Sora 2は、OpenAIが2025年9月30日に公開した動画と音声の生成モデルです。物理挙動の再現と音声の同時生成を売りにiOSアプリ「Sora」とAPIで提供されましたが、アプリとWeb版は2026年4月26日、APIは2026年9月24日に提供を終えており、2026年10月時点では使えません。この記事では、OpenAIの技術報告と発表文をもとに、Soraの仕組み、初代Soraとの違い、実際に提供されていた秒数・解像度・料金を記録として整理します。
まとめ:Sora 2の仕組み・Sora 1との違い・提供状況
- 提供状況:アプリ・Web版は2026年4月26日、Videos APIと
sora-2系モデルは2026年9月24日に停止済み。後継モデルは指定されていません。 - 仕組み:初代Soraの技術報告によると、動画を潜在空間へ圧縮して「時空間パッチ」に分け、それをトークンとして扱う拡散トランスフォーマーです。Sora 2のモデル構造は公開されていません。
- Sora 1との違い:音声(会話・環境音・効果音)を同時に生成し、シュートを外したボールがバックボードで跳ね返るような「失敗」を描けるようになりました。複数ショットにまたがる指示にも従います。
- 仕様の誤解:「最大1080p・約60秒」は研究モデル(1分)と初代Sora(1080p)の数字の混同です。Sora 2のAPIは公開時が最長12秒・1792×1024で、2026年3月に20秒・1080pへ広がりました。
以下、提供期間、仕組み、Sora 1との違い、生成仕様の順に根拠を示します。
Sora 2の提供期間:2025年の公開と2026年の提供終了
Sora 2は公開から約7か月でアプリが、約1年でAPIが止まりました。初代Soraを含めた公式発表の日付は次のとおりです。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年2月 | 初代Soraを研究プレビューとして発表 |
| 2024年12月9日 | Sora TurboをSora.comで一般提供 |
| 2025年9月30日 | Sora 2とiOSアプリを公開(米国・カナダ) |
| 2025年10月6日 | APIでsora-2・sora-2-proを提供 |
| 2025年11月5日 | Android版アプリを公開 |
| 2026年3月24日 | 終了を発表 |
| 2026年4月26日 | アプリ・Web版の提供終了 |
| 2026年9月24日 | Videos APIとsora-2系を停止 |
OpenAIのAPIドキュメントは停止したモデルについて「1対1で置き換えられるAPIはない」と書いており、廃止告知の推奨移行先も空欄です。終了の理由、作った動画の書き出し手順、データ削除の扱いはSoraのサービス終了の日程と動画保存の手順にまとめています。
Soraの仕組み:技術報告が示した拡散トランスフォーマー
OpenAIがSoraの内部を説明した文書は、2024年2月の技術報告「Video generation models as world simulators」や、2024年12月の「Sora System Card」などです。技術報告は「モデルと実装の詳細は含めていない」と断っており、層の数やパラメータ数はわかりません。わかっているのは、データの表し方と学習方式の2点です。
動画圧縮ネットワークと時空間パッチによるトークン化
Soraは、まず動画を低次元の潜在空間へ圧縮するネットワークに通し、その表現を縦・横・時間の3方向で区切った「時空間パッチ」に分解します。大規模言語モデルにとってのテキストトークンに当たるのがこのパッチです。
静止画は「1フレームだけの動画」として同じ仕組みで扱えます。従来の動画生成は学習データを256×256・4秒のような固定サイズへ切りそろえていましたが、Soraは元の解像度・長さ・縦横比のまま学習します。生成時はノイズのパッチを並べるグリッドの大きさで出力サイズを決めるため、1920×1080の横長から1080×1920の縦長まで同じモデルで出せました。
拡散トランスフォーマーと再キャプションによる学習
生成の本体は拡散モデルです。ノイズを含むパッチとテキストなどの条件を受け取り、元の「きれいな」パッチを予測するよう学習します。そのノイズ除去器にトランスフォーマーを使う点が、技術報告が強調する「拡散トランスフォーマー」の意味です。学習計算量を増やすほど同じシードの出力が鮮明になる比較動画も報告に載っています。
テキストとの対応づけには、DALL·E 3で導入した再キャプションを動画に流用しました。詳細な説明文を書く専用のキャプション生成モデルを先に学習し、学習用の全動画に説明文を付け直す方式です。利用時は、短いプロンプトをGPTで長い説明文に書き換えてから動画モデルに渡します。
Sora 2で公開されなかった技術情報の範囲
