TryHackMeは、脆弱性を仕込んだ仮想マシンへブラウザのAttackBoxか自分の端末からのOpenVPN接続で入り、攻撃と防御の手順を実際に打って学ぶ、2018年に英国で創業したセキュリティ演習サイトです。トップページの公称は登録学習者8,000,000人・演習ラボ1,000以上で、無料アカウントでもAttackBoxを1日1時間動かせます。この記事では、登録からTutorialルームでフラグを出すまでの始め方、2025年4月の学習パス再編後に進む順序、英語のサイトを日本語で使う方法、無料枠とPremium・MAXの料金、VPNがつながらないときの切り分けを、公式のヘルプと料金ページの記述に沿って整理します。
まとめ:TryHackMeの始め方と無料・有料の線引き
操作を試す段階なら無料アカウントで始められます。登録後にTutorialルームでフラグ提出の流れを覚え、学習パスは「Pre Security」から「Cyber Security 101」へ進めます。ネット上の解説でよく勧められる「Complete Beginner」は2025年4月2日に廃止され、Cyber Security 101へ統合されました。
有料に移る目安は、有料ルームを含む学習パスを修了したいとき、またはAttackBoxを1日1時間以上使いたいときです。Premiumは月払い€16.99、年払いなら月€10.50相当で、初級パス全体とAttackBox無制限が付きます。時間制限を外すだけなら、無料のまま自分の端末からOpenVPNで接続する方法もあります。OpenVPNはラボの10.x.x.x帯だけを通す構成なので、VPNを張ったから外部への通信も隠れる、という前提は持たないでください。
サイトとルームは英語です。ブラウザ翻訳で読めますが、コマンドとフラグは訳さずに原文のまま扱います。社内育成に使う場合は「手順の型を覚える道具」であり、自社システムの診断の代わりにはならない、という線引きを先に決めておくと導入が機能します。
TryHackMeの仕組み|ルーム・学習パス・フラグ提出
教材の基本単位はルームです。関連するルームがモジュールにまとめられ、それらを順に学ぶ構成が学習パスです。ルームは解説テキストと設問、それに紐づく脆弱なマシンで構成され、設問の多くはマシンを操作して取り出したフラグ文字列(例:THM{...})を入力して答えます。
- 解説付きのルーム:手順が本文に書かれており、コマンドをなぞりながら仕組みを理解する段階に向きます
- チャレンジ系のルーム:手順が示されず、偵察から権限昇格までを自力で組み立てます
- 学習パス:Web脆弱性、SOC運用、ネットワーク基礎などの目的別に、複数ルームを到達順に並べた束です
フラグを取る形式は競技形式の演習と同じ設計で、ジャンルの分け方や自前の練習環境の組み方はCTFの形式・ジャンルと練習環境の作り方で整理しています。TryHackMeはこの形式に解説と到達順を付けた学習向けの構成で、演習用マシンの維持をサイト側が引き受けている点が自前環境との違いです。
アカウント登録からTutorialルームでフラグを出すまでの始め方
必要なのはブラウザとメールアドレスだけです。AttackBoxを使えば、手元にLinuxやVPNクライアントを入れなくても最初のフラグまで到達できます。
アカウント登録|メール・Google連携と個人利用の設定
トップページの「Join for FREE」から、ユーザー名・メールアドレス・パスワードを入れるか、Googleアカウントで登録します。途中で表示される経験や利用目的の質問は、画面の案内に従って答えます。メール認証のリンクを開けば完了です。
ユーザー名はOpenVPNの接続パックのファイル名にそのまま使われ、公開プロフィールにも表示されます。社内で進捗を共有する予定があるなら、本名や社名を避けつつ誰のアカウントか分かる名前にしておくと後で困りません。
Tutorialルームでマシンを起動しフラグを提出する手順
最初に開くのは公式のTutorialルームです。流れは次の4段階です。
- Task 1の「Start Lab Machine」で演習用マシンを起動する(起動後、表示された標的IPを確認する)
- 「Start AttackBox」でブラウザ上の攻撃用マシンを起動する(無料は1日1時間)
- AttackBoxのブラウザで、表示されたマシンのIPを開き、ページ上のフラグを探す
- 見つけた文字列を設問の入力欄に貼り「Submit」で提出する
演習用マシン(標的)と攻撃用マシン(AttackBox)を別々に起動する点が最初のつまずきどころです。標的を起動しないままAttackBoxだけ立ち上げても、開くIPがありません。無料枠の1時間を無駄にしないよう、作業を終えたらAttackBoxは画面下のコントロールから停止します。
初心者が進む学習パスの順序|2025年4月の再編後
