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OpenAI Agents APIとは?セッション実装・料金とSDKとの違い、Artifact SDK対応【2026年10月】

OpenAI Agents APIとは?セッション実装・料金とSDKとの違い、Artifact SDK対応【2026年10月】

OpenAI Agents APIは、Codexを動かしているエージェントの実行基盤(ハーネス)を、APIから呼び出して自社のアプリケーションに組み込める仕組みです。2026年9月10日にパブリックベータとして公開され、10月16日にはホスト型サンドボックスへArtifact SDKと、スプレッドシート・プレゼンテーション・Word文書を作成・編集するスキルが加わりました。同じ日に指定できるようになったUltrafastモードも、応答を速めるための機能です。この記事では、セッションとイベントで動く仕組み、Agents SDK・Responses APIとの違い、Pythonでセッションを作り自社の関数を呼ばせる実装、10月の追加機能の使いどころ、実行環境の選び方と料金の試算を、2026年10月24日時点の公式ドキュメントに沿って整理します。最後に、データの所在地とゼロデータ保持(ZDR)の制約から、日本企業で採用してよい業務と見送る業務の線を引きます。

まとめ:OpenAI Agents APIの要点と採用を決める3つの判断材料

Agents APIは「エージェントのループをOpenAI側に任せ、道具と実行環境だけを自社で用意する」ためのAPIです。会話の状態、コンテキストの圧縮、サブエージェントの調整、切断からの復旧をOpenAIが受け持つため、何時間も続く調査やコード実行を少ないコードで回せます。API自体の追加料金はなく、払うのはモデルのトークンとツール、ホスト型サンドボックスのコンテナ料金です。

採否は3点で決まります。1つ目は、処理が長時間・多段階か。1往復で終わるならResponses APIで足ります。2つ目は、エージェントのループを自社で持つ必要があるか。承認フローや保存先を細かく握りたいならAgents SDKが向きます。3つ目は、データを米国で保持してよいか。2026年10月時点でデータ所在地は米国のみ、ZDRにも対応していないため、規制の厳しいデータを扱う業務は対象から外します。

10月の更新で変わったのは、成果物と費用の2点です。Excel形式の集計表や報告用のスライドをサンドボックスの中で作らせ、ファイルとして受け取る用途が公式のスキルで組めるようになりました。費用面では、ホスト型サンドボックスの計算資源がアクティブなターンの間だけ課金される方式に変わり、ターンの合間の待ち時間は払わずに済みます。Ultrafastモードはトークン単価が標準の6倍になるため、待ち時間が売上や業務に直結する画面に絞って使います。

OpenAI Agents APIの仕組み:Codexハーネスをセッションで呼ぶAPI

公式のAgents APIの概要ページは、このAPIを「OpenAIが管理するAPIを通じてCodexハーネスを使えるようにするもの」と定義しています。

2026年9月10日公開のパブリックベータで使える機能と提供条件

OpenAIの発表記事によると、Agents APIは2026年9月10日にすべての開発者向けにパブリックベータとして公開されました。正式提供(GA)の時期は示されていません。主な機能は、長いセッションでの自動的なコンテキスト圧縮、必要なツール定義だけを読み込むツール検索、コードでツール呼び出しを並列・連鎖させるプログラム的ツール呼び出し、サブエージェントへの並列委任、MCPサーバーと自社関数の接続です。

実行環境は、OpenAIのホスト型サンドボックス、自社のインフラ、パートナーのサンドボックスから選びます。パートナーにはBlaxel・Cloudflare・Daytona・DigitalOcean・E2B・Modal・Oracle・Runloop・Vercelの9社が挙がっています。ベータの間はリクエストにOpenAI-Beta: agents=v1ヘッダが必要で、公式SDKでは自動で付く仕様です。Pythonのopenaiライブラリは、CHANGELOGで3.13.0(2026年9月10日)にAgents APIの対応が入り、3.22.0(同9月29日)でブラウザを操作するcomputer useツールが追加されました。

