GitHub Copilotの「Edits(Editモード)」は、編集したいファイルを自分で指定し、自然言語で指示すると、複数ファイルにまたがる変更を差分(diff)として提案してくれる機能です。英語UIでは「edit with copilot」「Copilot Edits」と表示されるため検索でも混同されますが、指すものは同じです。2024年11月にVS Codeでプレビュー公開されましたが、2026年に大きな変更がありました。VS Codeでは 1.126(2026年6月24日)で組み込みのEditモードが削除され、Agentモードへ集約されています。一方でVisual StudioではCopilot Editsが現役です。この記事では、Editモードの仕組みと操作、VS Codeでの変遷、そして現在どう複数ファイルを編集するかを整理します。
まとめ:2026年時点のCopilot Edits
- VS Codeでは削除済み:1.110(2026年2月)で非推奨化、1.126(2026年6月24日)で組み込みEditモードと
chat.editMode.hidden設定を削除。公式は同等の編集をAgentモードで行うことを推奨。 - legacy Editが残る条件:Agentモードをポリシーで無効化(
chat.agent.enabled)した環境のみ。またはカスタムエージェントでEdit相当の挙動を再現できる。 - 操作の考え方は今も有効:対象を握り(Working Set)、差分を1件ずつ Keep/Undo で確認する流れはAgentモードやVisual Studioでも共通。
- Visual Studioは現役:Visual Studio 2026 version 18.6以降、複数ファイルの変更を1つのサマリビューでまとめてレビューできる。
Copilot Edits(Editモード)とは何か
Editモードは、Copilot Chatの動作モードのうち「対象ファイルを人が決め、変更はAIが差分で提案する」中間的なモードでした。Askが会話でコードに触れないのに対し、Editは指定した複数ファイルへ実際に編集を適用します。2024年11月のプレビュー時は「Copilot Edits」という専用ビューでしたが、その後Chatビューに統合され、モードのドロップダウンでEditを選ぶ形に変わり、最終的にVS Codeでは削除されました。カスタムインストラクションの正式版化(GitHub Copilot Chat拡張 v0.25、2025年2月)もこのモードに効いていた機能です。
Ask・Edit・Agent・Next Edit Suggestionsの違い
「copilot edit」で検索したとき混同しやすい4つを切り分けておくと迷いません。
| 機能 | コード変更 | 対象の決め方 | VS Codeでの現状 |
|---|---|---|---|
| Ask(質問) | しない | — | 現役 |
| Edit(編集) | する | 人がWorking Setで指定 | 1.126で削除(legacy条件のみ) |
| Agent(自走) | する | AIが自動判断 | 現役・推奨 |
| Next Edit Suggestions | する(補完) | カーソル周辺を予測 | 現役 |
Editとインラインチャット(Ctrl+I)も別物です。インラインチャットは開いている1ファイルのカーソル位置を素早く直す用途で、複数ファイルをまとめて扱うのがEditモードの守備範囲でした。
VS Code 1.126でEditモードが削除された経緯と現行の選択肢
VS CodeにおけるEditモードは段階的に廃止されました。1.110(2026年2月)で非推奨となり、1.126(2026年6月24日)で組み込みEditモードそのものと、一時的に再表示するための chat.editMode.hidden 設定が削除されました。つまり「設定を足せばEditが戻る」という以前の回避策は、現行版ではもう使えません。
公式が案内する移行先は2つです。
- Agentモードを使う:Editと同じ編集シナリオをカバーしたうえ、タスクやツールの実行まで代行する。VS Codeで複数ファイルを編集するなら、現状はこれが標準。有効化・料金・使い方はGitHub Copilotエージェントモードの使い方(Ask・Edit・Agentの違い)を参照。
- カスタムエージェントでEdit相当を再現する:対象を握ったまま差分だけ提案してほしい場合は、独自のカスタムエージェントを定義してEditの操作感を近づけられる。
なお、Agentモードをポリシー(chat.agent.enabled)で無効化している組織では、legacy Editモードが引き続き表示されます。社内規定でAgentを止めている環境だけの経過措置と理解しておくと安全です。
Editモードの操作手順(Working Setと差分レビュー)
legacy Editが残る環境やVisual Studio、あるいはEdit相当のカスタムエージェントで共通する操作の考え方を押さえておきます。基本はChatを開き(Ctrl+Alt+I、Mac は ⌃⌘I)、対象ファイルを指定して自然言語で指示する流れです。
Working Setに編集対象ファイルを追加する
Working Setは「どのファイルを編集対象にするか」を人が握るための領域です。追加方法は3通りで、状況に応じて使い分けます。
- 入力欄で
#を打ち、ファイル名を選んで明示的に追加する(対象を厳密に絞りたいとき)。 - エクスプローラーのファイルやエディタタブをWorking Setへドラッグ&ドロップする。
- 開いているエディタは自動でWorking Setに加わる。意図しないファイルが混ざったら外す。
対象を絞るほど提案の精度は上がります。逆に無関係なファイルを大量に入れると変更範囲が広がりすぎて差分が読みにくくなるため、1タスク1目的で最小限に保つのが実務上のコツです。Agentモードも # でファイル文脈は渡せますが、Working Setとして編集対象を固定する仕組みはEditモードならではの利点でした。
