Rovo DevのVS Code拡張・CLI導入手順と料金・クレジットの仕組み【2026年版】
Rovo Devは、Atlassianが提供する開発者向けのAIエージェントです。JiraやConfluence、Bitbucketに蓄積された情報を参照しながら、コードの作成・レビュー・テスト生成、プルリクエスト作成までを担います。VS Code拡張は2026年2月に一般提供が始まり、CLIはAtlassian公式CLI(ACLI)の拡張コマンドとして動きます。この記事では2026年7月時点の公式ドキュメントをもとに、導入手順・料金・クレジット消費・接続できるリポジトリの条件を整理します。
まとめ:Rovo Devの要点
- 提供形態は3つ:VS Code拡張(2026年2月にGA)、CLI(
acli rovodev run)、Jiraのワークアイテムから起動する統合(Jira Coding Agent)。 - 料金はRovo Dev Standardが開発者1名あたり月額2,730円(英語版表記で$20)。毎月2,000クレジットが付き、未使用分の翌月繰り越しはできません。
- 無料クレジットはRovo Dev Free。JiraのCloudプラン利用者に、1ユーザー・1サイトあたり月350クレジットが段階的に付与されます(管理者は30日前の通知でオプトアウト可)。
- 30日間の無料トライアル中はCLIとIDE拡張が使えません。試せるのはBitbucket・GitHub上のコードレビューなどに限られます。
- 接続できるリポジトリはBitbucket CloudとGitHub Cloudのみ(1リポジトリ20GBまで)。GitLabは公式が「対応時期は未定」と明言しています。
- 選ぶ基準はJira・Confluenceの利用実態。これらを使っていない組織では、Rovo Devの中核である組織コンテキストの参照がほぼ効きません。
Rovo Dev本体の位置づけとRovo(全社向け)との課金の境界
混同されやすいのが、Rovoという名前を共有する2つの製品です。Rovo(本体)はエンタープライズサーチ・AIチャット・エージェント作成を含む全社向けのAI機能で、Atlassian CloudのStandard以上のプランに組み込まれています。対してRovo Devは開発者向けの有料アドオンで、コード生成・コードレビュー・テスト生成といった開発固有の処理を担当します。JiraでAIチャットを使って課題を検索するだけならRovo本体の範囲ですが、そのチケットからコードを書かせてプルリクエストを作らせる時点でRovo Devのライセンスが要ります。
ライセンスはサイト全体ではなく、実際に使う開発者のアカウントにだけ割り当てられます。10名の開発チームのうち3名だけで試す配布が可能です。
Rovo Dev StandardとRovo Dev Freeのクレジット差
有料のRovo Dev Standardには月2,000クレジットの割り当てが付きます。この2,000クレジットはAtlassian組織レベルのプールとして扱われ、組織内の複数サイトをまたいで消費できます。無料のRovo Dev Freeは1ユーザー・1サイトあたり月350クレジットで、JiraのCloudプランを使う顧客に対し、すでにRovoを利用しているサイトから順に段階的にロールアウトされています。管理者にはロールアウトの30日前に通知が届き、オプトアウトも選べます。
Rovo Dev Standardを契約すると、350クレジットの無料枠は2,000クレジットの割り当てに置き換わります。両者は合算されません。
VS Code拡張の導入手順と対応IDE
VS CodeでRovo Devを使う方法は、2026年2月の一般提供開始で変わりました。それ以前はGitHub Copilot経由でRovoのデータを参照する形が中心でしたが、現在はAtlassian公式の拡張機能にRovo Devが同梱され、VS Code内で完結します。Copilot拡張を挟む必要はありません。
導入手順は次の3ステップです。
- VS Code Marketplaceで「Atlassian: Jira, Rovo Dev, Bitbucket」(拡張ID:
Atlassian.atlascode/旧称 Atlassian for VS Code)を検索してインストールする - Atlassianアカウント(JiraまたはBitbucket Cloudへのアクセス権を持つもの)でサインインする
- サイト管理者がRovo Devを有効化し、自分のアカウントにライセンスが割り当てられていることを確認する
拡張内では、自然言語の指示によるコード生成・リファクタリング・デバッグ・ユニットテスト生成に加え、Jiraワークアイテムの処理やBitbucketリポジトリへのコミットまで扱えます。差分をエディタ上で確認しながら承認できるため、レビューを挟む使い方はCLIより向いています。
