ネオクラウド(neocloud)は、AIの学習・推論に使うGPU計算の提供に特化したクラウド事業者の総称です。米調査会社Synergy Researchは「AIワークロード向けに、GPU中心の高性能コンピューティングを提供するために専用設計されたクラウド」と定義し、2025年の売上を250億ドル超と集計しました(2026年4月2日発表)。代表格は米国のCoreWeave、オランダのNebius、ビットコイン採掘から転じたIRENで、日本ではさくらインターネット・KDDI・ハイレゾなどが経済産業省の助成を受けてGPUクラウドを整備し、ソフトバンクも自社のGPUクラウドを「ネオクラウド事業」と位置づけています。この記事では、ハイパースケーラーとの違い、技術の中身、主要企業の最新決算、国内の事業者と関連銘柄、GPU単価の比較、そして使う側の判断基準を順に整理します。
まとめ:ネオクラウドの定義と押さえるべき数字
- 定義:GPU計算の提供を事業の中心に据えたクラウドです。AWS・Microsoft Azure・Google Cloudのようなハイパースケーラーが数百のサービスを並べるのに対し、ネオクラウドはGPU計算を中心に、高速ネットワークやストレージ、Kubernetes、マネージド推論などを提供します。
- 市場:Synergy Researchによると、2025年10〜12月期の売上は90億ドルで前年同期比223%増、2025年通年で250億ドルを超えました。2031年に4,000億ドル近く(年平均58%成長)まで伸びると予測しています。
- 主要企業:Synergyが名前を挙げるのはCoreWeave、Crusoe、Core Scientific、Lambda、Nebius、Nscaleの6社です。CoreWeaveの2026年4〜6月期の売上は25.75億ドル、受注残は約1,040億ドルに達しています。株式市場では、CoreWeave・Nebius・IREN(Microsoftと約97億ドルの5年契約)の3社が並べて比較されます。
- 日本:経済安全保障推進法の「クラウドプログラム」で、さくらインターネット・ソフトバンク・KDDI・ハイレゾ・GMOインターネットグループ・RUTILEA・ゼウレカのGPUクラウド整備が認定されました。最大助成額はさくらインターネットの2件で計約569億円です。ソフトバンクは「AIデータセンター GPUクラウド」を2026年10月から提供すると発表し、KDDIは同年1月に大阪堺のAIデータセンターを稼働させました。
- 使う側の判断:数百〜数千基のGPUを数か月以上まとめて使う学習や、GPU単価がコストの大半を占める推論ではネオクラウドが候補になります。GPUがシステムの一部にすぎず、データベースや認証など他のマネージドサービスと密に組む場合はハイパースケーラーのほうが合います。
以下、定義と違いから順に根拠を示します。
ネオクラウドとハイパースケーラーの違い:提供範囲・GPU・契約形態
違いは「何を売るか」に集約されます。ハイパースケーラーは仮想マシン・データベース・機械学習基盤・業務アプリまで揃えた総合デパートで、GPUはその品目の一つです。ネオクラウドはGPU計算を中心にAI向けサービスを提供する専門事業者で、GPU貸与に加え、マネージド推論や開発・運用基盤を提供する企業もあります。Nebiusの2026年4〜6月期は、AIクラウド事業が売上の98%を占めました。
| 観点 | ハイパースケーラー | ネオクラウド |
|---|---|---|
| 代表例 | AWS・Azure・Google Cloud | CoreWeave・Nebius・Lambda |
| 提供範囲 | 数百のマネージドサービス | GPU計算と周辺基盤 |
| GPUの割り当て | 仮想マシン単位が中心 | ベアメタル・GPU仮想マシン等 |
| ノード間通信 | 独自ネットワーク(EFA等) | InfiniBand・Spectrum-X |
| 主な契約 | 従量課金+割引プラン | 複数年の容量予約 |
| 主な顧客 | あらゆる業種の企業 | AI開発企業・ハイパースケーラー自身 |
