Rovo Devは、Atlassianが開発者向けに提供しているAIエージェントです。Jira・Confluence・Bitbucketに蓄積された要件やコード履歴を参照しながら、コードの計画・生成・レビューを担います。ただし2026年10月初旬までに、Atlassianは製品ページと価格ページへ「Rovo Devは単体製品としての提供を終了し、機能は対象のJiraサブスクリプションへ移る」という告知を掲げています。この記事では、Rovo Devが何をする製品なのか、名前の近いRovoとどう違うのか、そして単体提供の終了で機能ごとに何が変わるのかを、2026年10月6日時点の公式情報で整理します。
まとめ:Rovo Devの要点(2026年10月時点)
- Rovo Devは開発者向けのAIエージェント。全社向けAIのRovoとは別ライセンスで、Rovo Dev Standardは開発者1名あたり月額$20・毎月2,000クレジット付き(超過は1クレジット$0.01)。有料Jiraには月350クレジットのRovo Dev Freeが付きます。
- 提供面は4つ:ターミナルのRovo Dev CLI、Bitbucket CloudとGitHubのプルリクエストを見るCode Reviewer、VS Code向けのIDE機能、Jiraのワークアイテムからの起動。
- 単体製品としては提供終了に向かう。終了日は未確定で、Atlassianは少なくとも60日前に通知すると明記しています。
- Code Reviewerは有料Jiraに同梱へ。2026年12月3日からRovoクレジットでの従量課金に切り替わります。
- CLIはRovo CLIへ統合、IDE機能は廃止。AtlasCode(Jira・Bitbucket用のVS Code拡張)自体は継続します。
- 新規導入でRovo Dev単体を契約する理由は薄い。新規顧客のセルフサービス登録は2026年9月に終了し、営業経由に変わりました。Jiraにはすでに、作業をClaude・Cursor・Codex・GitHub Copilotなど外部のエージェントへ割り当てる機能が入っています。
Rovo Devの定義とRovo(全社向けAI)との違い
Rovo Devは、Atlassianの全社向けAI「Rovo」の機能を開発者向けに広げたAIエージェントです。公式の製品ページは役割をCode Planning(要件とコードベースから実装計画を立てる)、Code Generation(ワークアイテムをコードにする。リファクタリング・テスト・ドキュメントを含む)、Code Review(プルリクエストを分析し、Jiraの受け入れ条件に照らして改善を提案する)の3つに分けています。
土台にあるのはTeamwork Graphです。Jiraの作業項目、Confluenceのページ、BitbucketやGitHubのコード、担当者や目標のつながりをまとめたAtlassianのデータ層で、Rovo Devはここから文脈を引いてコードを書きます。Rovo Devの設計上の特徴は、手元のリポジトリに加えて「そのコードが何のチケットのために書かれ、どの仕様ページに基づくか」まで参照できる点です。裏を返すと、JiraやConfluenceを使っていない組織では、この強みはほとんど効きません。作業項目やエピックの構造を整えていない組織が導入しても、参照できる文脈が薄いままです(Jira側の基本はJiraの使い方と基本機能|作業項目・エピック・ボードを実務目線で解説を参照)。
RovoとRovo Devのライセンスとクレジットの違い
検索で「rovo」とだけ調べると、両者の情報が混ざって出てきます。Rovo(本体)は検索・チャット・エージェント作成(Studio)を含む全社向けAIで、Jira・Confluence・Jira Service ManagementのCloud Standard/Premium/Enterpriseプランに追加購入なしで組み込まれます。Rovo Devは開発者単位で契約する別製品で、クレジットも別建てです。
| 項目 | Rovo(本体) | Rovo Dev |
|---|---|---|
| 対象 | 全社員 | 開発者 |
| 主な機能 | 検索・チャット・Studio・エージェント | コード計画・生成・レビュー |
| 入手方法 | Cloud有料プランに同梱 | 開発者ごとに契約 |
| Jira・Confluenceの付与量 | Standard 25/Premium 70/Enterprise 150 | なし(別契約) |
| Rovo Dev Standard | 対象外 | 月額$20・2,000クレジット |
| クレジット | Rovoクレジット(組織で合算) | Rovo Devクレジット(別体系) |
付与量は1ユーザーあたり月のRovoクレジット数です。Teamwork Collection・Service Collectionでは250/700/1,500と一桁多く、組織内の全ユーザー分が1つのプールにまとまります。Rovoのライセンス資料は、Rovo Devのクレジット消費は「Rovoクレジットとは独立した別の料金・クレジット体系」と明記しています。この別建てが、次の章で見る移行の対象です。
Rovo Devの4つの提供面と主要機能
