Kimi K2.6は、中国のMoonshot AIが2026年4月20日に発表した総1兆パラメータのオープンウェイトモデルです。重みはHugging Faceで公開され、自社サーバーでも動かせます。2026年7月に後継のKimi K3が出た後も、公式APIではkimi-k2.6が現行モデルとして提供されています。この記事では、2026年10月17日時点の一次情報をもとに、K2.6の仕様と性能、API料金、ローカル実行に必要なメモリと起動コマンド、K3・K2.7 Codeとの使い分けを整理します。最新版の情報が必要な場合はKimi K3とは?Moonshot AIの2.8兆パラメータMoEの性能・料金・K2系からの進化を実装者向けに解説【2026年7月版】をご覧ください。
まとめ:Kimi K2.6の要点(2026年10月時点)
- 仕様:総1兆・アクティブ32BのMoE。コンテキストは256K(262,144トークン)で、画像と動画を入力できます。ライセンスはModified MITです。
- 性能:ツール併用のHLE-Fullで54.0、SWE-Bench Proで58.6と、公開時点のGPT-5.4・Claude Opus 4.6を上回りました。ツールなしのHLE-Fullは34.7で、GPT-5.4・Claude Opus 4.6・Gemini 3.1 Proを下回ります。
- API料金:100万トークンあたり入力$0.95、キャッシュヒット$0.16、出力$4.00。K3(入力$3.00・出力$15.00)の3分の1以下です。
- APIの注意点:temperatureとtop_pは固定値で、ほかの値を送るとエラーになります。thinkingはリクエストごとに無効化できます。
- ローカル実行:公式のINT4重みは約595GBです。GGUFの2bit版でも約340GBあり、RAMとVRAMの合計をファイル容量と同程度そろえる必要があります。OllamaのK2.6はクラウド実行のタグだけです。
- 使い分け:Kimi CodeではK2.6を選べなくなりました。単価と自社運用のしやすさを優先するならK2.6、1Mトークンの文脈や最高性能が要るならK3を選びます。
Kimi K2.6の仕様:1兆パラメータMoEと画像・動画入力
K2.6はMixture-of-Experts(MoE)構成で、384個のエキスパートから1トークンごとに8個と共有エキスパート1個を使います。計算に使うのは32B分なので、1兆パラメータ級でも1トークンあたりの計算量は中規模モデル並みです(MoEの仕組みはMoE(Mixture of Experts)とは?疎活性化とルーターの仕組み・VRAM要件と採用判断を実装者向けに解説で詳しく扱っています)。Hugging Faceのモデルカードに載っている主要な値は次のとおりです。
| 項目 | Kimi K2.6 |
|---|---|
| 総パラメータ/アクティブ | 1T/32B |
| 層数(うち密層) | 61(1) |
| エキスパート | 384(選択8+共有1) |
| アテンション | MLA(64ヘッド) |
| 語彙数 | 160K |
| コンテキスト長 | 256K(262,144) |
| ビジョンエンコーダ | MoonViT(400M) |
| 重みの形式 | ネイティブINT4(64ファイル・約595GB) |
K2.5と同じアーキテクチャのため、公式資料ではK2.5のデプロイ手順を再利用できるとされています。ただし、モデルカードでは動画入力は実験的機能で、現時点では公式APIのみの対応とされています。公式APIのK2.6クイックスタートによると、入力はテキスト・画像・動画に対応し、画像はpng・jpeg・webp・gif、動画はmp4やmovなど9形式を受け付けます。URL指定の画像は使えず、base64かファイルアップロードで渡します。
Modified MITライセンスの追加条項
ライセンスは標準のMITに1項目を足したものです。追加されたのは、月間アクティブユーザーが1億人を超えるか、月間売上が2,000万米ドルを超える商用製品・サービスでK2.6や派生モデルを使う場合、その画面に「Kimi K2.6」と目立つように表示する義務だけです(LICENSE本文)。この規模に届かない企業なら、社内利用も製品への組み込みも標準のMITと同じ扱いで進められます。
ベンチマークでみるKimi K2.6の性能:K2.5からの伸びと競合比較
モデルカードの評価表から、用途ごとに代表的な指標を抜き出しました。K2.6とK2.5はThinkingモード、GPT-5.4はxhigh、Claude Opus 4.6はmax effort、Gemini 3.1 Proはthinking highで測った値です。SWE-Bench系はMoonshotがSWE-agentを改造した社内フレームワークで、10回の平均をとっています。
