ブロックチェーン

Aleo(アレオ)とは?ゼロ知識証明L1の仕組みとLeo 4.0の開発手順

Aleo(アレオ)とは?ゼロ知識証明L1の仕組みとLeo 4.0の開発手順

Aleo(アレオ)は、ゼロ知識証明を使って取引の中身を公開せずに正しさだけを検証する、プライバシー特化型のレイヤー1ブロックチェーンです。2024年9月18日にメインネットの稼働が公式発表され、開発元はProvable、ネットワークの運営は2023年12月に発足したAleo Network Foundationが担っています。ただし2026年時点のAleoは、公開当初に語られていた「プライバシー志向の汎用チェーン」から、暗号化されたステーブルコイン決済の基盤へと立ち位置を移しました。この記事では、GitHubのリリース情報とAleo公式の発表をもとに、ネットワークの構造、プルーバーとバリデーターの報酬、Leo 4.0で入った構文の破壊的変更、そして実際に何が動いているのかを整理します。

まとめ:Aleoの現在地

  • Aleoはオフチェーンで計算してオンチェーンで証明を検証する設計のレイヤー1です。メインネット稼働の発表は2024年9月18日、実行環境がsnarkVM、ノード実装がsnarkOSです。
  • 2026年9月時点の現行版はLeo v4.4.4(2026年9月17日公開)で、その互換構成はsnarkVM 4.10.0・snarkOS 4.9.0です。3つの番号は揃わないため、Leoのリリースノートの互換表で確認してください。
  • 開発言語Leoは2026年3月31日のv4.0で構文が刷新され、transition・function・inline・async transitionの4キーワードがすべてfnに統一されました。これらのキーワードやFuture型を含む3.x系のコードは、そのままではコンパイルできません。
  • ALEOクレジットのジェネシス供給は約15億枚で、2025年11月起案のARC-0047により総供給に50億枚のハードキャップが入りました。ブロック高263,527,685でブロック報酬もパズル報酬もゼロになります。
  • Aleo Stack v4.2.0でベース手数料が約90パーセント下がり、優先手数料の入札が入りました。credits.aleoのtransfer_public実行は34,060マイクロクレジットから2,725マイクロクレジットになっています。
  • 2026年のAleoの主戦場はプライベートステーブルコインです。Paxos Labs発行のUSADがメインネットで稼働し、Circleと組んだUSDCx、Tokuの秘匿給与、Worldpayのバリデーター参加が続いています。
  • 汎用のスマートコントラクト基盤としてEthereumやSolanaの代替に据えるプロジェクトではありません。秘匿が要件でないなら選ぶ理由は薄いチェーンです。

Aleoの基本構成:秘匿を既定にしたレイヤー1

一般的なブロックチェーンは、送金元・送金先・金額がすべてチェーン上に平文で載ります。Aleoはここを反転させ、取引の中身を暗号化したまま、計算が正しく行われたことだけをゼロ知識証明で示します。検証者は中身を知らないまま正当性を確認できるため、透明性の根拠を失わずに秘匿を両立させる、という構造です。

ゼロ知識証明そのものの原理(証明者と検証者の対話、完全性・健全性・ゼロ知識性の3条件、zk-SNARKsとzk-STARKsの違い)は、ゼロ知識証明(ZKP)とは何か?ブロックチェーンで注目される新技術の基本概念とメリットをわかりやすく徹底解説で扱っています。ここではAleoの実装に絞ります。

開発体制も押さえておきます。実装を進めるのがProvable、ネットワークのガバナンスを担うのがAleo Network Foundationです。資金面では、2021年4月20日にAndreessen Horowitz(a16z)が主導する2,800万ドルのラウンド、2022年2月7日にKora Management LPとSoftBank Vision Fund 2が共同主導するシリーズB 2億ドルを調達しています。シリーズBの規模は、ゼロ知識証明を主題にしたプロジェクトとしては当時最大級でした。

レコードモデル:公開残高と非公開残高の使い分け

Aleoの資産管理はレコード(record)という単位で行われます。レコードは所有者アドレスと中身を暗号化した状態でチェーンに置かれ、所有者のビューキーでのみ復号できます。一方で、アドレスをキーにした公開のマッピング(mapping)も併用でき、こちらは誰でも読めます。

