ZENRIN Maps APIは、ゼンリンの地図・住宅地図データをWebサイトや業務システムに組み込むための開発ツールです。データとAPIの提供元は株式会社ゼンリン、販売・契約・トライアルの窓口はゼンリンデータコムです。検討の最初に突き当たるのは「いくらかかるのか」「無料で使えるのか」で、答えは「初期費用36万円+月額6万円から(税別)、恒常の無料枠は無く、2か月の無料トライアルだけがある」です。この記事では、公式の製品ページ・ディベロッパーズサイト・利用条件の記述を根拠に、料金の数え方、使えるAPI、契約前に知っておくべき制約、Google Maps PlatformやMapboxとの選び分けを整理します。
まとめ:ZENRIN Maps APIの費用と向き不向き
- 料金は初期費用36万円(税別)+月額6万円(税別)から。PV数に応じた従量課金と、住宅地図など一部機能のライセンス課金の組み合わせで、PV単価は非公開=見積りが必要。
- PVの数え方は公開されている。Web APIは1リクエスト1PV、JavaScriptの地図は「ローダーの読み込み1回で1PV」で、スクロールや縮尺変更は数えない。WMTSの画像タイルは1リクエスト0.1PV。
- 恒常の無料プランは無い。あるのは2か月の無料トライアル(機能によっては1か月)と、課金対象外の検証環境だけ。
- 選定の軸は住宅地図や建物情報などの業務要件。住宅地図(1994年以降の過去地図)、ブルーマップ(地番)、路線価・地価公示・用途地域の重畳、建物ID(ZID)、建物の到着地点・出入口。これらが要らないなら費用対効果は成り立ちにくい。
- AI学習や他の地図づくりには使えない。2025年4月1日改訂の利用条件で、AIモデルの学習・生成AIでの成果物作成と、OSMを含む他の地図の精度向上への利用が禁止されている。
料金体系と「無料プラン」の実際
初期費用・月額・課金方式
ゼンリンデータコムの公式FAQが示す価格は、初期費用36万円(税別)、月額利用料6万円(税別)からです。料金体系は「PV数に応じた従量課金と、住宅地図など一部の機能についてはライセンス課金」で、住宅地図の価格はエリアや条件ごとの個別見積りです。契約は2区分あり、名称と中身はディベロッパーズサイトのサービス詳細で定義されています。
| 契約区分 | 課金の考え方 | 主な対象 |
|---|---|---|
| スタンダード契約 | PV数に応じた従量料金 | 地図表示・検索・ルートの標準機能 |
| プレミアム契約 | 機能ごとに価格が異なる | 住宅地図・過去地図・地番・VICSなど |
プレミアム契約はスタンダード契約に付けるオプションの位置付けですが、単独でも契約できます。PVあたりの単価、プレミアム機能の個別価格、APIごとの上限値はどれも公開されていません。月額6万円は下限であり、住宅地図の料金は利用エリアや条件によって個別に見積もられます。
操作別のPVカウントと課金対象
単価は非公開でも、何を1PVと数えるかはサービス詳細ページに書かれています。見積りの前に、画面表示や検索操作を公式のPVカウント規則に対応付けておくと、利用量を試算できます。
| 操作 | カウント |
|---|---|
| Web APIの呼び出し | 1リクエスト=1PV |
| JavaScript APIの地図表示 | ローダー読み込み1回=1PV |
| 表示中の地図のスクロール・縮尺変更 | 数えない |
| ローダーのダウンロード失敗 | 数えない |
| 画像出力(WMTS) | 1リクエスト=0.1PV |
| 住所クレンジング(標準) | 処理した住所1件=1PV |
| ZID検索(存在チェック) | 処理したZID1件=1PV |
もう1つ見落としやすいのが、住宅地図を契約した場合の扱いです。サービス詳細の注記では、地図・図形描画、地図画像出力、幾何計算、住所検索、建物・施設検索、駅・路線検索、郵便番号検索、標高・水深情報検索の8機能は、住宅地図の契約があれば「PV従量課金なしで」使えるとされています。住宅地図が要件に入る案件では、この8機能のPVを見積りから外せるか営業担当に確認してください。
見積り前に月間PVを試算する手順
営業担当に概算を頼むとき、「想定PV」を求められます。上のカウント規則を使えば、単価を知らなくてもPVの見込みは自社で出せます。たとえば店舗検索ページを想定すると、次のように積み上げます。
| 項目 | 前提 | 月間PV |
|---|---|---|
| 地図の表示 | ページ表示3万回×ローダー1回 | 30,000 |
