「Amazon CloudSearchとElasticsearchはどちらを選ぶべきか」を調べると、多くの解説が両者を対等な選択肢として並べています。しかし2026年時点の実態は違います。Amazon CloudSearchは2024年7月に新規顧客の受付を終了し、「Amazon Elasticsearch Service」は2021年にAmazon OpenSearch Serviceへ改称されました。つまり、これから新規に選ぶ検索基盤としてのCloudSearch/Elasticsearchという構図はすでに過去のものです。この記事では、AWSの検索サービス(OpenSearch Service・Amazon Kendra)とSaaS型のAlgoliaを最新状況で整理し、用途別にどれを選ぶべきかを判断できるようにします。
まとめ:2026年にAWSで検索を選ぶ結論
- これから作るなら第一候補はAmazon OpenSearch Service。旧Amazon Elasticsearch Serviceの後継で、全文検索・ログ分析・ベクトル検索(k-NN)まで1つでまかなえる。
- Amazon CloudSearchは新規に選ばない。2024年7月25日で新規受付を終了し、新機能追加もベクトル検索対応もない。既存ユーザーはOpenSearchへの移行を検討する段階。
- サイト内検索やEC検索を最短で立ち上げるならAlgolia。API型SaaSで運用不要、NeuralSearchでベクトル検索も使える。
- 社内文書のRAG・エンタープライズ検索はAmazon Kendra。ただし2026年7月30日で新規受付終了予定のため、新規はAmazon Bedrock Knowledge Basesも併せて検討する。
以下で各サービスの現状と、選定の判断基準を具体的に見ていきます。
CloudSearchとElasticsearchの2026年の位置づけ
主要な検索キーワード「cloudsearch elasticsearch」で読者が知りたいのは、この2つの違いと「結局どちらを使うのか」です。まず前提として、両サービスとも名称や提供状況が大きく変わっています。
「Amazon Elasticsearch Service」は今はOpenSearch Service
Amazon Elasticsearch Serviceは、2021年9月8日にAmazon OpenSearch Serviceへ改称されました。背景は、開発元Elastic社が2021年1月にElasticsearch/KibanaのライセンスをApache 2.0からSSPL等へ変更したことです。AWSはこれを受けてElasticsearch 7.10とKibanaをフォークし、Apache 2.0のオープンソースプロジェクトとしてOpenSearchを立ち上げました。したがって現在のAWSで「マネージドなElasticsearch」を指すのはOpenSearch Serviceであり、旧来のElasticsearch OSSも同サービス上で動きます。全文検索エンジンそのものの仕組みは全文検索エンジンの仕組みとElasticsearch実装の解説で補完できます。
Amazon CloudSearchは新規受付を終了したレガシー
Amazon CloudSearchは、Apache Solrをベースにしたフルマネージドの検索サービスで、設定が簡単な点が長所でした。しかしAWSは2024年7月25日をもって新規顧客の受付を終了しています。既存の利用は継続でき、セキュリティ・可用性・性能の維持は続くものの、新機能の追加予定はありません。ベクトル検索(セマンティック検索)にも非対応で、AWS自身がOpenSearch Serviceへの移行手順を公式ブログで案内しています。新規プロジェクトでCloudSearchを選ぶ理由は、2026年時点でほぼ残っていません。
AWSの検索サービスと主要な選択肢
「aws 検索サービス」「aws 検索エンジン」で候補になるのは、AWSマネージドのOpenSearch Service・Amazon Kendra、そしてSaaS型のAlgoliaです(CloudSearchはレガシー扱い)。それぞれ提供形態と得意分野が異なります。
| サービス | 提供形態 | 検索方式 | ベクトル検索 | 新規受付 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| Amazon CloudSearch | AWSマネージド | キーワード(Solr系) | 非対応 | 終了(2024-07) | 既存のみ/レガシー |
| OpenSearch Service (旧Amazon Elasticsearch) |
AWSマネージド | キーワード+ベクトル | 対応(k-NN) | 受付中 | 全文検索/ログ/RAG |
| Algolia | SaaS(API) | キーワード+ベクトル | 対応(NeuralSearch) | 受付中 | サイト内/EC検索 |
| Amazon Kendra | AWSマネージド | セマンティック(ML) | 対応 | 終了予定(2026-07) | 社内文書/RAG |
料金モデルも異なります。OpenSearch ServiceとKendraはインスタンス/インデックスの稼働時間で課金され、Algoliaは検索回数とレコード数に応じた従量課金です。特にKendraのEnterprise Editionはインデックス稼働時間課金で単価が高く、小規模用途ではコストが見合いにくくなります。実際の単価は改定が入るため、金額は各公式の料金ページで確認してください。
用途別の選定基準
「aws 検索 おすすめ」で求められているのは、状況別の使い分けです。代表的な4パターンで判断軸を示します。
全文検索やログ分析を自前で持ちたいならOpenSearch Service
