SharePointには「掲示板」という名前の機能はありません。社内掲示板を作るときは、ニュース投稿、リスト、Viva Engageのコミュニティのどれかを土台にします。どれを選ぶかで、投稿できる人、掲示期間の切り方、通知の届き方が変わり、あとから方式を変えると過去の投稿の移し替えが発生します。この記事では、3つの方式の違いを比較したうえで、組織ニュースサイトの指定、Graph APIでのニュース投稿の作成と公開、掲示終了日で絞り込むリストの作り方、2026年7月にアラートが削除されたあとの通知の組み直しまで、Microsoftの公式ドキュメントの仕様に沿って整理しました。
全社への通達や広報記事はニュース投稿、締切のある連絡や部署内のお知らせはリスト、質問や意見の往復が起きる話題はViva Engageのコミュニティ、と用途で分けるのが基本形です。1つの方式に全部を載せようとすると、ニュースには掲示期間が無い、リストは読み物として見づらい、Viva Engageは投稿が流れていく、という各方式の弱点がそのまま出ます。
作る前に決めるのは、掲示期間をどこで切るかと、通知をどの経路で届けるかの2点です。リストのアラートは2026年7月に削除されたため、「新しい投稿をメールで知らせる」仕組みはPower Automateかリストのルールで作り直す必要があります。誰が読んだかの記録が業務上必須なら、標準機能の組み合わせで粘らず、最初から作り込む前提で設計してください。
3つの方式は、どれもMicrosoft 365の業務向けプランに含まれる機能で組めます。違いは、投稿がどこに保存され、誰の画面にどう出るかです。
ニュース投稿・リスト・Viva Engageの仕組みと投稿者と閲覧者の関係
ニュース投稿は、サイトのページライブラリに保存される1枚のページです。SharePoint サイトでニュースを作成して共有するによると、公開したニュースはSharePointのスタートページ、モバイルアプリ、チームサイトやコミュニケーションサイトのニュース欄、ハブサイト、Teamsのチャネルに表示されます。画像と本文で読ませる広報記事に向く形式です。
リストは、行と列で管理する表です。1件の連絡を1行として持ち、カテゴリや掲示終了日を列で管理します。ビューで「掲示中のものだけ」「総務からのものだけ」と絞れるのが強みで、件数が増えても一覧の形が崩れません。
Viva Engageは、コミュニティ単位で投稿とコメントを積み重ねる場です。投稿者と閲覧者の区別が薄く、メンバーなら誰でも投稿し、返信できます。ニュースとリストが「総務から社員へ」の一方向なのに対し、Viva Engageは双方向の会話を前提にした方式です。
方式別に比べる投稿権限・掲示期間・既読の把握・通知経路の違い
4つの観点で並べると、方式ごとの得意と不得意がはっきりします。
| 観点 | ニュース投稿 | リスト | Viva Engage |
|---|---|---|---|
| 投稿できる人 | サイトの編集権限を持つ人 | リストの投稿権限を持つ人 | コミュニティのメンバー |
| 掲示期間 | 期限の列が無く新しい順に流れる | 掲示終了日の列とビューで切れる | 期限の概念は無い |
| 既読の把握 | 利用者ごとの記録は標準に無い | 利用者ごとの記録は標準に無い | 利用者ごとの記録は標準に無い |
| 主な通知経路 | TeamsのVivaニュース通知 | ルール・Power Automate | お知らせのViva Engage・メール通知 |
実務で一番効いてくるのは掲示期間の行です。ニュースは公開日の新しい順に並ぶだけなので、締切が過ぎた連絡も一覧に残り続けます。期限のある連絡をニュースで流すと、半年後には終わった案内と今週の案内が同じ並びに混ざる状態です。締切のある連絡がお知らせの大半を占める組織なら、リストを主にする判断になります。
ニュース投稿で全社掲示板を組む手順と、組織ニュースサイトの指定方法
全社への通達をニュースで流す場合、投稿の作り方そのものより、どのサイトのニュースを「公式」として扱うかの設定が先です。
「+新規」からのニュース投稿の作成と、表示先になる場所の確認
投稿は、サイト上部の「+新規」から「ニュース投稿」を選び、テンプレートを選んで始めます。タイトルと画像を入れ、本文はテキストや画像のWebパーツで組み立て、右上の「ニュースの投稿」で公開します。公開後に直すときは「ニュースを更新」を押し、この操作では一覧の並び順は変わりません。
見落としやすいのがコピーの手順です。公式の手順では、ページライブラリの「コピー先」で複製するとニュースに必要なメタデータが保持されないため、「+新規」の「このニュース投稿のコピー」を使うよう案内されています。毎月同じ形式で出す通達は、この方法で前月分を複製すれば、書式をそろえた状態で作成できるわけです。投稿が一覧に出ないときは、ページとして保存していないか、下書きのまま公開していないかを先に確認します。
組織ニュースサイトを最大100件まで指定するPowerShellの実行例
組織のニュース サイトを作成するによると、SharePoint管理者は最大100個のサイトを組織ニュースサイトに指定できます。指定したサイトのニュースは、スタートページで色付きの帯が付いて表示され、部署サイトのニュースと見分けられる仕組みです。ホームサイトに設定したコミュニケーションサイトは、自動で組織ニュースサイトになります。
