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Oracle Cloud Infrastructure(OCI)とは?料金の実額とAWSとの単価比較・サービス構成【2026年10月】

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)とは?料金の実額とAWSとの単価比較・サービス構成【2026年10月】

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)は、オラクルのクラウド事業のうちIaaS/PaaSを担う基盤サービス群です。料金はオラクル自身が価格APIで全品目を公開しており、2026年10月時点ではAWSより安いのはデータ転送・リクエスト・低頻度アクセス層・アーカイブ層で、標準ストレージの単価はAWS東京とほぼ同じです。この記事は、その価格APIとAWSの価格表から取得した実額を並べ、OCIのサービス構成・課金単位・選定基準を整理します。

まとめ

  • OCIはOracle Cloudの土台側です。Fusion Cloud ApplicationsなどのSaaSはOCIに含まれません。
  • コンピュートの単価はOCPUをvCPUに換算してから比べます。x86とArm A2・A4は1 OCPU=2 vCPU、Arm A1だけ1 OCPU=1 vCPUです。Autonomous AI DatabaseなどはECPUで課金されますが、Base DatabaseにはOCPU課金もあります。
  • オブジェクトストレージの標準層は$0.0255/GB月で、S3東京の$0.025とほぼ同額です。差が出るのは低頻度アクセス層($0.01)とリクエスト料金で、PUT系のリクエストはS3より1桁安くなります。
  • データ転送は月10TBまで無料で、超過後の日本発は$0.025/GBです。AWS東京の最初の10TB($0.114/GB)との差が総額を最も大きく動かします。
  • 市場シェアは上位3社が63%(2026年第2四半期)で、オラクルは個別シェアが公表されない「ティア2」側です。ただしOCIの売上は前年同期比121%増と伸びています。
  • Always FreeのArm枠は月1,500 OCPU時間・9,000GB時間(2 OCPU・12GB相当)です。

Oracle CloudとOCIの関係と市場での位置

Oracle Cloud・OCI・Fusion Applicationsの区分

Oracle Cloudは、オラクルのクラウド事業全体の名称です。そのうちコンピュート・ストレージ・ネットワーク・データベースなどの基盤サービス群がOCIで、ERPやHCMなどの業務アプリケーションはOracle Fusion Cloud ApplicationsというSaaS製品群として別に提供されています。オラクルは各リージョンで200を超えるサービスを同じ構成で提供していると説明しており、OCIはデータベース専用ではなく汎用のIaaS/PaaSです。IaaSという区分そのものはIaaSとは?PaaS・SaaSとの違いと責任共有モデル・自動スケールから採用判断まで解説、クラウド一般の定義はクラウドコンピューティングとは?仕組み・NISTの5つの特徴からサービス/実装モデルと採用判断まで解説で整理しています。

OCIの市場シェアと売上の伸び(2026年)

Synergy Research Groupが2026年7月30日に公表した集計では、2026年第2四半期の企業向けクラウドインフラ支出は1,430億ドルで、前年同期比43%増でした。シェアはAmazon 28%、Microsoft 20%、Google 15%で、上位3社の合計は63%です。オラクルは同じ発表でCoreWeaveやNebiusなどと並ぶ「成長率の高いティア2事業者」に挙げられていますが、個別のシェア値は公表されていません。

伸び方はオラクルの決算で確認できます。2026年9月10日発表の2027年度第1四半期決算(6〜8月)では、Cloud Infrastructure(IaaS)の売上が前年同期比121%増の74億ドルでした。規模ではAWS・Azure・Google Cloudに届かない一方、AI向けのGPU需要で最も伸びている事業者の一つです。市場シェアだけでは日本語の実装情報の量は判断できません。採用候補のサービスについて、日本語ドキュメント、障害事例、運用ノウハウの入手性を個別に確認してください。3社の位置づけはハイパースケーラーとは?AWS・Azure・Google Cloudの定義と技術的特徴・採用判断まで実装者向けに解説で比べています。

