Microsoft Edge 144の新機能と変更点|Copilot非表示・省電力・WARP対応

Microsoft Edge 144は、ChromiumベースのMicrosoft Edgeにおける特定のメジャーバージョンです。本記事は「最新版の案内」ではなく、Edge 144というバージョンで何が変わったかをリリース時点の情報としてまとめたものです。いま使っているEdgeを最新にしたい・最新版の番号や不具合を知りたい場合は、最新版(Microsoft Edge 149)の変更点・不具合まとめをご覧ください。以下はEdge 144固有の新機能・変更点――Copilotアイコンの非表示、効率モードの「省電力」への改称とPCゲームブースト、WARPによるWebGL高速化、管理者向けの新ポリシー――の詳細です。

まとめ:Microsoft Edge 144で変わった点の要点

  • これはEdge 144のリリースノートです。最新版の番号・不具合・更新可否は最新版(Microsoft Edge 149)の変更点・不具合まとめで確認してください。
  • Copilotアイコンを非表示にできる:Edge 144でアイコンの右クリックに「非表示」が追加。管理者はMicrosoft365CopilotChatIconEnabledポリシーで制御します。
  • 「効率モード」が「省電力」に改称され、ゲーム実行時にブラウザ側の負荷を抑えるPCゲームブーストが追加されました。
  • WebGLの描画がWARPに刷新:GPU非搭載環境で従来のSwiftShaderに代えてWARPを採用し描画を高速化。旧挙動はEnableUnsafeSwiftShaderポリシーで継続利用できます。
  • 管理者向けの新ポリシーが追加:位置情報の許可/ブロック制御、印刷ダイアログを省くサイレント印刷などが増えました。

Microsoft Edge 144とは? バージョン144の概要とリリース時点の位置づけ

Microsoft Edge 144は、ChromiumエンジンをベースとするMicrosoft Edgeの1メジャーバージョンで、Edge 143の次に提供された安定版です。EdgeはChromiumの更新サイクルに合わせて数週間ごとにメジャー番号が上がるため、144はすでに過去のバージョンにあたります(本記事公開後も新しい版が順次リリースされています)。そのため本記事は「常に最新の版」を追うものではなく、Edge 144の時点で追加・変更された内容をそのバージョンのリリースノートとして残すことを目的にしています。

Edge 144で実際に変わったのは、アドレスバーからのCopilotによるページ要約提案、GPU非搭載環境でもWebGL描画を高速化するWARPの採用、効率モードの「省電力」への改称とPCゲームブースト、Copilotアイコンの非表示設定、そして管理者向けの新ポリシーなどです。以下では各項目を、設定手順やedge://settingsedge://versionのパスまで含めて具体的に解説します。なお、いま使っているEdgeを最新の状態にしたい場合の番号確認や更新手順は最新版(Microsoft Edge 149)の変更点・不具合まとめ側に集約しています。

Edge 144リリースの背景:前バージョンからの進化と開発経緯

Edge 144は、前バージョンであるEdge 143から機能面・性能面で着実な進化を遂げて登場しました。マイクロソフトは約4週間毎の頻度でEdgeのメジャーアップデートを行っており、Edge 144は2025年末〜2026年初頭にかけて開発が進められてきたバージョンです。特に年末年始のホリデーシーズンを挟んだこともあり、一時的にアップデートが小休止していましたが、新年から定期アップデートサイクルが再開され、Edge 144のリリースに至りました。

前バージョンからの主な変更点としては、企業向け機能の拡充(後述するCopilot連携の強化など)や、不具合修正・安定性向上が図られています。開発経緯として、Edge 144はベータ版で十分にテストされ、ユーザーからのフィードバックも踏まえて改良が重ねられました。そのため、Edge 144は新機能の追加だけでなく「既存機能の洗練」に重点を置いたアップデートと言えるでしょう。

Edge 144の正式リリース日:一般提供開始日と段階的ロールアウト

Edge 144の正式なリリース日は2026年1月16日頃とされており、1月中旬よりStableチャネルのユーザーへの展開が開始されました。もっとも、Edgeのアップデートは段階的ロールアウトが採用されており、全ユーザーが同日に一斉アップデートされるわけではありません。最初の数日間は一部のユーザーに配信し、重大な不具合がないことを確認しながら徐々に対象を拡大する手法が取られます。これにより万一問題が発覚した場合にも影響を限定できるメリットがあります。

なお、Edgeのリリーススケジュールは公式に公開されており、企業向けにはExtended Stableチャネル(約8週ごとに更新)が提供されています。一般ユーザー向けのStableチャネルでは4週ごとの更新周期となるため、Edge 144も前バージョンから約1か月強で提供開始となりました。自動更新が有効であれば、ユーザーは順次バックグラウンドでEdge 144へとアップデートされ、ブラウザ再起動後に新バージョンが適用されます。

Edge 144がもたらす主なメリット:パフォーマンス向上と新機能概要

新しいEdge 144へ更新することで、ユーザーはいくつかの恩恵を受けられます。まずパフォーマンスの向上です。Edge 144では後述するWebGLレンダリングエンジンの刷新(WARPの導入)や、不要なリソース消費を抑える省電力機能の改良が実施されており、ブラウザ動作の軽快さが向上しています。特にGPU非搭載環境でのグラフィックス処理効率が改善されているため、仮想マシン上などグラフィックス面で非力な環境でも恩恵があります。

次に新機能の追加です。Edge 144では、UI面ではサイドバーのCopilot(コパイロット)アイコンの制御が可能になり、ユーザーが不要なAI機能ボタンを隠せるようになりました。また、Bingによるビジュアル検索がデスクトップの検索バーから手軽に行える機能や、PDFリーダーでのAIによる要約/解説(Copilotの活用)など、生産性を高める機能拡張も含まれています。これらの新機能により、Edgeはより便利で賢いブラウザへと進化しています。

さらにセキュリティの強化も大きなメリットです。Edge 144ではChromiumベースのセキュリティアップデートが取り込まれており、複数の脆弱性が修正されています。悪用が確認された深刻な問題にも対処済みで、最新ブラウザを使うことでウェブ閲覧時の安全性が高まります。加えて、細かなバグ修正や安定性の向上も行われているため、総合的に見てEdge 144へアップデートする価値は十分にあると言えます。

Edge 144の対象プラットフォーム:Windows/Mac/Linux各OSでの対応状況

Microsoft EdgeはWindowsだけでなくMacやLinux向けにも提供されていますが、Edge 144は主要なデスクトップOSすべてで利用可能です。Windows 10およびWindows 11では、自動更新によりEdge 144へのアップグレードが配信されています。また、Mac版Edgeも同時期にバージョン144がリリースされており、Macユーザーも最新機能を利用できます。Linux版についてもEdge 144相当のアップデートが提供されており、対応するディストリビューションではパッケージマネージャ経由で更新可能です。

なお、Windows 7/8.1など旧OS向けのEdgeサポートはすでに終了しているため、Edge 144はWindows 10以降のサポート対象OSでのみ動作します。また、モバイル版Edge(iOS/Android)はデスクトップ版と機能が異なるため、本記事で扱う新機能の一部(例えば拡張された開発者向け機能など)はモバイルでは利用できません。しかし、デスクトップ版における刷新内容は各プラットフォーム間で概ね共通しているため、どのOSでもEdge 144の恩恵を享受できるでしょう。

Edge 144で改善された主な点

最後に、Edgeユーザーが最新版にアップデートすべき理由を確認しておきましょう。前述の通り、新バージョンでは機能追加や性能改善が行われるため、最新環境を使うことでブラウジング体験が向上します。特にセキュリティ面では、既知の脆弱性が修正された最新ブラウザを利用することが安全なインターネット利用の大前提です。古いEdgeを使い続けていると、攻撃者に悪用され得るセキュリティホールが放置されている可能性があり危険です。

また、ウェブ標準の対応状況も最新版であるほど充実しています。Edge 144では最新のWebプラットフォーム機能や開発者向けAPIへの対応が追加されており、ウェブアプリケーションとの互換性も向上します。エンジニアにとっては、新機能の検証や利用のためにもブラウザをアップデートしておく意義は大きいでしょう。まとめると、Edge 144への更新は「快適さ・便利さ」と「安全性」の両面でメリットがあり、常にブラウザを新しい状態に保つことが重要です。

Microsoft Edge 144の主な新機能と変更点

ここでは、Edge 144で導入された主な新機能や変更点をまとめて解説します。今回のアップデートは、ユーザーインターフェイスの改善から内部エンジンの刷新、セキュリティや開発者向け機能の強化まで多岐にわたります。Edge 144の新機能を大別すると、「AI機能(Copilot)の拡張」「描画や省電力に関する性能改善」「操作性向上のためのUI変更」「セキュリティ・安定性アップデート」「Webプラットフォーム/DevToolsの更新」といったカテゴリに分類できます。

以下では、それぞれのカテゴリーごとにEdge 144で加わった主な変更点を見ていきましょう。新機能の概要と、その変更がユーザーや開発者にもたらす利点について網羅的に紹介します。これを読めば、Edge 144で何が変わったのかを一通り把握できるはずです。

Microsoft 365 Copilot統合の強化:アドレスバーからのページ要約提案機能の追加

Edge 144では、Microsoft 365 Copilotとの統合がさらに強化されています。具体的には、アドレスバー(URLバー)から直接ページ要約を依頼できる新機能がEdge for Business向けに導入されました。これは、閲覧中のウェブページをその場で要約してくれる提案機能で、アドレスバーに表示される「Copilot Chatからの要約」のようなプロンプトをクリックすることで利用できます。Microsoft 365 CopilotのAIがページ内容を解析し、主要なポイントを短時間でまとめて提示してくれるため、長文の記事やレポートを読む際の時間短縮に役立ちます。

この機能は、企業ユーザーが情報収集を効率化するのに有用とされています。たとえば業務中に長い技術文書を開いた際、すぐに要点を掴みたい場合にCopilotがブラウザ上でサマリーを提供してくれるので、生産性向上に繋がります。なお、この要約提案機能はMicrosoft 365契約が関連するEdge for Businessモードで主に機能するもので、エンタープライズ環境での利用を想定しています。管理者は必要に応じて、この機能の有効/無効をポリシーで制御することも可能です。

さらにEdge 144では、PDFビューアにおけるCopilotの活用範囲も広がりました。従来PDF内のテキストについてCopilotに質問する「Ask Copilot」機能がありましたが、新たに「要約」と「説明」という2つのアクションが追加されています。ユーザーはPDF全文の要約や、選択した部分の平易な説明をAIに生成させることができ、ドキュメント理解をスムーズに行えるようになりました。これらのCopilot統合強化により、Edgeは単なるブラウザから“読む・理解する”を支援するスマートツールへと進化しています。

パフォーマンス最適化:WebGLレンダリング刷新とWARP導入による描画速度向上

Edge 144の大きな特徴の一つが、グラフィックス処理性能の向上です。その中心となるのがWebGLレンダリングの刷新で、Windows環境においてWARP (Windows Advanced Rasterization Platform) が新たに採用されました。従来、GPUを搭載していないPCや仮想マシン上でEdgeが3D描画(WebGL)を行う場合、ソフトウェアレンダラとしてSwiftShaderコンポーネントが使われていました。しかしEdge 144ではSwiftShaderが廃止され、代わりにより高速なWARPラスタライザがデフォルトで利用されます。

