Gemini 3のパラメータ数を、Googleは公表していません。2025年11月18日の発表ブログにも、Google DeepMindが出したモデルカードにも数字はなく、書かれているのは「sparse mixture-of-experts(MoE)構造」「入力100万トークン・出力6.4万トークン」「知識カットオフ2025年1月」といった仕様です。この記事では、Gemini 3を誰がどんな体制で作ったのかと、モデル規模について一次情報で確認できる範囲を整理します。料金・ラインアップ・使い方を含む全体像はGemini 3とは?Google最新AIモデルの特徴・ラインアップ・料金と3.1への進化にまとめています。
まとめ:Gemini 3の開発元とパラメータ数の要点
- 開発元:Google DeepMind。2023年4月にGoogle BrainとDeepMindを統合して発足した組織で、CEOはDemis Hassabis氏。Gemini 3は2025年11月18日にSundar Pichai氏・Hassabis氏・Koray Kavukcuoglu氏の連名で発表されました。
- パラメータ数:非公開。モデルカードは「sparse MoE」と構造だけを記載し、総パラメータ数も1トークンあたりの有効パラメータ数も書いていません。ネット上の「1兆」「7兆」はGoogleの一次情報に出典がない推定です。
- Googleが数字を出したGemini:Gemini 1.0 Nano-1(1.8B)とNano-2(3.25B)が中心。Pro・Ultra以降の主力モデルは一貫して非公開で、数字を知りたいならオープンモデルのGemmaを見ることになります。
- 規模の代わりに見る指標:入出力トークン上限、知識カットオフ、提供チャネル、ベンチマーク。Gemini APIのmodels.getでもパラメータ数は返りません。
- Gemini 3 Proの現在:API ID
gemini-3-pro-previewのGemini 3 Pro Previewは2026年3月9日に停止し、同じIDは現在gemini-3.1-pro-previewを指します。3.1 Pro・3 Flash・3.5 Flashなどの後続モデルも、モデルカード上は「Gemini 3 Proファミリー」です。
Gemini 3を開発したGoogle DeepMindの体制
Google BrainとDeepMindの統合(2023年4月20日)
Google DeepMindは、2023年4月20日にSundar Pichai氏が発表した組織再編で生まれました。Google社内の研究チームGoogle Brain(2011年にX(旧Google X)で始動)と、2010年創業の研究所DeepMindを1つにまとめ、DeepMind共同創業者のDemis Hassabis氏をCEOに据えています。
この発表でPichai氏は、Jeff Dean氏がChief Scientistとして率いるAI関連の最重要プロジェクトの第1弾を「a series of powerful, multimodal AI models」と書いています。同年12月6日のGemini 1.0発表ブログでは、Gemini 1.0が「Google DeepMindを発足させたときに描いた構想の最初の実現」と位置づけられました。技術報告(arXiv:2312.11805)の著者表記は「Gemini Team, Google」で、Rohan Anil氏ほか計1,350名が名を連ねています。特定の研究者の作品ではなく、Google全体の大規模チームで作られているモデルです。
Gemini 3の発表者と提供チャネル
Gemini 3の発表ブログ「A new era of intelligence with Gemini 3」(2025年11月18日)の署名は、Sundar Pichai氏(Google・Alphabet CEO)、Demis Hassabis氏(Google DeepMind CEO)、Koray Kavukcuoglu氏(Google DeepMind CTO兼GoogleのChief AI Architect)の3名です。本文の後半は「on behalf of the Gemini team」として書かれています。
発表日から、Geminiアプリ、Google検索のAIモード(Google AI Pro/Ultra加入者向け)、AI Studio、Vertex AI、Gemini Enterprise、Gemini CLI、新しいエージェント開発環境Google Antigravityで使えるようになりました。GoogleはこのときGeminiを初めて検索に発表当日から載せたと書いています。モデルカードの配布先一覧もGeminiアプリ、Google Cloud/Vertex AI(現Gemini Enterprise Agent Platform)、Google AI Studio、Gemini API、Google AIモード、Google Antigravityの6つです。
「Geminiはどこの会社・どこの国のAIか」への答え
提供元はGoogle(米国のGoogle LLC、親会社はAlphabet)です。研究開発を担うのはGoogle DeepMindで、組織としてはGoogleの一部門にあたります。同じ「Gemini」という名前の暗号資産取引所(Gemini Trust Company)はGoogleと無関係なので、検索するときは混同に注意してください。OpenAIやAnthropicとの成り立ち・資本関係の違いはOpenAI・Google DeepMind・Anthropicの違いと関係|成り立ち・モデル体系・安全性方針を比較【2026年8月版】で比較しています。
Gemini 3のパラメータ数とモデルカードの公開範囲
モデルカードに書かれている仕様