OCIのサービス一覧と課金の単位

OCIのサービスは機能カテゴリ単位で並んでいます。中核になるものと、それぞれの課金単位です。

カテゴリ 代表サービス 課金の単位
コンピュート Standard E5/E6(AMD)、A1/A2/A4(Arm)、ベアメタル、GPU OCPU時間+メモリGB時間、GPU時間等
ストレージ ブロックボリューム、オブジェクトストレージ、アーカイブ GB月+リクエスト
ネットワーク VCN、フレキシブルロードバランサ、FastConnect、サイト間VPN 送出GB・帯域
データベース Autonomous AI Database、Base Database、Exadata、MySQL HeatWave ECPU時間・OCPU時間・HeatWave容量時間+ストレージ等
AI OCI Generative AI、Generative AI Agents トークン・文字数
セキュリティ Vault、Cloud Guard、WAF、Bastion 鍵バージョン・リクエスト等
監視・運用 Monitoring、Logging、Resource Manager(Terraform) データポイント・取込量

他社との比較では、CPUベースのコンピュートで使うOCPUと、Autonomous AI Databaseなどで使うECPUを区別してください。データベースにもOCPU課金のサービスがあります。生成AIのエージェント機能は東京リージョンに無く大阪で提供されるなど、サービスごとに提供リージョンも違います。構成はOCI生成AIでエージェントを作る2つの方法:Generative AI AgentsとEnterprise AI(Responses API)の違いで扱っています。

OCIの料金体系と価格表の調べ方

リージョン一律の従量単価と円建て価格

OCIの単価は全リージョンで共通(globally consistent pricing)です。AWSのように東京リージョンだけ高い、という差がありません。価格表はWebのPrice Listと、見積もり用のCost Estimatorが公式の入口です。このほかに、品番ごとの単価をJSONで返す認証なしの価格APIがあり、自前の見積もりや単価の監視にはこちらが向いています。

円建ての単価も同じAPIが返します。2026年10月8日更新の価格では、E5のOCPUが$0.03に対して4.65円、オブジェクトストレージが$0.0255に対して3.9525円です。この記事で使った14品目を照合すると、すべてドル単価のちょうど155倍でした。円建ての単価は、ドル単価に一定の換算率を掛けた値で設定されています。円で見積もるときは、為替の動きとは別に価格の更新日を確認してください。

価格APIで単価を引く手順

価格APIは認証なしで叩けます。品名で品番(partNumber)を探し、品番で単価を引く2段階です。実行には curl と jq が要ります。currencyCode を JPY にすれば円建てになります。まず品名から品番を探します。

curl -s "https://apexapps.oracle.com/pls/apex/cetools/api/v1/products/?currencyCode=USD" \
  | jq -r '.items[] | select(.displayName|test("^(Object Storage|Archive Storage|Infrequent Access)")) | [.partNumber, .displayName] | @tsv'

出力例(2026年10月22日に実行)です。

B91627	Object Storage - Requests
B91628	Object Storage - Storage
B91633	Archive Storage - Storage
B93000	Infrequent Access Storage - Storage
B93001	Infrequent Access Storage - Data Retrieval

次に、品番を指定して円建ての単価を引きます。

curl -s "https://apexapps.oracle.com/pls/apex/cetools/api/v1/products/?currencyCode=JPY&partNumber=B93000" \
  | jq -c '.items[] | {partNumber, displayName, prices: .currencyCodeLocalizations[0].prices}'

出力例です。

{"partNumber":"B93000","displayName":"Infrequent Access Storage - Storage","prices":[{"model":"PAY_AS_YOU_GO","value":0,"rangeMin":0,"rangeMax":10},{"model":"PAY_AS_YOU_GO","value":1.55,"rangeMin":10,"rangeMax":999999999999999}]}

