PyCharmの最新安定版は2026.2.3(2026年9月18日公開・ビルド262.10968.92)です。2025.3で何が変わったか、その後の2026.1と2026.2で何が足されたか、uvの設定手順、版の確認と更新の方法を、2026年10月時点の情報で1本にまとめています。版番号と配信日はJetBrainsの公式リリースAPI(data.services.jetbrains.com)で確認した値で(2026年10月3日確認)、各版の変更点はPyCharmの公式新機能ページとリリースノートに基づいています。
まとめ:PyCharmの最新バージョンと更新・uv設定の要点
- 最新は2026.2.3(2026-09-18)。メジャー版は年3回(2025.3=2025-12-08、2026.1=2026-03-30、2026.2=2026-07-21)で、その間に月1回前後のパッチが出ます。
- Community Editionの単独配布は2025.2で終わり、2025.3から統合版PyCharmへ移行しました。従来のCommunity機能と基本的なJupyter Notebookは無料、リモートノートブックやSQLセルなどの上位機能はProサブスクリプションです。インストール直後の30日間はProを試用できます。
- uvは2024.3.2以降の環境タイプとして選べ、2025.3からはuvを検出すると新規プロジェクトの既定に提案されます。2026.1でSSH・WSL・Docker上のリモートuv、2026.2でuvワークスペースの既定対応が入りました。
- 2026.2の主な変更はdebugpyの既定化、Pyrefly型エンジンの統合、uv・Poetry・Hatchのマルチプロジェクト対応(ベータ)です。動作要件は総RAM 8GB(IDE用に3GBの空き)、Windows 10/11・macOS 15/26・主要Linuxです。
- 版の確認は
Help | About(macOSはPyCharm | About PyCharm)。更新は通常パッチ適用+再起動で済みますが、パッチが無いときは新しい版のインストールが必要です。Toolbox Appなら自動更新にできます。 - Ruff 0.16.5以降を使っている、または
UV_PROJECT_ENVIRONMENTを設定しているなら、どちらも2026.2.3で修正された不具合に当たるため、2026.2系は2026.2.3以降にしてください。
PyCharmのリリース履歴:2025.2から2026.2.3までの版と配信日
PyCharmの版番号は「年.通番」です。2025.3は2025年の3本目のメジャー版で、ビルド番号の先頭3桁(253=2025年3本目、261=2026年1本目、262=2026年2本目)と対応しています。
| 版 | 初版の配信日 | 最終パッチ(2026-10-03時点) | 主な変更 |
|---|---|---|---|
| 2026.2 | 2026-07-21 | 2026.2.3(2026-09-18) | debugpy既定化・Pyrefly統合・uvワークスペース |
| 2026.1 | 2026-03-30 | 2026.1.5(2026-08-13) | debugpy選択可・リモートuv・Web機能の無料化 |
| 2025.3 | 2025-12-08 | 2025.3.6.1(2026-07-29) | 統合版へ移行・uv既定化・LSPツール対応 |
| 2025.2 | 2025-08-04 | 2025.2.6.2(2026-07-29) | Community Editionが別配布だった最後の系列 |
旧系列にも届く修正パッチ
2026-07-29には2025.3.6.1・2025.2.6.2・2025.1.6.2の3本が同じ日に配信され、2026-04-30にも2025.2.6.1・2025.1.6.1・2024.3.6.1が同日に出ています。メジャー版を上げられない環境でも、同じ系列の最終パッチまでは当てられるということです。2025.3を使い続けるなら、少なくとも2025.3.6.1にしておきます。
PyCharm 2025.3の変更点:統合版への移行とuvの既定化
Community Editionから統合PyCharmへの移行
JetBrainsは2025年4月の発表で、PyCharm Community 2025.2 will be the final standalone versionとし、2025.3からCommunityユーザー全員を統合版に移すと告知しました。リリースAPIで見ると、Community用の配布コード(PCC)も2025.3では統合版と同じビルド253.28294.336を指しており、Community専用のビルドは2025.2系で止まっています。
統合版はインストール直後に30日間のPro試用が付き、試用が終わるとProを契約するか、無料の基本機能だけで使い続けるかを選びます。Communityで無料だった機能に加えて、基本的なJupyter Notebookも無料側に入りました。一方でリモートノートブック、動的テーブル、SQLセルはProの機能です。オープンソース部分のコードはGitHubで公開が続きます。
