LM StudioでGemma 4を動かすとき、手が止まりやすいのは3か所です。MCPサーバーをどこに書くか。Web検索をどうやって足すか。そして「MTPで最大3倍速くなる」と聞いて設定したのに、ドラフトモデルがグレーアウトして選べない、選べても推論で落ちる、という問題です。
本記事は2026年10月12日時点の最新版LM Studio 0.4.26(10月8日公開)を前提に、公式のchangelog・ドキュメント・バグトラッカーで確かめられた事実だけを使って、mcp.jsonの書き方とOAuth接続、Web検索の足し方、Gemma 4のMTPの設定場所とエラー別の対処、APIからMCPを呼ぶ方法までを手順として整理します。
まとめ
- MCPサーバーは
mcp.jsonに書く。開き方は右サイドバーのタブから「Install > Edit mcp.json」。公式ドキュメントはこのタブを「Program」と書くが、0.4.23の画面では「Integration」タブとして表示される。書式はCursorのmcpServers記法。 - OAuthが必要なリモートMCPには0.4.10(2026年4月9日)から対応。自前のOAuthアプリを使う場合は、サーバー定義に
authを足し、コールバックURLhttp://127.0.0.1:33389/mcp-oauth-callbackを登録する。 - LM Studio本体にWeb検索機能は無い。DuckDuckGoなどの検索MCPサーバーを足すか、同社の別アプリ「Bionic」の内蔵Web検索(Settings → General → Web Search)を使う。
- Gemma 4のMTPは別配布の「assistant」ドラフター。LM Studioがこの型のドラフターに対応したのは0.4.22(2026年8月28日・llama.cppエンジン2.29.1以上)。0.4.14の「MTP安定版」はモデルにMTPヘッドを内蔵した別系統の話。
- 設定場所は0.4.17から Load Parameters > Advanced > Speculative Decoding。公式ドキュメントの「チャットサイドバー」は旧手順。
- Gemma 4のMTPに関する不具合報告は2026年10月12日時点でいずれもOpenのまま。エラー文字列から原因を切り分け、CUDA環境で落ちるならドラフターをCPUに置く回避策を試し、それでも駄目なら追わない。
LM StudioでMCPサーバーを設定する手順(mcp.json)
LM Studioは0.3.17(Build 10)からMCPホストとして動作し、ローカル・リモート両方のMCPサーバーに接続できます。MCPそのものの仕組みはMCP(Model Context Protocol)の仕組みの解説にまとめています。
mcp.jsonを開く場所:ProgramタブとIntegrationタブ
公式ドキュメントの手順は「右サイドバーの Program タブ → Install > Edit mcp.json」で、アプリ内エディタが開きます。ただし2026年9月4日の窓の杜の検証記事(0.4.23)では、同じ操作がネジのアイコンの「Integration」タブにあります。ドキュメント通りのタブ名が見当たらないときは、右サイドバーのIntegrationタブを開いてください。保存後、追加したサーバーは同じタブに「mcp/サーバー名」として並び、スイッチをONにするとチャットで使えるようになります。
ファイルの場所はMCPのドキュメントには書かれていませんが、0.3.17の公式ブログが、macOSとLinuxは ~/.lmstudio/mcp.json、Windowsは %USERPROFILE%/.lmstudio/mcp.json と案内しています。同じブログも編集にはアプリ内エディタを勧めているので、直接開くのはバックアップや差分の確認にとどめてください。
ローカルMCP(command)とリモートMCP(url)の書き方
ルートキーは mcpServers で、ローカルで起動するサーバーは command と args、リモートのサーバーは url(必要なら headers)で書きます。次の例は、PyPIのDuckDuckGo検索サーバーをuvxで起動し、Linearの公式リモートMCPを並べたものです。uvxはPython本体には含まれないため、先にuv(Astral製のPythonパッケージ管理ツール)を入れておきます。
{
"mcpServers": {
"ddg-search": {
"command": "uvx",
"args": ["duckduckgo-mcp-server"]
},
"linear": {
"url": "https://mcp.linear.app/mcp"
}
}
}
