OpenStreetMap(オープンストリートマップ、略称OSM)は、世界中の参加者が道路・建物・店舗などを書き込んで作る、自由に再利用できる地図データベースです。Googleマップと違い、データそのものをダウンロードして加工・再配布できます。一方で、商用利用には帰属表示と共有継承の条件があり、公式サーバのAPIには厳しい利用上限があります。この記事では、openstreetmap.orgでの地図の使い方、OSMの仕組み、ODbLライセンスでの商用利用の線引き、タイル・Nominatim・Overpass APIの使い分けを、2026年10月時点の公式ポリシーと実行確認したPythonコードで整理します。
まとめ|OpenStreetMapの正体と商用利用・APIの結論
- 正体:2004年に英国で始まったオープンな地理データベース。登録利用者は1,093万人、ノードは109億個(2026年10月12日時点の公式統計)。
- 使い方:openstreetmap.orgでは登録なしで地名検索、車・自転車・徒歩の経路探索、地図レイヤーの切り替え、画像の書き出し、HTMLでの埋め込みができます。
- 商用利用:できます。条件は「© OpenStreetMap contributors」の表示とライセンスへのリンク。地図画像は自社ライセンスで配布できます。OSMを加工した派生データベースを公開する場合、またはそこから作った地図を公開する場合は、その派生データベースをODbLで共有する必要があります。
- データは無料、サーバは無料ではない:tile.openstreetmap.org・Nominatim・Overpassは寄付で動く共有資源です。Nominatimは最大1リクエスト/秒、オートコンプリート利用は禁止されています。
- 用途別の取得方法:表示はタイル、住所検索はNominatim、条件抽出はOverpass API、まとめて使うならGeofabrikの地域抽出(日本全体で約2.5GB)かplanetファイル(89GB)です。
- 採用を見送る場面:SLAが必要な商用サービスを公式サーバだけで運用する構成は取らないでください。予告なく遮断されうると公式が明記しています。国境は実効支配で描かれるため、北方領土や竹島を含む地図を公開する前には表示を確認してください。
OpenStreetMapの正体、地図アプリではなく編集できる地理データベース
OSMの本体は、openstreetmap.orgで見える地図画面ではなく、その背後にある地理データベースです。地図画像はこのデータから描画された一例にすぎず、同じデータから経路探索、住所検索、GISでの分析、印刷地図などが作られています。
2004年の英国発、登録者1,093万人・ノード109億個の規模
OSMは2004年、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンに在籍していたSteve Coast氏が始めました。openstreetmap.orgのドメイン登録日である2004年8月9日が、OSMの誕生日として祝われています。
公式の統計ページ(2026年10月12日集計)では、登録利用者が10,932,094人、ノードが10,931,891,032個、ウェイが1,224,182,637本、リレーションが14,883,724件です。運営主体は2006年に設立された英国の非営利団体OpenStreetMap Foundation(OSMF)で、サーバ運用やライセンス管理を担っています。
TomTom・Microsoft・Metaなどの法人会員と、OSM由来のOverture Maps
OSMは個人の参加者だけでなく、地図を事業にする企業にも支えられています。OSMFの法人会員の一覧(2026年10月12日時点)では、最上位のPlatinumにTomTom・Microsoft・Esri・Metaなど、GoldにMapbox・Grab・komootが並びます。日本企業ではLINEヤフーがBronze会員に加わったと記載されています。
2022年にAmazon Web Services・Meta・Microsoft・TomTomがLinux Foundationのもとで立ち上げたOverture Maps Foundationのオープンデータも、OSMと無関係ではありません。Overtureの帰属表示ページでは、交通(Transportation)・建物(Buildings)・行政区域(Divisions)・Baseの各テーマがODbLで、「© OpenStreetMap contributors」の表示が必要とされています。Overtureのデータを使う場合も、これらのテーマには次章以降のODbLの条件がそのまま当てはまります。