# SharePoint Online Management Shell で管理センターに接続
Connect-SPOService -Url https://contoso-admin.sharepoint.com
# 総務の広報サイトを組織ニュースサイトに指定
Set-SPOOrgNewsSite -OrgNewsSiteUrl https://contoso.sharepoint.com/sites/soumu-news
# 指定済みの一覧を確認(解除は Remove-SPOOrgNewsSite)
Get-SPOOrgNewsSite
指定するのは、全社向けに投稿する部署のサイトだけに絞ります。部署ごとに全部指定すると色付きの帯の意味が薄れ、公式の通達が埋もれます。総務・人事・情報システムなど、全社への周知責任を持つ部署の2〜3サイトが目安です。ハブサイトへニュースを集める向きの設計はSharePointで社内ポータルを作る実装手順で扱っています。
Graph APIでニュース投稿を作成・昇格・公開する3段階のリクエスト
基幹システムの停止予定や日次の連絡を自動で掲示したいなら、Microsoft Graphでページを作れます。サイト ページ リストにページを作成するAPIで作ったページは、応答の publishingState が checkout、つまり未公開の状態で返る仕様です。ニュースとして見せるには、sitePage の更新で promotionKind を newsPost に変え、sitePage: publishで公開する3段階になります。
# 1. ページを作成(Sites.ReadWrite.All。@odata.type は必須)
POST https://graph.microsoft.com/v1.0/sites/{site-id}/pages
Content-Type: application/json
{
"@odata.type": "#microsoft.graph.sitePage",
"name": "2026-11-system-maintenance.aspx",
"title": "11月15日 勤怠システム停止のお知らせ",
"pageLayout": "article",
"showComments": false,
"canvasLayout": {
"horizontalSections": [
{ "layout": "oneColumn", "id": "1", "emphasis": "none",
"columns": [ { "id": "1", "width": 12,
"webparts": [ { "id": "6f9230af-2a98-4952-b205-9ede4f9ef548",
"innerHtml": "<p>11月15日 9:00〜12:00 は勤怠システムを停止します。</p>" } ] } ] }
]
}
}
# 2. ニュース投稿へ昇格(page → newsPost。降格はできない)
PATCH https://graph.microsoft.com/v1.0/sites/{site-id}/pages/{page-id}/microsoft.graph.sitePage
Content-Type: application/json
{ "@odata.type": "#microsoft.graph.sitePage", "promotionKind": "newsPost" }
# 3. 公開(本文なし。成功すると 204 No Content)
POST https://graph.microsoft.com/v1.0/sites/{site-id}/pages/{page-id}/microsoft.graph.sitePage/publish
実装で詰まりやすい点は3つあります。昇格は一方向で、newsPost にしたページを通常のページへ戻すAPIはありません。ページライブラリで承認フローを有効にしていると、publish を呼んだ後も、公開には承認の完了が必要です。APIで置けるWebパーツは、テキストのWebパーツと、画像・ボタン・クイックリンクなど公式が列挙した14種類の標準Webパーツに限られ、ニュースやリストを埋め込むWebパーツは含まれません。アプリ登録とトークン取得の手順はMicrosoft Graph APIの権限設計と呼び出し手順を参照してください。
リストで掲示板を作るときの列設計と、掲示期間で絞り込むビューの設定
締切のある連絡を中心に扱うなら、リストを掲示板にします。読み物としての見栄えはニュースに劣りますが、掲示期間で一覧を自動的に短く保てるのはリストだけです。
カテゴリ・掲示終了日・対象部署の列をGraph APIでまとめて作る例
列は最初に英数字の内部名で作ると、あとからフローやAPIで扱いやすくなります。新しいリストを作成するAPIなら、列の定義を含めて1回のリクエストで作れます。
POST https://graph.microsoft.com/v1.0/sites/{site-id}/lists
Content-Type: application/json
{
"displayName": "社内掲示板",
"columns": [
