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Devstral Small 2とDevstral 2の現在地|API提供終了後の入手経路とローカル実行手順

Mistral AIのコード特化モデル Devstral 2(デヴストラル 2)と Devstral Small 2 は、2025年12月9日の公開から8か月弱で立ち位置が大きく変わりました。Mistral公式APIでの提供は終了し、2026年8月時点の主な入手経路はオープンウェイトのセルフホストになっています。この記事では、公式ドキュメントとモデルカードから確認できる仕様・廃止日程・ライセンス条件を整理し、いま入手して動かす場合の具体的な手順とハードウェア要件をまとめます。

まとめ

  • Devstral 2(123B)はdevstral-2512として2026年5月22日に非推奨化され、2026年7月31日にMistral APIから提供終了しました。Devstral Small 2(24B)のlabs-devstral-small-2512はさらに早く2026年3月31日に終了しています。
  • Devstral 2・Devstral Small 2の公式代替はいずれも Mistral Medium 3.5(SWE-bench Verified 77.6%)です(旧世代のDevstral Small 1.1のみMistral Small 4)。
  • Hugging FaceとOllamaのオープンウェイトは引き続き入手できます。つまりDevstralを選ぶ理由は、実質的に「セルフホストしたい」場合に絞られます。
  • 123B版のModified MITライセンスには、直前月の全社連結月間売上が2,000万ドルを超える企業は権利を行使できないという制限があります。移行先のMistral Medium 3.5のウェイトも同じ条項なので、乗り換えても回避できません。
  • Apache 2.0のDevstral Small 2にはこの制限がなく、Hugging Faceの直近30日ダウンロード数も123B版の約4倍です。実務で選ばれているのは24B版です。

以下、モデルIDと実測スペック、廃止日程、ライセンス条文、Ollama/vLLMでの起動手順の順に、根拠となる一次情報とあわせて確認していきます。

Devstral 2とDevstral Small 2の実測スペック|モデルIDとベンチマーク公式値の対応

検索で使われるモデル名はdevstral-2:123bdevstral-small-2:24bmistralai/Devstral-2-123B-Instruct-2512など配布先ごとに異なります。同じモデルを指す識別子を先に対応づけておくと、どのページの数値を見ているのかで迷いません。

項目 Devstral 2 Devstral Small 2
Hugging Faceリポジトリ mistralai/Devstral-2-123B-Instruct-2512 mistralai/Devstral-Small-2-24B-Instruct-2512
Ollamaタグ devstral-2:123b devstral-small-2:24b
旧API識別子 devstral-2512(提供終了) labs-devstral-small-2512(提供終了)
実測パラメータ数 1,250億(125,025,989,840) 240億(24,011,361,840)
コンテキスト長 256Kトークン 256Kトークン
入力モダリティ テキスト テキスト・画像
配布ウェイトの精度 FP8(F8_E4M3) FP8(F8_E4M3)
ライセンス Modified MIT Apache 2.0
SWE-bench Verified 72.2% 68.0%
SWE-bench Multilingual 61.3% 55.7%
Terminal Bench 2 32.6% 22.5%

「123B」「24B」は製品名としての丸めた数字です。Hugging Face APIが返すsafetensorsのパラメータ総数は123B版が125,025,989,840、Small 2が24,011,361,840で、実体は約1,250億と約240億になります。BはBillionなので24Bは240億です。桁を1つ間違えたまま社内資料に転記しないよう注意してください。

表で1点だけ非対称なのが入力モダリティです。画像入力に対応するのはDevstral Small 2だけで、モデルカードは前世代からの更新点の筆頭に「画像を解析し、テキストに加えて視覚情報にもとづく回答を返す」機能を挙げています。123B版のモデルカードに同じ記述はありません。スクリーンショットからUIの不具合を直させたいなら、モデルサイズとは逆にSmall 2を選ぶことになります。なおSmall 2はMistral-Small-3.1-24B-Base-2503をベースに、Ministral 3と同じアーキテクチャ(Llama 4由来のrope-scalingとScalable-Softmax)を採用しています。

SWE-bench Verifiedの68.0%が公式値かどうかを確かめる検索が多いのですが、この数値はMistral公式の発表記事とHugging Faceのモデルカード双方に同じ値で記載されています。あわせて掲載されているSWE-bench MultilingualとTerminal Bench 2まで見ると差が広がり、ターミナル操作を含む長工程タスクでは123B版32.6%に対しSmall 2は22.5%と10ポイント以上開きます。単一スコアだけでSmall 2を「123B版とほぼ同等」と判断すると、エージェント用途で期待を外します。

