デマンドジェネレーション(デマジェン)とは?BtoBの3工程とGoogle広告の同名キャンペーンの違い

デマンドジェネレーション(デマジェン)とは?BtoBの3工程とGoogle広告の同名キャンペーンの違い

デマンドジェネレーションとは、自社の製品やサービスに対する需要をつくり出し、商談として営業に渡せる状態まで持っていく一連の活動のことです。BtoBマーケティングでは「デマジェン」「デマジェネ」と略され、リードジェネレーション・リードナーチャリング・リードクオリフィケーションの3工程を束ねた呼び名として使われます。ところが同じ「デマジェン」という略語は、Google広告のキャンペーン種別「デマンド ジェネレーション」を指すこともあります。両者は活動全体と広告のキャンペーン種別という、異なる階層の用語で、検索結果にも混在しています。この記事では2つの意味を先に切り分けたうえで、BtoBの需要創出をどう組み立てるかを、Google広告ヘルプとForrester公式の記述を確認しながら整理します。

まとめ:デマンドジェネレーションの要点

先に結論を示します。

  • BtoBの意味:需要創出。リードジェネレーション(獲得)、リードナーチャリング(育成)、リードクオリフィケーション(選別)の3工程をまとめた活動を指します。
  • 広告の意味:Google広告のキャンペーン種別。Google広告ヘルプは「YouTube(ショート動画を含む)、Discover、Gmail、マップ、Google ディスプレイ ネットワーク全体で、ユーザーのエンゲージメントやアクションの獲得を促進する広告キャンペーン」と定義しています。
  • 見分け方:文脈に入札・クリエイティブ・YouTube・アカウントが出てくればGoogle広告、MA・リード・商談・インサイドセールスが出てくればBtoBの需要創出です。
  • 略称は3系統:デマジェン、デマジェネ、デマンドジェン。英語では demand generation、短縮形は demand gen です。
  • 3工程は日本の慣用で、原典モデルとは切り方が違う:よく引き合いに出されるSiriusDecisions(現Forrester)のデマンドウォーターフォールは、2006年初出で2017年版が需要単位の状態を段階で追う構成であり、活動を主語にした3工程とは対応しません。

デマンドジェネレーションの定義と「デマジェン」「デマジェネ」という略し方

語としてはDemand(需要)とGeneration(創出)の組み合わせで、直訳すると需要創出です。日本のBtoBマーケティングでは、認知や関心の形成から営業への引き渡しまでを含む活動として説明されることがあり、単発の施策名ではありません。

リードジェネレーションとの違いは、担当する区間の広さ

もっとも混同されるのがリードジェネレーションとの関係です。リードジェネレーションは名刺やフォーム入力といった連絡先の獲得までを担当します。デマンドジェネレーションはその獲得を含みつつ、獲得後のリードナーチャリング、営業に渡す相手を絞るリードクオリフィケーションまでを含みます。包含関係であって並列ではありません。

この違いは予算の付け方に直結します。リードジェネレーションだけを目標にすると、件数は増えても商談化しないリードが積み上がります。デマンドジェネレーションとして設計する場合、評価対象は獲得件数ではなく、営業が受け取って商談化した件数に移ります。

デマジェン・デマジェネ・デマンドジェンの3系統と、社外で使うときの注意

略し方は「デマジェン」「デマジェネ」「デマンドジェン」の3系統が並存しており、どれが正式ということはありません。ひらがなで「でまじぇん」と入力されることもあります。英語圏では demand generation を demand gen と略すのが一般的で、頭文字のDGも使われます。

社外文書で略語を使うときは、初出で正式名称を書いてから略語を併記してください。理由は次の章のとおりで、DGやデマジェンはGoogle広告のキャンペーン種別と衝突します。広告代理店やメディア担当者との打ち合わせでは、同じ略語で別のものを指したまま話が進む状態が起きます。