TryHackMeは2025年4月2日に学習パスを3本廃止しました。国内の解説記事には廃止前のパス名で順序を案内しているものが残っているため、ここで現行の対応関係を押さえておきます。
廃止された3パスと移行先
公式ヘルプの学習パス廃止のお知らせ(2026年2月18日更新)では、廃止パスと推奨される移行先が次のように示されています。
| 廃止されたパス | 移行先 |
|---|---|
| Complete Beginner | Cyber Security 101 |
| Introduction to Cyber Security | Cyber Security 101 |
| Cyber Defense | SOC Level 1・SOC Level 2 |
廃止パスはもう修了できませんが、取得済みの修了証はプロフィールの「Certificates」タブに残ります。途中まで進めていた場合は、移行先のパスで同じルームが既に完了扱いになっていないかを確認してから再開すると重複を避けられます。
Pre SecurityからCyber Security 101、専門パスへの進め方
Cyber Security 101は2024年10月21日の公式ブログで公開されたパスで、公開当初は旧パスの8モジュールを刷新し、新規5モジュールと新規ルーム31本を追加した構成でした。扱う領域は前提知識・必須スキル・攻撃・防御・キャリアの5つです。
進め方の基準は、ネットワークとLinuxのコマンドに不安があるかどうかです。不安があるならPre Securityでネットワークの仕組みとLinux・Windowsの基本操作を通してからCyber Security 101へ。lsやcd、IPアドレスとポートの意味が説明できるなら、Cyber Security 101から始めて構いません。その先は、防御側に進むならSOC Level 1、攻撃側に進むならペネトレーションテスト系のパスを選びます。Web系のルームでプロキシを使う段階では、Burp Suiteの通信傍受の仕組みと初期設定を先に押さえておくと設定でつまずきません。
日本語で学ぶ方法|ブラウザ翻訳の使い方と訳さない箇所
2026年10月時点で、トップページ・料金ページ・ヘルプセンターはいずれも英語で、言語切替のメニューは見当たりませんでした。ルームの解説テキストも英語が基本です。日本語で読むならChromeやEdgeのページ翻訳を使います。
翻訳を使うときの注意は3点です。1つ目はフラグとコマンド。翻訳後の画面からコピーすると、記号や大文字小文字が変わって不正解になることがあるため、提出前に翻訳を切って原文から写します。2つ目は設問文。「What is the name of …」のように答えの形式(ファイル名か、ユーザー名か)を指定している部分は、訳文だと曖昧になりがちなので原文で確認します。3つ目はAttackBoxの画面です。AttackBoxはリモートデスクトップとして描画されるため、中のターミナルやブラウザはページ翻訳の対象になりません。
教材の出力例と自分の画面の表示が食い違うときは、端末の言語・ロケール設定で出力メッセージや日付の形式が変わっていないかも確認します。
AttackBoxとOpenVPN接続の違い|IP帯と通信経路
ラボのマシンはインターネットに公開されていません。到達できるのは、ブラウザで起動するAttackBoxか、OpenVPNでTryHackMeのネットワークへ入った自分の端末だけです。
割り当てIP帯とVPNを通る通信の範囲
公式のネットワーク解説(2025年12月11日)では、OpenVPN接続で自分の端末に割り当てられるのは192.168.x.x帯、AttackBoxとルームのマシンはリージョンごとの10.x.x.x帯で起動すると書かれています。さらに、TryHackMeのOpenVPNは脆弱なマシンへのアクセス時だけVPNを通す設定で、それ以外の通信は通さないと明記されています。
# 以下のコマンド例はLinux用。ip・curl・OpenVPN・Nmapの導入が前提
# tun0 は接続ログに表示された実際のインターフェース名に置き換える
# macOSではインターフェース名がutun系になる場合があり、確認コマンドも異なる
# VPN接続後に割り当てられたIPを確認する(192.168.x.x が付く)
ip -4 addr show tun0
# VPNへ流れるのは 10.x.x.x 帯のラボ宛だけ
ip route | grep tun0
# 同じコマンドをVPN接続前にも実行して結果を控え、接続後の送信元IPと比較する
curl -s https://ifconfig.me