注意点は、1つの品番が複数の価格行を返すことです。上の例では「0〜10GBは0円、10GBを超えた分が1.55円」という2行で、無料枠はこの rangeMin/rangeMax で表現されています。1行目だけを読むと「無料のサービス」と誤読し、最後の行だけを読むと無料枠を落とします。見積もりを自前で組むときは全行を使ってください。

コンピュートの料金とOCPU・vCPUの換算

公式のシェイプ解説は、x86(AMD・Intel)では1 OCPUが2 vCPU、Arm A2とA4も1 OCPUが2コア=2 vCPU、Arm A1だけが1 OCPU=1 vCPUと定めています。この比を入れて、4 vCPU・メモリ16GBを730時間動かした月額を価格APIの単価で計算すると次のとおりです。

シェイプ系列 OCPU単価 vCPU換算 メモリ単価 4 vCPU・16GBの構成 月額
Standard E5/E6(AMD) $0.03 $0.0150 $0.002/GB時 2 OCPU $67.16
Standard A4(Arm) $0.0138 $0.0069 $0.0027/GB時 2 OCPU $51.68
Standard A2(Arm) $0.014 $0.0070 $0.002/GB時 2 OCPU $43.80
Ampere A1(Arm) $0.01 $0.0100 $0.0015/GB時 4 OCPU $0〜$18.22

E5の$0.03をそのまま他社のvCPU単価と並べると、OCIが2倍高く見えます。逆に、OCPU単価だけを見てArm A1を「x86の3分の1」と読むのも誤りで、vCPU換算では3分の2です。この表ではA4、A2の順にvCPU単価が低く、いずれもE5/E6の半分を下回ります。ただしArmの物理コアとx86の実行スレッドを数えた単価比較であり、同じvCPU数で同じ処理性能になるとは限りません。AWSやAzureのインスタンス名との対応はインスタンスタイプとは?AWS・Azure・Google Cloudの命名規則と選定手順を横断解説が参考になります。

A1の月額に幅があるのは、オラクルの一次情報が食い違っているためです。価格APIはA1のOCPUを月3,000時間、メモリを月18,000GB時間まで$0として返しますが、Always Freeのドキュメントは月1,500 OCPU時間・9,000GB時間です。4 vCPU・16GB(2,920 OCPU時間・11,680GB時間)なら、価格APIの解釈で$0.00、ドキュメントの解釈で$18.22になります。A1で見積もるなら、この差を前提に実際の請求で確認してください。

オブジェクトストレージの料金:3つの階層とS3との単価比較

OCIのオブジェクトストレージは、標準・低頻度アクセス(Infrequent Access)・アーカイブの3階層です。階層の仕様では、低頻度アクセスは最低保存期間31日と取り出し料金があり、アーカイブは最低90日で、読む前に復元(最大1時間)が要ります。期間内に削除・上書きすると、残りの日数分の保存料が日割りでかかります。単価をAWS東京リージョンのS3と並べました。

項目 OCI(全リージョン) S3 東京 1TB保存の月額(OCI/S3)
標準 $0.0255/GB月 $0.025(Standard) $25.86/$25.60
低頻度アクセス $0.01/GB月+取り出し$0.01/GB $0.0138(Standard-IA) $10.14/$14.13
アーカイブ $0.0026/GB月 $0.0045(Glacier Flexible Retrieval) $2.64/$4.61
書き込み系リクエスト 1万件$0.0034(月5万件無料) 1,000件$0.0047(PUT・LIST等) 100万件で$0.32/$4.70
読み取り系リクエスト 同上(種別で単価の差なし) 1万件$0.0037(GET等) 100万件で$0.32/$0.37
無料枠(有償アカウント) 各階層10GB・API月5万件 ― ―

