無料で使える会員管理システムは、「月額0円」という表示が同じでも、費用と制限のかかり方がサービスごとに大きく違います。この記事では、無料の会員管理ツールを4つの型に分け、MOSH・Square・STORES 予約の公式料金ページをもとに、会費の徴収、会員向け画面、データの書き出しの3点で無料プランを比べます。月会費3,000円・会員100人での決済手数料も試算しました。無料のままで足りる条件と、有料プランや受託開発へ切り替える目安まで、導入前に判断できる形でまとめています。
まとめ:無料の会員管理システムで足りる範囲と有料・受託開発へ移る判断の結論
会員数が数百人までで、会費の徴収を1つの決済サービスに任せられ、ほかのシステムと会員データをつなぐ予定がない。この3つがそろう団体や教室なら、無料ツールで十分に回ります。無料で確かめられるのは、会員の登録画面と管理画面の使い勝手、会費の決済が会員にとって迷わず終わるかの2つです。
注意したいのは、月額0円の型でも決済のたびに手数料がかかることです。カード決済に6.5%と1件99円がかかる料金体系なら、月会費3,000円の会員100人で毎月29,400円が差し引かれます。月額が無料かどうかではなく、会費の総額に対して手数料がいくらになるかで比べてください。
もう1つの見落としは、データの持ち出しです。無料プランでは顧客データのCSV書き出しが使えないサービスがあり、乗り換えのときに会員情報を手で移すことになります。無料で始めるなら、最初に「書き出せるか」を確認し、会員数・手数料・連携のどれが上限に当たったら有料や受託開発へ移るかを決めておくと、後戻りの負担を抑えられます。
無料の会員管理システムの4つの型|月額0円・決済付属・上限型・表計算の違い
「無料」と書かれたサービスを並べると、費用が発生する場所で4つの型に分かれます。型によって、無料のまま使い続けたときにどこで困るかが決まるため、製品名より先に型を見分けてください。
月額0円で決済のたびに手数料がかかる型と、会費が増えるほど重くなる負担
1つ目は、月額料金を取らず、会員から会費を受け取るたびに手数料を差し引く型です。代表例のMOSHは、公式の料金ページでFREEプランを無料とし、カード決済の手数料を6.5%+99円/件(Stripeを使う場合・年間決済額1,200万円未満)と案内しています(2026年10月時点・税込)。売上がない月は費用が発生しません。
この型は、会費を取り始めたばかりの時期には負担が軽い反面、会員と会費が増えるほど手数料が比例して増えます。年間決済額が1,200万円以上になるとカード決済は4.5%+99円/件に下がりますが、月額料金型と違って上限はありません。無料プランのメール配信はメルマガ3,000通・LINE200通/月までで、会員750人に毎週1通送るだけで3,000通の枠を使い切ります。
決済サービスに付属する無料の顧客リストと、会員管理として足りない部分
2つ目は、決済端末やネット決済のサービスに付いてくる顧客台帳です。Squareは顧客リストをアカウントに付属する無料機能としていて、購入のたびに顧客プロフィールが自動で作られ、購入履歴、カスタムフィールドでの検索、データのインポートとエクスポートまで使えます。
店頭で会費や回数券を受け取るジムや教室には相性が良い型です。一方で、名簿として持てるのは「Squareで支払った人」が中心になります。会員番号の発行、入会日と退会日の管理、会員種別ごとの年会費の更新案内といった、会員管理システム固有の機能は別に用意する必要があります。
予約件数や機能に上限を設ける型と、会員の台帳として使うときの制約
3つ目は、無料プランに件数や機能の上限を設け、有料プランへの移行を前提にした型です。予約システムに会員機能が付いた製品が多く、STORES 予約の料金プランでは、フリープラン(月額0円)でも回数券・月謝の販売はできます。ただし、販売した回数券や月謝を使って予約を受け付ける機能はフリープランの対象外で、顧客データのCSVダウンロードはビジネスプラン以上です(2026年10月時点)。
月謝を払った会員がそのまま予約できない、会員名簿を手元に書き出せない。この2点が、会員の台帳として使うときの制約になります。予約件数や予約ページ数の上限は、予約業務の比較軸として予約管理システムの無料プランの上限を製品別に並べた記事で扱っているので、予約が主な用途ならそちらで確認してください。