つまり同じトークンについて、非公開残高と公開残高の2系統が同時に存在します。ネイティブ通貨を扱うcredits.aleoプログラムでは、この使い分けが関数名にそのまま出ています。transfer_privateはレコード同士の移転で送信者・受信者・金額のいずれも公開されません。transfer_publicは公開マッピングの増減で、通常のチェーンと同じく全部見えます。transfer_private_to_publicとtransfer_public_to_privateは両者を橋渡しし、名前のとおり片側だけが露出します。

この4本立ては、実務では「どこまで誰に見せるか」を関数の選択で決めるということです。誰でも読めてよい取引は公開側、給与や取引条件のように漏らせない情報は非公開側に置きます。ここで注意したいのは、非公開側に置いても監査ができなくなるわけではない点です。レコードはビューキーを持つ側が復号できるため、一般公開はしないまま監督者や監査人へ限定的に開示する、という運用が成り立ちます。Aleo公式も、規制当局への対応と機密データの保護を両立させる設計だと説明しています。

snarkVMとsnarkOS:計算する場所と検証する場所

Aleoのスタックは2層に分かれています。snarkVMがゼロ知識証明を生成する実行環境(zkVM)で、snarkOSがそれを載せて動くノード実装です。どちらもRust製で、ProvableHQのGitHubで開発されています。

プログラムの本体の実行はユーザーの手元(オフチェーン)で行われ、チェーンに送られるのは実行結果と証明です。ネットワーク側は証明を検証し、公開状態を更新するfinal処理だけをオンチェーンで走らせます。計算量の重い部分をチェーン全体で再実行しない、この分担がスケーラビリティの根拠です。ロールアップなど他のスケーリング手法との位置関係はブロックチェーンのスケーリングソリューションとは何か?スケーラビリティ問題を解決するための必要性と種類で整理しています。

バージョンを確認するときの注意点があります。3つのコンポーネントの番号は揃いません。Leo v4.4.4(2026年9月17日公開)のリリースノートが示す互換構成は、snarkVMが4.10.0、snarkOSが4.9.0です。snarkVM 4.10.0はGitHubのReleases一覧には現れず、タグとcrates.io(2026年9月15日公開)で配布されています。組み合わせを決めるときは、使うLeoのリリースノートにある互換表を見てください。番号の一致を前提にすると外れます。

なお、コンセンサスに関わる更新が入るため、バリデーターは期限までに上げないとフォークする可能性がある、とProvableは告知しています。ノードを運用する場合、リリースの追随は任意ではありません。

AleoBFTとPoSW:バリデーターとプルーバーの分業

Aleoのコンセンサスは、日本語の解説では「PoWとPoSの融合」と説明されることが多いのですが、この言い方は誤解を招きます。Aleo公式のメインネットFAQは、AleoBFTをProof of Stakeベースとし、NarwhalとBullsharkを基礎にした機構だと説明しています。ブロックを作って合意を取るのはステークを積んだバリデーターで、計算資源を投じるプルーバー(prover)はブロックを作りません。正確には、PoSのAleoBFTがブロックを確定させ、作業量に応じたパズル報酬がプルーバーへのインセンティブを供給する、という二層構造です。

バリデーターの集合はコミッティと呼ばれ、上限は200です。総ステーク上位200が参加し、議決権はステーク量に比例します。プルーバーはコンセンサスに参加せず、台帳のコピーも保持しません。

プルーバーの役割:パズルの提出と参加条件

プルーバーが担うのはProof of Succinct Work(PoSW)と呼ばれる仕組みで、パズルを解いた解をネットワークに提出し、その量に応じて報酬を受け取ります。ビットコインのマイニングと違うのは、この作業がチェーンの合意順序を決めないという点です。合意はバリデーターが取り、プルーバーは証明生成の計算能力をネットワークに供給する役割に分かれています。

「Aleoマイニング」「Aleoプール」で調べたときに出てくるのはこのプルーバーの話です。ただし2025年7月21日公開のsnarkOS v4.0.0で、プルーバー側にもステーキング要件が導入されました。GPUを用意すれば誰でもすぐ参加できる、という初期の前提は既に変わっています。必要なステーク量と適用条件はリリースごとに変わるため、参加を検討するならGitHubのProvableHQ/snarkOSで、自分が動かすバージョンのリリースノートを読んでから機材を用意してください。

基本報酬の算出:ブロック間隔への連動

バリデーターの取り分は、ブロック報酬とパズル報酬の3分の1、それに取引手数料を足したものです。このブロック報酬の算出式は、2024年12月9日にブロック高2,800,000から有効化されたARC-0042で変更されました。

