Jupyter Notebookはpip install notebookで入り、jupyter notebookで起動します。コマンド自体は2行ですが、実務で詰まるのはその周りです。どのPython環境に入れるのか、ノートブックからimportしたライブラリがなぜ見つからないのか、JupyterLabとの関係はどうなっているのか。この記事では2026年9月時点のPyPIと公式ドキュメントを根拠に、venvとpip、uv、conda-forgeの3通りのインストール手順、プロジェクト用カーネルの登録、インストール後のトラブルの確かめ方までを、そのまま実行できるコマンドで整理しました。
まとめ:Jupyter Notebookを入れる前に決める環境の分け方と入れ方
入れる先は、Pythonの本体ではなくプロジェクトごとの仮想環境にします。PyPIのnotebookパッケージは2026年9月時点で7.6系(7.6.3)が最新で、動作にはPython 3.10以上が必要です。本体へ直接入れると、別の用途で入れたライブラリと版がぶつかったときに切り分けられません。
入れ方は、すでにuvを使っているならuv、そうでなければvenvとpipで十分です。Anacondaを使う組織ではconda-forgeチャンネルから入れます。どれを選んでも、起動して開く画面は同じNotebook 7です。
インストール後につまずく原因の大半は「サーバーを動かしている環境」と「コードを実行するカーネルの環境」のずれです。jupyter kernelspec listで参照先を確かめ、ノートブック内では!pipではなく%pipを使うと、この種の混乱はほぼ起きません。
複数人で1台のサーバーを共有する用途には、Notebookの公開設定ではなくJupyterHubを使います。Notebook単体の公開設定は1ユーザー向けだと公式が明記しています。
Notebook 7.6系の構成とpip installで一緒に入る部品
インストールの前に、何が入るのかを押さえておくと後の切り分けが楽になります。Notebookは単独のアプリではなく、JupyterLabの部品を組み合わせて作られています。
notebook 7.6.3がJupyterLabとカーネルを引き込む仕組み
Jupyter Notebookの変更履歴によると、7.6.0は2026年6月18日のリリースで、JupyterLab 4.6をベースにしています。同じリリースでPython 3.9のサポートが終わりました。7.5.0(2025年11月)ではPython 3.8が外れているので、古いPythonを使い続けている端末では最新のNotebookが入りません。
PyPIのメタデータを見ると、notebook 7.6.3は必須の依存としてjupyterlabの4.6.4以上4.7未満、jupyter-serverの2.19.0以上を指定しています。さらにjupyterlab 4.6.4側の必須依存にはipykernelが含まれているので、依存の連鎖は2段です。つまりpip install notebookを実行すると、JupyterLabとPython用のカーネルも一緒に入ります。インストール後にjupyter labも起動できるのはこのためです。
jupyterとnotebookのどちらを入れるかの違いと選ぶ基準
古い記事ではpip install jupyterと書かれていることが多くあります。jupyterは中身を持たないまとめ用のパッケージで、PyPIの1.1.1(2024年8月)はnotebook・jupyterlab・ipykernel・nbconvert・ipywidgets・jupyter-consoleの6つを依存に並べています。
選ぶ基準は単純です。ノートブックを開いて書くだけならnotebookで足ります。ipywidgetsでスライダーなどの操作部品を使う、nbconvertでHTMLやPDFへ書き出す、といった用途が決まっているならjupyterでまとめて入れても構いません。Jupyter公式のインストールページが案内しているのもpip install notebookとpip install jupyterlabの個別指定です。
venvとpipでJupyter Notebookをインストールして起動する手順
追加のツールを入れずにPython標準の機能だけで済ませる方法です。venvそのものの位置づけは仮想環境とは?venv・コンテナ・仮想マシンの違いと隔離レベルの選び方で整理しています。
Python 3.10以上の確認とプロジェクト用venvを作るコマンド
最初にPythonの版を確かめ、作業フォルダーにvenvを作ります。Windowsではpyランチャー、macOSとLinuxではpython3を使うのが確実です。
# Windows(PowerShell)
py --version
mkdir analysis; cd analysis
py -m venv .venv
.venv\Scripts\Activate.ps1
# macOS / Linux
python3 --version
mkdir analysis && cd analysis
python3 -m venv .venv
source .venv/bin/activate
版が3.9以下なら、先にPythonを入れ直してください。PowerShellでActivate.ps1が実行ポリシーで止められた場合は、Set-ExecutionPolicy -Scope CurrentUser RemoteSignedで自分のユーザーだけ許可します。有効化に成功した目印は、プロンプトの先頭に付く(.venv)です。
pip install notebookから初回起動までの4行の流れ
venvを有効にした状態で、pipを更新してからnotebookを入れます。
python -m pip install --upgrade pip
python -m pip install notebook
jupyter notebook --version
jupyter notebook
pipを単独で打たずpython -m pipと書くのは、有効化したvenvのPythonに確実に入れるためです。PATHの順序によっては、pipだけだと別のPythonに付いているpipが動きます。3行目で7.6.3のような版が表示されれば、インストールは完了しています。