Rovo Devは1つのアプリではなく、開発者が作業する場所ごとに入り口を持っています。製品ページが挙げる提供面と、それぞれが単体提供終了後にどうなるかを並べます。
| 提供面 | できること | 単体提供終了後 |
|---|---|---|
| Rovo Dev CLI | ターミナルで対話的にコード生成 | Rovo CLIへ統合 |
| Code Reviewer | Bitbucket Cloud・GitHubのPRレビュー | 有料Jiraに同梱 |
| IDE(VS Code) | エディタ内でのコード生成 | 廃止(AtlasCodeは継続) |
| Jira | ワークアイテムからクラウドで実装 | 移行FAQに記載なし |
Jira上での起動について、移行FAQは触れていません。ワークアイテムからクラウドのサンドボックスで実装してプルリクエストを作る同種の機能は、現在のサポート文書ではJira Coding Agent(Rovoクレジットを消費)として案内されています。
CLIはAtlassian公式CLI(ACLI)の拡張コマンドとして動き、acli rovodev runで対話セッションを開きます。Code Reviewerはプルリクエストが作られると自動でレビューを走らせ、Jiraの受け入れ条件を満たしているかを指摘します。Bitbucket Pipelinesで失敗したビルドステップを分析し修正案を出す機能もありますが、2026年10月6日時点でベータです。受け入れ条件のチェックとレビュー用のカスタム指示はRovo Dev Standard限定で、プルリクエストの作成者が、そのリポジトリに接続されたJiraサイトでStandardのライセンスを持っている必要があります。Atlassianは自社への適用でプルリクエストのサイクルタイムが30.8%短くなったと報告しており、この結果がICSE 2026で取り上げられたとしています。VS Code拡張の導入手順、ACLIの認証に使うスコープ付きAPIトークン、MCPサーバーの設定ファイルはRovo DevのVS Code拡張・CLI導入手順と料金・クレジットの仕組み【2026年版】で手順を追っています。
連携できるリポジトリは、製品ページが挙げるBitbucket CloudとGitHubです。GitLabでコードを管理している組織は、GitLabへのネイティブ連携とマージリクエストの自動レビューが非対応であることを前提に検討してください。Atlassianの公開課題管理(ROVODEV-36)にGitLab対応の要望が登録されている段階です。CLIは手元の作業ディレクトリのコードを読むため、この制約が効くのはリポジトリ連携を前提とする機能(Code Reviewer、Jiraからのコード生成)です。
発表から単体提供終了までの経緯
Rovo Devは発表から約1年半で、単体製品の提供終了と機能ごとの移行方針が告知されました。年表で追うと、Atlassianが「開発者向けAIを別売りする」方針から「Jiraを複数のAIエージェントの司令塔にする」方針へ舵を切った流れが見えます。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年4月 | Team ’25でRovo Dev Agentを発表 |
| 2025年10月8日 | Team ’25 EuropeでRovo Devを一般提供 |
| 2026年4月2日 | Rovo DevをJira内から使える形で提供 |
| 2026年7月15日 | Jira Coding Agent・外部エージェント割り当てを発表 |
| 2026年10月初旬まで | 単体製品の提供終了を告知 |
| 2026年12月3日 | Code ReviewerのRovoクレジット課金開始 |
| 未定 | Rovo CLI移行・IDE廃止・単体の最終終了日 |
転機は2026年7月15日の発表です。AtlassianはJiraに、粗いアイデアを技術仕様へ落とすJira Planner、作業項目をクラウドのサンドボックスで実装してプルリクエストまで作るJira Coding Agent、そして作業項目をClaude・Cursor・Codex・GitHub Copilotへ直接割り当てる仕組みを加えました。Jiraが「どのエージェントに何をさせるか」を管理する場所になった時点で、Rovo Devを開発者ごとに別売りする意味は薄れます。2026年10月の告知は、その整理の最終段階と読むのが自然です。
単体提供の終了で機能ごとに変わること
AtlassianのRovo Dev移行FAQは、変化を機能ごとに分けて説明しています。共通しているのは「今すぐの対応は不要」「Rovo Devの契約は自動解約されない」「各機能の移行先が用意できたら通知する」の3点です。
Code ReviewerのJira同梱とRovoクレジット計量
Code Reviewerは、有料のJiraまたはTeamwork Collectionの契約があれば、Rovo Devライセンスなしで使えるようになります。開発者側の体験は変わらず、接続済みのリポジトリ、レビュールール、カスタム指示はそのまま引き継がれます。管理画面は変わり、GitHubを使う組織はJiraの設定画面でCode Reviewerを構成します。Bitbucket Cloudの組織は従来どおりBitbucket側で設定を続けられます。