Sora 2で公開されたのは発表文とシステムカードで、モデル構造を説明した技術報告はOpenAIのサイトに見当たりません。発表文に書かれているのは、大規模な動画データでの事前学習と事後学習を重視したという方針と、出力例です。
そのため「Sora 2は内部にエージェントを持つ」「物理エンジンを組み込んだ」といった説明は根拠がありません。発表文の該当箇所は、モデルの「失敗」が、モデルが暗黙に表現している人物の失敗のように見えると述べた観察です。構造の説明として引用するのは誤りです。
Sora 1とSora 2の違い:音声・物理挙動・人物の取り込み
OpenAIはSora 2の位置づけを、初代Soraを動画の「GPT-1」とすれば、Sora 2は「GPT-3.5」に当たると説明しました。公式発表で確認できる差を並べます。
| 項目 | 初代Sora(Sora Turbo) | Sora 2 |
|---|---|---|
| 一般提供 | 2024年12月9日 | 2025年9月30日 |
| 提供先 | Sora.com(Plus・Pro) | iOS・Androidアプリ、Web、API |
| 音声 | なし | 会話・環境音・効果音 |
| 1回の生成上限(Sora 2はAPI) | 20秒 | 12秒(2026年3月から20秒) |
| 最大解像度 | 1080p | 1792×1024(2026年3月から1080p) |
| 人物の取り込み | 人物画像・動画の入力を一部ユーザーに提供 | アプリで本人確認つきの姿・声の登録に対応 |
Sora 2のAPIが長さと解像度で初代Soraの20秒・1080pに並んだのは、2026年3月12日の更新後です。公開時の改良の中心は、画素数ではなく動きの正しさと音声に置かれていました。
物理挙動:シュートの「外れ」を描けるようになった点
発表文によると、従来の動画モデルはプロンプトを満たすために物体を変形させがちで、シュートを外したボールがゴールへ瞬間移動することもありました。Sora 2では外れたボールがバックボードで跳ね返ります。パドルボード上のバックフリップで浮力と板の硬さを再現した例や、体操の演技も示されました。
OpenAIは「成功だけでなく失敗をモデル化できること」を世界シミュレーターに欠かせない能力と位置づけています。一方で「完璧からは程遠く、多くの間違いをする」とも明記しており、物理的に正確な映像を保証するものではありませんでした。そのため、生成映像を物理実験の結果や事故原因の検証資料として、そのまま採用すべきではありません。
音声の同時生成と複数ショットの制御
Sora 2は動画と音声を一体で生成します。発表文が挙げたのは背景の音響、セリフ、効果音の3種類で、出力例には、雪山で2人の登山者が交互に叫ぶ動画が載っています。初代Soraには音声生成がありません。
制御性では、複数のショットにまたがる細かな指示に従い、場面が変わっても世界の状態を保てる点が強調されました。得意な画風として挙げられたのは実写調、映画調、アニメ調です。
本人確認つきの肖像取り込み機能
アプリでは、短い動画と音声を一度録画して本人確認を済ませると、自分の姿と声をSoraの生成映像に登場させられました。公開当初は「カメオ」と呼ばれ、現在の公式ページでは「characters」と表記されています。誰に使わせるかは本人だけが決められ、許可の取り消しや、自分が登場する動画の削除もいつでもできる設計でした。
APIでは扱いが違います。ガイドは実在の人物(著名人を含む)の生成と、人の顔を含む入力画像を拒否すると定めていました。2026年3月にAPIへ追加された「キャラクター」も、動物・マスコット・物を繰り返し登場させるための機能で、人の姿を含むアップロードは既定で拒否されます。
Sora 2 APIの生成仕様:秒数・解像度・料金
OpenAIのAPIドキュメントは停止後もsora-2とsora-2-proの仕様ページを残しており、Sora 2の上限はここで確認できます。上限は一定ではなく、2026年3月12日の更新で一段広がりました(OpenAI APIの変更履歴)。終了発表の12日前です。
| 項目 | 2025年10月6日の公開時 | 2026年3月12日以降 |
|---|---|---|
| 1回の生成尺 | 4・8・12秒 | 4・8・12・16・20秒 |
| sora-2の解像度 | 720×1280・1280×720 | 変更なし |
| sora-2-proの解像度 | 上記+1024×1792・1792×1024 | 1080×1920・1920×1080を追加 |
| 主な機能 | テキスト・画像から生成、リミックス | キャラクター参照・延長・編集専用APIを追加 |
| 出力形式 | MP4(音声つき) | 変更なし |
料金は生成した動画1秒あたりの従量課金で、停止時点の単価は次のとおりです。
| モデル | 720p | 1024×1792 | 1080p |
|---|---|---|---|
| sora-2 | 0.10ドル | — | — |
