Apidog(エイピードッグ)は、API仕様の設計、リクエストのデバッグ、モックサーバー、自動テスト、ドキュメント公開を1つのプロジェクトの中でつなぐAPI開発プラットフォームです。提供元は米国デラウェア州法人のApidog, Inc.で、2026年10月時点では4人まで無料で使えます。この記事では、何ができるのか、AI機能がどう動くのか、OpenAPIやPostmanのデータをどう持ち込むのか、CIでテストを回すまでの手順、料金と課金の数え方、Postmanとの違いを、公式ドキュメントとnpmのCLIを手元で動かした結果をもとに整理します。
まとめ:Apidogを選ぶかどうかの判断材料
- Apidogの中心はAPI仕様です。仕様からリクエスト、モックの応答、レスポンス検証、公開ドキュメントを作るので、Swagger UI・Postman・モックサーバーを別々に保守する手間が減ります。
- 無料プランは最大4ユーザーまでです。有料はBasic・Professional・Enterpriseの3つで、年払いの月額換算は1ユーザーあたり9ドル・18ドル・27ドル。ゲストも1人として数えますが、公開ドキュメントを読むだけの人は課金されません。
- アプリ内のAI機能(テストケース生成やスキーマの補完)は、管理者が登録したOpenAIやAnthropicなどのAPIキーで動きます。Apidog側のAI料金はなく、かかるのはAIプロバイダーの利用料です。
- OpenAPI 3.0/3.1とSwagger 2.0を読み込み、3.1/3.0/2.0で書き出せます。Postmanのコレクション・環境・スクリプトも移行できます。
- CIでは
npm install -g apidog-cliで入るCLIのapidog runを使います。2026-10-10公開の2.2.12は、インポート・書き出し・テストケース管理までコマンドで扱えます。 - SaaSのGlobal版では、仕様とテストシナリオが米国のAWSに保存されます。社外クラウドに仕様を置けない案件は、オンプレミス版かオフライン専用のOffline Spaceを検討します。
Apidogの位置づけ:仕様を起点に開発工程をつなぐツール
Apidogは、仕様を書くDesign-firstと、リクエストを送るRequest-firstの両方に対応しています。公式ドキュメントは、API設計者・バックエンド・QA・フロントエンド・ドキュメント担当が同じ仕様を見て作業する流れを想定しています。フロントエンドは仕様から生成されるモックで先に画面を作り、バックエンドは同じ仕様に対してレスポンスを自動検証する、という並行開発です。この進め方自体はスキーマファースト(OpenAPI起点の並行開発)と同じ考え方で、Apidogはそれを1つの画面に収めた製品といえます。
提供形態は3つあります。標準のSaaS(Global版。データは米国のAWS)、欧州向けのApidog Europe(本番はAWSアイルランド、バックアップはAWSドイツ)、自社サーバーに置くオンプレミス版です。アプリはWindows・macOS・Linux向けのデスクトップ版とWeb版があり、公式の変更履歴では2026-10-21公開の2.8.50が先頭に載っています。UIは2023年4月25日公開の2.2.34から日本語に対応しています(公式ブログの告知)。自動生成されるレスポンス名などの言語は、個人の表示言語とは別に管理者が「プロジェクトの言語」で決めます。
名前が似た「apiDoc」との違い
検索では「apidoc」と打たれることがありますが、apiDocは別のオープンソースです。ソースコード中のコメントからAPIドキュメントを生成するNode.js製ツールで、npmの最新版は2023-08-23公開の1.2.0、GitHubリポジトリはアーカイブ済み(READMEに「現在はメンテナンスされていない」と明記)です。Apidogとは開発元も用途も異なります。ApidogのCLIはインポート形式に apidoc を含めているため、apiDocで作った古いドキュメントをApidogへ移す経路はあります。
Apidogの主要機能:設計・デバッグ・モック・テスト・公開
API設計とデータスキーマの再利用
エンドポイントごとにメソッド・パス・パラメータ・リクエストボディ・レスポンスをフォームで定義し、共通のデータ構造はスキーマとして切り出して複数のエンドポイントから参照します。内部表現はOpenAPIと対応しているので、書き出せば仕様書としてそのまま使えます。OpenAPIの書き方そのものはOpenAPIの仕様書の書き方と3.0・3.1・3.2の差分で解説しています。
