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Chrome 144とは?変更点・ビルド番号一覧とChromeOS LTS-144の終了

Chrome 144とは?変更点・ビルド番号一覧とChromeOS LTS-144の終了

Chrome 144は、Google Chromeのメジャーバージョン144で、2026年1月13日に安定版になりました。パソコン向けの通常配信は2月3日の144.0.7559.132/.133で終わり、ChromeOSでは長期サポート版のLTS-144として9月28日の144.0.7559.264まで更新が続きました。そのLTSチャンネルも2026年10月6日にLTS-150へ移り、10月22日時点で144系に新しいビルドは出ていません。この記事は、ログや端末一覧で144を見かけた人と、144の頃から画面が変わって使いにくくなったと感じている人に向けて、ビルド番号の一覧と144で入った変更をChromeの公式告知から整理します。今の安定版と更新手順はChrome最新バージョンは155(2026年10月)|確認・更新方法とバージョン履歴一覧で扱っています。

まとめ:Chrome 144の要点

  • 安定版になったのは2026年1月13日です。パソコン向けの最初のビルドは144.0.7559.59(Linux)と144.0.7559.59/.60(Windows・Mac)でした。
  • パソコン向けの通常の安定版は、初回公開を含めて4回配信され、告知された脆弱性修正は合計14件でした。最後のビルドは2月3日の144.0.7559.132/.133です。
  • 144系で一番長く配信されたのはChromeOSです。4月21日にLTS-144へ昇格し、9月28日の144.0.7559.264(OS 16503.97.0)が最後でした。10月6日にLTSチャンネルは150.0.7871.256へ移り、144に固定した端末だけが144に残ります。
  • Web開発者向けには、ページ内検索のヒットを装飾する::search-text、位置情報の<geolocation>要素、日時APIのTemporalが入りました。
  • 使いにくくなったと感じる画面の変更は、企業向けリリースノートに載っています。AIモードとLensで複数タブの内容を共有できるようになり、新しいタブページの簡素化も進みました。マルチタブ共有には無効化ポリシーがありますが、簡素化を元に戻す専用ポリシーは144の企業向けノートに記載されていません。
  • 通常の安定版144の公開告知に列挙された14件には、告知時点で悪用の記載はありません。Extended Stableの144.0.7559.177(2月13日)で直したCVE-2026-2441が、144系で唯一「in the wild」と書かれた修正です。
  • パソコン向け144の更新配信は終了しているため、144に固定したまま運用せず、サポート中の版へ更新してください。今の安定版は10月20日に出た156です。

Chrome 144のリリース日程とビルド番号の一覧

Chromiumのリリース日程データベース(chromiumdash)によると、144は2025年11月10日に機能を凍結し、12月3日にベータを始め、2026年1月13日に安定版になりました。日程データ上のLate Stableは1月27日です。この日付は、全端末で更新が完了したことを意味しません。Chrome Releasesの告知に出た144系のビルドは次のとおりです。脆弱性の列は、パソコン向けは告知に書かれた修正件数、ChromeOSは告知に並んだCVEの数です。

