ペンギンアップデートは、Googleが2012年4月に導入したリンクスパム対策のアルゴリズムです。2016年9月の4.0でコアランキングシステムに組み込まれ、Googleの現行ドキュメントでは「廃止されたシステム」として記録目的で残されています。本記事では、アルゴリズム自体が更新された2.0(2013年5月22日)の変更点を中心に、1.0から4.0までの履歴と、ペンギンが単独で動かなくなった現在、被リンクが原因の順位下落にどう対処するかを一次情報で整理します。
まとめ:ペンギンアップデートの要点
- ペンギンは「リンクスパム対策のために設計されたシステム」(Googleのランキングシステムガイド)。2012年4月24日に発表され、英語クエリの約3.1%に影響した
- 2.0(2013年5月22日)はデータ更新ではなくアルゴリズムの更新で、English-USクエリの約2.3%に影響。Matt Cuttsは1.0より「より深く」効くと説明した
- 「2.0でページ単位の評価になった」という説明は誤り。サイト全体ではなくスパムのシグナルに応じた調整へ変わったのは4.0(2016年9月23日)
- 4.0でリアルタイム化し、Googleは以後のペンギンの更新を告知しなくなった。現在はコアランキングシステムとスパム検出システムが同じ役割を担う
- リンクの否認ツールは「ほとんどのサイトでは使う必要がない」。不自然なリンクの手動による対策を受けている(または受けそうな)場合に限って使う
以下、定義、実施履歴、2.0と4.0の変更点、現在の対処の順に見ていきます。
ペンギンアップデートの定義とGoogle公式の現在の扱い
2012年4月24日の発表内容と影響率3.1%
最初のペンギンは、Google検索セントラル ブログの2012年4月24日付の記事「Another step to reward high-quality sites」(日本語版は翌25日「良質なサイトをより高く評価するために」)で予告されました。この記事に「ペンギン」という名前は出てきません。Googleはウェブスパムを狙ったアルゴリズムの変更と説明し、Googleの品質に関するガイドライン(当時)に違反していると判断したサイトの順位を下げるとしていました。
影響範囲は、英語クエリの約3.1%が「一般ユーザーが気づく程度」に変わるというものです。ドイツ語・中国語・アラビア語では約3%で、ウェブスパムの多い言語ほど影響が大きいと書かれています。同じ記事は、影響を受けるサイトの例として、キーワードを詰め込んだページと、本文と無関係な発リンクを含む書き換え文章のページの2つを挙げています。導入時点では、リンク以外の詰め込みも例示されていたわけです。
ランキングシステムガイドの「廃止されたシステム」とパンダとの違い
現行の「Google のランキング システムに関するガイド」(日本語版の最終更新日は2025-12-18 UTC)は、Penguinを「廃止されたシステム」の節に置いています。説明は「リンクスパム対策のために設計されたシステム」で、2012年に発表されて「Penguin Update」というニックネームが付き、2016年にコアランキングシステムに組み込まれた、という3点だけです。節の冒頭には、後継のシステムに組み込まれたか、コアランキングシステムの一部になったため記録目的で掲載している、と書かれています。
同じ節に並ぶPandaは「高品質で独自性の高いコンテンツが検索結果に確実に表示されるように設計されたシステム」で、2011年発表、2015年にコアの一部になりました。担当は、ペンギンがリンク、パンダがコンテンツの質です。キーワードの乱用やコピーコンテンツの取り締まりをペンギンの役割として説明する記事がありますが、現行のガイドとは合いません。キーワードの乱用は、いまは「スパム検出システム」が扱うスパムポリシー違反の1項目です。
ペンギンアップデート1.0〜4.0の実施履歴
2016年の4.0まで、ペンギンは定期的にデータを入れ替える方式で動いていました。影響を受けたサイトは、リンクを整理しても次の更新が来るまで順位が戻りませんでした。Googleやその担当者が公表した実施日と影響率は次のとおりです(日付は米国時間)。1.0・2.0・4.0は公式ブログとMatt Cuttsのブログ、1.1・1.2・2.1はCuttsのX(旧Twitter)投稿、3.0はGoogleのPierre FarのGoogle+投稿が出典で、後者2つはSearch Engine Landが当時の記事に逐語で転載しています。
| 通称 | 実施日 | 影響率(公表値) | 種類 |
|---|---|---|---|