プロジェクト作成時には「General Mode」と「Spec-first Mode(ベータ)」を選びます。仕様ファイルをGitで管理して正本にしたいならSpec-first Modeです。この選択は作成後に変更できないため、既存のOpenAPIファイルを取り込む前に決めておきます。
デバッグとレスポンスの自動検証
定義したエンドポイントに実際のリクエストを送ると、返ってきたレスポンスが仕様どおりか(型・必須項目など)を自動で照合します。逆に、先にリクエストを送ってから、その内容を仕様として保存することもできます。前処理・後処理では、JavaScriptのスクリプト、ビジュアル操作でのアサーションと変数抽出、データベースへの接続(テストデータの投入や結果の確認)が使えます。
対応するAPI形式と通信方式:GraphQL・gRPC・WebSocket・SOAP・SSE
REST以外のAPI形式も扱えます。公式ドキュメントの「Send Requests」には、GraphQL、gRPC、WebSocket、Socket.IO、SOAP(WebService)、SSE(Server-Sent Events)のデバッグ手順がそれぞれ独立したページで載っています。WebSocketとSocket.IOはCLIにも専用の管理コマンド(websocket・socketio)があります。GraphQLやgRPCの仕組みそのものはGraphQLとREST APIの違いと最小実装、gRPCの仕組みとRESTとの違い・実装例で解説しています。
モック:Smart Mock・Cloud Mock・Self-Hosted Runner Mock
Smart Mockは追加設定なしで仕様から応答データを作ります。値の決め方には優先順位があり、1番目はフィールドに書いたMock値、2番目はプロパティ名との一致(email ならメールアドレス風の値)、3番目はJSON Schemaの型と制約です。固定の応答や、リクエスト条件で応答を切り替えたい場合はCustom Mockで期待値を定義します。
モックの置き場所も選べます。手元のアプリで動くローカルモックはPCを閉じると止まりますが、Cloud Mockはチームで同じURLを24時間使えます。社内ネットワークの中だけでモックを動かしたい場合は、自社サーバーに置いたSelf-Hosted Runnerがリクエストを処理します。
テストシナリオの連続実行とデータ駆動テスト
複数のリクエストを順番に並べ、前のレスポンスから取り出した値(トークンやIDなど)を次のリクエストに渡すテストシナリオを、画面上で組み立てられます。反復回数やCSV・JSONのテストデータを与えたデータ駆動テストにも対応しています。シナリオに必要な機能の考え方はAPIシナリオテストをrunnで自動化する手順で整理しています。
ドキュメント公開とMCP Server
仕様からインタラクティブなドキュメントサイトを公開できます。既定では非公開で、公開する場合もパスワードやIPアドレスの許可リストで閲覧者を絞れます。静的なHTMLやMarkdownとしても書き出せますが、PDFやWordへの直接出力はありません(公式はMarkdownからPandoc等で変換する手順を案内しています)。
ベータのApidog MCP Server(npmパッケージ apidog-mcp-server、2026-10-09公開の0.0.18が最新)を使うと、CursorなどMCP対応のエディタからAIがApidogの仕様を読み、DTOの生成や、仕様に合わせたDTOへのフィールド追加に使えます。仕様はローカルにキャッシュされるため、Apidog側で仕様を変えたらAIに再読み込みさせる必要があります。
ApidogのAI機能:自前のAPIキーで動く仕組みと有効化の手順
Apidogのアプリ内AI機能は、Apidogが用意したモデルではなく、組織やチームが登録したAIプロバイダーのAPIキーで動きます。公式のAI機能の概要は「AI機能はすべて無料で、支払うのは選んだAIプロバイダーのAPI利用料だけ」「Apidogはモデルを提供せず、データを学習に使わない」と説明しています。AI機能の基本要件はクライアント2.7.18以降ですが、一部の機能には2.7.37以降が必要です。
| AI機能 | できること |
|---|---|
| テストケース生成 | 正常系・異常系・境界値・セキュリティを1回最大80件 |
| スキーマの修正 | フィールドの説明文やモック値を補完 |
| エンドポイント準拠チェック | 設計ガイドラインとの照合 |