公開後の追加はAPIの変更履歴(changelog)で追えます。2026年10月24日時点で、Agents APIに関係する項目は次の4件です。

日付 追加・変更の内容
2026年9月10日 パブリックベータとして公開
2026年9月29日 computer useツールを追加
2026年10月9日 事前ウォーミングと実行中のみの課金
2026年10月16日 Artifact SDKとUltrafastモード

ベータの期間中は仕様の追加が月に数回のペースで続いています。導入後もchangelogを定期的に確認し、課金や制約に関わる変更を見落とさない運用にしておきます。

agent・environment・session・eventsの4要素で読む処理の流れ

概要ページは4つの要素で説明しています。agentはモデル・指示・ツール・MCPサーバーの組み合わせ、environmentはファイルを読みコマンドを実行する場所、sessionはタスクに取り組み続ける永続的なエージェントのインスタンス、events と items はセッションへの入力とそこで生まれた出力です。利用者の入力が1回の作業単位(ターン)を始めます。

押さえどころは、ハーネスと実行環境が分かれている点です。アーキテクチャの解説では、モデルとツールのループを回してセッションを保つのはOpenAI側のハーネスで、コマンドを実行するのは別の環境だと説明しています。ハーネスはGitHubで公開されているCodexと同じオープンソースのコードが土台です。ローカルで動かすCodexの使い方はCodexの使い方・料金・モデルの解説にまとめています。

Agents SDK・Responses APIとの違いを状態管理と実行場所で比べる表

OpenAIのエージェント実行方式の比較をもとに、3つの違いを整理します。

観点 Agents API Agents SDK Responses API
ループを回す場所 OpenAIのハーネス 自社アプリ 自社アプリ
状態の保存 セッションとアイテム 自社ストレージ 手動の履歴管理
実行環境 ホスト型・自社・なし 自社とパートナー 自社
組み込みの手間 少ない 中くらい 多い

Agents SDKは、デプロイ・保存・承認・実行基盤の制御をアプリ側に残すライブラリです。Responses APIはモデルを直接呼ぶ低レベルのAPIで、ループもツール実行もすべて自分で書きます。Responses APIの位置づけはResponses APIとChat Completions APIの違いと移行判断で解説しています。

Pythonでセッションを作りイベントで完了を判定する実装手順

ここからは公式クイックスタートの流れに沿って、最小の構成を組み立てます。

APIキーの権限3種と openai 3.28.0以降を用意する初期設定

Agents APIのベータFAQによると、Platformのプロジェクトでアプリケーション用のAPIキーを作り、セッション操作用のapi.agents.readとapi.agents.write、モデル呼び出し用のapi.responses.writeを付けます。キーはエージェントのサンドボックスの外に置くことが条件です。

pip install --upgrade "openai>=3.28.0"
export OPENAI_API_KEY="(Platformで発行したアプリケーション用キー)"

Agents APIそのものは3.13.0から使えますが、後述する事前ウォーミングのページはPython SDKの要件を3.28.0以降としています。これから組むなら3.28.0以降に揃えておくと、10月の追加機能まで同じ版で扱えます。

サンドボックス内のコマンドからキーが読めると、エージェントが誤ってファイルやログに書き出すおそれがあります。キーはアプリケーションサーバーの環境変数か秘密情報の管理基盤に置き、環境へ渡すファイルとは分けてください。ホスト型サンドボックスではOPENAI_API_KEYという名前の環境変数は予約済みで、設定できない仕様です。

curlでセッションを作成しストリームで結果を受け取るリクエスト例

セッションの作成はPOST /v1/agents/sessionsの1回です。モデル・指示・実行環境・最初の依頼をまとめて送ります。

curl --no-buffer --fail-with-body https://api.openai.com/v1/agents/sessions \
  -H "OpenAI-Beta: agents=v1" \
  -H "Authorization: Bearer $OPENAI_API_KEY" \
  -H "Content-Type: application/json" \
  -d '{
    "agent": {
      "model": "gpt-6-astra",
      "instructions": "Write clean code, run it, and report the actual output."
    },
    "environment": { "type": "openai_hosted" },
    "input": "Create tree.py that prints the files in the current directory. Run it.",
    "stream": true
  }'