| 指標 | K2.6 | K2.5 | GPT-5.4 | Opus 4.6 | Gemini 3.1 Pro |
|---|---|---|---|---|---|
| HLE-Full(ツール併用) | 54.0 | 50.2 | 52.1 | 53.0 | 51.4 |
| BrowseComp | 83.2 | 74.9 | 82.7 | 83.7 | 85.9 |
| SWE-Bench Pro | 58.6 | 50.7 | 57.7 | 53.4 | 54.2 |
| SWE-Bench Verified | 80.2 | 76.8 | – | 80.8 | 80.6 |
| Terminal-Bench 2.0 | 66.7 | 50.8 | 65.4 | 65.4 | 68.5 |
| APEX-Agents | 27.9 | 11.5 | 33.3 | 33.0 | 32.0 |
| HLE-Full(ツールなし) | 34.7 | 30.1 | 39.8 | 40.0 | 44.4 |
| GPQA-Diamond | 90.5 | 87.6 | 92.8 | 91.3 | 94.3 |
強いのは、検索やコード実行を道具として使いながら解く課題です。SWE-Bench ProとTerminal-Bench 2.0はK2.5から8〜16ポイント伸びています。ツールなしの知識・推論(HLE-Full 34.7、GPQA-Diamond 90.5)は比較した3社の商用モデルをいずれも下回ります。業務アプリを長時間操作させるAPEX-Agentsも27.9で、商用3モデル(32.0〜33.3)との差が残ります。表はMoonshotが公表した比較で、他社モデルの数値には各社の公式報告からの引用も含まれます。GPT-5.4のTerminal-Bench 2.0はMoonshotによる再評価値です。英語の課題が中心なので、日本語業務で使う前に自社の課題を数十件並べて比較してください。
Agent Swarmと長時間の自律実行
K2.6の発表で強調されたのは、1つの目標を最大300のサブエージェントに分け、合計4,000ステップまで協調させるAgent Swarmです。公式Tech Blogには、Mac上でQwen3.5-0.8Bを動かす推論エンジンをZig言語で最適化した事例が載っています。12時間以上の連続実行で4,000回超のツール呼び出しと14回の改良を重ね、生成速度を約15トークン/秒から約193トークン/秒まで上げました。8年前のOSSの金融マッチングエンジンexchange-coreを、13時間かけて4,000行以上書き換えた事例もあります。どちらもMoonshot自身が示したデモです。同じ規模を自社で回すとトークン消費も大きくなるため、セッションごとに予算の上限を決めてから任せます。
2026年10月時点のKimi K2.6の提供状況
K2.6の発表後、Moonshotは6月にコーディング特化のK2.7 Code、7月にK3を公開しました。K2.6をどこで使えるかは、次の表のとおり窓口ごとに変わっています(2026年10月17日に各公式ページで確認)。
| 窓口 | K2.6の扱い |
|---|---|
| Kimi API | 現行モデル(廃止予定の告知なし) |
| Kimi.com(チャット) | K2.6/K3/K3 Clusterから選択 |
| Kimi Code | 選択肢から外れた |
| Hugging Face | 重みを公開中 |
| Ollama | kimi-k2.6:cloudのみ |
| Microsoft Foundry | Preview・2027年4月16日退役予定 |
| Cloudflare Workers AI | 公式APIと同じ単価 |
| さくらのAI Engine | 2026年5月12日から提供 |
| Sakana Namazu | K2.6を日本語向けに追加学習 |
公式APIのモデル一覧には、kimi-k3、kimi-k2.7-code、kimi-k2.7-code-highspeedと並んでkimi-k2.6が掲載されています。K2.5は2026年8月31日、kimi-k2系は5月25日に提供を終えました。K2系で残っている汎用モデルはK2.6だけです。チャットのKimi.comでも、公式ヘルプによればK2.6・K3・K3 Clusterの3つから選べます。K2.6は速い一問一答向けで、出力はテキストだけです。1回の文脈は約128Kトークンで、APIの256Kより短くなります。Microsoft Foundryの退役日程表では、Kimi-K2.6(2026-04-20版)はPreview扱いで、退役予定日が2027年4月16日です。