課金は2026年12月3日から、Atlassian全体の従量課金(Usage-Based Pricing)に基づくRovoクレジットでの計量に切り替わります。Jira上でCode Reviewerが使えるようになってから12月3日までの期間は、クレジットを消費せずに試せます。FAQは、12月3日はクレジット計量の開始日であって、Rovo Devの提供終了日ではないと念を押しています。
Rovo Dev CLI:Rovo CLIへ統合
Rovo Dev CLIは、統合版の「Atlassian Rovo CLI」へ移ります。移行後はRovoクレジットでの従量課金です。Atlassianは段階的な移行手順書と猶予期間を用意してから旧CLIを退役させると説明しており、2026年10月6日時点で日付は出ていません。Rovoのライセンス資料では、Rovo CLIはすでにRovoクレジットを可変で消費する「Premium AI」の例に挙がっています。
Bitbucket PipelinesでRovo Dev CLIを使ったエージェント型のパイプラインを組んでいる場合も、Rovo CLIが出るまでは現行CLIがサポートされます。通常のビルド・テスト・デプロイには影響しません。
IDE機能:廃止、AtlasCodeは継続
単体のRovo Dev IDE機能は「今後数か月のうちに」廃止されます。一方で、JiraとBitbucketを扱うVS Code拡張のAtlasCode(Marketplaceの表示名は「Atlassian: Jira, Rovo Dev, Bitbucket」)は、引き続き完全にサポートされると明記されています。拡張を消す必要はなく、消えるのはその中のRovo Devのコード生成機能です。
利用状況別にいま取るべき対応
移行FAQの指示を、契約状況ごとに読み替えると次のとおりです。判断を誤りやすいのは「Code Reviewerだけ使っている組織」と「CLIも使っている組織」で、解約のタイミングが逆になります。
- Code Reviewerだけを使っている:Jira上でCode Reviewerが使えるようになったとAtlassianから通知が来たら、Rovo Devの契約を課金ポータルで解約してかまいません。通知前に解約するとレビューが止まります。
- CLIかIDE機能も使っている:利用中のCLI・IDEそれぞれについて移行または廃止の案内を確認し、必要な移行を終えて契約変更が可能になるまで契約を維持します。Code Reviewerの移行通知を見て解約すると、CLIまで止まります。
- 年額契約・最近更新した:前払い分は保護されるとFAQにあり、清算や調整はAtlassianサポートへの個別問い合わせになります。
- これから導入を検討している:Rovo Dev Standardの新規契約は勧めません。新規顧客向けのセルフサービス登録は終了しており、導入を希望する場合は営業への問い合わせが必要です。課金体系がRovoクレジットへ移ると決まっている製品に開発者単位の月額を払うより、手持ちのJira契約で使えるJira Coding Agentや外部エージェントの割り当てを、利用条件を確認したうえで検討してください。Code Reviewerは、有料Jiraへの提供通知を受けてから試す候補です。
Jira Coding Agentには導入前に確認すべき制約があります。公式の設定ガイドによると、Enterpriseプランと、HIPAA・BYOK(顧客管理の暗号鍵)・データレジデンシーへの準拠が必要な組織では、まだ利用できません。Atlassian Government組織ではRovo自体が提供されていません。規制業種でJira Enterpriseを使っている組織は、Rovo Devの代替として当てにできない点に注意してください。外部認証はSOC 2とISO 27001を取得済みです。
Rovo Devが使うAIモデルと公称性能
製品ページは、Teamwork Graphと「フロンティアAIモデル」の組み合わせで動くと説明しています。AtlassianのAI透明性ページによると、使われているのはOpenAIのGPTシリーズとAnthropicのClaudeシリーズで、AnthropicのモデルはAWS BedrockとGoogle Vertex AIを経由して呼び出されます。特定の1モデルに固定した製品ではなく、CLIとIDEでは/modelsコマンドで切り替える方式です。
モデルごとにRovo Devクレジットの倍率(credit multiplier)が決まっています。公式ヘルプは、倍率1.5倍のモデルなら同じ作業で既定モデルより50%多くクレジットを消費すると説明しています。2026年4月にはClaude Opus 4.7(4月22日)とGPT-5.5(4月24日)がCLIとIDEに追加されました。モデルごとの現行倍率は、/modelsの画面で確認できます。これらのフロンティアモデルを選べるのはRovo Dev Standardの契約者だけで、作業量は/efficiency highのように/efficiencyコマンドで調整します。文書化のような軽い作業は倍率の低いモデル、複数ファイルにまたがる実装は上位モデル、と使い分けるのがクレジットを節約する基本です。
