Amazon Titan(アマゾン タイタン)は、AWSが自社開発しAmazon Bedrockで提供する基盤モデル(FM)のファミリーです。2023年に登場し、テキスト生成・埋め込み・画像生成をカバーしていました。ただし2026年時点では顔ぶれが変わっています。テキスト生成の Titan Text 系は提供終了し、現役は埋め込み2モデルと画像生成1モデルだけ。AWSの新世代の自社モデルは Amazon Nova(現在は Nova 2 世代)へ移っています。この記事は「いま Titan で何ができ、どれを選ぶべきか」を、公式ドキュメントの事実に沿って整理します。
まとめ:2026年のAmazon Titanの要点
- Amazon Titan は AWS が Bedrock 向けに開発した基盤モデルファミリー。単独アプリではなく、Bedrock 経由で従量課金で使う。
- 2026年の現役は3モデル:Titan Text Embeddings V2(テキスト埋め込み)、Titan Multimodal Embeddings G1(画像+テキスト埋め込み)、Titan Image Generator G1 v2(画像生成)。
- Titan Text(Lite/Express/Premier)などのテキスト生成モデルは提供終了。文章生成の用途は Amazon Nova(Nova 2)や Bedrock 上の他社モデルへ移行する。
- 画像生成の Titan Image Generator v2 は現役。皮肉にも後継格の Amazon Nova Canvas は Legacy(EOL 2026年9月30日)で、Titan 側が残っている状態。
- モデルの提供状況・EOL は変わりやすいため、本番採用前に Bedrock のモデルライフサイクルを公式で確認する。
Amazon Titanとは何か:AWS純正の基盤モデルファミリー
Titan は、AWS が大規模データで事前学習した汎用基盤モデル群です。ChatGPT のような単独サービスではなく、Amazon Bedrock 上で API から呼び出して使います。料金は Bedrock の従量課金で、入力・出力量(テキストならトークン、画像なら生成枚数と解像度)に応じて課金されます。自社データでのファインチューニングにも対応します。
特徴は、AWS が自社で権利処理・安全対策を行った「AWSファーストパーティ」のモデルである点です。生成画像には後述の不可視透かしと来歴メタデータが付くなど、責任あるAI運用を前提に設計されています。
TitanとAmazon Nova・Nova 2の世代関係
Titan は AWS の第1世代(2023年〜)の自社モデルです。2024年末に AWS は新世代の自社モデル Amazon Nova を投入し、テキスト・画像・音声・動画へ展開しました。2025年後半以降は Nova 2 が現行世代です。この世代交代の結果、文章生成の主役は Titan Text から Nova へ移り、Titan は埋め込みと画像生成に役割が絞られました。用途がテキスト生成なら、まず Amazon Nova の性能と料金を確認するのが近道です。
2026年時点で使えるAmazon Titanモデル一覧(現役と終了)
AWS公式の Titan 概要ページで現在サポートされているのは、埋め込み2モデルと画像生成1モデルです。かつて存在したテキスト生成モデルと旧世代の埋め込みモデルは一覧から外れています。
| モデル名 | 種別 | モデルID | 2026年の状態 |
|---|---|---|---|
| Titan Text Embeddings V2 | テキスト埋め込み | amazon.titan-embed-text-v2:0 |
現役 |
| Titan Multimodal Embeddings G1 | 画像+テキスト埋め込み | amazon.titan-embed-image-v1:0 |
現役 |
| Titan Image Generator G1 v2 | 画像生成 | amazon.titan-image-generator-v2:0 |
現役 |
| Titan Text(Lite/Express/Premier) | テキスト生成 | — | 提供終了(→Nova) |
| Titan Text Embeddings G1 | 旧テキスト埋め込み | — | 旧世代(V2へ移行) |
状態は Bedrock のモデルライフサイクル(Active/Legacy/EOL)で管理され、Legacy 化から最低6か月で EOL に至ります。上表は執筆時点の公式ドキュメントに基づく整理で、日付や提供状況は更新されるため、本番採用の前に必ず公式のライフサイクル表で最新の状態を確認してください。
Amazon Titan Image Generator(G1 v2)の機能と使い方
Titan Image Generator は、テキストから画像を生成し、既存画像を編集できる Bedrock 上の画像生成モデルです。テキスト生成が Nova へ移った現在、現行の Titan で用途が最も明確に残っているのが画像生成です。現役バージョンは G1 v2(amazon.titan-image-generator-v2:0)です。
生成・編集の種類(Text2Image/インペインティング/アウトペインティング/バリエーション)
基本は自然言語のプロンプトから画像を作る Text-to-Image(T2I)です。加えて、マスクした領域を描き替えるインペインティング、画像の外側へ自然に拡張するアウトペインティング、1〜5枚の入力から構図を保ったまま雰囲気を変える画像バリエーションに対応します。マスクは白黒画像で指定するほか、テキスト(マスクプロンプト)で「消したい対象」を指定させることもできます。Stable Diffusion など他の画像生成AIとの比較で選定する場合の判断材料になります。