Google DeepMindが公開している「Gemini 3 Pro Model Card」(Model Release: November 2025、Last Updated: May 2026)のうち、モデル規模に関わる記載は次のとおりです。パラメータ数の欄はありません。
| 項目 | モデルカードの記載 |
|---|---|
| アーキテクチャ | sparse MoEのTransformer |
| 入力 | テキスト・画像・音声・動画、最大100万トークン |
| 出力 | テキスト、最大6.4万トークン(64K) |
| 知識カットオフ | 2025年1月 |
| 学習ハードウェア | Google TPU(TPU Pod) |
| 学習ソフトウェア | JAX、ML Pathways |
| 既存モデルとの関係 | 既存モデルの改変・ファインチューニングではない |
| パラメータ数 | 記載なし |
学習データについても「公開Webの文書、テキスト、コード、画像、音声、動画を含む大規模で多様なデータ」という種類の説明だけで、トークン数やデータ量の数字は出していません。
sparse MoEにおける総パラメータ数と有効パラメータ数の違い
モデルカードはsparse MoEを「入力トークンごとにパラメータの一部(エキスパート)だけを動かし、モデル全体の容量と1トークンあたりの計算・提供コストを切り離す仕組み」と説明しています。この構造では、重みの総数(総パラメータ数)と、1トークンの処理で実際に使う数(有効パラメータ数)が大きく違います。
そのため、仮に数字が出ても「総数か有効数か」を確かめないと比較に使えません。オープンモデルではこの区別が明記されていて、Gemma 4の「26B A4B」はモデルカード上で総パラメータ25.2B・有効パラメータ3.8B(「A」はactive parametersの意味)です。Gemini 3について両方の数字が非公開である以上、「GPT系より大きい/小さい」といった規模の比較は成り立ちません。
「1兆」「7兆」パラメータ説の出どころ
日本語の解説記事や検索結果の要約では、Gemini 3のパラメータ数を「1兆」「7兆」とする数字が見つかります。発表ブログ、モデルカード、Gemini APIのドキュメントのいずれにもこれらの数字はなく、Googleが出した値ではありません。本記事の旧版にあった「DeepMindによると従来モデル比で数倍のパラメータを持つ」という記述も、同じ理由で出典を示せないため削除しました。
規模を根拠に導入判断をしたい場合、推定値を社内資料に書くより、下の「規模の代わりに比較できる指標」を使うほうが検証できます。
Googleがパラメータ数を公表したGeminiの世代
Geminiシリーズで数字が公表されているのは、端末で動かす小型モデルに限られます。主力モデルは初代から一貫して非公開です。
| 世代・モデル | 公表されたパラメータ数 | 出典 |
|---|---|---|
| Gemini 1.0 Nano-1 | 1.8B | Gemini 1.0技術報告 |
| Gemini 1.0 Nano-2 | 3.25B | Gemini 1.0技術報告 |
| Gemini 1.0 Pro/Ultra | 非公開 | 同上(数値なし) |
| Gemini 1.5 Flash-8B | 1桁B(10億単位)と記述 | Gemini 1.5技術報告 |
| Gemini 2.5 Pro/Flash | 非公開(sparse MoEと記載) | Gemini 2.5技術報告 |
| Gemini 3 Pro以降 | 非公開 | モデルカード |
Nano-1とNano-2だけが数字を持つ理由
Gemini 1.0技術報告(arXiv:2312.11805)は、Nanoを「端末上で動かすための最も効率的なモデル」と位置づけ、「1.8B(Nano-1)と3.25B(Nano-2)の2版を、低メモリ端末と高メモリ端末向けに学習した」と書いています。大きなGeminiモデルから蒸留し、4bit量子化して配布する前提です。メモリ容量が限られる端末に載せる以上、サイズは端末メーカーやアプリ開発者が知る必要のある仕様で、隠す意味が薄かったと読めます。
Gemini 1.5 Flash-8Bも名前に「8B」を含みますが、Gemini 1.5技術報告(arXiv:2403.05530)の記述は「single-digit billion parameter models(10億単位で1桁のモデル)の領域」という言い方で、8Bちょうどとは書いていません。
パラメータ数が公開されたGemma 4の構成
Google DeepMindが重みを公開しているGemmaは、パラメータ規模がモデル名に入っています(E2Bの「E」は有効パラメータ、26B A4Bの「A」はアクティブパラメータの意味)。Gemma 4はE2B・E4B・12B・26B A4B(MoE)・31B(Dense)の構成で、コンテキスト長はE2B・E4Bが128K、それ以外が256Kです。ローカル実行に必要なVRAMを見積もるなど、パラメータ数が実務上必要な用途ではGeminiではなくGemmaが対象になります。構成ごとの必要スペックはGemma 4とは|モデル一覧・必要スペック(VRAM)・量子化(GGUF/AWQ)・ローカル実行を解説【2026年版】で扱っています。
Gemini 3 Proを起点にしたモデルの系譜
モデルカードの「Model dependencies」は、Gemini 3 Proを既存モデルの改変ではない新しい基盤と位置づけ、後続モデルはGemini 3 Proを土台にしていると書いています。同じ欄に並ぶファミリーはGemini 3 Pro Image、Gemini 3 Flash、Gemini 3.1 Pro、Gemini 3.1 Flash Image、Gemini 3.1 Flash-Lite、Gemini 3.1 Flash Live、Gemini 3.5 Flashです。版番号が3.1や3.5に上がっても、モデルカード上は「Gemini 3 Proファミリー」に属します。
