DGX Sparkは、NVIDIAのGB10 Grace Blackwell Superchipを積んだ手のひらサイズのAI開発機です。2025年10月の発売から1年で状況が大きく変わりました。メモリ不足を理由に128GB版は2度値上げされ、2026年10月にはOEM限定の64GB版が加わり、日本では純正機を扱う販路が大きく減りました。この記事では、2026年10月16日時点の一次情報をもとに、DGX Sparkの現行スペックと価格、ASUS Ascent GX10をはじめとするGB10互換機との違い、メモリ帯域273GB/sと実測性能の関係、買うべきかの判断基準を整理します。
まとめ:2026年10月時点のDGX Sparkの要点
- 128GB版は6,950ドル、64GB版は4,999ドルから:純正Founders Editionは2026年2月に3,999ドルから4,699ドルへ上がり、10月にはNVIDIA米国Marketplaceの表示が6,950ドルになりました。10月2日に発表された64GB版はOEM各社のみが10月23日から販売します。
- GB10互換機の中身は同じ:ASUS・Dell・HP・MSI・GIGABYTE・Acer・Lenovoの各機は、GB10・メモリ帯域273GB/s・ConnectX-7・DGX OSが共通です。違いはSSD、電源、無線の有無、保証窓口、DGX OS更新の届く時期です。
- 互換機の割安感は消えた:ASUS Ascent GX10は1TBが5,999ドル、4TBが7,999ドルでどちらも在庫切れです。4TB同士では純正のほうが約1,050ドル安く、7月時点の「互換機なら3,000ドル台」はもう当てはまりません。
- 日本の純正機は約105万円・販路が細った:NTTPCは新規受付を停止し、パソコン工房の通販は在庫切れです。ELSA ONLINEが税込1,045,000円で掲載しており、GX10は価格.comで110万円からです。
- 載せられるが速くは回せない:単一リクエストの生成速度はメモリ帯域で頭打ちになりやすく、Llama 3.1 70B(FP8)のデコードは毎秒2.7トークンです。速度が要るならRTX 5090、容量が要るならDGX Sparkという分担は変わっていません。
DGX Sparkとは?GB10を積んだLinux専用のAI開発機
DGX Sparkは、CES 2025で「Project DIGITS」として披露され、2025年10月15日に発売された卓上機です。CPUとGPUを1パッケージに統合したGB10が、128GB(64GB版は64GB)のメモリをCPUとGPUで共有します。GPUのVRAMに載り切らない大きなモデルを、クラウドに出さず手元で試すための機材です。
OSは「DGX OS」で、Ubuntu 24.04をベースにNVIDIAのドライバ・CUDA・コンテナ実行環境を組み込んだLinuxです。DGX Spark Release Notesの現行版一覧(2026年9月10日更新)はDGX OS 7.5.0、GPUドライバ580.159.03、CUDA Toolkit 13.0.2です。Windowsは動きません。GPUを複数の仮想GPUに分けるMIG(Multi-Instance GPU)も非対応で、NVIDIAのモデレーターが開発者フォーラムで「ファームウェアやドライバの更新で有効にする手段もない」と回答しています。1台を複数人で分割して使う共有GPUサーバーとしては設計されていません。
DGX Sparkのスペック一覧(128GB版と64GB版)
| 項目 | 128GB版 | 64GB版 |
|---|---|---|
| SoC | GB10(20コアArm+Blackwell) | 同じ |
| CUDAコア | 6,144 | 同じ |
| AI性能 | 1PFLOPS(FP4・スパース時) | 同じ |
| メモリ | 128GB LPDDR5x | 64GB LPDDR5x |
| メモリ帯域 | 273GB/s | 273GB/s |
| 扱えるモデル(公称) | 最大200Bパラメータ | 最大100Bパラメータ |
| ネットワーク | ConnectX-7(QSFP×2)・10GbE | 同じ |
| 電源 | 240W(GB10のTDPは140W) | 同じ |
