DevToys(デブトイズ)は、JSONの整形、Base64の変換、正規表現のテスト、ハッシュやUUIDの生成といった開発中の小さな作業を1つにまとめた、無料のオープンソースアプリです。公式の説明は「A Swiss Army knife for developers」(開発者のための十徳ナイフ)で、Windows・macOS・Linuxで動きます。
この記事では、標準で入っている30のツール、OSごとのインストール手順、ストアに並ぶ「DevToys」と「DevToys-Preview」の違い、コマンドライン版(DevToys CLI)の使い方と拡張機能の注意点を、2026年10月時点の最新版v2.0.9.0をもとに整理します。CLIの出力例は、v2.0.9.0のmacOS(Intel)向けポータブル版で実行した結果です。
まとめ:DevToysの要点と2026年10月時点の版
- DevToysは、JSON・SQL・XMLの整形、Base64・URL・JWTの変換、ハッシュ・UUID・パスワードの生成など30のツールを持つ、MITライセンスの無料アプリです。処理は手元のPCで行い、利用状況のデータも開発者に送信しない方針です。
- 2026年10月時点の最新版はv2.0.9.0(2026年1月8日公開)です。v2系はGitHubではすべて「Pre-release」扱いで、Microsoft Storeでも「DevToys-Preview」という名前で配布されています。
- Windowsは
winget install DevToys-app.DevToys、macOSはbrew install --cask devtoysで入ります。Linuxは公式のaptリポジトリがまだなく、GitHubの.debかポータブル版を使います。 - コマンドライン版のDevToys CLIはGUIとは別配布で、26のコマンドがあります。JWTの変換や正規表現テスターなど、GUIにあってCLIにないツールもあります。
- 拡張機能は手元のPCに自由にアクセスできるため、信頼できるものだけを入れます。v2.0.9.0では拡張機能のインストール処理の脆弱性が修正されているので、v2.0.8.0以前は更新してください。
DevToysの概要|開発作業の小さな変換・整形を1つにまとめたアプリ
DevToysが置き換えるのは、Base64のデコードやJSONの整形のために開いていた変換サイトです。公式のGitHubリポジトリのREADMEは、テキストのデコードや画像の圧縮だけのために信頼できないWebサイトを使う必要はない、と目的を説明しています。クリップボードにあるデータの種類を見て、合うツールを選ぶ「Smart Detection」という機能もあります。
作者はEtienne Baudoux氏です。氏のGitHubプロフィールには「Software Engineer on Visual Studio @microsoft」とありますが、DevToysはMicrosoftの製品ではなく、氏が始めた個人のオープンソースプロジェクトです。Microsoft Storeの発行元もMicrosoftではなく作者個人になっています。名前の似たMicrosoft PowerToysとは別のソフトです(違いは後述)。
データの扱いはプライバシーポリシーに書かれています。エラーや性能の記録などの利用データは収集されますが、開発者には送信されず、設定画面の「Logs」で本人が確認できるだけです。本番のトークンや顧客データを含む文字列を変換するときに、外部サイトへ貼り付けずに済むのがDevToysを使う一番の理由です。ただし、後述の拡張機能はこの方針の外にあります。
DevToysでできること|標準の30ツール一覧
v2のREADMEによると、DevToys 2.0には30のツールが標準で入っています。カテゴリと代表的なツールは次のとおりです。
| カテゴリ | 主なツール |
|---|---|
| コンバーター | JSON⇔YAML、日付・Unix時間、基数変換、Cron式の解析、JSON配列→表/CSV |
| エンコーダー/デコーダー | HTML、URL、Base64(テキスト・画像)、GZip、JWT、証明書、QRコード |
| フォーマッター | JSON、SQL、XML |
| ジェネレーター | ハッシュ/チェックサム、UUID、パスワード、Lorem Ipsum |
| グラフィック | 色覚シミュレーター、画像フォーマット変換 |
| テスター | JSONPath、正規表現、XML/XSD |
| テキスト | エスケープ、テキスト比較、リスト比較、Markdownプレビュー、文字数分析・大文字小文字変換 |
JSONまわりでは、改行のないAPIレスポンスを整形し、JSONPathテスターで目的の値の取り出し方を確かめ、そのままYAMLやCSVに変換できます。JSONの型そのものを確認したいときはJSONの型定義とデータ型一覧|6つの型と変換で消える値、TypeScriptでの書き方が参考になります。