Googleマップとの比較、データ取得・再配布の条件
| 比較軸 | OpenStreetMap | Googleマップ(Maps Platform) |
|---|---|---|
| データの持ち出し | 全データをダウンロード可 | 規約で抽出・保存を制限 |
| 加工・再配布 | ODbLの条件内で可 | 不可 |
| 料金 | データは無料 | 無料枠を超えると従量課金 |
| 更新に使う情報 | 参加者の調査・許諾済みデータ | Google・提携先・店舗・利用者 |
| 公式サーバの保証 | SLAなし | 有償契約でSLAあり |
選ぶ基準は「データを自社の資産として持ちたいか」です。地図を表示できれば十分で、店舗情報や口コミまで欲しいならGoogleマップが手早く済みます。データを自社DBに取り込んで分析・加工したい、あるいは地図APIの従量課金を避けたいなら、OSMが向きます。国内の商用地図APIの料金構造はZENRIN Maps APIの料金と無料枠の比較で整理しています。
読み方と略称OSMの意味、同じ略語の別物との区別
読みは「オープンストリートマップ」、略称のOSMはOpenStreetMapの頭文字です。名前に「Street」とありますが、道路だけでなく建物・土地利用・行政界・POI(店舗や施設)まで収録します。浸透圧に寄与する粒子の物質量を表す「Osm(オスモル)」とは別の略称です。
openstreetmap.orgの使い方、検索・経路・レイヤー・書き出しの基本操作
地図を見るだけなら、アカウント登録は要りません。openstreetmap.orgを開くと、地図の左に検索欄、右に操作ボタンが並びます。主な操作は次のとおりです(画面表記は2026年10月時点の日本語表示)。
| やりたいこと | 操作する場所 | できること・制限 |
|---|---|---|
| 地名・施設を探す | 左上の検索欄 | 地名・住所・店名で検索(Nominatimを使用) |
| 経路を調べる | 検索欄の横の経路ボタン | 車・自転車・徒歩。GraphHopper・OSRM・Valhallaから選べ、経路はGeoJSONで保存可 |
| 地図の見た目を変える | 右側の「地図のレイヤー」 | 標準・CyclOSM・人道支援など8種類 |
| データを重ねて見る | 同じパネルのチェック欄 | 地図メモ・地図データ・公開GPSトレースを表示 |
| 地物のタグを調べる | 右側の「?」ボタン | クリックした地点の要素・タグ・編集履歴 |
| 間違いを知らせる | 右側のメモボタン | 地図メモで地域の参加者に報告(ログイン不要) |
| 地図を共有・埋め込む | 右側の共有ボタン | リンク・短縮URL・HTML(iframe)・Geo URI・画像(PNG・JPEG・WEBP・SVG・PDF) |
| 生データを落とす | 上部の「エクスポート」 | 表示範囲をOSM XML(.osm)で取得。0.25平方度まで |
レイヤーは標準・CyclOSM・サイクリングマップ・交通マップ・トレーストラックトポ・人道支援・Shortbread・MapTiler OMTの8種類で、どれも同じOSMデータを別のスタイルで描いたものです。描画するサーバが違うため、最近の編集が反映される速さはレイヤーごとに異なります。自社サイトに地図を1枚載せたいだけなら、共有パネルの「HTML」で出るiframeのコードを貼るのが最も手軽です。マーカーも付けられます。埋め込んだ地図でも移動や拡大縮小はできます。ただし、HTML埋め込みはレイヤーによっては使えず、画像の書き出しも対応するレイヤーに限られます。自社のデータを重ねたい、クリック時の動作などを作り込みたい場合は、後述のLeafletの例を使ってください。
「エクスポート」は編集用APIから範囲内の全データを取り出す仕組みのため、範囲が大きいと失敗します。そのときの代替として、画面にはplanet・Overpass API・Geofabrikが案内されます。日本語の地名表記に寄せたスタイルで見たい場合は、OpenStreetMap Japan(OSMFJ)のサイトから日本向けタイルサーバの地図も開けます。
ノード・ウェイ・リレーションとタグで地図を表すデータモデル
3種類の要素と、ウェイ1本あたり2,000ノードの上限
