AWSのハンズオンは、教材そのものは無償で公開されています。費用が生まれるのは、手順どおりに作ったEC2やNAT Gateway、ロードバランサーが終了後も動き続けたときです。この記事では、2026年10月時点で公式のハンズオン教材がどこから開けるのかを、リンクの転送先まで実測して整理します。そのうえで、自分のAWSアカウントで進めたハンズオンの後片付けを、AWS Resource Explorerによる全リージョンの残存リソース走査、削除に失敗したCloudFormationスタックの処理、Cost Explorerでの翌日の請求確認という順に、そのまま流せるCLIコマンドで示します。
まとめ:AWSハンズオンは教材選びより終了後の削除確認で差が出る
初めてなら、日本語の動画教材であるAWS Hands-on for Beginnersか、日本語ハンズオンを一覧にしたJP Contents Hubから選べば足ります。英語の教材まで広げるならAWS Workshopsです。どれも教材の閲覧は無料で、AWS公式ブログもハンズオンの中で使うサービスに利用料が発生しうると明記しています。
差が付くのは終わったあとです。教材の最後にある削除手順を実行しても、別リージョンで作ったリソースや、手作業で足したElastic IPは残ることがあります。終了直後にResource Explorerで課金対象の型だけを全リージョン検索し、翌日にCost Explorerでサービス別の請求を確かめる。この2回の確認を手順に組み込むと、消し忘れの請求はほぼ止められます。
業務で使うアカウントでハンズオンをしてはいけません。公式ブログもハンズオン専用のアカウントを用意するよう求めています。研修で回すなら、AWSイベントの提供アカウントか、使い終えたら閉じる前提のアカウントに限定するのが受託開発の現場での結論です。
AWS公式ハンズオンの入口を2026年10月時点の転送先で確かめる
AWSのハンズオン教材は、提供元ごとに入口が分かれています。古い紹介記事のリンクをたどると転送先で迷うため、現時点の行き先を先に押さえます。
Hands-on for Beginnersの旧トップが資料集ページへ転送される現状
AWS Hands-on for Beginnersは、動画に沿って手を動かしながらAWSサービスを学ぶ無償の日本語教材です。AWS公式ブログの紹介記事は2019年11月12日の公開で、AWSアカウントさえあれば参加できると案内しています。
入口は変わりました。「ハンズオンはじめの一歩」の個別ページには「本ページからはご登録いただけません」と表示され、トップページ経由での受講を案内しています。ところが案内先の旧トップのURLは、2026年10月1日時点でAWSのクラウドサービスの使い方をまとめた資料集へ転送されます。古いブログの「お申込みはこちら」から入れなくても、教材が消えたとは限りません。資料集ページを起点に探し直してください。
JP Contents Hubで日本語ハンズオンをカテゴリから探す手順
日本語の教材を一覧で探すなら、AWSがGitHub Pagesで公開しているJP Contents Hubが速い入口です。生成AI、データ分析、コンテナ、セキュリティ、ネットワーク、データベースといったカテゴリ別に、「スケーラブルウェブサイト構築 ハンズオン」や「Amazon Elastic Container Service 入門」などが並びます。
リンク先の多くはcatalog.workshops.awsのワークショップ本体です。元のGitHubリポジトリでは2026年7月10日にもURLの更新が入っており、保守は続いています。サイト自身が、作成したリソースには通常の料金が発生し、画面が教材に追いついていない場合があると注意書きを置いている点も読み落とさないでください。
AWS Workshops移転先Builder CenterとCleanupタブの確認
英語教材の本丸はAWS Workshopsです。2026年10月1日時点でworkshops.awsにアクセスすると、AWS Builder Centerのワークショップ一覧へ転送されます。個別の教材はWorkshop Studio上にあり、AWSイベント用の参加口はcatalog.workshops.aws/joinです。
AWS Training and Certificationブログによれば、各ワークショップには作成したリソースを終了させる手順をまとめた「Cleanup」のページがあります。自分のアカウントで進めるなら、最初にこのページを開いて、何が作られて何を消すのかを把握してから始めるほうが安全です。
自分のアカウントで進めるかイベント提供アカウントを使うかの分岐
同じ教材でも、どのアカウントで動かすかで後片付けの責任者が変わります。
AWSイベントの提供アカウントでは後片付けがAWS側の責任になる