配信日 チャンネル・環境 ビルド 脆弱性
2026-01-07 Early Stable(Win・Mac) 144.0.7559.59 記載なし
2026-01-07 iOS 144.0.7559.53 記載なし
2026-01-13 Stable(パソコン) 144.0.7559.59/.60 10件
2026-01-13 Android 144.0.7559.59 記載なし
2026-01-13 iOS 144.0.7559.85 記載なし
2026-01-14 Android 144.0.7559.76 記載なし
2026-01-20 Stable(パソコン) 144.0.7559.96/.97 1件
2026-01-20 Android 144.0.7559.90 記載なし
2026-01-20 iOS 144.0.7559.95 記載なし
2026-01-27 Stable(パソコン) 144.0.7559.109/.110 1件
2026-01-27 Android 144.0.7559.109 記載なし
2026-01-27 ChromeOS Stable(16503.60.0) 144.0.7559.108 22(OS部品含む)
2026-02-03 Stable(パソコン) 144.0.7559.132/.133 2件
2026-02-03 Android 144.0.7559.132 記載なし
2026-02-03 ChromeOS LTC(16503.60.0) 144.0.7559.108 記載なし
2026-02-10 ChromeOS Stable(16503.74.0) 144.0.7559.172 記載なし
2026-02-10 Extended Stable 144.0.7559.173 記載なし
2026-02-13 Extended Stable 144.0.7559.177 1件(悪用あり)
2026-02-18 Extended Stable 144.0.7559.220 記載なし
2026-02-23 Extended Stable 144.0.7559.225 記載なし
2026-03-03 Extended Stable 144.0.7559.236 記載なし
2026-03-16 ChromeOS LTC(16503.78.0) 144.0.7559.246 2
2026-03-26 ChromeOS LTC(16503.79.0) 144.0.7559.247 記載なし
2026-04-14 ChromeOS LTC(16503.80.0) 144.0.7559.248 4
2026-04-21 ChromeOS LTSへ昇格 144.0.7559.248 記載なし
2026-04-29 ChromeOS LTS(16503.81.0) 144.0.7559.249 4
2026-05-11 ChromeOS LTS(16503.82.0) 144.0.7559.250 11
2026-05-22 ChromeOS LTS(16503.84.0) 144.0.7559.252 11
2026-06-03 ChromeOS LTS(16503.86.0) 144.0.7559.254 15
2026-06-12 ChromeOS LTS(16503.87.0) 144.0.7559.255 40
2026-06-25 ChromeOS LTS(16503.88.0) 144.0.7559.256 24
2026-07-08 ChromeOS LTS(16503.90.0) 144.0.7559.257 10
2026-07-28 ChromeOS LTS(16503.91.0) 144.0.7559.258 29
2026-08-10 ChromeOS LTS(16503.92.0) 144.0.7559.259 52
2026-08-27 ChromeOS LTS(16503.94.0) 144.0.7559.261 28
2026-09-10 ChromeOS LTS(16503.95.0) 144.0.7559.262 9
2026-09-28 ChromeOS LTS(16503.97.0) 144.0.7559.264 17

パッチ番号(最後の4つ目の数字)は環境ごとに別々に進みます。パソコンの安定版は.133で止まりましたが、ChromeOSでは.172や.264が実在します。社内の端末を棚卸しして144系を探すとき、上限を.133と決めつけるとChromeOS端末を取りこぼします。

ChromeOSのLTS-144は2026年10月6日にLTS-150へ移行

144系の配信が長く続いたのは、ChromeOSの長期サポート(LTS)に選ばれたからです。LTSの候補版であるLTC-144は、4月21日の告知で「The Long Term Support Candidate LTC-144 has been promoted to ChromeOS LTS-144」としてLTSへ昇格しました。ここから約5か月、144のままセキュリティ修正だけを受け取る運用が続き、9月28日の144.0.7559.264にはCriticalのCVE-2026-95313(Fullscreenの解放後利用)を含む17件のCVEが並んでいます。

終わりは10月6日の「Major update from 144-> 150」の告知です。告知は、LTC-150がLTS-150に昇格し、150.0.7871.256(OS 16700.66.0)を配信すると伝えたうえで、「If you are currently on the ChromeOS Long Term Support (LTS) channel (and not pinned to 144), your devices will automatically update to ChromeOS LTS 150.」と書いています。つまりLTSチャンネルの端末は自動で150へ上がり、管理コンソールで144に固定(pin)した端末だけが144に残ります。10月6日以降、LTS-144向けの告知は出ていません。144に固定した端末が残っていたら、固定を外して150へ上げる時期を決めてください。

前回の入れ替わりは4月21日の138から144で、LTSは約半年ごとに6世代ずつ移っています。次の時期は、LTC告知の「The LTS channel remains on LTS-150 until」の日付で確かめられます。通常のChromeOS Stableが144から145へ移ったのは2月26日の145.0.7632.154で、パソコンより16日遅れでした。版ごとのずれ方はChrome 149.0とは?ログイン通知に出る意味と配信期間・今の版との差でも同じです。

Chrome 144で使えるようになったWeb機能と実装例

リリースノートにはCSS・DOM・JavaScript・WebGPU・WebRTCなど20を超える変更が載っています(Chrome 144 release notes)。New in Chrome 144が目玉に挙げているのは次の3つです。2026年10月22日に手元のChrome 155.0.8059.85(macOS、ヘッドレスモード)で機能検出をすると、CSS.supports("selector(::search-text)")と"HTMLGeolocationElement" in windowはどちらもtrue、typeof Temporalは"object"でした。機能検出で分かるのはAPIの有無までで、ハイライトの表示や測位の成功は確かめていません。Temporalは下のコードを実際に実行しています。