| フィールド名の提案 | 命名規則に沿った名前を提案 |
| ドキュメント網羅性チェック | 記載の抜けを分析 |
初期状態では無効です。組織またはチームの管理者が設定画面の「AI Features」でオンにし、プロバイダー(OpenAI・Anthropic・Google AI Studio・Google Vertex・Azure OpenAI、一覧に無いプロバイダーをリクエスト形式ごと登録するCustom API Configuration)とキーを登録します。公式FAQによると、個人だけがキーを設定して使うことはできず、ユーザーごとの利用量もApidog側では集計できません。利用量はプロバイダーの管理画面で見ることになります。
導入前に確認すべきなのは通信経路です。有効化の手順には「AIモデルへのリクエストはApidogのサーバーから設定したAPI Base URLへ送られる」と書かれています。デスクトップ版の通常のリクエストは手元のPCから相手先へ直接送られ、Apidogのサーバーを経由しないのと対照的です。社内規程でAPI仕様を外部のAIに渡せる範囲が決まっている場合は、どのプロバイダーを登録するかを先に決めてから有効にしてください。
Apidogの使い方:インストールから移行・CI組み込みまで
デスクトップ版とWeb版の選び方
公式サイトからOS別のインストーラーを取得するか、ブラウザでWeb版を開き、アカウントを作成します。Web版はブラウザのクロスオリジン制限を受けるため、ブラウザ拡張、ApidogのCloud Agent、自社に置くリクエストプロキシのいずれかを経由して送ります。Cloud Agentを選ぶとリクエストはApidogのサーバーを通ります(公式のRequest Routing and Data Securityは記録を残さないと説明)。ブラウザ拡張では Cookie や Host などのヘッダーに制限がありますが、Cloud Agentではブラウザ由来の制限を回避できます。ローカル環境や社内のAPIを相手にするならデスクトップ版を選びます。ネットに接続しない環境向けに、デスクトップ版には「Offline Space」(ベータ)があり、データを端末内だけに保存してデバッグできます。ただしクラウドのプロジェクトとは同期しません。
OpenAPIとPostmanからのインポート
既存のOpenAPI(Swagger)ファイルは、JSONかYAMLでOpenAPI 3.0・3.1・Swagger 2.0を読み込めます。URLで取り込む場合は、Swagger UIの画面ではなく swagger.json などの生ファイルのURLを指定します。GitHub(Enterprise Cloudを含む)・GitLab・Bitbucket Cloud・Azure DevOpsとのGit Connectionを設定すれば、定期的な取り込みと、仕様ファイルのリポジトリへの自動バックアップ(夜間に実行)もできます。
Postmanからは、ファイルかPostman APIのどちらかで移行します。対応関係は次のとおりです。
| Postman | Apidogでの受け皿 |
|---|---|
| Workspace | Project |
| Collection | ProjectまたはModule |
| Request | API Endpoint |
| Environment | Environment |
| Collection Variable | Module Variable |
| Pre-request Script | Pre-processor |
| Tests / Post-response Script | Post-processor |
{{baseUrl}} や {{token}} を環境変数やグローバル変数で定義している場合、コレクションだけを取り込むと未解決のまま残ります。公式が勧めるとおり、コレクション・環境・グローバル変数のファイルを一緒に取り込みます。
apidog-cliによるテストシナリオのCI実行
CLIはNode.jsで動くnpmパッケージです。インストール後、アクセストークンとシナリオID・環境IDを指定して実行します。CLIは既定で変数の初期値を使うため、アプリの現在値が必要な場合は、書き出した変数ファイルを--variablesで指定します。
npm install -g apidog-cli
apidog -v
apidog run --access-token $APIDOG_ACCESS_TOKEN -t <シナリオID> -e <環境ID> -r cli,junit