変更の目的は、発行量を実際のブロック生成ペースから切り離すことでした。AleoBFTはブロック間隔を一定に保証しません。ところが旧アルゴリズムは間隔を10秒固定と仮定して報酬を出していたため、間隔が短くなるほど発行が増えてしまいました。ARC-0042の提案文書は、ブロック間隔が年間ずっと3秒だった場合、ベースブロック報酬による実効インフレ率は目標の5パーセントではなく16.67パーセントになる、と具体的に指摘しています。

そこで、前ブロックからの経過秒数に比例させる式へ改められました。以下はARC-0042が提案時に示した参考コードです。実装にあたって精緻化されたうえでsnarkVMへ取り込まれているため、現行の実装は引数や分岐が異なります(現在は旧算出と新算出を切り替える構造になっています)。考え方を読むための引用として見てください。

/// R_staking = floor((0.05 * S) * min(I, 60) / S_Y) + CR / 3 + TX_F
///     S   = 総供給量
///     I   = 前ブロックからの経過秒数
///     S_Y = 1年の秒数 (31536000)
///     CR  = パズル報酬 (coinbase reward)
///     TX_F = 取引手数料
pub fn block_reward(
    total_supply: u64,
    secs_since_last_block: i64,
    coinbase_reward: u64,
    transaction_fees: u64,
) -> u64 {
    let annual_reward = total_supply / 20;
    let block_reward = annual_reward * secs_since_last_block.min(60) as u64 / 31536000;
    block_reward + (coinbase_reward / 3) + transaction_fees
}

min(I, 60)で経過秒数を60秒に頭打ちにしているのは、ネットワークが停止して間隔が異常に開いたときに報酬が跳ね上がるのを防ぐためです。バリデーターのステーキング利回りは、ネットワークの実際の稼働に連動します。ローンチ時に公表された排出計画を固定の数字として読むと、実際の利回りとずれる点に注意してください。

なお決済大手のWorldpayが、バリデーターとしてネットワークに参加しています。Aleo公式の発表によれば、バリデーターノードの運用によって新しいブロックチェーン技術へ早期にアクセスし、加盟店向けのステーブルコイン入出金や即時決済を検証する狙いがあるとされています。決済事業者がノードを持つのは、単なる提携よりも踏み込んだ関与です。

Leo 4.0の構文刷新:transitionの廃止とfnへの統一

Aleo向けのプログラムはLeoという専用言語で書きます。Rustに似た構文を持ち、コンパイル結果はAleoインストラクション(.aleo)になります。

ここが最も注意すべき点です。2026年3月31日公開のLeo 4.0で言語モデルが刷新され、関数宣言のキーワードがすべてfnに統一されました。Provableのリリースノートは「The old transition, function, inline, and async transition keywords are gone」と明記しています。したがって、transition・function・inline・async transitionのいずれかを含むコード、Future型やf.await()を使うコードは、4.0以降のコンパイラでは通りません。3.x系向けに書かれた記事のサンプルを写す場合は、この5点を先に変換してください。

Leo 3.5から4.0への対応

Leo 3.5 Leo 4.0以降
transition foo() program {} の中の fn foo()
async transition foo() -> Future program {} の中の fn foo() -> Final
function foo() program {} の外の fn foo()
inline foo() program {} の外の fn foo()
async function foo() final { … } ブロック
async { … } final { … }
f.await() f.run()
Future Final

program {} の内側に置く関数がエントリ関数で、プログラムの公開インターフェースになります。外側に置くのはヘルパー関数で、レコードを生成できません。オンチェーンで実行したい処理はfinal { } ブロックに入れ、この中身がネットワーク上で原子的に走ります。従来のfinalizeが担っていた役割が、ブロック構文へ移ったと考えると対応が付きます。