最後の行は見落とされがちです。CoreWeaveが上場時に開示した資料では、2024年の売上の62%がMicrosoft向けでした。ハイパースケーラーは競合であると同時に、自社のGPU不足を補うためにネオクラウドから容量を買う最大の顧客でもあります。ハイパースケーラー側の定義や3社の違いはハイパースケーラーの定義と技術的特徴で整理しています。
Ciscoは利用形態を、期間を決めて確保するリザーブドインスタンス、従量課金のオンデマンドインスタンス、インフラを意識せず使うサーバーレスの3つに分類しています。長期予約は継続的な学習・推論に、オンデマンドは数基から試す用途に向きます。
ネオクラウドを支える技術:ベアメタルGPU・InfiniBand・液冷
ネオクラウドの技術は、数千基のGPUを1台の計算機のように動かすことに向けて組まれています。汎用クラウドとの差が出るのは次の3か所です。
ベアメタル提供とKubernetesによるGPUの割り当て
汎用クラウドは物理サーバーの上にハイパーバイザーを置き、複数の利用者に仮想マシンとして切り分けます。ネオクラウドの提供方式は事業者によって異なります。CoreWeaveはKubernetesベースのマネージドサービス「CoreWeave Kubernetes Service(CKS)」を中核に置き、ベアメタルのGPUノードをKubernetesから割り当てます。Slurmで学習ジョブを流す構成も用意しています。一方、NebiusはGPU付き仮想マシンも提供しており、マネージドのKubernetesとSlurmも選べます。CKSのように仮想化層を挟まない構成では、GPUドライバやNCCLの設定を利用者側で詰めやすく、障害が起きたノードを特定しやすい点が学習用途で効きます。仮想化の仕組み自体はハイパーバイザーのType1・Type2の違いで解説しています。
InfiniBandとEthernet(Spectrum-X)の違い
大規模な分散学習では、GPU間で勾配を毎ステップ集約するため、ノード間の通信遅延がそのまま学習時間に乗ります。そのためネオクラウドはNVIDIAのInfiniBand(Quantum系スイッチ)でGPUサーバー同士をつなぐ構成を標準にしてきました。InfiniBandはRDMAで相手のメモリへ直接書き込み、輻輳制御もスイッチ側に組み込まれています。一方、NVIDIAはEthernetベースのSpectrum-Xも用意しており、既存のEthernet運用に寄せたい事業者はこちらを選びます。利用者から見ると、数十ノードを超える学習ジョブを流すなら、インターコネクトの種類、GPUあたりの帯域、ノード全体の総帯域を見積もり段階で確認し、対象モデルの通信量と実測した学習時間で評価する必要があります。
液冷と電力確保がボトルネックになる理由
NVIDIAのGB200 NVL72は、72基のBlackwell GPUを1ラックにまとめた液冷前提の製品です。空冷のラックを前提にした従来のデータセンターでは受け入れられないため、ネオクラウドは液冷設備と大容量の受電を備えた拠点を新設するか、電力を確保済みの施設を転用してきました。Core ScientificやCrusoeのように暗号資産マイニング用の電力と用地を持っていた事業者がこの市場に入れたのはそのためです。CoreWeaveは2026年4〜6月期だけで稼働電力を約500MW増やして1.5GWとしており、事業規模の指標がGPU数から「何MW確保したか」に移っています。
ネオクラウド市場の規模と成長の数字
市場規模の一次データとして、ここではSynergy Researchの集計を参照します。2026年4月2日の発表では、2025年10〜12月期の売上が90億ドル(前年同期比223%増)、2025年通年が250億ドル超でした。予測は「2031年に4,000億ドル近く、年平均成長率58%」です。
同社は2025年10月時点では「2030年に1,800億ドル近く、年平均69%」と予測していました。両発表では予測年だけでなく事業者の分類説明も異なります。2025年版はOpenAIをネオクラウドに含め、2026年版は別カテゴリーとして説明しています。予測年も集計範囲も違うため、2つの数字は単純な上方修正とは読めません。予測は調査会社の推計であり、GPU調達や電力の制約が解けなければ下振れします。
