戻るボタンの乗っ取りとは?Googleが2026年6月スパム認定した違反と対応チェック

Googleは2026年4月13日、ブラウザの戻るボタンを正常に機能させない「戻るボタンの乗っ取り(バックボタンハイジャッキング)」を、スパムポリシーの「悪意のある行為(malicious practices)」に明示的な違反として追加しました。施行は2026年6月15日です。違反すると手動スパムアクションや自動的な順位降格の対象となり、影響はサイト全体に及びます。原因が広告やサードパーティ製ウィジェットのスクリプトであっても、責任はそれを設置したサイト側に帰属します。本記事では、違反の定義と技術的な仕組み、6月15日までに済ませるべきチェック手順、ペナルティを受けた場合の対応、そして「戻るボタンで前に戻れない」被害に遭ったユーザー側の対処までをまとめます。

まとめ:戻るボタン乗っ取り規制の要点

  • 発表2026年4月13日/施行2026年6月15日。分類は最も深刻度の高い「悪意のある行為」で、マルウェアや不正ソフトウェア配布と同じカテゴリ。
  • 対象はブラウザ履歴を操作して戻る動作を妨げるスクリプト全般history.pushState()による履歴の水増し、replaceState()による直前ページの書き換え、popstate傍受による戻る操作の無効化などが該当する。
  • 制裁は手動スパムアクションアルゴリズムによる自動降格の2種類。手動はSearch Consoleの「手動による対策」に通知され、再審査リクエストで解除する。自動降格は通知がなく再評価待ちとなる。
  • 第三者コード起因でも免責されない。広告ネットワークやレコメンドウィジェットが原因でも、罰せられるのは設置したサイト。
  • 対応はDevToolsのSources横断検索で履歴操作コードを特定し、Google検索から流入して戻る操作を実機テスト、タグマネージャー経由の外部スクリプトを棚卸しする。期限は6月15日。
  • SPAの正当なpushState()ルーティングは対象外。ユーザーの操作に対応した履歴変更かが正否の分かれ目になる。

戻るボタンの乗っ取り(バックボタンハイジャッキング)とは何か

戻るボタンの乗っ取りとは、ユーザーがブラウザの戻るボタンを押しても直前のページへすぐに戻れないよう、Webサイトが履歴やナビゲーションを操作する行為を指します。訪問したことのないページへ強制的に飛ばす、意図しない広告やレコメンドを表示する、あるいは戻る動作そのものを無効化する、といった挙動がまとめて違反対象になりました。

スパムポリシーで「悪意のある行為」に追加された違反定義

Google検索セントラルの公式ブログで発表されたこの方針は、戻るボタンの乗っ取りを「悪意のある行為」カテゴリの明示的な違反として追加しました。ポリシー文書には「ブラウザ履歴に欺瞞的または操作的なページを挿入または置換し、ユーザーが戻るボタンで直前のページにすぐ戻れなくするスクリプトまたは技術」と記載されています。技術的な手法は問われず、履歴操作で戻る動作を妨げる実装が幅広く射程に入ります。従来のスパムポリシーでもユーザーの期待を裏切る行為は問題視されてきましたが、戻るボタンの乗っ取りが名指しで列挙されたのは今回が初めてです。追加先が「悪意のある行為」、つまりマルウェアや不正ソフトウェアと同列の項目である点が、Googleの本気度を示しています。単なるSEO上の減点ではなく、サイトの信頼性そのものを毀損するリスクとして扱う必要があります。

猶予2か月と2026年6月15日という実質デッドライン

発表からちょうど2か月後の6月15日を施行日に設定した点に、Googleの意図が表れています。事前告知なしに適用されることが多いコアアルゴリズムアップデートと違い、今回は対応期間を明示しました。この猶予期間中に、サイト運営者は履歴を操作して戻る動作を妨げるスクリプトを特定し、削除または無効化する必要があります。ただし6月15日を過ぎれば即座にペナルティの対象となるため、この日付は事実上のデッドラインです。2026年3月に完了した通常のスパムアップデートの直後に打ち出された流れからも、Googleのスパム対策が単発ではなく体系的に強化されていることが読み取れます。