"stream": trueで進捗のイベントが順に返ります。応答に含まれるセッションIDは保存しておきます。続きの依頼、切断後の状態確認、Platformの管理画面のLogsでの調査に同じIDを使うためです。指示とツール設定の合計は4MiB(4,194,304バイト)未満に収める必要があります。

ターンの完了・失敗・キャンセルを判定するPythonのイベント処理

判定でつまずきやすいのは、セッションがアイドルになっただけでは成功と言えない点です。イベントとアイテムの解説のコードを短くすると次の形になります。

from openai import OpenAI

client = OpenAI()

def stream_session(session_id, handle_event):
    with client.beta.agents.sessions.events.stream(session_id) as events:
        for event in events:
            handle_event(event)
            match event.type:
                case "agent.session.idle":
                    continue
                case "agent.session.failed" | "agent.session.environment.failed":
                    raise RuntimeError(event.type)
                case "agent.session.turn.failed" | "agent.session.turn.cancelled":
                    if event.turn.subagent_id is None:
                        raise RuntimeError(event.type)
                case "agent.session.turn.completed":
                    if event.turn.subagent_id is None:
                        return
    raise RuntimeError("ターン終了前にストリームが切れた。保存済みの状態を取得する")

subagent_idがNoneのイベントだけが親エージェントのターンです。サブエージェントの完了で処理を打ち切ると、親の作業が途中のまま結果を読むことになります。ターンが完了してもツール単位では失敗している場合があるため、最後は出力の中身も確かめます。

自社の業務システムを関数ツールでつなぐ required_actions の処理

社内のデータベースや基幹システムを触らせる場合は、関数ツールを定義し、エージェントの呼び出しを自社のコードで実行して結果を返します。

関数ツールの定義とrequired_actionsで届く呼び出し内容の読み方

手順は関数ツールの公式ガイドのとおりです。agent.toolsに名前・説明・引数のJSON Schemaを書きます。

{
  "type": "function",
  "name": "get_customer",
  "description": "Look up a customer by ID.",
  "parameters": {
    "type": "object",
    "properties": { "customer_id": { "type": "string" } },
    "required": ["customer_id"],
    "additionalProperties": false
  }
}

エージェントが結果を必要とすると、セッションはagent.session.requires_actionを送り、required_actionsにtype・turn_id・call_id・name・argumentsが入ります。履歴に関数呼び出しが残っていても結果待ちとは限らないので、返すべき呼び出しは必ずrequired_actionsで判断します。セッションに実行環境をつないでも、関数はその環境では動きません。実行するのはアプリケーションサーバーかワーカーです。

tool_resultで結果を返し切断時の二重実行を防ぐPython実装

保留中の呼び出しを処理してagent.session.input.tool_resultで返すコードです。セッションを取得して読む形にしておくと、ストリームが切れた後の再開にも同じ関数を使えます。

import json

HANDLERS = {"get_customer": lambda a: {"customer_id": a["customer_id"], "plan": "pro"}}

def answer_required_actions(session_id):
    session = client.beta.agents.sessions.retrieve(session_id)
    for action in session.required_actions or []:
        action = action.to_dict()
        if action["type"] != "function_call":
            continue
        result = {"type": "agent.session.input.tool_result",
                  "turn_id": action["turn_id"], "call_id": action["call_id"]}
        try:
            output = HANDLERS[action["name"]](action["arguments"])
            result.update(success=True, output=json.dumps(output, ensure_ascii=False))
        except Exception as e:
            result.update(success=False, error=str(e))
        client.beta.agents.sessions.events.create(session_id, events=[result])