Mistral APIでの提供終了スケジュール|devstral-2512の廃止日とMistral Medium 3.5への移行

モデル識別子ごとの非推奨化日と提供終了日

Mistralの公式ドキュメントにあるレガシーモデル一覧では、Devstralファミリーは次の日程で整理されています。旧版の記事にあった「公式API経由で無料提供期間中に試す」という案内は、2026年8月時点では成立しません。

モデル API識別子 非推奨化 提供終了 公式の代替
Devstral 2 (25.12) devstral-2512 2026-05-22 2026-07-31 Mistral Medium 3.5
Devstral Small 2 (25.12) labs-devstral-small-2512 2026-02-27 2026-03-31 Mistral Medium 3.5
Devstral Medium 1.0 (25.07) devstral-medium-2507 2026-02-27 2026-05-31 Mistral Medium 3.5
Devstral Small 1.1 (25.07) devstral-small-2507 2026-02-27 2026-05-31 Mistral Small 4

Small 2はlabs-が付いた識別子のまま通常のプロダクション枠へ移らず、公開から4か月弱で終了しました。API前提で組んだコードは、いずれの識別子もすでにリクエストが通りません。

代替となるMistral Medium 3.5との価格・スコア比較

2026年5月22日に発表されたMistral Medium 3.5は128Bのdense(非MoE)モデルで、SWE-bench Verified 77.6%とDevstral 2を5.4ポイント上回ります。Mistral自身も発表記事で「Le Chatの既定モデルになり、コーディングエージェントVibe CLIでもDevstral 2を置き換える」と明言しました。Devstral 2はMistralの製品ラインから外れたと考えるのが妥当です。

項目 Devstral 2(終了済) Mistral Medium 3.5
API識別子 devstral-2512 mistral-medium-3-5
入力 100万トークン $0.40 $1.50
出力 100万トークン $2.00 $7.50
SWE-bench Verified 72.2% 77.6%
ライセンス(ウェイト) Modified MIT Modified MIT

移行にあたって効くのは価格差です。入力・出力ともちょうど3.75倍になるため、トークン消費が大きいエージェント用途ほどランニングコストが跳ね上がります。API利用でコストが問題になるなら、Medium 3.5へ素直に移るよりも、Apache 2.0のDevstral Small 2を自前のGPUで動かす方が、費用の見通しは立てやすくなります。ローカルモデルをコーディングエージェントに接続する構成はPi(pi-coding-agent)をローカルLLMで動かす設定手順で扱った考え方がそのまま応用できます。

ライセンス条件の実務差|Modified MITの月商2,000万ドル制限とApache 2.0のSmall 2

2つのモデルは「どちらもオープンウェイト」と紹介されがちですが、企業が使う場合の条件はまったく違います。123B版のLICENSEファイルには次の条件が明記されています。

「直前月において、あなたの会社(または勤務先)の全社連結月間売上が2,000万ドル(または他通貨での同等額)を超える場合、あなたは本ライセンスに基づくいかなる権利も行使する権限を持たない」。この制限は派生モデル・改変版・組み合わせた成果物にも及び、Mistral AIが第三者経由で提供したものも対象になります。該当する企業は[email protected]へ商用ライセンスを申請するか、Mistralのホスティングサービスを使う必要があります。

月商2,000万ドルを12か月分に直すと約2.4億ドル、1ドル150円換算でおよそ360億円です。ただし条項が見るのは「直前月」の月次売上なので、年商がこの水準に近い企業は月によって該当・非該当が入れ替わります。つまりDevstral 2(123B)は、大企業がオンプレミスに置く用途にはライセンス上そもそも適しません。「オープンソースなので自由に社内導入できる」という前提でこの条項を見落とすと、導入判断を誤ります。

見落としやすいのは移行先も同じ条件だという点です。公式が代替として案内するMistral Medium 3.5のオープンウェイト(mistralai/Mistral-Medium-3.5-128B)のLICENSEを確認すると、Devstral 2とまったく同じ文言のModified MITでした。月商2,000万ドルを超える企業は、Medium 3.5に乗り換えて自社ホストしても制限を回避できません。該当する場合に残る選択肢は、Apache 2.0のDevstral Small 2を使うか、Mistralから商用ライセンスを取得するか、Mistralのホスティングサービスを使うかの3つです。

一方のDevstral Small 2はApache 2.0で、売上規模による制限はありません。著作権表示とライセンス文の同梱、変更点の明示といった通常の条件を満たせば商用利用も再配布も可能です。Hugging Faceの直近30日ダウンロード数はSmall 2が242,889に対し123B版は61,161、Likesも637対329と、実際に選ばれているのは4倍近い差でSmall 2です。ライセンス条件と必要GPUの両面を考えれば妥当な結果といえます。