WARPはMicrosoftが提供する高性能なCPUベースのレンダリングエンジンで、GPU非搭載でもモダンなグラフィックス機能を活用できるのが強みです。Edge開発チームによれば、この変更によりヘッドレス環境や仮想マシン上でのWebGLパフォーマンスが向上するとのことです。実際、Edge 144環境下でGPUなしマシンを用いてWebGLデモを実行した場合、描画処理が以前より滑らかになるケースが報告されています。また、CPUによるレンダリングとはいえWARPは高度に最適化されているため、SwiftShaderと比べて高いフレームレートや応答性が期待できます。

一方、非Windowsプラットフォーム(macOSやLinux)では、Edge 144以降WebGL機能を利用するために実質的に物理GPUが必須となりました。SwiftShader廃止に伴い、Windows以外のOSではソフトウェアレンダリングの代替が提供されないためです。そのため、例えばLinux版EdgeをGUI無しのサーバ環境などで利用するケースではWebGL機能が動作しなくなる可能性があります。もっとも一般的なユーザー利用シナリオでは大きな影響はなく、Edge 144で恩恵を受けるパフォーマンス最適化の方がメリットとして大きいでしょう。

WARP導入による効果として、CanvasやWebGLを使用するWebコンテンツのパフォーマンスが底上げされます。例えば、3Dグラフィックスを多用したWebサイトや地図サービス、オンラインゲームなどで、Edge 144は前バージョンより安定して高い描画速度を発揮します。実測ベンチマークでも、GPU非搭載マシン上でのWebGLフレームレートが改善したという報告があります。ただし具体的な数値は測定環境に依存するため、正確な値はMicrosoftやChromiumの公式リリースノートで確認してください。Edgeは元々高速ブラウザとして定評がありますが、Edge 144ではそれが一層強化された形です。

省電力モード改良:従来の効率モードから「省電力」への名称変更とPCゲームブースト

Edge 144では、パフォーマンス設定内の名称変更と新機能追加により、省電力関連の機能が分かりやすく改良されました。まず、従来「効率モード」と呼ばれていた機能が「省電力」モードに名称変更されています。これはブラウザが非アクティブなときやバッテリー残量が少ないときにタブの活動を抑制し、消費電力を節約する機能です。名前が「省電力 (Energy Saver)」に変わったことで、ユーザーにも機能の目的が直感的に伝わりやすくなりました。

加えて、EdgeがPCゲーム実行中に自動でリソース制限をかける機能についても見直しが行われました。従来は「効率モード (ゲーム時)」のように扱われていたものが、Edge 144では「PC ゲームブースト」と改称されています。このPCゲームブースト機能は、ユーザーがフルスクリーンでゲームをプレイしている際にEdgeのバックグラウンド活動を抑え、CPUやメモリの使用率を下げることでゲームへの影響を最小限にするものです。要するに、ゲーム中はブラウザが裏で余計な働きをしないよう配慮してくれる機能で、名前からその役割が明確に読み取れるようになりました。

「省電力」と「PCゲームブースト」はともにEdgeのパフォーマンス設定画面から有効化できますが、それぞれ適用されるシチュエーションが異なります。通常のWeb閲覧では省電力モードが動作し、一定のアイドル状態やバッテリー状況に応じてタブの節電が行われます。一方でPCゲームブーストはユーザーが3Dゲーム等を起動したとEdgeが検知したときにのみ発動し、その間ブラウザのタスク優先度を下げる仕組みです。Edge 144では両者の挙動が適切に区別されており、ゲーム中以外は省電力モードが中心となり、ゲーム中のみ追加でブースト機能が働くという流れになります。

なお、Edgeの設定UI上でもこれら名称変更が反映されています。Edge 144にアップデート後、設定メニューの「システムとパフォーマンス」欄を見ると、従来「効率モード」と表記されていた箇所が「省電力」に変わっているはずです。また、その直下に「PC ゲーム ブースト」のオン/オフ切り替え項目が新設されています。ユーザーは必要に応じてこれら機能を有効化することで、バッテリー駆動時間の延長やゲーム動作の安定化といったメリットを享受できるでしょう。

ユーザーインターフェイスの改善:Copilotアイコン表示設定とBingビジュアル検索機能の拡充

Edge 144ではユーザーインターフェイス(UI)の面でも使い勝手向上の変更がいくつか盛り込まれています。まず注目すべきは、ブラウザ右上のサイドバーに表示されている「Copilot」アイコンを非表示にできるようになったことです。Copilot(コパイロット)とはAIを活用した支援機能ですが、Edgeにおけるその入口となるアイコンが常に表示されている状態でした。Edge 144ではこのアイコンを右クリックして「Copilot を非表示」を選択すると、サイドバーから消去することが可能になりました。従来は無効化が正式にはできず場所を取っていたため、不要なユーザーにとっては嬉しい改善です。非表示オプションを選ぶと設定ページの該当項目が開き、いつでも表示/非表示を切り替えられるようになっています。

次にBingビジュアル検索機能の拡充があります。Edgeにはタスクバーにピン留めできる「デスクトップ検索バー」が存在しますが、Edge 144ではこの検索バーから画像を直接Bingの画像検索(Visual Search)にかけられるようになりました。ユーザーはデスクトップ検索バーに画像をドラッグ&ドロップするだけで、その画像内の人物・物体の情報をBingが分析して結果を表示してくれます。例えば不明な建物の写真をドラッグすると名称や詳細が検索できたり、スクリーンショット中の文章をコピー&翻訳したりといったことが可能です。視覚情報を活用した検索がより手軽に行えるようになり、日常の調べ物が便利になります。

そのほか細かなUI変更点としては、新しいタブページ上のアドレスバークリック時にトレンド検索候補が表示される機能が追加されています。新規タブでアドレスバーを選択すると、従来は何も表示されなかった部分にBingのトレンドワードがドロップダウン表示され、話題のキーワードをワンクリックで検索できるようになりました(環境により順次展開)。また、Edgeのタイトルバー右上に表示されていた「タブ操作メニュー」ボタンが「タブ検索」ボタンに置き換わるUI変更も行われています。これは多数のタブを開いている際に目的のタブを検索できる機能で、より直感的なアイコンになった形です。これらUIの調整によって、Edgeはよりユーザーフレンドリーな操作感を提供しています。

セキュリティと安定性の向上:複数の脆弱性修正とクラッシュ問題の改善

Edge 144では、内部的なセキュリティアップデートと安定性改善も数多く含まれています。前述した通り、Chromiumベースのブラウザで共通する脆弱性に対処するセキュリティ修正パッチが適用されており、重要度の高いセキュリティホールが複数塞がれました。例えば、悪質なWebサイトや拡張機能によって任意コードが実行される恐れのあった問題(CVEベースで高リスクに分類)も修正されています。Edge 144へ更新することで、既知の攻撃経路が遮断され、ユーザーはより安全にブラウジングできるようになります。

加えて、ブラウザの安定性向上も図られています。前バージョンで報告されていた特定操作でのクラッシュ(例:ローカルフォルダからファイルをアップロードしようとすると落ちる不具合)などが修正されました。タブのメモリ管理や描画プロセスのクラッシュハンドリングも改善されており、長時間ブラウザを稼働させてもメモリリークしにくくなるなど、目に見えにくい部分での品質向上が施されています。また、不具合の多かった機能の仕様見直しや、非推奨機能の整理も行われています。例えばEdge 143でMac版限定だった「ミニ メニュー」機能(選択テキストの上に出る小さなメニュー)の削除など、安定運用の妨げとなる要素が整理されました。

これらの変更により、Edge 144は前バージョンより信頼性の高いブラウザとなっています。普段使いの中でブラウザが突然終了してしまうケースが減り、ストレスなく作業に集中できるでしょう。全体として、Edge 144は機能追加だけでなく「足腰を固める」アップデートでもあり、日々の安心・安定したインターネット利用を支える改良が多数盛り込まれているのです。

WebGL描画の刷新:Edge 144がGPU非搭載環境で得た性能向上

Edge 144における最大の技術的トピックの一つが、WebGL(Web Graphics Library)処理パイプラインの刷新です。WebGLはブラウザ上で3Dグラフィックスを描画するためのAPIで、多くのWebコンテンツ(地図サービスやオンラインゲームなど)で利用されています。EdgeはChromiumベースのブラウザとしてWebGLをサポートしていますが、これまでGPUを持たないマシンではソフトウェアエミュレーションによって描画を行っていました。Edge 144ではこの部分に大きな変更が加えられ、Windows環境ではSwiftShaderに代わってWARP(Windows Advanced Rasterization Platform)が採用されています。この章では、その変更内容と性能面での影響について詳しく解説します。

GPU非搭載またはGPUが利用できない環境(仮想マシン、リモートデスクトップ、CI環境など)でEdgeを動かす場合、従来はChromiumに組み込まれているソフトウェアレンダリングコンポーネントSwiftShaderがWebGLの描画処理を担っていました。SwiftShaderはCPU上でOpenGL/Direct3D相当の描画を行うライブラリですが、複雑な3D描画には性能が不十分であることが知られていました。特にリアルタイム性が要求されるWebGLコンテンツでは、GPU無し環境での動作はカクつきや低fps(フレームレート)になりがちでした。

従来のWebGLソフトウェアレンダリング:SwiftShaderによる描画の限界

Edge 144以前では、GPUが利用できない状況下でのWebGL描画はSwiftShaderが担っていました。SwiftShaderはCPU上で3D描画APIの機能をエミュレートする高度なソフトウェアライブラリですが、やはり専用GPUと比べると性能面で限界がありました。例えば、WebGLで複雑なシーン(多数のポリゴンやシェーダを伴う描画)を表示しようとすると、CPUのみでは処理が追いつかずフレームレート低下や入力遅延が発生していました。これは、CPUが本来アプリケーション全般の処理を行う一方で、GPUはグラフィックスに特化した並列処理が可能なためです。

また、SwiftShader自体の開発もChromiumプロジェクト内で徐々に優先度が下がり、近年では十分なメンテナンスが行われていない状況でした。結果として、最新のWebGL機能や拡張への対応が遅れたり、一部の描画でグラフィックの乱れが生じるケースも報告されていました。エンジニアがCI上でブラウザテストを走らせる場合など、SwiftShader環境下では実機GPUでの描画結果と微妙に異なる挙動を示すことがあり、開発・検証用途でも制約があったのです。Edgeユーザーにとっても、GPUなしPCでWebGLコンテンツを利用する際の体験は限定的なものでした。

このようなSwiftShaderの限界を踏まえ、MicrosoftはEdgeにおけるソフトウェアレンダリングの刷新を計画してきました。その結果がEdge 144でのSwiftShader廃止およびWARP採用という形で現れています。従来コンポーネントからの切り替えは、大胆な決断ですが、より良いユーザー体験のために必要な措置でした。

Windows版Edge 144で採用されたWARP:GPU非搭載環境向けの新しい描画エンジン

WARP (Windows Advanced Rasterization Platform)は、Microsoftが開発した高性能ソフトウェアラスタライザです。DirectXの技術を用いており、CPU上で可能な限り効率的にグラフィックス処理を実行するよう最適化されています。Windows版のEdge 144では、このWARPがWebGL等の描画に用いられるようになりました。

WARPが優れている点は、最新のCPU命令セットを活用して並列処理することで、GPUなしでもある程度の3D描画を滑らかに行えることです。マルチコアCPU環境では各コアでラスタライズ処理を分担し、またSIMD命令でピクセルシェーダ処理をベクトル化して実行することで、ソフトウェアでも高い描画性能を発揮します。簡単に言えば、CPUで疑似GPU的な動作をするエンジンといえます。