OCIの単価は価格API、S3の単価はAWSの価格表(ap-northeast-1、2026年10月15日発行分)から取りました。1TBは1,024GBで、OCIの金額は無料の10GBを差し引いています。保存料の試算は、取り出し料・最低保存期間に伴う追加請求・S3の最小課金サイズとアーカイブの追加メタデータを含みません。リクエスト欄のS3単価はStandardを対象とし、各行でOCIの無料リクエスト枠を全量使えると仮定しています。

この表から言えるのは、「オブジェクトストレージならOCIが安い」は標準層では成り立たない、ということです。差が出るのは3か所だけです。低頻度アクセス層の保存単価は約3割安く、アーカイブは約4割安い。リクエストはOCIが種別を問わず1万件$0.0034なので、PUTやLISTを大量に発行するログ収集・小さいファイルの大量保存ではS3との差が10倍を超えます。そして外部への配信で効くのが、次の章のデータ転送料です。標準層に保存し、読み書きや外部送出が少ない用途では、保存単価だけでOCIを選ぶ理由は弱くなります。低頻度アクセス層やアーカイブ層を使える用途では、保存単価の差も選定理由になります。S3側の内訳はS3の料金を実額で計算する|東京リージョンの単価内訳とコストを下げる設定手順、オブジェクトストレージそのものの仕組みはオブジェクトストレージとは?仕組み・S3互換APIの範囲とブロックとの違いを実装手順つきで解説で解説しています。

低頻度アクセス層の取り出し料金$0.01/GBは見落としやすい点です。保存単価の差は1GBあたり月$0.0155なので、1か月に保存量と同じ量を読み出すと差額の3分の2近くが消えます。無料枠と最低保存期間による追加請求を除いた単純比較では、月間取り出し量が保存量の1.55倍を超えると、標準層の保存料が低頻度アクセス層の保存料と取り出し料の合計を下回ります。31日未満で消すデータも、最低保存期間の日割り請求で差が縮みます。

データ転送(エグレス)料金:10TB無料と日本発の単価

OCIの価格表には、発信地域を3つに分けた送出料金の品番があり、それぞれに月10,240GB(10TB)までの無料レンジと超過単価が記載されています。複数地域を利用する場合の無料枠の集計範囲は別途確認が必要です。

発信地域 10TB/月まで 超過分 partNumber
北米・欧州・英国 無料 $0.0085/GB B88327
APAC・日本・南米 無料 $0.025/GB B93455
中東・アフリカ 無料 $0.05/GB B93456

日本発の超過単価は北米・欧州発の約2.9倍です。比較対象のAWS東京リージョンは、AWSの価格表(2026年9月16日発行分)で、全体の無料枠100GBを超えた分が最初の10TBまで$0.114/GB、次の40TBが$0.089、次の100TBが$0.086、それ以上が$0.084です。月間の送出量ごとの総額は次のとおりです。

月間送出量 OCI(日本発) AWS 東京 差額
1TB $0.00 $105.34 $105.34
10TB $0.00 $1,155.96 $1,155.96
20TB $256.00 $2,069.82 $1,813.82
50TB $1,024.00 $4,803.90 $3,779.90

送出量が多いシステムでは、コンピュートやストレージの単価差よりこの差が総額に効きます。複数リージョンから配信する構成では、無料レンジがテナンシ合計か地域ごとかを、Cost Estimatorと実際の請求で確かめてから見積もってください。送出料が無料のストレージという点ではCloudflare R2も候補になり、その範囲はCloudflare R2とは?料金・無料枠とS3互換の範囲、使い方を解説で整理しています。

データベースの料金とECPU:Autonomous AI DatabaseとMySQL HeatWave

ECPUとOCPUの違い

ここで扱うAutonomous AI Database Serverlessの課金単位はECPUです。Autonomous AI Databaseのドキュメントは、ECPUを「計算資源の抽象化された単位」で、コンピュートとストレージのサーバー群から弾力的に割り当てるコア数に基づくものと定義しています。一方のOCPUはハイパースレッディング有効の物理コアに基づく単位で、Autonomous AI Databaseでは旧課金単位として廃止済みです。つまりECPUはOCPUにもvCPUにも固定の比で換算できません。コンピュートの単価表とデータベースの単価表を同じ物差しで並べないでください。