対応IDEとトライアル中の制限
公式にサポートされるのはVS Codeと、Cursorに代表されるVS Code互換IDEです。JetBrains系IDE向けのRovo Dev拡張は、2026年7月時点で公式ドキュメントに記載がありません。
導入検討で見落とすと痛いのが、Rovo Dev Standardの30日間トライアル中はIDE内のRovo DevもCLIも利用できないという制限です。トライアルで試せるのはBitbucketとGitHub上のコードレビューなど、Rovo Dev CLI/IDE以外の機能に限られます。「トライアルでCLIの精度を測ってから本契約を決める」という進め方は成立しません。CLIやVS Code拡張の使用感を評価軸に置くなら、少人数分を実際に購入して1スプリント回すのが現実的です。
Rovo Dev CLIの導入とacliコマンドの実行
Rovo Dev CLIは独立したツールではなく、Atlassian Command Line Interface(ACLI)の拡張コマンドとして提供されます。したがって、まずACLIを入れます。
macOSはHomebrewでインストールできます。
brew tap atlassian/homebrew-acli
brew install acli
WindowsはPowerShellでバイナリを取得します。WSLの構築は不要です(ARM機ではacli_windows_arm64を選びます)。
Invoke-WebRequest -Uri https://acli.atlassian.com/windows/latest/acli_windows_amd64/acli.exe -OutFile acli.exe
ACLIを入れたら認証します。公式手順が指示しているのは、通常のAtlassian APIトークンではなくスコープ付きのAPIトークンです。Atlassianアカウントのセキュリティ設定から「API token with scopes」を作成し、Rovo Devが使うスコープ(chat:rovodev、search:rovodev、read系、write系、admin、delete、manage、view)を選択して発行します。公式ドキュメントには必要なスコープを選択済みの状態でトークンを発行できるリンクも用意されています。スコープを持たない通常のトークンでは認証に失敗したという報告が多く出ているため、ここは手順どおりに進めてください。
acli rovodev auth login
acli rovodev run
acli rovodev runで対話型セッションが立ち上がり、自然言語でコードの分析・生成・テスト実行を指示できます。旧来の記事や個人ブログではrovodev runという単体コマンドとして紹介されている例がありますが、現在の正しい呼び出しはacliを前置したものです。
セッション中は複数のスラッシュコマンドが使えます。/planで実装プランを先に立て、/modelsで使用モデルを切り替え、/yoloでツール実行の都度確認を省略、/memoryや/pruneでコンテキストを整理する、といった操作です。/yoloは確認を挟まずにファイル変更やコマンド実行が進むため、使うならバージョン管理下のブランチに限るのが安全です。
OS対応とバージョン更新の注意点
ACLIはmacOS・Linux・Windowsのいずれにもネイティブ対応しており、Windowsで動かすためにWSLを用意する必要はありません。運用面では、各ACLIバージョンのサポート期間がリリースから6か月である点に注意します。半年に一度は更新を挟む前提で手順書を作っておかないと、ある日コマンドが通らなくなります。
CLIを使う条件はIDEと同じで、サイトでRovo Devが有効化され、クレジットが割り当てられていることが前提です。トライアル期間中は利用できません。ターミナル中心でエージェントを回す運用そのものを比べたい場合は、GitHub Copilot CLIとは?Autopilot・Planなど動作モードと料金・インストールを解説やClaude Codeとは?できること・使い方・料金とコード解析の実力【2026年版】と挙動を突き合わせると判断しやすくなります。
MCPサーバー接続の設定ファイルと参照範囲の拡張
Rovo Dev CLIは、Model Context Protocol(MCP)サーバーへの接続に対応します。MCPはAIエージェントが外部ツールのデータや操作を呼び出すための共通プロトコルで、接続先を登録すると、Rovo DevのセッションからそのMCPサーバーが公開するツールを使えるようになります。Atlassian製品の内側にとどまらず、社内の別システムをエージェントの手足として足せる、という位置づけです。