ページ内検索のヒットを装飾する擬似要素 ::search-text

CSS Pseudo-Elements Level 4の::search-textが実装されました。仕様は「ユーザーエージェントのページ内検索機能が特定したテキストを表す」と定義しており、選択範囲やスペルミスと同じハイライト擬似要素の仲間です。ブラウザ既定のハイライト色がページの配色に合わず見えにくいときに、サイト側で色を指定できます。

::search-text {
  color: #102a43;
  background-color: #ffe9a8;
}

/* 現在フォーカスされているヒットだけ色を変える */
::search-text:current {
  background-color: #ff9f45;
}

注意点は2つです。1つ目は、仕様上この擬似要素の実装が任意だという点です。仕様は「すべてのUAがハイライト擬似要素で表現できる形でヒット箇所を装飾するわけではないため、この擬似要素の実装は任意である」としています。2つ目は擬似クラスの組み合わせで、::search-textと組み合わせられるのは:currentだけです。:pastと:futureは将来のための予約にとどまり、未対応の組み合わせは無効として扱われます。

<geolocation> 要素による位置情報の許可取得と測位

Chrome 144から<geolocation>要素が使えます。スクリプトから許可ダイアログを出す代わりに、ブラウザが管理するボタンをページに埋め込み、ユーザーのクリックを起点に位置情報を渡す仕組みです。公式解説(The geolocation HTML element)は、この要素が許可の仲介役ではなくデータの仲介役として働くと説明しています。許可が下りた後にnavigator.geolocationを呼び直す必要はなく、要素自身が測位結果を持ちます。

<geolocation
  onlocation="handleLocation(event)"
  autolocate
  accuracymode="precise">
  <!-- 未対応ブラウザではここが表示される -->
  <button onclick="legacyLocate()">
    現在地を使う
  </button>
</geolocation>
function handleLocation(event) {
  if (event.target.position) {
    const { latitude, longitude } = event.target.position.coords;
    console.log("Location retrieved:", latitude, longitude);
  } else if (event.target.error) {
    console.error("Error:", event.target.error.message);
  }
}

// フォールバック用(未対応ブラウザのボタンから呼ぶ)
function legacyLocate() {
  navigator.geolocation.getCurrentPosition(
    (pos) => console.log("Location retrieved:", pos.coords.latitude, pos.coords.longitude),
    (err) => console.error("Error:", err.message)
  );
}

// 機能検出はコンストラクタの有無で行う
if (!("HTMLGeolocationElement" in window)) {
  // 既存の navigator.geolocation へフォールバックする
}

前身はカメラやマイクも扱う汎用の<permission>要素で、Chrome 126から143までのオリジントライアルでは、Zoomのカメラ・マイク取得エラーが46.9%減ったと公式解説は伝えています。AppleとMozillaの指摘を受けて機能別の要素に分け、その第1弾が<geolocation>です。Chromeは許可プロンプトが3回閉じられると、そのサイトからの要求を自動で抑止し、初回は1週間その状態が続きます。スクリプトからプロンプトを出す旧来のコードはこの状態で何も起きずに失敗し、ユーザーには復帰の手段が見えません。要素のクリックからは、その復帰フローを呼び出せます。

Dateを置き換える日時API Temporalの日付差分と時差変換

ECMAScriptのTemporalがChrome 144の安定版に入りました。Dateの置き換えとなるAPIで、Mathと同じくトップレベルの名前空間です。次のコードは、上記のChrome 155でポリフィルなしに実行し、コメントのとおりの出力になりました。

// Chrome 144と145の安定版昇格日の間隔
const start = Temporal.PlainDate.from("2026-01-13");
const end = Temporal.PlainDate.from("2026-02-10");
console.log(start.until(end, { largestUnit: "day" }).toString());
// -> P28D

// タイムゾーンを持ったまま変換する
const zdt = Temporal.ZonedDateTime.from("2026-01-13T10:00[Asia/Tokyo]");
console.log(zdt.toString());
// -> 2026-01-13T10:00:00+09:00[Asia/Tokyo]
console.log(zdt.withTimeZone("UTC").toString());
// -> 2026-01-13T01:00:00+00:00[UTC]