他所の設定例を貼るときは、公式ドキュメントの注意どおり "mcpServers": { の内側だけを移します。外側ごと貼ると入れ子が二重になり、サーバーが読み込まれません。配布ページの「Add to LM Studio」ボタンは lmstudio://add_mcp?name=…&config=… 形式のディープリンクで、configはサーバー定義JSONをBase64にしたものです(deeplinkの仕様)。押す前にconfigをデコードすれば、何が書き込まれるかを確認できます。
モデルがツールを呼ぶたびに確認ダイアログが出て、引数を見たうえで許可するか、以降は常時許可するかを選べます。ファイル書き込みやシェル実行ができるツールを常時許可にすると、プロンプトに混じった指示でも確認なしに実行されます。常時許可は読み取り専用のツールに限ってください。
リモートMCPのOAuth認証と接続設定
0.4.10のリリースノートに「Add OAuth support for MCP servers」とあり、以降はブラウザでログインするだけでトークンが保存され、mcp.json に長期トークンを平文で書かずに済みます。OAuthのトークン交換は0.4.14 Build 2で修正が入っているので、OAuth接続を使うなら0.4.14 Build 2以降にしてください。公式の連携一覧には、Linear(https://mcp.linear.app/mcp)、Notion(https://mcp.notion.com/mcp)、Atlassian(https://mcp.atlassian.com/v1/mcp)、Sentry(https://mcp.sentry.dev/mcp)が載っています。
動的クライアント登録に対応していないサービスや、リダイレクトURLの事前登録を求めるサービスでは、自前のOAuthアプリが要ります。公式のMCP連携ドキュメントは、サーバー定義に auth オブジェクトを足し、OAuthアプリ側にコールバックURL http://127.0.0.1:33389/mcp-oauth-callback を登録する方法を示しています。
{
"mcpServers": {
"oauth-server": {
"url": "https://api.example.com/mcp",
"auth": {
"CLIENT_ID": "(OAuthアプリのクライアントID)",
"CLIENT_SECRET": "(OAuthアプリのシークレット)"
}
}
}
}
この方式ではクライアントシークレットが mcp.json に平文で残ります。PCを共用する環境や、設定ファイルをバックアップ同期している環境では、動的クライアント登録に対応したサーバーを優先して選ぶほうが安全です。
LM StudioでWeb検索を使う:検索MCPとBionic
LM Studio本体にWeb検索機能はありません。公式ドキュメントに内蔵Web検索の記述はありません。ここでは「検索MCPサーバーを足す」方法と「別アプリのBionicを使う」方法の2つを扱います。ほかに、LM Studio Hubにはコミュニティ製の検索プラグインも公開されています。
DuckDuckGo MCPサーバー2種の違い(tools/listの照会結果)
「duckduckgo-mcp-server」という名前のパッケージはPyPIとnpmに別物があります。2026年10月12日時点の配布版(PyPI 0.7.0・npm 0.1.2)をそれぞれstdioで起動し、MCPの tools/list が返したtools配列を照会すると、次のように中身が違います。定義の大きさは、tools配列をJSON文字列にしたときの文字数です。
| 項目 | PyPI版 | npm版 |
|---|---|---|
| 版・作者 | 0.7.0・nickclyde | 0.1.2・zhsama |
| 起動 | uvx duckduckgo-mcp-server | npx -y duckduckgo-mcp-server |
| ツール | search / fetch_content / expand_link | duckduckgo_web_search |
| 件数の既定 | max_results=10 | count=10(1〜20) |
| ページ本文の取得 | あり(既定8,000文字) | なし |
| ツール定義の大きさ | 約4,600文字 | 約800文字 |
| 実行環境 | Python 3.10以上 | Node.js |
