介護・医療

歯科レセコンの選び方|比較の軸・シェア・費用相場と歯科特有の算定要件【2026年版】

基幹業務システムの特性とその価値

歯科レセコンは、医科向けの製品に歯科のマスタを足したものではありません。歯式と部位で積み上がる点数表、歯周治療の段階管理、保険と自費が同じ日に並ぶ会計、年4回の貴金属価格改定と、歯科だけに発生する要件で使い勝手が決まります。本記事では、シェアランキングの数字の読み方、公開料金を例にした費用相場、クラウド型とオンプレミス型の比較、そしてレセコンを残したまま予約やリコールを外側で作る判断まで、厚生労働省などの一次情報にあたりながら整理します。

まとめ:歯科レセコンを決める3つの判断軸と失敗しない比較の進め方

歯科レセコンの選定は、次の3点を先に固めると迷いが減ります。第1に自院の算定パターン(自費比率、訪問歯科の有無、矯正の扱い)。第2に外部システムとの連携要件(予約・リコール、画像、技工所とのやり取り)。第3に費用の総額を決める課金単位(チェア台数か端末台数か医院単位か)。この3点が決まっていれば、候補は自然と2〜3社に絞られます。医科クリニックの場合の判断軸は、クリニックのレセコン選び方で開業スケジュールからの逆算として扱っています。

比較の順序は、ランキングを見る前に自院要件を書き出すのが先です。歯科レセコンのシェア数値は調査主体によって2割台と3割台で割れており、電子カルテ一体型を含むかどうかで母数が変わる仕組みです。順位を出発点にすると、この母数の違いを飲み込んだまま候補を絞ることになります。なお、レセコンそのものの仕組みや電子カルテとの役割分担はレセコンとは?仕組み・電子カルテとの違い・種類と選び方で整理しているため、本記事では歯科に固有の論点だけを扱います。

もう1つ、歯科ならではの前提があります。診療報酬改定は2年に1度ですが、歯科用貴金属の告示価格は年4回見直されます。更新作業を誰が担うかで、クラウド型とオンプレミス型の向き不向きがはっきり分かれる点も、比較の早い段階で押さえておいてください。

歯科レセコンが医科向けと別製品になる理由と歯科特有の算定要件

歯科と医科で製品が分かれるのは、販売政策の都合ではなく点数表の構造が違うからです。厚生労働省の令和8年度診療報酬改定の告示ページでも、医科点数表・歯科点数表・調剤点数表は別々の文書として掲載されています。歯科点数表は部位(歯)ごとに処置が積み上がり、同じ処置でも歯番や部位によって算定可否が変わります。医科向けレセコンに歯科のマスタを載せれば済む話ではありません。同じ事情は保険薬局にも当てはまり、薬価マスタと電子薬歴を軸にした調剤側の要件は調剤薬局のレセコン選び方で扱っています。

歯式・歯番・部位単位で積み上がる歯科レセプト特有の入力構造の違い

歯科のカルテとレセプトは、永久歯と乳歯を含む歯番の指定が入力の前提になります。1本の歯に対して充填・支台築造・印象・装着が時系列で並び、同じ患者の同じ月内に複数の歯で別々の進行状況が同時進行です。医科の「1傷病名に処置がぶら下がる」構造とは並び方が違います。

この違いは操作画面の設計に直結します。歯科レセコンでは歯式図から歯を選んで処置を入れる導線が標準で、部位の指定漏れをその場で止める作りになっているかが実務の速度を決めます。デモを見るときは、歯式図の操作回数と、抜歯後に欠損として扱われた歯へ誤って処置を入れた場合の挙動を必ず確認してください。

P処置・SPT・補綴の一連算定でレセコンが担う点検機能の範囲

歯周治療は、歯周基本治療から歯周病検査を挟んで歯周病安定期治療(SPT)へ移り、以降は月単位の管理が続きます。前提となる検査を実施していない月にSPTを算定する、あるいは併算定できない項目を同月に立ててしまう。返戻の多くはこの種の順序と組み合わせのミスから生まれます。

歯科レセコンの点検機能は、単なる入力チェックではなく「歯周治療の段階が今どこか」を患者ごとに保持し、次に算定できる項目を提示する形で働きます。補綴も同様に、支台築造から装着までの一連が途切れていないかが追跡対象です。製品比較では、警告が出る条件を何段階持っているか、警告を無視して提出まで進めてしまえるかを見ておくと、事務スタッフの負荷差が読めます。

