GLOVIA One(グロービアワン)は、富士通が2026年4月22日から順次提供している中堅企業向けのERPです。規模別に分かれていたGLOVIA SUMMIT・GLOVIA iZ・GLOVIA きららを1つのブランドに統合し、Microsoft Azure上のマルチテナント型SaaSとして提供します。既存のGLOVIA利用企業が気にする「今の製品のサポートはいつまでか」「富士通はGLOVIAから撤退するのか」には、2026年10月時点で富士通が公表している範囲と公表していない範囲を分けて答えます。
まとめ:GLOVIA Oneの要点と旧GLOVIAのサポート終了
- 正体:富士通が2026年4月22日に提供を始めた中堅民需向けERP。対象は年間売上約30億〜1,000億円の日本企業。
- 製品構成:GLOVIA One 会計/GLOVIA One SUMMIT 会計/人事給与/販売/生産 PRONES。
- 提供形態:Azure上のマルチテナント型SaaS。富士通の共通基盤「Uvance Platform」で稼働する。
- 設計思想:業務を標準に合わせるFit to Standardではなく、コアを改修しないClean Coreの上で日本企業の業務の工夫を標準機能と共存させる。
- 旧GLOVIAのサポート終了日:iZ・きらら・SUMMITの販売終了日・保守終了日は、富士通のプレスリリースでは示されていない。契約中の窓口で確かめる。
- 撤退かどうか:国内は撤退ではなく製品の統合。富士通はGLOVIA Oneを「展開していきます」と発表している。米国のGLOVIA事業は2021年にConstellation Softwareの傘下に移った。
- 料金:公表されていない。製品ページは問い合わせ・資料請求へ誘導している。
以下、製品の中身、旧GLOVIAのサポート終了、移行の判断の順に説明します。
GLOVIA Oneとは:読み方・提供開始日・対象規模
読み方は「グロービアワン」です。富士通の2026年4月20日付プレスリリースは、GLOVIAのラインナップを統合し、会計・人事給与・販売・生産の4領域を「GLOVIA One」として2026年4月22日から順次提供すると発表しました。主な対象は年間売上約30億円から1,000億円規模の日本企業です。
SUMMIT・iZ・きらら3ラインの統合
統合前のGLOVIAは、想定する企業規模で3つに分かれていました。IT Leadersの報道による区分は次のとおりです。
| 統合前の製品 | 想定規模(年商) | GLOVIA One後の名称 |
|---|---|---|
| GLOVIA SUMMIT | 1,000億円超 | GLOVIA One SUMMIT 会計 |
| GLOVIA iZ | 100億〜1,000億円 | GLOVIA One 各製品 |
| GLOVIA きらら | 100億円未満 | GLOVIA One 各製品 |
年商1,000億円超向けだったSUMMITの会計は、「GLOVIA One SUMMIT 会計」という名前でGLOVIA Oneの中に残りました。富士通の製品紹介では、グループ企業の経営管理を支援する会計製品と説明されています。
統合対象として名指しされていないGLOVIA製品
プレスリリースが統合対象として挙げたのはSUMMIT・iZ・きららの3つだけです。GLOVIA G2・GLOVIA OMや、業種特化型のGLOVIA smartは名前が出ていません。米国のGLOVIA事業は、CrescentOneの沿革によると2021年にConstellation Software(カナダ)に買収され、現在はCrescentOneの名前で製品を出しています。国内のGLOVIA One以外の製品を使っている企業は、GLOVIA Oneの発表を自社製品の方針と読み替えず、製品ごとに個別に確認する必要があります。
GLOVIA Oneの製品構成:会計・SUMMIT 会計・人事給与・販売・生産 PRONES
富士通の製品紹介ページ「Co-evolution Architecture GLOVIA」には、GLOVIA Oneの製品が5つ並んでいます。説明文の要点は次のとおりです。
| 製品名 | 公式説明の要点 |
|---|---|
| GLOVIA One 会計 | データ統合とAI活用・マルチテナントSaaS |
| GLOVIA One SUMMIT 会計 | 大手企業・グループ企業の経営管理 |