前出のブログによれば、AWSイベントでのワークショップはAWSのソリューションアーキテクトが用意したアカウントで実施されます。同じブログは自分のアカウントでの実施と分けて説明しており、自分のアカウントの場合はリソース管理が利用者の責任になると書いています。提供アカウントは自社のアカウントではないので、そこで作ったリソースの請求が自社に届くことはありません。研修目的なら、まずこの形が使えないかを探すべきです。
自分のアカウントで学習を進める前に済ませる予算通知と権限の設定
セルフペースで自分のアカウントを使う場合は、始める前に2つを済ませます。1つは金額の通知です。0.01ドルで鳴るゼロ支出予算の作り方はAWSを無料で使える範囲と6か月の期限|無料プランとAlways Freeの境界をCLIで確認する手順に載せました。もう1つは学習者に渡す権限で、IAM Identity Centerの権限セットを学習用に絞る手順をAWS Skill Builderの使い方と料金で扱っています。
予算は通知であって、課金を止める装置ではありません。止めるのは削除だけです。だから次の章から、削除の範囲を最初に固定する手順に入ります。CLIの導入と認証がまだなら、AWS CLIの導入と運用|v2の設定・SSO認証・v1サポート終了への移行手順を先に済ませてください。
ハンズオン開始前にリソースへ目印タグを付けて削除範囲を固定する
後片付けで一番時間がかかるのは、どれがハンズオンで作ったものかを見分ける作業です。開始前に目印を付ければ、この作業はほぼ消えます。
CloudFormationのテンプレートで作る教材はタグごとスタックで配る
ワークショップの多くはCloudFormationのテンプレートを配っています。コンソールの「スタックの作成」で流すとタグの入力欄を飛ばしがちなので、CLIで流してタグを明示する形がおすすめです。deployコマンドのリファレンスには、--tagsで付けたタグはスタックに関連付けられ、対応しているリソースにも伝播すると書かれています。
aws cloudformation deploy \
--template-file workshop.yaml \
--stack-name handson-20261001 \
--capabilities CAPABILITY_IAM \
--tags handson=20261001 owner=trainee01
スタック名に日付を入れておくと、削除時にどれが今回の分かを取り違えません。テンプレートが名前付きのIAMリソースを作る場合はCAPABILITY_NAMED_IAMに替えます。
手作業で足したリソースはスタックの外に残るという失敗パターン
教材の途中で「コンソールからEC2を1台起動する」「Elastic IPを割り当てる」といった手作業が入ると、そのリソースはスタックに属しません。スタックを削除しても消えず、ここが消し忘れの主な発生源になります。手作業の手順では、作成画面のタグ欄に同じhandson=20261001を入れる習慣を付けてください。タグさえあれば、次章の検索で拾い出せます。
終了後にResource Explorerで全リージョンの残存リソースを洗い出す
残存リソースの検索には、Resource Groups Tagging APIとAWS Resource Explorerの2つの道具があります。ハンズオンの後片付けでは後者を主に使います。
Tagging APIはタグの無いリソースを返さないという落とし穴
get-resourcesのリファレンスは、返すのは指定リージョンにある「タグ付き、または過去にタグ付けされた」リソースだと明記しています。一度もタグを付けていない手作業のEC2は、この方法では見つかりません。タグを付け忘れたリソースこそ消し忘れやすいので、タグ前提の検索だけでは穴が残ります。
Resource Explorerのユーザーガイドによれば、2025年10月6日からResource Explorerはアカウントで既定で有効になり、設定なしで検索を始められます。検索そのものに料金はかかりません。AWSResourceExplorerReadOnlyAccessの権限だけだと、結果はタグ付きのリソースと、即時検出機能のリリース後に作られた対応済みのタグなしリソースに限られます。完全な一覧にするにはサービスリンクロールの作成権限が要る点も同ページに書かれています。
resource-explorer-2 searchで課金対象の型だけを全リージョン走査
検索構文のリファレンスでは、フィルタ同士はAND、1つのフィルタ内のカンマ区切りはORで結合されます。tag:系のフィルタはビューがタグ情報を含む設定のときしか使えないため、ここではregion:とresourcetype:だけで組みます。対象は時間課金で積み上がる型に絞りました。
for r in $(aws ec2 describe-regions --query "Regions[].RegionName" --output text); do