保険診療と自費診療が混在する歯科の会計処理と窓口精算での要件

歯科は同じ来院日に保険診療と自費診療が並びます。セラミックインレーの型取りと保険の歯周基本治療を同日に行えば、窓口で保険一部負担金と自費代金を合算し、消費税の扱いも分けたうえで領収証と明細書を出すまでが一連の処理です。自費の分割払いや前受金の残高管理まで必要な医院もあります。

ここを表計算ソフトや手書き台帳で補っている医院は珍しくありません。自費比率が2割を超えるあたりから、自費見積・前受金・技工物原価の管理をレセコン側で持つか外側のシステムで持つかという設計判断が発生します。判断の分かれ目は本記事の後半で扱います。

歯科レセコンのシェアランキングの読み方と順位より優先する実務条件

「歯科レセコン シェアランキング」で検索すると、上位に来る記事のあいだで数字が一致しません。同じベンダーが2割台と表記される記事と3割台と表記される記事が並びます。これは調査が間違っているのではなく、数え方が違います。

歯科レセコンのシェア数値が電子カルテ一体型込みで集計される事情

歯科では、レセコン単体で導入する医院と、電子カルテ一体型として導入する医院が混在します。民間の比較記事が引く数値は、レセコン単体の導入台数ベースのものと、レセコンと電子カルテを合わせた総合シェアのものが混在した状態です。前者では首位が2割前後、後者では3割台という水準になり、記事間の差の大半はこの母数の違いで説明がつきます。

読み方は単純です。数値を見たら、まず母数の定義が書いてあるかを確認します。母数が書かれていない順位表は、自院の候補を絞る根拠には使えません。この数え方の問題はレセコン全般に共通するため、医科も含めた系統別の整理はレセコンメーカーの選び方と3系統の違いを先に読むと理解が早くなります。

主要メーカーの系統別の特徴|歯科専業ベンダーと機器メーカー系

歯科レセコンの供給元は、大きく2系統です。歯科向けソフトを主力とする専業ベンダーと、ユニットやエックス線装置を扱う総合歯科医療機器メーカーの系列。前者はソフトの機能更新と算定対応の速さで選ばれ、後者は機器の導入・保守と窓口を一本化できる点で選ばれます。ここにクラウド専業の新しい供給元が加わり、比較の軸は3つになりました。

系統 強み 注意点
歯科専業ベンダー 算定対応と機能更新が速い 機器保守は別窓口
機器メーカー系 ユニット等と窓口を一本化 ソフト単体の乗換が難しい
クラウド専業 初期費用が低く更新が自動 回線障害時の運用設計が必要

どちらが優れているという話ではありません。開業時にユニット一式をまとめて商談している段階なら機器メーカー系が交渉上有利になり、既存ユニットを残してソフトだけ替えるなら専業ベンダーが候補に上がります。商談の入り口がどちらかで、実質的な選択肢は先に狭まっています。

ランキング記事を自院の判断に流用するときに外せない確認項目の基準

比較記事は候補の一次スクリーニングには使えますが、そのまま結論にはできません。確認すべき項目は3つに絞れます。

  • 掲載製品が歯科向けか(医科向け製品が混ざる一覧がある)
  • 価格表記が公開料金か取材ベースの目安か(後者は条件で大きく動く)
  • 記事の更新日と、診療報酬改定をまたいでいるか

特に3点目は歯科で効きます。令和8年度診療報酬改定は2026年3月5日に告示(令和8年厚生労働省告示第69号ほか)され、施設基準の届出を受理された医療機関は同年6月1日から新点数で算定する扱いです。改定前に書かれた比較記事は、改定対応の実績という最も見たい情報を含んでいません。改定率や施行日、レセコン改修の段取りそのものは診療報酬改定2026の改定率と施行日、レセコン改修の段取りで整理しています。

歯科レセコンの費用相場|初期費用・月額・チェア台数課金の内訳

歯科レセコンの見積は、提示された総額だけを比べても差の理由が読めません。内訳を同じ粒度に揃えてから並べます。診療科を問わない費用の全体像と5年総額の計算方法はレセコンの費用相場と5年総額の内訳にまとめているので、ここでは歯科に特有の費用の動き方を見ていきます。