| GLOVIA One 人事給与 | 人事・給与処理と法改正への対応 |
| GLOVIA One 販売 | 多様な業態・業務フローに対応 |
| GLOVIA One 生産 PRONES | 標準機能と業種別テンプレートで生産管理 |
生産の「PRONES」は新しい名前ではありません。GLOVIA One 生産 PRONESの資料請求ページは「1994年の販売開始以来」と書いており、2012年2月29日には富士通マーケティングが「GLOVIA smart 製造 PRONES 業務パック」の提供開始を発表しています(富士通マーケティングの発表)。PRONESはその後GLOVIA iZ 生産 PRONES GXとしても展開され、現在はGLOVIA Oneの製品構成に含まれています。生産管理と工程管理・MESの守備範囲の違いはERPモジュール一覧|個別原価計算を回す基幹システム構成とSAP・国産ERP対応表で整理しています。
稼働基盤:Azure上のマルチテナント型SaaSとUvance Platform
プレスリリースによると、GLOVIA Oneはクラウドを介したマルチテナント構成で提供され、APIで他社のソリューションと連携します。稼働基盤は富士通の事業モデル「Uvance」を支える共通プラットフォーム「Uvance Platform」です。同じリリースに載った日本マイクロソフトのコメントは、GLOVIA Oneを「従来のオンプレミス型から、Microsoft Azureを活用したマルチテナント型SaaSへ基盤を進化させ」たものと説明しています。
マルチテナントでは複数の企業がシステム資源を共有しますが、更新時期や利用する版をテナント群ごとに分ける構成もあります。SaaSの稼働基盤は提供元が管理します。GLOVIA Oneでの更新延期の可否や拡張方法は、サービス仕様と契約条件を確認してください。シングルテナントとの運用上の違いはシングルテナントとマルチテナントの違い|比較表・選定基準とテナント分離の実装にまとめています。
GLOVIA OneのClean Core:標準機能と独自業務の共存方針
富士通はGLOVIA Oneについて、標準機能を維持しながら日本企業の独自業務と共存させる方針を示しています。プレスリリースには「Fit to Standardによる業務の画一化ではなく、Clean Coreを前提に、日本企業の現場で培われてきた様々な改善や工夫、業務知見を、製品の標準機能と共存させる思想」を採用したとあります。
- Fit to Standard:ERPの標準プロセスを基準に業務要件との差分を確認し、業務変更や必要な拡張を検討する。
- Clean Core:ERPのコア部分を改修せずに維持する(プレスリリースの注2の定義)。業務側の工夫は、コアの外側の設定・API連携・外部ソリューションで実現する。
2つは排他的な考え方ではありません。SAPの手法でも、Fit to Standardのワークショップで標準との差分を洗い出し、コアを変えない方法で解消することでClean Coreを保ちます。GLOVIA Oneで違いが出るのは力点です。富士通は業務を標準へ一律に寄せることより、残すと決めた独自業務を「コアの外のどこで実装するか」を重視しています。富士通は、業務ルール・設計思想・設定手順を標準化・言語化し、標準機能を保つことでアップグレードと機能更新を自動化するとしています。旧GLOVIAでコアに直接手を入れたアドオンは、そのままでは持ち込めないと考えて棚卸しするのが安全です。
INSIGHT・FIT TO JAPAN・PARTNERSHIPの3コンセプトとChat BI
GLOVIA Oneは3つのコンセプトを掲げています。
- INSIGHT:会計・人事給与・販売・生産などの業務データをデータレイクに集約し、AIで統合・可視化する。
- FIT TO JAPAN:前章のClean Core。開発・導入・保守にAIエージェントを組み込み、税制改正などに標準機能の頻繁なリリースで対応する。
- PARTNERSHIP:業界・業務の知見をAIエージェントや機能としてエコシステムで実装し、共有する。
対話形式で業務・経営データを分析するAIエージェント「Chat BI」は、提供開始時点では含まれていません。富士通の2026年4月20日の発表では、Chat BIの提供開始を2026年度中(2027年3月まで)としています。導入の稟議でChat BIを前提にするなら、提供開始の時期を富士通に確かめてください。