一方、コーディング向けサブスクリプションのKimi Codeで選べるのは、k3、k3-256k、kimi-for-coding(K2.8 Preview)、kimi-for-coding-highspeed(K2.7 Code HighSpeed)の4つです。K2.6は含まれていません。コーディングエージェントからK2.6を使いたい場合は、Kimi CodeではなくAPIキーでkimi-k2.6を指定します。Kimi Codeの料金とK2.7 CodeについてはKimi K2.7 Codeとは?料金・HighSpeed版・ローカル実行とClaude Code接続【2026年10月】にまとめています。
国内のクラウドで使う手段もあります。さくらのAI EngineはKimi-K2.6を1万トークンあたり入力0.6円・出力3円で提供しています。同サービスのAnthropic互換Messages APIで使えるモデルは「preview/Kimi-K2.6」だけです(詳細はさくらのAI Engineとは?料金・無料枠・提供モデルとAPIの使い方【2026年10月】)。Sakana AIは2026年8月3日から、K2.6をベースに日本語と国内の業務文脈へ合わせたLLM APIのSakana Namazuを提供しています(Sakana AIの発表)。
Kimi K2.6のAPI料金:K2.7 Code・K3との単価比較
Kimi APIは残高をチャージして使う従量課金で、月額プランはありません。公式の料金表の100万トークンあたりの単価(税別)は次のとおりです。
| モデル | 入力 | キャッシュヒット | 出力 | コンテキスト |
|---|---|---|---|---|
| kimi-k2.6 | $0.95 | $0.16 | $4.00 | 262,144 |
| kimi-k2.7-code | $0.95 | $0.19 | $4.00 | 262,144 |
| kimi-k2.7-code-highspeed | $1.90 | $0.38 | $8.00 | 262,144 |
| kimi-k3 | $3.00 | $0.30 | $15.00 | 1,048,576 |
K3は入力がK2.6の約3.2倍、出力が3.75倍で、さらにキャッシュへの書き込みに5分保持で$3.00、1時間保持で$6.00が別にかかります。入力10万トークン・出力1万トークンのリクエストなら、K2.6はキャッシュなしで約$0.135(0.1×0.95+0.01×4.00)です。費用の内訳は入力・出力のトークン数とキャッシュ利用率で変わります。Thinkingモードは既定のmax_tokensが32,768と大きいので、思考を含めた出力トークン数を多めに見積もっておきます。
チャットで使うだけなら、Kimi公式の製品ページにあるとおりK2.6は無料で試せます。国際版の有料会員はPlus月額$19、Pro月額$39、Max月額$99、Ultra月額$199の4段階です(会員料金のヘルプ)。会員プランとAPIは別契約なので、開発で使う場合はAPI残高を別に入れます。
Kimi K2.6をAPIで呼び出す手順とパラメータの制約
Kimi APIはOpenAI互換です。platform.kimi.aiでAPIキーを発行し、pip install openaiでSDKを導入します。キーを環境変数MOONSHOT_API_KEYに設定し、次のコードで接続先を指定します。
OpenAI SDKでのThinking・Instant切り替え
K2.6は既定でThinking(思考あり)です。思考を省いて速く返したいときはリクエストにthinkingを足します。OpenAI SDKではextra_bodyに入れます。
import os
from openai import OpenAI
client = OpenAI(
api_key=os.environ["MOONSHOT_API_KEY"],
base_url="https://api.moonshot.ai/v1",
)
messages = [{"role": "user", "content": "このリポジトリのテスト方針を3行で提案して"}]
# Thinking(既定):temperature と top_p は送らない
r1 = client.chat.completions.create(model="kimi-k2.6", messages=messages)