クラウド市場全体の中での位置も確認しておきます。Synergyの2026年1〜3月期の集計では、クラウドインフラ市場は1,290億ドル(前年同期比35%増)で、売上上位30社のうち5社がネオクラウドでした。上位3社のシェアはAWS 28%・Microsoft 21%・Google 14%です。Synergyのチーフアナリストは、ネオクラウドがすでにクラウド市場全体の5%を占め、AI関連の分野ではさらに大きな割合を持つと述べています。
海外の主要ネオクラウド:CoreWeave・Nebius・IRENの最新決算と各社の特徴
CoreWeave:受注残1,040億ドルと顧客集中のリスク
CoreWeave(Nasdaq: CRWV)は2017年に暗号資産マイニングから始まり、GPUクラウドへ転換した米国企業です。2025年3月に上場しました。2026年8月11日に発表した2026年4〜6月期決算は次のとおりです。
| 項目 | 2026年4〜6月期 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 25.75億ドル | 12.12億ドル |
| 受注残(6月末) | 約1,040億ドル | – |
| 調整後EBITDA | 15.10億ドル(59%) | – |
| 純損益 | 6.26億ドルの赤字 | – |
| 有形固定資産の取得(現金支出) | 64.22億ドル | 24.53億ドル |
受注残には、7〜9月期の初めに追加された250億ドル超の新規契約は含まれていません。同社は2026年通期の売上見通しを124億〜132億ドルとしています。2026年9月30日には、NVIDIAの次世代基盤Vera Rubin NVL72の限定提供を始めました(Rubinの仕様はNVIDIA Rubinの7チップ構成と出荷時期を参照)。10月7日にはAdaniConneXと組んでインドに進出し、ナビムンバイで240MWの容量を整備する計画を発表しています。
リスクは2つあります。1つは顧客の偏りで、前述のとおり2024年は売上の62%がMicrosoftでした。もう1つは借入への依存です。GPUを担保にした融資(GPU financing)で設備を買い、長期契約の売上で返す構造のため、純損失が続く中で金利や契約の更新条件が悪化すると返済計画に響きます。「コアウィーブの将来性」を判断するなら、受注残の伸びと同時に、上位顧客の比率と負債の推移を四半期ごとに見る必要があります。
Nebius:ARR30億ドルとMicrosoft・Metaとの契約
Nebius Group(Nasdaq: NBIS)はオランダに本社を置き、旧Yandexの国外事業を母体にしています。2026年8月12日にSECへ提出した決算資料では、2026年4〜6月期の売上が5.823億ドル(前年同期比454%増)、6月末のARRは30億ドルでした。ここでのARRは、Nebius AIクラウドの6月の売上を12倍した年換算売上ペースを指します。CoreWeaveと並べて検索されることが多い企業ですが、売上規模はCoreWeaveの4分の1弱で、成長率ではNebiusが上回っています。
成長を支えているのはハイパースケーラーとの大型契約です。Microsoftとは2031年までの5年契約で総額約174億ドル(追加容量を含めると約194億ドル)を結び、約束した容量はすべて引き渡し済みです。Metaとは2025年11月に5年・約30億ドル、2026年3月16日に2件目の5年契約(最大約270億ドル)を結び、2件目の容量は2027年初めに稼働する予定です。CoreWeaveと同じく、少数の大口顧客に売上が集まる構造である点は変わりません。設備の資金は借入でも賄っており、2026年10月22日にはCitiから35億ドルの優先担保付き融資枠を得たと発表しました。
IREN:Microsoftとの97億ドル契約とビットコイン採掘からの転換
IREN(Nasdaq: IREN、旧Iris Energy)はオーストラリア発の事業者で、再生可能エネルギーで動かすビットコイン採掘のデータセンターをAIクラウドへ切り替えています。転機は2025年11月3日に発表したMicrosoftとの契約で、NVIDIA GB300を5年間提供し、総額は約97億ドル(うち20%は前払い)です。GPUはテキサス州チルドレスの750MWの敷地に、液冷のデータセンターと合わせて2026年中に段階的に入れる計画でした。
