ストックオプションとは、会社が役員や従業員に「自社株をあらかじめ決めた価格(権利行使価額)で、決められた期間内に買える権利」を与える仕組みです。株価が権利行使価額を上回ったときに権利を使って株を買い、売却すれば差額が手元に残ります。法律上は会社法の新株予約権として発行され、税金は「税制適格」かどうかで課税のタイミングと税率が大きく変わります。この記事では、付与から売却までの流れ、種類ごとの違い、租税特別措置法29条の2の要件、住民税や専用口座といった受け取る側の実務、会計処理までを、条文と国税庁・企業会計基準委員会(ASBJ)の資料に沿って整理します。
まとめ:ストックオプションの仕組みと税金の要点
先に結論です。ストックオプションで得をするかどうかは、株価の上昇に加えて「税制適格の要件を満たしているか」で決まります。
- 利益の源泉は「行使時の株価 − 権利行使価額」です。株価が行使価額を下回っていれば行使しなければよく、無償で受け取ったものなら持ち出しはありません。
- 税制適格なら行使時は課税されず、株を売ったときにまとめて譲渡所得として約20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)で課税されます。
- 税制非適格なら、行使時の差額が給与所得になり所得税の累進税率(最高45%、別途復興特別所得税)と住民税10%で課税されます。住民税は行使した翌年に課税されます。
- 税制適格の主な要件は、付与決議後2年から10年(設立5年未満の非上場会社は15年)の間の行使、年間の権利行使価額の合計1,200万円以内(設立5年未満は実質2,400万円、設立5年以上20年未満で非上場または上場後5年未満は実質3,600万円)、行使価額が契約時の株価以上、譲渡禁止、取得株式の保管委託または発行会社による管理です。
- 会社側は、付与した時点で現金は出ていきませんが、公正な評価額(未公開企業は本源的価値でも可)を勤務期間にわたって費用計上し、行使されれば既存株主の持分が薄まります。
以下、仕組み、種類、要件、税金、会計、導入判断の順に説明します。
ストックオプションの仕組み:付与から行使・売却までの流れ
権利行使価額100円・株価1,000円のときの利益計算
権利行使価額100円で1万株分のストックオプションを持っていて、株価が1,000円になったとします。行使に必要な払込みは100円×1万株=100万円で、その場で時価1,000万円分の株が手に入ります。差額の900万円が、ストックオプションによる利益です。
株価が100円を下回ったままなら、行使する理由はありません。権利を放置して期限が来れば失効するだけで、無償で付与されたものであれば損失は出ません。ただし、自分でお金を払って取得する有償ストックオプションでは、払い込んだ購入代金は戻ってきません。
「上場したら何倍になるか」は、この計算の株価部分が上場後にいくらになるかで決まるため、事前には決まりません。付与時の行使価額と、上場時の公開価格・上場後の株価との比で後から結果が出るものです。
付与・権利確定・行使・売却の4段階と退職時の扱い
- 付与:会社が募集事項を決議し、対象者と付与契約を結んで新株予約権を割り当てます。
- 権利確定(ベスティング):「2年在籍したら半分、3年で全部」のように、勤務や業績の条件を満たした分から行使できるようになります。
- 行使:行使期間内に会社へ行使を申し出て、権利行使価額を払い込み、株式を受け取ります。
- 売却:上場後の市場売却や、M&Aでの買取りで現金化します。
退職したときにどうなるかは、法律ではなく付与契約(新株予約権の行使条件)で決まります。在籍を行使条件にしている契約なら、退職で未行使分が失効します。付与を受けたら、契約書の「行使の条件」と「行使期間」を最初に確認してください。
会社法の新株予約権として発行する手続き
ストックオプションは会社法上の新株予約権として発行します。会社は募集のたびに、新株予約権の内容と数、無償か有償か、割当日などの「募集事項」を定めます(会社法238条1項)。
非公開会社(株式の譲渡に会社の承認が要る会社)では、募集事項の決定に株主総会の特別決議が必要です(238条2項・309条2項6号)。株主総会で上限を決めたうえで取締役会に委任することもでき、その委任は割当日が決議から1年以内の募集に限って有効です(239条1項・3項)。公開会社では、特に有利な条件でない限り取締役会の決議で足ります(240条1項)。