// 米国の夏時間開始(2026年3月8日)をまたぐ2日間
const a = new Date("2026-03-07T12:00:00-05:00");  // ニューヨークの正午(標準時)
const b = new Date("2026-03-09T12:00:00-04:00");  // ニューヨークの正午(夏時間)
console.log((b - a) / 86400000);
// -> 1.9583333333333333
console.log(Temporal.PlainDate.from("2026-03-07").until("2026-03-09").toString());
// -> P2D

最後の2行がDateとの差です。ミリ秒の差を86400000で割る書き方では、夏時間の切り替えで1日が23時間になる区間で1.958日という半端な値になります。Temporal.PlainDateは時刻もタイムゾーンも持たない日付型なので、日付単位のまま2日と数えます。なお、P28Dは144の頃のChromeが4週間ごとにメジャー版を出していたことを示しています。Chromeは153から2週間ごとに変わりました。サーバー側で同じコードを使う場合は、実行環境で先にtypeof Temporalを確かめてください。Node.jsは26.0.0の公式告知で「The Temporal API is now enabled by default in Node.js 26.」としていますが、手元の/usr/local/bin/node(v26.5.0)ではundefinedが返りました。このようにundefinedになる環境では、temporal-polyfillなどのポリフィルを使います。

開発ツールでは、chrome://inspectの画面からリモートデバッグ用サーバーを起動できるようになりました。企業向けリリースノートには、これまでは起動時のコマンドライン引数が必要だったと書かれています。RemoteDebuggingAllowedポリシーがfalseの環境では使えません。この口をAIエージェントから使う構成はChrome DevTools MCPの導入手順と設定|58ツールの絞り込みと接続方式を実装目線で解説で扱っています。

Chrome 144で使いにくくなったと感じる画面の変更と止め方

AIモードや新しいタブページなど、Chromeの操作画面に関わる変更は、開発者向けのリリースノートではなく、企業・教育機関の管理者向けのChrome Enterprise and Education release notesに載ります。144版(2026年1月9日公開)に並んでいる、利用者の画面に出る変更は次のとおりです。

変更 対象OS 止めるポリシー
AIモード・Lensのマルチタブ Windows・Mac SearchContentSharingSettings=1
新しいタブページの簡素化 Windows・Mac・Linux・ChromeOS 記載なし(段階展開)
Gemini in Chromeの拡張 Windows・Mac(ChromeOSは一部) GeminiSettings=1
改ざんされた設定の自動リセット Windows(管理対象) 記載なし
Happy Eyeballs V3 iOS以外 HappyEyeballsV3Enabled(一時的)

一番目立つのはAIまわりです。Chrome 143からWindowsとMacでは、新しいタブページとアドレスバーからAIモードを直接開けるようになりました。144ではさらに、AIモードとLensで開いているタブの内容を1つ以上選んで共有し、まとめて質問・比較・要約できる「マルチタブコンテキスト」の展開が始まりました。AIモードやLensの入口、タブ内容の共有確認が表示された場合は、この変更が関係している可能性があります。ボタン名と共有先を確認して切り分けてください。

新しいタブページは、企業向けノートの説明によると「Dismiss module」ボタンがなくなりました。ポリシーで管理していないモジュールは、長く使わないと自動で消えることもあります。以前あったカードが消えた、閉じるボタンが見当たらない、という声はこの変更で説明できます。Gemini in Chromeについては、144からWindowsとMacの一部の個人ユーザー(企業の管理対象外)にエージェント機能(agentic capabilities)を提供すると書かれ、ChromeOSでも早ければ144から一部の端末へ段階的に配信するとされています。

Windowsの管理対象のChromeでは、検索エンジンなどの重要な設定が不正なソフトに書き換えられたと判断すると、既定値へ自動で戻すようになりました。それまでWindowsの企業ユーザーは、移動プロファイルとの相性の問題でこの保護の対象外でした。144で暗号化を使う新しい方式に替わり、対象に加わっています。設定がいつの間にか元に戻ったときは、拡張機能や常駐ソフトが書き換えていないかを先に疑ってください。接続面では、DNSの名前解決と接続の試行を並行させるHappy Eyeballs V3がiOS以外のすべての環境に入りました。社内プロキシやIPv6の環境で接続の挙動が変わった場合は、一時的なポリシーHappyEyeballsV3Enabledで切り分けられます。