| 住所検索 | ページ表示3万回×平均1.5リクエスト | 45,000 |
| 地図の操作 | スクロール・ズーム | 0 |
| 合計 | 75,000 |
ここで判断が分かれるのは描画方式です。JavaScript APIなら1表示1PVで済みますが、WMTSの画像タイルを自前の地図ライブラリーで並べる構成では、1画面に20枚のタイルを取れば20×0.1=2PVになり、スクロールのたびに追加のタイル取得が発生します。スクロールが多い画面ではJavaScript APIのほうがPVを読みやすく、タイルを使うならキャッシュの可否を利用条件と照らして先に確かめる、というのが試算から出る結論です。
無料利用の範囲:トライアル期間と検証環境の制限
「ゼンリン api 無料」への答えは、恒常の無料枠は無い、です。製品ページにある無料の選択肢は、お試しIDによる2か月の無料トライアル(注記で「機能によっては1ヶ月」)です。導入フローの記載は「約1~2ヶ月間」で、トライアル後に契約すると課金が始まります。
課金の境目は環境で決まります。公式FAQは、検証環境は開発・検証段階で接続するサーバーで課金対象外、本番環境は運用段階で接続するサーバーで課金対象、と説明しています。ただし検証環境は機能の先行版や地図データ更新版の動作確認用で、リクエスト制限のページには「処理容量・処理速度の検証にはお使い頂く事はできません」とあります。負荷試験を無料の検証環境で済ませる計画は立てられません。
オンラインでクレジットカードを登録してすぐ使い始める導線も無いため、個人開発や、契約前に短期間でプロトタイプを作って判断したい用途には向いていません。
契約前に確認すべき利用条件の制約
料金と並んで計画を左右するのがZENRIN Maps API利用条件です。2023年8月1日に制定され、2025年4月1日に改訂されました。AI学習や他の地図の作成など、利用条件で禁止される用途があるため、企画段階で利用目的との適合を確認します。
AI学習・生成AI利用と他の地図作成の禁止
本番環境の遵守事項(第8条)は、本サービスを「AIモデル又は機械学習アルゴリズムの開発、学習、改良又はこれに関連する目的に利用しないこと」と定め、生成AIサービス等で画像・テキストなどの成果を作るための利用も禁じています(ディベロッパーズサイトで公開された仕様書は対象外)。さらに、OSSの地図や自社の独自地図を含む他の地図の精度向上や、新しい地図・地図関連データの作成のために参照・利用することも禁止です。
実務への影響ははっきりしています。住所クレンジングの結果を学習データにしてジオコーディングモデルを作る、APIで取った建物情報をLLMに渡して要約を生成させる、OpenStreetMapの建物データを補正する、といった使い方は契約の範囲外です。AI機能を前提にした企画なら、ゼンリンとの個別協議か別のデータ源が要ります。
保存できるデータと複製の範囲
APIの応答を自社DBに溜めてよいかは、データの種類で決まります。利用条件で端末への格納が認められているのは、ZIDと「保存可能データ」です。保存可能データはディベロッパーズサイトで指定されたAPI(住所クレンジング、住所マッチング、建物ターゲティング、ZID検索などデータコーディング系)の応答で、しかも対象サービスが「社内ネットワーク上でのみ利用されるシステムの場合に限り」保存できます。一般公開するWebサービスで地図データや検索結果をキャッシュして使い回す設計は、この条件に合いません。
印刷や複製は契約で定めた範囲に限られ、利用条件ではA3以下、出力端末を保有する部署での業務利用、PDFの加工・他システムへの取り込み禁止などの制約があります。日本国外に公開するWebサイトや、国外の不特定多数に提供するアプリに、住宅地図の居住者氏名を配信するAPIを組み込むことも禁止されています。国外から利用する場合は、個人情報保護法の趣旨に沿った保護措置の体制整備も求められます。
日本固有データを引くAPIの機能
ZENRIN Maps APIは、ブラウザで地図を描くJavaScript API、サーバーから呼ぶWeb API、スマートフォン向けライブラリー(位置測位・ジオフェンス)で構成されます。Web APIはマップ/サーチ/ルート/データコーディング/ホスティングに分かれ、APIごとの仕様はWeb APIリファレンスに一覧があります。
マップ:住宅地図・ブルーマップ・行政データの重畳