| サイズ/重量 | 150×150×50.5mm/1.2kg | OEM各社による |
| 販売元 | NVIDIA純正とOEM | OEMのみ |
数値はNVIDIAの製品ページとハードウェア概要によります。購入判断に効くのは、AI性能の1PFLOPSではなくメモリ帯域273GB/sとWindows非対応の2行です。前者は単一リクエストの生成速度の上限を左右し、後者は「既存のWindows環境の置き換え」という使い方を封じます。128GBのうちOS・表示用領域(既定2GB)・KVキャッシュの分はモデルに使えない点にも注意してください。
RTX Spark・DGX Stationとの違い
NVIDIAは2026年5月31日に、Windows 11向けの「RTX Spark」をMicrosoftと共同で発表しました。10月7日に予約が始まり、NVIDIAブログによるとノートPCは10月16日から、小型デスクトップは11月から販売されます。DGX Sparkの後継ではなく、OSと用途が違う別系統です。
| 項目 | DGX Spark | RTX Spark | DGX Station |
|---|---|---|---|
| OS | DGX OS(Linux) | Windows 11(Arm) | Linux(Windows版を予告) |
| チップ | GB10 | Grace+Blackwell RTX | GB300 |
| メモリ | 64GB/128GB | 最大128GB | 748GB |
| 形態 | 卓上ミニPC | ノート・小型デスクトップ | デスクサイド |
| 主な用途 | AI開発・検証 | AI+制作・ゲーム | 大規模学習・推論 |
Windowsのアプリと同じ機体でローカルLLMを動かしたいならRTX Spark、Linux上でNVIDIAのAIソフトウェアスタックを使った開発・検証ならDGX Sparkです。DGX Stationのメモリは製品ページでGPU側252GB(HBM3e)とCPU側496GB(LPDDR5X)の合計748GBと案内されており、DGX Sparkとは桁が違う上位機です。
DGX Sparkの価格:128GB版の再値上げと64GB版の追加
米国価格の推移:3,999ドルから6,950ドルへの値上げ
発売時の純正Founders Editionは3,999ドルでした。NVIDIAは開発者フォーラムの告知(2026年2月25日)で、メモリ供給の制約を理由に4,699ドルへ改定し、ハードウェアや構成の変更はないと説明しました。この告知は「OEM機の価格は各社に問い合わせてほしい」としており、OEMの値付けは各社任せです。
2026年10月2日にはThe Registerが128GB版の6,950ドルへの値上げを報じ、NVIDIA米国Marketplaceも10月16日時点で128GB・4TB構成を6,950ドルで表示しています。発売時から約74%の上昇です。2月と違ってフォーラムでの価格改定の告知は出ていないため、注文前にMarketplaceの表示で確かめてください。
| 時期 | 128GB純正FE | 出典 |
|---|---|---|
| 2025年10月(発売) | 3,999ドル | NVIDIA |
| 2026年2月 | 4,699ドル | NVIDIAフォーラム告知 |
| 2026年10月〜 | 6,950ドル | NVIDIA Marketplace表示 |
64GB版の販売元と開始価格:OEM限定・4,999ドル
NVIDIAブログ(2026年10月2日)によると、64GB版はAcer・ASUS・Dell・GIGABYTE・HP・MSIが販売し、NVIDIA純正のFounders Editionはありません。GB10・DGX OS・ソフトウェアスタックは128GB版と同じで、扱えるモデルは最大100Bパラメータです。2台をQSFPケーブルで直結すると128GBになり、NVIDIAの社内試験(Qwen 3.8 27B)では1台比で最大1.7倍の性能でした。NVIDIA公式ブログは、販売開始を2026年10月23日、開始価格を4,999ドルと案内しています。