| 1.0 | 2012-04-24 | 英語クエリ 約3.1% | 新アルゴリズム |
| 1.1 | 2012-05-25 | 英語検索 0.1%未満 | データ更新 |
| 1.2 | 2012-10-05 | 英語クエリ 約0.3% | データ更新 |
| 2.0 | 2013-05-22 | English-US 約2.3% | アルゴリズム更新 |
| 2.1 | 2013-10-04 | 検索全体 約1% | 非公表 |
| 3.0 | 2014-10-17 | 英語クエリ 1%未満 | データ更新 |
| 4.0 | 2016-09-23 | 非公表 | コア統合・リアルタイム化 |
当時の英語圏の記事を読むときは、番号の数え方に注意が必要です。Search Engine Landはリリース順に通し番号を振っていたため、2013年5月の更新を「Penguin 4」と呼びました。Googleの社内呼称ではこれが「Penguin 2.0」です。2016年の「Penguin 4.0」とは別物なので、2013年の英語記事で「Penguin 4」とあれば2.0のことだと読み替えてください。
ペンギン2.0(2013年5月22日)の変更点
Matt Cuttsの発表:データ更新ではない「次世代」のペンギン
2.0は、当時Googleのウェブスパム対策チームを率いていたMatt Cuttsが、2013年5月22日の個人ブログ「Penguin 2.0 rolled out today」で発表しました。要点は次の4つです。
- ペンギンの次世代アルゴリズムを同日午後にロールアウトし、完了した
- English-USクエリの約2.3%が、一般ユーザーが気づく程度に影響を受ける
- 他の言語でもロールアウトは完了しており、影響範囲は言語ごとに異なる(ウェブスパムが多い言語ほど影響が大きい)
- ペンギン関連のリリースとしては4回目だが、データの更新ではなくアルゴリズムの更新なので、社内で「Penguin 2.0」と呼んでいる
1.1と1.2は、同じアルゴリズムで対象サイトのリストを入れ替えただけでした。2.0は判定の仕組みそのものを入れ替えています。影響率も1.1(0.1%未満)や1.2(約0.3%)から2.3%へ跳ね上がりました。Cuttsは発表の直前に公開した動画で、2.0は1.0より「包括的」で「より深く」効き、影響も大きくなると予告していました。
「より深く」の意味と、ページ単位になったという誤解
2.0について「ページ単位でスパムを評価するようになった」「問題のあるページだけが順位を落とし、他のページは守られるようになった」と説明する記事があります。この記事の旧版もそう書いていましたが、2.0の公表内容にそうした記述はありません。
「より深く」の解釈は、発表直後から混乱していました。Search Engine Roundtableは2013年5月24日の記事で、「1.0はトップページだけに影響した」という受け取り方を「まったくの誤り」と退けています。1.0で打撃を受けたサイトはトップページだけでなくサイト全体の順位を落としていたからです。同記事は、混乱の元はCuttsが番組「This Week in Google」で「1.0はサイトのトップページを見ていた」と話したことだとし、これはトップページへのリンクだけを分析していたという意味だろうと解釈しています。これは同記事の解釈で、Googleが降格の単位について説明したものではありません。少なくとも、2.0で「問題のページだけが降格するようになった」と読める公式の説明は見当たりません。
影響の範囲がサイト全体からスパムのシグナルに応じた調整へ変わったとGoogleが明言したのは、3年後の4.0です。発表文で確認できるのは、データ更新ではなくアルゴリズム自体の更新であり、English-USクエリの約2.3%に影響したことです。
ペンギン4.0(2016年9月23日)のコア統合と2つの変更
リアルタイム化:再クロール後に反映、更新の告知は終了
4.0は、Googleのゲイリー・イリーズが2016年9月23日に検索セントラル ブログで発表しました。全言語が対象です。それまでペンギンの影響を受けるサイトのリストは定期的に一斉更新されていました。4.0からはデータがリアルタイムで更新され、変更は通常、Googleがページを再クロールしてインデックスに再登録した直後に反映されます。同じ記事でGoogleは、今後の更新についてコメントしないとも書いています。2016年以降に「ペンギン5.0」が告知されていないのはこのためで、ペンギンが止まったわけではありません。
ペンギン4.0の評価範囲とスパムシグナルに応じた調整
