Composer 2とは?Cursor独自モデルの性能・料金・競合比較【2026年最新】
AIコードエディタCursorの開発元Anysphereが2026年3月にリリースしたコーディング専用モデルが「Composer 2」です。汎用タスクを捨ててコードデータだけで訓練する割り切りにより、CursorBench 61.3というベンチマークと入力0.50ドル/Mの低価格を両立させ、標準構成ならClaude Opus 4.6のおよそ10分の1のコストで動きます。この記事では、Composer 2の性能・料金・競合モデルとの違い、FastとStandardの使い分け、そして後継のComposer 2.5との位置づけまでを、公表データをもとに整理します。
目次
- 1 まとめ:Composer 2の要点
- 2 コード専用学習と自己要約強化学習がComposer 2の精度を支える技術基盤
- 3 主要ベンチマーク3種で読み解くComposer 2の実力と限界
- 4 入力トークン0.50ドルから始まるComposer 2の料金体系とコスト最適化戦略
- 5 Composer 2を最短で業務に組み込むための導入手順と推奨設定
- 6 競合3ツールとの機能差から導き出すComposer 2の選定基準
- 7 長時間タスクや多言語対応でComposer 2が抱える実務上の注意点
- 8 開発チームの規模と用途別に判断するComposer 2の最適な活用シナリオ
- 9 Composer 2に関するよくある質問
- 10 関連記事
まとめ:Composer 2の要点
- 正体:Cursorが2026年3月19日に投入したコーディング専用モデル。ベースにオープンソースのKimi K2.5を用い、コード特化の継続事前学習と自己要約強化学習を施している。
- 性能:内部指標CursorBenchで61.3(前世代1.5比+17.1)、Terminal-Bench 2.0で61.7、SWE-bench Multilingualで73.7。多言語と長時間タスクには弱点が残る。
- 料金:入力0.50ドル/M・出力2.50ドル/M。Composer 1.5比で約86%の値下げ。速度重視のFastと知能重視のStandardの2バリアント構成。
- 価格の位置づけ:Claude Opus 4.6の約10分の1、GPT-5.4の約5〜6分の1。汎用質問応答を捨てた小型化がこの価格差を生んでいる。
- 導入判断:複数ファイルにまたがる反復的な修正で費用対効果が高い。ターミナル中心ならClaude Code、補完速度重視ならGitHub Copilotとの併用も選択肢。無料プランで試せる。
- 後継:2026年5月に上位版のComposer 2.5が登場。同じKimi K2.5系を土台に長時間タスクの一貫性を高めており、最新の知能を求める場合は2.5が候補になる。
外部モデル依存から脱却したCursorが自社開発に踏み切った戦略的背景
Cursorはこれまで、Claude Opus 4.6やGPT-5.4といったサードパーティのモデルをエディタ内で利用する「プラットフォーム型」のビジネスモデルを採用していました。しかし、AnthropicがClaude Codeを、OpenAIがCodexをそれぞれ強化するなかで、モデル提供元が競合になるというジレンマが深刻化しています。開発者コミュニティでも「Cursorは結局ラッパーに過ぎないのではないか」という声が上がるようになりました。
こうした構造的リスクに対する回答がComposer 2です。共同創業者のAman Sanger氏はBloombergの取材に対し、Composer 2がコードデータのみで訓練された専用モデルであることを明言しています。汎用的な質問応答や詩の生成はできない代わりに、コーディングタスクに特化した性能と低コストを両立させました。外部モデルへの依存を減らしつつ、価格設定の自由度を確保するという戦略的な意図が明確に読み取れます。
複数ファイル同時編集と数百ステップ連続処理を実現したエージェント設計
Composer 2の最大の特長は、数百にもおよぶアクションを連続で実行できるエージェント型のアーキテクチャです。従来のAIコーディングアシスタントの多くは、単一のプロンプトに対して単一のレスポンスを返す構造でした。そのため、リポジトリ全体にまたがるリファクタリングや、複数のファイルに影響する機能追加では、開発者が手動でコンテキストを管理する必要がありました。
Composer 2では、コードベース全体に対するセマンティック検索ツールを組み込んだ状態で訓練されており、大規模なコードベースの構造を深く理解しながら作業を進められます。たとえば「ECサイトの商品一覧ページを新規作成して」と指示するだけで、HTML・CSS・JavaScript・関連コンポーネントファイルを一度に生成することが可能です。200,000トークンのコンテキストウィンドウと独自の自己要約技術によって、長時間にわたる連続作業でも文脈を見失いにくい設計になっています。
Composer 1から1.5を経て2に至る5か月間のベンチマーク推移と進化速度
Composer 2は、2025年10月のCursor 2.0リリースと同時に登場した初代Composerから数えて3世代目のモデルです。わずか5か月の間に3回のメジャーリリースが行われたことになり、その開発速度は異例といえます。内部ベンチマークであるCursorBenchのスコアを見ると、初代Composerの38.0からComposer 1.5の44.2、そしてComposer 2の61.3へと急激に向上しています。
Terminal-Bench 2.0においても、初代の40.0からComposer 2の61.7へと約54%の改善を達成しました。SWE-bench Multilingualでは56.9から73.7へと、約30%のスコア向上です。特にComposer 1.5からComposer 2への飛躍が大きく、CursorBenchでは17.1ポイントもの差が開いています。この急速な改善は、後述する継続事前学習の導入が主な要因とされています。