GLOVIA iZ・きらら・SUMMITのサポート終了:公表されている事実と未公表の事実
「glovia サポート終了」で探している人の多くは、今使っているGLOVIAがいつまで使えるかを知りたいはずです。2026年10月時点で確かめられる事実と、問い合わせで確かめる項目を順に示します。
旧GLOVIAの終了日:提供開始発表での記載状況
2026年4月20日のプレスリリースは、SUMMIT・iZ・きららの「ラインナップを統合する」と書いていますが、旧製品の販売終了日・保守終了日には触れていません。「◯年◯月でGLOVIA iZのサポートが切れる」という情報を見かけたら、富士通の告知か、自社に適用される契約書・契約窓口からの書面回答で裏付けを確認してください。
富士通の旧サイトにあった「販売終了したソリューション」一覧(2025年12月11日の保存版)には、GLOVIA smart 会計 BPやglovia.com v9など22製品が並んでいましたが、iZ・きらら・SUMMITはありませんでした。このURLは現在、GLOVIAの製品紹介ページへ転送されています。
GLOVIA smart 会計は販売終了・後継はGLOVIA iZ 会計
GLOVIA smart 会計について確認すべきなのは、販売終了の告知と保守終了の案内の違いです。GLOVIA smart 会計の製品ページ(2025年3月22日の保存版)には「GLOVIA smart 会計は販売を終了しました」とあり、導入を検討する企業には後継の「GLOVIA iZ 会計」を案内していました。告知されているのは販売の終了で、保守の終了ではありません。既に使っている企業は、製品・版ごとの保守方針と自社の契約条件を照合して期限を確認してください。
「富士通 GLOVIA 撤退」の真偽:国内は製品統合・米国事業は2021年に買収
国内のGLOVIA事業について、富士通が撤退を発表した事実はありません。プレスリリースはGLOVIA Oneを「AI時代のERPソリューション」として「展開していきます」と書き、Chat BIや外部ソリューション連携の追加も予告しています。起きているのは、規模別の3製品を1つのSaaSにまとめる製品の集約です。ただし、製品統合の発表だけでは旧製品の新規販売がいつ終了するかは判断できません。撤退ではないから急がなくてよい、とは言えません。なお、米国のGLOVIA事業は2021年にConstellation Softwareへ移っています。「撤退」の情報を見かけたら、国内のGLOVIAの話か、米国事業の買収の話かを見分けてください。
契約窓口で確かめる4項目
サポート期限を富士通または販売パートナーに問い合わせるときは、次の4点を書面で確かめます。
- 自社が使っている製品名と版(例:GLOVIA iZ 会計、GLOVIA きらら 販売)の新規販売終了日
- 保守(問い合わせ・修正プログラム)の終了日と、延長保守の有無
- 税制・法改正への対応プログラムをいつまで出すか
- GLOVIA Oneへの移行支援(データ移行ツール・移行価格)の有無
富士通の製品には、販売終了から提供終了までに5年を置いた例があります。オフコンのクラウドサービスは2026年3月末に販売を終え、提供の終了は2031年3月末と発表されています(オフコンのクラウド化とは?富士通2031年3月の提供終了と移行方式の選び方)。GLOVIAで同じ間隔になる保証はないので、日付は必ず自社の契約で確認してください。
GLOVIA Oneへ移るか、他社ERPへ替えるかの判断基準
旧GLOVIAからGLOVIA Oneへの移行は、オンプレミスや専用環境からマルチテナント型SaaSへの載せ替えです。移行計画の規模は、標準機能への適合、既存資産の再利用範囲、データ移行や外部連携の変更量を確認して見積もってください。
GLOVIA Oneが合う会社・合わない会社
| 状況 | 向く選択肢 |
|---|---|
| 国内中心・年商30億〜1,000億円 | GLOVIA Oneを第一候補に |
| 日本の商習慣・税制改正への追従が最優先 | GLOVIA One |
| オンプレミスでの運用が必須 | GLOVIA One以外も比較 |
| 海外拠点を同じERPで管理したい | 海外製ERPも比較 |
| コアを改修したアドオンが業務の中心 | 棚卸し後に判断 |