OSMのデータは3種類の要素だけで構成されます。ノード(node)は緯度経度を持つ点、ウェイ(way)はノードを順に並べた線や面、リレーション(relation)は複数の要素をまとめた関係(路線バスの系統、穴の開いた建物、行政区域など)です。
ウェイ1本に含められるノードは2〜2,000個と決まっています。長い海岸線や高速道路が複数のウェイに分割されているのはこのためで、自社システムに取り込むときは「1本の道路=1ウェイ」と仮定すると集計を誤ります。
key=valueのタグで意味を与える仕組み、amenity=cafeの例
要素そのものには意味がなく、key=value形式のタグで種類を表します。カフェならamenity=cafe、店名はname=…、道路の種別はhighway=primaryのように付けます。タグの語彙は固定のスキーマではなく、実際の利用やコミュニティの提案を通じて広まり、wikiに記録されます。承認済みのタグだけに利用が制限されるわけではありません。
この自由さが、取り込み時の落とし穴になります。同じ種類の施設でも地域や時期によってタグの付け方が揺れるため、抽出条件は1つのタグに決め打ちせず、実データを見ながら複数の書き方を拾う設計にしてください。
国境は実効支配で描く、北方領土・竹島の扱いと日本の主張の別リレーション
OSMの国境(boundary=administrativeとadmin_level=2)は、現地の実態を記録する「On the Ground」原則に沿って1本だけ登録されます。OSMFが2013年に各国の担当者向けに出した文書も、「国際的に最も広く承認され、現地の実態(一般には物理的な支配)に最も合う1組を記録する」と説明しています。
OSM wikiの係争地の一覧(2026年10月時点)では、北方領土を含む千島列島はロシアの管轄、竹島は韓国の領域内として描かれ、尖閣諸島は日本の領域内です。竹島についての日本の主張は、別のリレーション(relation 9520293)として登録されています。標準の描画スタイルはこうした別の主張を描きません。そのため、OSMのタイルや境界データをそのまま使うと、自治体の資料や日本向けの製品に日本政府の立場と異なる国境が出ます。該当地域を含む地図を公開する前に表示を確かめ、必要なら境界データを差し替えるか、国境を描かないスタイルを使ってください。
商用利用の条件、ODbLの帰属表示と共有継承の境界線
OSMのデータはOpen Database License(ODbL)1.0で提供されています。公式の要約は「OpenStreetMapとその貢献者をクレジットすれば、複製・配布・送信・改変が自由。ただし改変・加工した結果を配布するなら同じライセンスで」です。商用か非商用かは条件に入っていません。
帰属表示は「© OpenStreetMap contributors」と著作権ページへのリンク
書き方はOSMFが2021年6月25日に採択したAttribution Guidelinesに定められています。要点は次のとおりです。
- 表記は「© OpenStreetMap contributors」または「© OpenStreetMap」でよい
- ODbLで提供されていることが分かるよう、「OpenStreetMap」の文字を
https://www.openstreetmap.org/copyrightへのリンクにする - 操作できる地図では地図の隅に置く(右下が慣例だが、どの隅でもよい)
- 折りたたむ場合は、ユーザー操作か5秒経過後まで表示し、(i)ボタンやメニューからライセンス情報にたどれるようにする
ただし、tile.openstreetmap.orgのタイルを使う場合は、同サーバの利用ポリシーが帰属表示をUIの下・トグルの奥・画面外に隠すことを禁止しているため、帰属表示は常に見える位置に出しておくのが安全です。印刷物では、他のクレジットと同じ場所(地図の脇、脚注、謝辞のいずれか)に載せます。
地図画像などの成果物(Produced Work)と配布ライセンスの選択
商用利用で最も多い形は、OSMの地図を画面に表示する、画像にして資料に載せる、タイルを配信するといった使い方です。ODbLではこれらをProduced Work(成果物)と呼び、OSMFのFAQは「OSMのほとんどの利用はProduced Work」と説明しています。
成果物は好きなライセンスで配布できます。受け取った人から元データを求められたら提供する義務はありますが、OSMのデータに手を加えていなければ「データの出典はopenstreetmap.org」と案内すれば足ります。ODbLによってアプリやサービスのソースコードを公開する義務は生じません。OSMを加工したデータベースから作る場合の条件は次の項で扱います。