レコードと非公開送金の実コード

Leoリポジトリ(leo-lang v4.4.4時点の .circleci/token/src/main.leo)から、recordの宣言と送金関数2本を抜き出したものです。原文にあるmint系の関数、transfer_private_to_public、transfer_public_to_private、および各関数のコメントは省いています。継続的インテグレーションで実際にコンパイルされているコードなので、4.x系の書き方をそのまま確認できます。

program token.aleo {
    @noupgrade
    constructor() {}

    mapping account: address => u64;

    record token {
        owner: address,
        amount: u64,
    }

    fn transfer_private(sender: token, receiver: address, amount: u64) -> (token, token) {
        let difference: u64 = sender.amount - amount;
        let remaining: token = token { owner: sender.owner, amount: difference };
        let transferred: token = token { owner: receiver, amount: amount };
        return (remaining, transferred);
    }

    fn transfer_public(public receiver: address, public amount: u64) -> Final {
        return final { finalize_transfer_public(std::ctx::caller(), receiver, amount); };
    }
}

final fn finalize_transfer_public(public sender: address, public receiver: address, public amount: u64) {
    let sender_amount: u64 = Mapping::get_or_use(account, sender, 0u64);
    Mapping::set(account, sender, sender_amount - amount);
    let receiver_amount: u64 = Mapping::get_or_use(account, receiver, 0u64);
    Mapping::set(account, receiver, receiver_amount + amount);
}

transfer_privateは送信元のレコードを引数に取り、釣り銭と送金分の2つのレコードを返します。公開状態を触らないため戻り値にFinalが現れず、証明が受理された時点で移転が確定します。対してtransfer_publicは公開マッピングを書き換えるので、final { } を返し、その中身がネットワーク側で実行されて初めて残高が動きます。秘匿するかどうかが、型と構文のレベルで分かれているのがLeoの設計です。なお残高不足の減算は、コンパイル時ではなく実行時に検出されます。公式のコメントが述べるとおり、入力が不足していればその実行の証明生成が失敗する形で弾かれます。

Leo 4.1の追加機能:view fnと開発ツール

2026年5月29日公開のLeo 4.1.0では、トランザクションを発生させずにオンチェーンの状態を読むだけのview fnが追加されました。残高照会のような読み取り専用の用途で、手数料を払わずに済みます。

program token.aleo {
    mapping balances: address => u64;

    view fn get_balance(user: address) -> u64 {
        return balances.get_or_use(user, 0u64);
    }
}

4.1.0ではこのほか、複数パッケージを束ねるワークスペースと、go-to-definitionや参照検索に対応する言語サーバー(leo-lsp)が入りました。プログラムが満たすべき関数・レコード・マッピングを宣言するインターフェースは、ひとつ前の4.0で導入されたものです。view fnはコンセンサスV15(snarkVM 4.7系)が前提になる点だけ注意してください。Rust側の対応バージョンは1.96.0です。

Leoの導入と主要CLIコマンド

Leo本体、フォーマッター、言語サーバーはCargoから入ります。Rustのツールチェーンが前提になるため、環境構築から確認したい場合はRust入門|環境構築から所有権・基本文法、受託開発での採用判断までを参照してください。

cargo install leo-lang leo-fmt leo-lsp

# プロジェクトの作成と移動
leo new my_program
cd my_program

# Aleoインストラクションへのコンパイル
leo build

# ローカル実行(FUNCTION_NAME と INPUTS は実際の関数名と入力値に置き換える)
leo run FUNCTION_NAME INPUTS

# 証明を伴う実行
leo execute FUNCTION_NAME INPUTS

# テストの実行とネットワークへのデプロイ
leo test
leo deploy

このほかquery、update、upgrade、clean、synthesizeがあります。runとexecuteの違いが要点で、runは証明を生成せずプログラムのロジックと出力を確かめる開発時の実行です。executeは証明を生成し、ネットワークへ送って受理されたときに、公開状態を更新するfinal処理までが実行されます。

ALEOトークンの供給と手数料設計

ジェネシス供給15億枚と50億枚のハードキャップ

ALEOクレジットのジェネシス供給は約15億枚です。以降の発行はブロック報酬とパズル報酬の2経路だけで、ここに2025年11月26日起案のARC-0047が上限を入れました。総供給を50億枚でハードキャップし、ブロック高263,527,685に達した時点でブロック報酬もパズル報酬もゼロにする、という内容です。提案は可決されて最終状態になっています。

発行の内訳は2種類で性質が違います。ブロック報酬はジェネシス供給に対しておよそ年5パーセント、年間約7,500万ALEOにあたる水準です。パズル報酬は証明活動に連動し、排出率が下がって9年目から横ばいになります。ARC-0047はこの2つを供給試算のために平均値で置いており、ブロック報酬が毎ブロック平均7.1クレジット、パズル報酬がジェネシス時点で平均20.5クレジット、9年目以降は平均2.3クレジットです。これらは試算上の平均であって、各ブロックで固定される額ではありません。実際のブロック報酬は前述のとおり経過秒数に連動します。