初期費用・月額費用・保守費用に分けて見る歯科レセコンの費用内訳

費用は3層に分解できます。導入時に一度だけ発生する初期費用(ソフト導入、マスタ設定、データ移行、操作研修)、毎月または毎年発生する利用料・保守料、そして数年おきに発生する更新費用です。民間の比較集計ではオンプレミス型の初期費用を50万〜200万円規模とするものが多く、これにデータ移行と研修、周辺機器を加える構成が一般的とされています。

クラウド型では初期費用が下がる代わりに月額が乗ります。クラウド歯科業務支援システムのDENTISが公式の料金プランページで示す値(2026年9月時点・税抜)は、電子カルテ・レセコンを含むトータルプランが初期50万円・月額40,000円、複数医院向けのエンタープライズプランが1医院につき初期55万円・月額45,000円です。同じページには、レセコン機能を含まない予約・問診中心のプランが月額4,980円から並んでいます。金額そのものより、公開料金を出しているベンダーは条件を揃えた比較がしやすいという点に意味があります。

チェア台数・端末台数で費用が動く課金体系と見積比較の落とし穴

歯科レセコンの見積が医科と違うのは、チェア台数が価格に効く製品があることです。ユニット1台の増設に対してソフト側のライセンスと端末が連動し、数十万円単位で費用が動く体系も残っています。分院展開や増床を数年内に予定しているなら、この点は初期費用よりも優先して確認しておきたい項目です。一方、前述のDENTISのように利用台数を無制限とうたう製品もあり、課金単位そのものが製品選びの分岐点になります。

見積比較で起きがちなのは、A社が「チェア4台込み」、B社が「基本パッケージ+端末追加分は別」という形で粒度がずれたまま総額を並べてしまう事故です。相見積を取るときは、チェア台数・同時利用端末数・受付端末の有無を先に自院の数字で固定し、その条件で出してもらってください。

データ移行・マスタ登録代行など見積に載りにくいオプション費用の実額

見積の本体価格とは別に、切替時だけ発生するオプション費用があります。公開例としてDENTISの料金ページを見ると、患者基本データ移行が50,000円、診療録データ移行が250,000円(移行年数に応じて変動)、マスタ登録代行が100,000円、機器とのシステム連携が1機器につき初期50,000円・月額1,000円、往訪サポートが1回100,000円と明示されています(いずれも税抜・2026年9月時点)。

ここから読み取れるのは、既存医院の入替では本体の初期費用に加えて数十万円規模の移行費用が乗りやすいという点です。レントゲンや口腔内カメラなど連携する機器が多い医院ほど、月額にも連携費が積み上がります。相見積では「データ移行は何年分・どの項目まで含むか」「連携機器1台ごとの費用はいくらか」を明細で出してもらうと、総額の比較が崩れません。

6年リースとクラウド月額の総額比較で見落とす更新時の追加費用

オンプレミス型は6年リースで組む商習慣が根強く、月額に均すとクラウド型より安く見えることがあります。ただし比較すべきは6年間の支払総額ではありません。リース満了時のハードウェア更新費、OSサポート終了に伴う入替、そして次期製品への移行に伴うデータ変換費まで含めた期間総額です。

クラウド型は更新費が月額に内包される代わりに、契約が続く限り支払いが続きます。10年スパンで見ればクラウド型が高くつく試算も成立します。それでもクラウド型の新規導入比率が上がっているのは、金額差より改定対応の運用負荷が効いているからです。

クラウド型とオンプレミス型の比較|診療報酬改定と貴金属改定への対応差

この選択は好みの問題ではなく、誰が更新作業を担うかの分担の問題です。歯科では更新の発生頻度そのものが医科と違います。

診療報酬改定と算定ルール変更への追随速度で分かれる運用負荷の差

歯科に固有の負荷が、歯科用貴金属価格の随時改定です。中央社会保険医療協議会の資料「歯科用貴金属価格の随時改定について」(2025年4月23日)によれば、金銀パラジウム合金などの告示価格は変動幅にかかわらず、診療報酬改定時以外に3月・6月・9月・12月の年4回見直されます。2022年4月から始まった当初の運用は1月・4月・7月・10月でしたが、2024年6月以降は現在の月に移りました。つまり歯科医院では、2年に1度の診療報酬改定に加えて、毎年4回のマスタ更新が発生します。