派生データベースとその成果物の公開利用に伴う共有継承
共有継承(Share-Alike)が及ぶのは、OSMデータを修正・拡張した派生データベース(Derivative Database)を公開利用する場合と、その派生データベースから作った成果物を公開利用する場合です。自社で道路データに独自の属性を書き足し、そのデータベースを顧客に配布するなら、そのデータベースはODbLで提供しなければなりません。公開利用する場合は、派生データベース全体か、元データとの差分(追加した内容や変更方法)を機械可読な形式で提供すると申し出る義務もあります(ODbL 4.6)。
逆に、OSMデータと独立した自社データを並べて使うだけなら集合データベース(Collective Database)として扱われ、自社データにODbLは及びません。社内利用だけで外部に公開(Public Use)しない場合は、何も共有する必要がありません。どちらに当たるか迷う構成は、OSMFの「Horizontal Layers」「Regional Cuts」「Collective Database」の各ガイドラインにある事例で判定してください。
2012年9月12日にCC BY-SA 2.0からODbLへ移行した経緯
OSMは当初CC BY-SA 2.0を使っていましたが、2012年9月12日にODbLへ切り替えました。CCライセンスは著作物向けで、事実の集まりであるデータベースの権利を扱いきれないという問題があったためです。現行のデータを使う限り、ODbLだけを見れば足ります。CCライセンス自体の条件はクリエイティブ・コモンズの6種類の違いと表示方法で扱っています。
公式サーバのAPIと利用上限、表示・検索・抽出・編集で使い分け
OSMを使う際に区別したい代表的なサービスは、タイル配信・Nominatim・Overpass API・編集APIの4種類です。Overpassの公開インスタンスはOSMFの公式サーバとは運営主体が異なります。いずれも寄付とスポンサーで運営され、SLAはありません。
| サービス | 用途 | 公式サーバの主な上限・条件 |
|---|---|---|
| tile.openstreetmap.org | 地図の表示 | アプリ識別、HTTPヘッダーに従うキャッシュ |
| Nominatim | 住所・地名検索 | 最大1リクエスト/秒 |
| Overpass API | 条件を指定した抽出 | 1日1万クエリ・1GB未満が目安 |
| API v0.6 | データの編集 | 読み取り目的の利用は不可 |
tile.openstreetmap.orgのアプリ識別とキャッシュ要件
Tile Usage Policyで「しなければならない」とされているのは、正しいURL(https://tile.openstreetmap.org/{z}/{x}/{y}.png)を使うこと、アプリを識別できるUser-Agentを送ること、Webページからは正しいRefererを送ること、キャッシュヘッダーに従う(読めないなら最低7日保持する)ことです。
禁止事項には、タイルの一括ダウンロード、「オフライン用に地域を保存」機能の提供、python-requestsやokhttpなどライブラリ既定のUser-Agentのままでのアクセスが含まれます。2026年10月時点のポリシーは、既定でCache-Control: no-cacheなどを送ること、Refererが送られなくなる厳しいReferrer-Policyを設定すること、http://のURLを使うことも禁止事項に挙げています。ブラウザで普通に地図を見せるだけなら既定の設定で技術要件は満たされますが、サイト全体にReferrer-Policy: no-referrerを付けている場合や、タイルを自社のプロキシ・CDN経由で中継してRefererを落としている場合は、遮断の対象になります。
2025年7月22日には、OSMFのサーバでベクタタイルの配信も始まりました。vector.openstreetmap.orgから配信され、スキーマはShortbreadです。ベクタタイルにも別の利用ポリシーがあり、User-Agentの要件はラスタタイルと同じです。
住所検索のNominatimは最大1リクエスト/秒、オートコンプリートは禁止
