富士通GLOVIA Oneとは?中堅企業向けERPの機能・料金とGLOVIA iZ/きらら/SUMMITからの移行を解説
GLOVIA One(グロービアワン)は、富士通が2026年4月22日から順次提供を始めた中堅企業向けのERPソリューションです。これまで「GLOVIA SUMMIT」「GLOVIA iZ」「GLOVIA きらら」に分かれていた基幹業務製品を一つのブランドへ統合し、会計・人事給与・販売・生産の4領域をマルチテナントのSaaSとして提供します。既存のGLOVIA利用企業にとっては「今の製品のサポートはどうなるのか」「いつ移行を検討すべきか」が最大の関心事になります。本記事では、GLOVIA Oneの機能・提供形態・料金の考え方に加え、公式に発表されている事実と未発表の事項を切り分けて整理します。
まとめ:GLOVIA Oneの要点
- 正体:富士通が2026年4月22日に提供開始した中堅民需向けERP。読み方は「グロービアワン」。
- 対象:年間売上およそ30億円〜1,000億円規模の日本企業。
- 統合:従来のGLOVIA SUMMIT/iZ/きらら 3ラインを1ブランドに統合した後継製品。
- 中身:会計・人事給与・販売・生産の4領域+Clean CoreとコンポーザブルERP、AIエージェントを標準搭載。
- サポート終了の扱い:既存GLOVIAの具体的な終了日は富士通から公式発表されていない。移行時期は個別案内で、確認は必須。
- 料金:公式に価格は公表されておらず、個別見積が前提。
以下で、定義・機能・移行・他社比較・費用の順に掘り下げます。
GLOVIA Oneとは:読み方・提供開始日・対象規模
GLOVIA Oneは富士通の統合基幹業務ソリューションで、読み方は「グロービアワン」です。富士通の2026年4月20日付プレスリリースによれば、2026年4月22日より順次提供が始まりました。主な対象は年間売上約30億円から1,000億円規模の日本企業で、日本特有の商習慣・法制度に対応しながら段階的に機能を拡張できる点を打ち出しています。
GLOVIA SUMMIT・iZ・きららを統合した後継ブランド
GLOVIA Oneは新規のスクラッチ製品ではなく、既存GLOVIAの3ラインを束ねた統合ブランドです。従来は年商1,000億円超の大企業向け「GLOVIA SUMMIT」、年商100億〜1,000億円規模の中堅企業向け「GLOVIA iZ」、年商100億円未満の中堅下位向け「GLOVIA きらら」に分かれており、それぞれの守備範囲が異なっていました。GLOVIA Oneはこの区分を一本化し、会計・人事給与・販売・生産の4領域を共通基盤に載せ替えたものです。なお「GLOVIA One SUMMIT」など上位ライン名で検索されることもありますが、いずれもGLOVIA Oneブランドの下に位置づけられます。
会計・人事給与・販売・生産の4領域でカバーする基幹業務
GLOVIA Oneが統合する業務領域は次の4つです。これらを1つのデータ基盤で連携させ、部門ごとに分断されがちな情報を一元化することが狙いです。
- 会計:財務会計・管理会計。経営管理や予実分析の基盤となる領域。
- 人事給与:法改正への追従が求められる領域で、給与計算・人事管理を担う。
- 販売:日本型の商流・取引慣行に合わせた受発注・請求などの販売管理。
- 生産:原価計算・工程管理・在庫管理を連動させる製造業向けの中核領域。
4領域が同じマスターデータを共有するため、会計だけ、販売だけといった単機能ツールを個別に導入した場合に起きがちな「同じ取引先を部門ごとに別コードで管理する」といったデータの二重管理を避けやすくなります。GLOVIA単体では会計モジュール(旧GLOVIA会計系)から検索する利用者も多く、GLOVIA Oneでも会計は主要な入口の一つです。
Clean CoreとコンポーザブルERP:標準化とカスタマイズの両立