注文の登録のように副作用のある関数は、session・turn・callの3つのIDをキーに実行結果を保存してから返します。切断後は保存済みの結果を同じturn_idとcall_idで送り直し、関数を再実行しません。利用者の追加メッセージを送るときも、セッションの解説にあるとおり送信ごとにIdempotency-Keyを発行して保存します。結果が4MiBを超えると拒否されるため、検索結果の全件ではなく必要な列に絞って返してください。

関数ツールの中身は、既存の販売管理や顧客管理のAPIを呼ぶ薄い層になります。社内システムにまだAPIが無い場合は、エージェントより先に読み取り専用のAPIを用意するほうが安全です。基幹システム側のAPI設計や認可の切り分けから進めるなら、API開発・システム連携の支援でエージェント連携を前提にした口の作り方を相談できます。

10月の追加機能:Artifact SDKのOffice文書作成とUltrafastモード

2026年10月9日と16日の更新で、成果物の作り方・待ち時間・課金の3点が変わりました。どれもホスト型サンドボックス(openai_hosted)か、モデルの設定に関わる変更です。

Artifact SDKとスキルで表計算・スライド・Word文書を作る構成

changelogの2026年10月16日の項目によると、Agents APIのホスト型サンドボックスにArtifact SDKと、スプレッドシート・プレゼンテーション・Word文書を作成・編集するためのスキルが含まれるようになりました。月次の売上集計をExcel形式の表にまとめる、調査結果を報告用のスライドに起こす、契約書のひな形に条件を差し込む、といった作業をサンドボックスの中で完結させられます。

成果物の受け取り方はホスト型サンドボックスの解説に記載されている内容です。作業ディレクトリは/workspaceで、/workspace/outputsの下に置いたファイルはターンの完了時に変更できない成果物(artifact)として公開されます。サンドボックスが期限切れになった後もダウンロードできるため、ファイルの回収を急ぐ処理を書く必要はありません。依頼の指示には保存先とファイル名を明記します。

{
  "agent": {
    "model": "gpt-6.1-sol",
    "instructions": "Save every deliverable under /workspace/outputs."
  },
  "environment": { "type": "openai_hosted", "container_size": "medium" },
  "input": "Summarize sales.csv by month into /workspace/outputs/monthly.xlsx with a chart sheet."
}

注意点は、作られた文書の中身を誰が確かめるかです。数式・グラフの元範囲・書式は、生成直後の目視では誤りに気づきにくい部分です。社外に出す文書は、集計値を元データと突き合わせる検証ステップを関数ツールか人の確認で挟みます。Excel側で完結する自動化との使い分けはExcel・Office業務の自動化の手段比較で整理しています。

自社スキルをcapability_directoriesで読み込ませる設定の上限32件

公式のスキルで足りない社内の書式やチェック手順は、自社でスキルを書いて読み込ませます。スキルの公式ガイドによると、スキルはSKILL.md(前置きの属性と手順)を含むディレクトリです。Agents APIでは、スキルのディレクトリをサンドボックスに置き、その親ディレクトリをセッション作成時にenvironment.capability_directoriesへ登録します。

{
  "environment": {
    "type": "self_hosted",
    "workspace_directory": "/workspace",
    "capability_directories": [
      "/workspace/capabilities/legal",
      "/workspace/capabilities/engineering"
    ]
  }
}

ハーネスは各ディレクトリのSKILL.mdを探し、スキルの名前と説明だけをコンテキストに入れ、必要になった時点で本文と補助ファイルを読みます。登録できるのは1セッションあたり32ディレクトリまでで、パスの条件は絶対パスであることと、事前に環境に存在していることです。スキルの書き方はClaudeのSkillsと同じSKILL.md形式なので、構成の考え方はClaude SkillsのSKILL.mdの書き方も参考になります。