64GB版で足りるかは、重みの容量で決まります。gpt-oss-120b(MXFP4)は重みだけで59.02GiB(約63.4GB)あり、OSや表示用領域を引いた64GBには収まりません。gpt-oss-20b(約12GB)やQwen3-Coder-30B-A3B(Q8_0で約32GB)級を回すなら64GB版で足ります。gpt-oss-120bの性能と20bとの違い|ベンチマーク・推論レベル・必要GPUを一次情報で整理のように100B超のモデルを検証したいなら、128GB版を選ぶか64GB版を2台にする前提です。
日本での購入可否と国内価格(2026年10月16日確認)
| 販路 | 状況 |
|---|---|
| NTTPC(純正FE) | 新規注文の受付停止 |
| パソコン工房 通販(純正FE) | 984,980円表示・在庫切れ |
| ELSA ONLINE(純正FE) | 1,045,000円・5〜7営業日出荷 |
| TSUKUMO | 検索で該当商品なし |
| 価格.com(純正FE) | 価格の登録なし |
| 価格.com(GX10 1TB) | 1,100,000円〜(1店舗) |
2026年7月には、パソコン工房やTSUKUMOの通販で純正機をすぐ買えました。10月時点で純正機を在庫表示付きで掲載しているのはELSA ONLINEで、税込1,045,000円・5〜7営業日出荷の表示です。パソコン工房は通販ページで984,980円のまま在庫切れ、法人向けページは価格を問い合わせ制にしています。NTTPCの販売ページは受付停止の表示の下に893,200円(税込・法人のみ)を残していますが、注文はできません。64GB版の日本での価格と発売日は、各OEMの国内発表を待つ段階です。
「販売終了ではないか」という声に対しては、NVIDIAのモデレーターが2026年10月1日にフォーラムで否定しています。部品市況で生産量は変動するが純正機の追加分を生産中であること、DGX OSをUbuntu 26.04へ移行させる作業を進めていること、四半期ごとのソフトウェア更新を続けることが書かれています。入手しにくいのは品薄であって、製品の打ち切りではありません。NVIDIAとMediaTekも2026年8月31日に、RTX SparkとDGX SparkのPCチップの複数世代での協業継続を発表しています。
GB10互換機との違い(gx10 vs dgx spark)
GB10を積んだ互換機は、Acer・ASUS・Dell・GIGABYTE・HP・Lenovo・MSIから出ています。SoC・メモリ帯域・ConnectX-7・DGX OSは共通なので、性能差を期待して選ぶ対象ではありません。選ぶ基準は価格、SSD、保証窓口、そして各社固有の付属品です。
ASUS Ascent GX10とDGX Sparkの差分
| 観点 | DGX Spark(純正FE) | ASUS Ascent GX10 |
|---|---|---|
| SoC・メモリ・帯域 | GB10/128GB/273GB/s | 同じ |
| 米国価格(1TB) | 設定なし | 5,999ドル(在庫切れ) |
| 米国価格(4TB) | 6,950ドル | 7,999ドル(在庫切れ) |
| SSD | 4TB・自己暗号化 | 1TB PCIe 4.0/4TB PCIe 5.0 |
| 重量 | 1.2kg | 1.48kg |
| 64GB版 | なし | 販売予定 |
| OS | DGX OS | DGX OS |
| 保証窓口 | NVIDIA | ASUS |
| DGX OS更新 | NVIDIAの公開版一覧が適用 | 配信時期が異なる場合あり |
GX10の価格はASUSの米国直販とNVIDIA Marketplaceの表示(2026年10月16日確認)です。確認時点の1TB版は5,999ドルで、4TB同士では純正のほうが約1,050ドル安い逆転が起きています。GX10を選ぶ理由は、1TBで足りて純正より約950ドル抑えたい場合か、在庫が見つかってすぐ手に入る場合に絞られます。
Dell・HP・MSI・GIGABYTE・Acer・Lenovoの各機の差
| 機種 | 米国公式ストア | SSD | 固有の点 |
|---|---|---|---|
| Dell Pro Precision with GB10 | 5,903ドル(2TB) | 1TB/2TB/4TB | 280W電源 |
| Lenovo ThinkStation PGX | 5,859ドル〜 | 最大4TB | 64GB版の発表に名前なし |