| sora-2-pro | 0.30ドル | 0.50ドル | 0.70ドル |
20秒の動画をsora-2-proの1080pで作ると14ドル、sora-2の720pなら2ドルです。OpenAIのガイドは、構図や動きを試す段階はsora-2で回し、仕上げだけsora-2-proに切り替える使い分けを勧めていました。
アプリでの生成上限は時期とプランで変わったため、本記事では仕様ページが残るAPIの数字を基準にしています。APIの呼び出し方やパラメータの詳細はSora 2 APIの解説に残しています。
Sora 2について広まった誤解:数字の出どころ
Sora 2の解説には、出どころの違う数字が混ざって流通しました。本記事の旧版も「最大1080p・約60秒」「mp4やmovで出力」と書いていましたが、いずれもSora 2の仕様ではありません。
- 約60秒:2024年2月の技術報告が研究モデルについて示した「最大1分」です。Sora 2 APIの1回の生成上限とは別で、後に追加された延長機能では合計最大120秒に対応しました。
- 1080p:2024年12月のSora Turboの上限です。Sora 2では、2026年3月12日の更新で
sora-2-proだけが1080pに対応しました。公開時のAPIの上限は1792×1024です。 - Sora 1は静止画から20秒:20秒はSora Turboの上限ですが、入力は静止画に限りません。テキスト、画像、動画のいずれからも生成できました。
- mp4やmovで出力:APIが返したのはMP4で、ガイドにmovの記載はありません。
- API・Android版は予定:公開直後の記述です。どちらも2025年中に提供され、2026年に終了しました。
Sora 2の数字を引用するときは、研究モデル・Sora Turbo・Sora 2のどれの話かを確かめてください。見分けがつかない記事は、仕様の章を根拠に使わないほうが安全です。
Soraの後継の有無と、動画生成を続ける場合の移行先
OpenAIはSoraの後継製品を発表していません。APIの廃止告知はsora-2、sora-2-pro、Videos APIのすべてで推奨移行先を「—」としています。廃止告知に研究の今後は書かれていませんが、CBS Newsが伝えたOpenAI広報の声明は、Soraの研究チームがロボティクスに向けたワールドシミュレーション研究を続けると説明しています。
Soraからの移行候補として、Googleの動画生成モデルが挙げられます。GoogleはGemini APIの動画生成でGemini Omni Flashを既定に推奨し、シーンの延長や最終フレームの指定が要る用途にVeo 3.1を勧めています。業務での選び方は動画生成AIランキングで比較しています。
よくある質問
Sora 2は今も使えますか?
使えません。iOS・Androidアプリとsora.comのWeb版は2026年4月26日に、開発者向けのVideos APIとsora-2・sora-2-proは2026年9月24日に停止しました。2026年10月時点で、OpenAIのサービスからSora 2の動画を生成する手段はありません。アプリが開かない、生成できないといった症状は、端末や回線の問題ではなく提供終了によるものです。
Sora 2のAndroid版アプリはありましたか?
ありました。iOS版から約1か月後の2025年11月5日に公開されています。OpenAIは、社内でCodexを使って約28日でプロトタイプから公開まで開発したと説明しています。Android版もiOS版と同じく2026年4月26日に提供を終えました。
SoraとSora 2の違いは何ですか?
最大の違いは音声の有無です。2024年12月に一般提供された初代Sora(Sora Turbo)は映像だけを生成し、Sora 2は会話・環境音・効果音を映像と同時に生成しました。Sora 2では物理挙動の再現と複数ショットの制御性が改善され、本人確認つきで自分の姿と声を登場させる機能が加わりました。APIの1回の生成では、2026年3月12日以降のSora 2 Proも最大1080p・20秒に対応しており、初代だけが上回っていたわけではありません。
Soraで作った動画はまだ保存できますか?
OpenAIのヘルプセンターは、書き出し先としてsora.chatgpt.com/sunsetを案内しています。最終のエクスポート期間を設ける場合はメールで知らせ、その期間が過ぎるとSoraのデータを完全に削除するとしています。手順と期限の考え方はSoraのサービス終了の記事で解説しています。
Soraに後継モデルはありますか?
2026年10月時点ではありません。APIの廃止告知は、停止したすべてのモデルで推奨移行先を空欄にしています。OpenAI以外で動画を作るなら、Gemini APIのGemini Omni FlashやVeo 3.1、Runwayなどが選択肢です。