発行後は新株予約権の登記が必要で、行使による株式数の変更登記は毎月末日現在でまとめ、末日から2週間以内に行えば足ります(915条3項1号)。税制適格で付与した会社は、付与した翌年の1月31日までに「特定新株予約権の付与に関する調書」を税務署へ出します(措置法29条の2第6項)。新株予約権とストックオプションの関係は新株予約権とストックオプションの定義の違いで整理しています。
ストックオプションの種類:無償・有償・信託型・1円型の違い
同じ「ストックオプション」でも、取得の対価と行使価額の決め方によって課税がまったく変わります。国税庁の「ストックオプションに対する課税(Q&A)」(令和6年11月改訂)の分類に沿うと次のとおりです。
| 種類 | 取得時の払込み | 行使時の課税 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 無償・税制適格 | なし | なし(売却時に譲渡所得) | 未上場スタートアップの役職員 |
| 無償・税制非適格 | なし | 給与所得 | 適格要件を外れる付与 |
| 有償 | 時価で払込み | なし(売却時に譲渡所得) | 業績条件付きの役職員向け |
| 信託型 | 信託が時価で購入 | 給与所得(2023年5月見解) | 将来の貢献者へ事後配分 |
| 1円型(株式報酬型) | なし、または報酬債権と相殺 | 給与所得(退任後行使型は退職所得) | 上場企業の役員報酬 |
無償型は最も一般的で、要件を満たせば税制適格になります(詳しくは無償ストックオプションの種類・税金・有償との違い)。有償型は、時価で買っているので行使時に経済的利益が認識されず(所得税法施行令109条1項1号)、売却時に「売却価格−購入価額−権利行使価額」が譲渡所得になります。
信託型は、以前は「信託が付与するので給与課税されない」と説明されて広まりました。国税庁は2023年5月のQ&Aで、実質的には発行会社が役職員に付与しているとして行使時の利益を給与所得とし、発行会社に源泉徴収を求めています。仕組みと既存分の対応は信託型ストックオプションの給与課税リスクと代替策にまとめています。
1円型は権利行使価額を1円にした設計で、退職慰労金制度の代わりとして上場企業の役員に付与されてきた型です。行使価額が契約時の株価を下回るため税制適格にはならず、行使益は原則として給与所得です。ただし、役員を退任した日の翌日以降10日間以内に一括して行使する条件を付けたものは、国税庁の質疑応答事例で退職所得とされています(所得税法30条1項、所得税基本通達30-1)。役員向け設計の論点は役員向けストックオプションと従業員向け制度の相違点で扱っています。
税制適格ストックオプションの要件(租税特別措置法29条の2)
税制適格の要件は、付与契約に書き込んでおく必要があります。契約書に書いていなければ、実態が要件どおりでも適格になりません。2026年9月時点で施行中の条文と、同施行令・施行規則から要件を並べると次のとおりです。
| 要件 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 対象者 | 発行会社・50%超子会社の取締役、執行役、使用人 | 措法29の2① |
| 除外される大口株主 | 上場会社は発行済株式の1/10超、非上場は1/3超 | 措令19の3③ |
| 取得の対価 | 無償 | 措令19の3① |
| 行使期間 | 付与決議後2年〜10年(設立5年未満の非上場は15年) | 同①一 |
| 年間の権利行使価額 | 1,200万円以内 | 同①二 |
| 権利行使価額 | 契約締結時の1株の価額以上 | 同①三 |
| 譲渡 | 禁止 | 同①四 |
| 株式の交付 | 付与決議の募集事項に反しない | 同①五 |
| 取得株式 | 証券会社等に保管委託、または発行会社が管理 | 同①六 |
| 行使時の書面 | 大口株主でない旨の誓約書等を提出 | 同②一・三 |
監査役は対象者の条文に入っていないため、監査役への付与は税制適格になりません(詳しくは監査役へのストックオプション付与の可否)。社外の人材は、中小企業等経営強化法の認定を受けた計画に従事する「社外高度人材」に限って対象になります。なお、令和8年度税制改正の大綱(2025年12月26日閣議決定)には、ストックオプション税制の改正項目はありません。
年間上限1,200万円・2,400万円・3,600万円の判定方法