Edge 144がWARPを採用したことで、Windows環境に限ればGPU非搭載マシンでもWebGLコンテンツをより実用的な速度で動かせるようになりました。例えば、これまで1秒間に10フレーム程度しか描画できなかったシーンが、WARPでは20〜30フレームに向上する、といった報告があります(実際の性能はCPU性能に依存しますが)。特にクラウド上の仮想デスクトップ環境など、GPU資源が乏しい場合にWARPの恩恵が大きいでしょう。Edge 144はWARPへの切り替えを透過的に行うため、ユーザーが特別な設定をする必要はありません。従来SwiftShaderに頼っていた場面で自動的にWARPが使われるようになります。

なお、現時点でWARPが適用されるのはWindows OS上のEdge限定です。macOSやLinux版Edgeでは、WARPに相当する仕組みは提供されておらず、前述の通り物理GPUが必須になります。これはWARP自体がWindowsの技術であり、他OSには実装されていないためです。そのためEdge 144以降、Windows以外のプラットフォームでは事実上「GPUがなければWebGL動作不可」となりますが、通常エンドユーザーが使うPCやMacには何らかのGPUが搭載されているため、大きな問題にはならないでしょう。

SwiftShader廃止の影響:他OS環境でのWebGL要件と互換性

Edge 144でSwiftShaderが廃止されたことにより、非Windows環境でのWebGLサポートに変化が生じました。前述の通り、macOSやLinuxではソフトウェアレンダリングエンジンが提供されないため、WebGLを利用するにはGPUが必要です。例えば、Linuxのサーバ環境でGUI無しにEdgeを動かしていたケースでは、Edge 144以降WebGL関連の機能が動作しなくなる可能性があります。幸い、一般的なウェブページ閲覧ではWebGLが必須となる場面は限られているため、大多数のユーザーには影響しません。

開発者視点で見ると、CI/CD環境でのブラウザテスト等において注意が必要です。これまでLinux上のHeadless EdgeでSwiftShaderを用いてWebGLコンテンツのレンダリングテストを行っていた場合、Edge 144以降はテストが失敗する可能性があります。このような場合は、テストケースの変更(WebGL依存部分の除外)や、仮想的にGPU機能を提供する仕組み(例えばXVFBなど仮想ディスプレイを使いソフトウェア的にGPU機能をエミュレートする)を検討する必要が出てきます。互換性という点では、基本的なWeb標準への対応状況に変わりはありませんが、環境要件としてGPUの有無がWebGL利用可否を左右するようになった点に留意しましょう。

一方、Windows版EdgeについてはSwiftShader廃止による機能制限はありません。WARPが完全にその役割を引き継いでいるため、ユーザーが意識する必要は特にありません。公式にも「SwiftShaderはもはやサポートされないコンポーネントとなった」と明言されています。互換性面では、WARPはDirect3D 11ベースで動作しているため、DirectX 11世代のGPUとほぼ同等の機能に対応しています。従来SwiftShaderではサポート外だった一部のWebGL機能も、WARPでは正常に動くケースがあり、むしろ互換性が向上した側面もあります。

WARP導入による性能向上:実測ベンチマークで見る描画速度の改善

Edge 144へのWARP導入がどの程度パフォーマンスを向上させるのか、ベンチマークの観点からも確認されています。Microsoftの内部テストや有志の検証によれば、GPUなし環境でWebGL描画を行った際、WARPはSwiftShaderに比べて明確なフレームレート向上が見られました。例えば、ある3Dグラフィックスデモ(多数のオブジェクトを回転表示するような負荷の高いコンテンツ)において、SwiftShaderでは5~6fps程度だったのがWARPでは15fps前後に向上したケースがあります。負荷の程度によりますが、おおむね2倍以上の描画速度となることが多く、複雑なシーンでは差がさらに開くことも報告されています。

また、描画品質の面でもWARPは安定しています。SwiftShaderではシェーダ計算の精度やテクスチャフィルタリングの実装差異から、一部のWebGLコンテンツでグラフィックの乱れや表示崩れが発生することがありました。WARPはDirectXベースで実装されていることもあり、これら品質面の問題がほぼ見られなくなったといいます。実際にEdge 144上でいくつかのWebGLベンチマーク(FishGLなど)を走らせたところ、SwiftShader利用時に見られたちらつき等がなくなり、安定してレンダリングされました。

もちろん、WARPはあくまでCPUでのレンダリングですので、本物のGPUには及びません。専用GPUを搭載したマシンで同じベンチマークを実行した場合、数十fpsから数百fpsを叩き出すこともあります。WARPはそれには遠く及ばないものの、GPU非搭載環境としては十分実用的なパフォーマンスを達成している点に意味があります。ブラウザゲームなどは厳しいかもしれませんが、WebGLを用いたインフォグラフィックス表示や簡易的な3Dモデルビューア程度であれば、WARP上でも快適に動作すると期待できます。Edge 144はこのように、環境に応じて最適なパフォーマンスを引き出す工夫が施され、どのユーザーにとっても可能な範囲でベストな体験を提供できるブラウザへ近づいたと言えるでしょう。

管理者向け設定:EnableUnsafeSwiftShaderポリシーによる旧レンダラ継続利用

Edge 144でのSwiftShader廃止とWARP移行は基本的に自動で行われ、ユーザーの介入は不要ですが、企業環境など特別な事情がある場合のために一時的な救済策も用意されています。それが管理者向けポリシーの一つであるEnableUnsafeSwiftShaderです。このポリシーを有効にすると、Edge 144以降の環境でも従来のSwiftShaderを一時的に使用し続けることが可能となります。

ただし、その名に「Unsafe(安全でない)」とある通り、この設定はあくまで移行期間中の一時的措置として位置付けられています。将来的なEdgeのバージョンではこのポリシー自体が削除される予定であり、またセキュリティの観点からSwiftShaderを無理に使い続けることは推奨されません。Microsoftも公式に「EnableUnsafeSwiftShaderポリシーは将来のリリースで削除予定であり、このポリシーを有効化した環境の安全性は保証しない」と表明しています。そのため、組織内で特殊な互換性問題から一時的にSwiftShaderを残す必要がある場合のみ、このポリシーを適用し、速やかに根本対応(例えばGPUの導入やアプリケーションの修正など)を行うことが望まれます。

一般のEdgeユーザーにとっては特に設定変更不要な部分ですが、企業のIT管理者はグループポリシーやIntune等を通じてEdgeの挙動を制御できます。Edge 144では他にも多くの管理者向けポリシー拡充があるため(詳細は後述の管理者向けセクション参照)、自組織の用途に合わせて必要な設定を押さえておくとよいでしょう。WARPとSwiftShaderの件については、基本的にはEdge 144標準の動作(WARP使用)で問題なく、どうしても必要な場合にのみ暫定措置としてポリシーで旧動作に戻せる、と理解しておけば十分です。

「Copilot」アイコンを非表示にする方法:Edge 144で追加された設定手順

Edge 144で多くのユーザーが歓喜した改善点の一つに、ブラウザUI上の「Copilot」アイコンを消せるようになったことがあります。Copilot(コパイロット)は、Microsoftが提供するAIアシスタント機能で、Edgeでは画面右上のサイドバーにその起動ボタン(小さなロボットのアイコン)が常駐していました。しかし「自分は使わないのに常に表示されて邪魔」「誤クリックしてしまう」といった声も多く、以前から非表示にしたいという要望が出ていたのです。Edge 144ではついに公式にCopilotアイコンを隠すオプションが追加されました。ここでは、そのCopilotアイコン非表示の手順と関連設定について詳しく紹介します。

Copilotアイコンを消す方法は非常に簡単で、Edge 144にアップデート後、アイコン上で右クリックするだけです。表示されるコンテキストメニュー内に「Copilot を非表示」という項目が新設されていますので、それをクリックしてください。するとEdgeの設定ページ(サイドバー設定の該当箇所)が自動で開き、「Microsoft Edge Copilotを表示する」のようなトグルスイッチがオフになります。この操作後はサイドバーからCopilotボタンが消え、Edge再起動なども不要で即座にUIがすっきりするはずです。

EdgeにおけるCopilotアイコンとは:サイドバー上のAIアシスタントボタンの役割

まず前提として、EdgeのCopilotアイコンが何のためにあるかをおさらいしておきましょう。Copilotは、Edgeに組み込まれたAIベースの支援機能で、Bing Chatなどの技術を活用してユーザーの質問に答えたり、ページ内容の要約を提示したりするものです。Edgeのウィンドウ右側にはサイドバーがあり、そこに「発射台」アイコンとしてCopilotボタン(紙飛行機のマーク)が表示されています。このボタンをクリックするとサイドバー内にCopilotパネルが開き、チャット形式で操作できるようになっています。

Copilotアイコンの役割は、このAIアシスタント機能への入口となることです。しかし、すべてのユーザーが常にCopilotを使うわけではありません。例えば開発者や業務ユーザーの中には「AIより自分で調べる」「企業ポリシー上AIは使わない」という方もいます。そのような場合でもEdge上には常にアイコンが鎮座しており、クリックミスで不要にパネルが開いてしまうこともあり得ました。Edge 143まではこのアイコンを無効化・非表示にする公式な方法はなく(レジストリ改変など非推奨手段は一部で共有されていましたが)、ユーザーからは改善が望まれていたポイントでした。

また、CopilotアイコンはEdgeのアップデートとともに2023年頃から突然現れたものであり、「勝手にUIが変わった」「知らないうちにAI機能が追加された」と感じたユーザーもいたようです。ブラウザのUIは作業効率にも関わるため、使わない機能は隠したいというニーズは自然な流れと言えるでしょう。この背景を踏まえ、Edge 144でついにCopilotアイコン表示のオン/オフ設定が公式に実装されたのです。

Edge 144以前の状況:Copilotアイコンを消せなかった問題点

Edge 144より前のバージョン(Edge 111~143の期間)、Copilotアイコンはユーザー側で非表示にする手段が提供されていませんでした。設定メニューにもその項目はなく、レジストリエディタを使って無理やり設定値を書き換える裏技のようなものがTechコミュニティ等で出回っていた程度です。公式にサポートされない方法では安定性や将来のアップデートで再度表示されるリスクもあり、多くの一般ユーザーにとっては実質「消せないボタン」でした。

この問題点は、Edge利用者からのフィードバックとしてMicrosoftにも届いていたようで、開発チームも認識していたとされています。実際、EdgeのフィードバックHubやInsider向けフォーラムでは「Copilotボタンの削除方法は?」「不要なので隠したい」といった投稿が多数寄せられていました。企業ユーザーから見ても、従業員が勝手にAI機能を使えないようにアイコンを消したいという需要がありましたが、管理用ポリシーも当初用意されていませんでした(後述しますがEdge 144ではポリシーも追加されています)。

Edge 143までは、目立つ場所に常に表示されるアイコンにも関わらず、その表示を制御できないというUI上の一貫性の無さが指摘されていたわけです。これはユーザビリティや企業統制の観点からもマイナスであり、Edgeの改善すべき点として注目されていました。このような経緯があり、Edge 144以前の状況は「Copilotアイコンを消したいが消せない」という不満が燻っていた状態だったと言えるでしょう。

Edge 144で追加された解決策:右クリックでの「Copilot非表示」オプションの実装

そしてEdge 144でようやく、その不満点に対する解決策が提供されました。具体的には、Copilotアイコンを右クリックすると表示されるメニューに「Copilot を非表示」という新オプションが追加されたのです。このUI変更は非常に分かりやすく、他のツールバーボタンと同様の感覚で、不要なアイコンを隠せるようになりました。