起動後に開くURLとトークン認証の仕組み・ポート変更とサーバーを止める操作
jupyter notebookを実行するとブラウザーが開き、http://localhost:8888/treeにファイル一覧が表示されます。Jupyter Serverのドキュメントのとおり、既定では127.0.0.1の8888番で待ち受け、同じPCからしか接続できません。ブラウザーが自動で開かない場合は、ターミナルに表示される?token=付きのURLをコピーして開きます。
8888番が他のプロセスに使われているときは、jupyter notebook --port 8889のように番号を変えます。ブラウザーを勝手に開かせたくない場合の指定は--no-browserです。止めるときはターミナルでCtrl+Cを押し、確認にyで答えてください。ブラウザーのタブを閉じただけでは、サーバーは動き続けます。
uvでJupyter Notebookを動かすプロジェクト単位の導入手順
uvはPythonの版と依存関係をまとめて管理するツールで、Jupyterとの組み合わせ方をuvの公式ガイドが説明しています。uv自体の導入と基本操作はuvとは?Pythonの環境構築・パッケージ管理の使い方を参照してください。
uv run –with jupyterで環境を汚さず一時的に起動する方法
プロジェクトの依存にJupyterを加えたくない場合は、--withで実行時だけ足します。プロジェクトのライブラリをノートブックからimportでき、pyproject.tomlにはJupyterが記録されません。
uv init analysis
cd analysis
uv add pandas
uv run --with jupyter jupyter notebook
特定のプロジェクトに属さず、ちょっとした計算にだけ使うならuv tool run jupyter labで隔離された環境から起動する方法もあります。ただしこの場合、プロジェクトに入れたライブラリは見えません。どのフォルダーで作業するかが決まっているなら、uv run --withの方を選びます。
ipykernelをdev依存に加えプロジェクト用カーネルを登録する手順
VS CodeやPyCharmなど別のフロントエンドから同じ環境を使いたい場合や、1つのJupyterから複数のプロジェクトを切り替えたい場合は、プロジェクト専用のカーネルを登録します。
uv add --dev ipykernel
uv run ipython kernel install --user --env VIRTUAL_ENV $(pwd)/.venv --name=analysis
uv run --with jupyter jupyter notebook
2行目の$(pwd)はmacOSとLinuxのシェルの書き方です。WindowsのPowerShellでは"$PWD\.venv"に置き換えます。登録が済むと、ノートブックの右上にあるカーネル選択にanalysisが表示されます。ipykernelを--devで入れるのは、本番の実行環境へ持ち込まないためです。
condaとAnacondaでJupyter Notebookを入れる場合のチャンネル指定
社内の標準がcondaの場合は、conda-forgeチャンネルを明示して入れます。Jupyter公式のインストールページも、condaやmambaで入れるならconda-forgeを推奨しています。
conda-forgeからnotebookを入れるコマンドとAnaconda同梱版の扱い
conda create -n analysis -c conda-forge python=3.12 notebook
conda activate analysis
jupyter notebook
Anaconda Distributionを入れた端末では、最初からJupyterが使える状態になっています。ただし同梱されている版は、インストーラーの公開時点のものです。Notebook 7.6系を使いたい場合は、上のように専用の環境を作る方が古い版との混在を避けられます。
Anacondaの既定チャンネルは、一定規模以上の組織での商用利用に利用規約上の条件があります。社内で使ってよいかどうか、pipとcondaのどちらに寄せるかの判断はpipとcondaの違いと使い分け|Anaconda・Miniconda・商用ライセンスで詳しく扱っています。
インストール後にカーネルが見えない・importできないときの確認手順
「インストールしたはずのライブラリがModuleNotFoundErrorになる」という相談は、ほぼすべてが環境のずれで説明できます。確かめる順番を決めておくと数分で片付きます。
jupyter kernelspec listで登録済みカーネルと参照先を確かめる手順
Jupyterのサーバーと、コードを実行するカーネルは別のプロセスです。カーネルがどのPythonを指しているかは、IPythonのカーネル登録手順にあるコマンドで確かめられます。
jupyter kernelspec list
python -m ipykernel install --user --name analysis --display-name "Python (analysis)"
jupyter kernelspec uninstall old-env
1行目の出力は、登録されているカーネル名と設定フォルダーの場所の一覧です。venvを作り直したのに古いカーネルが残っていると、削除済みの環境を指したままになります。その場合は3行目で古い登録を消し、2行目で登録し直してください。同じ--nameでの登録は上書き扱いです。ノートブックの中でimport sys; print(sys.executable)を実行すれば、いま動いているPythonのパスを直接確かめられます。
ノートブックからのpip installが別環境に入る原因と%pipの使い方
ノートブックのセルで!pip install pandasと書くと、PATH上で最初に見つかったpipが動きます。これがカーネルのPythonと違うと、インストールは成功したのにimportできない状態になります。