地図画像出力・WMTSのほか、面積計算、距離計算、座標変換、平面直角座標系の系番号取得がそろいます。特徴的なのはWMSによるデータ重畳で、ブルーマップ、登記所備付地図、用途地域、地価公示、地価調査、相続税路線価、固定資産税路線価、小学校区、中学校区、人口集中地区の10種を地図に重ねられます。不動産・金融の業務でそのまま要件になる情報を、APIから直接引ける点が他社との差です。
住宅地図はJavaScript API側で、契約時に払い出されるマップタイプを zipsMapType に指定して描画します。過去の住宅地図を出すときは、過去地図管理情報検索で得た年度を zipsEdition に、自治体を zipsMunicipalCode に指定します。過去地図は1994年以降が対象で、同じ区画の時系列比較ができますが、プレミアム契約が前提です。
サーチ:ジオコーディングと建物・企業情報の検索
住所検索は、住所文字列から座標を得るジオコーディング、緯度経度から住所を返す逆引き、半径指定の範囲検索、行政界ポリゴンの取得を1本のAPIで扱います。住所検索のリファレンスでは、範囲検索の半径上限は20,000m(2026年9月15日に5,000mから引き上げ)、取得件数は1回あたり最大1,000件です。
ほかに建物・テナントの名称検索と座標検索、地番検索、施設検索、駅・路線検索、郵便番号検索、標高・水深情報検索、交差点検索があります。実務で効くのは建物到着地点検索と建物出入口地点検索で、建物の代表点ではなく車が着ける地点や出入口の座標を返すため、配送で「荷捌き口が反対側だった」という損失を減らせます。企業情報検索はタウンページ由来の約1,900業種のデータを引けます。郵便番号やデジタルアドレスから住所を引くだけなら、日本郵便の無料APIも候補です。ただし、任意の住所文字列の表記ゆれを補正する住所クレンジングとは入力も処理範囲も違うので、代わりにはなりません。
ルート:最適巡回・VICS・マップマッチング
自動車ルート検索2.0は大型車規制などを加味でき、複数地点を最適な順番で回る最適巡回ルートも返します。2025年9月からETC料金を加味した応答に対応し、2026年3月25日にはVICS地図重畳データ取得とマルチモーダル検索(鉄道・バスを組み合わせた経路)が追加されました。ルート検索でVICS情報を使うためのパラメータは別途契約が必要で、標準契約のままでは渋滞を考慮した経路は取れません。
GPSの点列を道路に合わせ込むマップマッチングと周辺道路リンク検索は2026年1月28日に公開され、8月26日には周辺道路リンク検索(高機能)とADAS情報の出力(別途契約)が加わりました。車両の走行ログを道路単位で分析する用途が、この1年で厚くなった領域です。
気象・防災APIの取得対象:天気・警報・地震・台風・津波
気象コンテンツ検索は天気・詳細天気・週間天気予報に加え、警報注意報と土砂災害警戒情報、地震、台風、津波の情報を返します。防災アプリや自治体向けシステムで、地図と災害情報を1つの契約にまとめられる点は見落とされがちです。
データコーディングとホスティング:住所クレンジングと建物ID(ZID)
データコーディングは、手元の住所データを地図と突き合わせるためのカテゴリです。住所クレンジング(標準・高機能)、住所と地番の相互変換、地番クレンジング、建物ターゲティング、ZID検索があり、2026年8月26日に住所マッチングが加わりました。ZIDは地物や建物内のテナントごとに付いたゼンリン独自のIDで、公式FAQは「住所変更や名称変更があっても継続的にデータを追跡できます」と説明しています。顧客マスタと物件データの突き合わせで住所の表記ゆれに苦しんでいるなら、ここが導入効果の出どころです。
ホスティングは位置情報の登録、最新位置と履歴の検索、ジオフェンス用エリアの登録・更新・削除を提供し、スマートフォン向けの位置測位・ジオフェンスライブラリーと組み合わせて使います。
地図の傾斜・回転と3D建物モデルの違い
JavaScript APIの地図オプションには tiltable(既定はfalse)、tilt(真下を0として0〜80度)、rotatable、heading(0〜360度)があり、setTilt() で傾けた見え方の地図を作れます。一方、ビルの高さや形状を持つ3D建物モデルは、ゼンリンが別に販売する3D地図データの領域で、ZENRIN Maps APIのラインナップとしては公式に確認できません。VRやARで建物モデルが要るなら、Maps APIとは別の商談になります。
実装:認証とWeb API・JavaScript APIの呼び出し