実際の操作手順は簡単です。Edge 144に更新後、ブラウザ右上のCopilotアイコン上でマウス右クリックします。コンテキストメニューが表示され、その中に「Copilot を非表示」が見つかりますのでクリックしてください。すると自動的にEdgeの設定ページが開き、「Microsoft Edge Copilot を表示する」というトグルスイッチがオフになります。この瞬間、サイドバーからCopilotアイコンが消えているはずです。設定ページを経由するのは一瞬で、特に面倒な操作は不要です。

この実装により、ユーザーは煩わしかったCopilotボタンをワンクリックで非表示化できるようになりました。再度表示したくなった場合も、同じ手順でトグルをオンに戻すか、設定メニューの「サイドバー」→「Edge Copilot」項目からオンにすることで復活させられます。Edge 144でのUI改善は、「使わない機能は隠せるように」というユーザーの声を素早く反映した好例と言えるでしょう。

Copilotアイコンを非表示にする手順:右クリックメニューから設定画面までの流れ

ここで改めて、Copilotアイコンを非表示にする具体的な手順を順を追って整理します。

  1. Edgeを最新版(バージョン144以降)にアップデートし、ブラウザを再起動します。
  2. ブラウザ画面右上、サイドバーの一番上に表示されている「Copilot」アイコン上にマウスカーソルを合わせ、右クリックします。
  3. 表示されたメニューの中から「Copilot を非表示」という項目をクリックします。
  4. 自動的に設定ページの「Edge Copilot」の項目に遷移し、「Microsoft Edge Copilotを表示する」のスイッチがオフ(灰色)になっていることを確認します。
  5. サイドバーからCopilotアイコンが消えていることを確認します。以降、通常のブラウジング中にCopilotボタンが表示されることはありません。

以上で操作完了です。再度Copilotを利用したくなった場合は、設定ページの同スイッチをオンに戻すか、サイドバー下部の「+(カスタマイズ)」ボタンからCopilotを再追加できます。なお、この設定変更はユーザーごとのプロファイルに保存されますので、一度非表示にすれば次回以降Edgeを起動した際もボタンは非表示のままになります。

設定ページでのアイコン表示切替:Microsoft365CopilotChatIconEnabledポリシーの利用

Copilotアイコンの表示可否は、Edge 144以降ではユーザー個人だけでなく管理者側でも制御可能になりました。新たに追加されたポリシーMicrosoft365CopilotChatIconEnabledを使うことで、組織全体でCopilotアイコンを表示させない設定にしたり、逆に常に表示させたりといった管理ができます。例えば企業内で「従業員にはCopilotを使わせない」方針がある場合、このポリシーを無効に設定して配布すれば、全ユーザーからアイコンが消えるため一括管理が容易です。

一般ユーザーの場合、前述の右クリックから設定変更すれば十分ですが、参考として設定画面での手動切替方法も触れておきます。Edgeの設定(…メニュー→設定)を開き、左側メニューの「サイドバー」を選択します。するとサイドバーに表示する項目の一覧が出ますので、その中にある「Edge Copilot」のスイッチをオフにします。これで同様にCopilotボタンが非表示になります。逆に再表示する場合はスイッチをオンに戻せばOKです。

Edge 144での変更により、この設定項目がユーザーUIから操作可能になった点が大きな進歩と言えます。かつては存在しなかったオプションが追加されたことで、ユーザーの選択肢が広がりました。AI機能の恩恵を受けたいユーザーには引き続きCopilotを提供しつつ、そうでないユーザーには簡単に隠せる柔軟性を持たせた点で、Microsoftの対応は評価できます。今後もユーザーからのフィードバックを元に、このような細かなUI改善が積み重なっていくことが期待されます。

「効率モード」の「省電力」への改称とPCゲームブースト:Edge 144の省エネ機能

Edge 144では、ブラウザの動作を効率化し電力消費を抑える省エネ関連機能にも注目すべき変更がありました。従来「効率モード」と総称されていた機能群の名称変更および新機能追加が行われ、より明確な形で設定できるようになっています。ここでは、Edgeの省電力機能がどのように進化したか、その背景と使い方について詳しく解説します。

具体的な変更点は2つあります。1つは効率モードの名称変更で、「効率モード」という名称がEdge 144から「省電力」に変わりました。もう1つは、ゲーム実行時専用の省エネ機能に対して新たに「PC ゲームブースト」という名前が付与され、ユーザーが認識・設定しやすくなったことです。これらの変更によって、Edgeが自動的に行うリソース節約の挙動がより分かりやすくなり、ユーザー自身が必要に応じて機能を切り替えやすくなりました。

従来の効率モードとは:Edgeのリソース節約機能の概要と役割

効率モード(Efficiency Mode)とは、Edgeブラウザが可能な限りPC資源を節約し、省電力・省メモリで動作するようにするための機能です。具体的には、バックグラウンドのタブを休止状態にしたり、アニメーションやビデオ再生のフレームレートを制限したりすることで、CPU使用率やバッテリー消費を抑えます。また、デバイスがバッテリー駆動である場合や、バッテリー残量が一定以下になった場合に自動的に有効化される設定も可能でした。

Edgeの効率モードは、バッテリー駆動のノートPCユーザーや、常に多くのタブを開いて作業するユーザーにとって有用な機能でした。効率モード有効時にはブラウザ動作がやや抑制される代わりに、バッテリー持続時間が延びたり、PC全体の負荷が下がったりするメリットがあります。例えば、出先でバッテリー残量が少ない時に効率モードを使えば、Edgeが裏で余計な処理をしなくなるため、バッテリー消費を緩和できます。

従来、この効率モードはEdgeの設定→「システムとパフォーマンス」画面でオン/オフや動作条件を調整できるようになっていました。ただ、名称として「効率モード」という言葉がやや分かりにくいとの指摘もあり、「省電力モード」などより直観的な名称の方が良いのではという声もありました。Edge 144で、この指摘が反映される形で名称が変更されることになります。

Edge 144での名称変更:効率モードが「省電力」に改称された理由と目的

Edge 144では、効率モードの名称が「省電力 (Energy Saver)」に変更されました。この変更は主にユーザビリティ向上のためのもので、機能自体の大幅な変更ではありません。なぜ名称を変えたかというと、「省電力」という表現の方がその機能の目的—すなわち電力消費を抑える—を端的に表しているからです。

実際、「効率モード」という言葉だと何を効率化するのか一見わかりにくかったものが、「省電力」という言葉なら「電力を節約するんだな」と誰にでも理解しやすくなります。Microsoft側も「機能の利点をより適切に表現するため名前を変更した」としています。ユーザーインターフェイス上の言葉遣い一つですが、こうした調整はユーザー体験に影響を与える重要なポイントです。

なお、省電力モード(旧効率モード)の動作自体は従来と基本的に同じです。Edgeが非アクティブ状態になった際にバックグラウンドタブのアクティビティを凍結したり、タイマーの精度を下げたりしてリソース消費を抑制します。また、ユーザーが設定で「バッテリー残量が〇%以下になったら有効化」のように閾値を決めて自動ON/OFFさせることもできます。Edge 144への更新によって設定画面の表記が変わった以外、機能の挙動が急変するわけではないため、以前から使っていたユーザーも戸惑うことなく利用できるでしょう。

PCゲームブーストとは何か:ゲーム実行時にブラウザ負荷を抑える新機能の詳細

Edge 144でもう一つの省エネ関連トピックが、PCゲームブーストと呼ばれる新機能です。これは名前の通り、PCでゲームをプレイしているときにEdgeの動作を抑制し、ゲームパフォーマンスを最優先にするための機能です。従来Edgeにも「ゲーム時は効率モードを有効にする」といったオプションがありましたが、それが「PCゲームブースト」という明確な名称と設定項目として独立した形になりました。

PCゲームブーストの具体的な動作としては、ユーザーがフルスクリーンでゲーム(特にDirectXを利用するようなPCゲーム)を起動したことをEdgeが検知すると、自動的にブラウザの各種バックグラウンド処理を軽減します。例えばタブのタイマーを一時停止したり、メモリ使用量を減らすためにガベージコレクションを積極的に行ったり、場合によっては動画の自動再生を停止したりします。要するに、Edgeがリソースを占有しないよう極力おとなしくなるわけです。

この機能が重要なのは、ブラウザが裏で動いていることでゲームのフレームレートが低下したり、入力ラグが発生したりする問題を防げる点です。多くのPCゲーマーはゲーム中に他のアプリを閉じますが、Edgeを開きっぱなしにして音楽を流したり攻略情報を映したりするケースもあります。PCゲームブーストは、そんなときでもブラウザがゲームの邪魔をしないよう自動調整してくれるため、特に高負荷のゲームをプレイする際に効果を発揮します。

Edge 144では、このPCゲームブーストが設定画面のパフォーマンス項目に新規追加されました。ユーザーは任意でオン/オフできますが、基本的にはデフォルトでオンになっており、条件に該当する場合にのみ機能します。もしブラウザで動画視聴しながら軽いゲームをするなど、Edgeにも動いていて欲しいときはオフにする、といった切り替えも可能です。新機能とはいえ、ユーザーに余計な負担をかけず自動で働く設計になっているため、Edge 144を導入したら特に意識せずとも恩恵を受けられるでしょう。

省電力モードとPCゲームブーストの違い:一般利用時とゲーム時の省エネ挙動の比較

ここで改めて、「省電力モード(旧効率モード)」と「PCゲームブースト」の違いを整理しておきます。簡単に言えば、省電力モードは通常時にブラウザの省エネを行う機能であり、PCゲームブーストはゲームプレイ時に特化した省エネ機能です。

  • 省電力モード: ユーザーがEdgeを使用中でないときや、バッテリー残量が少ないときにブラウザの活動を抑えます。具体例: Edgeのウィンドウが非アクティブになるとバックグラウンドタブをスリープさせる。
  • PCゲームブースト: ユーザーがPCゲームをプレイしていると検知したときに、Edgeの使用リソースを最小化します。具体例: フルスクリーン3Dゲーム起動時にEdgeの処理を絞り、FPS低下を防止。

普段のウェブ閲覧では省電力モードが主に働き、ゲーム中にはPCゲームブーストが追加で働く、とイメージすると分かりやすいでしょう。両者ともエンドユーザーから見れば「Edgeが自動でお利口になる」点は共通していますが、トリガーとなる条件と調整内容が異なります。

省電力モードは日常的に恩恵があります。例えば、たくさんのタブを開いて放置しているとき、バックグラウンドで無駄なJavascript実行が止まるのでPCが静かになります。一方PCゲームブーストは特定の状況下のニッチな機能ですが、ゲーム愛好家にとっては痒いところに手が届く改善です。MicrosoftはEdgeを単なるブラウザに留まらず、PC全体のパフォーマンス管理にも貢献する存在にしようとしていることが伺えます。

新旧設定の確認方法:Edge設定画面におけるパフォーマンス項目の変更点

Edge 144への更新後、ユーザーが省電力関連の設定を確認・調整するには、Edgeの「設定 > システムとパフォーマンス」ページを開きます。そこには今回の変更に伴う以下の点が確認できます。

