ロングテールキーワードとは、1つあたりの検索回数は少ないものの、種類が膨大にあるキーワードのことです。「3語以上の長いキーワード」と説明されることが多いのですが、決め手は語数ではなく検索数の少なさです。この記事では、ビッグ・ミドル・スモール(テールワード)の区分、ロングテールが検索全体に占める大きさ、Search Consoleを使った探し方、そして見落とされがちな「専用ページを作るべきロングテールと、作ってはいけないロングテール」の見分け方を、Googleの公式ドキュメントとAhrefsの公開データをもとに整理します。
まとめ:ロングテールキーワードの要点
- ロングテールかどうかは語数ではなく検索数で決まる。1語でも検索が少なければロングテールで、5語以上でも検索が多いキーワードはある(Ahrefs)
- ビッグ・ミドル・スモールの境目に公式の定義はない。「ビッグワード=月1万回以上」は目安にすぎない
- Googleは2017年に「毎日見る検索の15%は新しい検索」と公表している。どのツールの一覧にも載らない検索が毎日生まれ続けている
- ロングテールには、上位語の言い換えにすぎない「支援型」と、独立した答えを求める「トピック型」がある(Ahrefsは、ChatGPTなどのAIに入力される長い質問文を「会話型」として加え、3種類に分類)。独立した検索意図には専用ページを検討し、同じ答えを求める言い換えは原則として同じページで扱う
- 既存サイトで表示実績のある語を探すには、Search Consoleの実クエリが出発点になる。ただし匿名化クエリと行の切り捨てで、テールの一部は画面に出てこない
- 「SEOのキーワードは意味ない」が当てはまるのはkeywordsメタタグと詰め込みだけで、どの問いに答えるページかを決める作業は今も必要
ロングテールキーワードの定義とテールワードの区分
「ロングテール」という名前の由来
ロングテールは、Wired誌の編集長だったクリス・アンダーソンが2004年10月号で広めた言葉です。売上を商品順に並べたグラフで、売れ筋(ヘッド)の右側に、少しずつしか売れない商品が長い尾(テール)のように続く形を指していました。検索キーワードでも同じ形が現れます。検索回数の多い一握りの語がヘッドで、その右に、それぞれは少ししか検索されない語が膨大に連なります。その尾の部分にあたる語がロングテールキーワードです。経済現象としてのロングテールと、成立条件をめぐる論争はロングテール戦略の定義とパレートの法則との違いで詳しく扱っています。
ビッグ・ミドル・スモール(テールワード)の区分
国内では、検索回数の多い順にビッグワード(ビッグキーワード)、ミドルワード、スモールワードと呼び分けます。スモールワードの中でも特に検索の少ない語を、ロングテールキーワードやテールワードと呼びます。
| 区分 | 検索回数 | 語の傾向 | 例 |
|---|---|---|---|
| ビッグワード | 多い | 1語・抽象的 | SEO |
| ミドルワード | 中間 | 2語前後 | SEO キーワード |
| スモールワード(テールワード) | 少ない | 具体的・用途が明確 | SEO キーワード 選び方 BtoB |
境目の数値に公式の定義はありません。LINEヤフーのマーケティング解説「ビッグワードとは?」はビッグワードの月間検索回数を「一般的に1万回以上」としつつ、「厳密な定義はないため、あくまで目安」と書いています。Ahrefsの解説記事「Long-tail Keywords」も、ロングテールと呼ぶための検索回数のしきい値は存在せず、比べる相手のヘッドキーワード次第だと説明しています。月100回の語でも、ヘッドが月数百回しかない業界ではミドルにあたります。区分は自社の市場の中で相対的に決めるものです。
語数ではなく検索数で決まる理由
「ロングテール=3語以上の長いキーワード」という説明は広く出回っていますが、正確ではありません。Ahrefsは、キーワードを語数で定義するのは「大きな間違い(a big mistake)」だとし、月100回未満しか検索されない1語のキーワードも、月数十万回検索される5語以上のキーワードもあると書いています。そのうえで、ロングテールかどうかを決めるのは長さではなく検索ボリュームだと結論づけています。
日本語では、この区別がさらに大事になります。「東京駅周辺のランチ」のように、日本語の検索は語と語の間に空白を入れないことが多く、語数で数えること自体が安定しません。語数は目安にとどめ、判断は検索回数で行ってください。
