Gemini 2.0 Flashを調べている人が最初に知るべきことは、このモデルがもう動かないという事実です。Googleの提供終了一覧は gemini-2.0-flash の提供終了日を2026年6月1日として掲載し、現行のモデル一覧では Gemini 2.0 Flash に「Shut down」の表示が付いています。それでも検索上位には、無料で使える・APIキーを発行すればすぐ試せる、と書いたままの解説記事が残っています。この記事では、終了したモデルIDと日付、公式が指す移行先、単価がどう変わるか、そしてローカルで動かせるのかを、Google公式ドキュメントの記載に沿って整理します。
まとめ
結論から示します。
gemini-2.0-flashとgemini-2.0-flash-001の提供終了日は2026年6月1日。Flash-Liteの2つも同日です。- 公式が指定する移行先は、Flashが
gemini-3.6-flash、Flash-Liteがgemini-3.1-flash-lite。 - Live API向けの
gemini-2.0-flash-live-001は本体より早く、2025年12月9日で終了しています。 - 単価は2.0 Flashの入力100万トークン0.10ドル・出力0.40ドルに対し、3.6 Flashは入力0.75ドル・出力3.75ドル。モデルIDを置き換えるだけだと費用は上がります。
- Gemini FlashにローカルやオンプレミスでGoogleの重みを動かす経路はありません。手元で動かしたいならGemmaやGemini Nanoが別系統の答えです。
以下では、終了したモデルIDの一覧、2.0 Flashの仕様と当時の単価、移行先の選び分けと費用差、ローカル実行の可否の順に見ていきます。
Gemini 2.0 Flashの提供終了日と対象モデル
Gemini APIで終了したモデルIDと推奨移行先
Gemini APIの提供終了一覧(Google AI for Developers の Gemini deprecations ページ・2026年9月22日確認)に載っている2.0 Flash系の行は次の8つです。日付はすべて公式表の記載をそのまま引いています。
| モデルID | リリース日 | 提供終了日 | 推奨移行先 |
|---|---|---|---|
| gemini-2.0-flash | 2025-02-05 | 2026-06-01 | gemini-3.6-flash |
| gemini-2.0-flash-001 | 2025-02-05 | 2026-06-01 | gemini-3.6-flash |
| gemini-2.0-flash-lite | 2025-02-25 | 2026-06-01 | gemini-3.1-flash-lite |
| gemini-2.0-flash-lite-001 | 2025-02-25 | 2026-06-01 | gemini-3.1-flash-lite |
| gemini-2.0-flash-lite-preview | 2025-02-05 | 2025-12-09 | gemini-2.5-flash-lite |
| gemini-2.0-flash-lite-preview-02-05 | 2025-02-05 | 2025-12-09 | gemini-2.5-flash-lite |
| gemini-2.0-flash-preview-image-generation | 2025-05-07 | 2025-11-14 | gemini-2.5-flash-image |
| gemini-2.0-flash-live-001 | 2025-04-09 | 2025-12-09 | gemini-3.8-live |
注目したいのは終了の順番です。プレビュー版と画像生成版、そしてLive API版は2025年のうちに先へ消えており、安定版の gemini-2.0-flash だけが2026年6月まで残っていました。2025年に書かれた記事のサンプルコードがLive APIやプレビュー版を指している場合、その部分は本体より半年早く動かなくなっています。
非推奨と提供終了は別の段階
公式は2つの語を明確に分けています。提供終了一覧の冒頭にある定義は A "deprecation" is the announcement that we no longer provide support for a model, and that it will be "shut down" in the near future. Once a model is "shutdown", it is completely turned off, and the endpoint is no longer available. です。つまり非推奨は、その時点でサポートを終了したうえで近い将来のシャットダウンを予告する発表であり、提供終了はエンドポイントそのものが消えた状態を指します。非推奨の告知が出た時点でサポートは受けられません。