リモート開発のJupyterとLSPツール
2025.3ではリモート開発でJupyter Notebookを開き、編集し、実行できるようになりました。ノートブックをローカルへコピーせずにリモートマシン上で直接扱えますが、リモートノートブックはProの機能です。LSP連携はRuff・ty・Pyright・Pyreflyの4つに広がり、Astral製の型チェッカーtyや、Meta製のPyreflyの診断をエディタに出せます。tyの位置づけはty(旧Red-knot)とは?Astral製Python型チェッカーの使い方とmypy・Pyrightとの違いで扱っています。
pandasのDataFrameを自動で解析して欠損値などの品質問題を検出し、「Fix with AI」で修正コードを作る機能も入りましたが、こちらはPro限定です。
AIエージェント:JunieとClaude Agent
AIチャットの画面からJetBrains製のJunieと、AnthropicのClaude Agentを直接呼べるようになりました。JetBrainsはClaude Agentを、JetBrains IDEにネイティブ統合した最初のサードパーティ製エージェントと位置づけています。料金やAIクレジットの消費はJetBrains AI Assistantとは?料金・AIクレジット・使い方とGitHub Copilotとの違いにまとめています。
PyCharm 2026.1の変更点:debugpyとリモートuv
2026.1(2026-03-30)はデバッガとリモート環境に手が入った版です。
- debugpyを選べるデバッガ:Debug Adapter Protocol(DAP)に対応したdebugpyをバックエンドに選べるようになり、
debugpy.listen()で待ち受けるプロセスへつなぐ「Attach to DAP」実行構成が加わりました。 - リモートuv:SSH先・WSL・Dockerコンテナ上のuvをインタープリターとして使い、環境とパッケージを同期できます(Pro)。
- Google ColabとDev Containers:Google Colab対応が無料のコア機能として入り、Dev Container内のプロジェクトをローカルのIDEから直接開けるようになりました。
- Web機能の無料化:それまでPro限定だったJavaScript・TypeScript・CSSの主要機能とナビゲーションが全ユーザーに開放されました。
- ACP Registry:OpenCodeやGemini CLIなどのエージェントを数クリックで追加できます。OpenAI Codexの統合もこの版からです。自前のAPIキーを使うBYOKは、2025.3の時点でAI Free・AI Pro・AI Ultimateの利用者にも開放されています。
2026.1.1(2026-04-28)では、ファイルやフォルダー単位でインタープリターを切り替える機能、pyproject.tomlがルートに無いPoetry環境の認識、環境が見つからないプロジェクトを開いたときにuv環境の作成を提案する動作が入りました。
PyCharm 2026.2の変更点:uvワークスペースとPyrefly
2026.2(2026-07-21)で日々の使い勝手に効くのは次の4点です。
- debugpyが既定のデバッガに:2026.1では選択式だったdebugpyが、すべてのPythonプロジェクトとJupyterノートブックで既定になりました。
- uv・Poetry・Hatchのマルチプロジェクト(ベータ):2026.1.1で任意設定だったuvワークスペース対応が既定で有効になり、ワークスペースのメンバーと依存関係を自動で設定します。
- Pyrefly型エンジン:型推論・型診断・インレイヒントを組み込みエンジンの代わりにPyreflyへ任せ、大規模なコードベースの解析を速くします。2026.1.2で入った機能を2026.2で正式な目玉に据えたもので、対応はローカルインタープリターだけです(Docker・WSL・SSHとマルチモジュール構成は未対応)。
- uvxで動くツールの設定画面:Ruffなど
uvxで起動する外部ツールを、新しい設定UIからまとめて設定できます。
PythonからRustの拡張モジュールを書くためのRustプラグイン連携(ベータ・Pro)、エディタのミニマップ、自然言語からプロジェクトを生成するAI機能も加わりました。プロジェクト生成にはJetBrains AIのライセンスが要ります。
2026.2.1〜2026.2.3で入った変更
パッチ版にも挙動の変わる修正が含まれます。
| 版(配信日) | 主な変更 |
|---|---|
| 2026.2.1(08-12) | AIエージェントが.ipynbを作成・実行/marimo対応 |
| 2026.2.1(08-12) | Python 2.7・3.6・3.7のvenv新規作成を廃止 |
| 2026.2.2(09-07) | 辞書型の比較で固まる問題を修正 |
| 2026.2.3(09-18) | Ruff 0.16.5以降でのクラッシュループを修正 |