GLOVIA Oneの設計思想の中心が「Clean Core」と「コンポーザブルERP」です。Clean Coreは、ERPのコア部分を作り込みで改修せずに標準のまま維持する考え方を指します。コアを触らないことで、富士通が提供する標準機能の更新をそのまま受け取り続けられるようにする狙いがあります。
一方で、日本企業の現場には独自の業務ルールや改善の積み重ねがあります。GLOVIA Oneは、機能・データ・外部サービスをAPIで組み合わせる「コンポーザブルERP」のアーキテクチャを採り、コアの外側で個社要件を実現する方針を示しています。つまり「コアは標準のまま自動更新、個別要件はAPI連携や外付けで対応」という役割分担で、従来のアドオン改修が更新の足かせになる問題を避けようとする構造です。カスタマイズを全面禁止するのではなく、コアに手を入れずに拡張できる範囲へ寄せる、という発想が要点になります。
AIエージェントとChat BIによる意思決定支援
GLOVIA Oneは業務の文脈を理解するAIエージェントを標準搭載します。富士通のプレスリリースでは「AIエージェントによりデータを統合し可視化する機能を提供し、人の意思決定を支援する」と位置づけられ、判断から実行までをつなぐ支援を掲げています。加えて、対話でデータ分析を行うAIチャット型のBI機能「Chat BI」を、富士通は2026年度中に提供開始する予定と発表しています(業界メディアでは2026年第3四半期以降との報道もあります)。導入企業側では、こうしたAI機能を使う前提として、どの業務データをAIに参照させるか、権限やログをどう管理するかといったデータガバナンスの整備が前提になります。AIエージェントが業務を自律的に進める仕組みの一般的な考え方は、エージェンティックコマースとは何か?次世代のEコマースとしてのAIエージェント購買の全貌を詳しく解説やシリコンバレー発次世代AIエージェント「Genspark」の誕生から日本市場参入までも参考になります。
GLOVIA iZ・きらら・SUMMITのサポート終了と移行の考え方
既存GLOVIAの利用企業にとって最も重要なのが「今使っている製品のサポートはいつまでか」「GLOVIA Oneへ移行すべきか」です。ここは事実の切り分けが必要なため、公表されている点と未公表の点を分けて整理します。
サポート終了日は公式には未発表
2026年4月時点で、富士通はGLOVIA SUMMIT/iZ/きららの具体的なサポート終了日を公式プレスリリースでは示していません。発表されているのは「3ラインをGLOVIA Oneへ統合し、GLOVIA Oneへの移行を推進する」という方針までです。したがって「◯年◯月でGLOVIA iZが使えなくなる」といった断定的な情報を見かけても、一次情報として扱わず、契約中のサポート窓口や富士通の案内で必ず裏を取ってください。「富士通 GLOVIA 撤退」といった不安を煽る表現も、公式に撤退が告知された事実はなく、統合による製品集約が実態です。
移行を検討すべきタイミングの判断軸
終了日が未発表であっても、移行判断を先送りにしてよいとは限りません。次の状況に当てはまる場合は、早めに移行計画の検討を始める価値があります。
- オンプレミス版GLOVIAを長く使っており、ハードウェア更改やOSサポート期限が近づいている。
- 過去のアドオン改修が積み重なり、バージョンアップのたびに改修費が膨らんでいる。
- マルチテナントSaaSに移ることで、自社でのインフラ運用・保守負担を減らしたい。
移行では、シングルテナント(自社専用環境)からマルチテナント(共通基盤の共有)へ運用形態が変わる点、既存のカスタマイズ資産をClean Core前提で棚卸しする必要がある点が論点になります。テナント方式の違いによる運用影響はマルチテナントとシングルテナントの違いとその選択基準で整理しています。
SAP・OBIC7・奉行との比較で見るGLOVIA Oneの位置づけ
中堅企業のERP選定では、GLOVIA Oneは国産・海外製の複数製品と比較検討されます。主な比較対象と着眼点を整理します。