v2で追加された機能(画像コンディショニング/被写体一貫性/カラー指定/背景除去)
v2 では商用制作で効く機能が加わりました。参照画像のレイアウト・構図に沿って生成する画像コンディショニング、参照画像で対象(ペット・靴・バッグなど)を保つ被写体一貫性(ファインチューニングを利用)、1〜10個のHEXカラーコードでブランド配色を守るカラー指定生成、複数オブジェクトから自動で背景を透過にする背景除去です。ブランドの視覚的一貫性を保ちたい広告・EC用途で使い分けます。
仕様・透かし・料金の考え方
入出力の主な仕様は次のとおりです。プロンプトは英語で最大512文字、出力形式は JPEG/PNG。生成・編集の最大サイズは 1,408×1,408 ピクセルです。生成画像には不可視の電子透かしと C2PA の来歴メタデータが自動付与され、Bedrock コンソールや透かし検出API(プレビュー)で Titan 由来かを確認できます。料金は画像サイズで2区分(512×512以下と、それより大きい最大1024×1024)に分かれ、生成枚数に応じて課金されます。具体的な単価は変動するため Amazon Bedrock の料金で最新を確認してください。
Titanの埋め込みモデル(Text Embeddings V2・Multimodal Embeddings G1)の用途
埋め込みモデルは、文章や画像を数値ベクトルに変換して意味の近さを測るためのモデルです。RAG(検索拡張生成)、意味検索、レコメンド、クラスタリングなどで使います。
Titan Text Embeddings V2(amazon.titan-embed-text-v2:0)は最大8,192トークンの入力に対応し、1,024次元のベクトルを出力します。用途に応じて512・256次元も選べ、次元を下げれば保存コストを抑え、検索を速くできます。多言語に対応するため日本語の RAG でも使いやすいのが利点です。Titan Multimodal Embeddings G1(amazon.titan-embed-image-v1:0)は、テキストと画像を同じベクトル空間に写像し、「テキストで画像を検索」といった横断検索を可能にします。マルチモーダル埋め込みの最新動向は Amazon Nova Multimodal Embeddings もあわせて確認すると選定が早まります。
2026年にAmazon Titanを選ぶときの判断
用途ごとに結論は分かれます。等しく推すのではなく、現状に即して割り切るのが実務的です。
テキスト生成なら Titan は選ばない。Titan Text 系は提供終了しており、新規に採用する選択肢ではありません。Bedrock で文章生成を行うなら Amazon Nova(Nova 2)や Claude などの現行モデルを選びます。
画像生成は Titan Image Generator v2 が現実的な選択肢。後継格の Nova Canvas がむしろ Legacy(EOL 2026年9月30日)となっており、Bedrock 純正で電子透かし・C2PA・背景除去・カラー指定まで揃う点は依然として強みです。ただし Titan Image Generator 自体の長期提供が保証されるわけではないため、商用で作り込む前にモデルライフサイクルを必ず確認し、透かしや来歴が要件になる用途を中心に採用します。
埋め込みは現役・安定なので素直に使える。日本語を含む RAG や意味検索では多言語対応の Text Embeddings V2 が第一候補です。次元を落として運用コストを調整できる柔軟さも実務で効きます。
よくある質問(FAQ)
Amazon Titan は無料で使えますか?
無料ではありません。Amazon Bedrock の従量課金で、テキストはトークン量、画像は生成枚数と解像度に応じて課金されます。無料利用枠や検証用のクレジットは時期により異なるため、料金は公式で確認してください。
Amazon Titan Image Generator はまだ使えますか?
2026年時点では G1 v2(amazon.titan-image-generator-v2:0)が現役で利用できます。ただし Bedrock のモデルは Legacy/EOL へ移行することがあるため、長期運用する場合は公式のライフサイクル表で最新状態を確認してください。
Titan のテキスト生成モデルはどこへ行きましたか?
Titan Text(Lite/Express/Premier)は提供終了し、公式の Titan 一覧から外れています。文章生成は AWS の新世代モデル Amazon Nova(現在は Nova 2 世代)や、Bedrock 上の他社モデルへ移行するのが公式の推奨です。
Amazon Titan と Amazon Nova の違いは何ですか?
どちらも AWS 自社の基盤モデルですが、Titan は第1世代(2023年〜)、Nova は新世代(2024年末〜、現在 Nova 2)です。テキスト・音声・動画まで広く扱う主役は Nova に移り、Titan は埋め込みと画像生成に役割が絞られています。
Titan Image Generator で生成した画像に透かしはありますか?
あります。生成画像には不可視の電子透かしと C2PA の来歴メタデータが自動で付与されます。Bedrock コンソールや透かし検出API(プレビュー)、Content Credentials などのサイトで Titan 由来かどうかを確認できます。