Ultrafastモードのagent.service_tier指定と6倍のトークン単価

同じ10月16日の項目で、Agents APIでもUltrafastモードを選べるようになりました。対応モデルでagent.service_tierにultrafastを設定すると、トークンが生成される間隔が短くなります。Ultrafastモードの解説は、これをOpenAI APIで最も速いサービスティアと位置づけ、対応モデルをgpt-6-astraとgpt-6.1-solとしています。

"agent": {
  "model": "gpt-6.1-sol",
  "service_tier": "ultrafast",
  "instructions": "Answer the support agent within one turn."
}

代わりにトークン単価は標準の6倍です。料金ページのUltrafast表示では、2026年10月24日時点で次の単価が示されています(100万トークンあたり、272Kトークン以下の短いコンテキスト)。

モデル 標準 入力/出力 Ultrafast 入力/出力
gpt-6-astra 10ドル/50ドル 60ドル/300ドル
gpt-6.1-sol 2ドル/10ドル 12ドル/60ドル

レート制限も標準とは別枠で、Buildティアの1分あたりトークン数はgpt-6.1-solで100万、gpt-6-astraで50万です。数時間かかるバッチの調査に使っても、利用者の待ち時間は変わらず費用だけが増えます。使うのは、窓口担当者が顧客を待たせながら回答案を受け取る画面のように、数秒の差が業務に響く対話型の処理に限ります。

事前ウォーミングとアクティブなターン中だけの課金で減る待ち時間

10月9日の項目では、ホスト型サンドボックスの計算資源がアクティブなターンの間だけ課金される方式に変わりました。changelogは、ターンの合間のアイドル時間に支払う必要はなくなったと説明しています。同じ日に、セッションを作る前にサンドボックスを準備しておく事前ウォーミングも加わりました。

事前ウォーミングの解説の流れは3段階です。POST /v1/agents/environmentsでパッケージ・ファイル・セットアップコマンドを指定して環境を作り、ステータスがpendingからreadyになるのを待ち(Webhookならagent.environment.ready)、セッション作成時にその環境のIDを渡します。セッションに接続するまでのコンテナ利用は無料で、接続後に通常のコンテナ料金がかかります。

事前ウォーミングで確認すべき制約は、次の3つです。どのセッションにも接続されていない環境は5分で期限切れになります。共有の環境に接続できるセッションは128件までで、超えると409が返ります。環境を直接削除するAPIはなく、最初の接続から20分のアイドル期限で片づけられる仕様です。pandasのような重いパッケージの導入に毎回数十秒かかる処理では、問い合わせ画面を開いた時点でウォーミングを始めると、依頼の送信から作業開始までの待ちを縮められます。

実行環境とサブエージェント設定による運用コストと責任の分担基準

同じタスクでも、どこでコマンドを動かすかで料金と運用の負担が変わります。

none・openai_hosted・self_hostedを処理内容で選ぶ判断基準

エージェント設定の解説とアーキテクチャのページから、3つの選び方をまとめます。

environment.type 向く処理 管理の責任
none 質問応答・外部ツールの呼び出しだけ 環境の管理なし
openai_hosted スクリプト実行・ファイル編集・成果物の作成 OpenAIが作成と管理
self_hosted 社内ネットワークや独自ソフトが必要 起動・再接続・停止・保存は自社

noneではシェル・パッチ適用・ワークスペースのファイルが使えません。社内のファイルサーバーや閉域のデータベースに触れる処理はself_hostedになりますが、ハーネスとモデルの推論はOpenAI側に残ります。隔離環境の考え方はサンドボックスの役割と限界の解説も参考になります。