古い比較記事や導入資料には旧運用の月が残っていることがあるため、ベンダーに確認するときは「次回の貴金属改定はいつで、マスタはいつ配信されるか」と具体的な月で聞くと、対応体制の実態がつかめます。

クラウド型はこの更新がベンダー側で完結し、医院側の作業は原則ありません。オンプレミス型はパッチ適用の作業が院内に残り、適用の遅れがそのまま返戻につながります。年4回という頻度を考えると、更新作業を院内の誰が担当できるかを決められない医院にオンプレミス型を勧める理由は乏しくなります。

院内ネットワーク構成と医療情報安全管理ガイドライン準拠の条件

クラウド型を選ぶ場合、回線が止まったときに診療をどう継続するかを先に決めます。回線冗長化(光回線とモバイル回線の併用)、オフライン時の受付運用、復旧後の入力手順。ここを詰めずに導入すると、障害の当日に紙運用へ戻れず窓口が止まります。

加えて、厚生労働省の医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版(2026年6月公表)に沿った体制整備が前提になります。第7.0版は従来の概説編と経営管理編・企画管理編・システム運用編に、保守委託機関編を加えた構成です。事業者側の準拠状況を示す資料の提出可否は、選定時に必ず確認してください。院内システム全体を第7.0版に照らして整理する手順は医療情報システムの種類・構成と安全管理ガイドライン第7.0版対応で、医療機関側の責任範囲まで含めた全体像は医療DXの定義・3本柱と進め方で扱っています。

オンプレミス型の継続が合理的な判断になる歯科医院の3つの条件

クラウド型を推す論調が強い一方で、オンプレミス型を続けるほうが合理的な医院もあります。次の3条件がそろう場合です。第1に現行機の減価償却またはリースが残っており、残債の解消費が移行効果を上回る。第2に院内に更新作業を確実に回せる担当者がいる。第3に回線品質が不安定な立地で、冗長化コストが月額差を食い潰す。

逆に、この3条件のどれも当てはまらない状態でオンプレミス型を選び直すのは見送るべきです。年4回のマスタ更新と2年ごとの改定対応を院内負荷として抱え続ける理由がありません。移行判断は「今の資産をどう終わらせるか」から逆算するのが実務的です。

レセコン入替と周辺システム受託開発のどちらを選ぶかの判断基準

不満の原因がレセコン本体にあるのか、その周りにあるのか。ここを切り分けないまま入替に踏み切る医院がかなりあります。切り分けの基準を示します。

レセコン入替に踏み切るべき場面と踏み切らないほうがよい場面の判断

入替が正解になるのは、算定チェックの精度が低く返戻が慢性化している、ベンダーのサポートが終了予定にある、改定対応が毎回遅れる、といったレセコンの中核機能そのものに問題がある場合です。これは周辺をどれだけ整えても解決しません。

一方で「予約表が使いにくい」「リコールのはがきを手作業で出している」「自費の見積が表計算ソフトのまま」という不満で入替を検討しているなら、踏み切らないほうがよい場面です。レセプト業務が問題なく回っているレセコンを、周辺機能の使い勝手を理由に入れ替えると、移行リスクと再教育コストを払ったうえで中核機能の品質を下げる結果になりかねません。この場合の答えは、レセコンを残して外側を作ることです。

レセコンを残したまま予約・リコール・自費管理を外側で作る構成

歯科医院で不満が集中する領域は、予約とリコール、自費の見積と前受金、技工所とのやり取り、そして患者への連絡です。いずれもレセプト請求の中核とは独立しており、レセコンの外側に置いても業務が破綻しません。

実装の形は、レセコンから患者基本情報と来院履歴を日次で受け取り、外側のシステムが予約・リコール・連絡・自費管理を担う構成が現実的です。予約とリコールを外側に切り出す設計の考え方は歯科医院予約システムの機能・費用とリコール設計で詳しく扱っています。既存資産を残したまま不満点だけを解消できるため、投資額は入替より小さく収まる場合が多くなります。

API・CSV連携の可否がレセコン選定を左右する具体的な判断材料

外側を作る前提に立つと、レセコン選定の評価軸が変わります。機能の多さではなく、患者情報と来院履歴を外部へ出せるかどうかが最上位の条件になります。確認するのは、APIの提供有無、CSVでの定期出力の可否、出力項目に患者IDと来院日と診療内容コードが含まれるか、出力を自動実行できるかの4点です。