| 2026.2.3(09-18) | UV_PROJECT_ENVIRONMENT設定時もuv環境を作成可能に |
2026.2.1では利用の少ない同梱プラグインの切り離しと非推奨化も始まり、2026.1で無料のコア機能として入ったGoogle Colabプラグインも同梱から外れて、Marketplaceから別に入れる形になりました。AIエージェントがプロジェクトに設定したインタープリター(uv・Poetry・pip・conda)を使うようになり、パッケージがシステムのPythonに入る事故が減ります。
PyCharmでuvを使う設定手順
uvを環境タイプとして選べるのはPyCharm 2024.3.2以降です。PyCharm本体はuvを同梱しないため、先にuvを入れておきます。
新規プロジェクトのuv環境作成
- PATHにuvがある状態でPyCharmを起動し、New Projectを開きます。2025.3以降はuvを検出すると環境マネージャーの既定にuvが提案されます。ただし以前にvenv・Conda・Poetryなど別の環境マネージャーを選んでいた場合は、その選択が既定として残ります。
- 一覧からPythonのバージョンを選びます。
- 作成するとプロジェクト直下に
pyproject.tomlと.venvができます。uvで管理するプロジェクトでは、実行構成の既定コマンドもuv runになります。
既存プロジェクトに後からuv環境を足す場合は、Settings | Python | Interpreter(Ctrl+Alt+S)で「Add Interpreter」から「Add Local Interpreter」を選び、環境タイプのリストでuvを選びます。uvの実行ファイルを自動検出できないときは、パスを手で指定します(macOSのHomebrewなら/usr/local/bin/uvか/opt/homebrew/bin/uv)。
コマンドラインで作成したuvプロジェクトの読み込み
先にターミナルでプロジェクトを作ってからPyCharmで開く場合は、uv syncで.venvを作っておき、Add Interpreterのuvで「既存の環境」を選びます。uv 0.11.31での実行結果は次のとおりです。uv add requestsは版を固定しないため、入るrequestsの版と表示されるパスは実行する時期と場所で変わります。
$ uv init demo --python 3.13
Initialized project `demo` at `/private/tmp/pcuv/demo`
$ cd demo
$ uv add requests
+ requests==2.34.2
$ uv run python -c "import requests,sys;print(requests.__version__, sys.executable)"
2.34.2 /private/tmp/pcuv/demo/.venv/bin/python3
uv addの時点で.venvとuv.lockが作られます。PyCharmでは.venv/bin/python3(Windowsは.venv\Scripts\python.exe)が既存の環境として表示されます。依存管理をPoetryとuvのどちらにするかで迷う場合はPoetryとは?Python依存管理の仕組みと2.4系の使い方・uvとの選定基準が判断材料になります。
uvでつまずきやすい3つの設定
UV_PROJECT_ENVIRONMENT:この環境変数を設定すると、uvは.venvではなく指定先に環境を作ります。手元でUV_PROJECT_ENVIRONMENT=/tmp/pcuv/altenv uv syncを実行すると、/tmp/pcuv/altenv/bin/pythonが作られました。この変数を設定しているとPyCharmが新しいuv環境を作れない不具合(PY-83666)は2026.2.3で修正されたので、使っている場合は2026.2.3以降にします。
ワークスペース:プロジェクト内でuv init packages/core --libを実行すると、ルートのpyproject.tomlに[tool.uv.workspace]のmembersが追加されます。この構成を開いたときにメンバーと依存関係を自動で設定する機能は、2026.1.1で任意設定のベータとして入り、2026.2で既定で有効になりました。2026.1以前(2026.1.1で機能を有効にしていない場合を含む)は手動の設定が必要です。
リモート環境:SSH・WSL・Docker上のuvをインタープリターにできるのは2026.1以降のPro機能です。2025.3以前でリモートを使うなら、リモート側でuv syncした.venvのPythonを通常のリモートインタープリターとして登録します。
PyCharmのバージョン確認とアップデート手順
使っている版はHelp | About(macOSはPyCharm | About PyCharm)で確認できます。表示されるビルド番号(例:262.10968.92)の先頭3桁で系列がわかります。
更新の自動確認と通知は既定で有効です。自動確認の有効・無効とチャネルはSettings | Appearance & Behavior | System Settings | Updatesで変えられ、チャネルは次の3つです。