PyPI版は検索結果のページ本文まで読めますが、ツール定義のJSONだけで約4,600文字あります。ツールを有効にしている間は、この定義がモデルへの入力に含まれます(公式ドキュメントも、使うツールを絞るとモデルが受け取る定義が減ってプロンプト処理が速くなると説明しています)。さらに本文取得は1回で最大8,000文字(既定値)を返し、0.4.16から既定のコンテキスト長は8kトークンなので、会話履歴と合わせると溢れやすくなります。PyPI版を使うならモデルのロード時にコンテキスト長を上げ、検索だけでよい用途ならnpm版のほうが軽く済みます。ただしnpm版は照会直後の検索で「DDG detected an anomaly in the request, you are likely making requests too quickly.」というエラーを返しました。DuckDuckGo側が短時間の連続リクエストと判定したときのメッセージです。PyPI版は検索30回/分、取得20回/分の制限を自前で持っています。どちらもコミュニティ製で、LM Studioの公式提供物ではありません。
APIキーで検索するWeb検索APIを使いたい場合は、Ollama Web Searchの使い方とAPIキー設定も選択肢になります。
Bionicの内蔵Web検索との違い
Bionicは、LM Studioの開発元が出しているエージェント向けの別アプリです。Bionicのドキュメントには「Settings → General → Web Search」をONにするとWebから最新情報を取り込めると書かれており、MCPを入れずに検索できます。料金ページではFreeプラン(0ドル)が「Limited web search」、Bionic+(月額20ドル)が「Web search and page extraction」で、Free側の回数上限は公開されていません。検索はZero Data Retentionで処理されると明記されていますが、検索語は外部に出ます。社外秘の語を含む調査には、どちらの方法も使わないでください。
LM Studio本体のチャットやAPIで検索させたいならMCP、エージェントに調べ物と資料作成をまとめて任せたいならBionic、という分け方になります。0.4.26 Build 3からは両アプリを同時に起動でき、BionicがLM Studioのローカル推論を使います(Bionic 1.1.8以上)。
Gemma 4をLM Studioで動かす:サイズとツールコール
Gemma 4は2026年3月31日に公開されたGoogleのオープンモデルで、ライセンスはApache 2.0です。初期ラインアップのE2B / E4B / 26B A4B / 31Bに、2026年6月3日に12B Unifiedが加わりました(Gemmaのリリース履歴)。LM Studioのモデルカタログが示す最小システムメモリは次のとおりです。
| モデルID(LM Studio) | 最小システムメモリ | MTP用assistant |
|---|---|---|
| google/gemma-4-e2b | 4GB | あり |
| google/gemma-4-e4b | 6GB | あり |
| google/gemma-4-12b | 7GB | あり |
| google/gemma-4-26b-a4b | 16GB | あり |
| google/gemma-4-31b | 19GB | あり |
表の値はカタログが示す最小値で、MTPのドラフターを併用したり長いコンテキストを使ったりすると、その分だけ必要なメモリは増えます。26B A4BはMoEで、総パラメータ25.2Bに対して推論時のアクティブは3.8Bです。生成速度はアクティブ分で効き、メモリは総パラメータ分を載せる必要があります。VRAM別の選び方と量子化形式はGemma 4のモデル一覧・必要スペック・量子化の解説に、12Bの位置づけはGemma 4 12Bの必要スペックと26B A4Bとの違いにまとめています。
検索MCPは「クエリを組み立ててツールを呼び、返ったJSONを読んで答えに織り込む」多段の処理なので、ツールコールが不安定だと検索結果を無視した回答が返ります。Gemma 4のツールコール信頼性は0.4.10で改善され、0.4.11でチャットテンプレート対応が更新されました。Gemma 4でMCPを使うなら0.4.11以降が前提です。それでもツールが呼ばれない場合、issue #2163(0.4.19・gemma-4-12b-qat)では、Integrationタブにツールが表示されているのに推論時のtools配列が空になる事象が報告されています。報告者は、プロンプト処理のトークン数が99〜103しかなく登録したツール定義が入る大きさではないことから、定義が渡っていないと推定しています。手元で確かめるなら、同じ入力で、開発者ログに出るプロンプトのトークン数をツールのON・OFFで比べます。差がほとんど無ければ、定義が渡っていない可能性を疑えます。
LM StudioでのGemma 4 MTP設定と対応条件
MTP(Multi-Token Prediction)の仕組み自体はMTPの仕組みと投機的デコーディングでの使い方、ドラフトモデルで速くなる条件はSpeculative Decodingの仕組みと速くなる条件で解説しています。ここではGemma 4とLM Studioの組み合わせに絞ります。