| 製品 | 提供元 | 主な対象 | 着眼点 |
|---|---|---|---|
| GLOVIA One | 富士通 | 年商30億〜1000億円 | 日本の商習慣・法制度対応、Clean Core |
| SAP S/4HANA | SAP | 中堅〜大企業 | グローバル標準、海外拠点連携 |
| OBIC7 | オービック | 中堅〜大企業 | 国産、会計・人事に強み |
| 勘定奉行/奉行V ERP | OBC | 中小〜中堅 | 会計中心、導入の手軽さ |
| マネーフォワード クラウドERP | マネーフォワード | 中小〜中堅 | クラウドネイティブ、バックオフィス連携 |
選定の軸は「対象規模」と「日本の法制度・商習慣への適合度」です。海外製のSAP S/4HANAはグローバル展開に強い一方、日本固有の商流や法対応は個別設計が増えがちです。GLOVIA Oneはここを標準で押さえることを競争優位に据えています。逆に、年商が数億円規模で会計中心の要件であれば、奉行系やマネーフォワード クラウドERPの方が導入コストと運用負荷の面で現実的な場合があります。上表の奉行系・マネーフォワードは中小〜中堅が主対象で、GLOVIA Oneの想定レンジ(年商30億〜1,000億円)とは重なりが下側に寄る点も押さえておくとよいでしょう。オープンソースERPを含めた選択肢の比較はOdooとは何か?オープンソースERPの概要と主な特徴も判断材料になります。
マルチテナントSaaSの提供形態と料金の見方
GLOVIA Oneはクラウドを介したマルチテナント構成のSaaSとして提供されます。共通基盤を複数企業で共有するため、自社専用サーバーの調達や保守が不要になり、標準機能のアップデートも継続的に受け取れます。
料金について、富士通は公式プレスリリースで価格を公表していません。SaaS型ERPの費用は一般に、月額または年額のライセンス費、初期の導入支援費、稼働後の保守運用費の3階層で構成されますが、GLOVIA Oneの具体額は個別見積が前提です。見積を取る際は、対象4領域のうちどれを使うか、想定ユーザー数、データ移行や既存システム連携の範囲、そして前述のサポート終了・移行に関する条件までを合わせて確認すると、想定外コストを避けやすくなります。「公式が価格を公表しているか」を基準に、断定的な金額情報は鵜呑みにしないことが大切です。
よくある質問
GLOVIAとは何ですか?読み方は?
GLOVIAは富士通の統合基幹業務ソリューションのブランド名で、読み方は「グロービア」です。GLOVIA Oneは「グロービアワン」と読み、従来のGLOVIA SUMMIT/iZ/きららを統合した新ブランドにあたります。
GLOVIA iZやきららのサポートはいつ終了しますか?
2026年4月時点で、富士通は既存GLOVIAの具体的なサポート終了日を公式に発表していません。GLOVIA Oneへの統合・移行を推進する方針が示されている段階で、実際の移行時期は個別案内となるため、契約中のサポート窓口で確認してください。
中小企業でもGLOVIA Oneは導入できますか?
主な対象は年商およそ30億〜1,000億円規模の企業です。これより小規模で会計中心の要件であれば、奉行系やクラウド型ERPなど、対象規模と価格帯が合う製品を検討する方が現実的な場合があります。
オンプレミスでも使えますか?クラウド限定ですか?
GLOVIA Oneはマルチテナント構成のSaaSとして提供されます。オンプレミス併用の可否や既存オンプレGLOVIAとの関係は要件により異なるため、個別に富士通へ確認するのが確実です。
富士通のERPとして他社製品と何が違いますか?
日本の商習慣・法制度への標準対応と、コアを改修せず更新を受け続けるClean Coreの思想が特徴です。グローバル標準を重視するならSAP、会計中心で手軽さを求めるなら奉行系など、比較軸は「対象規模」と「日本適合度」で整理できます。