この確認は外部通信の送信元を把握するためのものです。VPNの有無や送信元IPにかかわらず、スキャン先は許可された演習対象に限定してください。匿名化や通信の秘匿を目的にしたVPNとは設計が違う点は、プロキシとVPNの違いと仕組みと併せて読むと整理しやすくなります。公式は同じネットワークの他の利用者から自分のVPN IPがスキャンされうることにも触れ、仮想マシンでホストと分離すること、強いパスワード、使わないサービスの停止(演習で立てたPythonのHTTPサーバーを終了後に止める等)を推奨しています。
無料AttackBoxの1日1時間制限と回避の選択肢
公式のAttackBox解説(2026年7月27日更新)によると、AttackBoxはブラウザで動くUbuntuの仮想マシンで、無料ユーザーは1日1時間まで、無制限の利用には有料プランが必要です。MAXプランでは前回の状態から再開できるPersistent AttackBoxが使えます。
1時間はルーム1本を通しで解くには足りない場合があり、権限昇格の手前で切れることがあります。無料のまま続けるなら、OpenVPNで自分の端末から接続して時間制限を外し、ツールは手元に入れます。手元の環境を汚したくない、または受講者の端末を揃えたいなら、AttackBox無制限が付くPremiumのほうが管理は単純です。自前環境の準備には、Kali Linuxのインストール方法と注意点が使えます。
OpenVPN接続の手順と失敗時の切り分け
OpenVPN接続は、アクセス管理ページから自分専用の接続パック(.ovpnファイル)をダウンロードし、それを指定して起動する流れです。接続パックには認証情報が含まれるため、他人と共有しません。
接続パックの取得からsudo openvpnまでの実行手順
公式のLinux・Mac向け接続手順(2025年12月19日)では、既定の保存先 ~/Downloads へ移動してから実行するよう案内されています。
# 1. 接続パックを置いたディレクトリへ移動(既定は ~/Downloads)
cd ~/Downloads
# 2. OpenVPN で接続する(ファイル名は自分のユーザー名になる)
sudo openvpn myuser.ovpn
# 3. 出力の末尾に次の行が出れば確立
# Initialization Sequence Completed
# 4. 切断はこのターミナルで Ctrl+C
判定は出力文字列で行います。Initialization Sequence Completedが出るまでは接続していないため、この行を確認せずにマシンを起動しても届きません。このターミナルは開いたままにし、作業は別のターミナルで行います。
tun0が上がらない・10.x.x.xへ届かないときの確認順
まず、VPNインターフェースの有無、古い接続との競合、標的IPと起動状態を、上から順に確認します。
# tun0 が作られているか
ip link show tun0 || echo "tun0 を確認できません。接続ログと実際のインターフェース名を確認してください"
# 古い openvpn プロセスが残っていないか
pgrep -a openvpn
# 既存の接続用ターミナルでCtrl+Cを押して切断してから、詳細ログで再接続する
sudo openvpn --config myuser.ovpn --verb 4
# 接続完了を確認し、OpenVPNを動かしたまま別のターミナルで以下を実行する
# 到達確認。ホスト探索を省略するには -Pn を付ける
# 10.10.10.10 は例示。起動中の自分の演習マシンに表示されたIPへ置き換える
nmap -Pn -p 22,80,445 10.10.10.10
pingへの無応答だけでは接続の成否は判断できません。nmap -Pnでポートが開いていれば経路は通っています。tun0があり、ルーティングに10.x.x.x帯が載っていて、それでも届かない場合は、標的の起動状態とIPに加え、他のVPNとの競合、接続パックの接続先、MTUなども確認します。どうしても解決しないときは、公式もOpenVPN関連の問題を避ける手段としてAttackBoxへの切り替えを挙げています。
標的のIPは起動のたびに変わるため、echo "10.10.10.10 target.thm" | sudo tee -a /etc/hostsのように登録するとホスト名で操作できます。ただし、例のIPは現在の標的IPへ置き換えてください。再起動でIPが変わった場合は、既存のtarget.thmの行を新しいIPへ更新します。同じホスト名の行を追記し続けず、この1行を書き換えれば、ホスト名で打ったコマンド履歴は切断後もそのまま使えます。
料金|Free・Premium・MAXの実額と無料で学べる範囲
公式の料金ページは閲覧地域で表示通貨が変わります。以下は2026年10月19日にユーロ表示で確認した通常価格です。
Free・Premium・MAXの月額と含まれる範囲(2026年10月時点)