Gemma 4のMTPは別配布のassistantドラフター
Gemma 4のMTPは本体に最初から入っている機能ではありません。Googleは2026年4月16日に「Gemma 4 - MTP」としてE2B・E4B・31B・26B A4B用のドラフターを別に公開し、Hugging Faceでは google/gemma-4-31B-it-assistant のように末尾が「assistant」のリポジトリで配布しています(12B用は後から追加)。GoogleのMTP解説によれば、このドラフターは本体の入力埋め込みを共有し、本体の最終層の活性を入力に使うため、単独では動きません。GGUFではアーキテクチャ名が gemma4-assistant になります。
速度については、Googleのブログ(2026年5月5日)が出力品質を落とさずに最大3倍と書いていますが、計測エンジンとして挙がっているのはLiteRT-LM・MLX・Hugging Face Transformers・vLLMで、LM Studioとllama.cppは入っていません。26B A4BのようなMoEでは、ドラフトしたトークンの検証のたびに別の専門家(エキスパート)の重みを読み込む必要があり、バッチサイズ1では読み込みの使い回しが効きにくいため、MTP解説も「速くならない場合がある」としています。ブログの約2.2倍はバッチ4〜8の数字です。1人で対話に使うなら、MTPの効果を見込みやすいのは密モデルの12Bや31Bです。
設定場所はLoad Parameters > Advanced > Speculative Decoding
LM Studioが2026年5月22日の0.4.14で安定版にしたMTPは、説明が「multi-token prediction headsを内蔵したモデル」向けで、Gemma 4の別配布ドラフターを指していません。Gemma 4のassistantを扱えるようになったのは0.4.22で、llama.cppエンジン2.29.1以上が条件です。アプリを更新してもエンジンが古いままだと対象外になるので、ランタイムの画面でllama.cppエンジンの版も確認してください。
設定の置き場所は、0.4.17のchangelogに「Speculative Decoding settings are now in Load Parameters > Advanced > Speculative Decoding, moved from Prediction Parameters」とあります。公式ドキュメントの投機的デコードのページは2026年10月12日時点でも「チャットサイドバーのSpeculative Decodingでドラフトモデルを選ぶ」と旧手順のままなので、サイドバーに項目が無くても設定が消えたわけではありません。モデルを読み込む前に、ロード設定のAdvancedを開きます。
作業の順番は、(1)本体と同じサイズのassistantドラフターを入手する(GGUFなら mtp-gemma-4-31B-it.gguf のような別ファイル)、(2)本体のLoad Parameters > Advanced > Speculative Decodingでドラフターを指定して読み込む、(3)開発者ログに「speculative decoding context initialized」が出ているかを見る、(4)同じプロンプトでMTPのON・OFFを切り替えてトークン毎秒を比べる、です。(4)で速くならなければ、そのモデルと環境ではMTPを使う理由がありません。
MIT公開のlmstudio-jsのロード設定の型を見ると、投機的デコードは「MTP(本体に同梱されたMTPヘッドを使う)」と「Draft Simple(別のドラフトモデルを使う)」の2系統で、両方を同時に有効にはできません。0.4.22より前の版でGemma 4のassistantをDraft Simpleとして付けると、次章の「Gemma4Assistant requires ctx_other」で落ちます。
MTPが動かないときのエラー別の対処と、追わない判断
LM Studioのバグトラッカーには、Gemma 4のMTPに関する報告が2026年6月以降に少なくとも7件立っており、10月12日時点でいずれもOpenです。症状とエラー文字列から、どの段階で詰まっているかを切り分けます。
| 症状・エラー | 報告 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|---|
| ドラフト一覧に出ない | #2044・#2150 | assistant型を選択肢から除外 | 0.4.22以降へ更新 |
| MTPがグレーアウト | #2153(0.4.20) | 同梱MTPヘッドが無い | 0.4.22以降へ更新 |