ここが閉じている製品を選ぶと、将来どの外部システムとも連携できず、不満が出るたびに本体入替しか手がなくなります。歯科医院の業務全体をどう組むかを含めて設計するなら、レセコンを含む院内システムの構成を整理したうえで開発範囲を切る進め方が有効です。当社では、既存パッケージを残す前提の連携開発を含めて医療機関向けシステム開発として対応しており、要件整理の段階から相談を受けています。

レセコンのCSV出力からリコール対象患者を抽出する連携処理の実装例

CSV出力ができるレセコンなら、外側の仕組みは小さく始められます。次の例は、来院履歴のCSVから「最終来院から90日以上たち、次回予約が入っていない患者」を抜き出す処理です。列名や文字コードは製品ごとに異なるため、自院のレセコンが出力するCSVの見出しに読み替えてください。まず入力の形を示します。

患者ID,来院日,診療区分,次回予約日
000123,2026-05-12,SPT,
000456,2026-08-30,充填,2026-09-20
000789,2026-04-02,補綴,
000123,2026-06-10,SPT,

このCSVを読み、患者ごとの最終来院日と予約の有無をまとめてからリコール対象を出力します。Python 3.x系の標準ライブラリだけで動きます。

# recall_targets.py : 来院履歴CSVからリコール対象の患者を抽出する
import csv
from datetime import date, timedelta

RECALL_DAYS = 90          # 定期管理の間隔(医院の運用に合わせて変更する)
today = date.today()

last_visit = {}           # 患者IDごとの最終来院日
booked = set()            # 今日以降の予約が入っている患者ID

with open("visits.csv", encoding="cp932", newline="") as f:
    for row in csv.DictReader(f):
        pid = row["患者ID"]
        visit = date.fromisoformat(row["来院日"])
        if pid not in last_visit or visit > last_visit[pid]:
            last_visit[pid] = visit
        if row["次回予約日"] and date.fromisoformat(row["次回予約日"]) >= today:
            booked.add(pid)

targets = [
    (pid, visit) for pid, visit in last_visit.items()
    if pid not in booked and today - visit >= timedelta(days=RECALL_DAYS)
]
for pid, visit in sorted(targets, key=lambda t: t[1]):
    print(pid, visit.isoformat(), (today - visit).days, "日経過")

出力された患者IDを、SMSやアプリ通知の送信リストに渡せばリコールの手作業が消えます。この程度の処理でも、レセコンが患者IDと来院日を定期的にCSVで出せなければ組めません。デモの段階で「このCSVを毎日自動で出せますか」と実物のファイルを見せてもらうのが、連携可否を確かめるいちばん確実な方法です。

歯科レセコン導入・入替の進め方とデータ移行で失敗しやすい場面

製品が決まってからの進め方で、稼働直後の混乱の大きさが決まります。歯科では切替時期の選び方が特に効きます。

新規開業と既存医院の入替で異なる導入スケジュールの組み立て方

新規開業は内装工事と保険医療機関の指定申請に日程が縛られるため、逆算で並べます。既存医院の入替は現行データの棚卸しが先に入る分、期間が長くなります。

  1. 要件整理(算定パターン・連携要件・課金単位を自院の数字で確定)
  2. 相見積と実機デモ(歯式操作と算定警告を必ず触る)
  3. 契約・マスタ設定(自費メニューと技工所情報を含める)
  4. データ移行の試行(本番前に1回は通す)
  5. スタッフ研修と並行運用
  6. 切替・レセプト提出1回目の立会い

既存医院の入替では、要件整理から稼働まで3〜4か月を見ておくと無理がありません。デモを飛ばして仕様書だけで決めると、歯式入力の操作感という最大の差が比較から抜け落ちます。

患者データ・カルテ・未収金の移行で発生しやすい欠損と対処の順序

移行で落ちやすいのは、患者基本情報そのものより付帯情報です。旧システム独自の項目に入れていたメモ、家族単位の紐づけ、自費の分割払い残高、未収金の内訳。これらは標準的な移行フォーマットに枠がなく、そのまま消えます。

対処は順序が明確です。まず旧システムから出力できる項目の一覧を取り、移行対象と対象外を明示的に線引きします。次は対象外とした情報の扱い(紙で保管、外部台帳へ転記、切替日以降は新運用)を決める段階です。最後に移行テストで件数と金額の突合を行います。順序を飛ばして移行後に気づくと、復元できない情報が出ます。