JWTのデコーダーは、ヘッダーとペイロードを手元で読むためのツールです。認証の不具合を調べるときに本番のトークンを外部サイトへ貼らずに済みます。署名の検証で何を確かめるべきかはJWTとは?構造・署名検証の仕組みとセッション・OAuth/OIDCとの違いを実装視点で解説で解説しています。正規表現テスターはパターンとサンプル文字列を並べて一致箇所を確認する道具で、記号の読み方や言語ごとの方言は正規表現とは?基本記号の読み方と言語ごとの方言・ReDoS対策を実装目線で解説にまとめています。
「DevToys」と「DevToys-Preview」の違い|v1安定版とv2の見分け方
DevToysを探すと、Microsoft Storeに名前の違う2つのアプリが見つかります。中身は別の版です。
| 項目 | DevToys | DevToys-Preview |
|---|---|---|
| 系統 | v1系(Windows専用) | v2系(Windows/macOS/Linux) |
| Storeの最新版 | 1.0.14.0 | 2.0.9.0 |
| GitHubでの扱い | 最終はv1.0.13.0(安定版) | v2.0.1.0〜v2.0.9.0(すべてPre-release) |
| Windowsの最小ビルド | 19041(バージョン2004) | 17763(バージョン1809) |
| 拡張機能・CLI | なし | あり |
公式サイトのダウンロードページがWindows向けにリンクしているStoreのアプリはDevToys-Previewです。v2は2024年6月にプレビューとして公開されてから、2026年1月のv2.0.9.0まで正式版の表示が付かないまま更新が続いています。GitHubのリリース一覧で「Latest」の表示が付くのはv1.0.13.0(2023年7月)なので、ここだけを見ると古い版を最新と取り違えます。wingetが入れるのもv2系で、パッケージの版は「2.0-preview.9」と表示されます。
新しく入れるならDevToys-Preview(v2)を選びます。macOS・Linux対応、拡張機能、CLI、QRコードやJSONPathテスターなどの追加ツールはv2にしかありません。v1を残す理由があるのは、社内規程で「プレビュー版は導入不可」と決まっている場合くらいです。
DevToysのインストール手順|Windows・macOS・Linux
配布物はGitHubのリリースにまとまっています。v2.0.9.0ではGUI版がWindows(x64・x86・arm64)、macOS(arm64・x64)、Linux(x64・arm)向けに用意されています。
Windowsへのインストール(Microsoft Store・winget)
手軽なのはMicrosoft Storeの「DevToys-Preview」で、以降の更新もStoreが行います。コマンドで入れる場合はwingetを使います。
winget install DevToys-app.DevToys
Storeが使えない端末では、GitHubのリリースからdevtoys_win_x64.exe(インストーラー)かdevtoys_win_x64_portable.zip(インストール不要のポータブル版)を取得します。公式ダウンロードページにはChocolateyの欄もありますが、2026年10月時点では「COMING SOON」の表示で、コマンドは公開されていません。
macOSへのインストール(Homebrew)
macOSではHomebrewのcaskで入れます。Homebrewのcask定義では、配布元はGitHubのv2.0.9.0、動作条件はmacOS 12以降です。
brew install --cask devtoys
手動で入れる場合は、Apple シリコンならdevtoys_osx_arm64.zip、Intel Macならdevtoys_osx_x64.zipを展開してアプリケーションフォルダに置きます。v2.0.1.0ではApple シリコンのMacで「壊れているため開けません」と表示されて起動しない不具合がありましたが、GitHubのIssue #1183は、macOS版に署名が付いたv2.0.2.0(2024年6月19日公開)の公開日に解決済みとして閉じられています。現行版で同じ表示が出たら、古い版のzipを使っていないかを先に確かめます。
Linuxへのインストール(.deb・ポータブル版)
公式ダウンロードページのaptの欄は「COMING SOON」のままで、リポジトリからは入れられません。Debian・Ubuntu系ではGitHubからdevtoys_linux_x64.deb(ARMならdevtoys_linux_arm.deb)を取得し、ファイルを指定して入れます。
sudo apt install ./devtoys_linux_x64.deb
.debを使わないディストリビューションでは、devtoys_linux_x64_portable.zipを展開して起動します。
DevToys CLIの使い方|26コマンドと実行例