Artifact SDKのOffice文書スキルが入っているのはopenai_hostedです。文書の作成を任せたいが元データは社外に出せない、という場合は、匿名化した集計値だけをホスト型に渡すか、self_hostedに自社のスキルと文書作成ライブラリを置く構成になります。ホスト型の外部通信を絞るときは、許可するホスト名を完全一致で1〜100件まで登録でき、ワイルドカードは使えません。

multi_agentの同時実行数6と関数ツール非対応という制約の扱い

マルチエージェントの解説によると、multi_agent.enabledをtrueにすると親エージェントが作業を分けてサブエージェントへ任せます。同時に動くサブエージェントの数はmax_concurrent_subagentsで決め、既定値は6です(親は数えません)。

設計で効く制約は2つあります。サブエージェントは関数ツールを使えないため、自社システムへの書き込みは親エージェントに集めます。また、親と子は同じファイルシステムを共有し、子ごとに別の環境は作られません。同じファイルを複数の子に編集させる分け方は衝突を生むので、出力先のディレクトリを子ごとに分ける指示を書いておきます。

追加料金なしでも利用時にかかるトークン単価とコンテナ料金の試算

APIの料金ページでは、100万トークンあたりの単価とコンテナの料金が次のとおりです(2026年10月24日時点・標準ティア)。

項目 単価
gpt-6-astra 入力/キャッシュ入力/出力 10ドル/1ドル/50ドル
gpt-6.1-sol 入力/キャッシュ入力/出力 2ドル/0.10ドル/10ドル
コンテナ 1GB(small) 20分あたり0.03ドル
コンテナ 4GB(medium・既定) 20分あたり0.12ドル
コンテナ 16GB(large) 20分あたり0.48ドル

コンテナは分単位・最低5分の課金です。ホスト型サンドボックスの大きさはenvironment.container_sizeで選び、smallが1vCPU・1GB、mediumが2vCPU・4GB、largeが4vCPU・16GBです。

入力20万トークン・出力2万トークンを使い、4GBのサンドボックスがアクティブなターンで30分動くセッションを単価から計算すると、gpt-6.1-solで約0.78ドル、gpt-6-astraで約3.18ドルです。同じ量をUltrafastで流すと、gpt-6.1-solで約3.78ドル、gpt-6-astraで約18.18ドルになります。10月9日以降はターンの合間の待ち時間が課金されないため、利用者の返答を待つ時間が長い対話型の処理ほど、9月時点の見積もりより安くなります。キャッシュが効けば入力の費用は下がり、長いコンテキストでは単価が上がる料金体系です。セッションごとのトークン量はPlatformのLogsで確認できるので、まず10件ほど流して1件あたりの実額をつかんでから上限を決めます。上位モデルの料金差はGPT-6 Astraの料金とデータ境界の解説で比べています。

日本企業がOpenAI Agents APIを採用する条件と見送る業務の線引き

機能が揃っていても、データの扱いで対象外になる業務があります。ベータの制約を先に当てはめます。

米国のみのデータ所在地とZDR非対応で対象外になる業務データ

ベータFAQには、データ所在地は米国のみで、ZDRには対応しないと書かれています。self_hostedを選んでもZDRの対象にはなりません。セッションの状態は続きの作業のために保持され、不要になったセッションと成果物は削除できます。

この条件では、国内保管を契約で約束している顧客データ、医療・金融の規制データ、ZDRを前提に社内承認を得た案件は載せられません。個人情報を含む業務は、委託先の所在国を定めた社内規程に照らしてから判断します。条件を満たせない場合は、データを匿名化した前処理だけをAgents APIに任せる分け方が現実的です。Artifact SDKで作らせた文書も成果物としてOpenAI側に残るため、顧客名や金額を含む帳票を作らせるなら、作成後に成果物とセッションを削除する手順まで運用に組み込みます。

長時間の調査やコード実行を非同期で任せる処理は採用してよい条件

採用してよいのは、数十分から数時間かかる調査・集計・コード生成を、待たずに投げて後から結果を受け取る処理です。障害時のログ調査をサブエージェントに分けて並べる、リポジトリの修正案を作って検証まで回す、といった用途が当たります。発表記事でも、エラー率の調査を配備・エラー・依存関係の3つに分けて任せる例が示されています。