もう1つの変更は粒度です。英語原文は Penguin now devalues spam by adjusting ranking based on spam signals, rather than affecting ranking of the whole site. で、日本語版は「サイト全体のランキングを下げるのではなく、スパムのシグナルに基づいてランキングを調整する」と訳しています。2.0の説明として流通している「ページ単位になった」という変化は、この4.0の説明に近いものです。ただしGoogleは、評価の単位が個別のページになったとまでは書いていません。
この「devalues spam」は、スパムリンクの効果を打ち消すという意味で広く理解されています。ただしGoogleの記事は、リンクを「無視する」とまでは書いていません。現在の公式文書で言い切れるのは、スパムアップデートのドキュメントにある次の記述です。リンクスパムアップデートでスパムリンクの影響が取り除かれると、そのリンクが生んでいた順位への効果もなくなり、「サイトを改善しても回復することはありません」。
ペンギンの対象だったリンクスパムの現行定義
ペンギンが狙ったリンクの操作は、現行の「Google 検索のスパムに関するポリシー」(日本語版の最終更新日は2026-09-02 UTC)の「リンクスパム」に引き継がれています。定義は、検索ランキングを操作することを主な目的として、サイトへのリンクやサイトからのリンクを作成する行為です。例として挙がっている主なものは次のとおりです。
- ランキングを上げるためのリンクの売買(金銭・物品・サービスとの交換、商品提供と引き換えのリンク)
- 過剰な相互リンクや、相互リンクのためだけのパートナーページ
- 自動化されたプログラムやサービスによるリンクの作成
- 他サイトに配布される記事・ゲスト投稿・プレスリリースに入れた作為的なアンカーテキストのリンク
- 質の低いディレクトリやブックマークサイトのリンク、フッターやテンプレートに埋め込んで配布するリンク
- フォーラムのコメントや署名に入れた作為的なリンク
広告やスポンサーとしてのリンクは、rel="nofollow" か rel="sponsored" を付けていれば違反になりません。有料リンクにnofollowを付けて検索の評価から切り離す扱いは、Googleが2007年12月の公式ブログで案内しており、2019年9月からはsponsoredも使えます。これは検索のポリシー上の扱いで、広告表記などの法的な要件は別に確認が必要です。属性の書き分けはnofollowとnoindex・noopenerの違いを整理した記事にまとめています。
被リンクが原因の順位下落への現在の対処
手動による対策「サイトへの不自然なリンク」の確認と再審査
アルゴリズムとしてのペンギンは通知を出しません。被リンクで通知が来るのは、人の審査による「手動による対策」です。Search Consoleの手動による対策レポートに「サイトへの不自然なリンク」が出ていれば、リンクの購入やリンクプログラムへの参加が検出されたということです。対策はサイトの一部だけに及ぶこともあれば、サイト全体に及ぶこともあります。
対処の順番は、問題のリンクを削除してもらうのが先で、削除できない分だけ否認します。そのうえで再審査リクエストを送ります。Googleのヘルプによれば、再審査は多くの場合「数日から数週間」かかり、リンク関連のリクエストは通常より長くかかることがあります。再審査の書き方は再審査リクエストの記載例と手動による対策の解除手順を参照してください。
リンクの否認ツールを使う条件と仕様
Search Consoleヘルプの「サイトへのリンクを否認する」は、否認の前に「手順0:必要性を判断する」を置いています。Googleは多くの場合、追加情報がなくても信頼できるリンクを判断できるので、「ほとんどのサイトではこのツールを使う必要はありません」。否認が必要なのは、スパム的・人為的・低品質なリンクが多数あり、かつそれが手動による対策の原因になっている(またはなりそうな)場合だけです。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| ファイル形式 | UTF-8か7ビットASCIIの .txt |
| 書き方 | 1行に1つのURL、ドメインは domain: を前に付ける |
| 上限 | 10万行・2MB、URLは2,048文字まで |
| 対象プロパティ | ドメインプロパティは非対応 |
| 反映まで | 再クロール後のため数週間かかることがある |