ローカル実行の手順|Ollamaのタグ指定とvLLMでの起動コマンド

Ollamaで動かす場合の配布サイズと量子化

いちばん手数が少ないのはOllamaです。タグを明示せずにollama run devstral-small-2とするとlatestが参照されますが、検索でも実行時でもタグを付けた指定が確実です。

ollama pull devstral-small-2:24b
ollama run devstral-small-2:24b

# 123B版を使う場合(配布サイズ 75GB)
ollama pull devstral-2:123b

Ollamaライブラリでの配布サイズはDevstral Small 2が15GB、Devstral 2が75GBです。既定の量子化はQ4_K_Mで、コンシューマ向けGPUでの速度と品質のバランスを取った設定になっています。なお、Ollamaのライブラリページはdevstral-small-2:24bのコンテキストを384Kと表示しますが、Mistral公式のモデルカードは256Kと記載しています。長文脈を前提に設計するなら公式値の256Kを上限として見積もってください。Ollamaそのものの設定やAPI連携はOllama Web Searchの使い方とAPI設定でまとめています。

vLLMでHugging Faceのウェイトを直接動かす構成

推論サーバとして立てるなら、モデルカードが推奨するvLLMを使います。ツール呼び出しを有効にしないとエージェント用途で機能しないため、パーサ指定を忘れないでください。

vllm serve mistralai/Devstral-Small-2-24B-Instruct-2512 \
  --max-model-len 262144 \
  --tensor-parallel-size 2 \
  --tool-call-parser mistral \
  --enable-auto-tool-choice

この例は公式モデルカードのままGPU2枚構成(--tensor-parallel-size 2)です。GPU1枚で動かす場合は--tensor-parallel-size 1に変更し、あわせて--max-model-lenを下げてください。トークナイザにはmistral_common 1.8.6以上が必要です。123B版はモデルカードの例で--tensor-parallel-size 8が示されており、単体GPUでの運用は現実的ではありません。なお両モデルとも、Hugging Faceで配布されるウェイト自体がFP8(F8_E4M3)です。量子化やアダプタ学習まで踏み込む場合の選択肢はUnslothの使い方と対応モデルを参照してください。

VRAM別の実行可否ライン

Mistralが公式に示す動作ラインは、Devstral Small 2について「単一のRTX 4090、または32GBメモリのMac」の1構成だけです。これを下回る環境についての記載はないため、以下はQ4_K_M量子化のウェイトサイズ15GBから逆算した目安として扱ってください。

  • VRAM 24GB(RTX 4090/RTX 3090):Mistralが公式に挙げる動作構成。ウェイトが15GBなので、KVキャッシュに回せるのは残り約9GB。256Kフル長は載らず、扱えるコンテキストはその範囲に収まる長さまで
  • 統合メモリ32GB(Apple Silicon):公式が挙げるもう一方の動作構成。他アプリの常駐を減らす前提
  • VRAM 12GB(RTX 3060等):ウェイト15GBが単体では収まらない。Ollamaやllama.cppで2枚に分割し24GBを確保する構成が前提になる
  • Devstral 2(123B):Q4_K_Mでも75GB。80GBのGPU1枚ではKVキャッシュ分が残らず、公式モデルカードも--tensor-parallel-size 8を例示しています。複数GPUでのテンソル並列が前提です

コンテキスト長はメモリ消費に直結するため、VRAMが足りない場合はモデルを小さくするより先に--max-model-lennum_ctxを落とす方が効きます。同じ制約下でコーディングエージェントを動かす具体例はOllamaでCodexをローカルLLM実行する手順で扱っています。

Mistral Vibe CLIとの連携|インストール手順と既定モデル変更後の扱い

Vibe CLIはMistralが公開しているターミナル常駐型のコーディングエージェントで、Apache 2.0で配布されています。リポジトリ全体を走査してコンテキストを組み立て、自然言語の指示から複数ファイルの編集・コマンド実行・バージョン管理操作までを行います。

# 推奨(macOS・Linux)
curl -LsSf https://mistral.ai/vibe/install.sh | bash

# uv を使う場合
uv tool install mistral-vibe

# pip を使う場合(Python 3.12 以降)
pip install mistral-vibe

インストール後はvibeで起動します。初回起動時に~/.vibe/config.tomlが作成され、APIキーの入力を求められます。入力した値は~/.vibe/.envに保存されます。設定をやり直す場合はvibe --setup、導入確認はvibe --versionです。

注意点は既定モデルです。Vibe CLIの標準モデルは2026年5月22日にMistral Medium 3.5へ切り替わり、Devstral 2は外れました。Vibe CLIでDevstralを使い続けるなら、ローカルで立てたOpenAI互換エンドポイントを明示的に接続する構成にする必要があります。エージェントが計画・実行・観測を繰り返す仕組み自体を押さえておくと接続設計がしやすく、その基礎はエージェントループの仕組みと終了条件の設計にまとめています。なお公式モデルカードは、Vibe以外の接続先としてCline、Kilo Code、Claude Code、OpenHandsを挙げています。Vibe CLIの既定モデルが変わっても、これらのスキャフォールドからDevstral Small 2を使う経路は残ります。