DevToys CLIは、GUIと同じ変換・整形をターミナルから実行するための別アプリです。v2.0.1.0のリリースノートに「to be installed separately」とあるとおり、GUIを入れても付いてきません。公式ダウンロードページではCLIのwinget・Homebrew・aptの欄がすべて「COMING SOON」なので、GitHubのリリースからdevtoys.cli_で始まるファイルを取得します(例:devtoys.cli_win_x64_portable.zip、devtoys.cli_osx_arm64_portable.zip、devtoys.cli_linux_x64.deb)。
コマンド一覧とGUIとの違い
v2.0.9.0のCLIで--helpを実行すると、次の26コマンドが表示されます。表示はOSの言語設定に合わせて日本語になります。
| 用途 | コマンド(別名) |
|---|---|
| 整形 | jsonf、sqlf、xmlf |
| 変換 | jsontoyaml、jsontotable、date、nb、cron |
| エンコード | b64、b64i、url、html、gzip、cert、qrcode |
| 生成 | uuid(guid)、pwd、hash(checksum)、li |
| テスト・テキスト | jpt、xsd、lc、esc、txt |
| 画像 | imgconv、cbs |
JWTのエンコード/デコード、正規表現テスター、Markdownプレビュー、テキスト比較はこの一覧にありません。これらはGUIで使います。
実行例:JSON整形・Base64・UUIDv7・ハッシュ・Cron式
UUIDの値は実行ごとに変わります。Cron式の実行予定日時も実行時点によって変わるため、掲載結果との完全一致を確認する例ではありません。
各コマンドは入力を-iで渡します。-iにはテキストかファイルのパスを指定でき、ファイルなら中身が処理されます。ポータブル版を展開したフォルダに、内容が{"name":"issoh","tags":["a","b"],"id":1}のs.jsonを保存して実行する例です(macOS版の実行ファイル名はDevToys.CLI)。
$ ./DevToys.CLI jsonf -i s.json
{
"name": "issoh",
"tags": [
"a",
"b"
],
"id": 1
}
$ ./DevToys.CLI b64 -i 'こんにちは'
44GT44KT44Gr44Gh44Gv
$ ./DevToys.CLI uuid -v Seven
01a18335-afcb-71f5-8461-c2294bd4ba44
$ ./DevToys.CLI hash -i hello -a Sha256
2cf24dba5fb0a30e26e83b2ac5b9e29e1b161e5c1fa7425e73043362938b9824
$ ./DevToys.CLI cron -e '0 0 9 * * MON-FRI' -c 3
09:00 午前, 月曜日 から 金曜日 まで
2026-10-29 木 09:00:00
2026-10-30 金 09:00:00
2026-11-02 月 09:00:00
オプションの値はSevenやSha256のような列挙名で書きます。jsonfは--indentationにTwoSpaces(既定)・FourSpaces・OneTab・Minifiedを取り、--sortpropertiesでキーを並べ替えます。cronは秒を含む6項目の式が既定です。uuidの-hは「ハイフンを付けるか」のオプションに割り当てられているため、このコマンドのヘルプは-?か--helpで表示します。UUIDのv4とv7の違いはUUIDv7とは?UUIDv4との違い・言語別の生成方法と主キー設計の注意点を参照してください。
パイプとCIで使うときの注意
v2.0.9.0のmacOS版では、標準入力が端末でないと、受け取った内容が余分な引数として扱われてコマンドが失敗しました。printf 'hello' | ./DevToys.CLI hash -a Sha256のようにパイプで渡すと「Option ‘–input’ is required.」「Unrecognized command or argument ‘hello’.」となり、標準入力が空のときも''が未知の引数として報告されて終了コード1になります。macOSではscriptコマンドで疑似端末を与えると通ります。
script -q /dev/null ./DevToys.CLI hash -i hello -a Sha256
Linux・Windows版の挙動は確認していないため、CIのジョブに組み込む前にそのランナー上で1回動かして終了コードを確かめてください。JSONの抽出や整形をシェルスクリプトで繰り返すだけなら、標準入力をそのまま扱えるjqコマンドの使い方|JSONの抽出・整形・CSV変換を実行例で覚える【1.8.2対応】のほうが組み込みやすいです。
DevToysの拡張機能|入れ方とセキュリティ上の注意