ロングテールが検索全体に占める大きさ
ロングテールの規模を見る際は、キーワードの種類数と、それらが検索された回数を区別する必要があります。Ahrefsの米国キーワードデータベースでは、月10万回を超えて検索されるキーワードは1万8,000語弱しかありません。一方、月10回未満のキーワードは23億語あり、データベースの約93%を占めます。これはキーワードの種類数で見た割合で、検索回数の合計に占める割合ではありません。
Google自身も、テールが尽きないことを公表しています。2017年4月25日のGoogle公式ブログの検索品質の改善に関する記事で、エンジニアリング担当VPのベン・ゴメスは「毎日見る検索のうち15%は新しい検索」と書きました。それまで誰も入力したことのない、どのツールのキーワード一覧にも載っていない検索が、毎日一定の割合で流れ込んでいるということです。
ここから言えるのは、ツールに表示される検索ボリュームだけでロングテールの価値を測ると、需要を過小に見積もるということです。ボリューム0〜100の語をあえて狙う手法については山奥SEOの定義と企業サイトでの使いどころで扱っています。
ロングテールキーワードを狙うメリットと限界
目的や条件が具体的なロングテールキーワードでは、検索した人が何を知りたいのかを絞り込みやすくなります。「SEO」だけでは、意味を知りたいのか、業者を探しているのか、独学したいのかが分かりません。「SEO 外注 費用 相場」なら、予算を見積もりたい人だと読めます。答えるべき内容が絞れるので、ページの中身を検索意図に合わせやすくなります。
一方で、限界もはっきりしています。
- 1キーワードあたりの流入は限られる。ただし、1ページが複数の関連クエリで表示されるため、ページ全体の流入まで少ないとは限らない
- 「ロングテールなら競合が少なく上位を取りやすい」は、次の章で述べる支援型には当てはまらない。上位語で強いページが、言い換えのロングテールでもそのまま上位を占めることが多い
- ツールの検索ボリュームは推定値で、ツールごとに数字が食い違う。検索が少ない語では0や空欄になることもあるため、その表示だけで需要がないとは判断できない
専用ページを作るロングテールと作らないロングテール
専用ページを作る前に、候補が既存テーマの言い換えなのか、独立した問いなのかを確認します。Ahrefsの解説記事(2026年5月27日更新)は、ロングテールキーワードを支援型・トピック型・会話型の3種類に分けています。会話型は、ChatGPTやGemini、GoogleのAIモードに入力される長い質問文で、個々の検索ボリュームは実質的に測れないものの需要は大きいとされる層です。専用ページの要否に関わるのは、残る支援型とトピック型です。
支援型:上位語の言い換えにすぎないロングテール
1つ目は「supporting long-tail keywords(支援型)」です。より検索の多いクエリと同じことを、別の言い方で探している検索を指します。Ahrefsの例では、「best healthy treats for dogs」は月100回しか検索されないロングテールですが、同じ答えを求める「healthiest dog treats」は月2,500回検索されます。どちらで検索しても、上位には同じページが並びます。
Googleの検索システムは、言い回しが違っても同じことを探している検索をページと結び付けます。GoogleのSEOスターターガイドも、読者の検索キーワードを予測するよう勧めたうえで、「すべての検索方法を予測する必要」はなく、「ページにそのとおりの語句を明示的に使用する必要はありません」と書いています。同じ答えのページを言い換えごとに作ると、内容が重複し、ユーザーがページの違いを判断しにくくなります。支援型は、上位語を狙うページの中で見出しや本文の表現として拾うのが正解です。
トピック型:独立した答えを求めるロングテール
2つ目は「topical long-tail keywords(トピック型)」です。検索回数は少なくても、それ自体が最も一般的な言い方で、上位語のページでは答えきれない問いです。Ahrefsの例では「fly bites on dogs ears(犬の耳のハエ刺され)」がこれにあたり、専用ページを作って上位を取れば、そのさらに細かい言い換えも一緒に拾えます。トピック型は、1ページ1テーマで作る価値があります。