ECPUは既定が2で、2を超える場合は整数で指定します。価格APIでは、Autonomous AI Transaction Processingが1 ECPU時間$0.336、ライセンス持ち込み(BYOL)が$0.0807です。既定の2 ECPUを730時間動かすと、ストレージを除いて月$490.56、BYOLなら$117.82になります。ライセンス資産の有無で約4倍違うため、見積もりは必ず両方で出してください。

Autonomous AI Databaseの名称とMySQL HeatWaveの使い分け

Autonomous DatabaseはAutonomous AI Databaseへ改称され、ワークロード種別はAutonomous AI Transaction Processing、Autonomous AI JSON Database、Oracle APEX Application Development、Autonomous AI Lakehouseの4つです。旧Autonomous Data WarehouseはAutonomous AI Lakehouseに対応します。旧名称の対応はAutonomous Transaction Processing(ATP)とADWの違い|2025年の改称後の呼び方と選定基準、エンジン側の版の流れはOracle 23aiは26aiへ:オンプレ版の提供状況・23cとの違い・Free版の制限にまとめています。

MySQL互換のまま分析クエリを速くしたいならMySQL HeatWave、Oracle Databaseの機能とライセンス資産を活かすならAutonomous AI Database、が出発点です。Oracle Databaseをやめる選択肢まで含めて比べるなら、OracleからPostgreSQLへの移行手順|互換性差分とora2pg・DMSの使い分け、移行可否の判断基準が判断材料になります。

第2世代アーキテクチャとSLAの範囲

OCIが「第2世代クラウド」と称する根拠は、ネットワーク仮想化をホストの外に置いたことです。オラクルはこれをIsolated Network Virtualizationと呼び、独自設計のSmartNICがハードウェアとソフトウェアの両面でホストから隔離されているため、侵害されたインスタンスがネットワークを侵害できないと説明しています。全リージョンには少なくとも3つのフォールトドメインがあり、インスタンスを同じ物理ハードウェアに載せない配置が取れます。

SLAは可用性・管理性・性能の3種類で、50を超えるPaaS/IaaSに適用されます。実務で押さえるべきは違反時の扱いです。救済手段はサービスクレジットだけで、顧客がアカウントマネージャーに連絡し、違反を裏付ける証拠を出して申請します。自分側に監視ログを残していなければ申請が難しくなるため、SLAを前提に設計するなら計測と保存を先に用意してください。別に公開されているSLO(サービスレベル目標)は、未達でも金銭補償の対象外です。

OCIのリージョン・レルムと他クラウド内での提供

商用41リージョンと日本の2拠点

オラクルは全体で28カ国・50超のリージョンを掲げていますが、これは政府向けやソブリンを含む合計です。誰でも使える商用リージョンは、同じページの説明文では26カ国に41ですが、地域別の一覧で「Live」と表示されている商用リージョンを数えると45あります(2026年10月22日時点)。説明文の更新が一覧に追いついていないと見られます。日本はJapan East(東京)とJapan Central(大阪)の2拠点です。リージョン一覧のドキュメントでは、東京も大阪も可用性ドメインが1つです。同じリージョン内の冗長化はフォールトドメインで組み、データセンター単位の障害に備えるなら東京と大阪の2リージョンでDRを組む設計になります。リージョンは「レルム」という単位で分かれ、レルム間は物理インフラ・アカウント・ネットワークを共有しません。EUソブリンクラウド(フランクフルト・マドリード)、米国政府向け、英国政府向け、オーストラリア政府向けがそれぞれ別のレルムです。国内のソブリン要件では、OCIの技術を国内事業者が運用する形態もあり、ソフトバンクCloud PF Type Aとは?Oracle Alloyの仕組み・料金・OCIとの違い【2026年10月】で比べています。