{ "name": "Category", "choice": { "choices": ["人事・労務", "システム", "施設", "イベント"] } },
{ "name": "ExpireOn", "dateTime": { "format": "dateOnly" } },
{ "name": "TargetDept", "text": { } },
{ "name": "Body", "text": { "allowMultipleLines": true } }
],
"list": { "template": "genericList" }
}
カテゴリは部署名ではなく、読む人がとる行動や話題で分けます。「総務」「人事」のように投稿部署で分けると、社員はどの部署が出す情報かを知らないと探せません。作成後は、画面の列設定で表示名を「カテゴリ」「掲示終了日」と日本語に変えれば、内部名は英数字のまま残ります。
掲示終了日と[今日]を比べるフィルターで期限切れを一覧から外す設定
ビューの編集で、フィルターに「掲示終了日が[今日]以上」を設定します。[今日] は閲覧した日の日付に置き換わるため、締切を過ぎた行は削除しなくても掲示中のビューから消える仕組みです。過去分を探す人向けに、フィルター無しの「すべての掲示」ビューを別に残しておくと、問い合わせが減ります。
件数が増えたときに注意したいのは、1つのビューで扱える件数に設けられた5,000件のしきい値です。掲示終了日の列にインデックスを付けておけば、年に数千件の連絡を積み上げても掲示中のビューは開けます。しきい値とインデックスの設計はSharePointリストの列設計と5000件のしきい値で詳しく扱っています。
Viva Engageのコミュニティとお知らせで双方向の掲示板にする条件
Viva Engageを選ぶのは、投稿へのコメントや質問が掲示板の目的に含まれる場合です。一方向の通達だけなら、ニュースかリストで足ります。
全メンバーへお知らせを送れるのはコミュニティ管理者だけという権限の前提
Notifications and announcements in Viva Engageでは、お知らせを「コミュニティ管理者がコミュニティの全メンバーに送れるメッセージ」と定義しています。フィードで強調表示され、全メンバーに通知が飛びます。通常の投稿はメンバー全員ができますが、全員に通知が届く「お知らせ」を出せるのは管理者だけです。
この仕様から、運用の形が決まります。全社コミュニティの管理者を総務と人事の数名に絞り、通達は必ずお知らせで出す。一般の投稿は質問や意見の場として開けておく。管理者を部署ごとに増やすと、全員への通知が毎日のように届き、通知を切る社員が増えて本当に必要な通達が届かなくなります。
Viva Suiteのライセンスが要る機能と標準の範囲で使える機能の境目
Microsoft Viva Engage機能サービスの説明では、コミュニティ、お知らせ、会話、Q&Aを基本の要素として挙げ、お知らせはViva Engageとメールの両方で通知されると説明しています。一方で、Leadership Corner、Ask Me Anythingのイベント、Advanced Analyticsなどは、Viva Suiteのライセンスで提供される機能と注記されています。
掲示板として使う範囲なら、コミュニティとお知らせで足ります。投稿ごとの閲覧の傾向を分析したい、経営層との質疑の場を作りたい、という要件が出た時点でViva Suiteの費用を見積もる、という順番で十分です。利用できる要素は契約プランによって異なるため、導入前にテナントの契約内容と照合してください。
アラート削除後の通知設計と、Teamsへお知らせを届ける経路の選び方
掲示板は、見に来てもらうだけでは読まれません。新しい投稿を知らせる経路を、方式ごとに決めておきます。
2026年7月のアラート削除で止まった通知をルールとフローで置き換える
リストの変更をメールで知らせていた「アラート」は、SharePoint アラートの廃止の予定どおり、2026年1月から全テナントで新規作成が段階的に止まり、2026年7月に機能が削除されました。アラートで掲示板の通知を回していた組織は、今は通知が届いていない状態です。公式の移行先は、リストの「ルール」とPower Automateの2つです。
「新しい項目が作成されたら特定の人へメール」程度ならルールで足ります。カテゴリによって通知先を変える、対象部署の列を見て宛先を決める、Teamsのチャネルにも同時に流す、という要件ならPower Automateでフローを組む方法が選択肢です。トリガーの選び方と、フローからリストへ書き戻したときの無限ループの止め方はPower AutomateのSharePoint連携の実装で解説しています。
Teamsのコネクタ廃止後にニュースをチャネルとアクティビティへ届ける経路
Teamsのチャネルにチームサイトのニュースを流していた「SharePoint News」コネクタは、Add team site News in a Teams channelの告知どおり、2024年7月22日に新規作成が止まり、2024年8月26日から通知が届かなくなりました。古い手順書のまま設定しようとしても、コネクタ自体が選べません。