| MSI EdgeXpert | 7,999ドル(4TB) | 1TB/4TB | ケーブル付き8,049ドル |
| Acer Veriton GN100 | 4,699.99ドル(4TB) | 2TB/4TB | 在庫切れ |
| HP ZGX Nano G1n | 価格表示なし | 2TB/4TB | 無線なし構成 |
| GIGABYTE AI TOP ATOM | 価格未確認 | 1TB/4TB | Gen4・Gen5を選択 |
価格は各社の米国公式ストアの表示(2026年10月16日確認)で、Acerは在庫切れのため実際に買える最安ではありません。在庫のある構成は5,000ドル台後半からと見てください。Dellは機種名を「Dell Pro Max with GB10」から「Dell Pro Precision with GB10」に変えており、米国直販の構成ページでは2TB構成が5,903ドルです。付属の電源は280WのUSB-Cアダプタで、純正の240Wより大きく、4TB(SED OPAL)は2,450ドルの追加です。映像出力はHDMI 2.1bです。2台を結ぶQSFPケーブル(50cm)も50ドルで同時に選べます。HPのZGX NanoはWi-FiとBluetoothを外した構成を用意しており、無線機器の持ち込みを禁じる研究室や工場ではこれが選定理由になります。開発支援ツールのZ Toolkitは無償です。
純正機とOEM機のDGX OS更新時期の違い
Release Notesは、現行版の一覧がFounders Editionにだけ適用され、GB10ベースのパートナー機は同時に更新を受け取れない場合があると明記しています。後述のクラスタ機能は「2026年4月以降のシステムソフトウェア」が前提なので、OEM機を複数台つなぐ場合は各社の配信状況をそろえてから組む必要があります。新機能をすぐ試したい開発チームは純正、配布済みのソフトウェアで検証を回すだけならOEM機、という分け方で十分です。
DGX Sparkの実測性能:メモリ帯域273GB/sと生成速度の関係
単一リクエストの通常のデコードでは、重みの読み出しによってメモリ帯域がボトルネックになりやすくなります。バッチ処理や長い文脈では、演算量やKVキャッシュの読み出しも影響します。長い入力をまとめて処理するプリフィルでは演算性能が効きやすく、BlackwellのTensorコアで速く進みます。この非対称がDGX Sparkの向き不向きを説明します。
密モデルとMoEモデルの生成速度・計測条件
SGLang開発元のLMSYSによる2025年10月13日のレビュー(バッチサイズ1)では、Llama 3.1 8Bのプリフィルが毎秒7,991トークンに対しデコードは毎秒20.5トークン、Llama 3.1 70B(FP8)はプリフィル毎秒803トークンに対しデコード毎秒2.7トークンでした。この計測条件(FP8・バッチサイズ1)の70Bの密モデルは、応答速度を重視する対話用途には向きません。
活性パラメータが小さいMoEモデルは事情が違います。llama.cppのメンテナが公開しているDGX Spark上の計測(build 7941、llama-benchのtg32)は次のとおりです。
| モデル | 実行系 | デコード(毎秒) |
|---|---|---|
| gpt-oss-20b(MXFP4) | llama.cpp | 83.43トークン |
| gpt-oss-120b(MXFP4) | llama.cpp | 58.72トークン |
| Qwen3-Coder-30B-A3B-Instruct(Q8_0) | llama.cpp | 61.06トークン |
| gpt-oss-20b(MXFP4) | Ollama | 49.7トークン |
| Llama 3.1 70B(FP8) | SGLang | 2.7トークン |
量子化も実行系も異なる参考比較ですが、総パラメータ116.83Bのgpt-oss-120bが70Bの密モデルの20倍以上の速度で生成しています。DGX Sparkでは総パラメータ数ではなく「1トークンで読む活性パラメータの量」でモデルを選んでください。また、gpt-oss-20bの掲載値には約1.7倍の差がありますが、計測時期・ソフトウェア版・測定手順が異なるため、実行系だけによる性能差とは判断できません。実行系を書いていない「DGX Sparkは毎秒◯トークン」という数値は、他機種と比べる材料になりません。同時に多数のリクエストを捌くなら、vLLMとは?PagedAttentionの仕組み・使い方とOllama・TensorRT-LLMとの違いを実装者目線で解説で扱うvLLMが候補になります。