同じページには The shutdown dates listed in the table indicate the earliest possible dates on which a model might be retired. という注記もあり、表の日付は最短の予定日という扱いです。ではGemini 2.0 Flashは予定のままなのか実行済みなのかというと、現行のモデル一覧が答えを出しています。2.0 Flashと2.0 Flash-Liteは「Previous models」の節へ移され、モデル名の横に「Shut down」が付いています。予告の段階ではなく、すでに完了した状態です。
この2段階の区別は、Gemini 2.5 Flashと比べると分かりやすくなります。gemini-2.5-flash は同じ提供終了一覧に載っていますが、提供終了日の欄は未発表のままです。一覧に名前があること自体は終了を意味しません。日付の欄まで見る必要があります。
ただし2.5系は、誰でも新規に選べるモデルではなくなっています。同じ一覧の注記は、2.5モデルへのアクセスを過去に積極的に利用していたユーザーへ制限していること、これらは非推奨ではなく別途通知があるまで提供を続けること、新しいプロジェクトでは3.5 Flash-Liteまたは3.8 Flashを使うことを求めています。2.0が終了済みで2.5も新規には開かれていない以上、これから選ぶ先は3系です。
Gemini 2.0 Flashの仕様と当時の単価
コンテキスト100万トークンとネイティブツール利用
提供終了後もモデル一覧の「Previous models」に説明文が残っており、そこにGoogle自身による位置づけが書かれています。Our second generation workhorse model, with next-gen features and improved capabilities, including superior speed, native tool use, and a 1M token context window. という一文です。第2世代の主力モデルで、コンテキストウィンドウは100万トークン、ツール呼び出しをモデル側で扱えることが特徴として挙げられています。
リリース日は2025年2月5日、Flash-Liteが2025年2月25日です。ここで押さえておきたいのは、2.0 Flashが広く使われた理由が性能そのものより価格と速度の組み合わせにあった点です。100万トークンのコンテキストを安価に流せる点が、要約・分類・抽出のような大量処理と噛み合う条件でした。移行を検討するときも、比べるべきはベンチマークの点数ではなく、同じ処理量を今いくらで回せるかです。
提供終了時点の従量課金単価
2.0 Flashが現役だった時点の公式料金ページ(Gemini Developer API pricing・2025年10月時点の版)には、次の単価が掲載されていました。いずれも100万トークンあたりの米ドル建てです。
| モデル | 入力 | 出力 | 無料枠 |
|---|---|---|---|
| Gemini 2.0 Flash | $0.10(テキスト・画像・動画) / $0.70(音声) | $0.40 | あり |
| Gemini 2.0 Flash-Lite | $0.075 | $0.30 | あり |
音声入力だけ7倍の単価だった点は、当時の見積もりを再現するときに落としやすい条件です。なお現行の料金ページからは2.0系の行そのものが削除されており、単価を確認する手段は公開ドキュメントには残っていません。過去の試算書と突き合わせる必要がある場合は、社内に残した見積もりの数字を典拠にするしかありません。
移行先モデルの選び分けと費用差
公式の推奨移行先と現行のFlash系
提供終了一覧が gemini-2.0-flash の推奨移行先として指定しているのは gemini-3.6-flash です。ただし2026年9月時点のFlash系は3.6だけではありません。公式一覧の安定版には、リリース日の新しい順に gemini-3.8-flash(2026年9月2日)、gemini-3.7-flash(2026年8月13日)、gemini-3.6-flash(2026年7月21日)が並び、いずれも提供終了日は未発表です。
推奨移行先が最新版ではなく3.6 Flashである理由を、Googleは公表していません。少なくとも3.8 Flashを選んではいけないという意味ではありません。判断に迷うなら公式が指定した3.6 Flashに合わせるのが説明のつく選択で、長い工程のエージェントやコード生成を任せたい場合は、公式が最も高性能なFlashと位置づける3.8 Flashを検討します。どちらを選んでも移行後の挙動確認は省けません。Gemini 3.8 Flashとは?3.7からの差分・料金・移行コードを実装目線で解説【2026年9月】とGemini 3.6 Flashとは?料金・ベンチマーク・3.5 Flashとの違いを実装目線で解説【2026年7月】で、それぞれの差分を実装目線でまとめています。