増加する乗っ取り行為とGoogleが問題視した理由

Googleは公式発表で「こうした振る舞いのWebサイトが増加している」と明言しました。具体的な件数は非公表ですが、看過できない広がりを確認していたことがうかがえます。特にスマートフォンでは戻る操作がOS標準のジェスチャーと結びついているため、乗っ取りに遭ったときのストレスがデスクトップを上回ります。ユーザーが「操作されている」と感じて未知のサイトへの訪問意欲を失う構造的な問題が、今回のポリシー追加を後押ししました。

ユーザーが遭遇する戻るボタン乗っ取りの典型パターン

乗っ取りといっても挙動にはいくつかの型があります。自サイトが無自覚に該当していないかを判断するために、代表的な4パターンを押さえておきます。

戻るボタンを押しても同じページから動かない無限ループ型

最も基本的で、ユーザーの苛立ちが大きいのがこの型です。ページ読み込み時にJavaScriptで履歴にダミーのエントリを大量挿入するため、戻るボタンを押しても挿入されたエントリへ移るだけで画面は変わりません。何度押しても同じページが表示され続け、モバイルでは最終的にタブを閉じるしか脱出方法がないケースも珍しくありません。滞在時間を見かけ上延ばす効果はありますが、Googleが違反と定めた代表的な実装です。まず自サイトのページで戻るボタンを複数回押しても画面が切り替わらない現象がないかを検証してください。

未訪問の広告ページへ強制遷移させるリダイレクト挿入型

戻るボタンを押した際に、本来の前ページではなく広告やアフィリエイトリンク先へ強制的に飛ばす手口です。履歴スタックに実際には訪問していないURLを紛れ込ませ、戻る操作のたびに経由させて広告インプレッションやクリックを発生させます。Googleが指摘する「訪れたことのないページへの強制遷移」にそのまま該当し、最もわかりやすい違反です。広告収益を直接生むため、アドネットワーク経由のスクリプトに組み込まれている例が多く確認されてきました。

おすすめ記事や関連コンテンツを表示するレコメンド乗っ取り型

戻るボタンを押すと検索結果ではなく、サイト内のレコメンドフィードや関連記事一覧が表示される型も規制対象です。一見サイト内ナビゲーションの延長に見えますが、「前のページに戻りたい」という明確な意図を裏切って別コンテンツを提示する点が問題になります。コンテンツレコメンドウィジェットの中には、読み込み時に自動で履歴エントリを追加し戻る操作を横取りする実装が存在します。運営者が意図的に導入していなくても、サードパーティ製ウィジェットが裏側で行っている場合があるため、外部スクリプトの挙動確認が欠かせません。回遊率向上を狙ってこの種のウィジェットを設置しがちなメディアやブログは、優先的に点検すべきです。

複数回の戻る操作を強いるヒストリー水増し型

完全に離脱を阻止せず、戻るボタンを何度も押さなければ前ページに戻れないよう仕向ける型です。ページ遷移のたびに2〜3件の余分な履歴を挿入し、元のページに戻るまで5回以上の戻る操作を要求する実装が報告されています。「一応戻れるのだから問題ない」という認識で入れられる場合もありますが、ポリシーは「即座に前のページに戻ること」を妨げる行為全般を違反と定義しています。回数の閾値は示されていないため、正規の遷移を伴わない履歴挿入は1件でもリスクと考えるべきです。「なぜか何回も戻るボタンを押す必要がある」体験は、滞在時間の水増しという見かけの効果とは裏腹に、ブランドへの不信を強めます。

History APIの悪用で乗っ取りが成立する技術的な仕組み

戻るボタンの乗っ取りは、ブラウザ標準のHistory APIを悪用して実現されます。本来はシングルページアプリケーション(SPA)のルーティングやUX向上のために設計されたAPIが、どう悪用されるのかを理解しておくと、自サイトの実装が違反に当たるかを判断できます。

history.pushState()で未訪問URLを履歴に挿入する基本手法

最も基本的な手口がhistory.pushState()の悪用です。このメソッドは本来、ページをリロードせずにURLバーを更新し新しい履歴エントリを追加するもので、SPAのページ遷移や状態管理に不可欠です。悪意ある実装では、ページ読み込み時にユーザー操作と無関係にhistory.pushState()を複数回呼び出し、存在しないページのURLを履歴に大量挿入します。結果として、戻るボタンを押してもダミーの履歴を順に辿るだけで本来の前ページに到達できません。わずか数行で実現できる点が、この手法が広く悪用された背景です。

