SAAはAWS認定のアソシエイトレベルに位置づけられた試験で、AWS Well-Architected Frameworkに基づく設計力を問われます。現行の試験コードはSAA-C03です。この記事では、公表されている試験要項と採点の仕組みを一次資料で確認したうえで、勉強量の見積もり方までを整理します。
まとめ
先に要点を示します。
- 試験時間130分、65問、受験料150USD、合格スコアは100から1,000のスケールドスコアで720
- 65問のうち採点対象は50問で、残る15問は採点されない試験問題として混在している
- 採点は補償型で、分野ごとに合格する必要はなく総合点だけで判定される
- 720点は正答率72%を意味しない。スケールドスコアは試験フォームごとの難易度差を吸収するための換算値
- AWSが想定受験者として示しているのは勉強時間ではなく「1年以上のハンズオン経験」
SAA-C03の試験要項
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験コード | SAA-C03 |
| 試験時間 | 130分 |
| 問題数 | 65問(択一選択または複数選択) |
| 採点対象 | 50問(残る15問は非採点) |
| 受験料 | 150 USD |
| スコア範囲 | 100〜1,000 |
| 合格スコア | 720 |
| 出題言語 | 日本語を含む10言語 |
問題形式は2種類で、正解が1つの択一選択と、5つ以上の選択肢から2つ以上を選ぶ複数選択です。無解答は不正解として扱われ、当てずっぽうに対する減点はありません。時間が余らない構成なので、分からない問題を空欄で残す判断には意味がありません。
出題範囲と配点
出題は4つの分野に分かれ、採点対象に占める比率が公表されています。
| 分野 | 比率 |
|---|---|
| Design Secure Architectures(セキュアなアーキテクチャの設計) | 30% |
| Design Resilient Architectures(回復性の高いアーキテクチャの設計) | 26% |
| Design High-Performing Architectures(高性能なアーキテクチャの設計) | 24% |
| Design Cost-Optimized Architectures(コスト最適化アーキテクチャの設計) | 20% |
最大の比率を占めるのがセキュリティで、採点対象50問なら15問前後が該当します。学習の順序を決めるとき、ここを後回しにする配分は割に合いません。権限設計の基礎はAWS IAMとは?仕組み・ユーザー/ロール/ポリシーの違いと権限設計のベストプラクティスを実装者目線で解説で整理しています。
採点は補償型で分野ごとの足切りはない
公表資料には、この試験が補償型スコアリングモデル(compensatory scoring model)を採用しており、各セクションで合格点を取る必要はなく、総合の合否だけで判定されると明記されています。苦手分野が1つ残っていても、他分野で取り返せば合格します。
スコアレポートにはセクションごとの評価が表示されることがありますが、AWS自身が「セクションレベルのフィードバックの解釈には注意」と付記しています。分野ごとの問題数が違うため、少ない分野の評価は数問の当たり外れで揺れるからです。
720点は正答率ではない
合格ラインの720は、100から1,000へ換算したスケールドスコアです。試験フォームによってわずかに難易度が違うため、その差を吸収する目的で換算されています。したがって「50問中36問正解すれば合格」といった換算は成立しません。模擬試験の正答率と本番のスコアを直接比べられない理由もここにあります。
難易度と勉強量の見積もり方
「何時間勉強すれば受かるか」という問いに対し、AWSが公表しているのは時間ではありません。示されているのは、想定受験者が「AWSサービスを用いたクラウドソリューションの設計について1年以上のハンズオン経験を持つ」という条件です。
この差は実務的に重要です。すでにVPCとEC2とIAMを触って構築した経験があるなら、不足しているのは知識ではなく試験形式への慣れなので、問題演習中心で足ります。一方、コンソールをほとんど触っていない状態から始めるなら、テキストを読む時間よりも実際に構築する時間を確保しないと、シナリオ問題の前提が読み取れません。ネットワークとIAMを最初に自分で組む手順はAWS環境構築の手順|VPC・EC2・IAM・セキュリティグループの初期設計を解説にまとめています。
公開されている合格率はありません。合格体験記に出てくる勉強時間は、その人の開始時点の経験に依存した値であり、自分の見積もりの根拠には使えないと考えたほうが安全です。