設定は~/.rovodev/mcp.jsonに書きます。acli rovodev mcpを実行すると既定のエディタで開きます。トランスポートはstdio・http・sseの3方式に対応し、stdioはcommandとargs、http/sseはurl(必要に応じてheaders)で指定します。
{
"mcpServers": {
"my-tools": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@example/mcp-server"]
}
}
}
接続状況の確認や有効・無効の切り替えは、セッション中に/mcpを実行すると対話的に行えます。特定のサーバーを常時無効化したい場合は、~/.rovodev/config.ymlのdisabledMcpServersに名前を並べます。
接続を増やすほどエージェントが触れるデータ範囲は広がるため、どのMCPサーバーを許可するかは情報セキュリティ部門の承認プロセスに乗せてください。MCPサーバー側の認証方式と権限スコープの設計が、そのままRovo Devの実効的なアクセス範囲になります。この考え方はMCP全般に共通するので、認証とスコープの設計例はGitHub Remote MCP Serverとは?ローカル版との違い・接続手順・OAuth/PAT認証を解説が参考になります。
料金とクレジット消費の管理
Rovo Dev Standardの価格は、日本語の価格ページで開発者1名あたり月額2,730円、英語版で$20です。含まれるのは毎月2,000 Rovo Devクレジットで、Rovo Devの各操作がこのクレジットを消費します。消費量は操作の重さで変わり、短いコード説明より、複数ファイルにまたがるリファクタリングや長時間動くエージェント実行のほうが多く消費します。
超過課金と繰り越し不可という2つの制約
2,000クレジットを超えた分は従量課金です。単価は英語版の価格ページで1クレジットあたり$0.01、日本語の価格ページでは1クレジットあたり¥10と表記されており、表示が一致しません。契約前に自社の請求通貨で公式ページの最新額を確認してください。仕様として押さえるべきは次の2点です。
- 未使用クレジットは繰り越せない。今月500クレジットしか使わなくても、翌月は2,000クレジットからのスタートです。
- クレジット上限に達すると、次の請求サイクルで使用量がリセットされるまでRovo Devは停止する。超過課金を有効にしていない場合、月末に開発が止まります。
年額プランも提供されており、価格は個別見積もりです。年額契約でもクレジットの割り当てと消費は月単位でリセットされます。
消費量の可視化と予算設計
クレジットの消費量は、アプリスイッチャーからRovo Devを開き、サイドバーの「Your usage」で確認します。ここに自分の消費量と上限までの余裕が表示されます。作業中に確かめるなら、CLIセッションで/usageを実行するほうが早い方法です。
予算設計で注意すべきなのは、消費が跳ねる経路です。Jiraの自動化ルールからRovo Devを自動起動する設定を入れている場合、トリガー条件が広すぎると消費が一気に伸びます。ワークアイテムの種類や優先度で対象を絞り込み、まずは手動起動で1スプリント分の実消費を測ってから自動化の範囲を広げる順序が安全です。チーム全体の消費傾向は、各メンバーの/usageと請求内容を突き合わせて追うことになります。
Bitbucket・GitHub連携の前提条件とGitLab非対応の現状
Rovo Devにコードを触らせるには、リポジトリをJiraサイトに接続しておく必要があります。Jira上でコードを生成する機能は現在Jira Coding Agentという名称に移行しており、2026年7月時点の公式ドキュメントで対応が明記されているのはBitbucket CloudとGitHub Cloudの2つだけです。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 対応リポジトリ | Bitbucket Cloud / GitHub Cloud |
| 非対応 | GitLab(対応時期未定)/ Data Center・オンプレミス |
| リポジトリサイズ | 20GB以下 |
| 権限 | 読み取り・書き込み権限が必要 |
| プライベートリポジトリ | Bitbucketワークスペース/GitHub OrganizationをJiraサイトに接続 |
