GitHub Copilotの「Edits(Editモード)」は、編集するファイルを人が指定し、複数ファイルへの変更を差分で提案させる機能です。英語UIの「edit with copilot」「Copilot Edits」も同じものを指します。ただし2026年10月時点で、VS Codeでは設定で再表示することもできなくなり、JetBrains IDE向けプラグインからも削除されています。この記事では、Editモードが見当たらない理由をIDE別に整理し、同じ「対象を絞って差分を1件ずつ確かめる」使い方を今の環境でどう再現するかを、公式のリリースノートとドキュメントをもとに説明します。
まとめ:Copilot Editsの現状と代わりの使い方
- VS Code:1.110(2026年3月4日)で非表示・非推奨、1.126(2026年6月24日)で再表示用の
chat.editMode.hidden設定を削除。Agentモードをポリシーで無効にした環境だけに旧Editが残る。 - Keep/Undoが出ないとき:1.143(2026年10月21日)で既定になったCopilotハーネスでは、編集が保留状態にならない。編集ごとのKeep/UndoはLocalハーネスで使える(Localは退役予定)。
- Edit相当の再現:ターミナル実行を持たないカスタムエージェント(
.agent.md)を作ると、編集範囲を人が握る運用に近づけられる。 - Visual Studio:モード選択はAskとAgentの2つ。差分を全ファイル・ファイル単位・チャンク単位で採否できるレビュー画面は使える。
- JetBrains IDE:GitHub Copilotプラグイン1.6.1で非推奨、1.9.0(2026年5月7日)で削除。
Copilot Edits(Editモード)の仕組みとAgentとの違い
Editモードは、Copilot Chatのモードのうち「編集してよいファイルを人が決め、変更はAIが差分で出す」ものでした。VS Codeでは1.95(2024年10月29日)でプレビューとして登場し、1.97(2025年2月6日)で一般提供になりました。GitHubのドキュメントは、Editモードが向く場面として「決まったファイル群を素早く直したいとき」と「LLMへのリクエスト数を自分で制御したいとき」を挙げています。後者は料金の考え方に関わるので、後の章で扱います。
| 機能 | ファイル変更 | 編集対象を決めるのは | VS Codeでの現状 |
|---|---|---|---|
| Ask | しない | なし(読み取りのみ) | 使える |
| Edit(Copilot Edits) | する | 人(Working Set) | 1.126で設定削除 |
| Agent | する+コマンド実行 | AI | 標準 |
| インラインチャット | する | 開いている1ファイル | 使える |
| Next Edit Suggestions | する(補完) | カーソル周辺の予測 | 使える |
違いの核は、AIがどこまで自分で動くかです。Agentは対象ファイルの選定からターミナルでのビルド・テスト、失敗時の修正まで自走します。Editは作業セット内のファイルを編集し、コマンドは実行しません。ただし、新規ファイルの作成を提案する場合は、作業セット外に変更が生じる例外があります。Agentモードの承認設定やPlanとの使い分けはGitHub Copilotエージェントモードの使い方で詳しく扱っています。
VS CodeでEditモードがない理由(1.110で非表示・1.126で設定削除)
VS CodeのEditモードは2段階で姿を消しました。1.110のリリースノートは「agent mode now handles everything edit mode can do and more」と説明し、Editモードをエージェントの選択肢から既定で隠しました。同じノートには、1.126までは設定で一時的に戻せること、1.126からは設定でも有効にできなくなることが予告されています。
予告どおり、1.126のリリースノートで組み込みEditモードを非推奨とし、chat.editMode.hidden 設定を削除しました。移行先として公式が示すのは、同じ編集をこなしたうえでタスクやツールも実行できるAgentモードと、Editの操作感をまねたカスタムエージェントの2つです。「設定を変えればEditが戻る」という解説を見かけたら、1.125以前の情報です。
| VS Code | リリース日 | Editモードに関する変更 |
|---|---|---|
| 1.95 | 2024-10-29 | Copilot Editsをプレビュー公開 |
| 1.97 | 2025-02-06 | Copilot Editsを一般提供 |
| 1.99 | 2025-04-03 | Agentモードが安定版で利用可能に |
| 1.110 | 2026-03-04 | Editを既定で非表示・非推奨化 |
| 1.126 | 2026-06-24 | chat.editMode.hidden を削除 |
| 1.143 | 2026-10-21 | Copilotハーネスが新規セッションの既定に |
旧Editモードが残る条件(chat.agent.enabledのポリシー)