RTX 5090・H100とのメモリ帯域比較
| 機種 | メモリ | メモリ帯域 | DGX Spark比 |
|---|---|---|---|
| DGX Spark(GB10) | 128GB LPDDR5x | 273GB/s | 1.0倍 |
| RTX 5090 | 32GB GDDR7 | 約1,792GB/s | 約6.6倍 |
| H100 SXM | 80GB HBM3 | 3.35TB/s | 約12.3倍 |
RTX 5090の帯域は512bit幅とGDDR7の転送レートからの算出値です。LMSYSの同条件(Ollama・MXFP4・gpt-oss-20b)では、DGX Sparkの毎秒49.7トークンに対しRTX 5090は毎秒205トークンでした。32GBに収まるモデルを速く回すならRTX 5090のスペックと実勢価格【2026年7月】性能・VRAM・LLM適性、32GBに載らないモデルを手元で試すならDGX Sparkです。データセンターGPUと同等のスループットを期待して本番推論へ導入すると、要件を満たせないおそれがあります。
購入前に生成速度と「載るか」を計算する手順
単一リクエストのデコードを帯域律速とみなすと、帯域を「1トークンで読む重みのバイト数」で割った値が生成速度の理想化した上限の目安になります。MoEは活性パラメータだけを読むので、gpt-oss-120bのモデルカードの活性パラメータ(120bは5.1B、20bは3.6B)を使います。MXFP4は4bitの値32個ごとに8bitの共有スケールを持つので、1パラメータ約4.25bitで計算します。次のコードは、活性重みを一律の精度で読むと仮定した速度の目安と、固定8GBの余白を置いた容量判定を出します。KVキャッシュや非量子化部分を精密に計算するものではありません。
# DGX Spark(GB10)で動かす前に、生成速度の上限と「載るか」を概算する
BW = 273e9 # メモリ帯域 [B/s](64GB版・128GB版とも同じ)
RESERVE_GB = 8 # OS・表示用領域・推論エンジンの余白として差し引く目安 [GB]
# モデル名: (1トークンで読む重みのバイト数, 重みファイルの総容量 [GB])
models = {
"Llama 3.1 8B FP8": (8.0e9 * 1.0, 8.0),
"Llama 3.1 70B FP8": (70.0e9 * 1.0, 70.0),
"gpt-oss-20b MXFP4": (3.6e9 * 4.25 / 8, 12.1), # 11.27GiB
"gpt-oss-120b MXFP4": (5.1e9 * 4.25 / 8, 63.4), # 59.02GiB
}
for name, (bytes_per_token, weight_gb) in models.items():
upper = BW / bytes_per_token
fit = {mem: "可" if weight_gb + RESERVE_GB <= mem else "不可" for mem in (64, 128)}
print(f"{name:20s} 上限 約{upper:6.1f} tok/s 64GB:{fit[64]} 128GB:{fit[128]}")
実行結果と公開実測を並べると次のとおりです(単位は毎秒トークン)。
| モデル | 上限の概算 | 公開実測 | 64GB版 |
|---|---|---|---|
| Llama 3.1 8B FP8 | 34.1 | 20.5(約60%) | 可 |
| Llama 3.1 70B FP8 | 3.9 | 2.7(約69%) | 不可 |
| gpt-oss-20b MXFP4 | 142.7 | 83.43(約58%) | 可 |
| gpt-oss-120b MXFP4 | 100.8 | 58.72(約58%) | 不可 |