時点 ブロック高 ブロック報酬(平均毎ブロック) パズル報酬(平均毎ブロック) 総供給の上限
ジェネシス 0 7.1 20.5 15億
1年目 1,050万 7.1 19.4 18.48億
5年目 5,260万 7.1 10.3 28.20億
9年目 9,460万 7.1 2.3 34.08億
10年目 1億510万 7.1 2.3 35.07億
上限到達 2億6,352万7,685 0 0 50億

表の総供給は理論上の上限です。パズル報酬は実際の証明活動に連動して変動し、活動量は理論最大を一貫して下回るため、ARC-0047の文書も実際の供給は上限に届かないまま停止する見込みだと述べています。50億枚という数字を実際の発行予定量として読むと、過大に見積もることになります。

なお、ローンチ時点の配布内訳は、初期出資者34パーセント、助成金・エコシステム貢献者・教育向け25パーセント、従業員および貢献者17パーセント、Aleo FoundationとProvableで16パーセント、戦略的パートナー8パーセントと公表されています。

base feeの90パーセント削減と優先手数料

手数料の考え方は2025年9月に大きく変わりました。Aleo Stack v4.2.0(snarkOS v4.2.0のGitHubリリースは2025年9月9日)で、ベース手数料が約90パーセント引き下げられ、同時に優先手数料が導入されています。ユーザーがmempoolでの優先度を入札できる、いわゆる手数料市場です。

対象 改定前 改定後 削減率
credits.aleo transfer_public実行 34,060マイクロクレジット 2,725マイクロクレジット 91.9パーセント
credits.aleoのデプロイ 134,619,400マイクロクレジット 115,123,243マイクロクレジット 14.4パーセント
grant_disbursement_arcane.aleoのデプロイ 13,805,525マイクロクレジット 8,953,181マイクロクレジット 35.1パーセント

実行系の手数料が桁で下がる一方、デプロイ費用の下げ幅は限定的です。プログラムを頻繁に呼ぶアプリケーションには効きますが、コントラクトを大量に配布する用途では初期費用が依然として重い、という配分になっています。手数料の見積もりを旧来の記事の数字で立てると、実際とかけ離れます。

2026年のAleo:プライベートステーブルコインへの軸足移動

ここが、2025年までの解説と現在で最も食い違う部分です。当時語られていたのは、プライバシー保護型DEX、匿名SNS、秘匿ゲームといった構想段階の用途でした。2026年のAleo公式サイトが前面に出しているのは、そのどれでもなく、稼働済みのサービスとしての暗号化ステーブルコイン決済です。

USADとUSDCx:裏付け資産と提供状況

USADはPaxos Labsが発行するドル建てステーブルコインで、Global Dollar Networkの準備通貨であるUSDGに1対1で裏付けられています。そのUSDGの発行体はPaxos Digital Singapore Pte. Ltd.(シンガポール金融管理局の監督下にあるMajor Payments Institution)で、USADの発行体とは別の法人です。残高と取引内容を秘匿したままドルを動かせる点が売りで、公式サイトはメインネットで稼働中(Live)と表示しています。スマートコントラクト機能と秘匿性を併せ持つレイヤー1上で発行された初のドル建てステーブルコイン、というのがAleo側の説明です。イーサリアム上のUSDGへ随時償還でき、そこからPaxosの通常の償還手続でドルに戻す経路が用意されています。

もう1系統がUSDCxです。2025年12月8日の発表時点ではテストネット稼働でしたが、公式サイトは現在「Available on Mainnet now」と表示しています。Circleのインフラサービス「Circle xReserve」を使ってAleo上にデプロイされたUSDC裏付けのステーブルコインで、第三者のブリッジを介さずに対応チェーン上のUSDCへ移せます。

秘匿給与という具体的なユースケース

抽象的な可能性ではなく、実際に動いている事例として挙がるのがTokuの給与支払いです。2026年1月29日にAleo・Toku・Paxos Labsが共同発表し、Toku自身の説明によれば同年1月に、Aleo上で完全に秘匿されたステーブルコイン給与をUSAD建てで稼働させています。Aleoのゼロ知識暗号によって給与額と対象者の身元を公開台帳に載せず、その一方で雇用主は税務と監査のための記録を完全に保持する、という構成です。