popstateイベントを傍受して戻る操作を無効化する構造

popstateイベントは、ユーザーが戻る・進むボタンを操作したときにブラウザが発火するイベントで、SPAでは画面切り替えに正当に使われます。乗っ取りスクリプトはこのイベントにリスナーを登録し、戻る操作を検知した瞬間にhistory.pushState()を再実行します。これにより、何回戻るボタンを押しても現在のページに引き戻されるループが成立します。さらに悪質なケースでは、popstateをトリガーに広告オーバーレイやリダイレクトを実行する変種も報告されています。リスナー登録は数行で完結し外部スクリプトに紛れ込みやすいため、発見が難しいのが厄介な点です。

history.replaceState()で直前ページを広告URLに書き換える手口

history.replaceState()は現在の履歴エントリを上書きするメソッドで、新規追加ではなく既存エントリの書き換えである点が特徴です。悪意ある実装では、ユーザーがページに到達した直後にreplaceState()を実行し、直前のページ(たとえばGoogle検索結果)の履歴エントリを広告URLへ差し替えます。ユーザーが戻るボタンを押すと、検索結果ではなく書き換えられた広告ページが表示されます。履歴エントリ数が変わらないためpushState()による水増しより検出が難しく、開発者ツールのHistoryパネルでも変更前の状態を追いにくいのが実情です。監査では戻る操作の実機テストを必ず併用してください。

SPAの正当なルーティングと違反実装を分ける3つの判断基準

History APIはSPAの正当なルーティングに不可欠で、使用自体が問題になるわけではありません。正当な利用と違反を分けるには、次の3基準が有効です。

  1. ユーザーが認識できるページ遷移に対応しているかpushState()の呼び出しが、ユーザーが操作した結果として認識できる画面変化と対応していれば正当。UIの微細な状態変更やモーダル表示だけのために履歴を追加するのはグレーゾーン。
  2. 戻る操作で期待どおりの前画面に遷移するか:戻るボタンで直前の画面状態に正しく復帰すれば問題なし。無関係なページや広告が表示されれば明確な違反。
  3. ユーザー操作なしに履歴が追加されていないか:ページ読み込み時や一定時間経過後に自動でpushState()が実行される実装は、意図に基づかない履歴操作として違反リスクが高い。

なお、ページ離脱時に確認ダイアログを出すbeforeunloadは、履歴を操作するわけではないため乗っ取りとは別物です。ただし過度な離脱防止ダイアログもユーザー体験を損なうため、今後の規制拡大を視野に入れて点検しておくと安全です。判断は、Google検索経由で流入した実際の挙動としてテストするのが確実です。

サイト運営者が6月15日までに行う違反チェックと修正手順

施行日までに、自サイトが乗っ取りに該当していないかを確認し、必要なら修正を完了させます。対象は自社開発のスクリプトだけでなく、外部から読み込むすべてのJavaScriptです。

DevToolsのSources横断検索で履歴操作スクリプトを特定する

最初のステップはChrome DevToolsを使った技術調査です。Sourcesパネルのグローバル検索(Ctrl+Shift+F または ⌘+Shift+F)で、読み込まれた全スクリプトを横断検索し、history.pushStatehistory.replaceStatepopstateという文字列を探します。該当コードが見つかったら、それがファーストパーティ(自社開発)かサードパーティ(外部サービス)かを見極めます。Networkタブで読み込み元ドメインを確認し、自社が管理していない外部ドメインからのスクリプトに履歴操作が含まれていた場合は、重点的に調査してください。ヒットしたコードが実際に実行されているかは、Consoleでブレークポイントを設定して確認できます。

Google検索から流入して戻る操作を実機テストする

コード調査に加え、ユーザーと同じ導線での実機テストが不可欠です。自サイトが表示される検索キーワードでGoogle検索し、検索結果からサイトへ遷移してから戻るボタンを押し、検索結果に正常に戻れるかを確認します。このとき、拡張機能やキャッシュの影響を排除するため、シークレットモードやゲストプロファイルを使ってください。テストはトップページだけでなく、記事ページ・商品ページ・カテゴリページなど、広告スクリプトの配置が異なるテンプレートすべてで実施します。モバイルはAndroid・iOSの両方で標準ブラウザを使い、各テンプレートで3回以上戻る操作を試し、いずれも1回のタップで検索結果に復帰できることを確認します。