対策はセルで%pip install pandasと書くことです。%pipはIPythonのマジックコマンドで、いま動いているカーネルの環境に入れます。uvで管理しているプロジェクトなら、セルに!uv add pandasと書くとpyproject.tomlにも記録が残るので便利です。公式ガイドによると!uv pip installは記録されない一時的な追加なので、残したい依存はuv addで入れます。pandasそのものの使い方はPandasとは?できること・使い方とPandas 3.0の変更点にまとめています。
旧Notebook 6の拡張機能が動かないときのnbclassicへの切り替え
Notebook 6系から上げた環境で、以前使っていた拡張機能が表示されなくなることがあります。Notebook 7への移行ガイドは、7ではクラシック版の拡張やカスタマイズが動かない場合があると明記しています。
旧来の画面がどうしても必要な場合はpip install nbclassicでクラシック版を入れます。複数のインターフェースを併用する手順のとおり、同じサーバーでNotebookは/tree、JupyterLabは/lab、クラシック版は/nbclassic/treeで開けます。ただしこれは移行期間の逃げ道です。新しく作る環境では、JupyterLab向けに作り直された拡張を探す方が長く使えます。
社内でJupyter Notebookを使うときの配布方式と見送る場面の判断
個人の分析なら前章までで十分です。チームで使い始めると、入れ方より運用の決め事が問題になります。
個人PCにpipで入れてよい条件と共有サーバー化を見送る条件
個人PCへ各自がpipかuvで入れてよいのは、扱うデータが各自の端末に置いてよいもので、ノートブックを共有する手段がGitなどで決まっている場合です。依存をpyproject.tomlかrequirements.txtに書き出しておけば、別の人も同じ環境を再現できます。
見送るべきなのは、1台のPCやサーバーでNotebookを起動し、--ipを変えて同僚に開放する運用です。公式ドキュメントは公開サーバーの設定について、1ユーザー向けであり、複数人が接続するとコマンドが衝突し互いに上書きしうると警告しています。ユーザーごとにサーバーを分けたいなら、最初からJupyterHubが検討の対象です。構成と構築手順はJupyterHubとは?JupyterLabとの違い・構築手順で解説しています。
ノートブックの分析処理を業務システムへ移す段階で外部に相談する目安
ノートブックは試行錯誤には向きますが、毎朝決まった時刻に動かす、画面から担当者が操作する、結果を他のシステムへ渡す、といった段階に入ると限界が出ます。セルの実行順に依存したコードは、上から順に実行し直すと結果が変わることがあるためです。
目安は2つです。同じノートブックを週に何度も手で再実行しているなら、処理をPythonのモジュールとジョブに切り出す時期です。機械学習のモデルを業務の判断に使い始めるなら、学習と推論の分離、入力データの検証、精度の監視まで設計に含めます。社内に実装の担い手がいない場合は、生成AI開発・AI受託開発のように、試作したノートブックを起点に本番の仕組みへ作り替える支援を使う選択肢もあります。
よくある質問
Jupyter Notebookのインストールで検索されることの多い疑問に答えます。
Anacondaを入れずにJupyter Notebookだけを使えますか?
使えます。Python 3.10以上が入っていれば、venvを作ってpython -m pip install notebookを実行するだけです。Anacondaは数値計算用のライブラリを大量に同梱するため容量が大きく、組織での商用利用には利用規約上の条件もあります。必要なライブラリだけをpipやuvで足していく方が、環境の中身を把握しやすくなります。
Jupyter NotebookとJupyterLabはどちらを入れればよいですか?
notebookを入れればJupyterLabも依存として入るため、両方を試してから決められます。1つのファイルに集中して書くならNotebook、複数のノートブックやターミナル、データファイルを並べて作業するならJupyterLabが扱いやすい構成です。Notebook 7はJupyterLabの部品で作られているので、拡張機能の多くは両方で動きます。
「jupyter」コマンドが見つからないと表示されるのはなぜですか?
notebookを入れた環境が有効になっていないのが主な原因です。venvならActivate.ps1かsource .venv/bin/activateで有効化してから実行します。Windowsでpip install --userを使った場合は、スクリプトの置き場所がPATHに入っていないこともあります。uvで管理しているならuv run --with jupyter jupyter notebookのようにuv runを前に付けてください。
Jupyter Notebookを最新版にアップデートするにはどうしますか?
入れたときと同じ方法で更新します。pipならpython -m pip install --upgrade notebook、condaならconda update -c conda-forge notebookです。7.6系は依存するJupyterLabの版が4.6系に固定されているため、notebookだけを上げるとJupyterLabも合わせて更新されます。拡張機能を使っている場合は、更新前に対応版を確かめてください。
VS CodeでノートブックをJupyterなしで開けますか?
VS CodeのJupyter拡張でノートブックを開く場合、ブラウザーの画面は不要ですが、カーネルとしてipykernelが入ったPython環境は必要です。uvのプロジェクトならuv add --dev ipykernelで入れ、VS Codeのカーネル選択でプロジェクトの.venvを選びます。notebookパッケージそのものは入れなくても動きます。
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