print(r1.choices[0].message.content)
# Instant:thinking を無効化する(temperature は 0.6 に固定される)
r2 = client.chat.completions.create(
model="kimi-k2.6",
messages=messages,
extra_body={"thinking": {"type": "disabled"}},
)
print(r2.choices[0].message.content)
このコードの送信内容を、openai 2.48.0とローカルの模擬サーバーで確かめました。2回目のリクエスト本文には、modelやmessagesと同じ階層に"thinking": {"type": "disabled"}が入ります。vLLMやSGLangで自前ホストしたK2.6では書き方が違い、extra_body={"chat_template_kwargs": {"thinking": False}}を渡します。
固定値以外を送るとエラーになるパラメータ
他社モデルからの移行で失敗しやすいのがサンプリング設定です。次の表では、max_tokens以外の項目は固定値で、別の値を送るとエラーになります。max_tokensの32,768は既定値であり、変更できます。
| パラメータ | K2.6での扱い |
|---|---|
| temperature | Thinking 1.0/Instant 0.6に固定 |
| top_p | 0.95に固定 |
| n | 1に固定 |
| presence_penalty | 0.0に固定 |
| frequency_penalty | 0.0に固定 |
| max_tokens | 既定32,768 |
共通のラッパーで全モデルにtemperature 0.2などを送っている場合、K2.6向けの呼び出しだけはこれらの項目を外します。ツール呼び出しにも制約があります。Thinkingが有効なときtool_choiceは”auto”か”none”しか指定できず、特定の関数を強制する指定はエラーです。公式の組み込みツール$web_searchはThinkingモードと併用できないため、Web検索を使うリクエストではthinkingを無効にします。複数回のツール呼び出しでは、アシスタントのreasoning_contentを文脈に残すことが推奨されています。外してもエラーにはなりませんが、推論の一貫性が落ちます。過去ターンの思考も保持させたい場合は、thinkingに{"type": "enabled", "keep": "all"}を指定します。
Kimi K2.6をローカルで動かす:量子化別の必要メモリと起動コマンド
K2.6は重みが公開されているので、自社のサーバーでも動かせます。ただ、量子化しても数百GBのメモリが要ります。最初に、どの形式なら手持ちの機材に載るかを確かめます。
量子化別のファイル容量と必要メモリ
次の表は、Hugging Faceのファイル一覧APIでフォルダごとの合計容量を集計した値です(2026年10月17日)。GGUFはUnslothの配布版で、パープレキシティはUnslothの実行ガイドの値です。
| 形式 | 容量 | パープレキシティ | 主な実行環境 |
|---|---|---|---|
| 公式INT4(safetensors) | 595.18GB | – | vLLM/SGLang |
| UD-Q2_K_XL(GGUF) | 340.48GB | 2.4131 | llama.cpp |
| UD-Q4_K_XL(GGUF) | 583.71GB | 1.8420 | llama.cpp |
| UD-Q8_K_XL(GGUF) | 594.54GB | 1.8419 | llama.cpp |
| BF16(GGUF) | 2,053.16GB | – | 変換用 |
UnslothはRAMとVRAMの合計を量子化ファイルの容量と同程度にそろえることを目安にしています。足りなくても動きますが、オフロードで遅くなります。K2.6はMoE部分をもともとINT4で学習しているため、Q8版はQ4版より約10GB大きいだけで、元の精度をほぼ失いません。2bit版はパープレキシティが2.41まで悪化します。品質を優先するなら600GB級のメモリでQ8版を、手持ちのメモリが350GB前後ならQ2版を選びます。