出題対象サービスはAWSが公表している
「頻出サービス」を推測でまとめた一覧は多く出回っていますが、AWSは試験ガイドの中で対象サービス(In-Scope AWS Services)と対象外サービス(Out-of-Scope AWS Services)を明示しています。SAA-C03のIn-Scopeは16カテゴリに分類され、掲載サービス数は123です。ただしAWS自身が「この一覧は網羅的ではなく変更される可能性がある」と注記している点は前提として押さえてください。
掲載数が多いカテゴリは次のとおりで、分野別の配点と読み合わせると学習の重心が決まります。
| カテゴリ | 掲載サービス数 |
|---|---|
| Security, Identity, and Compliance | 20 |
| Management and Governance | 18 |
| Analytics | 11 |
| Networking and Content Delivery | 10 |
| Database | 9 |
| Machine Learning | 9 |
| Compute | 8 |
セキュリティ系が掲載数でも最多で、配点30%と一致します。逆にDeveloper ToolsはX-Rayの1件のみ、Serverlessも3件と絞られており、範囲を広げすぎる必要はありません。対象外サービスの一覧も同じ試験ガイドに掲載されているため、学習範囲を決める段階で先に目を通すと、覚えなくてよいものが分かります。範囲内のサービスを日本語の解説資料で読み込む場合の探し方と、古い資料の見分け方はAWS Black Beltの公式資料を扱った記事で整理しています。
学習の進め方
試験がWell-Architected Frameworkに基づく設計力を測ると明記されている以上、出発点は個別サービスの暗記ではなくフレームワークの柱です。
- Well-Architected Frameworkの柱を押さえ、設計判断の観点を先に持つ
- 配点最大のセキュリティ分野から、IAMを中心に手を動かす
- 可用性設計(マルチAZ、フェイルオーバー、バックアップ)を構築して確かめる
- 性能とコストの選択肢を、同じ要件に対する代替案として並べて比較する
- 模擬問題で、要件文からどの柱が問われているかを判別する練習をする
1番の前提が抜けると、シナリオ問題で「どれも動きそうだが最適はどれか」を選べません。柱の内容はAWS Well-Architected Frameworkとは|6つの柱とレビューの進め方で扱っています。
受験前に確認すること
AWS認定のポリシーでは、受験にあたって制裁対象国以外の居住を証明する有効な政府発行の身分証明書が必要とされています。欧州連合の身分証明書以外の場合は、国際パスポートに加えて第2の身分証明書が求められます。氏名の表記が予約時の登録と一致しているかは、当日ではなく予約の段階で確認する項目です。
受験方式はテストセンターと自宅などでのオンライン監督試験から選べます。持ち込み可否や部屋の要件は試験配信事業者のポリシーで細かく定められており、方式によって内容が変わるため、予約時に表示される規定をその都度確認してください。オンライン受験では机上に何も置けない前提で、事前に環境を整えておく必要があります。
AWS認定全体でのSAAの位置づけ
SAAはアソシエイトレベルの1つです。基礎レベルのクラウドプラクティショナーを先に取るべきか、他のアソシエイト試験とどちらを先にするかは、受験料と試験時間、難易度の順序を並べて判断する話になります。レベル別の一覧と順序はAWS認定資格の一覧と選び方|レベル別の受験料・試験時間と難易度の順序にまとめているので、そちらで全体像を確認してください。
よくある質問
SAAの合格ラインは何点ですか?
100から1,000のスケールドスコアで720です。スケールドスコアのため、正答率に直接換算することはできません。
65問すべてが採点されますか?
されません。採点対象は50問で、残る15問は将来の出題候補を評価するための非採点問題です。どれが非採点かは試験中に判別できません。
苦手な分野があると不合格になりますか?
なりません。採点は補償型で、各セクションで合格点を取る必要はなく、総合点のみで合否が決まります。
SAAの勉強時間はどれくらい必要ですか?
AWSは勉強時間を公表していません。示されているのは想定受験者像として「1年以上のハンズオン経験」で、現在の実務経験がどれだけこの条件に近いかで必要量が変わります。
試験は日本語で受けられますか?
受けられます。日本語を含む10言語で提供されています。