性能の根拠としてAtlassianの公式ブログが掲げているのは、Rovo Dev CLIがSWE-bench Full(2,294タスク)で解決率41.98%を記録し、当時のリーダーボード首位になったという数値です。ただしこれはSWE-benchの全量版の結果で、各社がよく引用するSWE-bench Verified(人手で検証した500タスク)とは母集団が違います。他社ツールのVerifiedのスコアと横に並べて比べることはできません。
データの扱いも同じ透明性ページに書かれています。プロンプトと出力は他の顧客に見えず、OpenAI・Google Vertex AI・AWS Bedrock上のAnthropic以外のLLM提供元へは送られず、これらの提供元には保存されず、OpenAIやAnthropicのモデル改善にも使われません。処理対象には、CLIで扱うローカルのファイルやコード、プルリクエスト、Jiraの作業項目、接続したMCPサーバーの内容まで含まれます。一方でAtlassianは、出力が不正確・不完全・信頼できない場合があるとして、セキュリティレビューやコンプライアンスチェック、安全・規制上で正しさが必須のコードでは、人の監督なしにRovo Devを唯一の手段にしないよう求めています。
GitHub Copilot・Claude Codeとの関係
Rovo DevとClaude Code・GitHub Copilotを検討する際は、単体機能の比較とJiraを介した併用を分けて考えます。単体機能では各ツールのCLI・IDE・レビュー機能と費用を比べますが、2026年10月時点ではそれに加えて、Jiraとどうつながるかが判断軸になります。2026年9月には、Jiraの作業項目からCursor・GitHub Copilot・OpenAI Codex・VS Code・Claude Code・Rovo Dev CLIを選び、作業項目の内容を詰めたプロンプト付きで起動する機能の展開も始まりました。Jiraは作業項目をClaude、Cursor、Codex、GitHub Copilot、そしてネイティブのJira Coding Agentに割り当てられるようになり、Atlassianは自社のエージェントを売るより、どのエージェントを使っても文脈の供給源と作業管理をJiraに置く方向へ移りました。
手元でClaude CodeやCursorを使い続けたい場合は、Atlassian Rovo MCP Serverを接続すればJiraやConfluenceの情報をエージェントに渡せます。このMCP経由でTeamwork Graphから文脈を集約して返す呼び出しもRovoクレジットを消費する点は、予算に入れておく必要があります。Atlassianは自社の調査で、Teamwork Graphの文脈を与えたエージェントは出力品質が44%向上し、トークン使用量が48%減ったと公表しています(Atlassian Engineering Productivity Study, 2026)。比較の軸は「どのエージェントが賢いか」より「Jiraの文脈をどう渡すか」に移っています。各ツールの単体の機能はClaude Codeとは?できること・使い方・料金:コード解析の実力と導入手順【2026年版】とGitHub Copilotエージェントモードの使い方|Ask・Edit・Agentの違いと有効化・料金【2026年版】で扱っています。
よくある質問
Rovo Devはいつ使えなくなりますか?
2026年10月6日時点で最終終了日は決まっていません。Atlassianは少なくとも60日前に通知すると明記しており、それまでは現行どおり使えます。先に確定しているのは、Code ReviewerのRovoクレジット計量が2026年12月3日に始まることだけです。
RovoもRovo Devと一緒に終了しますか?
終了しません。提供終了の対象は単体製品としてのRovo Devで、全社向けのRovoはJira・ConfluenceなどのCloud有料プランに同梱されたまま続きます。Rovo Devの機能は、むしろRovoクレジットの体系へ吸収される形になります。
Rovo DevはGitLabのリポジトリで使えますか?
GitLabへのネイティブ連携には対応していません。Code Reviewerの自動レビュー対象はBitbucket CloudとGitHubです。CLIによるローカルコードの処理とは区別してください。
Rovo DevとRoo Codeは同じものですか?
別物です。Roo CodeはVS Code向けのオープンソース(Apache-2.0)のAIコーディング拡張で、Atlassianとは関係がありません。開発元のGitHubリポジトリは2026年5月の更新を最後にアーカイブ(読み取り専用)になっています。
Rovo Devは無料で使えますか?
有料のJiraプランを使っている組織には、Rovo Dev Freeが無料で追加されます。枠は1ユーザー・1サイトあたり月350 Rovo Devクレジットで、使い切ると次の請求サイクルまで止まります。Standardに切り替えると枠は月2,000クレジットに置き換わり、30日間のトライアルから始まります。ただし、トライアルにはCLI・IDEの利用が含まれず、これらには有料のStandard契約が必要です。単体提供の終了に伴い、この料金体系自体が移行の途中にある点に注意してください。