表計算ソフトとフォームで管理する方法と、会員数が増えたときの限界
4つ目は、ExcelやGoogleスプレッドシートを名簿にし、入会はWebフォームで受け付ける方法です。追加の費用はかからず、項目も自由に足せます。会員が100人前後で、会費を口座振込で集め、担当者が1人の団体なら、これで困らないことも多いはずです。
限界は、複数人での同時編集と履歴にあります。会費の入金確認、住所変更、退会の処理を2人以上で触ると、どれが最新の行かが分からなくなります。ファイルを共有リンクで回す運用では、閲覧権限の管理も手作業です。表計算から専用システムへ移る判断の目安は、会員管理システムの機能とExcelから移行する判断基準で詳しく整理しています。
主要サービスの無料プランを会員管理の観点で比べる|会費・会員画面・データ出力
無料プランの比較記事は機能の有無を並べがちですが、会員管理として使えるかは「会費を取れるか」「会員が見る画面を出せるか」「データを持ち出せるか」の3点でほぼ決まります。ここでは公式の料金ページで確認できた範囲だけを並べます。
3サービスの無料プランを会費の徴収・会員向け画面・データの書き出しで並べた比較表
次の表は、2026年10月時点の各社の公式料金ページの記載をもとにしています。ページに記載がない項目は「記載なし」とし、推測では埋めていません。
| 項目 | MOSH(FREE) | Square(顧客リスト・予約フリー) | STORES 予約(フリー) |
|---|---|---|---|
| 月額 | 無料 | 無料 | 0円 |
| カード決済の手数料 | 6.5%+99円/件 | 3.6%(オンライン決済) | 記載なし |
| 会費・月謝の販売 | 記載なし | 記載なし | 販売は可 |
| 会員向けの画面 | 会員サイトの公開はGROWの説明に記載 | 予約ページは1店舗まで | 月謝を使った予約は不可 |
| データの書き出し | 記載なし | インポートとエクスポートに対応 | CSVはビジネス以上 |
| 次の有料プラン | STARTER 1,380円 | プラス3,000円/店舗 | スモール9,790円(年契約) |
表から分かるのは、3サービスとも無料プランで「会費を取る・会員に画面を見せる・データを書き出す」の3つが一度にそろうわけではない、という点です。Square 予約の料金プランは顧客プロフィールや既存顧客のインポートを全プラン共通とする一方、フリープランは1アカウント1店舗に限られます。自社にとって外せない1点を決め、その1点が無料で使えるサービスから試すのが近道です。
無料プランで見落としやすい手数料の計算|月会費3,000円・会員100人での試算
月額0円の型と月額料金型は、手数料を足して初めて同じ土俵に乗ります。月会費3,000円を会員100人からカードで集める場合を、公式の料率で計算しました。
- MOSH FREE:3,000円×6.5%=195円に99円を足して1件294円。100人で月29,400円、年間352,800円
- Square(オンライン決済3.6%):3,000円×3.6%=1件108円。100人で月10,800円、年間129,600円
- 会費の総額は月300,000円なので、手数料の比率はMOSHで9.8%、Squareで3.6%
同じ会費でも、手数料だけで年間22万円ほどの差が出ます。会員が300人になれば差は3倍です。もちろん、MOSHは会員向けのページ作成やメール配信を含み、Squareは決済と顧客台帳が中心なので、機能の範囲は同じではありません。それでも、無料かどうかではなく「会費総額の何%が手数料に消えるか」を最初に出しておけば、有料プランや自社開発の月額と比べる基準ができます。
無料のまま運用して後から困る場面|データ移行・個人情報・会費の取りこぼし
無料ツールの問題は、使い始めには見えず、会員が増えてから表に出ます。導入前に知っておきたい場面を、起きやすい順に挙げます。
CSVで書き出せないプランから乗り換えるときに会員データを移す手間と費用