接続はBitbucket CloudならJiraのDVCS連携、GitHub CloudならGitHub for Jiraアプリ経由で行います。GitLabについては、2026年4月の公式Q&Aで「セルフマネージド版を含めGitLabは現在サポートしておらず、対応の時期も未定」と明言されました。GitLabやBitbucket Data Centerを使っている組織は、当面Rovo Devのコード生成・レビュー機能の対象外です。
GitHub Copilot・Claude Codeとの使い分けと、Rovo Devを選ぶべきでない場面
Rovo Devの差別化要因は明確です。Jiraのチケット、Confluenceの仕様書、Bitbucketのコミット履歴という「なぜこの実装が必要なのか」を持つデータに、標準機能としてアクセスできる点にあります。GitHub CopilotやClaude Codeは、基本的にリポジトリ内のコードとプロンプトで与えた情報が判断材料です。要件定義や過去の議論をエージェントに読ませたいなら、Rovo Devは接続作業なしにそれを実現します。
逆に言えば、Jira・Confluenceを使っていない組織がRovo Devを選ぶ理由はほとんどありません。中核の価値が組織コンテキストの参照にある以上、参照先が空なら、残るのは平凡なコーディングエージェントです。この場合はエディタ統合の完成度で選ぶほうが合理的で、GitHub Copilotエージェントモードの使い方|Ask・Edit・Agentの違いと有効化・料金【2026年版】で扱うAsk/Edit/Agentの使い分けのほうが日常の開発には効きます。GitLabをホスティングに使っている組織も、現時点では選択肢から外れます。
コード生成の素の実力については、Rovo Dev CLIがSWE-bench Full(2,294タスク)で41.98%の解決率を記録し、提出時点でリーダーボードの首位に立った実績があります。ただしこれは当時の数値で、より広く参照されるSWE-bench Verified(500タスク)では上位モデルが80%台に達しています。ベンチマークの絶対値でRovo Devを選ぶのではなく、Jira連携で削れる調査時間が自社のワークフローにあるかどうかで判断してください。
現実的な構成は併用です。日常のコード補完はCopilotやCursorに任せ、Jiraチケットを起点にした計画立案・プルリクエスト作成・進捗のJira側への反映をRovo Devに寄せる。Rovo Devの月額2,730円は、既存のAIコーディングツールの費用に上乗せされる前提でコストを見積もるのが正確です。
よくある質問
Rovo Devは無料で使えますか?
Rovo Dev Freeとして、JiraのCloudプラン利用者に1ユーザー・1サイトあたり月350クレジットが段階的に付与されています。全サイトに一斉展開されるわけではなく、Rovoをすでに使っているサイトから順にロールアウトされ、管理者には30日前に通知が届きます(オプトアウトも可能)。恒常的に使うなら月額2,730円のRovo Dev Standard(2,000クレジット)が前提です。
VS CodeでRovo Devを使うには何が必要ですか?
VS Code Marketplaceから「Atlassian: Jira, Rovo Dev, Bitbucket」拡張(拡張ID: Atlassian.atlascode)をインストールし、Atlassianアカウントでサインインします。2026年2月にVS Code版が一般提供となり、GitHub Copilot拡張を経由する必要はなくなりました。Cursorなど、VS Code互換のIDEでも動作します。
無料トライアル中にCLIやVS Code拡張を試せますか?
試せません。Rovo Dev Standardの30日間トライアルでは、Rovo Dev CLIとIDE内のRovo Devが対象外です。トライアル中に評価できるのはBitbucketとGitHub上のコードレビューなどに限られるため、CLIやIDEの使用感を確かめたい場合は少人数分のライセンスを購入して検証する必要があります。
使わなかったクレジットは翌月に繰り越せますか?
繰り越せません。クレジットは月ごとにリセットされ、未使用分は消えます。上限に達すると次の請求サイクルまでRovo Devは停止するため、月末に向けた消費ペースの監視が必要です。超過分は従量課金となり、単価は英語版で1クレジットあたり$0.01、日本語ページでは¥10と表記されています。
GitLabのリポジトリでRovo Devを使えますか?
使えません。2026年4月の公式Q&Aで、セルフマネージド版を含めGitLabは非対応であり対応時期も未定と示されています。サポートされるのはBitbucket CloudとGitHub Cloudで、リポジトリサイズは20GBまでという条件も付きます。