タグマネージャー経由の外部スクリプトを棚卸しする

Google Tag Manager(GTM)やAdobe Launchなどのタグマネージャーを使っている場合、そこから配信される外部スクリプトの全件棚卸しが重要です。これらはソースコード上に直接記述されないため、コードレビューだけでは漏れが出ます。各タグの配信元サービス名・目的・最終更新日を一覧化し、特に次のカテゴリを重点的に検証してください。

スクリプトカテゴリ 代表例 履歴操作リスク 優先検証度
広告ネットワーク ディスプレイ広告・ポップアンダー系 最優先
コンテンツレコメンド 関連記事ウィジェット系 中〜高 優先
アフィリエイト リダイレクト型リンク管理ツール 要確認
エンゲージメント 離脱防止ポップアップ系 要確認
アナリティクス ヒートマップ・行動解析系 通常確認

各スクリプトを個別に無効化した状態で戻るボタンの挙動をテストすれば、原因となっているスクリプトを絞り込めます。承認フローが未整備なら、この機会に導入を検討してください。

修正後のステージング検証とビフォーアフター動画の記録

問題のスクリプトを除去したら、ステージング環境で正常動作を確認します。検証範囲は戻るボタンの挙動だけでなく、除去による副作用も含みます。Google検索からの流入を模した導線で戻る操作をテストし、SPAルーティング・フォーム送信・モーダル表示に影響が出ていないか、広告除去でレイアウトが崩れていないかを確認します。Chrome・Safari・Firefox・Edgeの複数ブラウザで動作を確かめ、特定ブラウザだけで問題が再現しないことを担保します。あわせて、修正前後の戻るボタン挙動をビフォーアフター動画で記録しておくと、万一ペナルティを受けたときの再審査リクエストで有力な証拠になります。画面録画にはURLバーを含め、遷移先URLが正しく表示されることが視覚的にわかる状態にし、タイムスタンプを付けて時系列を管理してください。

広告・サードパーティ製ウィジェット起因の意図しない違反と責任の所在

Googleが今回強調したのは、乗っ取りが運営者自身の意図によるかどうかにかかわらず、責任はサイトに帰属するという点です。実際には広告プラットフォームやサードパーティ製ウィジェットが原因のケースが少なくありません。

広告・レコメンド・アフィリエイトが履歴操作を起こす代表例

広告プラットフォーム起因の乗っ取りには複数の型があります。ポップアンダー広告がバックグラウンドで新規ウィンドウを開くと同時に元タブの履歴を操作する、インタースティシャル広告がpushState()で履歴を追加し閉じてもエントリが残る、動画広告プレーヤーが再生管理のために過剰な履歴を生成する、ネイティブ広告のクリックトラッキングがリダイレクトチェーンを形成する、といった実装が報告されてきました。コンテンツレコメンドウィジェットでは、読み込み完了時にpushState()でウィジェット用URLを履歴へ追加し、戻る操作でレコメンドフィードを表示する挙動が典型です。アフィリエイトリンクでは、サーバー側の標準的な301・302リダイレクトは戻る操作に影響しませんが、JavaScriptで中間ページを経由するたびにpushState()で履歴を追加するクライアントサイドのリダイレクトチェーンは違反と判定されやすい要注意ケースです。いずれもタグを貼付した時点では予測しにくいため、導入後の定期的な動作検証が欠かせません。

第三者コードでもサイト運営者が全責任を負うGoogleの方針

Googleは、乗っ取りがサードパーティのライブラリや広告プラットフォームに起因する場合があることを認めつつ、それをもって免責とはしないと明言しました。ペナルティはサイト単位で適用されるため、原因が第三者のコードでも、順位降格や手動対策の対象になるのはそのコードを設置しているサイトです。これはハッキング被害を受けたサイトを一時的に検索結果から除外してきた従来のスタンスとも整合します。「自分が書いたコードではない」という弁明は通用しないため、サイトに読み込まれる全スクリプトの挙動に管理責任を持つ体制が必要です。裏を返せば、責任の所在が明確になったことで対応範囲も確定したことになります。

外部スクリプト導入の承認フローと定期監査体制

意図しない違反を防ぐ最も効果的な対策は、外部スクリプトの導入・更新時に承認フローを設けることです。新規スクリプトはテスト環境での戻るボタン動作テストを必須にし、履歴操作を含むものはSEO担当とエンジニアの合同レビューを経てから本番へ反映します。タグマネージャーの管理権限を限定し、マーケティング担当が単独で広告タグを追加できない仕組みにすることも有効です。加えて、既存スクリプトも四半期ごとに定期監査し、ベンダーのアップデートで新たに履歴操作が追加されていないかを継続的にモニタリングします。一度承認したスクリプトでもバージョンアップで挙動が変わり得るため、監査は一度きりでは足りません。