v2からは、標準にないツールを拡張機能として追加できます。拡張機能はNuGetパッケージ(.nupkg)として配布され、アプリの「Manage extensions」画面からダウンロードしたパッケージを指定して入れ、DevToysを再起動すると使えるようになります。v2.0.9.0のリリースノートでは、Extension Managerから入手できる拡張機能は44個に増えたとされています(JSON to Python、C# to TypeScript、CodeFormatterなど)。
注意すべきは、拡張機能がDevToys本体のプライバシー方針の外にあることです。公式の拡張機能の管理ページは、サードパーティの拡張機能は既存ツールの動作を変えたり、許可なくPCにアクセスしたりでき、データがインターネットに送られる可能性もあると警告し、信頼できるものだけを入れるよう求めています。機密データの変換にDevToysを使うなら、拡張機能は入れないか、ソースを確認できるものに限ります。
また、v2.0.9.0のリリースノートには、拡張機能のインストールに関する脆弱性の修正が含まれています。対応したプルリクエストは、パス・トラバーサル(CWE-22・CWE-23)への対処です。v2.0.8.0以前を使っているなら、拡張機能を入れる前に更新してください。拡張機能の展開先は次のフォルダです。
- Windows:
%LocalAppData%/DevToys/Plugins/ - macOS:
~/Library/com.devtoys/Plugins/ - Linux:
~/.local/share/devtoys/Plugins/(XDG_DATA_HOMEを設定していればその配下)
DevToysが向く場面・向かない場面|PowerToys・オンラインツールとの違い
DevToysが最も役に立つのは、外部に出せない文字列を手早く変換したい場面です。本番のアクセストークンをJWTデコーダーで読む、顧客データを含むJSONを整形する、社内の証明書の中身を確かめる、といった作業は、変換サイトに貼り付けた時点で情報の持ち出しになりえます。DevToysなら処理は手元で終わります。
一方で、次の場面ではDevToysを主役にしません。
- CIやバッチ処理での常用:CLIはプレビュー扱いで、前述のとおり標準入力の扱いに癖があります。jq、
base64、shasumなど、実行環境で利用できる専用コマンドで足りるならそちらを使います。jqは必要に応じて別途インストールします。 - プレビュー版を許可しない社内配布:v2は2026年10月時点でも正式版の表示がありません。規程で正式版しか入れられない場合、選択肢はWindows専用のv1(GitHub上の最終リリースは2023年7月のv1.0.13.0)になります。
- 出所を確認できない拡張機能が必要な場合:拡張機能は本体と同じ権限で動きます。機密データを扱う端末では入れないほうが安全です。
- ブラウザだけで使いたい場合:公式の配布物はデスクトップアプリとCLIだけで、ダウンロードページにWeb版はありません。インストールできなくても、ポータブル版の実行が許可された端末では利用できます。
Microsoft PowerToysとは目的が違います。PowerToysはウィンドウの配置(FancyZones)やランチャーなど、Windowsの操作を効率化するMicrosoft公式のユーティリティ集で、Windows専用です。DevToysは開発中のデータ変換・整形に絞った個人のオープンソースで、3つのOSで動きます。PowerToysにもAdvanced PasteによるJSON変換などがあり、一部の用途は重なります。PowerToysを業務端末へ配る手順はPowerToysを全社展開する手順:winget配布とGPO・Intuneでの機能制御を解説にまとめています。
DevToysに関するよくある質問
DevToysとは何ですか?
JSON整形、Base64の変換、正規表現のテスト、ハッシュやUUIDの生成など、開発中の小さな作業用の30のツールをまとめたデスクトップアプリです。処理は手元のPCで行われ、外部のWebサービスを使いません。
DevToysは無料ですか?Microsoftの製品ですか?
MITライセンスのオープンソースで、個人・商用とも無料です。作者のEtienne Baudoux氏はMicrosoftのエンジニアですが、DevToysはMicrosoftの製品ではなく個人のプロジェクトです。
DevToysはMacで使えますか?
v2からmacOSに対応しています。brew install --cask devtoysで入り、Homebrewのcask定義上の動作条件はmacOS 12以降です。Apple シリコン向けとIntel向けの両方があります。
DevToys-PreviewとDevToysはどちらを入れればよいですか?
DevToys-Preview(v2系)を入れます。最新版のv2.0.9.0はこちらで、macOS・Linux対応や拡張機能、CLIもv2だけです。「DevToys」の名前のアプリはWindows専用のv1系です。
DevToysにWeb版はありますか?
公式のダウンロードページにあるのは、Windows・macOS・Linux向けのデスクトップアプリとCLIだけで、ブラウザで使うWeb版はありません。ターミナルで使いたい場合はDevToys CLIをGitHubのリリースから入れます。