掲載した4例の実測値は概算の約58〜69%ですが、この比率を未計測モデルへ一律には適用できません。モデル構造、量子化、文脈長、実行系ごとに確認が必要です。本記事では対話用途の仮の目標を毎秒10トークンとし、概算がそれを大きく下回るモデルは候補から外す使い方をおすすめします。余白8GBは目安で、長いコンテキストを使うならKVキャッシュの分をさらに足してください。
購入後は、公開値と同じ条件で自分の機体を測ると、遅さが実行系の問題か機材の限界かを切り分けられます。DGX OSにはCUDA Toolkitが含まれます。実行前にGit、CMake、C++コンパイラと、huggingface_hubが提供するhfコマンドを用意し、llama.cppをCUDA有効でビルドしてください。
# 公開値と同じ build 7941(11fb327bf)に固定して CUDA 有効でビルドし、同じ引数で測る
git clone https://github.com/ggml-org/llama.cpp
cd llama.cpp
git checkout 11fb327bf
cmake -B build-cuda -DGGML_CUDA=ON
cmake --build build-cuda -j
hf download ggml-org/gpt-oss-20b-GGUF --local-dir models/gpt-oss-20b
./build-cuda/bin/llama-bench -m models/gpt-oss-20b/gpt-oss-20b-MXFP4.gguf \
-fa 1 -d 0,4096,8192,16384,32768 -p 2048 -n 32 -ub 2048 -mmp 0
出力のpp2048がプリフィル、tg32がデコードです。build 7941の公開値はgpt-oss-20bでpp2048が毎秒4,505.82トークン、tg32が毎秒83.43トークンで、32,768トークンの文脈を積んだ「tg32 @ d32768」では毎秒61.65トークンまで落ちます。自分の値が大きく下回るなら、DGX OSとドライバの版、ビルド時のCUDA有効化、-mmp 0の指定を順に確認してください。
DGX Sparkを複数台つなぐクラスタ構成(2〜4台)
ConnectX-7の200Gb/sポートで複数台を結ぶと、メモリを合算して大きなモデルを扱えます。NVIDIAは2台で256GB(最大400Bパラメータ)、4台で512GB(最大700Bパラメータ)と案内しています。2026年6月の更新でNVIDIA SyncにCluster Assistantが加わり、公式ドキュメントはケーブル直結で最大3台、スイッチ経由で最大4台をサポートとしています。
| 台数 | 接続方式 | 合計メモリ(128GB機) |
|---|---|---|
| 2台 | QSFPケーブル1本で直結 | 256GB |
| 3台 | リング直結またはスイッチ | 384GB |
| 4台 | スイッチ経由のみ | 512GB |
Cluster Assistantが設定するのはConnectX-7の検出と構成、リンク性能の確認、ノード間のSSHまでで、推論やファインチューニングのワークロードは自分で組みます。ケーブルはNVIDIAが認定したAmphenolとLuxshareの400mm品が文書に載っており、別売です。台数を増やして得られるのは主に「載る上限」で、1台あたりの帯域は273GB/sのままです。速度目的で台数を足すより、量子化を一段落とさずに大きなモデルを載せる目的で足すほうが効果ははっきりします。
DGX Sparkが向く用途と導入を見送る判断
向くのは、200Bパラメータ級のモデルをクラウドGPUの空きを待たずに読み込んで挙動を確かめる検証、公式が上限とする70Bまでのファインチューニング、外に出せないデータを使うPoCです。学習コードとGPU要件の考え方はファインチューニングの実行環境と実装|必要GPUと学習コードで整理しています。2026年6月以降は初回起動時にNemoClawのプレイブックが案内され、サンドボックス内でエージェントを動かす構成も手早く試せます(NVIDIA NemoClawとは?OpenClawとの違い・WSL導入手順とポリシー設定)。
100万円前後の機材なので、稟議の前に次の3点を順に確かめてください。
