Google Marketing Liveは、Googleが年1回開催する広告・コマース製品の発表イベントです。ここで示された内容が、その後1年のGoogle広告の仕様変更をほぼ決めます。ただし発表と提供開始は別物。日本で使えるようになるまで1年以上かかる機能もあれば、最初から日本が対象外の機能も少なくありません。本記事では2026年5月20日に開催された回の発表内容を整理したうえで、日本での提供についてGoogleが何と言っているか、そして日本の広告主が唯一期限管理すべき論点をまとめます。
まとめ:2026年のGoogle Marketing Liveで押さえる3点
2026年の発表は、Geminiを前提に広告面・クリエイティブ・計測・購買までを一本につなぐ内容でした。実務上の要点は次の3つです。
- 広告面がAI検索へ移る:AI Modeなどの対話型検索に組み込む広告フォーマットが正式な広告面として位置づけられました。
- 日本での提供時期はGoogle自身が「未定」と明言している:日本語版の公式発表に、本発表は米国向けであり日本での導入時期は未定と書かれています。
- 期限管理が要るのはAI Max:本記事で扱う発表のうち、日付を決めて動く必要があるのはAI Maxだけです。2026年9月に自動アップグレードが始まります。
逆に言えば、Universal Cartのように米国先行のものは、いま計画に組み込む必要がありません。以下、発表内容と提供状況を分けて見ていきます。
Google Marketing Liveの位置づけと提供状況を確認できる一次情報
Google Marketing Liveは毎年5月に開催されます。2024年は5月21日、2025年は5月21日、2026年は5月20日に開催されました。2026年の基調講演を務めたのは、Google広告・コマース担当バイスプレジデントのVidhya Srinivasan氏です。基調講演はGoogleの公式サイトで公開され、後から視聴できます。
日本の広告主にとって実務で効くのは、発表そのものより日本が対象に含まれるかです。ここには明確な一次情報があります。Google Japanの公式ブログは2026年の発表について、冒頭で「本発表は米国向けのものであり、日本国内における導入時期および展開詳細につきましては、現時点では未定となっております」と明記しています。日本語で読める最も確度の高い記述がこれで、2026年の発表を根拠に日本での実施計画を立てる段階にはないと判断できます。
機能ごとの細かい提供段階を追う場合はGoogle広告ヘルプの発表まとめページを見ることになりますが、内容は年によって差があります。2025年版には各機能の提供段階と対象国・言語が書き添えられており、たとえばAI Mode内の広告は「英語・米国で提供中」、AI Overviews内の広告は「英語・一部の国で近日提供」と書き分けられていました。一方2026年版はAccelerate with Googleへの誘導が中心で、この提供状況の一覧は引き継がれていません。毎年同じ粒度の一覧が出るとは限らない点は、情報の追い方として押さえておく必要があります。
2026年に発表された内容:Gemini前提の広告・クリエイティブ・計測
Googleが公式に2026年の発表として挙げているのは次のとおりです。
| 発表 | 内容 |
|---|---|
| AI検索向け広告 | AI Modeなど対話型検索に置く広告フォーマット |
| Ask Advisor | 4製品を横断する統合エージェント |
| Asset Studio | Geminiによるクリエイティブ生成の拡張 |
| YouTube Demand Gen | 配信面とクリエイター連携の拡張 |
| エージェンティックコマース | UCPの対象拡大とUniversal Cart向けツール |
| Analytics 360 | Meridianによる計測統合 |
| AI Max | 検索・ショッピングでの機能追加 |
このうち、日本の広告主の判断に影響しうる5つを掘り下げます。
AI検索面に置かれる広告フォーマット
対話型検索であるAI Mode向けに設計された広告フォーマットが発表されました。従来の検索広告がキーワードとの一致を起点に枠へ入る仕組みだったのに対し、AI検索では回答の文脈に沿って広告が差し込まれます。2024年に米国で「まもなくテストを開始する」と告知されたAI Overviewsへの広告表示が、2年かけて正式な広告面として整理された流れです。運用の前提となる検索連動型広告の仕組みはリスティング広告とは?仕組み・費用・運用の始め方と外注判断を解説で整理しています。
