンプトでの品質は現時点で保証されていない点に注意が必要です。
Veoとの関係と「Veo 4」「4K」誤解の整理
開催前に最も広まった誤解が「Gemini Omni=Veoの新版(Veo 4)」という見方でした。ここは実務判断に直結するので明確に切り分けます。
Gemini OmniはVeoの新版ではなく別系統のモデル
Gemini OmniはVeoのバージョンアップではなく、Geminiの推論とGoogleの生成メディア技術を統合した別のモデルです。Googleの動画生成にはVeo系が引き続き存在し、現行はVeo 3.1です。つまりVeoとGemini Omniは並存する別プロダクトで、用途や提供面が重なりつつも同一物ではありません。よく検索される「Veo 4」については、本稿執筆時点でGoogleからの公式なモデルページや仕様の発表が確認できません。「Veo 4がすでに登場した」という記述は第三者サイト由来であり、公式情報として扱わないのが安全です。
「4K対応」の期待とプレビューの現実
リーク段階では4K出力を見込む声もありましたが、Gemini Omni Flashのプレビューは前述のとおり720pが上限とされ、1080p/4Kは提供されていません(今後の対応は公式発表待ち)。高解像度での最終納品を前提にする場合、現段階では別の手段や後処理を組み合わせる判断が要ります。
料金・提供プランと使い方
Gemini Omni Flashは消費者向けと開発者向けの両方で提供が始まっています。使い始める前に、自分がどのチャネルからアクセスするかで料金と制限が変わる点を押さえておきます。
提供チャネルと対象プラン
消費者向けは、GeminiアプリとGoogle Flowから利用でき、いずれもGoogle AI Plus・Pro・Ultraのいずれかの加入が必要です。YouTube Shorts(Remix)とYouTube Create Appでは無料で使えます(利用可能な地域・年齢条件は公式の案内に従ってください)。まずは無料のYouTube側で手触りを確かめ、業務利用ならGeminiアプリやFlowで本格的に使う、という入り口の選び方ができます。
開発者向けの提供とAPI料金
開発者はGemini APIとGoogle AI Studioからモデル `gemini-omni-flash-preview` を呼び出せます。料金は動画出力1秒あたり0.10ドルと案内されています(プレビュー価格は変動し得るため、実装前に公式の料金表で確認してください)。10秒の動画を1本生成するとおよそ1ドル前後という目安になり、量産用途ではこの秒課金が前提のコスト設計になります。
「1日◯回」から「使った計算量」ベースへ
Google I/O 2026を機に、Geminiの使用制限は「1日に何回まで」という固定枠から、プロンプトの複雑さや使う機能・会話の長さに応じて消費量が変わる計算量ベースの考え方へ移行しています。そのため「動画を1日◯本まで」といった旧来の目安は当てはまりにくくなっており、重い生成を続けると早く上限に達する点を運用で見込む必要があります。具体的な残量の扱いは変更が続いているため、業務では公式のヘルプで最新の制限を確認してから量産計画を立てるのが安全です。
競合の動画・オムニモデルとの比較
動画生成は各社が音声込みの「オムニ」方向へ動いており、Gemini Omniだけを見て判断すると選定を誤ります。2026年7月時点の主要モデルの位置づけを整理します。
OpenAI Sora:アプリ終了とSora 2の現状
OpenAIのSoraは、単体アプリの提供が2026年4月に終了したと報じられています。動画生成のSora 2自体はChatGPT内の機能として残っていますが、「Sora 3」という新モデルは確認できません。検索で見かける「sora 3.0」は公式の製品名ではないため、最新の提供形態はOpenAIの公式発表で確認してください。
Kling 3.0 OmniとByteDance Seedance
Kuaishouの「Kling 3.0 Omni」は、映像と同期した音声(セリフ・効果音・環境音)をネイティブに生成し、キャラクターの声を複数ショットで一貫させる点を売りにしています。「kling omni 声が無くなる」という検索が示すのは、声を一貫させる仕様に対して、実際には声が抜ける場合があるという声も一部にあることです(一次情報は未確認)。仕様どおりに音声が出ない可能性がある点は、運用で見込んでおく必要があります。ByteDanceのSeedanceも2.x系で音声一体型の生成を進めており、音声ネイティブ勢としてGemini Omniの比較対象になります。
統合モデルと専用モデルという競争軸の変化
これまでの動画AIは「動画専用モデル」の性能競争でしたが、Gemini Omniは入力も編集も1つのモデルで完結させる統合型に舵を切っています。専用モデルは特定領域の品質で先行しやすい一方、統合モデルは素材の混在入力と会話編集の手数の少なさで優位に立ちます。どちらが有利かは、最終解像度・尺・音声要件・編集頻度のどれを重視するかで変わり、単純な優劣では決められません。