-r のレポート形式は cli・html・json・junit から選べます。CIの結果表示ツールに取り込むならJUnit形式が扱いやすく、GitHub Actionsで実行後も参照するにはレポートのアップロード処理が別途必要です。ファイルの出力先は既定で apidog-reports フォルダです。全オプションは公式のApidog CLI Commands & Optionsに一覧があります。
GitHub Actionsの設定は、Apidogの「Tests」→「CI/CD」タブで環境や反復回数を選ぶと生成されます。要点だけを抜き出すと次の形です。シナリオIDと環境IDのプレースホルダーは、山括弧ごと実際のIDに置き換えます。トークンはリポジトリのSecretsに登録し、YAMLに直接書かないでください。この例はSecretsを利用できるpushと同一リポジトリ内のpull_requestを想定しています。フォークからのpull_requestには通常Secretsが渡らないため、このジョブを実行対象から外します。
name: api-tests
on: [push, pull_request]
jobs:
apidog:
runs-on: ubuntu-latest
steps:
- uses: actions/setup-node@v7
with:
node-version: 22
- run: npm install -g apidog-cli
- run: apidog run --access-token ${{ secrets.APIDOG_ACCESS_TOKEN }} -t <シナリオID> -e <環境ID> -r cli,junit
Apidog Europeのプロジェクトを実行するときも同じパッケージを使い、--api-base-url https://api.eu.apidog.com を付けます。
apidog-cli 2.2.12の管理コマンドと終了コード
現在のapidog-cliは、テストを流すだけのツールではありません。2.2.12をnpmで入れて apidog --help を確かめると、auth(ログイン)、import・export、endpoint・schema、test-case・test-suite、branch・merge-request など40を超えるサブコマンドが並びます。公式のUse Apidog CLI with an AI Agentは、AIエージェントにこのCLIを使わせる前提で書かれており、AIが作った変更をメインブランチに直接書かず「AIブランチ」に置いて人が確認してからマージする運用を案内しています。
apidog auth login --with-token <トークン>
apidog project list
apidog import --project <プロジェクトID> --format openapi --file ./openapi.json
apidog export --project <プロジェクトID> --format openapi --oas-version 3.1 --output ./openapi.json
CIのOpenAPI取り込みで気をつけたいのは、再インポートの扱いです。CLIのヘルプによると、OpenAPIはファイルの info.title を名前にしたモジュールへ取り込まれます。タイトルを変えたファイルを取り込み直すと別モジュール扱いになり、同じメソッドとパスのエンドポイントがもう1組作られます。既存のモジュールを更新したい場合は --module-map "<info.title>=<モジュールID>" で取り込み先を固定します。
以下の終了コードの検証環境はNode.js v26.5.0・apidog-cli 2.2.12です。終了コードは apidog exit-codes で一覧でき、0=成功、1=操作・APIの失敗、2=認証の失敗、3=入力の検証エラーと定義されています。ただし2.2.12で確かめたところ、不正なトークンを渡した apidog run は「Invalid access token.」を出して終了コード1、ログインしていない状態の apidog project list も終了コード1でした。認証切れだけを終了コード2で拾って通知を分ける、といったCIの組み方は現時点では期待どおりに動きません。失敗の理由は終了コードではなく出力の文言かJSONの error.message で見分けます。
Apidogの料金プランと課金の数え方