Ask Advisorによる横断エージェント
Ask Advisorは、Googleの表現では「Google Ads、Google Analytics、Merchant Center、Google Marketing Platformにまたがる、Geminiで構築された統合エージェント」です。従来は管理画面ごとに分かれていた確認作業を1つの対話窓口へまとめる方向の変更で、2025年に製品別に発表されていた「Your Google Ads expert」「Your Google Analytics expert」を一本化する位置づけにあたります。
Asset Studioのクリエイティブ生成
Asset Studioには、ブランドガイドラインを入力として広告クリエイティブを生成する機能が追加されました。Googleは「最も強力なAIモデルをGoogle広告のAsset Studioに導入し、画像広告と動画広告を大量に制作できるようにする」と説明しています。Asset Studio自体は2025年に「launching soon・グローバル」として発表されたもので、2026年はその機能拡張にあたります。あわせてYouTubeのDemand Genでも配信面とクリエイター連携が広げられました。2025年時点でGoogleは、購入や見込み客獲得を目標とする広告主において、支出1ドルあたりのコンバージョンが前年比26%改善したとしています。
UCPとUniversal Cartによるエージェンティックコマース
UCP(Universal Commerce Protocol)は、2026年1月11日にNRF(全米小売業協会)のカンファレンスでShopifyとの共同開発として発表されたオープンソースの共通仕様です。購買体験を横断する共通言語を定めるもので、これを使ったUniversal Cartは2026年5月19日のGoogle I/Oで発表されました。Google Marketing Live 2026では、このUCPの対象業種を広げ、Universal Cart向けのツールを追加する内容が発表されています。
展開先は2つを分けて読む必要があります。Universal Cart自体は米国のGoogle検索とGeminiアプリで提供が始まり、YouTubeとGmailが続くとされる面方向の展開で、国を広げる予定は示されていません。国が示されているのはUCPを使った決済のほうで、カナダとオーストラリアが先に、その後に英国が加わる予定です。いずれの発表にも日本は挙がっていません。EC事業者であっても、2026年内の施策としてUniversal Cart前提の設計を組むのは早すぎる判断になります。
Analytics 360とMeridianの計測統合
GoogleはAnalytics 360を「現代の計測のためのコマンドセンター」として作り直すと発表しました。自社のオープンソース製マーケティングミックスモデリングであるMeridianをAnalytics 360に組み込み、自社データと外部チャネルの出稿データを1つのモデルで扱えるようにするものです。ただしGoogleの記述は「近日中に可能になる」という将来形で、提供済みではありません。広告の貢献を媒体別のコンバージョン数ではなく増分で捉える方向の変更で、この考え方はインクリメンタリティとは?広告の増分効果を測る手法とCPA評価の限界・運用判断を解説で扱っています。前提となるGA4の構造はGA4とは?仕組みとUAとの違い・導入と運用体制の判断まで解説を参照してください。
発表から実装までにかかった時間:2024年・2025年分の到達点
Google Marketing Liveの発表を読むうえで最も誤解を招くのが、発表=提供開始と受け取ってしまう点です。過去2回の発表がどこまで届いたかを実績で確認します。
| 発表年 | 機能 | 発表時の状態 | その後 |
|---|---|---|---|
| 2024年5月 | AI Overviewsへの広告 | 米国でテスト開始予定 | 2025年時点も英語・一部の国 |
| 2025年5月 | AI Max(検索) | ベータ・グローバル | 2026年4月15日に一般提供 |
| 2025年5月 | AI Modeへの広告 | 米国・英語のみ | 2026年に広告面として整理 |
| 2025年5月 | Asset Studio | launching soon | 2026年に機能拡張 |