上限は「利益」ではなく、1年間に行使で払い込む権利行使価額の合計です。条文上の上限は1,200万円のままで、付与決議の日に設立5年未満の会社なら行使価額を2で割った額、設立5年以上20年未満で非上場または上場後5年未満の会社なら3で割った額を合計して判定します(措置法29条の2第1項ただし書、施行規則11条の3)。経済産業省が「上限2,400万円・3,600万円への引上げ」と説明しているのは、この割り算を年間の払込額に直した言い方です。
割り算で1円未満の端数が出たときは、1回の行使ごとに切り上げます。経済産業省の例では、行使価額100円で1万株を行使すると100万円÷3=333,333.33…円で、333,334円として数えます。
その年の合計が上限を超えることとなった行使は、その1回の行使全体が非課税の対象から外れます(措置法29条の2第1項ただし書)。同じ年にそれより前に行った上限内の行使は非課税のままです。複数年に分けて行使すれば枠を毎年使えるので、行使額が大きい人ほど行使の年を分ける計画が必要です。
権利行使価額の基準になる「契約締結時の株価」
行使価額は、付与契約を結んだときの1株の価額以上でなければなりません。国税庁Q&Aは、付与契約の締結日が付与決議日や募集事項の決定日から6か月以内なら、その決議の日の株価で判定してよいとしています。
上場会社は市場価格で判断できますが、非上場会社では株価の算定方法が問題になります。国税庁は2023年7月に非上場株式の株価算定方法を通達で示しており、この「セーフハーバー」の使い方は税制適格ストックオプションとセーフハーバールール、行使価額の決め方全体はストックオプションの行使価格の決め方で解説しています。
取得株式の保管委託と「専用口座」、発行会社による管理
税制適格で取得した株は、取得後すぐに、発行会社を通じて証券会社など金融商品取引業者の口座へ入れる必要があります。この口座は権利者ごとに開設し、ストックオプションで取得した株以外は入れられません(措置法29条の2第1項6号イ)。一般に「ストックオプション専用口座」と呼ばれるのはこの口座です。
この株(特定株式)は、特定口座にもNISAにも移せません(国税庁タックスアンサーNo.1540)。専用口座から引き出したり、他人に贈与したりすると、その時点の時価で売ったものとみなされ、課税されます(同条4項)。
令和6年度改正で、譲渡制限株式については発行会社自身が帳簿で管理する方法も認められました(同号ロ)。証券会社の口座を用意しにくい未上場企業向けの選択肢です。そのため上場で譲渡制限がなくなる前に、証券会社等の口座へ移す段取りを発行会社に確認しておいてください。
ストックオプションの税金:税制適格と非適格の課税タイミング
| 段階 | 税制適格 | 税制非適格(無償) | 有償 |
|---|---|---|---|
| 付与時 | 課税なし | 課税なし | 課税なし |
| 行使時 | 課税なし | 給与所得(総合課税) | 課税なし |
| 売却時 | 譲渡所得(売却額−行使価額) | 譲渡所得(売却額−行使時株価) | 譲渡所得(売却額−購入額−行使価額) |
| 源泉徴収 | なし | 行使時に発行会社が徴収 | なし |
非適格の計算式は国税庁タックスアンサーNo.1543のとおりで、行使時の所得は「(行使時株価−権利行使価額)×株式数」、売却時の所得は「(売却価格−行使時株価)×株式数」です。税制非適格ストックオプションの課税の詳細は税制非適格ストックオプションの課税2回の仕組みにまとめています。
900万円の値上がり益で比べる税額の差
先ほどの例(行使価額100円×1万株、株価1,000円)で、行使してすぐ1,000円で売ったとします。
税制適格なら、売却時に900万円が株式の譲渡所得として申告分離課税になり、税額は900万円×20.315%=1,828,350円です。
税制非適格なら、行使した年に900万円が給与所得に加わります。給与所得は他の所得と合算する累進課税なので、課税所得が900万円を超える部分には所得税33%(1,800万円超は40%、4,000万円超は45%)と住民税10%がかかります。たとえば他の課税所得が900万円で、900万円全額が33%の税率帯に入る場合、所得税・復興特別所得税・住民税の合計は900万円×(33%×1.021+10%)=3,932,370円で、税制適格の1,828,350円より約210万円多くなります。売却時は行使時株価で買ったとみなされるため、すぐ売れば譲渡所得はほぼゼロです。
非上場のまま非適格で行使すると、売れない株に対して給与課税だけが先に来ます。納税資金を別に用意できるかを、行使前に必ず計算してください。
源泉徴収・年末調整と、住民税が翌年に来る理由