支援型・トピック型の判別手順
- 候補のロングテールと、それに近い上位語の両方でGoogle検索する
- 上位10件のURLを並べ、何件が重なるかを見る
- 多くが重なるなら支援型。上位語のページの見出しや本文に取り込む
- ほとんど重ならず、上位のページが上位語の記事とは別の内容なら、トピック型。専用ページを検討する
ツールの判定を機械的に信じないことも大切です。Ahrefsは、自社ツールが「sleep aid for dogs」の言い換えと判定した「natural sleep aid for dogs」について、「natural」が付くことで医薬品以外の選択肢を探す別の問いになり、上位のページもそこに答えていないため、専用ページを作る理由があると例示しています。最後は、上位ページがその問いに直接答えているかで決めてください。
検索結果の上位に並ぶページの種類や形式の読み方はSERP分析のやり方とツール、すでに自社内で重複が起きている場合の統合と分離の判断はキーワードカニバリゼーションの発見手順と判断基準が参考になります。
ロングテールキーワードの探し方
Search Consoleの実クエリによる候補抽出
既存サイトがあるなら、最初に見るべきはSearch Consoleの検索パフォーマンスレポートです。ツールの推定ではなく、実際に自社ページが表示された検索語句が並びます。見るポイントは次の3つです。
- 改善候補の目安として、表示回数があり、平均掲載順位が11〜30位程度のクエリを確認する。順位だけで原因を決めず、対応ページが検索意図に答えているかを調べる
- 狙ったつもりのないページで表示されているクエリ。別テーマのトピック型ロングテールの候補になる
- 「とは」「やり方」「違い」「費用」など、意図を表す語が付いたクエリ
意図語の付いたクエリは、クエリのフィルタで[カスタム(正規表現)]を選び、(とは|やり方|方法|違い|比較|費用|料金)のように縦線で区切って入力すると一度に抽出できます。Search Consoleの正規表現はRE2構文で、既定は部分一致、大文字と小文字は区別しません。半角空白で区切られた3語以上のクエリだけを見たいときは^\S+(\s+\S+){2,}$が使えますが、空白を入れない日本語の検索は拾えないので、意図語での抽出を主にしてください。
Search Consoleの匿名化クエリとデータ制限
Search Consoleのクエリ一覧は、テールを全部は見せてくれません。Googleのヘルプ「パフォーマンス レポート(検索結果): ディメンションとデータのグループ化」には、次の2つの制限が書かれています。
- 匿名化されたクエリ:ユーザーのプライバシーを保護するため、一部のクエリはレポートから除外される
- データの切り捨て:内部的な制限で、最も重要なデータ行だけが保存・表示される。匿名化クエリ以外にも、表に出ないクエリがある
どちらも、検索回数の少ないテールほど影響を受けます。クエリでフィルタするとレポートの合計値が変わるのもこのためです。行数制限による欠落を減らしたい場合は、一括データエクスポートを検討します。ただし、匿名化されたクエリの文字列は取得できません。画面に出ているクエリが需要のすべてだと思わないことです。
新規サイト・未着手テーマの候補収集先
Search Consoleにデータが無いテーマでは、外部の情報源から候補を広げます。
- Googleのサジェスト(検索窓の予測候補)と、検索結果の「他の人はこちらも質問」「関連する検索」
- サジェストをまとめて取得するツール(ラッコキーワードなど)
- Googleキーワードプランナー、Ahrefs、Semrushなどの検索ボリューム調査ツール
- 営業やサポートに寄せられる質問、問い合わせフォームの文面
営業やサポートへの質問からは、顧客が使う具体的な表現を収集できます。候補を検索し、既存記事で十分に答えられているかを確認してください。検索結果に出る「他の人はこちらも検索」の調べ方と使い方は再検索キーワードの調べ方と無料ツールにまとめています。
ロングテールキーワードの選び方:狙うかどうかの判断基準
候補が集まったら、次の順で絞り込みます。検索ボリュームより先に、自社の商品・サービスとの関係と、専用ページの必要性を確認します。