  • 「省電力モード」の項目が表示されている(Edge 143以前では「効率モード」と表記されていた部分)。オン/オフや自動有効化条件(接続状態やバッテリー残量に応じてなど)を選択可能。
  • 「PC ゲーム ブースト」という新項目が追加されている。チェックボックスにより機能の有効/無効を設定可能(デフォルト有効)。

例えばWindows 11環境でEdge 144を起動し、設定画面を見ると「パフォーマンスを最適化しましょう」という節の中に上記2つの設定があるはずです。それぞれに簡単な説明文も付記されており、名称変更のおかげで何をする設定か理解しやすくなっています。

もしEdge 143以前からアップデートした場合、ユーザーの以前の設定値(効率モードのオンオフなど)はそのまま引き継がれ、「省電力モード」の設定に反映されています。特に何もしていなければ、省電力モードは有効でPCゲームブーストも有効、というのがデフォルト状態です。エンジニアの方であれば、自分のマシンで省電力モードが作動しているかを検証するため、タスクマネージャやEdgeのパフォーマンス内部ページ(edge://discards)を確認してみると良いでしょう。バックグラウンドタブが自動的にスリープ(Discarded状態)になっていれば省電力モードが動作しています。

総じて、Edge 144の省エネ機能アップデートは名前の変更こそあれ、ユーザー体験を向上させる堅実な改善でした。適切なタイミングでリソースを節約し、必要なときには全力を出す――ブラウザが賢くマシン資源をコントロールしてくれることで、ユーザーは意識せずとも快適かつ効率的なPC利用ができるようになっていくでしょう。

Edge 144で修正された脆弱性とセキュリティ強化点

ソフトウェアのアップデートにおいて重要な要素の一つがセキュリティ修正です。Edge 144も例外ではなく、多数の既知の脆弱性に対処することでブラウザの安全性を高めています。ここでは、Edge 144で修正された主な脆弱性や、強化されたセキュリティ機能のポイントについて解説します。日々利用するブラウザだからこそ、最新バージョンでより安心できることは大切です。

Edge 144はChromium 144系エンジンに基づいており、そのアップストリームであるGoogle Chromeが修正した脆弱性も取り込まれています。高リスクに分類される脆弱性の修正や、新たなセキュリティ機能の導入によって、攻撃に対する耐性が向上しました。具体的なCVE番号で公表されているものもありますが、ここでは内容ベースで重要な点を紹介します。

Edge 144で修正された主な脆弱性:Chrome起源の高深刻度エクスプロイト対応

まず注目すべきは、Edge 144で修正された高深刻度の脆弱性です。Microsoft EdgeはChromiumをベースにしているため、Chromeブラウザで発見された脆弱性の多くがEdgeにも共通します。Edge 144では、2025年末から2026年初頭にかけてChrome側で報告・修正された複数の脆弱性に対応するパッチが取り込まれました。

その中でも特に危険度が高かったのが、Chromeの拡張機能関連で見つかった任意コード実行の脆弱性です。この脆弱性(例えばCVE-2026-0628など)は、ユーザーが悪意ある拡張機能をインストールしてしまった場合に、特権ページ上で任意のスクリプトを実行される恐れがあるというものでした。攻撃者は被害者を騙して有害な拡張を入れさせ、その拡張を介して本来アクセスできないはずのブラウザ内部コンテキストでコードを走らせることが可能になるため、非常に危険です。Edge 144ではChromiumチームの修正を取り込み、この脆弱性を解消しました。これにより、同様の攻撃経路が塞がれ、ユーザーは保護されています。

他にも、ブラウザレンダリングエンジン内部のメモリ破損系バグ(use-after-freeやバッファオーバーフローなど)で高危険度に分類されるものが複数修正されています。これらは攻撃者が細工したWebページを閲覧させるだけで任意コード実行に繋がる可能性があるため、放置すると「ドライブバイダウンロード攻撃」のように被害に遭うリスクがありました。Edge 144ではそれらに対応したChromiumセキュリティアップデート(例えばV8 JavaScriptエンジンやANGLEグラフィックス層に関する修正)が適用され、既知のエクスプロイト手法が通用しなくなっています。

CVE-2026-0628の詳細:悪意ある拡張機能経由のコード実行リスクと対策

Edge 144で修正された脆弱性の一例としてCVE-2026-0628を取り上げます(CVE番号や深刻度の正確な情報はMicrosoftのセキュリティ更新ガイドで確認してください)。これはChromiumにおける拡張機能の脆弱性で、ユーザーがインストールした拡張機能が特殊な細工を施された場合、Edgeの特権ページ(ブラウザの設定ページや拡張管理ページ等)内で任意のスクリプトを実行できてしまう問題です。

本来、拡張機能がEdgeの設定UIそのものを勝手に書き換えたり、Edgeの内部動作を乗っ取ったりすることは許されません。しかしこの脆弱性を悪用した拡張機能は、その制限を突破してしまう可能性がありました。結果として、ユーザーが知らぬ間にブラウザ設定を改竄されたり、保存されているパスワード等の機密情報を盗まれたり、といった攻撃が理論的には可能でした。

Edge 144では、Chromeのアップデートと同様にこの脆弱性が修正されました。具体的には拡張機能が影響を与えられる範囲に適切な制限が加えられ、特権ページでの任意コード実行が不可能になっています。また、この問題は既に実際の攻撃に用いられていた(いわゆるゼロデイ攻撃)という情報もあり、迅速な対応が求められていました。Edgeユーザーとしては、Edge 144へ速やかにアップデートすることで当該リスクから身を守ることができます。

このケースからも分かる通り、拡張機能は便利な反面、悪用されるとブラウザ全体のセキュリティに関わる重要な要素です。Edgeでは安全性向上のため、悪質な拡張の自動ブロック機能や審査の強化も行われていますが、ユーザー自身も信頼できる拡張機能のみをインストールする習慣が大切でしょう。

その他のセキュリティ修正:メモリ破損や型混乱など複数の脆弱性への対応

Edge 144では上述の他にも、様々な種類の脆弱性に対処しています。Chromiumベースのブラウザでは常に多くの脆弱性報告が上がりますが、その大半はメモリ管理周りのバグです。具体例を挙げると、Use-After-Free(解放済みメモリの使用)やType Mismatch(型の不一致による不正メモリアクセス)などが典型です。Edge 144には、これらの問題を修正するChromiumのセキュリティパッチが多数含まれています。

例えば、GPUプロセスにおけるUse-After-Free脆弱性や、ネットワークサービスにおけるバッファオーバーフロー脆弱性、PDFパーサーの不具合などがまとめて修正されています。これらはいずれも悪用されればブラウザプロセスのクラッシュを引き起こしたり、場合によってはサンドボックスを突破されてシステムに侵入される可能性すらあるものです。Edge 144では、そのような潜在的リスクが一つ一つ潰されています。

また、セキュリティに直接関係しない安定性バグも修正されています(これも結果的にはセキュリティ向上に繋がります)。例えば、前バージョンで報告されていた「特定の操作でEdge全体がハングする」という不具合や、マルチモニター環境でのウィンドウ処理のバグなどです。これらは攻撃とは無関係ですが、ブラウザの異常動作を誘発する原因となり得ます。安定性が増すことで、予期せぬ挙動(画面が固まる等)に乗じた社会工学的な詐欺にも引っかかりにくくなるという側面もあるでしょう。

総合的に見て、Edge 144は多数の小〜中規模の脆弱性修正を積み重ねた結果、前版より堅牢なブラウザに仕上がっています。日常使いでは違いを実感しにくい部分ではありますが、確実に影の立役者としてユーザーを守ってくれているのです。

セキュリティ機能の強化点:AIベースの詐欺サイト対策やサンドボックス改善

Edge 144では、受動的な脆弱性修正だけでなく、能動的なセキュリティ機能の強化も行われています。ひとつは、「脅威型詐欺サイトブロック」のAI強化です。これはいわゆる不安を煽るようなポップアップ(Scareware)に対するブロック機能で、Edgeに組み込まれていますが、Edge 144ではこのブロッカーがローカルAIを用いて高度化されました。具体的には、PCの性能が十分な場合にAIモデルがデバイス上で動作し、疑わしいサイトのパターンを検出すると自動的に警告・ブロックしてくれます。Edgeは従来からSmartScreenでフィッシングサイトやマルウェアサイトを遮断してきましたが、これに加えてより巧妙な詐欺的手法にも対応力を上げています。

また、ブラウザのサンドボックス(プロセス分離)機構についても継続的な改善が図られています。Edgeはマルチプロセスアーキテクチャで、タブやレンダラーが隔離されていますが、Edge 144では特にEdge for Businessモードに関連してテナント制限機能の強化が行われました。具体的には、企業テナント以外のMicrosoft 365クラウドへのアクセスをEdgeが直接ブロックできる「Tenant Restrictions v2」が実装されており、機密情報の社外持ち出し防止がブラウザレベルで可能になっています。これはセキュリティ強化の一環と言えるでしょう。

その他、細かな点ですが、Edge 144では信頼性向上策としてクラッシュレポートの扱い改善や、プロセス間通信の最適化なども実施されています。これらは表立って「新機能」としては語られませんが、攻撃を受けにくい堅牢なブラウザ作りに寄与しています。エンドユーザーとしては、Edge 144にするだけで様々な最新安全対策が自動で適用されるわけで、改めて更新の重要性を感じるところです。

Edge 144のセキュリティ修正を適用する意味:ゼロデイ攻撃への対処

以上見てきたように、Edge 144は多方面でのセキュリティ向上が図られています。最後に、Edge 144で修正された脆弱性へ対処する意味を整理します。

最大のメリットは、既知のゼロデイ脆弱性への対策が適用されていることです。脆弱性は日々発見され、中には悪用が確認される前にメーカーに報告され対策されるケースもあります。しかし修正がリリースされても、ユーザーがアップデートしなければ防御は実現しません。Edgeでは比較的自動更新が行き渡っていますが、バージョンを放置しているとその間に攻撃リスクが増大します。Edge 144は2026年初頭時点で最新のパッチを含んでおり、既知の攻撃から身を守る上で最善の選択です。

また、新しいセキュリティ機能を享受できる点も見逃せません。前述のAIによる詐欺サイトブロックなど、最新バージョンでのみ利用可能な保護策もあります。ブラウザのセキュリティはOSと並んで重要度が高く、常に最新状態を維持することが推奨されます。エンジニアの方であれば、開発中のWebアプリが最新ブラウザ上で安全に動作するか検証するためにも、手元のEdgeは最新版にしておくべきでしょう。

結論として、Edge 144へのアップデートは安全面で「しない理由がない」ものです。Microsoftも新バージョンの利用を強く推奨しており、企業向けには管理者が従業員のEdgeを強制アップデートする仕組みも提供しています。Edge 144の時点でこれらの修正が入っているため、同等以上のバージョンを利用していれば該当の脆弱性には対処済みです。アップデート方法については、本記事後半の「Microsoft Edge 144へのアップデート方法とバージョン確認の具体的手順」で詳しく説明します。

WebプラットフォームとCSSの更新点(DevTools含む):Edge 144の開発者向け機能

ブラウザのアップデートでは、エンドユーザー向けの機能追加だけでなく、Webプラットフォーム自体の進化も重要です。Edge 144はChromium 144ベースであるため、HTML/CSS/JavaScriptなどのウェブ標準に関する新機能・拡張仕様への対応や、開発者ツール(DevTools)の改善が含まれています。エンジニアにとっては、これらの変更点を把握することで最新のWeb技術を活用した開発やデバッグが可能になります。