1.126のリリースノートは「Users who have Agent mode disabled (chat.agent.enabled) by policy will still see the legacy Edit mode.」としています。つまり旧Editが表示されるのは、組織がポリシーでAgentモードを止めている環境だけです。リリースノートの条件は「ポリシーによる無効化」で、個人のsettings.jsonで同じ状態にできるとは書かれていません。社内でEditだけが見えている場合は、管理者側でAgentが無効化されている可能性が高いと考えられます。
Keep/Undoの表示条件とハーネスの違い(1.143で既定変更)
「Editモードはなくても、Agentの編集をKeep/Undoで1件ずつ確かめればよい」と考えて操作したのに、エディタにKeep/Undoが出ないことがあります。原因は1.143で新規セッションの既定になったCopilotハーネスです。公式ドキュメント「Review and revert agent changes」は、ハーネスごとにレビューの仕組みが違うと明記しています。
| セッション | 編集の扱い | レビュー方法 |
|---|---|---|
| Copilot・Claude・Codexハーネス | 保存されたまま保留にならない | 差分表示・チェックポイント・Git |
| Localハーネス | 保存し保留として印を付ける | 編集ごとにKeep/Undo |
| Cloud | ブランチへコミット | プルリクエスト |
Copilotハーネスのレビュー画面は開発中で、UIは今後も変わると同ドキュメントが注記しています。どのハーネスかは、チャット入力欄のSession Target(ハーネスの選択欄)で確認できます。
LocalハーネスのKeep/Undoによる編集単位のレビュー
Editモードに最も近い操作感を得たいなら、Session Targetで Local を選びます。Localハーネスでは、エージェントが保存した編集が保留扱いになり、エクスプローラーとタブに印が付きます。
- エディタのオーバーレイ操作(上下の矢印)で編集を移動し、編集ごとに Keep(保留を解除)か Undo(元に戻す)を選ぶ。インラインの変更にカーソルを合わせると、その変更だけを採否できる。
- 1件を処理すると次の保留ファイルが自動で開く。同じファイルに留まりたいなら
chat.editing.revealNextChangeOnResolveをfalseにする。 - ソース管理でステージすると保留中の編集はKeep扱いになり、変更を破棄すると保留も破棄される。
chat.editing.autoAcceptDelayを設定すると、一定時間後に自動でKeepされる。手動レビューを続ける場合は、値を0にして自動Keepを無効にします。
なお、管理者は1.142から管理設定 vscode.temporaryDefaultToLocalHarness を true にして、新規セッションの既定をLocalのまま保てます。移行期間にLocalを維持するための管理設定ですが、LocalではCopilotランタイム専用のサンドボックス・権限ルールが適用されません。また、管理設定でLocalが禁止されている場合は、この設定では有効にできません。1.143のリリースノートは、これらの管理設定を「Local is retired」までの一時的な措置と位置づけています。LocalのKeep/Undoを前提にした手順は、Copilotハーネスに編集ごとのKeep/Undoが戻るまでのつなぎと考えてください。
Copilotハーネスの作業セット(chat.editor.workingSet.enabled)
1.143のリリースノートによると、Copilotハーネスでの採否が難しいという声を受けて、ファイル単位の作業セットが実験的に入りました。chat.editor.workingSet.enabled を有効にすると、チャット入力欄の上にファイル単位の Keep が出ます。Keepしたファイルは確認済みとして一覧から消えますが、編集はディスクに残り、エージェントが再び変更すると一覧に戻ります。
現時点で使えるのはファイル単位のKeepだけです。ファイル単位のUndoと、エディタ内での変更ごとのKeep/Undoは「later releases」で追加予定とされています。チャンク単位で採否したい作業は、Localハーネスが使える間はLocalで行うのが確実です。
編集を巻き戻す範囲の選び方
Editモードの「Undoで戻す」に相当する手段は、戻したい範囲によって使い分けます。
| 操作 | 戻る範囲 | 会話履歴 |
|---|---|---|
| Undo(Localのみ) | 保留中の1編集〜全編集 | 残る |
| 過去のリクエストを編集 | そのリクエスト以降の変更 | 修正したリクエストを再送 |
| Restore Checkpoint | そのリクエスト以降の変更 | 以降を削除 |
| ソース管理で破棄 | 選んだファイル・変更 | 残る |
チェックポイントが戻すのはワークスペースのファイルとチャット履歴だけです。実行済みのターミナルコマンド、ネットワーク要求、デプロイ、外部サービスへの変更は戻りません。Agentにコマンドを実行させた後は、Gitと各サービス側の復旧手段も合わせて考える必要があります。
カスタムエージェントによるEdit相当の設定(.agent.md)
1.126のリリースノートが示すもう1つの移行先がカスタムエージェントです。Editモードの本質は「読む・探す・書き換える」はできるが「コマンドは実行しない」という道具の制限なので、使えるツールを絞ったエージェントを定義すれば近い動きになります。ワークスペースの .github/agents に置いた .agent.md は、エージェントの選択欄に並びます(Custom agents in VS Code)。