- 動かしたいモデルは32GBに載らないか:載るなら帯域が約6.6倍あるRTX 5090搭載機のほうが同じモデルを速く回せます。
- 必要な生成速度を満たすか:前述のコードは候補を絞るための概算です。対話用途では毎秒10トークンを仮の目標に置き、実際の文脈長と同時利用数で必要な応答速度を満たすか確認します。
- データを外に出せない理由があるか:制約がないなら、クラウドGPUの時間借りのほうが初期費用を抑えられます。
対象モデルが32GBに収まらず、必要な生成速度を満たし、ローカル実行が必要ならDGX SparkかGB10互換機が候補です。CUDAの必要性や継続利用の総費用も含めて判断してください。特に、多数の同時利用者へ低遅延で応答する本番推論では、対象モデルの負荷試験で要件を満たさなければ採用を見送ってください。2026年10月の価格では、128GBのメモリが要るだけならApple SiliconのMac(MLXとは?Apple SiliconでLLMを動かすmlx-lmの導入手順と採用判断)や、128GB級の統合メモリを持つAMD Ryzen AI Haloとは|3,999ドルで128GBローカルLLMを動かす開発機の実力と選び方も比較に入ります。CUDAとNVIDIAのソフトウェアをそのまま使えることに価値を置くかどうかが、DGX Sparkを選ぶ分かれ目です。クラウドLLMとの使い分けから整理したい場合はローカルLLMとは?クラウド型との違い・必要スペック・Ollamaでの構築手順を解説を参照してください。
機材を選ぶ前に、対象業務でローカルLLMが本当に要るか、どのモデルなら要件を満たすかを確かめたい場合は、一創の生成AI導入支援で検証テーマの設計から実機での計測、本番構成の判断まで一緒に進められます。
よくある質問
DGX Sparkは個人で購入できますか?
米国ではNVIDIA Marketplaceで個人も購入でき、2026年10月16日時点で6,950ドルの純正機に購入ボタンが表示されています。日本ではNTTPCが新規受付を停止し、パソコン工房の通販は在庫切れです。純正機はELSA ONLINE(税込1,045,000円、2026年10月16日確認)が掲載しているほか、ASUS Ascent GX10などのGB10互換機も販売店で比較できます。
DGX Sparkは販売終了ですか?
販売終了ではありません。NVIDIAのモデレーターが2026年10月1日にフォーラムで、純正機の追加分を生産中であり、OEM各社も販売を続けると回答しています。品薄と値上げが続いているため、手に入りにくい状態です。
DGX Sparkの価格はいくらですか?
純正の128GB版はNVIDIA米国Marketplaceで6,950ドルです(発売時3,999ドル、2026年2月に4,699ドル、2026年10月16日確認)。OEM限定の64GB版はNVIDIAの発表で4,999ドルからです。日本では純正機がELSA ONLINEで税込1,045,000円、GX10が価格.comで1,100,000円からです(2026年10月16日確認)。
DGX Sparkの後継機はありますか?
2026年10月16日時点で、製品名や発売日を伴う後継機は発表されていません。NVIDIAとMediaTekは2026年8月31日に、DGX Sparkを含むPCチップを複数世代にわたって共同開発すると発表しており、次世代が出る前提ではあります。RTX SparkはWindows 11向けの別系統で、DGX Sparkの置き換えではありません。
DGX SparkでWindowsやMIGは使えますか?
どちらも使えません。OSはUbuntu 24.04ベースのDGX OS 7系(現行7.5.0)で、GPUを分割するMIGもNVIDIAが非対応と明言しています。Windowsで同等のことをしたい場合はRTX Spark搭載PCが選択肢です。
DGX SparkとDGX Stationの違いは何ですか?
DGX StationはGB300 Grace Blackwell Ultraを積み、748GBのコヒーレントメモリ(GPU側252GB+CPU側496GB)を備えたデスクサイドの上位機です。DGX SparkはGB10・128GB(または64GB)の開発・検証向けで、扱えるモデルの規模と価格帯が一段違います。