2026年8月27日の決算発表では、2026年4〜6月期のAIクラウド売上が7,050万ドルで、全社売上1億3,720万ドルの半分を超えました。2026年分の容量で契約済みのARRは40億ドル、発表時点で稼働しているARRは10億ドルです。同じ期にはビットコイン採掘機の除却などで4.5億ドルの非現金減損を計上し、純損失は6.84億ドルでした。売上が採掘からAIへ入れ替わる途中の会社であり、CoreWeaveやNebiusと同じ物差しで売上規模を比べるとまだ一桁小さい点に注意が必要です。
Lambda・Crusoe・Core Scientific・Nscaleの立ち位置
残る4社は出自で分けると理解しやすくなります。Lambdaは研究者向けのGPUワークステーションから始まり、数基単位のオンデマンド提供に強い事業者です。非上場ですが、2026年10月1日には約10億ドルの借入(固定金利6.78%)を発表しており、各社ともGPUの購入を借入で賄う点は共通です。CrusoeとCore Scientificは暗号資産マイニングの電力・用地を転用してAIデータセンターに参入しました。Nscaleは英国発で、欧州域内でのGPU提供を掲げています。個人や小規模チームが数基だけ借りる用途では、これらに加えてRunpodのような秒課金のGPUクラウドも選択肢に入ります。
日本のネオクラウド事業者と経産省クラウドプログラム
「ネオクラウド 日本」で探される国内事業者は、経済安全保障推進法に基づく経済産業省の「クラウドプログラム」の認定一覧を見るのが確実です。GPUクラウドの整備で認定された計画と最大助成額は次のとおりです(経済産業省「クラウドプログラム」、最終更新2024年5月10日)。
| 事業者 | 認定日 | 最大助成額 |
|---|---|---|
| さくらインターネット | 2023年6月16日 | 約68億円 |
| ソフトバンク | 2023年7月7日 | 約53億円 |
| ゼウレカ | 2023年11月2日 | 約11億円 |
| GMOインターネットグループ | 2024年4月15日 | 約19.3億円 |
| さくらインターネット | 2024年4月15日 | 約501.0億円 |
| RUTILEA・AI福島 | 2024年4月19日 | 約25.6億円 |
| KDDI | 2024年4月19日 | 約102.4億円 |
| ハイレゾ・ハイレゾ香川 | 2024年4月19日 | 約77.0億円 |
| ソフトバンク | 2024年5月10日 | 約421.0億円 |
サービス名で言えば、さくらインターネットは「高火力」シリーズ、ハイレゾは「GPUSOROBAN」、GMOインターネット(GMOインターネットグループの事業会社)は「GMO GPUクラウド」を提供しています。さくらインターネットは生成AIのAPIを従量課金で使えるさくらのAI Engineも出しており、GPUを借りずにモデルだけ使いたい場合はこちらが入口になります。
ネオクラウド関連の上場企業と証券コード
「ネオクラウド 銘柄」で探される企業を、GPUクラウドを提供している事業会社と、その事業会社への出資企業に絞ると次のとおりです。ハイレゾ・RUTILEA・Lambda・Crusoe・Nscaleは非上場です。
| 企業 | 市場・コード | GPUクラウドとの関係 |
|---|---|---|
| さくらインターネット | 東証 3778 | 高火力シリーズ |
| KDDI | 東証 9433 | 大阪堺DC・GB200 NVL72 |
| ソフトバンク | 東証 9434 | AIデータセンター GPUクラウド |
| GMOインターネット | 東証 4784 | GMO GPUクラウド |
| GMOインターネットグループ | 東証 9449 | GMOインターネットの親会社 |
| ソフトバンクグループ | 東証 9984 | SB Neo(2027年度開始予定)に49%出資 |
| CoreWeave | Nasdaq CRWV | GPUクラウド専業 |
| Nebius Group | Nasdaq NBIS | GPUクラウドが売上の98% |
| IREN | Nasdaq IREN | 採掘からAIクラウドへ転換中 |
