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GIGAスクール構想のデバイス選定|OS別の運用コストと次期更新の判断基準

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GIGAスクール構想のデバイス選定は、Windows・Chromebook・iPadの3系統から自治体が選ぶ仕組みです。第2期では、文部科学省の最低スペック基準が補助の要件になり、端末の「性能」で差がつく余地は小さくなりました。差が出るのは、端末管理(MDM)やアカウント、OSの更新、稼働状況の把握といった運用の仕組みです。この記事では、OS別の基準値と運用コストの違いを一次情報で確かめ、市区町村格差が生まれる構造を踏まえて、次期更新でOSを続けるか切り替えるかの判断基準を示します。制度全体と補助の枠組みはGIGAスクール構想とは?1人1台端末の到達点と第2期の更新で決める三つの論点で扱っています。

まとめ:GIGA端末のOS選定は性能ではなく運用の仕組みと五年総額で決まる

結論から書きます。最低スペック基準を満たす3系統の端末は、授業で使う範囲の性能ではほぼ並びました。OS別の平均単価も1台5.4万〜5.7万円に収まり、補助基準額55,000円の前後です。価格と性能では決め手になりません。

決め手は運用です。誰が端末を設定し、更新を配り、稼働状況を数字で示すのか。iPadでは管理者がAppleのアカウントのログを取得できず、ChromebookはOSの更新期限が機種の発売時期から数えられ、Windows 11 SEは2026年10月でサポートが終わります。こうした仕組みの差が五年間の手間と費用を分けます。

判断の方向も先に示します。現行OSで使用率が回っているなら、そのOSを続けてください。切り替えを検討してよいのは、更新作業が授業を止めている、稼働状況を客観的に示せないといった運用起点の理由があるときだけです。周辺自治体に合わせるという理由だけで乗り換えるのは勧めません。

第2期の端末選定で前提になる最低スペック基準とOS別に分かれる数値

選定の出発点は、文部科学省が令和6年4月17日に改訂したGIGAスクール構想の実現 学習者用コンピュータ最低スペック基準です。第1期の「モデル例」から、補助金支出の要件としての「最低限必要なスペック」へ位置付けが変わりました。

Windows・Chromebook・iPadで最低スペック基準が分かれる項目の比較

3系統で共通する項目は多く、画面は10〜14インチのタッチパネル、ハードウェアキーボードとタッチペン、インカメラとアウトカメラ、バッテリ稼働時間8時間以上、重さ1.5kg程度以内です。分かれるのは次の項目です。

項目 Windows Chromebook iPad
OS Windows 11 Pro/Education ChromeOS iPadOS
CPU Celeron N4500同等以上 Celeron N4500同等以上 規定なし
ストレージ 64GB以上 32GB以上 64GB以上
メモリ 8GB以上(条件付きで4GB) 4GB以上 規定なし
無線LAN 802.11ax以上 802.11ax以上 802.11ac以上
外部接続端子 USB3.0以上のType-C PD USB3.0以上のType-C PD Lightning/Type-C PD
追加の備品 なし なし 自立用スタンド

表のWindowsのOSは記載のエディション相当が条件です。iPadの外部接続端子はLightningか、USB2.0以上のType-C PDという条件です。Windowsのメモリは、Microsoft 365 Web版などブラウザ上での利用が前提で支障がないと判断した場合に限り、4GBも許容されます。CPUはIntel製に限らず、コア数とクロック数で同等以上と判断できれば他社製品でもかまいません。基準の脚注では、Intel Processor N100が基準を満たすと明記されています。

学校端末のメモリとストレージの余裕が五年後の動作速度を左右する理由

基準の解説は、納品時だけでなく、学校現場で想定される使い方の中で十分な空きがあることを求めています。同じ容量でも読み書き速度(MB/s)が端末の動作に大きく効く、というのも解説の指摘です。数字だけ基準ぎりぎりの機種を選ぶと、OSの更新が積み重なる五年目に遅さが表に出ます。

遅くなる原因として、基準はもう一つを名指ししました。端末のローカル環境に多くのソフトウェアを追加インストールし、それに見合ったスペックを積んでいない事例です。ブラウザからクラウドへ接続する設計が構想の前提なので、ローカルに重いソフトを入れる計画があるなら、その時点でOSの選び方から見直してください。