3種類の認証方式とリクエストヘッダー
認証方式は接続元IPアドレス制限、接続元リファラ制限、OAuth2.0の3つで、Web APIの利用手順に送るヘッダーが定められています。APIキーと認証方式の設定は、コンソールの「チャネル設定」で行います。
| 方式 | リクエストヘッダー | 向く構成 |
|---|---|---|
| IPアドレス制限 | x-api-key と Authorization:ip | 固定IPのサーバー |
| リファラ制限 | x-api-key と Authorization:referer | ブラウザからの地図表示 |
| OAuth2.0 | x-api-key と Authorization:Bearer トークン | サーバー間連携 |
OAuth2.0トークン取得時のBasic認証ヘッダー
OAuth2.0では、トークン取得APIに対し、client_id と client_secret を「client_id:client_secret」の形でBase64エンコードして Authorization: Basic ヘッダーに入れ、本文には grant_type=client_credentials だけを送ります。client_id と client_secret を本文のパラメータで送る書き方はリファレンスに準拠しておらず、公式のお知らせ(2025年6月6日)は、非準拠形式でのトークン取得を2025年7月31日を目途にできなくすると告知しています。古いサンプルを流用するときはここを必ず直してください。
# トークン取得(-u は client_id:client_secret をBase64にしてBasic認証ヘッダーを付ける)
# 接続先ドメインは他のAPIと異なる。API動作環境のページで確認
curl -X POST "https://{TOKEN_DOMAIN}/oauth2/token" \
-u "$CLIENT_ID:$CLIENT_SECRET" \
-H "Content-Type: application/x-www-form-urlencoded" \
-d "grant_type=client_credentials"
# 応答例 {"access_token":"...","token_type":"Bearer","expires_in":3600}
# 上の応答の access_token を ACCESS_TOKEN に設定してから実行
# 住所検索(ジオコーディング)
curl -G "https://{API_DOMAIN}/search/address" \
-H "x-api-key: $API_KEY" \
-H "Authorization: Bearer $ACCESS_TOKEN" \
--data-urlencode "word=東京都千代田区丸の内1丁目" \
--data-urlencode "limit=0,10"
トークンの有効期間は応答の expires_in(秒)で返り、リファレンスは期限が切れるまで再利用する想定と書いています。リクエストごとに取り直す実装はPVとレート制限を無駄にします。また、OAuth2.0はマシン間の認証なので、client_secret をスマートフォンアプリなど第三者に解析されうる端末へ埋め込むことは推奨されていません。サーバー側で定期的にトークンを更新し、アプリには有効なトークンだけを返す構成にしてください。不正利用の早期発見のため、コンソールで利用PV数を定期的に見ることも推奨されています。
ZMALoaderによる地図描画とTypeScript型定義
JavaScript APIはローダースクリプトを読み込み、ZMALoader.setOnLoad() のコールバック内で ZDC 名前空間の地図を生成します。JavaScript APIの利用手順のサンプルを要約すると次のとおりです。この読み込み1回が1PVになります。
<script src="https://{DOMAIN}/zma_loader.js?key=[APIキー]&auth=referer"></script>
<div id="ZMap" style="width:100%;height:400px;"></div>
<script>
ZMALoader.setOnLoad(function (mapOptions, error) {
if (error) { console.error(error); return; }