---
name: Editor
description: 指定したファイルだけを編集し、コマンドは実行しない
tools: ['read', 'search', 'edit']
---
ユーザーが # で指定したファイルだけを編集してください。
指定されていないファイルを変更する必要があるときは、編集せずにファイル名と理由を挙げて確認を求めてください。
ターミナルコマンドの実行、パッケージの追加、ファイルの削除は行わないでください。
変更後は、ファイルごとに変更点を1行で要約してください。
このファイルを .github/agents/editor.agent.md として保存し、Localハーネスで Editor を選ぶと、Keep/Undoによる編集ごとのレビューと組み合わせられます。ファイルをリポジトリにコミットすれば、チーム全員が同じ定義を使えます。
注意点が2つあります。tools に書く参照名はハーネスによって違い、公式のツール一覧(edit/editFiles など)はLocalハーネスの名前です。Copilotハーネスで使うときは、Toolsタブで実際に使えるツールを確かめてから定義を流用してください。また、ユーザー定義のツールセットは非推奨で、Copilotハーネスでは読み込まれません。read や search のような組み込みの別名はツールセットとは別扱いです。
指示文で「指定外のファイルは触らない」と書いても、エージェントが従うとは限りません。指示は運用上の約束にとどまり、権限の境界にはならないため、レビューは省けません。チーム規約をすべての提案に効かせたい場合は、エージェント定義より先にcopilot-instructions.mdの書き方と配置場所を整える方が効果的です。
Visual StudioのCopilot Edits(Ask/Agentの2モードと変更サマリ)
Visual Studioは事情が少し違います。Microsoft Learnには「GitHub Copilot Edits in Visual Studio」のページが残っており(2026年5月13日更新)、Visual Studio 2022 version 17.13以降とVisual Studio 2026で使えると書かれています。手順は「Create new Edit session」から始まり、Tab で採用、Alt+Delete で却下、F8 で次の提案へ移動します。
一方で、Copilot Chatのページはモードの選び方を「choose Ask or Agent」と説明しています。GitHubのドキュメントも、Visual Studioのチャットモードは17.14以降AskとAgentの2つとしています。さらに18.11(2026年10月13日)では、Copilot CLIと同じCopilot SDKを基盤とする新しいチャットを任意で有効にできます。適用には設定変更とVisual Studioの再起動が必要です。Edit専用の画面が見当たらない場合は、Agentで編集させ、次のレビュー機能で差分を確かめるのが現実的です。
- 変更サマリビュー:Visual Studio 2026 version 18.6以降、チャットの作業セットにある Open Changes Summary で、変更された全ファイルの差分を1つのタブにまとめて表示できる。
- 採否の粒度:全ファイル一括・ファイル単位・差分チャンク単位の3段階で、採用(accept)か取り消し(undo)を選べる。
- 巻き戻し:Editsページの手順では、Reset changesで生成前の状態へ、Reset to Iterationで以前の反復へ戻せる(手作業の変更も戻る)。
JetBrains IDEのEditモードは1.9.0で削除
IntelliJ IDEAなどJetBrains IDE向けのGitHub Copilotプラグインでも、Editモードは削除されています。変更履歴では、1.6.1(2026年3月10日)に「Edit mode is now marked as deprecated.」、1.9.0(2026年5月7日)に「Removed: Edit mode support」と記載されています。2026年10月26日に取得した公式の更新一覧では、2026年10月19日公開の1.19.2が最新でした。
注意したいのは、GitHubのJetBrains向けChatの手順が、執筆時点でもEditモードの手順(Working Setへのファイル追加とファイルごとのAccept/Discard)を載せていることです。同じドキュメント群の共通文には「Edit mode is only available in VS Code and JetBrains IDEs」とありますが、どちらのIDEでも現行版には当てはまりません。手順書どおりにEditsのボタンを探しても見つからないのはこのためです。JetBrains IDEでも複数ファイルの編集はAgentモードで行い、作業セットに出る差分をファイルごとに確かめます。
料金:AIクレジットとEditモードの「リクエスト数を抑える」利点
GitHubのドキュメントは、Editモードが向く場面の1つに「Copilotが使うLLMリクエストの数を自分で制御したいとき」を挙げています。GitHub Copilotは2026年6月1日からAIクレジットによる従量課金へ移行しました。ただし、既存のPro・Pro+年間契約には旧リクエスト課金を継続する契約があります。AIクレジット方式について、公式の課金ドキュメントでは、消費量は使ったモデルとトークン数(入力・出力・キャッシュ)で決まるとされています。