Nominatimは住所や地名から座標を返すジオコーディングのサービスです。条件はNominatim Usage Policyにまとまっています。公式サーバの上限は絶対値で1リクエスト/秒で、これはアプリの全ユーザーの合計に対して適用されます。一度きりの一括処理も、1スレッド・1台に限られ、1日以上続くスクリプトや定期実行は1分あたり4リクエストまでです。
入力途中で候補を出すオートコンプリート、格子状の逆ジオコーディングで地域の全POIを集める処理、ジオコーディング結果の再販は、利用停止の対象として明記されています。2026年9月時点のポリシーには、LLMがこのサービスを提案する場合は利用制限を明示すること、ノーコード・ローコード・バイブコーディング基盤が汎用の住所検索として組み込むことを禁じる条項も入っています。生成AIが書いたコードも、このポリシーの全条件を満たす必要があります。公式Nominatimを使ってよいのは、開発者が条件を理解したうえで意図して採用し、遵守に直接責任を負う場合に限られます。
条件検索のOverpass APIは1日1万クエリ・1GBが目安
Overpass APIは「この範囲のカフェ」「この路線の駅」のように条件を指定してOSMデータを読み出す、読み取り専用のAPIです。OSM wikiのOverpass APIの項によると、主インスタンス(FOSSGIS運営のoverpass-api.de)では、1日1万クエリ未満・ダウンロード1GB未満なら他の利用者を妨げないとされています。
2026年10月時点のwikiでは、これに「処理時間の合計が1日10分以内」という条件も加わっています。この数字は単発利用の目安で、定期的に叩く仕組みなら100分の1(1日100クエリ・10MB程度)に抑えるよう求められています。アプリやWebサイトでは、全ユーザーのリクエストの合計で数えます。商用利用は自前か有償のOverpassサーバを使うよう案内されており、複数スクリプトの並列実行も避けます。HTTP 429や406が返ったら30秒待ってから再送すること、lovable.appやnetlify.appのようなAI生成アプリの即時公開基盤から使わないことも明記されています。
編集API v0.6は編集専用、読み取り目的の大量取得は不可
api.openstreetmap.orgのAPI v0.6は、エディタがデータを書き込むためのAPIです。API利用ポリシーは「読み取り専用の目的やプロジェクトのためのものではない」と明記し、ダウンロードは最大2スレッドまでとしています。データを読むだけなら、Overpass APIかplanetファイルを使ってください。
PythonとLeafletでOpenStreetMapを使う実装例
Overpass APIとNominatimのPythonコードは、2026年10月12日にPython 3.9.6とrequests 2.32.5で実行し、出力を確認しています。Pythonの例ではアプリを識別するUser-Agentを設定しています。Leafletの例ではブラウザ既定のUser-Agentを使い、Webページから有効なRefererが送られる設定で利用します。issoh-osm-sampleの部分は自分のアプリ名と連絡先に置き換えてください。
Overpass APIで東京駅から半径500mのカフェを取得するコード
import time
import requests
QUERY = """
[out:json][timeout:25];
nwr["amenity"="cafe"](around:500,35.681236,139.767125);
out center 20;
"""
for attempt in range(3):
res = requests.post(
"https://overpass-api.de/api/interpreter",
data={"data": QUERY},
headers={"User-Agent": "issoh-osm-sample/1.0 (+https://www.issoh.co.jp/)"},
timeout=60,
)
if res.status_code not in (406, 429, 504) or attempt == 2:
break
print("HTTP", res.status_code, "30秒待って再試行")
time.sleep(30)
res.raise_for_status()
for el in res.json()["elements"]:
lat = el["lat"] if "lat" in el else el["center"]["lat"]