非適格(無償・信託型)の行使益は給与なので、発行会社は株式を交付する際に源泉所得税を徴収して納めます(国税庁Q&A問4)。発行会社が勤務先であれば、その年の給与に含めて年末調整されます。
住民税は前年の所得に対して課税されます(地方税法313条1項)。そのため、行使した年は所得税だけが増え、住民税は翌年6月以降の給与天引きで増えます。行使した翌年6月以降に退職・転職すると、残りの住民税は最後の給与などからの一括徴収か、納付書で自分で納める普通徴収に切り替わり、まとまった額を一度に払うことになります(地方税法321条の5第2項)。この「翌年の住民税」を見込まずに行使益を使ってしまうと、資金が足りなくなります。
確定申告が必要になる3つのケース
- 税制適格で取得した株を売ったとき:特定口座に入れられないので源泉徴収で完結せず、「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書(特定権利行使株式分及び特定投資株式分がある場合)」を付けて申告します。
- 非適格の行使益を含めて年間の給与が2,000万円を超えたとき:年末調整の対象外になるため、自分で申告します。
- 海外の親会社から付与されたストックオプションを行使したとき:親会社から労務の対価として付与されたものも給与所得ですが(国税庁Q&A問1注1)、国内の勤務先が源泉徴収していなければ自分で申告します。
いずれも、行使価額と行使時の株価を示す書類(行使通知書・割当通知・証券会社の取引報告書)が取得費の根拠になります。売却時に「取得価額がわからない」とならないよう、行使のたびに保管してください。
会計処理:企業会計基準第8号とIFRS第2号の違い
日本基準の費用計上と新株予約権の計上
日本基準では、企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」に従います。会社は付与によって従業員等から受けるサービスを費用として計上し、同じ額を純資産の部に「新株予約権」として計上します(第4項)。費用の総額は「公正な評価単価×ストック・オプション数」で、付与日から権利確定日までの対象勤務期間に配分します(第5項)。公正な評価単価は付与日に算定し、条件変更がない限り見直しません(第6項)。
行使されて新株を発行したら、新株予約権のうち行使分を払込資本へ振り替えます(第8項)。行使されずに失効したら、その分を利益に計上します(第9項)。未公開企業は、公正な評価単価の代わりに「本源的価値」(株式の評価額−行使価格)で処理することが認められています(第13項)。
業績条件などの権利確定条件が付いた有償新株予約権も、実務対応報告第36号により原則としてストック・オプションとして扱われ、費用計上が必要です。仕訳例はストックオプションの会計基準と仕訳・費用計上の実務で扱っています。
IFRS第2号との主な差異
| 論点 | IFRS第2号 | 日本基準(第8号) |
|---|---|---|
| 権利確定後の失効 | 費用を戻し入れない | 失効分を利益に計上 |
| 未公開企業 | 公正価値で見積る | 本源的価値でも可 |
| 段階的な権利確定 | 確定時期ごとに別個に処理 | 原則別個、一括も可 |
| 株価条件 | 公正価値の見積りに織り込む | 評価額に織り込む定めなし |
出典はKPMG「IFRS会計基準と日本基準の主要な相違点」(2025年10月版)です。実務で影響が大きいのは最初の2つです。日本基準からIFRSへ移る会社では、権利不行使による失効益が利益に出なくなり、移行日時点で権利確定前の付与分は公正価値で測り直すことになります(移行日前に権利確定済みの分はIFRS第1号の免除規定の対象)。IFRSの処理の流れはIFRS第2号が定めるストックオプション会計処理の基本構造を参照してください。
会社と従業員それぞれのメリットとリスク
会社側:現金を使わない報酬と、費用計上・希薄化の負担
会社にとっての最大の利点は、付与の時点で現金が出ていかないことです。給与水準で大手と競えない創業期の会社が、将来の株価上昇を報酬の一部として示せます。
一方で、上場会社は付与日の公正な評価額を費用として計上するため、損益計算書上の負担が発生します。未公開企業は本源的価値(株式の評価額−行使価格)で処理でき、行使価格が付与日の株式の評価額以上であれば費用は計上されません(企業会計基準第8号13項)。行使されれば発行済株式数が増え、既存株主の1株当たりの持分が薄まります。発行総数をどこまで許容するかは投資家との交渉事項になるため、ストックオプション発行で生じる希薄化の仕組みで計算方法を確認してください。付与割合の相場はストックオプションの平均付与率にまとめています。