標準料金で入力7.5倍・出力9.4倍の単価差
移行で最初に効いてくるのは費用です。2.0 Flashと現行Flashの単価を並べます。
| モデル | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) | 適用期間 |
|---|---|---|---|
| Gemini 2.0 Flash | $0.10 | $0.40 | 提供終了 |
| Gemini 3.6 Flash / 3.8 Flash | $0.75 | $3.75 | 2026年12月31日まで |
| Gemini 3.6 Flash / 3.8 Flash | $1.50 | $7.50 | 2027年1月1日から |
テキスト入力の標準料金どうしで比べると入力で7.5倍、出力で9.4倍です。2.0 Flashの音声入力は0.70ドルだったため、音声を多く流していた用途では倍率が変わります。さらに2027年1月1日からは現在の倍額になることが料金ページに明記されており、2026年内に立てた試算をそのまま来年の予算に載せると足りません。
見落としやすいのが出力側の数え方です。現行料金ページの出力単価は Output price (including thinking tokens) と書かれており、モデルが内部で消費した思考トークンも出力として課金されます。安定版の gemini-2.0-flash には思考量を指定する設定が無く出力は応答本文だけでしたが、3系のFlashは thinking_level で思考の量を調整する設計です。同じプロンプトでも出力トークン数は設定と処理内容で変わるため、単価の倍率だけで積算した見積もりは実額とずれます。移行の前後で実際のトークン使用量を計測してください。無料枠自体は現行Flashにも残っており、標準利用の入力・出力は無料枠の範囲で Free of charge と記載されています。ただし無料になるのは無料枠の対象範囲に限られ、Google検索によるグラウンディングのように機能別へ別建てで料金が設定されているものもあります。
モデルIDの置換と移行時の確認項目
実装側の最小の変更は、モデルIDの文字列の置換です。
# 提供終了済み。2026年6月1日以降は呼び出せない
MODEL = 'gemini-2.0-flash'
# 公式が指定する移行先
MODEL = 'gemini-3.6-flash'
ただしモデルIDを外部設定に切り出さず、複数のファイルへ直接書いている実装では取りこぼしが起きます。リポジトリ全体を gemini-2.0 で検索し、テストのモックやドキュメントのサンプルまで含めて置き換えてください。
置換だけで移行が終わるとは限りません。思考の設定やツールの定義、レスポンスの扱いは世代をまたぐと変わります。IDを差し替えたあとに、実際のリクエストとレスポンスを一度通して確認する工程を入れてください。
gemini-flash-latest のようなエイリアスを指定する選択肢もありますが、これは固定ではありません。公式は This alias will get hot-swapped with every new release と説明し、破壊的変更の場合はメールで2週間前に通知するとしています。本番環境で挙動を固定したいなら、安定版のモデルIDを明示的に指定するほうが安全です。
Gemini Flashのローカル実行可否と代替手段
「gemini flash local」という検索が一定数あります。結論は、Gemini Flashをローカルで動かす経路は用意されていません。Geminiのモデルは公式ドキュメント上つねにエンドポイント経由で提供されており、モデル一覧も各モデルにエンドポイント名を対応付ける表の形を取っています。提供終了の定義が the endpoint is no longer available という表現になっているのも、アクセス手段がGoogle側のエンドポイントしか無いことの裏返しです。重みの配布は行われていないため、ネットワークを切った環境で2.0 Flash相当を動かすという要求は、そもそも成立しません。
では手元で動かしたい場合はどうするか。Googleの系統には目的の違う2つの選択肢があります。
- オフラインや自社サーバーで動かしたい場合はGemma。モデルの重みが配布されており、量子化して手元のGPUで動かせます。Gemma 4とは|モデル一覧・必要スペック(VRAM)・量子化(GGUF/AWQ)・ローカル実行を解説【2026年版】で必要VRAMまで整理しています。
- デスクトップのブラウザ内で動かしたい場合はGemini Nano。ChromeのPrompt API経由で使い、モデルは初回利用時に端末へダウンロードされます。対応OSはWindows 10と11、macOS 13以降、Linux、ChromeOS(Chromebook Plus)で、Chromebook Plus以外の端末のAndroid版ChromeとiOS版Chromeは対象外です。Gemini Nano(ジェミニナノ)とは?Chrome内蔵AIの性能・有効化・使い方【2026年最新】で有効化の手順を扱っています。