第2期のOSシェアと切り替えた自治体の理由から読むデバイス選定の実態

基準が揃ったあと、自治体は実際にどのOSを選んだのか。数字で確かめます。

ChromeOS60%・iPadOS31%・Windows10%へ動いた第2期のOS構成

MM総研が2025年6〜7月に全国の市区町村教育委員会へ行った電話調査(1,249件回答)を、GIGAスクール端末更新でOSシェアに大きな変化として公表しています。OSと台数に回答した1,174団体・621万台で見ると、第2期の児童生徒用端末はChromeOSが60%、iPadOSが31%、Windowsが10%でした。第1期からの増減はChromeOSが18ポイント増、iPadOSが2ポイント増、Windowsが19ポイント減です。

平均単価はChromeOSが5.4万円、Windowsが5.5万円、iPadOSが5.7万円で、iPadOSは自治体による振れ幅が大きいとされます。調達時期は2025年度が72%、2026年度が22%でした。2026年度に調達する自治体は、いままさに仕様を固めている段階にあたります。

OSを切り替えた28%の自治体が挙げた周辺自治体と運用のしやすさ

同じ調査で、第1期と同じOSを使う自治体は67%、切り替える自治体は28%でした。第1期にChromeOSを選んだ自治体は9割以上が継続し、iPadOSも約8割が継続しています。複数OSやWindowsを採用していた自治体では6割以上が切り替えました。Windows端末は第1期の評価で最も低い点となり、「OSアップデートなど、運用しにくい」「動作が遅い」という声が挙がっています。

切り替えの理由は、周辺自治体が多く利用しているが38%、運用しやすいが33%、現場の教員の意見やアンケート結果が23%です。上位二つはどちらも運用の話で、性能の話ではありません。継続する自治体の94%が「現在利用しているOSのため」と答えた点も合わせると、OS選定は運用の資産と負債をどう引き継ぐかの判断だと読めます。

OS別に運用コストが分かれる端末管理・アカウント・OS更新の仕組み

ここからが比較の本題です。基準の解説部には、OSごとに運用の手間が変わる箇所が書き込まれています。

端末管理(MDM)とクラウドアカウントの組み合わせで決まる日々の運用負荷

MDMは、予備機を含めて整備・更新する端末すべてに備わっている必要があります。基準が求める機能は、ポリシーの設定、ソフトウェアの配信、接続先ネットワークの制御、紛失・盗難時の制御の4点で、OSごとに書き方が少し違います。Chromebookは「端末にログイン可能なユーザに関する制御」、iPadは「App/Bookの配信」と「強制ロック、強制ワイプ」が明記されました。

運用負荷を決めるのは、MDMとクラウドアカウントの組み合わせです。学習用ツールとして、ワープロ・表計算・プレゼンテーション・ブラウザ・コラボレーションツール・Web会議の6種がOSメーカーから標準で提供されている前提で基準が組まれており、このツールのアカウントは端末のOSと別メーカーでもかまいません。iPadにGoogle Workspaceのアカウントを載せる構成も認められています。ただし管理コンソールが二つになれば、設定変更とアカウント発行の窓口も二つになります。仕組みの基本はMDMとは?モバイルデバイス管理の仕組みとEMM/UEMの違い・選び方で整理しました。

稼働状況の把握でiPadだけAppleのアカウントのログを取得できない制約

第2期の基準は、端末の稼働状況を把握できる機能を求めています。文部科学省が使用状況を調べる際に、客観的なデータに基づく回答を求めるためです。WindowsとChromebookでは、Microsoft Entra IDやGoogle Workspaceのアカウントへのログインを稼働とみなし、ログを可視化する方法が示されました。

iPadは事情が違います。Appleが提供する管理対象Apple IDは、OSメーカーの考え方により管理者によるログの取得を許容していません。基準は代わりに、Microsoft Entra IDやGoogle Workspaceのログを使う方法や、MDMのデバイスチェックインを使う方法を挙げています。iPadを選ぶなら、稼働の数字をどこから取るかを調達仕様の段階で決めておく必要があります。なお、Webフィルタリングの通信量から稼働を推定する方法も示されていますが、別紙のチェックリストでは補助対象外です。