従業員側:株価上昇の果実と、換金できないリスク
従業員にとっては、会社の成長がそのまま自分の資産になる点が魅力です。無償型であれば、株価が上がらなくても持ち出しはありません。
リスクは、上場やM&Aといった換金の機会が来ないことです。非上場の株は市場で売れず、行使期間を過ぎれば失効します。M&Aの際は買収契約でストックオプションが消滅・承継・買取りのいずれになるかが決まり、課税も変わります(M&Aでストックオプションはどうなるか)。付与時に確認すべきなのは、株数よりも「発行済株式総数に対する割合」と「行使条件」です。
ストックオプションを使うべき会社・見送るべき場面
判断の軸は2つです。数年以内に上場かM&Aで株を換金できる見込みがあるか、そして付与したい相手が税制適格の対象者か。この2つがそろわないなら、ストックオプションは第一候補になりません。
未上場で上場を目指す会社は、無償の税制適格ストックオプションが第一候補です。設立5年未満なら行使期間を15年に延ばせるうえ、年間の行使枠も実質2,400万円あります。上場企業が役員に中長期の報酬を出すなら、1円型や譲渡制限付株式(RS)など株式報酬の中から選ぶことになります。
次の場面では、ストックオプションを使うべきではありません。
- 上場もM&Aも予定がない会社:換金の出口がなく、報酬として機能しません。利益に連動した現金報酬を出すならファントムストックが向いています。
- 付与したい相手が発行済株式の1/3超を持つ非上場会社の株主(またはその親族など特別関係者):税制適格の対象から外れ、行使時に給与課税されます。
- 社員全体の資産形成が目的の会社:少額を毎月積み立てる従業員持株会の方が制度として合っています(ストックオプションと持株会の違い、信託を使うESOPも選択肢です)。
よくある質問
ストックオプションは退職するとどうなりますか?
付与契約の行使条件で決まります。在籍を行使条件にしている契約なら、退職すると未行使分は失効します。退職後も行使できる契約で、非適格のストックオプションを退職後に行使した場合、行使益は原則として給与所得です。ただし国税庁は、権利の付与後、短期間のうちに退職を予定されていて、利益の大部分が長期間にわたる株式の値上がり益に当たる場合は雑所得になるとしています(タックスアンサーNo.1543)。退職前に契約書を確認し、行使できる期限を把握してください。
ストックオプションの住民税はいつ払いますか?
住民税は前年の所得に課税されるので、非適格ストックオプションを行使した翌年に課税されます。会社員なら翌年6月から翌々年5月の給与天引きで増えます。発行会社が勤務先であれば、行使した年の所得税は行使時に源泉徴収されますが、住民税は1年遅れで来るため、行使益のうち住民税分(約10%)は、翌年6月以降の納付に備えて手元に残しておいてください。税制適格の株を売った場合も、確定申告の結果として翌年度の住民税(5%分)に反映されます。
ストックオプションの専用口座とは何ですか?
税制適格ストックオプションで取得した株を預ける、権利者ごとの証券口座のことです。ストックオプションで取得した株以外は入れられず、特定口座やNISAへは移せません。専用口座から株を引き出したり贈与したりすると、その時点で売ったものとみなされて課税されます。令和6年度改正で、取得する株が譲渡制限株式であれば、発行会社が帳簿で管理する方法も選べるようになりました。
上場するとストックオプションは何倍になりますか?
決まった倍率はありません。利益は「上場後の株価−権利行使価額」で決まるので、倍率は付与時の行使価額と上場後の株価の比で後から決まります。創業初期に低い株価で付与されたものほど倍率は大きくなりやすい一方、上場後に株価が行使価額を下回れば利益はゼロです。上場直後は主幹事証券会社との約束(ロックアップ)で一定期間売れないこともあるため、売却できる時期も付与元に確認してください。
ESOPとストックオプションの違いは何ですか?
ストックオプションは「決めた価格で株を買える権利」で、株価が行使価額を上回ったときにだけ利益が出ます。株式給付型の日本版ESOPは、会社が拠出した資金で信託が自社株を買い、従業員にポイントなどに応じて株や金銭を配る仕組みで、株価が上がらなくても株そのものを受け取れる点が違います。会計も、ストックオプションは企業会計基準第8号、信託を通じた株式交付は実務対応報告第30号と、別の基準に従います。