違反時の制裁とSearch Consoleでの対応

ポリシー違反への制裁には、人間の審査担当者による手動スパムアクションと、アルゴリズムによる自動的な順位降格の2種類があります。発動条件・影響範囲・解除プロセスが異なるため、両方を把握しておく必要があります。

手動スパムアクションと自動順位降格の違い

手動スパムアクションは、検索品質チームの担当者がサイトを直接評価し、違反を確認した場合に発動します。戻るボタン乗っ取りでは、担当者が実際に戻る操作を試して確認するプロセスが想定されます。適用されると影響はサイト全体に及ぶ場合があり、深刻なケースでは実質的にインデックスから除外されることもあります。一方の自動降格は、公式発表で「automated demotions」と記載されるにとどまり具体的なシステム名は非公表ですが、AIベースのスパム検出基盤であるSpamBrainが担っているとみられます。自動降格はSearch Consoleに通知が出ないため気づきにくく、解除も再審査リクエストではなく修正後にアルゴリズムの再評価を待つ形で、反映まで数週間から数か月かかる場合があります。

Search Consoleの手動対策レポート確認と再審査リクエスト

手動スパムアクションが適用されると、Google Search Consoleの「手動による対策」レポートに違反内容が記載されます。左メニューの「セキュリティと手動による対策」から「手動による対策」を開くと、適用中のアクションが表示されます。Search Consoleにサイトを登録していないと通知を受け取れないため、未登録なら先に設定を済ませ、www有無・httpとhttpsの全プロパティを登録しておきます。手動アクションの解除には、問題を修正したうえで再審査リクエスト(Reconsideration Request)を提出します。審査担当者を納得させるには、次の内容を網羅すると効果的です。

  • 問題の原因となったスクリプトの特定結果(ファイル名・配信元・機能の概要)
  • スクリプトを除去または無効化した日時と方法の詳細
  • 修正前後の戻るボタン動作を記録したビフォーアフター動画のURL
  • 今後の外部スクリプト管理体制と監査頻度
  • 該当するページテンプレートすべてで修正が完了していることの確認結果

文面では言い訳や責任転嫁を避け、問題を認識して修正した事実を簡潔に伝えます。なお2024年12月には、検索での手動スパムアクションがGoogle広告の配信資格にも影響し得るとの業界メディア報道がありました。公式発表ではありませんが、事実なら検索と広告の両方でトラフィックが減る二重リスクとなるため、広告収益に依存するサイトほど6月15日までの対応完了を優先すべきです。

戻るボタンで前に戻れないときにユーザーができる対処

ここまではサイト運営者向けの内容でしたが、「戻るボタンを長押ししても履歴が出ない」「何度押しても同じページに戻される」といった、乗っ取りの被害に遭った一般ユーザー向けの脱出方法も整理しておきます。この現象こそ、Googleがスパム認定した無限ループ型やヒストリー水増し型の典型的な症状です。

長押しで履歴が出ない・戻れないときの脱出方法

まず、多くのブラウザでは戻るボタンを長押し(PCは右クリック)すると、過去に訪れたページの履歴一覧が表示され、そこから任意のページへ直接ジャンプできます。乗っ取りサイトはこの履歴にダミーのエントリを詰め込むため、一覧が出てもすべて同じようなURLが並び、目的のページが見つからないことがあります。その場合は、以下を順に試してください。

  • 履歴一覧から数個前のエントリを選ぶ:ダミーが並んでいても、リストの下の方に本来の検索結果や前ページが残っていることがある。
  • ブラウザの履歴(メニュー→履歴)から直接開く:戻るボタンの履歴とは別に、閲覧履歴からアクセスし直せる。
  • URLバーに直接入力するか、検索アプリに戻る:戻る操作を諦め、目的のサイトやGoogle検索を新たに開く方が早い。
  • タブ自体を閉じる:無限ループから抜けられないときは、そのタブを閉じてしまうのが最終手段。スマホではタブ一覧から該当タブをスワイプで削除する。

戻るボタンが長押ししても反応しない場合、ブラウザ自体の不具合ではなく、閲覧中のサイトが履歴を操作している可能性が高いと考えられます。同じ症状が特定のサイトでだけ起きるなら、そのサイトの実装が原因です。