API IDの移行状況(2026年9月時点)
Gemini APIの非推奨ページと変更履歴によると、発表時のGemini 3 Pro Previewはすでに停止し、IDは後継を指すように切り替わっています。
| モデルID | リリース | 停止日 | 移行先 |
|---|---|---|---|
| gemini-3-pro-preview | 2025-11-18 | 2026-03-09 | gemini-3.1-pro-preview |
| gemini-3-flash-preview | 2025-12-17 | 未発表 | gemini-3.6-flash |
| gemini-3.1-pro-preview | 2026-02-19 | 未発表 | - |
| gemini-3.8-flash | 2026-09-02 | 未発表 | - |
同ページは新規プロジェクト向けに3.5 Flash-Liteと3.8 Flashを案内しています。Pro系の現行は3.1 Proで、仕様と料金はGemini 3.1 Proとは|料金・有料プラン(Plus/Pro/Ultra)・API単価とスペックを解説【2026年2月リリース】で確認できます。
Pro系とFlash系で独立した版番号
Flash系は3.5、3.6、3.7、3.8と3週間〜2か月おきに上がっている一方、Pro系は3.1のままです。3.8 Flashは3.1 Proより新しいモデルですが、Pro系の上位版ではありません。番号の大小で新旧や性能を比べず、系統(Pro/Flash/Flash-Lite)をそろえてから比較してください。Flash系の直近の差分はGemini 3.7 Flashとは?3.6 Flashとの差分・thinking_levelの制約と切り替え手順【2026年8月】にあります。
パラメータ数の代わりに比較できる指標
パラメータ数が非公開のモデルを比較するときは、Googleが数字で出している項目を使います。Gemini 3 Proの発表時に公表された値は次のとおりです。
- LMArena:1501 Elo(発表時点で首位)
- Humanity’s Last Exam:37.5%(ツール不使用)
- GPQA Diamond:91.9%
- SWE-bench Verified:76.2%
これらはベンダー自身の測定で、比較対象や条件は発表時点のものです。自社の用途に合うかは、同じプロンプトを候補モデルに投げて比べるほうが確実です。
APIでモデルの上限値を確認する方法
Gemini APIのmodels.getは、モデルごとの入力・出力トークン上限や思考(thinking)対応の有無を返します。公式リファレンスのリクエスト例を、モデル名だけ3.1 Pro Previewに置き換えると次の形です。
curl "https://generativelanguage.googleapis.com/v1beta/models/gemini-3.1-pro-preview?key=$GEMINI_API_KEY"
返るModelリソースの定義は次のとおりで、パラメータ数を示すフィールドはありません。
{
"name": string,
"baseModelId": string,
"version": string,
"displayName": string,
"description": string,
"inputTokenLimit": integer,
"outputTokenLimit": integer,
"supportedGenerationMethods": [ string ],
"thinking": boolean,
"temperature": number,
"maxTemperature": number,
"topP": number,
"topK": integer
}
社内資料でモデルの「大きさ」を示す必要がある場合は、この inputTokenLimit/outputTokenLimit と知識カットオフを記載し、パラメータ数の欄は「非公開」と書くのが検証可能な書き方です。
よくある質問
Gemini 3のパラメータ数はいくつですか?
公表されていません。モデルカードにあるのはsparse MoE構造であることと、入力100万・出力6.4万トークンなどの仕様です。「1兆」「7兆」といった数字はGoogleの一次情報に出典がありません。
Geminiはどこの会社が開発したAIですか?
Googleです。開発はGoogleの研究部門Google DeepMindが担い、2023年4月にGoogle BrainとDeepMindが統合して発足しました。CEOはDemis Hassabis氏です。
Gemini 3はいつ公開されましたか?
2025年11月18日です。同日からGeminiアプリ、AI Studio、Vertex AI、検索のAIモード(Google AI Pro/Ultra加入者向け)などで使えるようになり、Deep Thinkモードは12月4日にGoogle AI Ultra加入者向けにGeminiアプリで提供が始まりました。
Gemini 3 Pro Previewはまだ使えますか?
Gemini 3 Pro Previewのモデル自体は2026年3月9日に停止しました。Gemini APIの変更履歴によると、gemini-3-pro-preview というIDは停止後 gemini-3.1-pro-preview を指すため、IDを書き換えていないアプリは3.1 Proの応答を受け取っています。挙動の差を検証済みでない場合は、IDを明示的に gemini-3.1-pro-preview へ変更してください。
GeminiとGemmaは何が違いますか?
Geminiは重みを公開しないAPI・アプリ提供のモデルで、パラメータ数も非公開です。Gemmaは同じGoogle DeepMindが重みを公開するオープンモデルで、E2B・31Bのようにサイズが名前に入っています。