この章では、Edge 144における主要なWebプラットフォーム更新と開発者向け機能強化について解説します。特に注目したいのは、CSSにおける新しい機能サポート(例: コンテナクエリの拡充、スクロール連動のアニメーションAPIなど)や、新規Web API(Temporal APIなど)の実装状況、そしてDevToolsにおけるデバッグ体験の向上です。これらのアップデートは、最新のChromiumエンジン搭載ブラウザとしてEdgeも他のChrome系ブラウザと歩調を合わせている証と言えます。

Edge 144のCSS機能アップデート:スクロール状態コンテナクエリscrolledの対応

まずCSS関連のアップデートとして、@container ルールの拡張があります。Edge 144では、コンテナクエリで要素のスクロール状態を扱えるscrolled条件に対応しました。これは、親要素のスクロール方向に応じて子要素のスタイルを切り替えられる機能です。

具体的には、CSSで@container scroll-state(scrolled: top)のような指定が可能となり、あるコンテナ要素が最後にスクロールした方向(上端に達した等)に応じて子要素を装飾できます。例えば、ユーザーがページを下にスクロールしている時はヘッダーを隠し、上にスクロールし直したらヘッダーを再表示するといったUIを、純粋なCSSだけで実現できるようになります。

従来、この種の挙動はJavaScriptでスクロールイベントを監視して実装する必要がありました。Edge 144でscrolledコンテナクエリが使えるようになったことで、フロントエンド開発者はより宣言的・効率的にスクロール連動UIを構築できます。Chrome/Firefoxも対応を進めている最新仕様ですので、Edgeでも最新CSSに追随した形です。なお、この機能はあらかじめ親要素にcontainer-type: scroll-state;を指定しておく必要があります。Edge 144以降であればプレフィックスなしでそのまま利用可能です。

アンカー位置指定の改善:変形した要素へのアンカーポジショニング対応強化

Edge 144では、CSSのアンカーポジショニング機能にも改良が加えられています。アンカーポジショニングとは、ある要素を別の要素(アンカー要素)に対して位置固定する仕組みですが、Edge 144ではアンカー要素がCSS変形(transform)している場合でも正しく子要素を位置合わせできるようになりました。

従来は、アンカー要素側にtransformが指定されていると、その変形が考慮されずに子要素(アンカーポジショニングする側)の位置が計算されてしまうケースがありました。Edge 144ではこの問題が解消し、例えば回転・スケールした要素上でもツールチップ等を適切な位置に固定表示できるようになりました。

この改善により、開発者は要素を変形させる高度なUI効果と、固定位置要素の組み合わせを安心して利用できます。例えば、斜め配置したカード要素の上に常にボタンを重ねて表示する、といった場合にもズレが生じません。Edge 144のこの対応はChromium由来の修正であり、他ブラウザでも順次改善されています。クリエイティブなWebデザインを行う際に、細かな互換性の差異に悩まされることが減るでしょう。

overscroll-behaviorの拡張:キーボード操作や非スクロール要素にも適用可能に

CSSプロパティoverscroll-behaviorについても、Edge 144では挙動の拡張が行われました。このプロパティは、スクロールコンテナの端に達した際のブラウザの挙動(オーバースクロール時のバウンドエフェクトや親へのスクロール伝播など)を制御するものです。Edge 144までは、マウスやタッチによるスクロールにのみ適用され、一部の場合に限られていました。

Edge 144では、キーボードによるスクロール操作(矢印キーやPageDown等)に対してもoverscroll-behaviorが適用されるようになりました。これにより、キーボード操作時でも親要素へのスクロール伝搬を防ぐなど、一貫した挙動制御が可能です。また、これまではスクロール量が実際には無い非スクロール要素(例えばoverflow: hiddenで明示的に隠している場合など)では効果が無かったのですが、Edge 144からは要素が現在スクロール不可でも指定を尊重するようになりました。

これらの変更により、overscroll-behaviorを用いたUI実装がより堅牢になりました。例えばモーダルダイアログ表示中に背後のページスクロールを完全に抑止したい場合、タッチ・マウス・キーボードすべてで親スクロールを防げます。また、開発者は要素のコンテンツ量に関わらずoverscroll-behavior指定を仕込んでおくことで、後からコンテンツが増減してスクロール可能になった場合にも意図通りの挙動を維持できます。

新Web APIとブラウザ機能:Temporal APIやclipboardchangeイベントなど最新標準対応

Edge 144はWebプラットフォームAPIの面でも最新仕様に追随しています。まず注目すべきは、JavaScriptの新しい日時APIであるTemporal APIへの対応です。Temporalは従来のDateオブジェクトを大幅に強化したもので、タイムゾーンや暦法を扱った正確な日時計算が可能になります。Edge 144(Chromium 144相当)でTemporalがデフォルト有効化され、Temporal.ZonedDateTime等のオブジェクトが使用可能になりました。これにより、日付操作ライブラリに頼らずとも複雑な日時処理がネイティブで書けます。

また、クリップボード関連では、新たにclipboardchangeイベントが実装されました。これは、ユーザーがOSのクリップボードにコピー/切り取り操作を行った際にブラウザ側でイベントを捕捉できるものです。従来はポーリングなどで監視するしかなかったクリップボードの変化を検知して、Webアプリ側で動作をトリガーできるようになります(例えば、ユーザーがテキストをコピーしたらUIに通知を表示する等が可能)。セキュリティ上の配慮で許可が必要な場合もありますが、新たなユーザー体験を作る手段として注目されています。

その他の細かなAPI対応としては、Intl.Localeオブジェクトにvariantsプロパティが追加されるなど国際化機能の拡充、MathMLにおける演算子の左右反転対応(RTL言語向け)、WebRTCのRTCDegradationPreference列挙型に新しい値が追加(フレームレートと解像度維持の優先設定)など、多岐にわたります。これらはいずれもChromeと共同歩調で導入されているもので、Web開発者がクロスブラウザで最新機能を試せる土台が整っています。Edge 144を使えば、これら最先端のWeb技術を実際に動かして検証できるでしょう。

開発者ツールの改善:パフォーマンス解析やUIデバッグ支援機能のアップデート

Edge 144では、開発者向けのDevTools(デベロッパーツール)にもいくつかの改善が加えられています。EdgeのDevToolsはChromium DevToolsとほぼ同じですが、Edge独自のカスタムや新機能が追加されることもあります。

今回特筆される改善点として、パフォーマンスプロファイリングのUIが使いやすくなったことが挙げられます。特に「Performance」タブでタイムラインを解析する際、レイアウトシフトやペイントなど特定イベントをハイライト表示するオプションが強化され、ボトルネックの原因分析がしやすくなっています。また、CSSグリッドやフレックスレイアウトの可視化ツールも改善され、複雑なレイアウトでもグリッドラインやコンテナ間隔がより見やすく表示されるようになりました。

UIデバッグ面では、ElementsパネルでのCSS検索機能(特定のスタイルプロパティをフィルターする)が高速化され、スタイル適用箇所を素早く特定できるようになりました。さらに、新しいCSS機能に対応したオートコンプリートやシンタックスハイライトの更新も含まれています。

Edge独自機能として、DevTools内にMicrosoft Edge Tools for VS Code拡張との連携が図られた点もあります。VS Code上からEdgeのデバッグを行うワークフローを促進するため、Edge 144ではリモートデバッグのエンドポイントが改善され、接続が安定化しました。これにより、エディタとブラウザを行き来せずにVS Code上でスタイル編集→即反映といった操作がよりスムーズになります。

総じて、Edge 144のDevToolsは細かなUX向上を積み重ねており、開発者にとってより洗練されたツールになっています。新機能の恩恵を最大限受けるにはEdge自体のアップデートが必要ですので、開発者の方もEdge 144を導入して最新のDevTools環境を試してみる価値があります。

Edge 144で追加された管理者向け新ポリシーと設定項目

Microsoft Edgeはエンタープライズ用途にも広く使われており、IT管理者向けの各種ポリシー設定が豊富に用意されています。Edge 144では、その管理機能もさらに強化され、新しいポリシー項目が追加されました。企業内でEdgeを利用する際に役立つ、注目の新ポリシーとその活用方法について解説します。

最新版へのアップデートに伴い、位置情報アクセスの細かな制御印刷ダイアログの抑止といった新ポリシー、また大型アップデート時の案内ページ表示設定などが導入されています。管理者にとって、これらの新設定を知っておくことでユーザーのブラウザ体験をより統制・最適化できるでしょう。それでは順に見ていきます。

位置情報制御ポリシーの追加:特定サイトでのGeolocation許可/ブロック設定

Edge 144では、Webサイトに対する位置情報(Geolocation)アクセスの許可・ブロックを細かく制御できるポリシーが新設されました。それがGeolocationBlockedForUrlsおよびPreciseGeolocationAllowedForUrlsの2つです。

GeolocationBlockedForUrlsは、指定したURLのリストに対して位置情報へのアクセスを自動的にブロックするポリシーです。例えば社内で特定の外部サイトには位置情報を絶対渡したくないといった場合、このポリシーにそのサイトのURL(ドメイン)を設定すれば、ユーザーが許可を与える操作をしても強制的にブロックされます。一方、PreciseGeolocationAllowedForUrlsはリストに対して高精度の位置情報取得を許可するものです。近年ブラウザではプライバシー保護のため粗い位置情報のみ提供するケースがありますが、このポリシーを使うと指定サイトに対して高精度(GPSレベル)の位置情報を許可することができます。

これらはエンタープライズシナリオで役立ちます。例えば従業員が特定の業務サイトで位置情報サービスを使う必要がある場合、PreciseGeolocationAllowedForUrlsでそのサイトをホワイトリスト化しておけば、円滑に利用できます。逆に機密保護の観点で一切位置情報を出したくないサイトがあれば、GeolocationBlockedForUrlsでブラックリスト化できます。管理者はグループポリシーやIntune等を通じてこれらリストを配布するだけで統制可能です。

Edge 144でのこれらポリシー追加により、位置情報提供の可否をユーザー任せにせず組織ポリシーとして一元管理しやすくなりました。ユーザーの許可操作ミスによる情報漏洩リスクを減らす施策として有効でしょう。

サイレント印刷の導入:印刷時のダイアログ非表示を可能にする新ポリシー

もう一つEdge 144で追加された注目の管理機能が、いわゆる「サイレント印刷」を有効にするポリシーです。Edgeで印刷操作を行うと通常プリントダイアログ(印刷設定画面)が表示されますが、SilentPrintingEnabledポリシーを有効にするとこのダイアログを省略して即座に印刷処理を実行できるようになります。

店舗のレジシステムや工場の発券システムなど、Webアプリ経由で連続印刷するような用途では、ユーザーの手を煩わせずに次々と印刷したいケースがあります。従来ブラウザではセキュリティ上の理由からユーザー操作無しの印刷は制限されていましたが、Edge 144では管理者が明示的に許可することでそれを可能にしました。

もちろんこの機能を安易にオンにすると、不正なサイトが勝手に大量印刷を仕掛けてくるリスクもあります。そのため、SilentPrintingEnabledは信頼できる社内システム専用のプロファイルやデバイスにのみ適用する、といった慎重な運用が必要です。しかし適切に使えば、特定の業務端末で無人印刷を実現するなど効率化に繋がります。Edgeのポリシーとして公式に提供されたことで、従来はカスタムビルド等が必要だったシナリオにも標準環境で対応できるようになりました。