国内の提供会社はいずれも通信・ホスティングなど本業の売上が大きく、GPUクラウドの比率は小さいため、株価がGPU事業だけで動くわけではありません。米国3社は売上の大半か、増えている部分がGPUクラウドです。投資判断には各社の決算資料で、GPUクラウドの売上・設備投資・借入を確認してください。
日本GPUアライアンスによる相互再販
KDDI・さくらインターネット・ハイレゾの3社は、2025年10月21日に「日本GPUアライアンス」の設立を発表しました。KDDIのGB200 NVL72、さくらインターネットの高火力、ハイレゾのGPUSOROBANを相互に再販し、利用者はモデルの規模や予算に応じて3社のGPUを1つの窓口から選べます。1社の在庫が埋まっていても他社の容量に回せるため、国内事業者の弱点だった「必要な時期にまとまった基数を確保できない」問題への対策です。
ソフトバンクのGPUクラウド・SB Neoとデータ主権の論点
国内の通信大手は、GPUクラウドをネオクラウド事業として打ち出し始めています。ソフトバンクは2026年5月25日の発表で、自社のソフトウエア基盤「Infrinia AI Cloud OS」を載せた「AIデータセンター GPUクラウド」を2026年10月から提供するとし、注記でネオクラウドを「高性能なGPU中心のインフラとAIネイティブサービスを提供する大規模なAIワークロードに特化したクラウドプラットフォーム群」と定義しました。国内のデータセンターに置いたGB200 NVL72を、マルチテナントのKubernetes as a Serviceと推論APIで提供する構成です。KDDIは2026年1月22日に大阪堺データセンターを稼働させ、シャープ堺工場跡地の電力・冷却設備を再利用してGB200 NVL72などを動かしています。
ソフトバンクは2026年7月2日、米国でネオクラウド事業を行う「SB Neo, Inc.」(仮称)を米デラウェア州に設立すると発表しました。出資比率はソフトバンク51%・ソフトバンクグループ49%で、サービス開始は2027年度の予定です。ソフトバンクグループが整備中の10GW規模のエネルギー・AI基盤を使い、ハイパースケーラーを含む米国の大企業に、大規模なAIモデルの学習・推論に使う計算資源を提供する計画です。
国内のネオクラウドが候補になるのは、主にデータを日本の法域で管理する必要があるときです。学習データや推論ログを日本の法律の下に置きたい、あるいは官公庁や金融の調達要件で国内拠点が求められる案件では、海外事業者の東京リージョンだけでは条件を満たさないことがあります。データの保管場所に加え、契約の相手方となる法人、契約の準拠法、運用を担う主体がどこの国かを確認します。この論点はソブリンAIの意味と日本の政策とソブリンクラウドとガバメントクラウドの違いで詳しく扱っています。
H100・H200・B200のオンデマンド単価比較(2026年10月時点)
ネオクラウド3社は公式サイトでオンデマンドの時間単価を公開しています。1GPU・1時間あたりに揃えると次のとおりです(2026年10月24日に各社の価格ページで再確認、米ドル)。
| GPU | CoreWeave | Lambda | Nebius |
|---|---|---|---|
| H100 | 6.16 | 3.99 | 4.50 |
| H200 | 6.31 | – | 5.40 |
| B200 | 8.60 | 6.69 | 8.50 |
CoreWeaveは8GPUノードの時間単価(H100で49.24ドル)を8で割った値、Lambdaは8GPU構成の1GPU単価(1GPUだけ借りるとH100は4.29ドル)、Nebiusは2026年10月1日から適用の単価です。同じH100でも1.5倍の開きがあり、オンデマンド単価だけを見るとCoreWeaveが最も高くなります。CoreWeaveの売上の中心は受注残に積み上がる長期契約で、オンデマンドの表示価格は長期契約の単価とは別物です。出典はCoreWeaveの料金ページ、Lambdaの料金ページ、Nebiusの料金ページです。価格は改定されるので、見積もり前に最新値を確認してください。Nebiusは2026年10月21日にGPUのライブスポット価格の公開を発表しており、中断を許容できるジョブならオンデマンドより安い枠も比較対象になります。
