サーチリフト調査は、広告を見た人が実際に検索した回数の増加で広告効果を測る手法です。名前が似たブランドリフト調査がアンケートを使うため「サーチリフトもアンケートで聞くのか」と誤解されがちですが、仕組みが違います。この記事では両者の測り方の違い、Google広告で実施するときの条件、日本で必要な最低予算、そして結果が出ないケースまでを整理します。数値と仕様は2026年8月14日時点のGoogle広告ヘルプで確認しました。
まとめ:サーチリフト調査の要点
- アンケートは使いません。Google広告のヘルプは Search Lift を「広告を見たあとに、その商品やブランドが検索された回数の増加を測るもの」と定義しており、測定対象はYouTubeとGoogle検索での検索行動です。
- アンケートを使うのはブランドリフト調査のほう。YouTubeの動画再生前にアンケートを出し、広告を見た人と、見る機会はあったが見なかった人の回答差で効果を判定します。
- 日本の最低予算は28日間で15,000ドル。Google広告ヘルプの国区分でCountry C(日本・ドイツ・カナダ・韓国など)に該当し、米国や英国(10,000ドル)より高く設定されています。
- 予算を満たしても結果が出ないことがあります。プライバシー上のしきい値があり、インプレッションと検索ボリュームが足りないと結果は公開されません。
サーチリフトの定義と計測の仕組み
Google広告のヘルプは Search Lift を次のように説明しています。「Search Lift measures the increase in searches for your product or brand after users have viewed your ad」。クリック数やインプレッション、視聴回数といった広告側の指標ではなく、広告に接触したあとで人がどれだけ検索したかを見る指標です。測定の対象になるのはYouTubeとGoogle検索での検索活動で、広告主はあらかじめ自社に関連する検索語句を指定し、その語句の検索が広告によって増えたかどうかをGoogleが判定します。
効果の判定は、広告に接触したグループと接触しなかったグループの比較で行われます。広告を見た人だけの検索数を見ても、季節要因や他施策の影響と区別できないためです。この対照群との差分という考え方が「リフト(持ち上がり)」という名前の由来になっています。
ブランドリフト調査との違い
混同が起きやすいのはここです。ブランドリフト調査はアンケートで測ります。Google広告ヘルプは、YouTubeで動画が始まる前にアンケートを表示し、広告を見た人と、広告を見る資格はあったが見なかった人の両方に回答させ、「その回答の差が広告の影響を示す」と説明しています。つまり、聞いて答えてもらう調査です。
一方のサーチリフトは、誰にも質問しません。実際に検索された回数という行動ログを見ます。この違いは実務上そのまま使い分けになります。
| 観点 | サーチリフト調査 | ブランドリフト調査 |
|---|---|---|
| 測定方法 | 検索行動の実データ | アンケートの回答 |
| 測定場所 | YouTube・Google検索 | YouTube(動画再生前) |
| 分かること | 検索という行動が増えたか | 認知・好意・購入意向の変化 |
| 回答者の負担 | なし | アンケートへの回答 |
「広告を見て気になった人が、実際に調べにきたか」を知りたいならサーチリフト、「ブランドをどう思ったか」を知りたいならブランドリフトです。認知や好意といった態度の変化は検索ログに現れないため、サーチリフトでは代替できません。ブランドリフト調査の指標や媒体別の費用はブランドリフト調査とは?指標・調査方法・媒体別の費用と実施手順を解説、概念そのものの整理はブランドリフトとは何か?広告効果を可視化する概念を解説で扱っています。
Google広告での実施条件と費用
実施の可否は、まず予算で決まります。Google広告ヘルプの予算要件は国によって3段階に分かれており、日本はCountry Cで28日間あたり15,000ドルです。同じ区分にはオーストラリア、カナダ、ドイツ、イタリア、韓国などが並びます。
| 国区分 | 28日間の最低予算 | 含まれる国の例 |
|---|---|---|
| Country A | 5,000ドル | インド・ブラジル・メキシコ |
| Country B | 10,000ドル | 米国・英国・フランス |
| Country C | 15,000ドル | 日本・カナダ・ドイツ・韓国 |
日本の情報として出回っている「最低10,000ドル」は米国の値です。日本で見積もるときは15,000ドルを起点にしてください。なお、ブランドリフトとサーチリフトを両方測る場合でも予算は加算されません。ヘルプは「Search Lift の予算要件は、ブランドリフトの設問1つを測るのに必要な最低予算と同じ」と説明しており、両方を測るからといって倍の出稿が要るわけではありません。