lon = el["lon"] if "lon" in el else el["center"]["lon"]
print(el["type"], el["id"], el["tags"].get("name", "(名称なし)"), lat, lon)
nwrはノード・ウェイ・リレーションの3種類をまとめて検索する指定で、around:500が半径500mです。建物として描かれたカフェはウェイになり緯度経度を持たないため、out centerで中心点を出させています。公開サーバが混雑しているときは504、上限を超えたときは429が返るため、406・429・504では30秒間隔で最大2回再送し、初回を含めて最大3回送信します。3回目も失敗したら待たずにraise_for_status()で例外にします。実行結果の先頭は次のとおりでした。この例はout center 20で出力を最大20件に絞っており、半径500m以内の全カフェを列挙するものではありません。店舗名や件数はOSMデータの更新で変わります。
node 1423728707 サンマルクカフェ 35.6793997 139.7720539
node 1482906583 エクセルシオール カフェ 35.682797 139.770884
node 1896499019 上島珈琲店 35.683026 139.7717219
node 2077116933 ease 35.68078 139.763644
2026年10月12日の実行では、1回目の送信が504(Gateway Timeout)で失敗し、30秒後の再送で上の結果が返りました。約10分後には3回続けて504になり例外で終わり、さらに1分後には初回で成功しました。公開インスタンスは混み合うことが前提なので、再送処理のないコードを定期実行に載せないでください。条件の試行錯誤はブラウザ上のoverpass turboで済ませ、固まったクエリだけをコードに移します。
Nominatimの地名検索コードと単発・逐次実行の待機設定
import time
import requests
HEADERS = {"User-Agent": "issoh-osm-sample/1.0 (+https://www.issoh.co.jp/)"}
def geocode(q):
res = requests.get(
"https://nominatim.openstreetmap.org/search",
params={"q": q, "format": "jsonv2", "limit": 1, "countrycodes": "jp"},
headers=HEADERS,
timeout=30,
)
res.raise_for_status()
time.sleep(1) # 公式サーバは最大1リクエスト/秒
hits = res.json()
return (hits[0]["lat"], hits[0]["lon"], hits[0]["display_name"]) if hits else None
print(geocode("東京駅"))
実行すると('35.6818017', '139.7649810', '東京駅(改札外), 丸の内一丁目, 丸の内, 千代田区, 東京都, 100-0005, 日本')が返りました。time.sleep(1)は、同じ処理をループで回したときに1リクエスト/秒を超えないための待機です。この例は単発実行用で、キャッシュは実装していません。繰り返し使う場合は結果を保存して同じ住所の再問い合わせを避け、定期実行や1日を超える処理では毎分4件以下に制限してください。日本の住所を番地まで大量に座標化したい場合は、OSMより公的な住所データが向きます。その方法はGISデータの形式・座標系・取り込み設計のジオコーディングの章で説明しています。
LeafletでOSMのタイルを表示するHTML、帰属表示込みの最小構成
<link rel="stylesheet" href="https://unpkg.com/[email protected]/dist/leaflet.css">
<script src="https://unpkg.com/[email protected]/dist/leaflet.js"></script>
<div id="map" style="height: 400px;"></div>
<script>
const map = L.map("map").setView([35.681236, 139.767125], 16);