管理者がAIまわりを止める場合のポリシーは次のとおりです。以下はWindowsのレジストリに設定するキー・値名・型・値の一覧で、そのまま実行できるコマンドや.regファイルではありません。

HKLM\SOFTWARE\Policies\Google\Chrome
  SearchContentSharingSettings  REG_DWORD  1   (タブ内容の検索への共有、AIモード・Lensのマルチタブを止める)
  AIModeSettings                REG_DWORD  1   (新しいタブページとアドレスバーのAIモードを止める)
  GeminiSettings                REG_DWORD  1   (Gemini in Chromeを止める)

値の意味は企業向けノートにある「turn off these features (value 1)」のとおりです。生成AI機能の既定を一括で決めるGenAiDefaultSettingsはオフの値が2(0は許可、1は学習なしで許可)で、Chromiumのポリシー定義でcloud_only: trueとされているため、上のレジストリでは配れません。Google管理コンソール(Chrome Enterprise Core)から配ってください。配った後はchrome://policyを開き、各ポリシーの状態が「OK」になっているかを確かめてください。同じ世代のEdgeで増えたCopilotの表示と、その消し方はMicrosoft Edge 144の変更点|Copilotアイコン非表示ポリシー・WARP・不具合と修正ビルドにまとめています。

Chrome 144で廃止が予告されたPrivacy Sandbox APIとXML外部実体

144の開発者向けリリースノートには「Deprecations and removals」の節があり、4項目が並んでいます。企業向けノートのほうは対象が広く、Privacy SandboxのAPIを7つ挙げて、時期まで書いています。

資料 対象 書かれている時期
開発者向けノート Private Aggregation・Shared Storage・Protected Audience 廃止と削除の予告
開発者向けノート XSLTを使わないXMLの外部実体読み込み 廃止の提案
企業向けノート 上記3つ+Topics・Attribution Reporting 144で非推奨開始、150で削除予定
企業向けノート Related Web Sites・requestStorageAccessFor 144で非推奨開始、150で削除予定

企業向けノートは「Deprecation will begin with Chrome 144, and removal is planned for Chrome 150.」と書き、150で削除するときに関連するポリシー(PrivacySandboxAdTopicsEnabledなど5つ)も消すとしています。開発者向けノートだけを見て「TopicsはChrome 144と無関係」と判断するのは誤りです。非推奨になった後もAPIは残り、ほとんどの利用者には影響が出ないとも書かれています。ただし、k匿名性サーバーなどサーバー側と連携している事業者のサービスは止まります。

廃止の理由として示されているのは、Chromeがサードパーティ Cookieの現行方式を維持すると決めたことです。2025年4月22日の表明と、廃止する技術を名指しした2025年10月17日の発表が根拠です。広告計測やCookieの扱いへの影響はサードパーティCookie廃止の現在地と企業がとるべき対策【2026年最新】で整理しています。XMLの外部実体は「Chrome plans to deprecate loading external entity definitions in XML documents that don’t use XSLT.」と対象が限られています。XSLTそのものの削除は別の計画です。144の企業向けノートの「今後の変更予定」には、143で非推奨、152でオリジントライアルと企業ポリシーを開始、155で安定版のXSLTが動かなくなり(トライアルとポリシーの参加者を除く)、164で全員について無効化する予定が載っています。Chromium系の削除時期はMicrosoft Edge 151の新機能と変更点|新ポリシー3種・Drop廃止とXSLT停止の時期で追っています。

Chrome 144で修正された脆弱性とExtended Stableのゼロデイ

安定版になった1月13日の告知には「This update includes 10 security fixes.」とあり、10件のCVEが並んでいます。深刻度の内訳はHighが3件、Mediumが4件、Lowが3件です。外部の研究者が報告したのは8件で、CVE-2026-0900とCVE-2026-0905の2件はGoogle自身の報告でした。BlinkのCVE-2026-0901は報告日が2021年10月4日で、修正まで4年以上かかっています。