ChromebookはOSの更新期限が端末の発売時期から10年で数えられる

基準は、端末を5年程度使う前提で、OSのサポート終了時期に留意するよう求めています。あわせて、サポート期間が自治体の調達時点ではなく端末の市場リリース時点から数えられ、端末ごとに終了時期が異なるOSがあると注意を促しました。

ChromeOSがこれにあたります。Googleの自動更新ポリシーでは、ChromeOSデバイスの自動更新期限は10年で、起算はプラットフォームのリリース日です。一部の機種は、延長された更新を受けるためにオプトインが必要とされています。発売から時間のたった型落ち機を安く調達すると、5年使い切る前に期限が来る場合があります。仕様書には機種名とあわせて自動更新期限の年月を書かせてください。GoogleがChromeOSとAndroidを統合する次世代OSの動向はAluminum OS(Aluminium OS)とは?インストール方法・システム要件・リリース時期で追っています。

Windowsにも期限の問題があります。MicrosoftはWindows 11 SEのよく寄せられる質問で、バージョン24H2の後は機能更新を出さず、Windows 11 SEのサポートを2026年10月に終えると告知しました。端末は動き続けますが、Microsoftは別のエディションに対応したデバイスへの移行を勧めています。

市区町村格差が生まれる構造と小規模自治体がデバイス選定で外せない条件

同じ補助、同じ基準で整備しても、使われ方は自治体ごとに大きく違います。その差は機種からは説明できません。

使用率が約7割からほぼ100%まで開いた差を運用体制の側から読み解く

文部科学省はGIGAスクール構想の推進について(令和7年3月18日)で、使用率の自治体間格差が約7割からほぼ100%まで開いていると課題に挙げました。台数はどの自治体もほぼ1人1台に達しているので、差の出どころは端末の外にあります。

具体的には、設定と故障対応を誰が引き受けるか、アカウントの発行と年度更新を何日で終えられるかです。情報担当が1〜2人の小規模な教育委員会では、OSを入れ替えた年に年度初めの設定作業が集中し、そこで使用率が落ちやすくなります。市区町村格差を縮める打ち手は、上位機種を入れることではなく、管理作業を減らせるOSと体制を選ぶことです。

共同調達で県内のOSが揃う効果と、小規模自治体に残る運用支援の課題

第2期は、都道府県が設置する共同調達会議に参加し、会議が取りまとめる調達で端末を更新することが補助の要件です(GIGAスクール構想加速化基金管理運営要領)。OSを選ぶのは各自治体ですが、県内で同じOSを選ぶ自治体が多いほど、研修資料や設定手順を共有しやすくなります。切り替え理由の首位が「周辺自治体が多く利用している」だったのは、この共有の効果を見込んだ判断と読めます。

ただし、共同調達が揃えるのは端末の仕様と価格までです。キッティングや年度更新の作業、校内での問い合わせ対応は自治体側に残ります。小規模自治体ほど、端末の調達仕様に初期設定と年度更新の作業範囲を書き込み、受託事業者へ渡す線を明確にしてください。

次期更新でOSを続けるか切り替えるかを決める判断基準と見送るべき選び方

最後に判断を言い切ります。前提は、3系統とも基準を満たせば補助の対象になり、性能と価格では差がつかないことです。

現行OSを続けるべき条件と、切り替えを検討してよい運用上の兆候

使用率が全国の上位に入っていて、教員から操作の不満が出ていないなら、現行OSを続けてください。切り替えると、アカウントの移行、教材の作り直し、教員研修が同じ年に重なります。その年の使用率の落ち込みは、端末が新しくなった効果を上回ることがあります。

切り替えを検討してよいのは、運用起点の理由があるときです。OSの更新作業で授業が止まる日がある、稼働状況を客観的な数字で示せない、管理コンソールが複数に割れて設定変更に毎回数日かかる。このいずれかが当てはまるなら、OSを含めて構成を見直す価値があります。逆に「周辺自治体がそうしたから」だけを理由にした乗り換えは採りません。共有の効果は、自前の運用負荷が下がる見込みとセットで初めて意味を持ちます。