L.tileLayer("https://tile.openstreetmap.org/{z}/{x}/{y}.png", {
maxZoom: 19,
attribution: '© <a href="https://www.openstreetmap.org/copyright">OpenStreetMap</a> contributors',
}).addTo(map);
</script>
Leafletの安定版は2023年5月公開の1.9.4で、2026年10月時点も更新されていません(2.0は2025年8月公開のアルファ版のまま)。attributionに著作権ページへのリンクを入れておけば、地図右下に帰属表示が出ます。MapLibreなど他のライブラリとの比較やベクタタイルへの移行はWeb GISのタイル配信とライブラリ選定を参照してください。
データをまとめて取得する方法、planetの89GBとGeofabrikの地域抽出
APIで少しずつ取るより、データを丸ごと落としたほうが速く、公式サーバにも負担をかけません。取得元は規模で選びます。
- planet.openstreetmap.org:全世界のデータ。週次更新で、PBF形式が約89GB、圧縮XML形式が約167GB(2026年10月時点)。差分ファイルで分単位の同期もできます。
- Geofabrik:国・地域ごとの抽出。日本全体の
japan-latest.osm.pbfは約2.5GB(2026年10月12日更新分で2,549,958,886バイト)で、地方単位のファイルも用意されています。 - Overpass API:市区町村程度の範囲で、特定のタグだけが欲しいとき。
PBFファイルをPostGISへ取り込むにはosm2pgsqlを使います。osmium(Osmium Tool)は、取り込み前の範囲の切り出しやタグでの絞り込みに使うファイル処理ツールです。取り込んだデータからベクタタイルを作る手順はDuckDBを使ったMVT生成で、地点データを六角形のセルで集計する方法はH3インデックスの解像度と実装で紹介しています。
QGISでOpenStreetMapを使う、背景地図・.osm読み込み・QuickOSM
GISソフトで扱うなら、QGISだけでOSMの表示から抽出まで完結します。QGISの公式マニュアルによると、QGISには最初から「OpenStreetMap」のXYZタイルが登録されています。ブラウザパネルの「XYZ Tiles」から背景地図として追加できます。このタイルもtile.openstreetmap.orgの利用ポリシーの対象で、広い範囲を高いズームで一度に書き出す操作は、ポリシーが禁じる一括取得に当たりえます。
openstreetmap.orgの「エクスポート」で落とした.osmファイルは、ブラウザパネルからそのまま開けます。開くと点・線・面などのジオメトリ種別ごとにサブレイヤーを選ぶ画面が出ます。タグで絞って取得したい場合は、プラグインのQuickOSMを入れます。QuickOSMは内部でOverpass APIを使うため、前述のOverpassの上限がそのまま適用されます。最新安定版は2026年10月6日公開の2.5.4で、QGIS 3.40以上が対象です。
都道府県より広い範囲はGeofabrikのファイルが向いています。関東・近畿など8地方のページでは、PBFに加えてShapefile(.shp.zip)とGeoPackage(.gpkg.zip)の最新版も配布されていて、変換せずにQGISで開けます。日本全体の最新版Shapefileは配布されていないので、全国を扱うならPBFを使います。
地図の編集に参加する手順、iDエディタとJOSMの使い分け
編集にはopenstreetmap.orgのアカウントが必要です。登録後、地図を編集したい場所まで拡大して「編集」を押すと、ブラウザ上で動く標準エディタのiDが開きます。店舗の追加や道路名の修正といった小さな編集はiDで十分です。
広い範囲をまとめて直す、プラグインで検証する、といった作業にはデスクトップ版のJOSMを使います。公式のダウンロードページはJava 11でも動くとしつつ、その時点のJavaのLTS(2026年10月時点ではJava 25)を推奨しています。
編集で特に避けるべきなのは、許諾のない他社データの転載です。Googleマップなど他社の地図・航空写真・ストリートビューを見て書き写してはいけません。OSMのwikiは、ほとんどの地図はOSMへのデータの基にできないと明記しています。現地調査や利用許諾のある航空写真に加え、OSMのライセンスと互換性が確認できた公開データも利用できます。外部データをインポートする場合は、Import Guidelinesにも従ってください。