CVE 深刻度 箇所 配信日
CVE-2026-0899 High V8の境界外メモリアクセス 2026-01-13
CVE-2026-0900 High V8の不適切な実装 2026-01-13
CVE-2026-0901 High Blinkの不適切な実装 2026-01-13
CVE-2026-0902 Medium V8の不適切な実装 2026-01-13
CVE-2026-0903 Medium ダウンロードの入力検証不足 2026-01-13
CVE-2026-0904 Medium Digital CredentialsのUI 2026-01-13
CVE-2026-0905 Medium ネットワークのポリシー適用不足 2026-01-13
CVE-2026-0906 Low セキュリティUIの不備 2026-01-13
CVE-2026-0907 Low 分割ビューのUI 2026-01-13
CVE-2026-0908 Low ANGLEの解放後利用 2026-01-13
CVE-2026-1220 High V8の競合 2026-01-20
CVE-2026-1504 High Background Fetch APIの実装 2026-01-27
CVE-2026-1861 High libvpxのヒープバッファオーバーフロー 2026-02-03
CVE-2026-1862 High V8の型混同 2026-02-03

この14件について、告知に悪用の記載はありません。悪用があったのはExtended Stableのほうで、2月13日の144.0.7559.177の告知は、CVE-2026-2441(CSSの解放後利用、High、2月11日報告)を挙げて「Google is aware that an exploit for CVE-2026-2441 exists in the wild.」と書いています。報告から2日での配信です。同じ日に通常の安定版は145.0.7632.75/.76で同じ修正を受け取っており、通常の安定版の利用者には144のままこの修正が届く道はありませんでした。米CISAは2月17日に、この脆弱性を悪用が確認された脆弱性の一覧(KEV)へ加えています。

ChromeOSのLTC-144にも、悪用された脆弱性の修正が入っています。3月16日の144.0.7559.246が直したCVE-2026-3909(Skiaの境界外書き込み)とCVE-2026-3910(V8の不適切な実装)は、どちらも3月13日にKEVへ追加されたものです。CISAのKEVカタログで2026年に追加されたChrome由来の脆弱性は、10月22日時点で7件あります。CVE-2026-2441、3909(Skia)、3910、5281(Dawn)、11645、85046、87491です。製品名がChromiumでなくSkiaやDawnで登録されたものもあり、「Chromium」だけで検索すると5件しか出ません。件数の多い版を比べるならChrome 148の脆弱性79件とは?148.0.7778.168などビルド別の修正内容と今上げる版【2026年10月】が参考になります。

144のままのChromeを今のバージョンへ上げる手順と確認コマンド

2026年10月20日にChrome 156がパソコン向けの安定版になりました。ビルドは156.0.8078.47/.48(Windows・Mac)と156.0.8078.47(Linux)で、告知には353件の脆弱性修正が書かれています。144から数えて12世代先です。Chromeは153から4週間ごとの更新を2週間ごとに改めたので、144の頃より早く世代が進みます。2週間サイクル開始の公式ブログによると、更新を遅らせたい組織向けのExtended Stableは、セキュリティ修正こそ毎週届きますが、メジャー版は8週間ごと(156、160のように)にしか変わりません。Extended Stableは10月15日に152.0.7977.169が出ており、10月20日の156の告知には「Extended Stable updates」のラベルも付いています。

画面での確認は、右上のその他アイコンから[ヘルプ]→[Google Chrome について]を選びます(Google Chrome を更新する)。表示された番号が今のバージョンで、この画面を開くと更新の確認も始まります。[再起動]が出なければ最新です。Linuxはパッケージマネージャ、ChromebookはChromeOSの更新で上がります。

端末の棚卸しで画面を開かずに調べるなら、コマンドで取れます。次はmacOSでの実行例です(2026年10月22日の手元の出力)。

$ "/Applications/Google Chrome.app/Contents/MacOS/Google Chrome" --version
Google Chrome 155.0.8059.85
$ defaults read "/Applications/Google Chrome.app/Contents/Info" CFBundleShortVersionString
155.0.8059.85

この端末の取得結果は155系でした。バージョン番号だけでは、156の段階配信待ちか、更新設定など別の原因かは判別できません。安定版は数日から数週間かけて順に配られるので、156が出た当日に155の端末が残っていても異常ではありません。一方、144のまま止まっている端末は、自動更新が止まっているか、OSが要件を外れている可能性が高いと考えてください。Chromeのシステム要件は、WindowsがWindows 10以降またはWindows Server 2016以降(IntelならSSE3対応のPentium 4以降、ARMならWindows 11以降)、MacがmacOS 13 Ventura以降、Linuxが64ビットのUbuntu 18.04以降・Debian 10以降・openSUSE 15.5以降・Fedora Linux 39以降です。macOS 12で動くChromeは150が最後で、151以降は更新されません。社内の端末の更新状況や公開しているWebシステムを第三者に点検してもらいたい場合は、脆弱性診断・セキュリティ診断を使えます。