- Stable Releases:本番向けの安定版だけ。通常はこれを選びます。
- Beta Releases or Public Previews:安定版に加えてRCとベータ版。
- Early Access Program:次のメジャー版のEAPビルドを含むすべて。
更新は通常パッチとして既存のインストールに当たり、IDEの再起動だけで済みます。パッチが提供されない場合は、新しい版をインストールし直す必要があります。社内ネットワークなどで外部へのHTTPアクセスが無い場合も、更新の確認とパッチ適用ができないため、新しい版をダウンロードして手動で入れます。Toolbox Appで入れた場合は、Toolboxの設定で全ツールの自動更新を有効にできます。Linuxでメジャー版を上げるときは、既存のディレクトリに上書きせず、ダウンロードしたtarballを空のディレクトリに展開するようヘルプは指示しています。別インスタンスとして入れて設定を移すときは「Backup and Sync」プラグインを使います。
2026.2へ上げる前に確認したい3つの条件
2025.3のまま止めている環境で、上げるか待つかは次の条件で決めます。
2026.2.3を指定して上げるべきなのは、Ruff 0.16.5以降を使っている場合と、UV_PROJECT_ENVIRONMENTを設定している場合です。Ruff 0.16.5以降でのクラッシュループと、この変数の設定時にuv環境を作れない問題は、どちらも2026.2.3で修正されました。uvワークスペースで複数パッケージを管理しているなら、自動設定が既定で効く2026.2のほうが手間が減ります。
待ったほうがよいのは、Python 3.7以前のvenvをIDEの画面から新しく作る運用に頼っている場合です。2026.2.1からPyCharmは2.7・3.6・3.7のvenvを新規作成しなくなりました。既存の環境は使え、コマンドラインで作った環境をIDEに手動で追加することもできるので、この手順に切り替えられるなら更新を止める理由にはなりません。同梱プラグインの切り離しも2026.2.1から始まっているため、Google Colabなど業務で使うプラグインがある場合は、Marketplaceで2026.2系への対応を確かめてから上げます。PyreflyをDockerやWSLのインタープリターで使う予定なら、型エンジンとしては使えない点も織り込んでおきます。
デバッガの既定がdebugpyに変わった点も見落としやすい変更です。2026.1.1ではdebugpyで.envファイルの環境変数が渡らない不具合(PY-88628)が直されており、debugpyでの挙動に違いが出たら最新パッチで確認します。
よくある質問
PyCharm Community Editionはまだ使えますか?
手元の2025.2系はそのまま使えますが、Community専用の配布は2025.2系で終わり、2025.3以降は統合版PyCharmに移行しています。統合版でも基本機能とJupyter Notebookは無料で使えます。
無料のPyCharmは商用の開発に使えますか?
使えます。JetBrainsのFAQは無料のIntelliJ IDEAとPyCharmでプロプライエタリ・商用ソフトウェアを開発してよいと明記しています。ただし同じFAQは同梱の商用プラグインの条件とCommunity Edition Termsの確認も求めています。非商用無料のWebStormやRustRoverなどとは条件が違います。
PyCharmのインタープリター追加画面にuvが出てこないのはなぜですか?
PyCharm 2024.3.2より前の版ではuvを環境タイプとして選べないので、まずHelp | Aboutで版を確認します。2024.3.2以降なら、「Add Interpreter」から「Add Local Interpreter」を開いた画面の環境タイプ一覧にuvがあります。uvを選んだあと実行ファイルが検出されない場合は、uvのパス(which uvの結果)を手で指定します。
PyCharmを日本語化するには?
日本語・中国語・韓国語の言語パックは同梱され、既定で有効です。言語はSettings | Appearance & Behavior | System Settings | Language and Regionで切り替えます。IntelliJ系IDE共通の手順と、切り替わらないときの対処はIntelliJ IDEAの日本語化|2024.2以降の設定手順とできない時の対処・英語への戻し方にまとめています。
PyCharmでJupyter Notebookを使うには何が必要ですか?
2025.3以降の統合版なら、無料のままJupyter Notebookを開いて実行できます(リモートノートブックはPro)。Jupyter一式を環境に入れておきたい場合、uvならuv add jupyterで入ります。Jupyter自体の入れ方はJupyter Notebookのインストール手順|7.6系をpip・uv・condaで入れる方法で解説しています。