Google I/O 2026で同時に発表された主要モデル
Gemini Omniと同じ発表の場では、テキストと画像のモデルも更新されています。「Gemini 3.5」「Nano Banana」を探して迷わないよう、公式の最新ラインを押さえておきます。
Gemini 3.5 Flashと「Gemini 3.2」という誤解
テキスト系ではGemini 3.5 Flashが一般提供(GA)になりました。上位のGemini 3.5 Proは同時ではなく後日の提供とされています。検索で見かける「Gemini 3.2」「gemini 3.2 flash」は公式のモデル名として確認できず、実際のラインは3.1系から3.5系への更新です。モデルの世代・料金の全体像はGemini 3とは?Google最新AIモデルの特徴・ラインアップ・料金と3.1への進化で、Proの位置づけはGemini 3.1 Pro Previewとは?3 Proとの違い・ベンチマーク・料金・API使い方を解説で補えます。
画像のNano Banana 2 LiteとFlowの拡張
画像生成では、より高速・低コストの「Nano Banana 2 Lite」が新たに加わりました。よく検索される「Nano Banana 3」は公式には存在せず、現行の呼称はNano Banana 2 Lite・Nano Banana 2・Nano Banana Proといった2系とProです。あわせて動画制作ツールのGoogle Flowも提供国や機能が拡張され、Gemini Omniによる編集がFlowから使えるようになっています。
実務でGemini Omniをどう使うか:向く用途と避けるべき場面
ここは公式仕様から導ける判断です。現状のGemini Omni Flashは万能ではなく、得意・不得意がはっきりしています。
向く用途と、避けるべき/慎重にすべき場面
向いているのは、縦型ショート動画やSNS素材、企画のプロトタイプ、社内向けの短い説明動画など、720p・最長10秒・英語プロンプトの制約に収まる用途です。会話編集で手早く差分を作れるため、A/B用の複数案づくりとも相性が良いです。一方で、4Kでの最終納品、10秒を超える長尺、日本語ナレーションの品質を強く求める案件、既存動画をまたいだ複雑な編集は、現時点では非対応や未評価の領域にかかります。こうした案件は無理にGemini Omni単体で完結させず、Veo系や他ツール、後処理との併用を前提に組むのが現実的です。使い始めの操作はGeminiアプリからが最短で、アプリの起動・呼び出しはGeminiの呼び出し方|Android・iPhone・PC別の起動方法と設定【2026年版】が参考になります。
商用利用と権利処理の押さえどころ
業務で使う場合は、生成物に必ず入るSynthID電子透かしと、Google側の利用規約・商用利用条件を先に確認します。実在の人物を思わせる映像は肖像権・パブリシティ権の問題があり、機密情報をプロンプトに入れる運用は情報管理の観点から避けるべきです。生成AIで作った動画である旨の表示や社内の承認フローを、量産を始める前に決めておくとトラブルを防げます。
よくある質問
Gemini Omniはいつから使える?
Google I/O 2026(2026年5月)で発表され、最初のモデルGemini Omni Flashの提供が同時に始まりました。GeminiアプリとGoogle Flow(AI Plus/Pro/Ultra向け)、YouTube Shorts(Remix)・YouTube Create(無料)で順次利用できます。提供状況は地域やプランで異なるため、最新は公式で確認してください。
Gemini OmniはVeoと何が違う?
Gemini OmniはVeoの新バージョンではなく、テキスト・画像・音声・動画を1つのモデルで扱い会話編集できる別系統のモデルです。Googleの動画生成にはVeo系(現行はVeo 3.1)も並存します。「Veo 4」は本稿執筆時点で公式発表が確認できません。
Gemini Omni Flashの解像度と長さは?
プレビュー時点では720p・最長10秒、アスペクト比は16:9と9:16とされ、1080p/4Kは提供されていません。対応解像度や尺は今後変わり得るため、実務では公式の最新仕様を確認してください。
Gemini Omniの料金は?
消費者向けはGoogle AI Plus/Pro/Ultraの加入で利用でき、YouTube側は無料です。開発者向けAPIは動画出力1秒あたり0.10ドルと案内されています(プレビュー価格のため変動し得ます)。
「Gemini 3.2」や「Nano Banana 3」は本物?
いずれも公式のモデル名としては確認できません。テキストの現行はGemini 3.5 Flash、画像はNano Banana 2 Lite・2・Proが実在するラインです。第三者サイトの名称を公式仕様として扱わないよう注意してください。あわせて、Ask YouTubeについても解説しています。