「デマジェン」がGoogle広告を指す場合:デマンド ジェネレーション キャンペーン

Google広告には「デマンド ジェネレーション」という名前のキャンペーン種別があります。BtoBの需要創出と名前が同じため、検索でも実務でも取り違えが起きます。この章では、BtoBの需要創出とGoogle広告のキャンペーン種別を並べ、意味と対象範囲の違いを整理します。

配信面と、ファインドキャンペーンから移行した経緯

Google広告ヘルプは、この種別を「デマンド ジェネレーション キャンペーンは、YouTube(ショート動画を含む)、Discover、Gmail、マップ、Google ディスプレイ ネットワーク全体で、ユーザーのエンゲージメントやアクションの獲得を促進する広告キャンペーンです。」と定義しています。Google検索広告とは異なるキャンペーン種別で、YouTube検索結果を含む各種配信面に画像や動画を表示します。

前身はファインドキャンペーンです。Googleは2023年10月10日の公式ブログで、同日からデマンド ジェネレーションを世界中のGoogle広告利用者へ展開すると発表しました。Google広告ヘルプは移行日程を「2024 年初頭から、残りのすべてのファインド キャンペーンの自動アップグレードが開始されます。2024 年 1 月~3 月の期間に残りのすべてのファインド キャンペーンが自動的にデマンド ジェネレーションにアップグレードされるため」と告知しています。古い記事の「ファインド広告」は前身の名称ですが、設定手順や利用できる機能は現行のGoogle広告ヘルプで確認してください。

入札戦略は、キャンペーン作成の手順で「コンバージョン値の最大化」「目標広告費用対効果(tROAS)」「コンバージョン数の最大化」「目標アクション単価(目標 CPA)」「クリック数の最大化」から選ぶ形になっています。BtoBで問い合わせ獲得を狙うなら目標CPAかコンバージョン数の最大化が基点です。アセット要件では、横向き1.91:1の画像(1,200×628ピクセル、最小600×314ピクセル)とロゴ1:1(1,200×1,200ピクセル、最小144×144ピクセル)が必須で、動画アセットは必須ではありません。検索広告と違い、出稿にはクリエイティブの制作コストが先に発生します。

ディスプレイ広告の統合と、BtoBの需要創出との線引き

統合はさらに進んでいます。Google広告ヘルプは「Google ディスプレイ広告キャンペーンは、Google ディスプレイ ネットワーク(GDN)としてデマンド ジェネレーションに統合されます。」とし、時系列を次のように示しています。2025年3月以降は「デマンド ジェネレーションでチャネル コントロールの提供が開始され、YouTube、Discover、Gmail、Google ディスプレイ ネットワークの中から広告の表示場所を自由に選択できるようになります。」、2025年4月には「デマンド ジェネレーションの配信範囲が Google ディスプレイ ネットワークのイメージ インベントリにまで拡張されます。」、そして「2026 年 6 月:対象となる広告主様は、アカウント内の移行ツールを使用して、既存のキャンペーンの移行を任意で開始できるようになります。」という順です。Googleは2026年5月26日の公式ブログでも、移行を導く更新情報と移行ツールを提供し、完了は2027年までを見込むと述べており、ディスプレイ広告の運用はこの種別へ寄っていきます。

2つの「デマンドジェネレーション」の関係を整理すると、Google広告の種別は配信面と入札をまとめた単位の名前であり、BtoBの需要創出は案件をつくるプロセス全体の名前です。階層が違うので比較対象にはなりません。BtoBの文脈で言えば、Google広告のデマンド ジェネレーション キャンペーンは3工程のうちリードジェネレーションで使える手段の一つ、という位置づけになります。

比較軸 BtoBのデマンドジェネレーション Google広告のデマンド ジェネレーション
正体 マーケティングの活動区分 広告のキャンペーン種別
範囲 獲得から商談化まで 指定した配信面への出稿
主な場所 自社サイト、MA、展示会 YouTube、Discover、Gmail、マップ、GDN
成果の見方 商談化件数、受注 コンバージョン、エンゲージメント
担当 マーケティング部門、インサイドセールス 広告運用担当、代理店