2026年10月時点のプランは4つです。金額は1ユーザーあたりの月額(ドル)です。
| プラン | 年払い(月額換算) | 月払い | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| Free | 0 | 0 | 4ユーザーまで |
| Basic | 9 | 12 | 小規模チーム |
| Professional | 18 | 24 | 中規模チーム |
| Enterprise | 27 | 公式で確認 | SSO・大規模組織 |
公式ブログのPostman代替の比較記事は、Freeプランを「4ユーザーまで・実行回数とモックの回数に上限なし・期限なし」と説明しています。ただしCloud Mockやチームプロジェクト数の上限は料金ページの比較表で示されるため、契約前に確認してください。有料プランへアップグレードすると14日間の無料トライアルが付き、トライアル中に解約すれば課金されません。認定された教育機関と非営利団体には50%の割引があります。プランごとの機能差(SSOや権限管理の範囲など)は改定されることがあるため、契約前にApidogの料金ページで確認してください。
人数の数え方・支払い方法・消費税
請求額は「プランの単価×チームまたは組織のメンバー数」です。公式ヘルプのBillingによると、メンバー一覧に出る全員が数えられ、1つのプロジェクトだけに招いたゲストも含まれます。一方、公開したAPIドキュメントを読むだけの利用者はチームに入る必要がなく、課金されません。社外の発注先や利用企業には、ゲストに招くより公開ドキュメントで仕様を渡す方が費用を抑えられます。
- 支払い方法:クレジットカードの月払い・年払いのほか、請求書が先に必要な企業向けに銀行振込の「年額固定席」があります。こちらは年払いのみで、契約期間中に席を増やせても減らせません。
- メンバーの増減:月払いは翌月の請求で、途中加入した人の日割り分と抜けた人の差し引きが反映されます。
- 支払いに失敗したとき:プランは一時的にFreeへ戻り、データは削除されず読み取り専用になります。Freeの上限に合わせて、編集を続けられるのは最初の4人だけです。
- 消費税:同じヘルプに「Apidog, Inc.は米国企業のため、日本からの支払いに日本の消費税(JCT)を課さない」と明記されています。ただし、ApidogがJCTを請求しないことと、日本側で消費税の対象外になることは別です。税務処理は電気通信利用役務の区分と自社の課税方式に応じて確認します。
ApidogとPostmanの違い:無料で使える人数・料金・AI・設置形態
機能の一覧はほぼ重なります。違いが出るのは、作業の中心に何を置くか、チームで使うときの課金、AIの費用の払い方です。
| 比較軸 | Apidog | Postman |
|---|---|---|
| 作業の中心 | API仕様(Request-firstも可) | リクエストとコレクション |
| 無料プランの人数 | 4ユーザーまで | 個人向け |
| チーム向け最安(年払い) | Basic 9ドル/ユーザー | Team 19ドル/ユーザー |
| AIの費用 | 自前のキーで従量(Apidogは無料) | プランごとのAIクレジット |
| モック | 仕様から自動生成 | 例(Example)を登録して返す |
| CLI | apidog-cli | Postman CLI・Newman |
| 自社環境への設置 | オンプレミス版あり | SaaSのみ |
Postmanは2026年3月1日に料金体系をFree・Solo・Team・Enterpriseへ改定しました。現在の公式料金ページでは、年払いの月額換算はSoloが9ドル、Teamが1ユーザー19ドルで、Enterpriseは営業担当への問い合わせです。AIは月ごとのクレジット制で、Soloが400、Teamが1ユーザーあたり400付き、超過分は1クレジット0.05ドル(Solo)・0.04ドル(Team)の従量です。Freeの付与数は同じページ内でプラン紹介欄が100、比較表が月50と表記が割れているため、アカウントの画面で確認してください。3〜4人のチームで無料のまま共同作業を始めたい場合、選択肢はApidogのほうに残っています。AIの費用は、Apidogでは登録したプロバイダーのAPI利用料として発生し、Postmanではプラン付属のクレジットを消費します。Postmanの有料プランで追加利用を有効にした場合、付属枠を超えた分は従量課金になります。