現在の標準経路は、Viva Connectionsのニュース通知です。前述のニュースの公式手順では、フォローしているサイトにニュースが公開されたとき、一緒に働く人が記事を公開したとき、自分の投稿にコメントが付いたとき、コメントで@メンションされたときに、Teamsへ通知が届くと説明しています。届く相手が「フォローしている人」に限られるため、全社に確実に届けたい通達は、Power Automateでチャネルへカードを投稿する経路との併用が必要です。カード通知とメンションの組み方はPower AutomateのTeams連携の実装と権限設計で手順を示しています。
方式の選び分けの結論と、標準機能で足りない掲示板を作り込む判断
ここまでの比較を、どの方式で何を載せるかの結論にまとめます。
全社通達はニュース、期限付き連絡はリスト、議論はViva Engageの線引き
社員が数百人を超える組織では、3つを併用する形に落ち着くことが多くなります。全社通達と広報記事は組織ニュースサイトのニュース、締切のある手続きの案内と部署内の連絡はリスト、制度の質問や改善提案はViva Engageのコミュニティです。トップページにはニュースのWebパーツとリストの「掲示中」ビューを並べ、Viva Engageへはリンクを置きます。
逆に、社員が数十人で全員が同じTeamsのチームにいるなら、3方式の併用は過剰です。チームサイトのニュースだけで始め、締切のある連絡が埋もれ始めた時点でリストを足せば十分です。掲示板の運用ルール、つまりカテゴリの分け方や掲示期間の決め方は、製品を問わず共通する論点なのでグループウェアの掲示板運用と既読管理の設計も合わせて確認してください。掲示板を置くサイトの閲覧権限はSharePointのアクセス権設定の手順で、対象部署だけが見られる範囲に絞れます。
既読の記録や予約掲載が業務上必須なら標準機能で粘らず作り込む判断
次の要件のどれかがあるなら、標準機能の組み合わせで粘るのはやめます。誰が読んだかを一覧で残し、未読者へ督促する必要がある。指定日時に自動で掲示を始めたい。掲示の承認を部署長、総務の順に2段階で回したい。3方式とも、利用者ごとの既読を記録する機能は標準の説明に含まれておらず、市販のポータル製品が未読・既読の表示を追加機能として売っているのはそのためです。
失敗の典型は、既読確認のために「読んだらいいねを押す」運用を始め、押し忘れと押しただけの未読が混ざって記録として使えなくなる流れです。就業規則の改定や安全衛生の通達のように、周知した事実を後から示す必要がある掲示は、既読ボタンと記録用のリストを持つ仕組みを作ってから載せてください。
当社では、SharePointのニュースとリストを組み合わせた社内掲示板の構築から、既読記録や予約掲載をPower Platformで足す作り込み、Teamsへの通知経路の設計までをMicrosoft 365・Copilot導入支援としてお受けしています。今の掲示板の投稿件数と通知の届き方を確認すれば、標準機能で済む範囲と作り込む範囲の線を具体的に引けます。
よくある質問
SharePointで掲示板を作るときに、方式選びと運用の段階でよく寄せられる質問をまとめました。
「掲示板」という名前の専用機能やリストのテンプレートはありません。実際には、ニュース投稿、カテゴリと掲示終了日の列を持つリスト、Viva Engageのコミュニティのどれかを掲示板として使います。サイトのテンプレートにはニュースのWebパーツを最初から含むものがあるため、全社向けならコミュニケーションサイトのテンプレートから始めると手間が少なく済みます。
ニュース投稿に掲示期限を設定できますか?
ニュース投稿には、指定日に自動で非表示にする期限の設定がありません。公開日の新しい順に並ぶだけなので、古い投稿は一覧の下へ移るものの残り続けます。期限で自動的に一覧から外したい連絡は、掲示終了日の列を持つリストで管理し、ビューのフィルターに[今日]を使って絞り込む方法で対応します。
新しい掲示をメールで知らせることはできますか?
メールでの通知は可能です。リストの掲示板なら、リストの「ルール」で新しい項目が作成されたときにメールを送れます。宛先をカテゴリや対象部署で変えたい場合はPower Automateのフローで組みます。以前のアラートは2026年7月に削除されたため、アラートで通知していた掲示板は、ルールかフローへの置き換えが必要です。
ニュース、リスト、Viva Engageのいずれも、利用者ごとに既読を記録して一覧にする標準機能はありません。既読の記録が必要なら、「確認しました」を押すと記録用のリストに氏名と日時が書き込まれる仕組みを、Power AppsやPower Automateで作るのが現実的な方法です。周知の証跡が求められる通達は、この仕組みを用意してから掲示してください。
Viva Engageを使うには追加のライセンスが必要ですか?
コミュニティ、お知らせ、会話といった掲示板として使う範囲は、Microsoft 365の業務向けプランに含まれる範囲で使える構成が一般的です。Leadership CornerやAdvanced Analyticsなどの機能はViva Suiteのライセンスが必要とされています。利用できる要素はプランによって異なるため、導入前に管理センターでテナントの契約内容を確認してください。
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