echo "== $r"
aws resource-explorer-2 search --region "$r" \
--query-string "region:$r resourcetype:ec2:instance,ec2:natgateway,ec2:elastic-ip,ec2:vpc-endpoint,rds:db,rds:cluster,elasticloadbalancing:loadbalancer,eks:cluster,sagemaker:notebook-instance" \
--query "Resources[].[ResourceType,Arn]" --output text
done
searchコマンドのリファレンスには、ビューを指定しないと実行したリージョンの既定ビューが使われ、既定ビューが無いか権限が無い場合は401 Unauthorizedになると書かれています。返る件数は最大1,000件です。出力に401が出たリージョンは、そのリージョンの権限とビューの状態を個別に確認してください。暗号化されたアクセスのリソースは検出できないという制約も公式に明記されています。
削除できないスタックと課金が続く残置リソースを順番に片付ける手順
見つけたら消します。スタック単位で消せるものはスタックで消し、残ったものを個別に処理する順番です。
delete-stackがDELETE_FAILEDで止まる典型は中身の残るS3バケット
delete-stackのリファレンスは、削除できないリソースの例として空でないS3バケットを挙げています。ハンズオンでアップロードしたファイルやログが入ったバケットは、先に中身を消してからスタックを削除します。
# バケットを空にしてからスタックを削除し、完了まで待つ
aws s3 rm s3://handson-20261001-artifacts --recursive
aws cloudformation delete-stack --stack-name handson-20261001
aws cloudformation wait stack-delete-complete --stack-name handson-20261001
# 待機が失敗した場合は、DELETE_FAILEDになったリソースと理由を表示する
aws cloudformation describe-stack-events --stack-name handson-20261001 \
--query "StackEvents[?ResourceStatus=='DELETE_FAILED'].[LogicalResourceId,ResourceStatusReason]" \
--output text
原因を取り除けないリソースがあるときは、--retain-resourcesで論理IDを指定して残すか、--deletion-mode FORCE_DELETE_STACKでスタックを削除します。どちらもスタックの記録を消す操作で、残したリソースは課金が続いたままです。前章の検索で個別に消えたことを確かめるまで、作業は終わっていません。バージョニングを有効にしたバケットはs3 rmだけでは旧バージョンが残る点にも注意が要ります。
パブリックIPv4とVPCエンドポイントは時間課金で静かに積み上がる
消し忘れで効いてくるのは、使っていなくても時間で課金されるリソースです。AWSのPrice List API(AmazonVPCの東京リージョン版、2026年9月17日公開のデータ)で単価を取ると、次のとおりでした。月額は730時間で換算しています。
| リソース(東京) | 時間単価 | 1か月放置の目安 |
|---|---|---|
| パブリックIPv4(使用中) | 0.005ドル | 約3.65ドル |
| パブリックIPv4(未使用) | 0.005ドル | 約3.65ドル |
| インターフェイス型VPCエンドポイント | 0.014ドル | 約10.22ドル |
| Site-to-Site VPN接続 | 0.048ドル | 約35.04ドル |
VPCエンドポイントはアベイラビリティーゾーンごとに課金されるため、2つのゾーンに作る教材なら上の倍になります。NAT Gatewayも時間課金とデータ処理量の課金がかかる代表格で、単価はAmazon VPCの料金ページで確認してください。1つあたりは小さく見えても、研修で10人が同じ教材を回せば10倍で効きます。
Cost Explorerでハンズオン翌日のサービス別請求を確認するコマンド
削除の確認は金額でも取ります。get-cost-and-usageのリファレンスにあるとおり、期間のEnd日付は含まれない排他指定です。10月1日に実施したなら、翌日以降に次の形で2日分を見ます。
aws ce get-cost-and-usage \