需要創出の3工程の役割分担と原典モデルとの違い

BtoBのデマンドジェネレーションを3工程で説明するのは、日本のBtoBマーケティングで定着した整理です。工程ごとに答えている問いが違うので、まずそこを押さえます。

リード獲得・育成・選別の役割と引き渡す情報

工程 答える問い 主な手段 次に渡すもの
リードジェネレーション 誰が関心を持っているか 展示会、資料ダウンロード、広告、セミナー 連絡先の付いたリード
リードナーチャリング 関心はどこまで育ったか メール配信、ウェビナー、事例提供 行動履歴の付いたリード
リードクオリフィケーション 今すぐ営業が会うべきか スコアリング、ヒアリング、条件判定 営業が受け取る商談候補

3工程を回すには行動履歴の蓄積が前提になるため、多くの場合マーケティングオートメーション(MA)が土台になります。ただしツールを入れれば工程が回るわけではありません。ナーチャリングで配信する中身と、クオリフィケーションの判定条件を人が決めない限り、MAは配信の自動化にとどまります。

3工程とデマンドウォーターフォールの分類基準の違い

日本語の解説では、この3工程の出所としてSiriusDecisionsのデマンドウォーターフォールが挙げられることがあります。ただし調べた範囲では、3工程という切り方をそう定義した原典にはたどり着けませんでした。確認できるのは、引き合いに出されるウォーターフォール側の段階名が3工程と一致しない、という事実のほうです。

デマンドウォーターフォールは調査会社SiriusDecisionsのモデルです。Forresterの公式ブログは初出を2006年とし、2012年に再設計版へ、2017年にDemand Unit Waterfallへ展開したと書いています。2017年版の段階名は同社の解説に「engaged demand, prioritized demand, qualified demand and pipeline(エンゲージド需要、優先需要、認定需要、パイプライン)」と挙げられており、追跡する対象はリード個人ではなく購買グループに当たる需要単位です。SiriusDecisionsはForresterが買収し、Forresterは2019年1月3日のブログで「Today Forrester closed the deal to acquire SiriusDecisions.(本日、ForresterはSiriusDecisionsの買収を完了した)」と発表しています

並べるとわかるとおり、ウォーターフォールの段階は需要やリードの状態を追う区分で、3工程は活動を主語にした区分です。粒度も対応関係も違うので、片方の用語でもう片方を説明すると社内で数字が合わなくなります。KPIを置くのは状態側の段階、施策を割り当てるのは活動側の3工程、と役割を分けてください。段階ごとの定義とKPI設計はデマンドウォーターフォールの解説で扱っています。

需要創出の運用前に決める組織体制・引き渡し基準・投資条件

着手前に、担当組織・営業への引き渡し基準・投資の優先順位の3つを決めてください。順に見ていきます。

デマンドセンターへの集約と事業部別運用の判断基準

3工程を1つの組織に集約した体制を、国内のBtoBではデマンドセンターと呼びます。マーケティング部門とインサイドセールスを同じ指標で動かし、リードの管理を一箇所に寄せる考え方です。集約の利点は、リードの取りこぼしが誰の責任かを特定できることにあります。

事業部ごとに製品も購買層も違う会社では、全案件を中央組織の承認に回すと、個別判断が滞るおそれがあります。判断材料は組織図ではなく、扱うリードが同じ購買層に向いているかどうかです。購買層と判定基準が共通なら集約を優先し、事業部ごとに異なるなら、データ管理を共通化しつつ認定判断は各事業部に残す設計を検討してください。特定企業に狙いを絞る場合はABM(アカウントベースドマーケティング)の設計と併せて検討することになります。

営業への引き渡し基準とMQL・SAL・SQLの定義

クオリフィケーションの基準が言語化されていないと、マーケティングは「渡した」と考え、営業は「使えるリードが来ない」と言う状態が続きます。最低限、マーケティングが認定した段階(MQL)と、営業が見込み顧客として認定した段階(SQL)の2つを定義し、その間に営業が受領を確認する段階(SAL)を置くかどうかを決めてください。