いちばん多いのが乗り換えです。STORES 予約のように顧客データのCSVダウンロードが上位プランに置かれている場合、無料のまま乗り換えると、会員の氏名・連絡先・入会日・支払い履歴を画面から1件ずつ写すことになります。会員300人で1件3分かかれば15時間です。
書き出しのためだけに1か月だけ上位プランへ上げる方法もありますが、年契約が前提のプランでは使えないこともあります。無料で始める段階で、書き出せる項目と形式を管理画面で確かめておくと、この費用を避けられます。移行先が自社開発のシステムなら、移行するデータの範囲と変換の手間は見積もりの項目になるため、会員管理システムの費用相場と初期費用の内訳もあわせて確認してください。
会員の個人情報を無料サービスに預けるときに自社に残る安全管理の責任
無料か有料かに関わらず、会員の氏名や連絡先を集めた時点で、事業者には個人情報保護法の義務がかかります。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、組織的・人的・物理的・技術的な安全管理措置を求めていて、外部サービスに名簿を置いても、誰がどの権限で見られるかを決める責任は自社に残ります。
無料プランでは、管理者アカウントが1つしかなく、担当者がパスワードを共有して使う運用になりがちです。退職者がログインできる状態が残る、誰が書き出したか分からない、といった状態は無料ツールで起きやすい典型です。2026年7月に公布された改正法の内容と企業の対応は、令和8年の個人情報保護法改正の解説にまとめています。
退会・休会・会費の未納を手作業で追うようになった時点の見分け方
3つ目は会費の管理です。無料ツールの多くは決済の記録は残しても、「休会中の会員には請求しない」「未納が2か月続いたら会員ページを止める」といった団体ごとのルールを持てません。最初は担当者が表計算で補いますが、会員が増えると取りこぼしが出ます。
見分け方は単純です。毎月、決済サービスの売上一覧と名簿を突き合わせる作業が1時間を超えたら、無料の範囲を出たと考えてください。その作業時間に担当者の時給を掛けた額が、有料プランの月額を上回るかどうかが、次の判断材料になります。
無料で始めてよい条件と、有料プラン・受託開発へ切り替える境界線の判断基準
ここからは、無料のまま使う、有料プランへ移る、受託開発へ切り替える、の3択を条件で言い切ります。迷ったときは、会員数より先に「会費のルール」と「つなぎたいシステム」を見てください。
無料のままで足りると言い切れる条件|会員数・会費の集め方・連携先の3点
次の3つがすべて当てはまるなら、無料ツールのままで問題ありません。会員数が300人以下で、増える見込みが年に数十人程度。会費が1種類か2種類で、決済サービスの標準機能で集められる。会員データを会計ソフトや販売管理など他のシステムへ渡す予定がない。
サークル、同窓会、立ち上げ期の教室やオンラインコミュニティの多くがここに入ります。この段階で有料プランや開発に予算を割くのは過剰です。浮いた費用は、会員向けの案内文や入会導線の改善に回したほうが成果につながります。
有料プランへ移る目安|手数料と月額の逆転、会員向け画面が必要になる時点
有料プランへ移るべきなのは、無料の型が抱える制約のどれか1つに当たったときです。具体的には、配信数が月の上限を超える、会員限定ページを公開したい、名簿をCSVで手元に持ちたい、の3つが典型です。MOSHの料金ページでは、会員サイトの公開がGROW(2,980円から/月)の説明に置かれています。
月額料金型へ乗り換える判断は、手数料との比較で出せます。月の手数料が、乗り換え先の月額と手数料の合計を上回ったら移る、という単純な式です。前の試算なら、月29,400円の手数料がかかる状態は、月額1万円前後のサービスへ移っても元が取れる水準です。製品ごとの機能差は会員管理システムの比較と選び方で確認できます。
受託開発へ切り替える境界線|既存の顧客データとの統合と独自の会費ルール
有料プランでも解決しないのは、会員データを自社の別のシステムと1つにしたい場合と、会費のルールが製品の想定を外れている場合です。たとえば、店舗のPOSとECサイトの顧客を同じ会員番号で管理したい、法人会員と個人会員で年会費の更新月が違う、紹介者に応じて会費を割り引く。こうした要件は、既製品の設定項目では表現できないことが多くあります。