| プラン | 月額 | 月間AIクレジット |
|---|---|---|
| Pro | 10ドル | 1,500(基本1,000+変動枠500) |
| Pro+ | 39ドル | 7,000(基本3,900+変動枠3,100) |
| Max | 100ドル | 20,000(基本10,000+変動枠10,000) |
| Business | 19ドル/人 | 1,900/人 |
| Enterprise | 39ドル/人 | 3,900/人 |
Chatやエージェントの利用はクレジットを消費しますが、コード補完とNext Edit Suggestionsは有料プランでは課金対象外で、回数の上限もありません。トークン課金では、Agentが自分で多くのファイルを読み、テストを繰り返すほど消費が増えます。Editのように消費を抑えたいなら、対象ファイルを # で明示し、コマンドを実行しないカスタムエージェントで1回の指示を小さく保つのが有効です。枠は毎月1日0時(UTC)に戻り、余りは翌月へ繰り越せません。Business・Enterpriseのクレジットは、各ライセンスの付与分を課金主体単位の共有プールに合算して利用します。プランの比較と使用量の集計はGitHub Copilotの料金にまとめています。
Agentに任せず範囲を絞るべき場面と失敗パターン
Editモードがなくなっても、「対象を人が決める」使い方が要らなくなったわけではありません。次の作業では、Agentに自由に動かさず、カスタムエージェントで利用ツールを絞り、編集対象を指示したうえで差分を確認する方が安全です。なお、LocalハーネスのKeep/Undoは変更の確認・取り消しに使う機能で、編集可能な範囲を制限するものではありません。
- 本番設定・移行スクリプト・認証まわり:コマンド実行まで許すと、チェックポイントで戻せない外部への変更が起こりうる。読み書きだけに制限する。
- レビュー担当者がいる共有リポジトリ:差分が広く散るとプルリクエストのレビューが回らない。変更してよいファイルを先に宣言する。
- 決まった置換・リネーム:IDEのリファクタリング機能や検索置換で確実にできる変更は、AIに任せない方が速く、結果も毎回同じになる。
逆に、どこを直すべきか自体がわからない調査や、ビルドとテストを回しながら直す作業は、範囲を絞るとかえって遅くなります。こちらはAgentに任せ、テストで結果を確かめます。テストの土台がなければ、先にGitHub Copilotでテストコードを自動生成する方法で用意しておくと、テストで定義した期待動作を機械的に確認できます。生成したテストの期待値と網羅範囲は、人が要件と照合してください。
よくある失敗は、chat.editing.autoAcceptDelay で自動Keepを有効にしたまま、またはCopilotハーネスで保留がないことに気づかないまま、差分を読まずにコミットしてしまう流れです。どのハーネスでも、コミット前にソース管理ビューで未追跡ファイルを含めて確認する手順を省かないでください。社内でAIコーディングの運用ルールや権限設計から整えたい場合は、生成AI導入支援でもご相談を受け付けています。
よくある質問
「edit with copilot」と「Copilot Edits」は同じ機能ですか?
同じです。どちらもCopilot ChatのEditモード(編集対象のファイルを人が指定し、複数ファイルの変更を差分で提案させる機能)を指します。VS CodeとJetBrains IDEでは削除済みで、Visual StudioにはEditsの説明ページが残っています。
VS CodeでEditモードを設定で戻せますか?
戻せません。再表示に使えた chat.editMode.hidden は1.126(2026年6月24日)で削除されました。旧Editが表示されるのは、組織のポリシーで chat.agent.enabled が無効化されている環境だけです。
Copilot EditsとAgentモードの違いは何ですか?
編集対象を誰が決めるかと、コマンドを実行するかどうかです。Editは人が指定した作業セットを中心に編集しますが、新規ファイルの作成を提案する例外があります。Agentは利用可能なツールと承認設定の範囲で、対象の選定からビルド・テスト、失敗時の修正まで進めます。
Working Set(作業セット)とは何ですか?
編集対象や変更されたファイルを並べる、チャット入力欄の上の一覧です。旧Editモードでは編集してよいファイルを指定する場所でした。VS Code 1.143のCopilotハーネスでは、chat.editor.workingSet.enabled を有効にすると変更ファイルをファイル単位でKeepできます(実験的機能)。
Copilotのカスタム設定はEditの代わりにどう書けばよいですか?
役割で分けます。全提案に効かせたいチーム規約は .github/copilot-instructions.md に、ツールを絞った「編集だけするエージェント」は .github/agents の .agent.md に書きます。Localハーネスで、プロンプトファイルによるツール一覧の上書きがない状態で tools: ['read', 'search', 'edit'] を指定すると、コマンドを実行しないEdit相当の動きになります。
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