定義の書き方に迷うなら、ツール側の既定が参考になります。HubSpotのライフサイクルステージは、MQLを「a contact or company that your marketing team has qualified as ready for the sales team.(マーケティングチームが営業チームに渡す準備ができたと認定した連絡先または会社)」、SQLを「a contact or company that your sales team has qualified as a potential customer.(営業チームが見込み顧客として認定した連絡先または会社)」と定義しています。どちらも判定の主語がどの部門かで書き分けられている点が要点で、スコアの点数だけを基準にしていません。なお同ツールではSQLと商談(Opportunity)は別のステージです。自社で定義するときも、認定する部門と、認定を記録する操作をセットで書いてください。判定基準の具体はMQLとSQLの違いで整理しています。

需要創出に投資しない方がよい条件

すべてのBtoB企業に必要な仕組みではありません。次のいずれかに当てはまるなら、需要創出の仕組みづくりより先に手を付けるべきことがあります。

  • 既存顧客からの紹介と指名で受注枠が埋まっている:新規リードを増やしても営業が対応できません。先に対応能力を増やす判断が要ります。
  • 商談化までの検討期間が短く、単価も低い:ナーチャリングを挟む余地がないため、リードジェネレーションと即時対応に絞ったほうが速く回ります。
  • 営業側にリードを受け取る運用がない:渡し先が決まっていない状態でリードを増やすと、対応遅れでかえって印象を損ないます。
  • ターゲット企業が数十社に限られる:広範な集客より、対象企業ごとの課題と購買関係者を調べる個別攻略を優先し、商談獲得費用で評価してください。

逆に、検討期間が長く関与者が複数いる商材で、営業が個別に追客しきれない件数のリードを抱えているなら、3工程を分けて回す効果が出ます。BtoBマーケティングの全体像のなかでは、この条件に当たる領域がデマンドジェネレーションの守備範囲です。

よくある質問

デマンドジェネレーションは何と略しますか?

「デマジェン」「デマジェネ」「デマンドジェン」の3通りが使われます。正式に決まった略語はなく、社内の慣用で分かれています。英語では demand gen と略し、DGと書かれることもありますが、DGはGoogle広告のキャンペーン種別を指す場合もあるため、社外向けには正式名称を先に示してください。

「デマジェン」はGoogle広告のことですか?

文脈によります。Google広告には「デマンド ジェネレーション」というキャンペーン種別があり、広告運用の現場ではこれを指して「デマジェン」と呼びます。YouTube、Discover、Gmail、マップ、Google ディスプレイ ネットワークに配信する枠で、Googleの告知ではファインドキャンペーンからの自動アップグレードが2024年1月から3月に実施される予定とされていました。一方でBtoBマーケティングの会話に出てくる「デマジェン」は、需要創出のプロセス全体を指します。広告アカウントや入札の話が出ていればGoogle広告、リードや商談の話が出ていればBtoBの需要創出です。

デマンドジェネレーションとリードジェネレーションの違いは何ですか?

担当する区間の広さが違います。リードジェネレーションは連絡先の獲得までで、デマンドジェネレーションは獲得したリードの育成と選別を経て、営業に渡すところまでを含みます。リードジェネレーションはデマンドジェネレーションの最初の工程にあたります。

デマンドジェネレーションは英語でどう書きますか。読み方は?

英語表記は demand generation で、短縮形は demand gen です。カタカナ表記は「デマンドジェネレーション」が一般的ですが、demandの発音に寄せた「ディマンドジェネレーション」も使われます。どちらも同じ語を指します。

デマンドセンターとは何ですか?

デマンドジェネレーションの3工程を1つの組織に集約した体制の呼び名です。マーケティング部門とインサイドセールスを同じ指標で運用し、リードの管理を一箇所に寄せます。指す範囲は企業によって幅があるため、社内で使う場合は担当する工程と評価指標を明文化してから運用してください。

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