アクセスログやアプリログの分析、日本語の全文検索を1つの基盤でまかないたいなら、OpenSearch Serviceが本命です。日本語は形態素解析プラグイン(kuromoji)で分かち書きに対応し、k-NNによるベクトル検索も同一サービス内で使えます。構築手順や料金体系はAmazon OpenSearch Serviceの料金・構築の解説で具体的に確認できます。
サイト内検索・EC検索を最短で作るならAlgolia
クラスタ運用やチューニングを自分で抱えたくない場合はAlgoliaが向きます。API経由で数時間で検索を組み込め、タイプミス補正やファセット、レコメンドが標準で揃います。2025年10月の料金改定でGrow Plus・Elevateプランが追加され、ベクトルとキーワードを統合するNeuralSearch(セマンティック検索)はElevateプランで利用できます。応答速度と開発スピードを最優先する、フロント寄りの検索に強みがあります。
社内文書のRAG・エンタープライズ検索ならAmazon Kendra
SharePointやS3、社内ドキュメントを横断して「質問に答える」検索を作りたいなら、機械学習ベースで自然文の意図を汲むAmazon Kendraが候補です。Kendra GenAI Indexはキーワードとベクトルのハイブリッド検索とセマンティック埋め込みに対応し、Amazon Q BusinessやBedrockのナレッジベースと連携できます。ただしAmazon Kendraは2026年7月30日で新規顧客の受付を終了予定で、AWSは代替としてAmazon Bedrock Knowledge Basesを案内しています。新規導入では両者を比較したうえで選ぶのが安全です。Kendra本体の定義とエディション別の料金、移行先との機能差分はAmazon Kendraとは?新規受付終了と移行先の判断にまとめました。機能の詳細はAmazon Kendra GenAI Indexの新機能の解説を参照してください。
既存のCloudSearchユーザーの移行先はOpenSearch Service
すでにCloudSearchを使っている場合、新機能が止まっている以上、中長期ではOpenSearch Serviceへの移行が現実的な選択です。AWSはCloudSearchからOpenSearch Serviceへの移行ガイドを公式に用意しており、インデックス定義とデータの移し替えを前提に進めます。ベクトル検索やダッシュボード分析を今後使いたいなら、移行はむしろ機能面の底上げになります。
CloudSearchからの移行で詰まりやすい3つの判断(再インデックス・日本語解析・ベクトル検索)
移行は「同じ検索が動けば完了」ではありません。noteやSansan(名刺アプリEight)が自社の検索基盤をCloudSearchからElasticsearch/OpenSearchへ移した事例を公開しているように、実務では設計の作り直しが伴います。とくに次の3点で判断が分かれます。
再インデックスとダウンタイム。CloudSearchとOpenSearchはスキーマもクエリ構文も異なるため、データは単純コピーでは移せません。全ドキュメントの再投入(再インデックス)が必要で、件数が多いほど許容できるダウンタイム(移行ウィンドウ)を先に見積もる必要があります。無停止を狙うなら新旧並行稼働と切り替えの仕組みを先に決めておきます。
日本語アナライザーの再設計。CloudSearchの言語オプションに頼っていた分かち書きは、OpenSearchではkuromojiなどのアナライザー設定として自分で定義し直します。同義語辞書やユーザー辞書を使っていた場合は、この移行が検索精度を作り直す好機になります。
ベクトル検索の要否。今後セマンティック検索やRAGを予定しているなら、そもそもCloudSearchでは実現できません。この一点だけでも、移行先はOpenSearch Service(またはAlgolia・Kendra)に絞られます。逆に、キーワード一致で十分な小規模検索を延命したいだけなら、急いで移行する必然性は低く、既存CloudSearchを使い続ける判断もあり得ます。
よくある質問
Amazon Elasticsearch Serviceは廃止されたのですか?
廃止ではなく改称です。2021年9月8日にAmazon OpenSearch Serviceへ名称変更され、そのまま後継サービスとして提供が続いています。旧Elasticsearch OSSのバージョンも同サービス上で利用できます。
Amazon CloudSearchは今から使えますか?
新規の利用開始はできません。2024年7月25日で新規顧客の受付が終了しました。既存アカウントでの利用は継続できますが、新機能の追加はなく、AWSはOpenSearch Serviceへの移行を推奨しています。
KendraとElasticsearch(OpenSearch)はどう違いますか?
OpenSearchはキーワード検索と全文検索・ログ分析の汎用基盤で、クエリやインデックスを自分で設計します。Kendraは機械学習で自然文の質問意図を汲むエンタープライズ検索で、社内文書のRAG用途に向きますが、その分コストは高めです。汎用検索ならOpenSearch、社内ナレッジのQ&AならKendra(またはBedrock Knowledge Bases)が目安です。
AlgoliaとOpenSearchはどちらが安いですか?
課金の単位が違うため一概には言えません。Algoliaは検索回数とレコード数の従量課金で、トラフィックが増えるほど費用も伸びます。OpenSearchはインスタンス稼働時間とストレージ課金で、規模が大きく常時稼働する検索ほど相対的に有利になりやすい構造です。小規模・低頻度ならAlgolia、大規模・高頻度なら自前運用のOpenSearchが目安です。
AWSで無料に近い形で使える検索はありますか?
OpenSearch自体はApache 2.0のオープンソースなので、自前のサーバーやコンテナに構築すればソフトウェア費用はかかりません(インフラ費用は別途)。マネージドの手離れを取るか、自己運用でコストを抑えるかのトレードオフになります。手軽さを優先するなら小さいインスタンスのOpenSearch Serviceから始める方法もあります。