--time-period Start=2026-10-01,End=2026-10-03 \
--granularity DAILY \
--metrics UnblendedCost \
--group-by Type=DIMENSION,Key=SERVICE \
--query "ResultsByTime[].[TimePeriod.Start, Groups[].[Keys[0], Metrics.UnblendedCost.Amount]]" \
--output text
見るのは2日目です。ハンズオン当日に金額が出るのは当然で、翌日にも同じサービスの金額が出続けていれば何かが残っています。そのサービス名で前章の検索を絞り直せば、残置リソースにたどり着けます。
受託開発の現場でハンズオンを新人研修に使う範囲と実施を見送る場面
私たちがエンジニアの研修でハンズオンを組むときの線引きを、条件付きで書きます。
新人研修はイベント提供アカウントか閉じる前提のアカウントに限る
ハンズオンは、本番のワークロードが載ったアカウントでは実施しません。教材によってはVPCやIAMロールを作成・変更する手順が含まれ、公式ブログも作業が他のリソースに影響しうることを理由に専用アカウントの用意を求める立場です。AWSイベントの提供アカウントを使えるならそれが最善で、使えない場合は研修専用のアカウントを作り、終了後に本記事の検索と請求確認を通してから閉じる運用にします。課金をかけずに先にAPIの感触だけ掴みたい段階なら、LocalStackとは?AWSをローカルで動かす手順と有料化後の料金・判断基準で扱ったローカル環境で代替できる範囲もあります。
ハンズオンの構成をそのまま本番システムの下敷きにしてはいけない理由
ハンズオンの構成は、短時間で動くことを優先して作られています。パブリックサブネットに直接置いたEC2、広く開けたセキュリティグループ、単一ゾーンのデータベースは、学習用としては正しくても本番の要件は満たしません。教材の構成を社内システムの叩き台に流用したくなったら、ネットワークと権限の初期設計からやり直してください。その手順はAWS環境構築の手順|VPC・EC2・IAM・セキュリティグループの初期設計を解説にまとめています。
ハンズオンで動かした仕組みを自社の業務システムに載せる段階で、アカウント構成や費用の見積もりから相談したい場合は、インフラ構築(AWS・Google Cloud・Azure)でお受けしています。学習用の構成と本番の構成の差分を最初に洗い出すだけでも、移行後の手戻りは小さくなります。
よくある質問
AWSのハンズオンを探している方から出やすい質問を5つ取り上げます。
AWSのハンズオンは無料で受けられますか?
教材の閲覧は無料です。AWS Hands-on for Beginners、JP Contents Hub、AWS Workshopsのいずれも利用料はかかりません。ただし自分のAWSアカウントで手順を実行すると、作成したリソースには通常の料金が発生します。AWSイベントの提供アカウントで受ける場合は、自分のアカウントへの請求はありません。
AWS Hands-on for Beginnersは今でも受講できますか?
個別の紹介ページからは登録できなくなっているものがあり、トップページ経由の受講が案内されています。2026年10月1日時点で旧トップのURLはAWSのクラウドサービスの使い方をまとめた資料集のページへ転送されるため、資料集ページを起点に探すか、JP Contents Hubから同名の教材を探してください。
ハンズオン用に新しいAWSアカウントを作るべきですか?
作るべきです。AWS公式ブログはハンズオンの作業が他のリソースに影響しうるとして、専用アカウントの用意を求めています。新規に作るときは、無料プランと有料プランの違いとアカウントが閉じる条件を、関連記事の無料枠の解説で先に確認しておくと選択を誤りません。
ハンズオンが終わったら何を削除すればよいですか?
教材のCleanupの手順をまず実行し、そのあとResource Explorerで課金対象の型を全リージョン検索して残りが無いかを確かめます。CloudFormationで作った分はスタックを削除し、中身の残るS3バケットは先に空にします。翌日にCost Explorerでサービス別の金額を見て、ゼロになっていれば完了です。
ハンズオンとSkill Builderのラボは何が違いますか?
本記事で扱った教材は、自分のアカウントかイベントの提供アカウントで動かすものです。AWS Skill Builderの有料サブスクリプションに含まれるハンズオンラボは、AWS側が用意した環境の中で完結するため、後片付けや請求の心配がありません。料金と使える範囲はSkill Builderの解説記事にまとめています。
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