| ctx_other警告の後に推論失敗 | #2153・#2229 | 単独ドラフトとして読込 | 0.4.22以降へ更新 |
| inconsistent sequence positions | #2036・#2229 | ドラフトとのKV位置ずれ | 0.4.22以降へ更新 |
| invalid vector subscript | #2036 | CUDAへのドラフター読込 | ドラフターをCPUへ |
| GGML_ASSERT(max_blocks_per_sm > 0) | #2036 | CUDAのFlash Attention | FAを切って再読込 |
上4つはいずれも0.4.22より前の版での報告です。issue #2229の報告者は、LM Studioがassistant型のドラフターを通常のドラフトモデルとして扱い、llama.cppに --spec-type draft-mtp を渡していないことが原因と見ており、同じファイルが素のllama.cppではこの指定で動くと書いています。一覧に出ない件(#2044)の原因は、報告者の推測にとどまります。「Gemma4Assistant requires ctx_other」はメモリ見積もりの途中でも出る警告で、表示されただけなら異常ではありません。その後に読み込みや推論が失敗したときだけ、この表の対象です。KVの位置ずれはCUDAに限らず、Vulkan・SYCL・macOSでも報告されています。まず0.4.22以降とllama.cppエンジン2.29.1以上に上げ、それでも出るなら同じissueに版と構成を書き添えてください。
下2つはCUDA環境での報告です。issue #2036では、ドラフターの読み込み時に「invalid vector subscript」で落ちる件について、同梱のllama-serverでもドラフターをCUDAへ載せると同じエラーになり、-ngld 0(ドラフターをCPUに置く)なら動くという切り分けが投稿されています。0.4.24から、Engine Protocol経由のGGUF読み込みでllama.cppの起動引数を追加できるようになったので、この回避策はLM Studioの中でも試せます。LM Studioを経由せずに確かめるなら、llama.cpp単体で次のように起動します。Gemma 4のドラフターに対応したllama.cpp(2026年6月7日マージのPR #23398以降)の llama-server が必要で、2つのGGUFのファイル名は手元のものに置き換えます。現行のllama.cppでは -ngld は --spec-draft-ngl の別名です。
llama-server -m gemma-4-31B-it-UD-Q4_K_XL.gguf \
--spec-draft-model mtp-gemma-4-31B-it.gguf \
--spec-type draft-mtp --spec-draft-n-max 4 \
--spec-draft-ngl 0
MTPを追わないほうがよい場面もあります。issue #1969は、Apple Silicon(M1 Max・0.4.14)でQwen3.5のMTP版が非MTP版より1.3〜14倍遅くなった報告です。Gemma 4の測定ではありませんが、MTPがかえって遅くなる環境があることを示しています。#2244にも、0.4.24でも別モデル(Qwen3.8)のMTPヘッドGGUFでクラッシュしたという9月21日の追記があります。0.4.22以降に上げても上の表のどれかが出続けるなら、MTPは切って、コンテキスト長と同時実行数の調整で実効速度を詰めるほうが確実です。Apple SiliconならLM Studioを経由せずMLX(mlx-lm)で直接動かす方法も選択肢になります。
API経由のMCP・Gemma 4呼び出しと認証条件
LM Studioのサーバーは既定で http://localhost:1234 で待ち受けます。この節で扱うのは次の3系統です(0.4.26で追加された別の互換エンドポイントは対象外)。
| 系統 | 主なパス | MCP |
|---|---|---|
| OpenAI互換 | /v1/chat/completions、/v1/responses | responsesはリモートMCP可 |
| Anthropic互換 | /v1/messages | 呼び出し側で実装 |
| ネイティブv1 | /api/v1/chat | integrationsで指定可 |