この段階では、既製品に表計算と手作業を足し続けるより、会員の台帳と会費のルールを自社の要件どおりに作るほうが、数年単位の総額で安くなります。目安は、手作業の突き合わせが月10時間を超える、またはつなぎたいシステムが2つ以上ある場合です。要件の整理から相談したい場合は、会員管理システム開発のページで対応範囲を確認できます。
失敗パターン|無料ツールを3つ以上つなぎ合わせて運用が属人化する典型
避けたいのは、無料の範囲に収めるために、名簿は表計算、会費は決済サービス、連絡はメール配信ツール、と3つ以上を手でつなぐ運用です。それぞれは無料でも、データの正本がどこにあるかを1人の担当者しか知らない状態になります。
担当者が異動した途端に、誰が未納か、誰に案内を送ったかが分からなくなる。この失敗は、会員数が200人を超えたあたりから起きやすくなります。ツールが3つになった時点で、どれか1つに名簿を寄せるか、有料プランへ移るかを決めてください。
よくある質問
無料の会員管理システムを検討するときによく出る質問に、公式の料金ページで確認できた範囲で答えます。
会員管理システムは完全に無料で使えますか?
月額0円で使えるサービスはあります。ただし、会費をカードで集めると決済手数料がかかるのが一般的です。MOSHはFREEプランを無料とし、カード決済に6.5%+99円/件(Stripe利用・年間決済額1,200万円未満)がかかると案内しています。会費を口座振込で集め、名簿を表計算で持つ方法なら追加の費用はかかりませんが、入金確認と名簿の更新は手作業です。費用がまったく発生しないのは、会費を取らない、または手作業を受け入れる場合に限られます。
無料プランと有料プランでは何が違いますか?
違いが出やすいのは、配信数、会員向けページの公開、データの書き出し、店舗やスタッフの数です。STORES 予約は顧客データのCSVダウンロードをビジネスプラン以上とし、Square 予約はフリープランを1アカウント1店舗としています。MOSHはFREEのメール配信をメルマガ3,000通・LINE200通/月までとする仕様です。基本の登録と管理は無料でも、会員が増えたときに必要になる機能が有料側に置かれている、と考えておくと判断しやすくなります。
無料で使える会員管理アプリはありますか?
決済サービスのアプリに付属する顧客台帳が、無料で使える代表例です。Squareの顧客リストはアカウントに付属する無料機能で、購入のたびに顧客プロフィールが作られ、購入履歴の確認や検索ができます。ただし、会員番号の発行や退会日の管理、会員種別ごとの年会費の更新案内といった機能は持たないため、会費のルールが複雑な団体では名簿を別に持つことになります。スマホだけで運用したい場合も、設定の変更は管理画面で行う製品が多い点に注意してください。
無料ツールから有料のシステムへ会員データを移せますか?
移せますが、無料プランで書き出しができるかどうかで手間が大きく変わります。CSVで書き出せれば、必要な作業は項目をそろえて取り込むことだけです。書き出しが上位プランに置かれている場合は、移行のために一時的にプランを上げるか、画面から写すことになります。会員300人を1件3分で写すと15時間です。移行先のシステムでも、氏名の表記ゆれや重複した会員をまとめる作業が残るため、移すデータの範囲は乗り換えの前に決めておいてください。
無料の会員管理システムを使うときの個人情報の注意点は?
無料のサービスでも、会員の個人情報を扱う責任は自社にあります。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、組織的・人的・物理的・技術的な安全管理措置を求めています。実務では、管理者アカウントを人ごとに分ける、退職者のアカウントをすぐ止める、名簿を書き出せる人を限る、の3つから始めてください。無料プランで管理者を複数作れない場合は、パスワードの共有が避けられないため、会員数が増える前に有料プランへの移行を検討する理由になります。
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