最短のAI Maxで発表から一般提供まで約11か月、AI Overviewsへの広告は2024年のテスト告知から2年を要して広告面として整理されました。日本語環境まで含めればさらに遅れます。発表直後に運用体制を組み替える必要がある項目は、実際にはごく一部です。年次イベントの内容は、当期の施策ではなく翌期以降の準備リストとして扱うのが実態に合っています。広告運用の体制をどこまで内製で持つかの判断はWeb広告の運用代行とは?費用相場と代理店の選び方・内製との判断基準で整理しています。
日本の広告主が期限管理すべきAI Maxの自動アップグレード
2026年時点で唯一、日付を管理しなければならないのがAI Maxです。AI Max for Search campaignsは2025年5月21日のGoogle Marketing Live 2025で発表され、約11か月のオープンベータを経て2026年4月15日に一般提供となりました。効果としてGoogleは、AI Maxを有効化した広告主が同等のCPA/ROASで平均14%多いコンバージョンまたはコンバージョン値を得ているとしています。加えて、検索語句マッチングのみを使う場合と比べ、テキストのカスタマイズと最終ページURLの拡張まで含めた全機能を併用すると平均7%上乗せされるという数値も示しています(いずれも小売以外の広告主が対象)。
重要なのは、この移行が任意ではない点です。自動アップグレードの期限は機能ごとに分かれています。
- 2026年9月:自動作成アセット(ACA)とキャンペーン単位のブロードマッチ設定を使う対象キャンペーンが、AI Maxへ自動的に移行します。
- 2027年2月:動的検索広告(DSA)の自動移行。当初は2026年9月の予定でしたが、2026年6月11日の更新で延期されました。
DSAの延期はDSAのみが対象で、ACAとブロードマッチ設定の2026年9月は変更されていません。この2つを使っているアカウントは、自動移行を待つか事前に任意アップグレードするかを選ぶことになりますが、放置して自動移行に任せるのは避けるべきです。最終ページURLの拡張や検索語句マッチングが有効になると配信対象のクエリが広がるため、移行前後で比較する基準値を取っていないと、変動が季節要因なのか仕様変更なのか切り分けられなくなります。移行前の直近4週間の指標を控えたうえで、任意アップグレードで自ら切り替え日を決めるほうが検証可能性を保てます。計測側の土台についてはコンバージョンAPI(CAPI)とは?Cookie規制下の計測の仕組みと4つの導入方式・外注判断を解説で解説しています。
よくある質問
Google Marketing LiveとGoogle I/Oは何が違いますか?
Google I/Oは開発者向けにAndroidやAI基盤などを扱うイベント、Google Marketing Liveは広告主・マーケター向けに広告とコマース製品を扱うイベントです。2026年は5月19日にGoogle I/O、翌20日にGoogle Marketing Liveと連続開催され、Universal CartのようにI/Oで発表された機能の広告主向けの使い方がGoogle Marketing Liveで示される形になりました。
発表された機能はいつから日本で使えますか?
2026年の発表については、Google Japanの公式ブログが「日本国内における導入時期および展開詳細につきましては、現時点では未定」と明記しています。個別機能の提供国はGoogle広告ヘルプの発表まとめページで確認できますが、年によって記載の粒度が変わるため、日本での可否はこの日本語版の記述を基準にするのが確実です。
AI Maxは使わないという選択はできますか?
対象となる設定を使っている場合、無期限に見送ることはできません。自動作成アセットとキャンペーン単位のブロードマッチ設定を使うキャンペーンは2026年9月から、動的検索広告は2027年2月から自動的にAI Maxへ移行します。これらの設定を使わない構成へ変更する場合を除き、移行時期を自分で選ぶかGoogleの自動移行に任せるかの選択になります。
AI Maxへの移行前に控えておくべき数値はありますか?
移行直前4週間のコンバージョン数、コンバージョン単価、検索語句レポートの上位クエリを保存しておいてください。AI Maxは配信対象のクエリを広げるため、移行後に指標が動いたとき、この基準値がないと仕様変更の影響か季節要因かを切り分けられません。検索語句レポートは移行後に顔ぶれが変わるので、事前の控えが特に重要です。
次回のGoogle Marketing Liveはいつ開催されますか?
直近3回は2024年5月21日、2025年5月21日、2026年5月20日と、いずれも5月中旬から下旬に開催されています。次回も同時期が見込まれますが、日程はGoogleの公式サイトで事前に告知されます。