この型なら、コンテキストの圧縮や切断からの復旧を自作せずに済み、開発の工数はツールの定義と結果の受け取りに絞れます。週次の集計を表計算ファイルとスライドにまとめて配る、という定型の報告業務も、10月の追加でこの型に入りました。

1往復で終わる処理や承認を握る業務はResponses APIか自社実装を選ぶ

見送るのは2つの場面です。1つは、問い合わせの分類や要約のように1回の呼び出しで終わる処理で、セッションの保持とサンドボックスの費用が無駄になります。もう1つは、送金や受発注のように人の承認を挟む操作が多い業務で、承認の記録と差し戻しを自社のワークフローで握るほうが監査に耐えます。「ベータのまま基幹業務の書き込みを任せる」のは避けるべき失敗パターンです。Ultrafastモードで応答を速めても、この2つの判断は変わりません。

どの処理をAgents APIに任せ、どこを自社のコードに残すかの切り分けは、業務フローとデータの区分を並べると決めやすくなります。社内で判断がつかない場合は、要件の段階でAIエージェント開発の相談窓口に持ち込むと、実行環境の選定から関数ツールの設計まで一緒に詰められます。

OpenAI Agents APIのよくある質問:ベータ版の制約と移行の疑問

検討の段階でよく出る疑問に、2026年10月24日時点の公式情報で答えます。

Agents APIとAgents SDKはどちらを選べばよいですか?

エージェントのループと状態の保存をOpenAIに任せてよいならAgents API、承認フローや保存先、実行基盤を自社で握りたいならAgents SDKです。Agents APIは組み込みの手間が少ない代わりに、データ所在地が米国のみでZDRに対応しません。データの条件が合わない場合は、SDKで自社のサーバーにループを置く構成を選びます。

Agents APIを使うのに追加の料金はかかりますか?

Agents APIそのものの料金はありません。モデルのトークン料金、Web検索などのツール料金、ホスト型サンドボックスのコンテナ料金がかかります。コンテナは4GBで20分あたり0.12ドルで、分単位・最低5分で課金され、2026年10月9日からはアクティブなターンの間だけが対象です。Ultrafastモードを指定するとトークン単価は標準の6倍になります。自社のサーバーで環境を動かす場合、その計算資源の費用は自社の負担です。

ChatGPTのworkspace agentsのAPIとは同じものですか?

別の製品です。Agents APIはPlatformのAPIキーで自社アプリからエージェントを動かす開発者向けのAPIで、workspace agentsはChatGPT BusinessやEnterpriseで業務担当者が作る共有エージェントです。workspace agentsにも起動用のAPIがありますが、対象も認証方式も違います。詳しくはChatGPT workspace agentsのAPI起動と権限設計で解説しています。

Agent BuilderやAssistants APIからAgents APIへ移行できますか?

自動の移行手段は用意されていません。Assistants APIは2026年8月に終了しており、Agent Builderは2026年11月30日に終了予定です。Agent Builderの公式の移行先の1つは、ワークフローをAgents SDKのコードとして書き出す方法です。Agents APIは移行先の候補の1つで、ワークフローを関数ツールと指示に組み直して載せ替えます。長時間の処理やサンドボックスでのコード実行が要るワークフローほど、Agents APIへ移す利点が大きくなります。

ストリームが切れたらタスクはやり直しになりますか?

やり直しにはなりません。セッションと保存済みの作業はOpenAI側に残る仕組みです。ストリームは取りこぼしたイベントを再送しないため、セッションと保存済みのアイテムを取得して状態を確かめ、結果待ちの関数呼び出しがあれば保存しておいた結果を同じIDで返します。そのうえで必要になるのは、イベントの購読のやり直しです。/workspace/outputsに置いた成果物は、ターンの完了時点で公開済みなので、切断後もダウンロードできます。

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