| プラン | 比較額(月払い相当) | 年払いの月額換算 | AttackBox | 認定資格の割引(年払い限定) |
|---|---|---|---|---|
| Free | €0 | €0 | 1日1時間 | なし |
| Premium | €16.99 | €10.50 | 無制限 | 15% |
| MAX | €29.11 | €17.99 | 無制限・永続 | 40%(1資格) |
Premiumは初級学習パス全体と各パスの修了証、MAXはそれにSOC Level 2・Red Teaming・Web Application Red Teaming・Advanced Endpoint Investigationの上級4パス、AWS・Azureのクラウド教材、Recent Threats、全ルームへのアクセスが加わります。MAXは2026年6月29日に新設されたプランで、上級4パスはそれまでPremiumに含まれていました。2026年6月29日当日までにPremiumを契約し、契約を途切れず継続している人は2027年7月30日まで上級4パスを使えますが、一度解約するとこの猶予は戻りません。
2026年10月は「Cyber Awareness Month」としてPremium年払いの30%引きが表示されており(クーポン CYBER2026)、適用後は月€7.35相当でした。キャンペーンは期間で変わるため、稟議に載せるときは通常価格と分けて控えます。
無料でどこまで学べるか|Freeで進められる範囲
Freeで使えるのは無料ルームと学習パスの一部で、AttackBoxは1日1時間です。Tutorialルームのような入門ルームや、ネットワーク・Linux操作の基礎は無料の範囲で通せます。Cyber Security 101のような初級パスを最後まで進めるにはPremiumが必要です。
「AttackBoxは有料会員だけ」と書いている解説もありますが、公式の記述では無料でも1日1時間使えます。時間を気にせず無料で続けたい場合は、自分の端末からOpenVPNで接続すれば時間制限はかかりません。毎年12月には全ユーザーが無料で参加できる「Advent of Cyber」が開かれ、2025年の告知では24日間にわたり1日1題ずつ課題が公開される形式でした。無料のまま手を動かす量を増やしたい初心者には、この時期の課題が入口になります。
人数が増えたときの総額とBusinessプランへ移る境目
年払いPremiumを10名分そろえると年間€1,260相当です。個人契約を各自で管理する場合は、受講者ごとに決済と更新の管理が発生し、進捗の把握も個人アカウント任せになります。
境目は金額ではなく「進捗を誰が見るか」です。TryHackMe for Businessにはチームと個人の学習を割り当てて追跡するManagement Dashboardがあり、法人・教育機関向けの契約では期限付きの課題割当や自作教材を混ぜたカスタム学習パスも使えます。到達度を評価や案件アサインの根拠にするならこちらに寄せ、エンジニアが各自の裁量で学ぶ位置づけなら個人契約の費用補助のほうが運用は軽い、という分け方です。Businessの価格は個人向けの料金ページには出ていないため、法人向けページで確認します。
TryHackMeの認定資格と学習の到達度を測る方法
学習の成果を社外に示したい場合、TryHackMe自身が発行する認定資格が選択肢になります。学習パスと対応しているので、パスを終えた段階で受ける資格を決めておくと目標が立てやすくなります。
SEC0・SEC1・SAL1・PT1・SAL2の受験料と受験時間
各認定ページの試験詳細欄(2026年10月19日、ユーロ表示)は次の通りです。比較表にはドル建ての参考価格も併記されており、SAL1とPT1は「$349」でした。
| 認定 | 対応する領域 | 受験料 | 受験時間 |
|---|---|---|---|
| SEC0 | Pre Security | €59 | 24時間 |
| SEC1 | Cyber Security 101 | €131 | 24時間 |
| SAL1 | SOCアナリスト初級 | €301 | 24時間 |
| PT1 | ペネトレーションテスト初級 | €301 | 48時間 |
| SAL2 | SOCアナリスト中級 | €645 | 72時間 |
どの認定も無料の再受験が1回付き、再受験は前回の試験終了から48時間後に始められます。SAL1は選択式問題とSOC Simulatorでの実技の組み合わせ、PT1はWebアプリ・ネットワーク・Active Directoryを対象にした実技と報告書で評価されます。有料会員の割引率は、料金ページの比較表がPremium年払い15%、SAL1のページが25%と表記が分かれているため、購入画面で適用額を確かめてください。