月額への換算は単純な掛け算です。64基のH100を30日間止めずに使った場合、最も高い社と安い社の差は月約10万ドルです。
# 1GPU時間あたりのオンデマンド単価(米ドル、各社公式価格ページ 2026年10月24日時点)
prices = {
"CoreWeave H100": 49.24 / 8, # 8GPUノードの時間単価を1GPUに換算
"Lambda H100": 3.99, # 8GPU構成の1GPU単価
"Nebius H100": 4.50, # 2026年10月1日以降の単価
}
gpus = 64 # 使うGPUの基数
hours = 24 * 30 # 30日間フル稼働
for name, per_gpu_hour in prices.items():
monthly = per_gpu_hour * gpus * hours
print(f"{name}: {per_gpu_hour:.2f} USD/GPU時 -> 月額 {monthly:,.0f} USD")
# 出力
# CoreWeave H100: 6.16 USD/GPU時 -> 月額 283,622 USD
# Lambda H100: 3.99 USD/GPU時 -> 月額 183,859 USD
# Nebius H100: 4.50 USD/GPU時 -> 月額 207,360 USD
実際の見積もりでは、CPU・メモリ・ローカルストレージの付帯量、ネットワーク構成、対象リージョンを揃え、別料金のストレージ・データ転送・税金と予約割引を確認します。オンデマンドで1〜2週間動かして1エポックの所要時間とGPU使用率(nvidia-smiでのGPU使用率の記録方法)を測り、その時間から総GPU時間を出してから長期予約の見積もりを取るのが、過大な容量を契約しない手順です。
ネオクラウドを選ぶ場面・選ばない場面の判断基準
ネオクラウドはGPU計算に特化したクラウドですが、費用はGPUの使用期間・基数・周辺サービスとの結合度で変わり、すべてのAI案件で得をするわけではありません。判断は次の順で行うと迷いません。
- GPUの使用期間と基数:継続利用する学習では、予定基数と稼働時間を示して長期予約を見積もります。最低契約期間、割引率、未使用容量への課金条件から損益分岐点を計算します。数基を数日だけ使う検証では、単価差に基数と稼働時間を掛けて差額を計算し、環境構築や移行にかかる費用と比較します。
- GPU以外のサービスとの結合度:推論APIの前段に認証・データベース・キュー・監視をハイパースケーラーのマネージドサービスで組んでいるなら、GPUだけ外に出すとデータ転送料とネットワーク遅延が増えます。
- 可用性の要件:SLAの稼働率、リージョンの数、障害時の切り替え先を確認します。利用可能なリージョンや代替容量は事業者ごとに異なります。単一拠点に依存する構成では、その拠点の障害で停止するため、データ複製と切り替え先の確保を確認します。
- データの所在と契約:学習データの保存場所、契約の準拠法、契約期間中のGPU世代の入れ替え条件を確認します。
採用すべきでない典型は、月数十時間しかGPUを使わない社内向けのRAGやチャットボットです。この規模では、まずAPI課金のモデルと比べます。対象モデル、入出力トークン量、データを外部に出せるかを確認し、APIの費用がGPUの稼働費と運用費の合計を下回るならAPIを選びます。逆に、自社でモデルを継続的に学習する企業が、ハイパースケーラーのGPUだけで容量を確保しようとして数か月待つのは機会損失です。既存の認証・データベースなどをハイパースケーラーで運用し、学習用GPUの確保が課題の場合は、学習をネオクラウドへ分ける構成を候補にします。ハイパースケーラー側の設計から見直す場合はAWS・Google Cloud・Azureのインフラ構築支援のような外部の支援も使えます。採用前にデータ転送費と運用負担を比較します。
もう1点、長期予約には世代交代のリスクがあります。2026年後半にはVera Rubinの提供が始まっており、3年契約でH100を確保した場合、契約の後半は1世代以上古いGPUを同じ単価で使い続けることになります。契約前に、世代の入れ替えや途中解約の条件を必ず確認してください。
よくある質問
ネオクラウドとは何ですか?