スタッフの習熟期間とレセプト提出月をまたがない切替時期の決め方

切替日は月初が基本です。月の途中で切り替えると、同じ月の診療分が旧システムと新システムに分かれ、レセプト提出時に手作業の突合が発生します。月初切替なら、その月の診療分は新システムだけで完結します。

避けたいのは、診療報酬改定の直前直後と、繁忙期の重なる時期です。令和8年度改定は2026年6月1日から新点数での算定が始まったため、この前後1か月は改定対応と新システム習熟が同時に走る時期でした。貴金属の随時改定が入る3月・6月・9月・12月も、マスタの切り替わりと重なります。事務スタッフが1名体制の医院では、改定内容の確認と操作習得が同じ担当者に集中し、算定漏れや返戻の増加を招きやすい局面です。切替は改定対応が落ち着いた後、月初に置くのが安全です。

よくある質問

歯科レセコンの選定・導入で実際に寄せられる質問を、判断に必要な範囲でまとめます。

歯科レセコンと歯科電子カルテは何が違いますか?

レセコンは診療内容から点数を計算し、レセプト(診療報酬明細書)を作成して審査支払機関へ請求するためのシステムです。歯科電子カルテは診療録そのものを電子的に記録するシステムで、歯式図への処置入力や画像の紐づけを担います。歯科では両者が一体型として提供されることが多く、製品名だけでは区別がつきません。見積時に「レセプト請求機能を含むか」「診療録の電子保存に対応しているか」を分けて確認すると、比較の軸がそろいます。一体型と連動型の選び分けは電子カルテ・レセコン一体型と連動型の違いで詳しく扱っています。

歯科レセコンのシェア1位の製品を選べば失敗しませんか?

シェアは導入実績の多さを示すだけで、自院の算定パターンとの相性を示すものではありません。加えて歯科レセコンのシェア数値は、レセコン単体で数えるか電子カルテ一体型を含めるかで水準が変わり、比較記事のあいだで2割台と3割台に割れています。順位は候補を3社程度に絞る目安として使い、最終判断は自費比率・訪問歯科の有無・チェア台数・外部連携の可否という自院条件で行ってください。

歯科レセコンの導入に補助金は使えますか?

旧IT導入補助金は、2026年度から中小企業デジタル化・AI導入支援事業(デジタル化・AI導入補助金2026)へ名称が変わりました。事務局の通常枠の案内では、1プロセス以上で5万円以上150万円未満、補助率は原則1/2以内で、ソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)が必須の対象経費とされています(2026年9月時点)。事務局に登録されたIT導入支援事業者が扱う登録ツールであることが前提のため、歯科レセコンでも対象外の製品があります。公募回ごとに締切と要件が動くので、検討時点の公募要領と候補ベンダーの登録状況を個別に確認してください。医療機関向けの申請条件は電子カルテの補助金と申請条件で整理しています。

レセコンを使わずに紙レセプトのまま続けることはできますか?

新たに始めることはできません。厚生労働省の資料「2024年度以降の取扱いと必要な届出について」によれば、2023年11月30日付の請求命令改正により、2024年4月1日以降はオンライン請求が基本となり、紙レセプトと光ディスク等による請求の新規適用は終了しました。紙請求を続けられるのは、以前に届出を行っていた施設のうち、レセコンを使用していない(手書き請求)場合か、常勤の歯科医師等が高齢である場合(レセコンを使う歯科診療所では最も若い常勤者の生年月日が1946年4月1日以前)に限られ、2024年2月29日までの再届出が必要でした。光ディスク等での請求を続ける場合も、オンライン請求等の案内ページに掲載された猶予届出書兼移行計画書の提出が求められます。新規開業や入替を検討している医院にとって、紙請求は選択肢になりません。

訪問歯科や複数医院の展開にレセコンはどう対応しますか?

訪問歯科は、居宅療養管理指導や訪問診療の算定要件が院内診療と異なり、対応していない製品では手作業の補正が発生します。訪問を行う、または今後始める予定があるなら、訪問歯科の算定に標準対応しているかを選定条件に入れてください。複数医院の展開では、医院ごとの契約になる製品と、法人単位でまとめられる製品で費用構造が変わります。DENTISのエンタープライズプランのように1医院あたりの月額を明示している例もあるため、分院計画がある場合は院数を増やした前提で見積を取り直すのが確実です。

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