自分のサイトが加害側か、訪問先が乗っ取っているかの見分け方

この現象は「自サイトが加害している」場合と「訪問先サイトに乗っ取られている」場合の両方で起こります。見分けの目安として、複数の異なるサイトで同じ症状が出るならブラウザや拡張機能側、特定のサイトでだけ再現するならそのサイトの実装が原因です。運営者の立場でこの症状を再現できた場合は、前述のDevTools横断検索とタグ棚卸しで自サイトのスクリプトを点検してください。一利用者として遭遇しただけなら、そのサイトを避けるか、上記の脱出方法で離脱すれば実害はありません。

戻るボタン規制がSEOと収益に与える中長期的な影響

今回のポリシー変更は、特定の行為への規制にとどまらず、Googleが重視するユーザー体験の方向性を示すシグナルでもあります。短期対応だけでなく、SEO戦略と収益モデルへの影響も中長期の視点で整理しておきます。

滞在時間の水増しが恒久的な順位損失に変わる構造

乗っ取りが使われてきたのは、滞在時間や回遊率を人為的に改善できるという短期的メリットがあったからです。しかし見かけ上の指標改善は実際の満足度とは乖離しており、6月15日以降にペナルティが適用されれば、積み上げた分は消えて手動アクションや順位降格という恒久的な損失に変わります。回復には数週間から数か月かかり、その間の機会損失まで含めれば、乗っ取りによる「利益」は割に合いません。

UX重視の評価基準における位置づけと収益維持の方針

Googleは近年、Core Web Vitalsやページエクスペリエンスシグナルなど、ユーザー体験に関する評価基準を段階的に強化してきました。Core Web Vitalsが技術的なUX指標を対象とするのに対し、戻るボタン規制は「ナビゲーションの自由」というより根本的な体験を保護します。広告収益に依存するサイトでも、離脱を妨げる機能を無効化するコストは、ペナルティによるトラフィック激減に比べれば小さく済みます。離脱を阻止するのではなく、記事内の自然な関連コンテンツ導線やスクロールに合わせたネイティブ広告の配置など、コンテンツの質で滞在時間を延ばすアプローチへ転換するのが本筋です。ユーザーが自由に離脱できる設計は、逆説的に信頼と再訪率を高め、長期的なSEOの土台になります。

よくある質問(FAQ)

戻るボタンを長押ししても履歴が出ないのはなぜですか?

閲覧中のサイトがJavaScriptで履歴にダミーのエントリを大量挿入している可能性があります。これは無限ループ型の乗っ取りの典型症状です。長押しやブラウザの閲覧履歴から数個前のページを直接開くか、抜けられない場合はタブを閉じてください。特定のサイトでだけ起きるなら、そのサイトの実装が原因です。

離脱防止のポップアップ(beforeunload)もスパムの対象になりますか?

今回のポリシーが対象とするのは「ブラウザ履歴を操作して戻る動作を妨げる」行為です。ページ離脱時に確認ダイアログを出すbeforeunloadは履歴を操作しないため、現時点では乗っ取りとは別物とされています。ただし過度な離脱防止はユーザー体験を損なうため、今後の規制拡大を見据えて点検しておくのが安全です。

SPAでhistory.pushStateを使うと違反になりますか?

なりません。SPAの正当なルーティングでのpushState()は対象外です。分かれ目は、ユーザーが認識できるページ遷移に対応しているか、戻る操作で期待どおりの前画面に戻るか、ユーザー操作なしに履歴が追加されていないか、の3点です。ユーザーの操作に基づく履歴変更であれば問題ありません。

第三者の広告スクリプトが原因でも自分のサイトが罰せられますか?

はい。Googleはペナルティをサイト単位で適用し、第三者コード起因でも免責しないと明言しています。広告ネットワークやレコメンドウィジェットが原因でも、罰せられるのは設置したサイトです。導入前後の動作検証と、外部スクリプトの承認フロー・定期監査で管理してください。

いつから施行され、対応が間に合わなかった場合はどうなりますか?

2026年4月13日に発表され、2026年6月15日に施行されます。施行後は履歴操作で戻る動作を妨げるサイトが手動スパムアクションや自動降格の対象となり、影響はサイト全体に及びます。間に合わなかった場合は、原因スクリプトを修正したうえで手動アクションは再審査リクエスト、自動降格はアルゴリズムの再評価を待つ流れになります。

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