「Kimiをローカルで」と考えるなら、世代による違いも押さえておきます。K2.7 Codeの公式重みも約595GBで、容量はK2.6とほぼ同じです。K3の公式重みは約1,561GBあり、ファイル容量はK2.6の約2.6倍です。実行時の必要メモリは、重みの形式に加え、コンテキスト長や同時処理数、推論エンジンによって変わります。K3のライセンスもK2系とは別のKimi K3 Licenseです。600GB級の重みを扱える設備を前提にするなら、まずK2.6とK2.7 Codeを検討します。K3を候補にする場合は、より大きな重み容量に対応できる設備と運用費を別途見積もります。
llama.cppによるK2.6のGGUF実行
CPUとGPUにまたがって動かすならllama.cppです。以下は、Unslothのガイドに従ってllama.cppをビルドし、生成されたllama-cliをllama.cppディレクトリ直下へ配置した後の手順です。2bit版とビジョン用のmmprojファイルをダウンロードして起動します。
pip install huggingface_hub
hf download unsloth/Kimi-K2.6-GGUF \
--local-dir unsloth/Kimi-K2.6-GGUF \
--include "*mmproj-F16*" \
--include "*UD-Q2_K_XL*"
./llama.cpp/llama-cli \
--model unsloth/Kimi-K2.6-GGUF/UD-Q2_K_XL/Kimi-K2.6-UD-Q2_K_XL-00001-of-0008.gguf \
--mmproj unsloth/Kimi-K2.6-GGUF/mmproj-F16.gguf \
--temp 1.0 \
--top-p 0.95
Q2版は8分割で、1つ目のファイルを指定すれば残りも読み込まれます。コンテキスト長は98,304トークンが推奨で、最大262,144まで伸ばせます。Macではllama.cppをビルドするときに-DGGML_CUDA=OFFにすれば、Metalが既定で有効になります。
vLLM・SGLang・KTransformersによるK2.6のサーバー運用
複数人やアプリから呼ぶなら、OpenAI互換のサーバーを立てるvLLMかSGLangを使います。公式のデプロイガイドの例は、H200を8枚積んだ1ノードでテンソル並列8にする構成です。以下は各推論エンジンを導入し、環境変数MODEL_PATHに取得済みのK2.6重みのディレクトリを設定した後に実行する例です。SGLangの導入にはuvも必要です。
# vLLM(本番の推奨は手動検証済みの 0.19.1)
vllm serve $MODEL_PATH -tp 8 --mm-encoder-tp-mode data --trust-remote-code \
--tool-call-parser kimi_k2 --reasoning-parser kimi_k2
# SGLang(0.5.10 以降の安定版)
uv pip install "sglang>=0.5.10.post1" --prerelease=allow
sglang serve --model-path $MODEL_PATH --tp 8 --trust-remote-code \
--tool-call-parser kimi_k2 --reasoning-parser kimi_k2
--tool-call-parser kimi_k2はツール呼び出しに、--reasoning-parser kimi_k2は既定で有効な思考出力の処理に必要です。transformersは4.57.1以上5.0.0未満を使います。GPUが足りない環境向けには、エキスパートをCPU側に置くKTransformersがあります。公式ガイドでは、NVIDIA L20を8枚とIntel 6454Sを2基の構成で、48並列時にプリフィル640.12トークン/秒、デコード24.51トークン/秒と報告されています。
Ollama公式ライブラリのK2.6はクラウド実行のみ
Ollamaのライブラリにkimi-k2.6はありますが、2026年10月17日時点のタグはkimi-k2.6:cloudだけです。これはOllamaのクラウドで推論する形式で、重みは手元に落ちません。データを外に出さない目的でOllamaを選ぶなら、K2.6ではなく小さなモデルを使うか、上記のllama.cppかvLLMで動かします。
自前運用が見合うのは、機密データを社外に出せない場合と、APIの月額が数百GB級のGPUサーバーの費用を上回る利用量がある場合です。どちらにも当たらなければ、公式APIか国内の提供事業者を使う方が安く済みます。どのモデルを自社で持つかの判断に迷う場合は、生成AI導入支援で要件の整理から相談を受けています。
K2.6・K2.7 Code・K3の使い分け