mapOptions.center = new ZDC.LatLng(35.681406, 139.767132); // 東京駅
mapOptions.tiltable = true;
var map = new ZDC.Map(
document.getElementById("ZMap"),
mapOptions,
function () {
map.addControl(new ZDC.ZoomButton("top-left"));
map.setTilt(45);
},
function () { console.error("map init failed"); }
);
});
</script>
2026年6月30日からは公式のTypeScript型定義ファイルが配布されており、利用手順ページから取得して tsconfig.json の include に加えれば型補完が効きます。マーカーの重畳数に固定の上限はありませんが、ディベロッパーズサイトのFAQは約1,000件前後を超えると表示や操作性に影響が出る可能性があるとしており、件数の多い画面ではマーカークラスタを使います。
レート制限の確認とHTTP 429・503への対応
レート制限は、チャネル単位・API機能ごとの「1秒あたりのリクエスト数」として設定され、上限値は営業担当への問い合わせです。超過分にはHTTP 429が返りますが、リソースの状況によっては制限値内でも503が返る場合があると明記されています。制限値は定期的に見直されるとも書かれています。
したがって、429だけでなく503も再試行の対象にして指数バックオフを入れ、「1秒N件までなら安全」と定数で決め打ちしないことです。利用手順には、並列リクエストや重複した連続リクエストを控えること、応答サイズを10MB以内に収めること、リクエストURLは8190バイトまで、証明書のピンニングはしないこと、という注意もあります。大量の住所をジオコーディングするバッチは、キューで平準化して直列に流す設計にします。
Google Maps Platform・Mapboxとの比較と選び分け
料金モデルの比較:初期費用・無料枠・課金方式
比較の前に、Google側の料金が変わった点を押さえてください。Google Maps Platformは2025年3月1日に月200ドルのクレジットを廃止し、SKUごとの月次無料枠に切り替えました。公式FAQによれば、ほとんどのSKUで無料枠はEssentialsが月10,000回、Proが5,000回、Enterpriseが1,000回です。単価は料金表に公開されており、地図表示のDynamic Maps(Maps JavaScript API)は10,000回を超えた分が1,000回あたり7.00ドル、Geocodingは5.00ドルです(月10万回までの帯。量が増えるほど下がる)。ゼンリンデータコム自身の比較コラムにもまだ「毎月200ドルの無償枠」と書かれている箇所があり、比較記事を読むときは日付に注意が要ります。
| 観点 | ZENRIN Maps API | Google Maps Platform | Mapbox |
|---|---|---|---|
| 開始方法 | 問い合わせ・契約 | オンラインで即時 | オンラインで即時 |
| 初期費用 | 36万円(税別) | なし | なし |
| 月額 | 6万円(税別)から | 従量/月額プラン | 従量課金が基本 |
| 恒常の無料枠 | なし | SKU別(無料上限なしのものもあり) | Web地図は月50,000回 |
| 単価の公開 | 非公開 | SKUごとに公開 | 公開 |
| 固有の強み | 住宅地図・地番・路線価・ZID | 世界規模・あいまい検索 | 地図デザインの自由度 |
MapboxとZENRINの関係
Mapboxとゼンリンは、地図APIの提供分野で競合すると同時に、地図データの提供や共同開発で協業しています。Mapboxは2019年7月18日に、日本向けサービスの地図データを強化するためゼンリンとの提携を発表し、2021年7月14日にはマップボックス・ジャパンとゼンリンが共同ソリューションの開発に向けたパートナーシップを結んでいます。現行のMapbox Streets v8のリファレンスも、データ源として「data vendors such as Zenrin (in Japan)」を挙げています。