- 自社の商品・サービスにつながるか:答えた先に、資料請求や問い合わせなど次の行動があるか。つながらない語は、検索が多くても後回しにする
- 支援型かトピック型か:前の章の手順で見分ける。支援型なら既存ページへの追記、トピック型なら新規ページの候補
- 検索意図が1つに絞れるか:上位10件が情報提供の記事ばかりか、商品ページや比較記事が混じるか。意図の分類は検索意図の4分類を参照
- 自社が一次情報を出せるか:上位の記事と同じことしか書けないなら、順位は上がりにくい。自社の事例、実測値、現場の手順を足せるテーマを優先する
- 検索ボリューム:最後に見る。0と表示されていても、前の4つを満たすなら作る価値がある
ビッグワードからロングテールまでを含めたキーワード選定の全体手順と3つの評価軸は、キーワード選定のやり方と3つの評価軸で解説しています。
「SEOのキーワードは意味ない」と言われる理由と実際
「SEOでキーワードを意識しても意味がない」という主張には、正しい部分と誤った部分があります。
正しいのは、キーワードを機械的に入れる作業についてです。Googleは2009年9月21日の公式ブログ「Google はウェブ ランキングにキーワード メタタグを使用しません」で、ウェブ検索のランキングにkeywordsメタタグを使わないと明言しました。現在のSEOスターターガイドでも、「Google 検索は キーワード メタタグ を利用しません」と書かれています。同じ言葉を何度も繰り返すことはユーザーをうんざりさせるうえ、Googleのスパムに関するポリシーに違反するとも明記されています。キーワードの詰め込みがどう扱われるかはキーワードスタッフィングの定義と直し方で詳しく扱っています。
誤っているのは、「だからキーワードを考える必要はない」と結論づける部分です。同じスターターガイドは、読者がコンテンツを探すときに検索しそうなキーワードを予測するよう勧めています。そのトピックに詳しい人とそうでない人とでは、使う言葉が違うからです。さらに「コンテンツの最小長と最大長」の項では、言葉にバリエーションを持たせて自然に書けば、使用するキーワードが増え、検索に表示されるチャンスが多くなるとも書いています。
つまり、Google検索の順位向上に効果がないのはkeywordsメタタグへの記入であり、不自然な語の詰め込みはスパムポリシー違反になります。どの検索の、どの問いに答えるページなのかを決める作業は、今も変わらず必要です。ロングテールキーワードを考えることは、その問いを具体的にする作業にあたります。
よくある質問
ロングテールSEOとは何ですか?
検索回数の少ないキーワードを数多く狙い、その合計で流入を集めるSEOの進め方です。独立した問いには専用ページを検討し、既存ページで答えられる関連クエリには、そのページの改善で対応します。言い換えにすぎない支援型のロングテールに1つずつページを作ることは含みません。
ロングテールキーワードの検索ボリュームはどのくらいが目安ですか?
決まった数値はありません。Ahrefsも、ロングテールと呼ぶための検索回数のしきい値は無く、比べる上位語次第だと説明しています。自社市場の主要キーワードと検索回数を比較し、相対的に検索の少ない語を候補にしてください。
ロングテールキーワードを調べる無料ツールはありますか?
Google Search Console、Googleのサジェストと「他の人はこちらも質問」、ラッコキーワードの無料枠が代表的です。既存サイトで表示実績のある検索語句はSearch Consoleで確認できます。ただし、匿名化などにより表示されない語句もあります。
ロングテールキーワードにはどんな例がありますか?
「SEO」がビッグワード、「SEO キーワード」がミドルワードだとすると、「SEO キーワード 選び方 BtoB」や「SEO 外注 費用 相場」のように、目的や条件を表す語が付いた検索がロングテールキーワードにあたります。ただし語数ではなく検索回数で決まるので、1語でも検索の少ない専門用語はロングテールです。
狙ったロングテールキーワードで順位が上がらないときはどうすればよいですか?
まず、そのキーワードが支援型ではないかを確認します。上位語と検索結果がほぼ同じなら、求められている答えは上位語と同じで、専用ページを作っても既存の上位ページとの差を出しにくくなります。その場合は上位語のページに統合し、トピック型なら上位のページに無い一次情報を足してください。