LM Studio側でMCPツールを実行させる方法は2系統です。OpenAI互換の /v1/responses は、tools に "type": "mcp" を書けばリモートMCPを呼べます(Developerの設定でRemote MCPを有効にする必要あり・Responsesのドキュメント)。mcp.json に登録したサーバーまで使えるのはネイティブの /api/v1/chat で、integrations に2通りの指定方法があります(Using MCP via API)。mcp.json に登録済みのサーバーは "type": "plugin" と mcp/サーバー名 で呼び、リクエストごとにURLを渡すリモートサーバーは "type": "ephemeral_mcp" で呼びます。前者はServer Settingsの「Allow calling servers from mcp.json」、後者は「Allow per-request MCPs」をONにする必要があり、前者は「Require Authentication」も有効でないと使えません(Server Settings)。ファイルシステムに触れるMCPサーバーを、認証なしのAPIから誰でも呼べる状態にしないための制約です。
curl http://localhost:1234/api/v1/chat \
-H "Authorization: Bearer $LM_API_TOKEN" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "google/gemma-4-12b",
"input": "LM Studioの最新版を調べて",
"integrations": [
{ "type": "plugin", "id": "mcp/ddg-search", "allowed_tools": ["search"] }
],
"context_length": 16000
}'
allowed_tools でツールを絞ると、モデルに渡すツール定義が減り、プロンプト処理も速くなります。前章のPyPI版のように定義の大きいサーバーでは効果が大きい設定です。Anthropic互換の /v1/messages は、認証を有効にした場合 x-api-key と Authorization: Bearer の両方を受け付けます。Claude Codeの接続手順では、ANTHROPIC_BASE_URL=http://localhost:1234 と ANTHROPIC_AUTH_TOKEN を設定し、--model でLM Studioのモデルを指定します。認証を有効にしている場合、ANTHROPIC_AUTH_TOKEN にはLM Studioで発行したAPIトークンを入れます。0.4.22からは、ツールが返した画像をOpenAI互換・Anthropic互換の両APIで扱えるようになりました。
同時実行とバッチの調整:Unified KV Cache・Max Concurrent Predictions・Physical Batch Size
Unified KV Cacheは0.4.0(2026年1月28日)で入った同時実行のためのメモリ機構で、既定でONです。事前確保したKVキャッシュを同時リクエスト数で固定分割せず、リクエストごとに可変の大きさを許すため、長短のリクエストが混ざっても同じメモリでさばけます。並列数は「Max Concurrent Predictions」で決まり、既定は4スロットです。Unified KV CacheがONなら、4スロットにしても追加のメモリ消費は生じないと公式は説明しています。KVキャッシュ自体の仕組みはKVキャッシュの仕組みとメモリ削減の解説を参照してください。
キャッシュが満杯になると、キューで待たずに実行中のリクエストがまとめて止まる(モデルはロードされたまま)というissue #1628はOpenのままです。APIサーバーとして複数クライアントから使うなら、Max Concurrent Predictionsを上げる前にコンテキスト長を見直してください。
Physical Batch Sizeは0.4.15(2026年5月29日)でllama.cppエンジンの詳細ロード設定に加わった項目です。同じ版でCUDAのマルチGPUにテンソル並列が入りました。長いプロンプトの読み込みが遅いときに触る値で、生成の速さを上げる設定ではありません。
ヘッドレス運用とLM Link
GUIを立ち上げずにサーバーとして常駐させるなら、0.4.0で導入されたllmsterを使います。公式手順は次の流れで、Linuxではsystemdのサービスとして登録する例まで用意されています。
curl -fsSL https://lmstudio.ai/install.sh | bash
lms get google/gemma-4-12b
lms load google/gemma-4-12b
lms server start
LM Linkは、LM Studioやllmsterを入れた複数の端末をつなぎ、別端末に読み込んだモデルを localhost 宛てのリクエストのまま使える機能です。0.4.16でウェイトリストが撤廃され、料金ページではFreeプランで5台までとされています。