逆に、Postmanのコレクションやnewmanを使ったCIの資産が大きく、社外APIの挙動を確かめる作業が中心なら、移行の手戻りを負ってまで乗り換える理由は薄くなります。Postman側の使い方とNewmanでのCI組み込みはPostmanとは?APIテスト自動化とNewmanでのCI組み込み、PostmanのAI機能はPostman AI(Agent Mode・Flows・MCP)の解説にまとめています。
Apidogを採用しない方がよい場面と移行時の注意点
次の条件に当てはまる場合は、導入を見送るか構成を工夫してください。
- 仕様を社外クラウドに置けない案件:SaaS版では仕様・テストシナリオ・プロジェクト設定がクラウドに保存されます。環境変数・グローバル変数の「現在値」とVault Secretsは、クラウドに同期されず端末内に保存されます(公式のUser Data Privacy and Security)。第三者認証では、ApidogはSOC 2 Type IIへの準拠を公式に発表しており、有料アカウントには月間稼働率99.9%のSLAがあります。それでも発注元の規程で社外クラウドが禁止されているなら、オンプレミス版の見積もりを取るか、共有しないOffline Spaceに限定します。AI機能を有効にすると仕様の一部がApidogのサーバー経由でAIプロバイダーに渡る点も、同じ規程で判断します。
- OpenAPIファイルをGitのプルリクエストでレビューしている組織:General Modeでは正本がApidog側に移り、Git連携は夜間の自動バックアップです。レビュー文化を崩したくなければSpec-first Mode(ベータ)を選ぶか、仕様はGitに置いたままCLIの
apidog importで取り込む側に留めます。 - いつでも他ツールへ戻せる状態を保ちたい場合:OpenAPIとPostman形式で書き出せますが、OpenAPIやそれを基にしたHTML・Markdownへの書き出しでは、同じメソッドとパスを持つエンドポイントの一部が欠落することがあります(OpenAPIがメソッド+パスの一意性を要求するため)。Apidog上で同じパスの派生版を作る運用は避け、定期的にOpenAPIとして書き出しておきます。
- Postmanのスクリプト資産が大きい場合:公式は互換性を掲げていますが、コレクション単位で移行し、CLIで同じシナリオが通るかを確かめてから切り替えます。公式FAQにも、クライアントでは通るシナリオがCLIやRunnerで失敗するケースが項目として載っています。
API仕様書そのものに何を書くべきかはAPI仕様書・設計書の書き方と記載項目チェックリストを参照してください。Apidogはその内容を入れる器であり、記載項目を決めてくれるわけではありません。仕様の設計からテスト自動化までを含めたAPI開発の体制づくりは、API開発・システム連携の支援でも承っています。
Apidogに関するよくある質問
Apidogは無料で使えますか?
使えます。Freeプランは最大4ユーザーまでで、期限はありません。5人目以降を加える場合や上位機能が必要な場合は、年払いで1ユーザー月9ドルのBasicから有料になります。公開ドキュメントを読むだけの人は人数に数えません。
ApidogのAI機能に追加料金はかかりますか?
Apidogへの追加料金はありません。管理者が登録したOpenAIやAnthropicなどのAPIキーで動くため、費用はそのプロバイダーのAPI利用料として発生します。個人単位でキーを設定することはできず、組織かチームの管理者が有効にします。
ApidogはMacやLinuxでも使えますか?
使えます。デスクトップ版はWindows・macOS・Linux向けに提供され、インストール不要のWeb版もあります。ローカルのAPIを叩く用途では、ブラウザの証明書やヘッダーの制約を受けないデスクトップ版が確実です。
PostmanのコレクションはApidogに移行できますか?
移行できます。コレクション、フォルダ、リクエスト、環境、コレクション変数、グローバル変数、Pre-requestスクリプト、Testsスクリプトが取り込み対象です。変数を解決させるため、コレクションと環境・グローバル変数のファイルを一緒に取り込みます。
Apidogとapidocは同じものですか?
別物です。apiDocはソースコードのコメントからAPIドキュメントを作るオープンソースで、2023年8月の1.2.0を最後に更新が止まり、リポジトリはアーカイブされています。ApidogはApidog, Inc.が提供する商用のAPI開発プラットフォームです。