新しいリストをアップロードすると、そのプロパティの既存のリストは置き換えられます。追記のつもりで差分だけを上げると、前回までの否認が消えます。
心当たりのない被リンクと否認を避ける判断基準
心当たりのない海外サイトや自動生成サイトからのリンクが並んでいるのを見ただけで、否認ファイルを作るのはやめてください。同じヘルプには、Googleは第三者サイトでの行為がウェブサイトに悪影響を及ぼすことがないよう取り組んでいる、とあります。英語版のヘルプは、否認を慎重に使うべき上級者向けの機能とし、誤って使うとGoogle検索でのサイトのパフォーマンスを損なうおそれがあると注意しています。
否認を検討するのは、不自然なリンクが多数あり、それが手動による対策の原因になっているか、その可能性が高い場合です。その場合も、まずリンク元に削除を依頼し、削除できなかったリンクだけを否認します。被リンクの状態を棚卸しする方法はSEO外部対策・被リンクの解説記事で扱っています。
順位下落をペンギンのせいにしない切り分け手順
順位が下がっても、被リンクが原因とは限りません。しかもペンギンは2016年から単独では動いておらず、更新日も公表されません。原因を「ペンギン」と決めつけると、関係のない被リンクを否認するなど、打ち手を誤ります。次の順で切り分けてください。
- Search Consoleの手動による対策レポートを開く。「サイトへの不自然なリンク」があれば、前の章の手順でリンクを整理して再審査を申請する
- 手動による対策がなければ、Google 検索ステータス ダッシュボードで下落時期と重なるコアアップデートやスパムアップデートを確かめる(掲載は2021年11月以降)
- リンクスパムアップデートと重なり、過去にリンク購入の記録があるなら、失った効果は戻らない前提で、コンテンツと自然な被リンクで積み直す
- どれにも当てはまらなければ、クロール・インデックス登録の問題やサイト変更、コンテンツ、検索需要・検索意図の変化を順に確認する
3番目に当てはまったら、否認や再審査で元の順位を取り戻すことは狙わないでください。公式ドキュメントのとおり、スパムリンクが生んでいた効果は改善しても回復しません。アップデートの種類ごとの特徴はスパムアップデートの定義と実施履歴とGoogleコアアップデートの動向と履歴にまとめています。スパム検出の中核にあるAIシステムについてはSpamBrainの歴史と進化を参照してください。
よくある質問
ペンギンアップデートとは簡単に言うと何ですか?
Googleが2012年4月に導入した、リンクスパム対策のためのアルゴリズムです。購入したリンクや相互リンク集など、順位を上げるために人為的に作ったリンクに頼るサイトの順位を下げました。2016年の4.0でコアランキングシステムに組み込まれ、現在のランキングシステムガイドでは「廃止されたシステム」として記録目的で掲載されています。
ペンギンアップデートは今も実施されていますか?
単独のアップデートとしては実施されていません。2016年9月23日の4.0でリアルタイム化してコアランキングシステムに組み込まれ、Googleはその後の更新にコメントしないと表明しました。いまリンクの操作に対処しているのは、コアランキングシステムとSpamBrainなどのスパム検出システムで、リンクスパムに特化したスパムアップデートも実施されています。
2016年のペンギンアップデート4.0で何が変わりましたか?
変更点は2つです。1つは、データが定期更新からリアルタイム更新になり、変更が通常、再クロールとインデックス再登録後に従来より早く反映されるようになったこと。もう1つは、サイト全体の順位を下げるのではなく、スパムのシグナルに基づいてランキングを調整するようになったことです。後者は2.0ではなく4.0で公表された変更です。ただしGoogleは、評価の単位が個別のページになったとまでは説明していません。
パンダアップデートとペンギンアップデートの違いは何ですか?
対象が違います。パンダ(2011年発表、2015年にコアの一部)はコンテンツの質を見るシステムで、ペンギン(2012年発表、2016年にコアに統合)はリンクスパム対策のシステムです。どちらもGoogleのランキングシステムガイドで「廃止されたシステム」に入っており、役割はコアランキングシステムに引き継がれています。
不自然な被リンクは外したほうがよいですか?
ランキング操作を目的に作成・購入したリンクは、リンク元に削除を依頼します。削除できなかった分の否認は、Googleのヘルプが示す条件、つまり不自然なリンクが多数あり、それが手動による対策の原因になっている(またはなりそうな)場合に限って検討します。心当たりのないリンクだけなら、基本的に何もしなくて構いません。