Devstralの採否判断|2026年8月時点で選ぶべき条件と選ぶべきでない条件

選ぶ価値があるのは、Devstral Small 2をApache 2.0のまま自前のGPUで動かすケースです。ソースコードを外部APIに出せない受託開発、従量課金を避けて費用を固定したいチーム、閉域網での検証環境。このいずれかに当てはまるなら、SWE-bench Verified 68.0%(FP8フル精度での公式値)のモデルを24GBのGPU1枚で常時動かせるのは、今も強い選択肢です。Q4_K_M量子化で動かす場合は公式値そのままの精度にはならない点だけ織り込んでください。Hugging Faceのダウンロード数がSmall 2に4倍近く集中しているのは、ライセンスとGPU要件の両方でこの用途に収まるのがSmall 2だけだからです。

逆に、Mistral公式APIで呼び出す前提なら選択肢になりません。2026年7月31日で提供が終了しており、公式の代替はMistral Medium 3.5です。既存コードのdevstral-2512指定は動きません。

Devstral 2(123B)を社内インフラに載せる計画も、多くの企業では取り下げるべきです。月商2,000万ドル超の企業はライセンス上の権利を行使できず、これに該当しない規模の企業にとっては80GB級のGPUメモリを確保するコストが、Small 2との4.2ポイントの差に見合いません。123B版が現実的なのは、ライセンス条件を満たす中小規模の企業がすでに大容量GPUを保有している場合に限られます。

なお、Mistralの他モデルも同様に短い周期で世代交代しています。ドキュメント処理向けのmistral-document-ai-2512の仕様と既存OCRモデルとの差異のように、採用を決める前に docs.mistral.ai のレガシーモデル一覧で提供終了日を確認してください。

よくある質問

Devstralとはどんなモデルですか?

Mistral AIがソフトウェア開発向けに公開しているエージェント型のLLMです。公式モデルカードは「コードベースの探索、複数ファイルの編集、ソフトウェアエンジニアリングエージェントの駆動といったツール利用に長ける」と説明しています。汎用チャットモデルではなく、コーディングエージェントの実行エンジンとして設計されている点が特徴です。2025年12月公開の第2世代がDevstral 2(123B)とDevstral Small 2(24B)です。

Devstral Small 2のSWE-bench Verified 68.0%は公式の数値ですか?

公式値です。2025年12月9日のMistral公式発表記事と、Hugging Faceのモデルカードmistralai/Devstral-Small-2-24B-Instruct-2512の双方に68.0%と記載されています。同じ表にSWE-bench Multilingual 55.7%、Terminal Bench 2 22.5%も併記されています。Devstral 2(123B)はそれぞれ72.2%、61.3%、32.6%です。

devstral-small-2:24bとdevstral-2:123bはどちらを選べばよいですか?

ほとんどの場合はdevstral-small-2:24bです。Apache 2.0で売上規模の制限がなく、配布サイズ15GBでVRAM 24GBのGPU1枚に載り、画像入力にも対応します。SWE-bench Verifiedの差は4.2ポイントにとどまります。devstral-2:123bは配布サイズ75GBでGPUメモリ80GB級が必要なうえ、Modified MITの月商2,000万ドル制限がかかります。ターミナル操作を含む長工程タスクの精度が必須で、かつ条件を満たせる場合にのみ検討してください。

mistralai/Devstral-2-123B-Instruct-2512は今もダウンロードできますか?

できます。API提供の終了とウェイト配布の停止は別の話です。Hugging Faceでの配布は継続しており、直近30日で61,161件のダウンロードがあります。Ollamaライブラリのdevstral-2:123bも入手可能です。

モデル名末尾の2512は何を意味しますか?

2025年12月版であることを示すMistralのバージョン表記です。同社はYYMM形式でリリース時期を識別子に埋め込んでおり、devstral-small-2507なら2025年7月版、codestral-2508なら2025年8月版を指します。同名モデルの世代を区別する際は、この4桁を確認するのが確実です。

RTX 3060 12GBでDevstral Small 2は動きますか?

単体では実用的に動きません。Q4_K_M量子化でも15GBの配布サイズがあり、12GBのVRAMには収まらないためです。RTX 3060 12GBを2枚差して24GBを確保すればウェイトは載りますが、KVキャッシュに回せるのは残り9GB程度なので、コンテキスト長を大きく絞る前提になります。公式が示す動作ラインはRTX 4090級の単一24GB GPU、またはメモリ32GBのMacです。

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