OpenStreetMapを採用すべきでない場面、公式サーバ依存とデータの粒度
採用判断では、データのライセンスに加えて、公開サーバの利用条件と必要な可用性を確認してください。次の条件に当てはまるなら、構成を見直してください。
- 有料顧客向けサービスを公式タイル・公式Nominatimだけで動かす:どちらもSLAがなく、ポリシーは「予告なく遮断することがある」「有料顧客に提供できなくなりうる」と明記しています。OSMベースのタイルを提供する事業者と契約するか、自前でタイルサーバを立ててください。
- ジオコーディングが主機能のサービス:配送追跡のような用途は、公式Nominatimではなく自前のインスタンスが必要です。
- オフライン地図を公式タイルで作る:禁止されています。Geofabrikの抽出から自前でタイルを作るか、オフライン利用を認める事業者を使います。
- 全国の住所を番地単位で網羅したい:OSMの収録状況は地域差が大きく、網羅性の保証はありません。
社内の分析、PoC、アクセスの少ない自社サイトへの埋め込みなら、公式サーバをポリシーどおりに使えます。自前のタイルサーバやNominatimを既存の業務システムとつなぐ場合は、呼び出し回数・キャッシュ・障害時の切り替え先を先に決めてください。こうした連携の設計は、株式会社一創のAPI開発・システム連携でも対応しています。
よくある質問
OpenStreetMapは無料で使えますか?
データは無料で、商用利用も含めて料金はかかりません。ただし、tile.openstreetmap.orgやNominatimなどの公式サーバは寄付で運営される共有資源で、利用量に上限があります。アクセスの多いサービスでは、有償のタイル提供事業者や自前のサーバを使うのが前提です。データ利用では帰属表示などの条件を守り、派生データベースやそれから作った成果物を公開利用する場合は、共有継承と元データの提供条件も確認してください。
OpenStreetMapの地図を資料や印刷物に載せるときのクレジット表記は?
「© OpenStreetMap contributors」と表記します。印刷物では地図の脇、脚注、謝辞のいずれか、他のクレジットと同じ場所に載せます。リンクを張れない媒体では、ライセンスが分かるようopenstreetmap.org/copyrightのURLを文字で添えます。同じ文書に地図画像が複数ある場合、表示は1か所で足ります。地物が100個未満、または1万平方メートル未満の範囲を切り出した静的画像は、表示が不要とされています。
OpenStreetMapの地図をWebサイトに埋め込むにはどうすればよいですか?
openstreetmap.orgで載せたい範囲を表示し、右側の共有ボタンから「HTML」を選ぶと、iframeのコードが出ます。それを自社ページに貼るのが最も手軽な方法です。マーカーを付けることもできます。iframeの地図でも移動や拡大縮小はできます。自前のデータを重ねたい、操作に独自の機能を足したい場合は、Leafletなどのライブラリでタイルを読み込み、帰属表示を常に見える位置に出してください。
OpenStreetMapの精度はどのくらいですか?
公式な精度保証はありません。位置の正確さ、建物・住所の収録率、更新状況は別々に確認してください。細かく描かれている地域でも、対象業務に必要な住所や属性がそろっているとは限りません。業務で使う前に、対象地域をopenstreetmap.orgで確認し、必要なら国土地理院などの公的データと重ねて差を見てください。
OpenStreetMapをオフラインで使えますか?
データはダウンロードできるので、オフラインでも使えます。ただし、公式タイルサーバからタイルを先読みして保存することは禁止されています。オフライン地図が必要なら、Geofabrikなどの抽出データから自分でタイルを作るか、オフライン利用を認めている事業者のタイルを使ってください。
地図の間違いを見つけたらどうすればよいですか?
アカウントがあれば自分で直せます。編集に慣れていなければ、openstreetmap.orgの地図上で「メモ(Notes)」を残すと、地域の参加者に問題を知らせられます。確認や修正の時期は保証されません。報告の入口はopenstreetmap.org/fixthemapにまとまっています。