Chrome 144以降に重い・フリーズすると感じたときの切り分け

Chrome 144のリリース告知だけでは、個別端末で起きるフリーズの原因を特定できません。フリーズや応答なしが起きたら、版の問題と決めつける前に公式ヘルプ(Chrome がクラッシュする、起動しないなどの問題を解決する)の順で切り分けるほうが早く片付きます。

まずメモリを空けます。エラーが出ているタブ以外をすべて閉じ、ほかのアプリを終了し、ダウンロード中なら止め、不要な拡張機能をアンインストールします。そのうえでChromeを終了して開き直します。終了はWindowsがAlt+Fの後にX(キーボード ショートカットの表記)、MacがCmd+Qで、閉じたタブはCtrl+Shift+T(MacはCmd+Shift+T)で戻せます。

再発するなら原因を絞ります。同じページを別のブラウザで開くと、Chrome固有の問題か、サイトやネットワークに共通する問題かを絞り込めます。Chrome側なら拡張機能をすべて外し、1つずつ戻します。GPUとの相性が疑わしいときは[設定]→[システム]で[グラフィック アクセラレーションが使用可能な場合は使用する](クラッシュのヘルプでは旧名の「ハードウェア アクセラレーション」)をオフにし、再起動して挙動が変わるかを見ます。前の章で触れたマルチタブの共有やGemini in Chromeが動き出してから重くなったなら、管理者に上記のポリシーで止めてもらって比べる方法もあります。

Chromeがまったく起動しないときは、裏で残ったプロセスが原因のことがあります。WindowsはCtrl+Alt+Deleteからタスクマネージャを開いて[Google Chrome]か[chrome.exe]のタスクを終了し、MacはCmd+Option+Escで強制終了します。それでも直らなければプロフィールの破損を疑います。公式の案内は、[閲覧データも削除しますか]をオンにしてアンインストールし、入れ直すことです。読み込みエラーのコードは、アドレスバーにchrome://network-errors/と入れると一覧が出ます。

よくある質問

Chrome 144はいつリリースされましたか?

安定版になったのは2026年1月13日です。先行配信のEarly Stableは1月7日、ベータの開始は2025年12月3日、日程データ上のLate Stableは2026年1月27日でしたが、全端末の更新完了日を示すものではありません。

Chrome 144の最後のビルドはどれですか?

環境で違います。パソコンの通常の安定版は2月3日の144.0.7559.132/.133、Extended Stableは3月3日の144.0.7559.236、ChromeOSはLTS-144の9月28日の144.0.7559.264(OS 16503.97.0)が最後です。144.0.7559.262は9月10日に配信されたLTS-144の1つ前のビルドです。

ChromeOS 144のサポートはいつまでですか?

LTSチャンネルは2026年10月6日にLTS-150へ移りました。LTSチャンネルの端末は自動で150.0.7871.256へ上がり、144に固定した端末だけが144に残ります。10月6日以降、144向けの更新は出ていないので、固定している端末は固定を外して150へ移してください。

Chromium 144とChrome 144は同じですか?

同じではありません。Chromium 144はオープンソースの土台で、Chrome 144はそこにGoogleの機能を足した製品です。Microsoft Edge 144など、Chromium 144を土台にしたブラウザは同じWeb機能(::search-textやTemporalなど)を持ちます。一方、AIモードやGemini in ChromeはGoogle Chromeの機能なので、Chromium系のほかのブラウザに同じものがあるとは限りません。修正ビルドの番号や配信日も、製品ごとに別です。

Chrome 144にゼロデイ脆弱性はありましたか?

通常の安定版で直った14件には、悪用の記載はありません。Extended Stableの144.0.7559.177(2月13日)で直したCVE-2026-2441は、実際の攻撃での悪用を把握していると告知に書かれています。CSSの解放後利用で、深刻度はHighです。ChromeOSのLTC-144の144.0.7559.246(3月16日)でも、悪用が確認されたCVE-2026-3909とCVE-2026-3910が直っています。

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