予算だけでは足りない条件
最低予算は機能を使うための入場料であって、結果が返ってくる保証ではない点に注意してください。Google広告ヘルプは、測定対象キャンペーンのインプレッション合計が150万以上あることを推奨しています。さらに結果の公開にはプライバシー上のしきい値があり、インプレッションと検索ボリュームが一定に届かない調査は結果が出ません。予算を満たしたのに数値が返らない、という事態はこの条件で起きます。
検索語句グループの決め方
設定時には検索語句グループを最大5つまで作成し、各グループに1〜3語の関連キーワードを入れます。ここで一般語を入れると失敗します。ヘルプが挙げる例は「Pixel 7 Pro」のような製品固有名で、広告を見ていなければ検索されにくく、見たあとなら検索されやすい語句ほど効果を検出しやすいと説明されています。ベースラインの検索数が小さいほど、増加が相対的に大きく現れるためです。
逆に「スマートフォン」「保険」のようなカテゴリ語は、広告と無関係な検索が大量に混ざるため、広告による増加が埋もれます。自社ブランド名、製品名、キャンペーン名、それらの組み合わせに絞ってください。
アソシエーション分析の「リフト値」との混同
サーチリフトの「リフト」と、データ分析で使う「リフト値」は別物です。後者はアソシエーション分析(バスケット分析)の指標で、1.0を基準に商品同士の関連の強さを表します。広告効果の文脈で「リフト」と言われたら対照群との差分、分析の文脈なら関連度の指標だと切り分けてください。指標としてのリフト値はリフト値とは?計算方法と目安(1.0が基準)・支持度/信頼度との違いをわかりやすく解説で解説しています。
導入を見送るべき場合
次に当てはまるなら、サーチリフト調査に投じる価値は小さくなります。
- 出稿規模が最低予算に届かない。日本では28日間15,000ドルが下限で、これを満たすためだけに出稿を増やすのは本末転倒です。
- ブランド名の検索が元から多い。ベースラインが大きいと、広告による増加分が統計的に見えにくくなります。
- 知りたいのが態度変容。認知率や好意度を測りたいならブランドリフト調査が対応する調査で、検索ログでは代替できません。
- 短期の獲得効果を見たい。コンバージョン計測の領域であり、検索行動の増減とは別の指標です。
逆に効くのは、新製品名やキャンペーン名のように広告以外で検索される理由がほぼない語句を、まとまった予算の動画広告で押し出す場合です。認知施策の効果を「検索された」という行動で説明できるため、クリックやコンバージョンだけでは評価しづらい上流の投資を社内で説明しやすくなります。
よくある質問
サーチリフトとは何ですか?
広告に接触した人が、その商品やブランドを検索した回数の増加を指します。Google広告ヘルプは Search Lift を「広告を見たあとの、商品やブランドに関する検索の増加を測るもの」と定義しており、測定対象はYouTubeとGoogle検索での検索活動です。クリックやインプレッションといった広告側の数値ではなく、広告を見た人がその後に取った行動を見る指標です。
サーチリフト調査はアンケートで行うのですか?
アンケートは使いません。実際に検索された回数を、広告に接触したグループと接触しなかったグループで比較して判定します。アンケートを使うのはブランドリフト調査のほうで、YouTubeの動画再生前に設問を表示し、広告を見た人と見なかった人の回答差で効果を測ります。両者は名前が似ているだけで測定方法が異なります。
ブランドリフト調査との違いは何ですか?
測定方法と分かることが違います。サーチリフトは検索行動の実データを見るため「調べにきたか」が分かり、ブランドリフトはアンケート回答を見るため「認知・好意・購入意向がどう変わったか」が分かります。予算面では、Google広告で両方を測っても最低予算は加算されず、ブランドリフトの設問1つ分と同じ額で足ります。
日本で実施するにはいくら必要ですか?
Google広告ヘルプの国区分で日本はCountry Cにあたり、28日間で15,000ドルが最低予算です。米国や英国は10,000ドル、インドやブラジルは5,000ドルなので、海外記事の金額をそのまま当てはめると過小見積もりになります。またこの金額は測定機能を使うための条件で、結果が返るにはインプレッション150万以上が推奨され、プライバシー上のしきい値も満たす必要があります。
検索リフトとサーチリフトは同じですか?
同じものを指します。英語の Search Lift をカタカナ化したのが「サーチリフト」、訳したのが「検索リフト」です。調査として実施する文脈では「サーチリフト調査」と呼ばれます。なお、アソシエーション分析で使う「リフト値」は1.0を基準に商品同士の関連度を表す別の指標で、広告効果の文脈のリフトとは無関係です。