AIの学習・推論に使うGPU計算の提供に特化したクラウド事業者のことです。AWSやAzureのように多数のサービスを揃えるのではなく、GPUサーバーや高速ネットワーク、Kubernetesなどを中核とし、事業者によってはマネージド推論やサーバーレス実行環境も提供します。Synergy Researchは「AIワークロード向けにGPU中心の高性能コンピューティングを提供するために専用設計されたクラウド」と定義しています。
ネオクラウド御三家とはどの企業ですか?
公式に定まった「御三家」という区分はありませんが、米国に上場しているCoreWeave・Nebius・IRENの3社がまとめて挙げられることが多く、NTTコミュニケーションズのコラムはこの3社を「ネオクラウド三銃士」と紹介しています。2026年4〜6月期の売上は、CoreWeaveが25.75億ドル、Nebiusが5.823億ドル、IRENのAIクラウドが7,050万ドルで、規模には大きな差があります。調査会社のSynergy Researchが主要事業者に挙げる6社(CoreWeave・Crusoe・Core Scientific・Lambda・Nebius・Nscale)にはIRENは入っていません。
日本のネオクラウド事業者・関連銘柄はどこですか?
経済産業省のクラウドプログラムでGPUクラウドの整備を認定された事業者は、さくらインターネット、ソフトバンク、KDDI、ハイレゾ、GMOインターネットグループ、RUTILEA、ゼウレカです。このうち上場企業はさくらインターネット(3778)、KDDI(9433)、ソフトバンク(9434)、GMOインターネットグループ(9449)です。GMOのGPUクラウドを現在提供しているのは事業会社のGMOインターネット(4784)で、SB Neoに出資するソフトバンクグループ(9984)を含めることもあります。いずれも本業の売上が大きく、GPUクラウドの比率は決算資料で確かめる必要があります。
世界5大クラウドはどこですか?
Synergy Researchの2026年1〜3月期のシェアでは、AWS(28%)、Microsoft(21%)、Google(14%)が上位3社です。「5大」を売上上位5社という意味で使う場合は、対象四半期と、IaaS・PaaSなどの集計範囲を指定する必要があります。同社は第2グループのうち成長率が高い事業者として、Oracle・CoreWeave・Crusoe・Nebiusのほか、OpenAI・Anthropic・ByteDanceを挙げていますが、この列挙は売上順位の4位以下を示したものではありません。ネオクラウドは売上上位30社に5社が入る段階です。
「ネオクラウド」という会社はありますか?評判は?
この記事のネオクラウドはGPUクラウド事業者の総称で、特定の1社を指す言葉ではありません。同じ名前の「ネオクラウド株式会社」(東京都港区)は別の会社で、会社概要ではWebコンサルティング、システム開発、AIサポートなどを事業内容に挙げており、GPUクラウドの提供は記載されていません。「ネオクラウドの評判」を調べる場合は、会社名と業界用語のどちらを指しているかで、見るべき情報が変わります。