AWSの中で動くOracle AI Database@AWS

実務への影響が大きいのは、OCIのデータベースサービスが他社クラウドの中で動くようになったことです。Oracle AI Database@AWSの稼働リージョンにはAsia Pacific(Tokyo)とAsia Pacific(Osaka)が含まれます。アプリケーション基盤をAWSに置いたまま、データベースだけをオラクル管理のExadataで動かす構成が正式に選べるため、「Oracle Databaseを使い続けたいからクラウド全体をOCIに寄せる」という理由づけは弱くなりました。AWS側から見た選択肢(Database@AWS・RDS・EC2)とライセンスの数え方はAWSでOracle Databaseを使う3つの方法|Database@AWS・RDS・EC2のライセンス持ち込みと料金、オンプレミスを残す構成はハイブリッドクラウド移行とは?接続方式・ネットワーク設計・アプリ配置判断まで解説で扱っています。

Cloud Adoption Frameworkの6本柱

OCIへの移行を体系立てる指針がCloud Adoption Framework(CAF)です。柱は6つで、それぞれに3つの構成要素があります。

柱 構成要素
Business strategy 目標/ビジネスケース/ビジネス価値
People strategy クラウドCoE/変更管理/トレーニングと準備
Security アーキテクチャ/デプロイ/保守
Process design ガバナンス/リスクとコンプライアンス/エンタープライズアーキテクチャ
Technology implementation ランディングゾーン/移行/モダナイゼーション
Management and operations 監視/最適化/インシデント管理

実装の入口はTechnology implementationのランディングゾーンで、オラクルはワークロード移行前にテナンシを構成する手順を「エンタープライズスケール・ベースラインランディングゾーン」としてドキュメント化しています。CAFは読み物ではなく、6分類を移行計画のレビュー観点として使うのが実用的です。技術検証だけを先に進めるとPeople strategyとProcess designが抜け、移行後の運用でつまずきます。同じページにはマツダの移行で70%の性能改善、競合比3倍超のコンピュート価格性能という数字も載っていますが、いずれもオラクル自身の公表値で比較条件は示されていません。稟議に使うなら「ベンダーの主張」として扱い、自社ワークロードでの検証結果を別に用意してください。

Always Freeと無料トライアルで確かめられる範囲

OCIには期限のないAlways Freeと、30日間・US$300クレジットの無料トライアルがあります。トライアルでは対象サービスをクレジットの範囲で試せます。終了後も、Always Freeの上限内に収まる対象リソースは利用を継続できます。クレジットは提供国が限られる旨の注記があるため、契約主体の国で使えるかは申込前に確認してください。

リソース Always Freeの枠(2026年10月時点)
AMDコンピュート VM.Standard.E2.1.Micro を2台
Armコンピュート 月1,500 OCPU時間+9,000GB時間(2 OCPU・12GB相当)
ブロックボリューム ブートボリュームと合わせて200GB
オブジェクトストレージ 3階層の合計20GB・API月5万件(有償・トライアル中は各階層10GB)
Autonomous AI Database 2つ(スケール不可)
アウトバウンド通信 10TB/月

価格APIの無料レンジは今も月3,000 OCPU時間・18,000GB時間(4 OCPU・24GB相当)のままですが、ドキュメントの現行枠はその半分です。「無料で4 OCPU・24GBのArmサーバーが持てる」という説明は、ドキュメント上の枠とは合いません。もう1つ、Always Freeのインスタンスは7日間にわたってCPU使用率の95パーセンタイルが20%未満、ネットワーク使用率が20%未満、A1ではメモリ使用率も20%未満だとアイドルと判定され、回収の対象になります。待機用に置いておくだけのサーバーには使えません。2 OCPU・12GBの枠で何台組めるかと、容量不足エラーの回避手順はOracle Cloud Free Tierの無料枠|A1は2 OCPU・12GBに半減、登録手順と容量不足の回避【2026年10月】に分けて書いています。