大型アップデート通知ページ制御:WhatsNewPageForEntraProfilesEnabledポリシーの役割

Edge 145からの機能ですが、Edge 144にも関連する新ポリシーとしてWhatsNewPageForEntraProfilesEnabledがあります。これは、エンタープライズ環境向けのEdgeにおいて、メジャーアップデート後の初回起動時に表示される「新機能紹介ページ」の表示有無を制御するものです。

MicrosoftはEdge 145以降、Edge for Business(Entra ID/旧AADでサインインしているプロファイル)を対象に、アップデート直後に新機能の説明ページを自動表示する仕組みを導入予定です。このページはユーザーが新機能を理解し生産性向上に繋げてもらう意図ですが、企業によっては不要と判断する場合もあるでしょう。WhatsNewPageForEntraProfilesEnabledポリシーはそれを制御し、表示させない設定も可能にします。

Edge 144時点では実際の動作はまだ体験できませんが、先取りでポリシーが追加されている形です。管理者は自社ポリシーに従ってこのページを見せる/見せないを指定できます。ユーザーに余計な情報を見せたくない場合は無効化すれば良いですし、逆に積極的に新機能情報を共有したければ有効のままにします。Edgeはアップデート頻度が高いため、エンドユーザーに都度新機能を案内するかどうかは組織によって判断が分かれるでしょう。このポリシーはそうしたニーズに対応したものです。

プライマリーワークプロファイル既定化:EdgeOpenExternalLinksWithPrimaryWorkProfileEnabledポリシーによる挙動

Edge 144では、外部リンクを開く際のプロファイル選択挙動に関する改善も入りました。通常、Edgeは最後に使用したプロファイルで外部(他アプリからの)リンクを開きますが、エンタープライズユーザーの場合は業務用プロファイルで開きたいことが多いという指摘がありました。そこでEdge 144では、WindowsではPrimary Work Profile(Entra IDでサインインした主業務用プロファイル)が存在すればそちらで外部リンクを開くよう動作変更されました。

この新挙動を管理者が制御するためのポリシーがEdgeOpenExternalLinksWithPrimaryWorkProfileEnabledです。デフォルトでは有効になっており、WindowsではPrimary Work Profileで外部リンクを開こうとします(Mac/Linuxでは該当プロファイルが一つだけならそれを使用)。管理者がもし従来通り最後に使っていたプロファイルで開いてほしい場合は、このポリシーを無効にすることで以前の挙動に戻せます。

この機能は、例えばプライベート用プロファイルと社用プロファイルを併用しているユーザーに有用です。メールクライアントやTeamsなどから開く社内リンクは自動的に社用プロファイルで開かれるため、シングルサインオン情報などが引き継がれてスムーズにアクセスできます。Edge 144はこうした細かなUX改善も含まれており、管理者はユーザーの業務効率を高めるために適切なポリシー設定を検討すると良いでしょう。

Copilotアイコン表示制御:Microsoft365CopilotChatIconEnabledポリシーによるAI機能の管理

最後に、前述のCopilotアイコン表示に関連する管理ポリシーについて触れておきます。Edge 144では、Microsoft365CopilotChatIconEnabledというポリシーが新設され、管理者が組織全体でCopilotアイコンの表示有無を制御できるようになりました。

これにより、例えば「うちの会社ではEdgeのAI機能は使用禁止」といった方針の場合、このポリシーをオフに設定して全クライアントに適用すれば、ユーザーは最初からCopilotアイコンが表示されない状態になります。逆にAI活用を推進したい組織ではあえてオンに固定し、常にアイコンを表示して使うよう促す、といった運用も考えられます。

もともとEdge 143以前はユーザーがアイコンを消せなかったこともあり、この管理ポリシーは存在しませんでした。Edge 144でユーザーUIに非表示オプションが追加されるのと同時に、管理者向けにも一括設定項目が提供された形です。企業環境では、AI機能の利用可否はセキュリティや生産性に関わる判断となるため、こうしたポリシーが整備された意義は大きいでしょう。

なお、このポリシーはMicrosoft 365 Copilot全般の可否に関わるため、将来的にEdge内のAI機能が増えても包括的に管理できます。Edge 144以降、管理者は自社のポリシーに基づき、AI機能を許容するかどうかを明示的に決められるようになりました。

Edge 144のワークスペース機能と活用シナリオ

Microsoft Edgeの特徴的な機能の一つに「Edge ワークスペース」があります。これは複数のタブをひとまとめにして保存・共有し、後からチームで共同作業したり自分の作業コンテキストを復元したりできる機能です。Edge 144では、このワークスペース機能が正式版として一般提供されるようになり、より多くのユーザーが利用可能になりました。また、従来のプレビュー版から仕様変更も加えられているため、その点も含めて活用シナリオを紹介します。

Edge ワークスペースは、プロジェクトやタスクごとに関連するウェブページをグループ化し、ひとつのウィンドウにまとめて管理できる仕組みです。たとえば「旅行プラン」「研究課題」「開発プロジェクトA」といったテーマ別にワークスペースを作成し、それぞれのワークスペース内でタブを開いておくことができます。あとで再度そのプロジェクトに取り組む際にはワークスペースを開けば、前回のタブ構成がそのまま復元されます。

Edgeワークスペース機能とは:複数タブをグループ化し作業を整理する新機能

Edge ワークスペース機能は、簡単に言えば「タブのコレクション」を扱う仕組みです。従来からEdgeには「コレクション」というお気に入りに近い機能がありましたが、ワークスペースはそれをさらに発展させたものです。ワークスペースでは実際のタブとウィンドウが保存対象であり、保存した時の状態(ログイン状態やスクロール位置など)を保ったまま再現できます。

具体的には、Edgeのツールバーに「ワークスペース」アイコンが表示され、そこから新規ワークスペースの作成や切り替えができます。ワークスペースごとに名前とテーマカラーを設定でき、ウィンドウごとに色分け表示されるため視覚的にも区別が付きます。一つのEdgeウィンドウが一つのワークスペースに対応しており、異なるワークスペースは別ウィンドウとして同時に開けます。各ワークスペース内で開いたタブは他と隔離され、ワークスペースを切り替えれば異なるタブのセットに瞬時に移行可能です。

この機能により、複数の作業を並行して進める際のコンテキスト切り替えが容易になります。例えば、仕事用のワークスペースとプライベート用のワークスペースを分けておけば、それぞれで開くサイトやログイン情報も分離され、頭の切り替えがしやすくなります。Edge ワークスペースは従来煩雑になりがちだった多数のタブ管理を整理し、作業効率を高める新機能として位置づけられています。

バージョン144での一般提供開始:Edge Workspacesが全ユーザーに開放された経緯

Edge ワークスペースは以前から限定プレビューとして一部ユーザーに試用提供されていましたが、Edge 144で正式に一般提供が始まりました。以前のプレビュー版では、ワークスペースに他ユーザーを招待して共同閲覧できる機能などがありましたが、正式版では仕様が変更されています。

Edge 144以降のワークスペースは個人利用に特化した形で公開されています。具体的には、以前は他のユーザーとワークスペースを共有しリアルタイムで同じタブを閲覧できるコラボレーション機能がありましたが、正式版では共有機能が一旦オフになっています。つまり、現時点でEdge ワークスペースは自分自身のタブ整理ツールとして提供されており、他人を招待することはできません。

また、プレビュー版ではワークスペースデータをOneDrive経由でクラウド保存する仕様でしたが、正式版ではOneDrive不要となりローカル保存が基本になっています。必要なストレージ容量のハードルが下がり、誰でも気軽に使えるよう配慮されています。一方で、タブのロック機能(誤って閉じられないように固定する機能)はプレビューでは存在しましたが正式版では削除されました。これら変更は、「まずは個人向け機能として安定提供し、将来的に共有機能等をブラッシュアップして再導入する」方針の表れと見られています。

Edge 144での一般提供開始にあたって、利用要件も設定されました。Windows 10/11またはMac OSでEdge 144以上が必要であり、Edgeにサインインしていることが条件です。MSA(Microsoftアカウント)か職場/学校アカウントでサインインしていればOKです。これら要件を満たせば、Edgeのツールバーにワークスペースアイコンが表示され、誰でも新規作成できるようになっています。

個人用ワークスペースの活用例:プロジェクト別にタブを保存・再開する効率的な手法

現在のEdge ワークスペースは、主に個人の作業整理に威力を発揮します。その活用例をいくつか紹介します。

  • プロジェクトA用ワークスペース: 開発プロジェクトAに関連する仕様書、デバッグ用ローカルサイト、参考記事、チャットツールなど複数のタブをまとめておく。翌日プロジェクトA作業に戻る際、ワークスペースを開けば前回の状態が復元され即開始できる。
  • リサーチ用ワークスペース: 旅行計画や論文調査など、一時的に大量のタブを開いて情報収集する際に使う。作業後はワークスペースごと閉じておき、必要なときにだけ復元。普段使いのタブと混ざらず整理できる。
  • 分野別ブラウジング: 例えば「ニュース&SNSワークスペース」「技術ブログワークスペース」「動画視聴ワークスペース」などテーマごとに分け、気分や用途に応じて切り替えて使う。一度整理したセットを日々再利用可能。

このように、ワークスペースはタブの「保存フォルダ」のような役割を果たします。従来ならウィンドウを閉じる前に全部ブックマークしていたものを、そのままワークスペースとして残せるわけです。そして必要なときだけ復活させるので、同時に開くタブ数を抑制でき、メモリ節約や作業の集中にも繋がります。

学校や勉強での活用も考えられます。例えば科目ごとにワークスペースを分けて関連サイトや教材をまとめておくなどです。Edge ワークスペースはユースケース次第で自由度高く使えるので、まずは自分の用途に合わせて作成し試してみるのがおすすめです。Edge 144以降であれば安定して動作し、便利さを実感できるでしょう。

チームでの共同作業機能の変化:共有対応の旧Edge Workspacesと新機能の比較

前述の通り、Edge ワークスペースは当初共同作業(コラボレーション)機能を備えていました。プレビュー版Edge Workspacesでは、作成したワークスペースに他のユーザー(特定のMicrosoftアカウントや職場アカウント)を招待でき、招待されたメンバー全員が同じワークスペース内のタブをリアルタイムで共有・閲覧可能というユニークな機能がありました。

しかし正式版では、この共有機能は一時的に姿を消しています。以前の「参加者を招待」オプションがなくなり、現状ワークスペースは作成者個人のみが閲覧できます。これは、共有機能がまだブラッシュアップを要するという判断からと推測されます。プレビュー期間中、共有ワークスペースでの編集競合や権限管理など課題もあったようで、Microsoftは一旦個人用機能にフォーカスして品質を高めた上で、将来的に共有を再開する可能性があります。

Edge 114頃の旧Edge Workspaces(プレビュー版)とEdge 144以降の新Edge Workspacesを比較すると、以下の違いがあります。

機能 旧Edge Workspaces (プレビュー) 新Edge Workspaces (正式版)
タスクサポート 複数タスク・グループ間で共有作業をサポート 個人で複数タスクを管理する用途に特化
共有・コラボ ワークスペースの共有・共同編集が可能 共有不可(招待・共同編集機能は停止中)
招待機能 他者をワークスペースに招待可能 招待不可(他者参加はできない)
OneDriveストレージ 要件:各参加者のOneDrive容量を使用 OneDrive不要(ローカル保存に変更)
タブロック タブのロック機能あり タブロック機能は無し

このように、旧プレビュー版は「共有コラボレーション」に重心がありましたが、新正式版は「個人の生産性向上」に振り切った仕様となっています。一見退化したようにも思えますが、まずは基礎を整えた上で将来また共有機能を提供する準備段階と受け止められます。