オンプレミス版と海外拠点向けの機能は、プレスリリースにも製品ページにも記載がありません。必要なら提案の段階で確認してください。他社製品と比べるなら、SAP・NetSuite・OBIC7・GRANDITなど主要6製品の提供形態と価格の公開状況をERPパッケージ製品とは?主要6製品の比較・価格公開状況とSAP保守期限で並べています。国産ERPのうちパートナー経由で導入する方式はGRANDITとは?コンソーシアム型ERPの構造とパートナー選定で決まる導入結果が参考になります。SAPを比較する場合は、既存のSAP ERP 6.0の標準保守(EhP6〜8は2027年末、EhP5以前は2025年末で終了)と、新規導入の候補になるSAP S/4HANAを分けて考えてください(SAPの2027年問題とは?ERP保守終了の影響とS/4HANA移行・延命の判断を解説)。
アドオンの棚卸しから始める移行の手順
- 現行GLOVIAのアドオン・帳票・外部連携を一覧にし、コアを直接改修したものに印を付ける。
- 改修の理由を業務ルールとして書き出し、GLOVIA Oneの標準機能・設定で済むもの、API連携で外に出すもの、業務を変えるものに分ける。
- マスタ(取引先・品目・勘定科目)の重複とコード体系を整理してからデータを移す。
- 会計・販売・生産の依存関係と並行稼働時のデータ整合性を確認し、領域ごとに切り替えられる場合は段階移行を選ぶ。古い仕組みを段階的に置き換える考え方はストラングラーフィグパターンとは?レガシー移行の実装手順と切り戻し設計を解説と同じです。
1と2で「コアの外に出すもの」が多い場合は、外部SaaSの利用と個別開発を比較し、周辺システムの契約・保守責任を明確にします。ERPの外側に残す業務システムや連携部分の設計・開発を外部に任せるなら、基幹システム開発の支援を受ける方法もあります。
GLOVIA Oneの料金:公式は非公表、見積で確かめる費目
富士通はGLOVIA Oneの価格をプレスリリースでも製品ページでも公表しておらず、製品ページは問い合わせと資料請求へ誘導しています。公開された金額を比較する際は、富士通または販売パートナーの提示条件、対象製品、利用規模、見積時点を確認してください。見積を取るときは、次の費目が含まれているかを確かめます。
- SaaS利用料:対象製品、課金単位、最低契約条件、利用規模による増減の有無
- 導入費:設定・データ移行・既存システムとのAPI連携
- 旧GLOVIAの保守費:移行が終わるまで並行して払う期間
- Chat BIなど、今後追加される機能が別料金かどうか
旧製品の保守費と新しいSaaS利用料が重なる期間の長さで、総額は大きく変わります。サポート期限の確認と見積は同時に進めてください。
よくある質問
GLOVIAの読み方は?富士通のどんな製品ですか?
GLOVIAは「グロービア」、GLOVIA Oneは「グロービアワン」と読みます。富士通の統合基幹業務ソリューション(ERP)のブランドで、2026年4月からは中堅企業向けの製品がGLOVIA Oneに統合されています。
GLOVIA iZのサポートはいつ終了しますか?
本記事で参照した2026年4月20日の富士通プレスリリースには、旧GLOVIA iZ・きらら・SUMMITの販売終了日・保守終了日の記載はありません。保守期限は製品・版と契約条件で決まるため、富士通または販売パートナーに製品名と版を伝えて確認してください。
富士通はGLOVIAから撤退するのですか?
国内のGLOVIAについて撤退は発表されていません。2026年4月に規模別の3製品をGLOVIA Oneへ統合し、今後もChat BIなどの機能を追加すると発表しています。米国のGLOVIA事業は、2021年にConstellation Software(カナダ)に買収されています。
GLOVIA Oneはオンプレミスで使えますか?
プレスリリースはGLOVIA Oneをクラウドを介したマルチテナント構成で提供すると説明しており、オンプレミス版には触れていません。オンプレミスでの運用が必要なら、提案の段階で富士通に確認してください。
GLOVIA One SUMMITとは何ですか?
旧GLOVIA SUMMITの会計を引き継いだ「GLOVIA One SUMMIT 会計」のことです。富士通の製品ページは、データドリブン経営、経理業務の高度化、グループ企業の経営管理を支援する製品と説明しています。