この用途がAleoに向いているのには理由があります。給与は「支払った事実を税務と監査に対して証明できること」と「金額と対象者を他者に見せないこと」が同時に要る業務の典型です。公開台帳では全社員の給与が互いに見えてしまうため、パブリックチェーンでの給与支払いはこれまで採用が進みませんでした。同じ要件は企業間の支払いや仕入条件の決済にも当てはまります。証明書や資格の提示にゼロ知識証明を使う発想はzkLoginとは何か:OAuth認証とゼロ知識証明を組み合わせた新認証技術の全貌と将来性を徹底解説でも扱っており、考え方は共通です。

Aleoを採用すべきでない場面

次の3つのいずれかに当てはまるなら、Aleoは選択肢から外して構いません。

第一に、秘匿が要件になっていない場合です。Aleoの設計はすべて秘匿のために払うコストの上に成り立っています。証明生成の負荷、専用言語の学習、エコシステムの薄さを引き受ける見返りが秘匿だけなので、公開台帳で困らない用途ではEthereum系を使ったほうが、ツールも人材も文献も揃います。

第二に、既存のSolidity資産を移したい場合です。AleoはEVM互換ではありません。Leoで書き直すことになり、しかもその言語自体が2026年3月に破壊的変更を経ています。移植の見積もりは、言語仕様がまだ動いている前提で立てる必要があります。

第三に、日本国内の一般利用者にALEOトークンでの支払いを求める設計です。利用者に入手経路を負わせる前提は、国内の取扱状況に左右されます。設計の前に、日本暗号資産等取引業協会が公開する取扱暗号資産の一覧で、その時点で国内の交換業者が扱っているかを必ず確認してください。

逆に検討に値するのは、取引金額や取引相手を秘匿したまま監査には応じる必要がある決済、企業間の支払い、給与のように、秘匿と検証可能性が同時に要件化されている領域です。2026年のAleo自身が、そこへ資源を寄せています。試作で確かめる項目は4つに絞れます。ひとつ、想定する取引量でexecuteの証明生成にどれだけ時間がかかるか。ふたつ、その手数料がbase feeとpriority feeの合計でいくらになるか。みっつ、監査担当者へビューキーで開示する運用が社内の統制要件を満たすか。よっつ、ネットワークのアップグレード時に自社ノードとプログラムの改修がどの程度発生するか。この4点は、技術資料を読むだけでは判断できません。

よくある質問

Aleoの読み方は何ですか?

日本語では「アレオ」と読みます。検索では陸上競技場やサッカー選手の名称など無関係な「アレオ」も混ざるため、ブロックチェーンの話題を探す場合は「Aleo ブロックチェーン」「Aleo 仮想通貨」のように語を足すと絞り込めます。

Aleoのメインネットはいつ稼働しましたか?

2024年9月18日に公式ブログで稼働が発表されました。トークノミクスの解説はその2日前の9月16日に公開されています。開発を担うのはProvable、ネットワークのガバナンスと開発者支援はAleo Network Foundation(2023年12月20日発足、ワイオミング州の501(c)(4)非営利法人)が担当する体制です。

Aleoのマイニングは今から参加できますか?

プルーバーとしての参加は可能ですが、2025年7月21日公開のsnarkOS v4.0.0でプルーバーにステーキング要件が入りました。GPUだけで始められた初期とは条件が異なるため、現行リリースのノート(GitHubのProvableHQ/snarkOS)で要件を確認してから判断してください。

Leoの古いサンプルコードが動かないのはなぜですか?

Leo 4.0(2026年3月31日公開)でtransition・function・inline・async transitionのキーワードが廃止され、すべてfnに統一されたためです。Futureという型名もFinalに変わりました。3.x系を前提にした記事やチュートリアルのコードは、本記事の対応表にしたがって書き換えてください。

Aleoのトランザクションは本当に何も見えないのですか?

使う関数によります。transfer_privateはレコード間の移転で送信者・受信者・金額が秘匿されますが、transfer_publicは公開マッピングを更新するため通常のチェーンと同じく可視です。private_to_publicのような橋渡しの関数は片側だけが露出します。何が見えるかは、呼び出す関数の選択で決まります。

関連記事

※本記事のバージョン情報は2026年9月18日時点でGitHub(ProvableHQ/snarkOS・snarkVM・leo)のリリース情報を確認したものです。Aleoは更新頻度が高いため、実装時は各リポジトリの最新リリースを参照してください。

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