つまりMapboxで日本の地図を表示すると、背景地図の一部にゼンリンのデータが使われます。ただしMapboxで引けるのは背景地図としてのデータで、住宅地図の表札、ブルーマップの地番、路線価の重畳、ZIDのようなZENRIN Maps API固有の業務データではありません。料金面では、Mapbox GL JSのWeb地図読み込みは公開料金表で月50,000回まで無料です(支払い方法を登録しない簡易登録では月5,000回まで)。「ゼンリン品質の背景地図をデザインを作り込んで表示したい」だけならMapbox、「建物や地番の業務データを引きたい」ならZENRIN Maps API、という切り分けになります。
Googleとゼンリングループの取引関係と販売支援
2019年3月にGoogleマップ日本版の地図データが刷新され、著作権表記から「ZENRIN」が消えたことで、両社は決別したという理解が広まりました。契約の詳細は公表されていませんが、ゼンリンは2019年度第2四半期の決算説明会の質疑応答で、Googleの件が下期業績に影響すると認めたうえで「全く取引がなくなったということではなく、コンテンツの提案は続ける」と答えています。そして現在、ゼンリンデータコムはGoogle Maps Platformの販売代理店として料金ページを公開し、導入支援を行っています。同社の比較コラムは、代理店経由で請求書払いができること(Googleとの直接契約でも、審査を経た請求書払いの制度があります)、Google Maps PlatformとZENRIN Maps APIを併用する構成も提案できることを書いています。問い合わせた先が要件次第でGoogleを勧めてくる関係なので、二者択一の対立軸で捉えると判断を誤ります。
ZENRIN Maps APIを選ぶべきでない場面
次のどれかに当てはまるなら、ZENRIN Maps APIは選ぶべきではありません。
- 要件が一般的な地図表示と検索だけで、利用量も他社の無料枠に収まる:住宅地図・ブルーマップ・路線価・過去地図・ZID、大型車規制を考慮したルート検索のどれも要らないなら、初期36万円+月額6万円を払う理由がありません。Google Maps PlatformやOSM系から比較してください。
- 地図データや検索結果をAIの学習・生成に使う:利用条件で禁止されており、契約の範囲に収まりません。
- 国外に公開し、住宅地図の居住者氏名を配信したいサービス:利用条件で禁止されています。国外で利用する場合は、個人情報保護法の趣旨に沿った保護措置の体制も整える必要があり、整えられないなら選べません。
- PV規模が読めない一般消費者向けの新規サービス:単価非公開の従量課金と月額固定の組み合わせでは、アクセスが急増したときの費用の上限が見えません。
無料・低コストで地図APIを使いたい場合の選択肢
「地図 api 無料」の答えを先に書くと、データを無償で商用利用できる選択肢の一つがOpenStreetMap系です。国内向けなら、国土地理院の地理院タイルも、Webサイトやアプリでリアルタイムに読み込む使い方なら出典の明示だけで申請不要で使えます。ただし「無料」の意味はサービスごとに違います。
| 選択肢 | コスト | 向く用途 |
|---|---|---|
| OpenStreetMap | データは無償(ODbL) | 自前配信で費用の上限を握る |
| Google Maps Platform | SKUごとの月次無料枠+従量 | 世界規模・小さく即開始 |
| Mapbox | 無料枠+従量 | デザインを作り込むWeb地図 |
| Amazon Location Service | 従量(AWSに統合) | AWS上のシステムに組み込む |
| ZENRIN Maps API | 初期36万円+月額6万円から | 住宅地図・地番・路線価が要る業務 |
OSMのデータはODbLで無償ですが、OSM財団の公式タイルサーバーに頼った配信はタイル利用ポリシーの制約を受けます。条件の詳細はOpenStreetMap(OSM)とは?使い方・商用利用の条件・APIを公式ポリシーで解説にまとめています。実運用では、OSMのデータを使った第三者のタイル配信サービスを契約するか、自前で配信するかを選びます。ベクタタイルを自前で生成・配信する手順はDuckDBのST_AsMVTでベクタタイルを生成する手順が参考になります。AWSが前提ならAmazon Location Serviceとは?地図・検索・ルート・追跡の機能と料金・Google Mapsとの違い【2026】が候補です。無料に見えても、運用の手間という形で費用は発生します。