提案された差分をKeep/Undoでレビューする
Editモードの価値は「一括で書き換える」ことではなく「一括で提案し、人が1件ずつ判断できる」ことにあります。編集はその場にインライン差分で流れ込み、エディタのオーバーレイ操作で編集ごとに Keep(採用)または Undo(破棄して元に戻す)を選びます。ある編集をKeep/Undoすると、エディタは次の未処理の編集へ自動で移動し、それが別ファイルでもそのまま辿れます。意図と違う提案がまとめて入ったときは、チェックポイントから編集前の状態へロールバックできます。
適用後は必ずビルドやテストで挙動を確認し、AIの提案を鵜呑みにしないこと。テストの土台がない場合は、先にGitHub Copilotでテストコードを自動生成してから編集に入ると、差分の妥当性を機械的に検証できます。
カスタムインストラクションでチーム規約を反映する
Editモード(およびAgentモード・カスタムエージェント)はカスタムインストラクションを読み込めます。コメントの言語、命名やスタイル、説明の詳しさといったチーム標準を .github/copilot-instructions.md などに書いておくと、毎回同じ前提を口頭で指示しなくても提案に反映されます。書き方や配置場所、AGENTS.md や .instructions.md との違いはcopilot-instructions.mdの書き方と配置場所で解説しています。プロジェクト固有のルール(禁止ライブラリ、フォーマッタ設定など)を明記するほど、提案が手戻りなく通るようになります。
Visual StudioでのCopilot Edits
VS Codeで削除された一方、Visual StudioではCopilot Editsが現役です。Visual Studio 2026 version 18.6以降では、Copilotが複数ファイルを編集したときに、ファイルを行き来せず変更サマリビューで全変更をまとめてレビューできます。採否の粒度は3段階で、全ファイル一括・ファイル単位・個々の差分チャンク単位のいずれでもKeep/Undoが可能です。IDEは違ってもEditの考え方(対象を握って差分を1件ずつ判断する)は共通で、VS CodeからVisual Studioへ移っても操作感は大きく変わりません。
使うべきでない場面と失敗パターン
Editモード(およびその考え方)は万能ではありません。次のケースでは別の手段のほうが速く、安全です。
- 対象ファイルが特定できない探索的タスク:どこを直すか自体が不明ならWorking Setを組めない。AIに対象選定から任せるAgentモード向き。
- 1ファイルの局所修正:カーソル位置だけ直すならインラインチャット(
Ctrl+I)のほうが軽い。複数ファイル横断が得意領域。 - 大規模一括リネームや構文的置換:IDEのリファクタ機能や検索置換で確定的にできる変更は、AIに投げるより機械的手段が確実。
- レビュー前提を崩す運用:提案をまとめてKeepし、差分を読まずにコミットするのは事故のもと。差分をレビューできる点が最大の利点なので、そこを省くと使う意味が薄れる。
典型的な失敗は「Working Setに無関係なファイルを詰め込む」→「差分が広範囲に散る」→「レビューしきれずKeep」→「隠れた回帰」という流れです。対象は狭く、指示は具体的に、採否は1件ずつ、が事故を防ぐ運用です。
料金と移行時の注意点
料金は、無料のCopilot Freeでも制限付きで各モードを試せますが、上限や対象プランは改定が入るため、最新は公式の料金ページで確認してください。VS Codeで「Editモードが消えた」場合は不具合ではなく1.126での仕様変更であり、chat.editMode.hidden による復帰はできません。複数ファイル編集はAgentモードへ移行するのが基本方針です。ターミナル中心で編集を回したい場合は、IDEを離れてGitHub Copilot CLIで同種の作業を行う選択肢もあります。
よくある質問
「edit with copilot」と「Copilot Edits」は違う機能ですか
同じものです。英語UIやドキュメントで「edit with copilot」「Copilot Edits」と表記されるだけで、指すのはChatのEditモード(複数ファイルを差分で一括編集する機能)です。
VS CodeでEditモードが表示されない・消えたときは
VS Code 1.126(2026年6月24日)で組み込みEditモードが削除されたためで、不具合ではありません。chat.editMode.hidden 設定も削除されており復帰はできません。複数ファイル編集はAgentモードを使います。Agentモードをポリシーで無効化している環境のみ、legacy Editが残ります。
Copilot EditsとAgentモードの違いは
編集対象を誰が決めるかが最大の違いです。Editは人がWorking Setで対象を指定し、AgentはAIが対象選定からコマンド実行・自己修正まで自走します。AgentはCopilot Editsの発展形と位置づけられ、VS Codeでは編集シナリオがAgentへ集約されました。
Working Setとは何ですか
Editモードで「どのファイルを編集対象にするか」を管理する領域です。#での明示追加、ドラッグ&ドロップ、開いているエディタの自動追加で構成し、対象を絞るほど提案精度が上がります。
Copilotの誤字脱字チェックに使えますか
使えます。対象ファイルを指定して「コメントとドキュメントの誤字脱字を修正して」と指示すれば、修正箇所が差分で提案され、Keep/Undoで採否を選べます。文章のみの一括修正なら範囲を絞りやすく、EditモードやAgentモードが向く用途です。