OCIとAWSの比較:選ぶ基準と選ばない方がよい場面

ここまでの単価を項目別に並べると、OCIとAWSの差は次のように偏っています。

項目 OCI AWS 東京 差
インターネット送出 月10TB $0.00 $1,155.96 OCIが大差で安い
書き込みリクエスト 100万件 $0.32 $4.70 OCIが1桁安い
低頻度アクセス層 1TB $10.14 $14.13 OCIが約3割安い
標準ストレージ 1TB $25.86 $25.60 ほぼ同じ
リージョン間の単価差 なし 東京は割高な品目あり OCIが単純
市場シェア(2026年Q2) 非公表(ティア2) 28% AWSが圧倒

OCIが合うのは、次の条件のどれかが総額や要件の主因になっているときです。月10TBを超える外部配信があり送出料が総額を左右している。Oracle Databaseのライセンス資産があり、BYOLのECPU単価($0.0807)を使える。ワークロードがArmで動き、A2・A4のvCPU単価を取りに行ける。データ所在地の要件をレルム単位で説明する必要がある。

逆に、OCIを選ぶ理由になりにくい場面があります。1つは、月の送出量が1TBに届かない社内システムで通信料を主な選定理由にするパターンです。1TBの場合の差額は月$105.34で、送出量が減れば差額も小さくなります。移行費用を月間の純削減額で割り、予定利用期間内に回収できないなら、通信料だけを理由に移行すべきではありません。もう1つは、標準層のオブジェクトストレージを保存料の安さで選ぶパターンで、単価はS3東京と同水準です。サードパーティのマネージドサービスやSaaS連携を多用する設計、障害時の切り分けを社内で完結させたい体制では、必要な連携機能の有無、社内の経験者数、障害対応の支援体制を確認し、不足を補う費用まで含めて比較してください。

2026年時点の現実的な答えは、全面移行を前提にしないことです。アプリケーションはAWSに置き、データベースはDatabase@AWS、配信量の多い部分だけOCI、といったレイヤーごとの配置で組むほうが、比較の結論を総額に反映しやすくなります。Oracle Databaseの移行や配置の設計は、弊社のデータベース設計・移行支援でもご相談いただけます。

よくある質問

OCIとは何の略ですか?

Oracle Cloud Infrastructureの略で、オラクルのIaaS/PaaS基盤サービス群を指します。同じ3文字の略語は医療など他分野でも使われるため、検索するときは「Oracle」を添えると目的の情報にたどり着きやすくなります。

OCIの価格表はどこで見られますか?

公式のPrice ListとCost Estimatorで見られます。品番ごとの単価をまとめて取りたいときは、認証なしで叩ける価格APIが使えます。単価は全リージョン共通で、円建ての単価も同じAPIで取れます。

OCIのオブジェクトストレージはS3より安いですか?

標準層はほぼ同額です(OCI $0.0255/GB月、S3東京 $0.025)。安いのは低頻度アクセス層・アーカイブ層・リクエスト料金・送出料で、とくに書き込み系リクエストと月10TBまでの送出で差が大きくなります。

OCPUとECPUは何が違いますか?

OCPUはコンピュートなどの課金単位で、x86ではハイパースレッディング有効の物理コアに対応します。ArmではA1が1コア、A2・A4が2コアで1 OCPUです。Autonomous AI DatabaseのECPUは、コンピュートとストレージのサーバー群から弾力的に割り当てる計算資源を抽象化した課金単位です。両者に固定の換算比はありません。

Oracle Cloudの市場シェアはどれくらいですか?

Synergy Research Groupの2026年第2四半期の集計では、上位はAmazon 28%、Microsoft 20%、Google 15%で、オラクルは個別のシェアが公表されていないティア2の事業者です。一方でオラクルのIaaS売上は2026年6〜8月期に前年同期比121%増の74億ドルでした。

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