複数の地図APIや社内システムをつなぐ設計で迷っているなら、弊社のAPI開発・システム連携でも、要件の整理から実装まで支援しています。
ZENRIN Maps Studioとの違い
検索で「zenrin maps studio」と「ZENRIN Maps API」が混ざりますが、両者は別サービスです。ゼンリンのニュースリリースによると、ZENRIN Maps Studioは株式会社ゼンリンが2026年5月18日に提供を始めたセミオーダー型の業務支援クラウドで、地図情報の資産から業務に必要な機能・コンテンツを組み合わせて専用のアプリケーションを作る形態です。初期費用0円から、最短5営業日で導入でき、月額料金制です(具体的な月額は公表されていません)。
選び分けの軸は「自社システムに組み込むか、出来合いの業務アプリを使うか」です。自社のWebサービスや基幹システムの中に地図機能を部品として埋め込み、認証やレート制限まで自前で設計するならMaps API。地図を使う業務アプリそのものを短期間で立ち上げたいならStudioが候補です。Studioを契約すればMaps APIも使える、という関係は公式に書かれていないので、その前提で設計しないでください。
問い合わせから本番課金までの4ステップ
- ゼンリンデータコムに問い合わせる。ヒアリングで料金の見積りを含めた提案を受ける(オンラインのセルフ登録は無い)。
- 検証IDの発行を受ける。製品ページのフォームからも依頼できる。
- 約1〜2か月のトライアルで、自社の環境から返却データを確かめる(検証環境は課金対象外)。
- 契約し、課金が始まる。
トライアル中にやるべきことは2つで、上の手順で想定PVを試算することと、必要なプレミアム機能(住宅地図・過去地図・VICSなど)と利用目的を洗い出すことです。利用条件は「本利用目的」を申込書に書く前提で組まれているので、目的が固まらないと見積りも契約も進みません。地図データは地区ごとに調査時期が異なり、公式FAQから「調査地区一覧」で確かめられます。
よくある質問
ゼンリン地図APIの料金はいくらですか?
ZENRIN Maps APIは初期費用36万円(税別)、月額利用料6万円(税別)からです。料金体系にはPV数に応じた従量課金と、住宅地図など一部機能のライセンス課金がありますが、月額6万円に含まれる範囲と追加料金は見積りで確認します。PV単価と住宅地図の価格は公開されておらず、エリアや利用条件を伝えて個別に見積りを取ります。
ゼンリンの地図APIは無料で使えますか?
恒常の無料プランはありません。お試しIDによる2か月の無料トライアル(機能によっては1か月)と、課金対象外の検証環境が用意されているだけです。検証環境は性能試験には使えず、本番環境での運用は契約後に課金されます。
ゼンリン地図のライセンス料はAPIの料金に含まれますか?
ZENRIN Maps APIで使う範囲では、住宅地図などのライセンス課金がAPIの料金体系に含まれ、エリアと条件ごとに見積もられます。API経由で表示した地図の印刷・複製は、契約で定めた社内利用の範囲で認められています。APIを通さずにゼンリンの地図を印刷物などへ複製する場合は、ゼンリンへの別の利用手続きになります。
地図APIとは何ですか?
地図の表示、住所と緯度経度の変換(ジオコーディング)、ルート探索、施設検索といった機能を、自社のWebサイトやアプリから呼び出せるようにした外部サービスの窓口です。地図データの整備・更新を自社で抱えずに済むのが利点で、Google Maps Platform、ZENRIN Maps API、Mapbox、OpenStreetMap系のサービスが代表例です。
無料の地図APIはありますか?
データ自体が無償なのはOpenStreetMap(ODbL)です。ただしOSM財団のタイルサーバーに頼った配信はタイル利用ポリシーの制約を受けるため、本格的な運用では、必要な利用量や可用性に応じて第三者のタイル配信サービスまたは自前配信を検討します。Google Maps PlatformやMapboxも、無料枠の範囲なら費用はかかりません。
Google Maps APIは無料で使えますか?
2025年3月1日から、月200ドルのクレジットは廃止され、SKUごとの月次無料枠に変わりました。従量課金の多くのSKUでは、月次無料枠はEssentialsが10,000回、Proが5,000回、Enterpriseが1,000回ですが、EmbedやMaps SDKなど無料上限なしのSKUもあります。最新の枠と単価はGoogleの料金ページで確認してください。