Windows 11 SE搭載機など第1期の端末を予備機に回す判断の線引き

更新で外れる第1期の端末を予備機や校内の共用機に回す運用は多く見られます。ここで見るのはOSの期限です。Windows 11 SEは2026年10月でサポートが終わるため、セキュリティ修正の止まった端末を児童生徒に配る形での再利用は避けてください。Chromebookは機種ごとの自動更新期限を一覧で確かめ、残りが2年を切った端末は予備機に回さず廃棄側に寄せるのが安全です。

もう一つの線は台数です。補助対象となる予備機は児童生徒数の15%から整備済み予備機を差し引いた数が上限で、学習者用端末との合計も1.15倍が上限です。古い端末を予備機に数えると、新しい予備機の補助枠を使えなくなる場合があります。予備機に回す前に、台数の枠への影響を試算してください。

端末価格より五年総額と学習系・校務系の連携を優先して比べる手順

比べる順序は、①現行OSでの運用負荷の棚卸し、②稼働ログの取得方法と学習用ツールのアカウント構成、③5年分の総額、④本体価格です。基準自体も、端末価格だけでなくサービスやソフトウェアを含めたトータルコストを勘案するよう求めています。総額の積み方はICT教育システムの費用|端末・回線・ソフトの三層で積み5年総額で判断する、端末に載せる授業支援や学習eポータルの選び方はICT教育システムの比較|授業支援・学習eポータル・教材配信・端末管理の4層で選ぶにまとめています。

稼働ログを集めて学校ごとに見せるダッシュボードや、学習系と校務系の名簿をつなぐ仕組みは、OSをどれにしても自治体側で設計が要る部分です。こうした教育向けシステムを個別に作る場合は、eラーニングシステム開発(LMS)で要件定義から対応しています。OSを決める前に、取りたい数字とつなぎたいシステムを書き出しておくと、比較表の空欄が埋まります。

よくある質問

GIGAスクール構想のデバイス選定で、教育委員会や学校の担当者から出ることの多い質問をまとめました。

GIGAスクール端末のOSはどれが一番選ばれていますか?

MM総研の2025年7月時点の調査では、第2期の児童生徒用端末はChromeOSが60%、iPadOSが31%、Windowsが10%でした。第1期からChromeOSが18ポイント増え、Windowsが19ポイント減っています。ただし、シェアの高さは自校に合うかどうかとは別の話です。現行OSで使用率が回っているなら、シェアに合わせて乗り換える理由にはなりません。

WindowsとChromebookとiPadで最低スペック基準はどう違いますか?

メモリはWindowsが8GB以上(ブラウザ中心で支障がない場合は4GB)、Chromebookが4GB以上で、iPadは規定がありません。ストレージはWindowsとiPadが64GB以上、Chromebookが32GB以上です。CPUはWindowsとChromebookがCeleron N4500同等以上で、iPadは規定なし。画面サイズ、キーボードとタッチペン、カメラ、バッテリ8時間以上、重さ1.5kg程度以内は3系統で共通します。

iPadを選ぶと稼働状況の把握で困ることはありますか?

管理対象Apple IDのログは、Appleの考え方により管理者が取得できません。文部科学省の基準は代替として、Microsoft Entra IDやGoogle Workspaceのアカウントのログを使う方法と、MDMのデバイスチェックインを使う方法を挙げています。学習用ツールにGoogleやMicrosoftのアカウントを併用するかどうかを、調達仕様を書く段階で決めておいてください。

Chromebookはいつまでアップデートを受けられますか?

Googleの自動更新ポリシーでは、ChromeOSデバイスの自動更新期限は10年で、プラットフォームのリリース日から数えます。調達した日からではありません。一部の機種は延長された更新を受けるためにオプトインが必要です。仕様書には機種ごとの自動更新期限の年月を記載させ、5年使い切れるかを確かめてください。

市区町村によって端末の使われ方に差が出るのはなぜですか?

台数はほぼ全自治体で1人1台に達しており、差は運用体制から生まれます。文部科学省は使用率の自治体間格差が約7割からほぼ100%まで開いていると指摘しました。設定や故障対応を担う人員、アカウント発行と年度更新にかかる日数が自治体ごとに違うためです。小規模自治体ほど、管理作業の少ないOS構成と、受託事業者に任せる作業範囲の明確化が効きます。

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