受験時間の枠は業務と並行して受けやすい反面、受験日を決めないまま先送りになりがちです。社内で勧めるなら受験日を先に押さえ、学習計画を逆算します。合格基準は認定ページに記載がないため、購入前に受験規約で確認してください。
学習パスの進捗率を評価に使うときの落とし穴と代わりの測り方
進捗率をそのまま評価指標にすると歪みます。答えはフラグ文字列なので、公開されている解説を見ればマシンを触らずに入力できてしまい、進捗100%は「手順を再現できる」ことを保証しません。
機能するのは成果物を伴う測り方です。解いたルームについて偵察から権限昇格までの手順とコマンドを社内向けに書き起こさせ、別のメンバーが同じ手順で再現できるかを確かめます。再現確認だけでは解説の丸写しを見抜けないため、コマンドの選択理由や失敗時の切り分けも本人に説明してもらいます。国内の競技形式の大会で相対的な位置を見る方法もあり、出題傾向は防衛省サイバーコンテストの難易度と過去の結果で確認できます。
社内育成でTryHackMeを採用する条件と見送る場面
TryHackMeの演習ラボは手順を学ぶ教材であり、自社システムを検査するサービスではありません。導入前に、学習成果として確認する手順と、自社システムに別途実施する診断の範囲を分けて決めます。
採用する条件|基礎を短期間で揃えたい少人数チーム
噛み合うのは、管理者が個別に進捗を確認できる人数で、目標がTier1相当のSOC業務やWebアプリ脆弱性の基礎、演習環境を自前で組む工数を割けない、という3条件が揃う場合です。この条件なら年払いPremiumで足り、脆弱なマシンとネットワークの維持をサイト側に預けられる点が価格に対する主な見返りになります。
逆に、自社固有の構成を学ばせたい場合は、演習環境を構築・保守できる担当者を確保したうえで、その構成を再現する自前ラボを選びます。手元で動かせる教材としては、DVWAの環境構築とセキュリティレベルの使い方のように、セキュリティレベルを切り替えて同じ脆弱性を段階的に試せる環境もあります。
導入を見送る場面|自社プロダクトの診断と閉域網の検証
見送るべき条件は3つです。第一に、自社プロダクトの脆弱性を洗い出したい場合。ラボのマシンは汎用の教材で、自社の認証フローや業務ロジックに固有の欠陥は出てきません。第二に、閉域網や特定のミドルウェア構成の検証が目的の場合。既成ラボは自社構成をそのまま再現するものではありません。法人・教育機関向けには独自ラボの作成や仮想マシンのアップロード機能があるため、それでも要件を満たせない場合に導入を見送ります。第三に、診断結果を報告書として顧客へ納める必要がある場合。演習の修了記録は第三者への保証になりません。
これらに当てはまるなら、目的は育成ではなく診断です。手法と実施前に必要な許可はペネトレーションテストの種類・手法・手順に整理しています。実システムの検査が必要なら、脆弱性診断・セキュリティ診断で対象範囲と報告書の形式を決めてから着手するほうが、演習で代替を試みるより短く済みます。
よくある質問
TryHackMeは日本語で使えますか?
2026年10月時点で、サイト・ヘルプ・ルームの解説は英語で、言語切替のメニューは見当たりません。ChromeやEdgeのページ翻訳で解説は読めますが、フラグとコマンドは翻訳を切って原文から写してください。AttackBoxの画面内はページ翻訳の対象外です。
TryHackMeは無料で使えますか?
使えます。無料アカウントで無料ルームと学習パスの一部に入れ、AttackBoxは1日1時間まで起動できます。自分の端末からOpenVPNで接続すれば時間制限はかかりません。初級学習パス全体を進めるにはPremiumが必要です。
TryHackMeの費用はいくらですか?課金制ですか?
無料のFreeと、有料の定額制(サブスクリプション)があります。2026年10月19日のユーロ表示で、Premiumは月払い€16.99・年払いで月€10.50相当、MAXは月払い€29.11・年払いで月€17.99相当です。表示通貨は閲覧地域で変わり、キャンペーンで割引されることもあるため、契約前に料金ページで確認してください。
AttackBoxとOpenVPN接続はどちらを選ぶべきですか?
環境を作らずに始めたいならAttackBox、時間制限なく自分のツールで作業したいならOpenVPNです。複数人で学ぶなら、端末構成が揃うAttackBoxのほうがサポートの手間が小さくなります。OpenVPNを使う場合は、10.x.x.x帯だけがVPNを通る仕様を理解し、業務ネットワークから分離した端末で使ってください。
TryHackMeで学べば自社システムの脆弱性診断ができますか?
基礎の手順は身につきますが、そのまま自社システムの診断にはつながりません。ラボのマシンは汎用の教材で、自社の認証フローや業務ロジック固有の欠陥は含まれていないためです。報告書を伴う検査が必要なら、対象範囲と手法を定めた診断として実施してください。