仮に今後共有機能が復活するとすれば、Microsoft Teamsなどとの連携や、一緒にブラウジングしながらプロジェクト資料を共有するといった強力なコラボツールになり得ます。現在は少しお預けとなっていますが、将来的な発展も視野に入れつつ、今は個人用ツールとして活用しておくと良いでしょう。

今後の展望:Edge Workspacesの機能拡充と共有機能再導入の可能性

Edge 144で正式公開されたワークスペース機能は、まだ発展途上とも言えます。Microsoftも「今後のプレビュー/フィードバックを経て機能改善していく」と述べており、特に共有・コラボレーション機能の再導入が期待されています。今後の展望として考えられるポイントを挙げてみます。

  • 共同編集の復活: 信頼できるドメイン内ユーザーに限定する、アクセス権限を細かく設定できる等、安全面を強化してワークスペース共有を再提供する可能性があります。社内プロジェクトでタブセットを共有しリアルタイム更新できれば、Teams会議などでの共同ブラウジングも容易になるでしょう。
  • 同期とクラウド保存: 現状ローカル保存のワークスペースデータを、再度クラウド同期に対応させることで、複数デバイス間でワークスペースをシームレスに引き継げるようになるかもしれません。その際OneDriveではなくEdge同期機能に統合される形も考えられます。
  • UI/UXの洗練: 例えばワークスペース間でタブをドラッグ移動できるようにする、ワークスペースのテンプレートを提供する、長期間未使用ワークスペースのアーカイブ機能など、ユーザー体験を向上させる改良も検討されるでしょう。

いずれにせよ、Edge Workspacesはブラウザの利用スタイルを変え得るポテンシャルを秘めています。Microsoftも公式ブログ等で活用例を紹介しており、まずはユーザーに使ってもらいフィードバックを集めている段階と言えそうです。エンジニアにとっても、自分の作業環境整理に使えるのはもちろん、将来的にWebアプリとの連携(ワークスペース内でアプリを特定状態で開くなど)といったアイデアも浮かぶかもしれません。今後の機能拡充に期待しつつ、現状のワークスペース機能を最大限活用してみましょう。

Edge 144時点での更新手順とバージョン確認の方法

最後に、Edgeユーザーが自分のブラウザをMicrosoft Edge 144へアップデートする方法と、正しくバージョン144に更新されたか確認する手順について説明します。Edgeは自動更新が基本ですが、企業環境などでは手動対応が必要な場合もあります。ここでは一般ユーザー向けの方法と、オフライン環境や更新トラブル時の対処法まで網羅します。

Edge 144へのアップデートは基本的にシンプルで、Edge自体に組み込まれた更新機能を使うのが一番確実です。Windows/Macとも共通した手順となります。また、バージョン確認はEdgeの設定画面や専用URLで容易に行えますので、アップデート後には必ず現行バージョン番号を確認しましょう。それでは順を追って解説します。

Edgeの自動アップデート機能:ブラウザが自動更新される仕組みと前提条件

Microsoft Edgeには、ユーザーが特に操作しなくても最新バージョンへ更新してくれる自動アップデート機構が備わっています。Windows環境ではバックグラウンドでEdgeの更新プログラム(Microsoft Edge Update)が動作しており、定期的にMicrosoftのサーバーへ最新版の有無をチェックしています。新しいバージョン(今回で言えばEdge 144)が利用可能と判定されると、自動的にインストールが行われます。

この自動更新が正常に機能するためには、PCがインターネットに接続されていること、そしてPCに更新プログラムの実行が許可されていることが前提となります。通常はWindowsのタスクスケジューラにより定期実行されていますので、多くのユーザーは何もしなくても気づかないうちにEdge 144にアップデートされているでしょう。Edgeのメニューにある「ヘルプとフィードバック > Microsoft Edge について」を開くと、そこで更新チェックが走りダウンロード・インストールが実施されます(この操作は後述する手動更新でも活用します)。

企業環境では、管理者がWSUSやIntune等でEdgeの更新を管理している場合もあります。その場合ユーザー側での自動更新が無効化されていることもありますが、基本的にEdge 144への更新プログラムはWindows Update経由でも配信されます。エンドユーザーとしては、ポリシーで制限されていない限り自動更新に任せておけば問題ありません。自動更新が機能している場合、Edgeを再起動したタイミングで新バージョンが適用され、直ちにEdge 144の新機能を使えるようになります。

手動でのアップデート確認方法:メニューから「Microsoft Edgeについて」を開く手順

自動更新を待たずにすぐEdge 144へアップデートしたい場合、手動更新を行うことが可能です。その方法は非常に簡単で、Edgeの設定画面内でアップデートチェックを実行するだけです。

  1. Edgeブラウザの画面右上にある「…(設定など)」ボタンをクリックし、メニューから「ヘルプとフィードバック」にカーソルを合わせ、さらにサブメニューの「Microsoft Edge について」をクリックします。
  2. すると、Edgeの「Microsoft Edge について」ページ(edge://settings/help)が新しいタブで開きます。ここでEdgeは自動的に最新版の確認を行います。
  3. 「更新プログラムを確認しています…」というメッセージの後、利用可能なアップデートがあればダウンロードが開始されます。Edge 144への更新がまだ適用されていない場合、この時点で最新版のダウンロードが進みます。
  4. ダウンロードが完了すると、「Microsoft Edge を再起動して更新を完了してください」と表示されるので、「再起動」ボタンをクリックします。
  5. Edgeが再起動し、バージョン144.0.xxx.x(Edge 144)へアップデートされていれば成功です。

以上の手順で、多くの場合Edge 144への手動アップデートが完了します。この方法は自動更新がオフになっている場合や、すぐに新機能を試したい場合に有効です。なお、手動チェックを行ってもまだEdge 144が降ってこない場合は、ロールアウトの都合で自分の環境には未提供の可能性があります。その際は数日待って再度試すか、次に述べるオフラインインストーラを利用する方法もあります。

オフラインインストーラーを使用した更新:ネット未接続環境でEdge 144にアップグレードする方法

一部の環境(オフライン端末やインターネット制限のあるネットワーク)では、Edgeの自動/手動更新が行えない場合があります。そのような場合、オフラインインストーラーを使用してEdge 144にアップグレードする方法があります。

Microsoftの公式サイトからEdgeのオフラインインストーラー(スタンドアロンインストーラー)をダウンロードし、それを対象PCで実行することで更新できます。オフラインインストーラーはEdgeのダウンロードページで「他のプラットフォーム向け」といったリンクを辿ると入手可能です。32bit/64bit版やOS種別を選んでダウンロードし、USBメモリ等でオフラインPCに持ち込んで実行すれば、ネット接続なしでEdge本体を最新にすることができます。

また、企業向けにはMSI形式のEdgeインストーラも提供されていますので、SCCM等で配布する場合はそちらを利用すると管理しやすいでしょう。オフライン環境でEdge 144を利用するには、セキュリティアップデート適用のためにもこれら手動更新を怠らないことが重要です。

バージョン番号の確認手順:Edgeの設定画面やedge://versionで現在のバージョンを確認

Edgeをアップデートした後、自分のブラウザが正しくEdge 144になっているか確認する方法を紹介します。最も簡単なのは、先ほど手動更新に使用した「Microsoft Edge について」ページを再度開くことです。そこには現在のバージョン番号が表示されます。Edge 144の場合、少なくとも「バージョン 144.0.xxx.xxx (公式ビルド)」という文字列が確認できるはずです。ビルド番号部分は更新により変わりますが、先頭の144がバージョンを表しています。

別の方法として、アドレスバーにedge://versionと入力してページを開く方法もあります。こちらはより詳細なバージョン情報(64ビット版かどうか、コマンドライン引数など)も表示されます。いずれにしても、144という数字が含まれていればEdge 144系統であることが確認できます。

また、Edgeのバージョン確認ついでに、新機能の動作確認をしてみるのも良いでしょう。例えば、アドレスバーをクリックした際にBingのトレンド候補が出るか、新しいパフォーマンス設定項目(省電力/PCゲームブースト)があるか、Copilotアイコンの右クリックメニューに「非表示」が追加されているか、といった点をチェックすれば、確かにEdge 144にアップデートされたことを体感できます。

更新できない場合の対処:アップデートが表示されない/失敗する際の対応策

稀に、Edgeのアップデートがうまくいかないケースもあります。その場合の対処法をいくつか挙げます。

  • 時間をおいて再試行: ロールアウトの関係でまだ自分には配信されていない場合があります。数日〜1週間程度待ってから再度「Edgeについて」を開いてみてください。
  • 再起動とネット接続確認: PCを再起動し、安定したネット接続を確認してから再度更新を試します。セキュリティソフトが通信をブロックしていないかもチェックします。
  • オフラインインストーラ使用: 手動でも更新されない場合、前述のオフラインインストーラをダウンロードし直接インストールしてみます。これで最新版になることが多いです。
  • 古いEdgeのリセット: それでもダメな場合、Edgeのユーザーデータが破損している可能性があります。Edge設定のリセット(設定→リセット)や、最悪アンインストール→最新版の再インストールを検討します。ただしお気に入り等の同期データは保持されますが、念のためバックアップ推奨。

企業環境下では、管理者がポリシーで更新を止めている可能性もあります。その場合はシステム担当者に問い合わせてください。また、Edge 144がサポートするOSバージョン要件を満たしていない(例えばWindows 7上など)場合、更新されないこともありえますので、自分のOS環境も合わせて確認しましょう。

以上の対処をしても更新できない場合は、Microsoftコミュニティやサポートに相談するのも一つの手です。概ねEdgeはアップデート失敗の少ないブラウザですが、万一困った際の参考になれば幸いです。

まとめ: Edge 144は自動更新で入手可能ですが、手動でも容易にアップデートできます。最新バージョンへ上げることで、新機能・改善点をフルに活用でき、安全性も向上します。本記事はEdge 144時点の情報です。いま使っているEdgeを最新の状態にしたい場合は、最新版(Edge 149)の記事にある確認・更新手順を参照してください。

よくある質問(Microsoft Edge 144)

Q. Edge 144はどのバージョンの次ですか?

Edge 143の次に提供された安定版です。Edgeはメジャー番号が数週間ごとに上がるため、144の後にもより新しい版がリリースされています。

Q. 使っているEdgeを最新版にしたい/最新の番号や不具合を知りたい

本記事はEdge 144時点の情報です。最新版の番号・不具合・更新手順は最新版(Microsoft Edge 149)の変更点・不具合まとめにまとめています。番号だけを確認したい場合はedge://versionを開くと現在のバージョンが表示されます。

Q. Edge 144でCopilotアイコンを消すには?

サイドバー上のCopilotアイコンを右クリックし「非表示」を選ぶと消せます。組織で一括制御する場合はMicrosoft365CopilotChatIconEnabledポリシーを使います。

Q. 「効率モード」が見当たらないのはなぜ?

Edge 144で名称が「省電力」に変わったためです。設定の同じ場所にあり、ゲーム時用の「PCゲームブースト」が併せて追加されています。

Q. WARPとは何ですか? WebGLが速くなりますか?

WARPはGPU非搭載環境向けにMicrosoftが用意したソフトウェア描画エンジンで、従来のSwiftShaderを置き換えます。GPUの無い環境でのWebGL描画が高速化します。旧挙動が必要な場合はEnableUnsafeSwiftShaderポリシーで継続できます。

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