3モデルとも公式APIで使えるので、何を基準に選ぶかを決めておきます。
| 観点 | K2.6 | K2.7 Code | K3 |
|---|---|---|---|
| 位置づけ | 汎用・マルチモーダル | コーディング特化 | 旗艦 |
| 総パラメータ | 1T | 1T | 2.8T |
| コンテキスト | 256K | 256K | 1M |
| API出力単価 | $4.00 | $4.00 | $15.00 |
| Kimi Code | 対象外 | HighSpeed版のみ | 対象 |
APIの指定方法もモデルごとに違います。Kimi APIのモデル別パラメータ表では、思考の扱いが3モデルで分かれています。
| パラメータ | K2.6 | K2.7 Code | K3 |
|---|---|---|---|
| thinking | 有効/無効を選べる | 省略可/指定時はenabled+keep:allのみ | 指定しない |
| reasoning_effort | 非対応 | 非対応 | low/high/max |
| tool_choice=required | エラー | エラー | 使える |
| temperature | 1.0/0.6固定 | 1.0固定 | 1.0固定 |
思考を切って速く返せるのは3モデルのうちK2.6だけです。K2.6を選ぶのは、画像・動画の入力やチャット、エージェントの汎用処理を安く回したいときです。自社サーバーで重みを持ちたいときや、Sakana Namazuのように派生モデルの土台にしたいときもK2.6が候補になります。コード生成が中心ならK2.7 Codeでも単価は同じですが、汎用の対話や画像を伴う業務はK2.6に任せます。256Kトークンを超える文書を一度に読ませたいときや、精度を最優先するときはK3に切り替えます。K2.6からK3へ移すときは、modelをkimi-k3に変えるだけでは済みません。K2系のthinking指定を外し、思考の深さはreasoning_effortで指定します。複数ターンではreasoning_contentを含むアシスタントの応答をそのまま履歴に戻します。K3はキャッシュ書き込みも別料金なので、移行前に費用を試算し直します。
日本語での利用と中国企業のモデルを業務に入れる前の確認
K2.6の公式評価はほぼ英語の課題で、日本語の性能を示す公式の数字はありません。日本語の業務文書を扱うなら、Sakana NamazuのようにK2.6を日本語向けに追加学習した派生モデルも比較の候補に入れます(変遷はSakana AI Namazuとは?α版3モデルから現行Kimi K2.6版への変遷とSakana Chatの使い方)。
Moonshot AIは北京に拠点を置く企業です。公式APIへ送るデータの扱いは、自社のAI利用規程と照らして法務・情報セキュリティの担当と確認します。機密データを扱うなら、重みを自社環境で動かすか、さくらのAI Engineのように国内事業者が運用する窓口を選ぶと、データの所在を自社で説明しやすくなります。将来の輸出規制で提供条件が変わる可能性もあるため、モデル名をコードに埋め込まず、設定で他モデルへ切り替えられる構成にしておきます。
よくある質問
Kimi K2.6は無料で使えますか?
Kimi公式の製品ページでは、K2.6は無料で使えるとされています。Kimi.comでの利用量は会員クレジットで管理されます。APIは従量課金で、100万トークンあたり入力$0.95・出力$4.00です。チャットの有料会員はPlus月額$19からです。
Kimi K2.6はどこの国のAIですか?
中国・北京のMoonshot AIが開発したモデルです。重みはHugging Faceで公開され、Modified MITライセンスで商用利用できます。
Kimi K2.6をローカルで動かすにはどれくらいのメモリが必要ですか?
GGUFの2bit版(UD-Q2_K_XL)で約340GB、ほぼ劣化のないQ8版や公式INT4重みで約595GBです。RAMとVRAMの合計をこの容量と同程度にそろえるのが目安です。
Kimi K2.6のAPIでtemperatureを変えられますか?
変えられません。temperatureとtop_pは固定値で、ほかの値を送るとエラーになります。Instantにしたいときはthinkingを無効にすると、temperatureは0.6になります。
Kimi K2.6とK3はどちらを使うべきですか?
単価を抑えたい汎用処理や自社運用はK2.6、1Mトークンの文脈や最高精度が要る処理はK3が向きます。K3のAPI単価は入力$3.00・出力$15.00で、K2.6の3倍以上です。