0.4.10から0.4.26までの主な変更点
2026年10月12日時点の最新版は0.4.26(10月8日)です。0.4.19以前で止めている環境は、Gemma 4のassistantドラフター対応とllama.cpp引数の上書きを取り逃しています。
| 版 | 公開日 | 主な変更 |
|---|---|---|
| 0.4.10 | 2026-04-09 | MCPのOAuth対応、Gemma 4ツールコール改善 |
| 0.4.11 | 2026-04-10 | Gemma 4チャットテンプレート更新 |
| 0.4.14 | 2026-05-22 | 内蔵MTPヘッドのMTP安定版、OAuth修正 |
| 0.4.15 | 2026-05-29 | テンソル並列、Physical Batch Size |
| 0.4.16 | 2026-06-08 | LM Link一般提供、既定コンテキスト8k |
| 0.4.17 | 2026-06-26 | 投機的デコード設定をLoad Parametersへ |
| 0.4.19 | 2026-07-07 | Engine Protocol既定ON |
| 0.4.22 | 2026-08-28 | assistantドラフター対応、ツール画像 |
| 0.4.24 | 2026-09-09 | llama.cpp引数の上書き |
| 0.4.25 | 2026-09-19 | Apple Silicon向けSplashエンジン |
| 0.4.26 | 2026-10-08 | Bionicとの同時起動、CUDA 13(Windows ARM) |
更新後は、モデルごとのコンテキスト長、Engine Protocolのオン・オフ、Speculative Decodingの設定場所の3点を確認してください。旧版の画面配置を前提にした社内手順書も見直しが必要です。
ライセンス面では、ローカルでモデルを動かす範囲はFreeプランで無料です。一方で利用規約は、ソフトウェアの再配布・販売や、SaaS・サービスビューローとしての第三者提供を禁じています。アプリ本体はクローズドソースで、MITで公開されているのは lms CLI、lmstudio-js、lmstudio-python、mlx-engineなどの周辺部品です。本体の監査が必要な組織では、Foundry Localの使い方と対応モデルも比較対象になります。ローカルLLMの社内導入を、ツール選定から利用ルールづくりまで進めたい場合は生成AI導入支援でご相談を受け付けています。
よくある質問
LM StudioにWeb検索機能はありますか?
LM Studio本体にはありません。DuckDuckGoなどの検索MCPサーバーを mcp.json に追加して使います。同じ開発元の別アプリBionicには、Settings → General → Web Search に内蔵のWeb検索があり、Freeプランでは回数が制限されます。
Gemma 4のMTPはLM Studioで使えますか?
使えます。ただしGemma 4のMTPは別配布のassistantドラフターで、LM Studioが対応したのは0.4.22(llama.cppエンジン2.29.1以上)です。設定はLoad Parameters > Advanced > Speculative Decodingで行います。グレーアウトや「Gemma4Assistant requires ctx_other」が出る場合は、まずアプリとエンジンの版を確認してください。
LM StudioのMCP設定ファイルはどこにありますか?
設定ファイルは mcp.json です。右サイドバーのタブ(公式ドキュメントの表記は「Program」、0.4.23の画面では「Integration」)から「Install > Edit mcp.json」を選ぶとアプリ内エディタで開きます。ファイル自体はmacOS・Linuxが ~/.lmstudio/mcp.json、Windowsが %USERPROFILE%/.lmstudio/mcp.json です(0.3.17の公式ブログ)。
Unified KV Cacheはオフにすべきですか?
通常はONのままで問題ありません。0.4.0から既定でONで、同時実行数は「Max Concurrent Predictions」(既定4)で決まります。キャッシュが満杯になると実行中のリクエストが止まる報告があるため、並列数を上げる前にコンテキスト長を見直してください。
LM Studioは業務で無料利用できますか?
ローカルでモデルを動かす範囲はFreeプランで無料です。ただし利用規約で、再配布・販売やSaaSとしての第三者提供は禁止されています。Bionicのクラウドモデルや拡張したWeb検索は、有料プランかクレジットの対象です。
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