この3つは提供形態が違います。Gemini APIはGoogleが運用するエンドポイント、Gemmaは自分で配置する重み、Gemini NanoはChromeに組み込まれた小型モデルです。データを外へ出せないという制約が先にあるなら、Gemmaを前提に設計してください。選ぶ順番としては、必要なコンテキスト長、扱うモダリティ、許容できるレイテンシ、手元のVRAMの4点を先に決めます。Flash系と同じ応答品質を前提にローカル化を進めると、この4点のどこかで折り合わずやり直しになります。
古い解説記事を再利用するときの判断基準
Gemini関連の日本語記事は更新日の表示だけでは鮮度を判断できません。更新日が新しくても、モデルIDと単価が当時のまま残っている記事が検索結果に並びます。読む側で判定するには、記事本文の次の3点を見てください。
- モデルIDが
gemini-2.0-flashと書かれている。提供終了済みのIDなので、そのコードは動きません。 - 単価が入力0.10ドル・出力0.40ドルと書かれている。これは2025年前半の料金ページの数字です。
- Google AI Studioで無料ですぐ試せる、と2.0 Flashを指して書かれている。無料枠の記述自体は現行モデルにもありますが、2.0 Flashを選ぶことはできません。
判定に迷ったら、公式の提供終了一覧でモデルIDを検索し、提供終了日の欄を見るのが最短です。提供終了日が未発表と書かれていれば現役です。日付が入っている場合、その日付は最短の終了予定日にあたるため、過ぎていること自体が停止の確定ではありません。実際に止まったかどうかは、モデル一覧で「Shut down」の表示が付いているかまで見てください。バージョン番号の大小だけで新旧を判断すると、2.0が終了済みで2.5は新規利用に開かれていないという現在の状態を読み違えます。
社内のドキュメントやプロンプト集についても同じ点検が要ります。モデルIDを直書きした運用手順書は、APIの呼び出しが失敗してから気付くことになりがちです。Geminiのモデル世代全体の整理はGemini 3とは?Google最新AIモデルの特徴・ラインアップ・料金と3.1への進化にまとめています。
よくある質問
Gemini 2.0 Flashは今も使えますか?
使えません。Gemini APIの提供終了一覧では gemini-2.0-flash の提供終了日が2026年6月1日と記載され、現行のモデル一覧でも「Previous models」の節に移されて「Shut down」と表示されています。APIから呼び出す経路は残っていません。
Gemini 2.0 Flash Thinkingはどうなりましたか?
すでに終了しています。Flash Thinkingは実験版として公開されたモデルのため安定版のような提供終了一覧の行を持たず、終了はリリースノート(Gemini API changelog)で告知されました。gemini-2.0-flash-thinking-exp、gemini-2.0-flash-thinking-exp-01-21、gemini-2.0-flash-thinking-exp-1219 の3つが2025年12月2日にシャットダウンされています。最初の公開は2024年12月19日のプレビュー版で、公開から約1年で終了した計算です。思考を伴う処理が必要なら、思考の量を thinking_level で指定できる現行のFlash系を使うことになります。
Gemini 2.0 Flashの料金はいくらでしたか?
提供終了前の公式料金ページでは、入力が100万トークンあたり0.10ドル(テキスト・画像・動画)、音声入力が0.70ドル、出力が0.40ドルでした。Flash-Liteは入力0.075ドル・出力0.30ドルです。現行の料金ページからは2.0系の行が削除されているため、この数字を公式サイトで確認することはできません。
Gemini 2.0 Flashをローカルで動かせますか?
できません。gemini-2.0-flash を含むGemini APIのモデルは重みが配布されておらず、Googleのエンドポイント経由でしか呼び出せませんでした。自前の環境で動かす必要があるならGemma、対応デスクトップのChrome内で完結させたいならGemini Nanoが対応する選択肢になります。
Gemini 2.1 Flashというモデルはありますか?
公式のモデル一覧に2.1という世代は存在しません。2.0 Flashの次に来たFlash系の安定版は2.5 Flash(2025年6月17日リリース)で、その後3系へ移り、2026年9月時点の最新安定版は3.8 Flash(2026年9月2日リリース)です。検索で2.1という表記を見かけた場合は、世代の取り違えかFlash-Liteの3.1系との混同が疑われます。