コード専用モデルという割り切りが生んだ圧倒的な低コストと高速処理の構造
Composer 2の価格競争力を理解するうえで重要なのが、「コード専用モデル」という設計上の割り切りです。Aman Sanger氏が述べたとおり、このモデルは税務計算の支援も詩の生成もできません。コーディングタスクだけに特化して訓練されているため、汎用モデルと比較して小型化が可能になり、推論コストを大幅に引き下げられます。
具体的には、Composer 1.5の入力トークン単価3.50ドル/Mに対してComposer 2は0.50ドル/Mと、約86%のコスト削減を実現しました。出力トークンも17.50ドル/Mから2.50ドル/Mへ同様に低下しています。さらに、同等の知能を維持しつつ速度を高めたFastバリアントでも、入力1.50ドル/M・出力7.50ドル/Mという水準であり、Composer 1.5よりも約57%安価です。この価格設定は、Claude Opus 4.6の入力5.00ドル/M・出力25.00ドル/Mと比較すると、およそ10分の1にあたります。
100万人超のデイリーユーザーを抱えるCursorが描く開発体験の再定義
Composer 2のリリースは、単なるモデル更新にとどまらず、Cursorのプロダクト戦略全体と深く連動しています。Cursorは2026年3月時点で100万人以上のデイリーアクティブユーザーと約5万社の企業顧客を抱えています。2025年11月のSeries D資金調達時には年間経常収益が10億ドルを突破したことが公式に発表されており、その後も急速な成長が続いているとされています。この巨大なユーザーベースに対して、自社モデルを既定のオプションとして提供することの事業的インパクトは計り知れません。
同時期にリリースされたオートメーション機能やJetBrains IDE対応、30以上のマーケットプレイスプラグインの追加も、Composer 2を中心としたエコシステム拡張の一環です。SlackやGitHubのイベントをトリガーにエージェントを自動実行させる仕組みや、MCP(Model Context Protocol)を活用した外部ツール統合が可能になり、開発ワークフローの自動化が一段と進みました。Cursorが目指しているのは、コードエディタを超えた「AI開発プラットフォーム」としてのポジション確立です。
コード専用学習と自己要約強化学習がComposer 2の精度を支える技術基盤
Composer 2の性能向上を支えるのは、大きく2つの技術的柱です。ひとつは初めて実施された継続事前学習(continued pretraining)であり、もうひとつはCursorが「self-summarization」と呼ぶ独自の強化学習手法です。これらの組み合わせによって、従来のComposerモデルでは困難だった長時間にわたるコーディングタスクへの対応力が大幅に向上しました。ここでは、それぞれの技術要素を掘り下げて解説します。
継続事前学習を初めて適用しベースモデルの品質を底上げした訓練設計
Composer 2がこれまでのバージョンと根本的に異なる点は、ベースモデルの段階から手を加えている点です。初代ComposerやComposer 1.5では、既存のベースモデルに対して強化学習(RL)を適用するアプローチが採られていました。つまり、ベースモデル自体の重みには手を触れず、その上に追加の学習を積み重ねる構造です。
一方、Composer 2ではCursor社として初めて継続事前学習を実施しました。コードデータに特化したデータセットでベースモデルを再訓練し、そのうえで強化学習を行う2段階のアプローチです。Cursor社はこれを「強化学習をさらにスケールさせるための、はるかに強力な土台」と表現しています。一部の報道では、ベースモデルにオープンソースのKimi K2.5が使用されている可能性が指摘されており、このモデルにコード特化の継続事前学習とCursor独自のRLを施したものがComposer 2だとされています。
圧縮誤差50%削減を実現した自己要約型強化学習の仕組みと効果
Composer 2の最も革新的な技術要素が、「compaction-in-the-loop RL」と呼ばれる自己要約型の強化学習手法です。エージェント型のコーディングでは、ファイルの探索・コードの修正・テストの実行・エラーの解析といった一連のアクションが長い履歴として蓄積されます。この履歴はモデルのコンテキストウィンドウをすぐに超過してしまうため、従来はプロンプトベースの要約や、古いコンテキストを切り捨てるスライディングウィンドウ方式で対処していました。
Composer 2では、この要約プロセスをRL訓練ループの内部に組み込んでいます。具体的には、生成中にトークン数が一定の閾値に達すると、モデルが自動的に一時停止し、現在のコンテキストを圧縮します。訓練時の報酬は要約ステップを含むチェーン全体に適用されるため、重要な情報を失う要約には負の報酬が、質の高い要約には正の報酬が与えられます。Cursor社の発表によると、この手法により従来のプロンプトベースの要約と比較して圧縮誤差を50%削減することに成功しました。
5000トークンの要約を1000トークンに凝縮するコンテキスト管理の実態
自己要約技術の効果は、出力されるトークン数の差にも如実に表れています。従来のプロンプトベースの要約方式では、要約プロンプト自体が数千トークンに及び、保持すべき情報を細かく記述した十数のセクションを含んでいました。その結果、出力される圧縮コンテキストは平均5,000トークン以上となり、複数の構造化セクションで構成されていました。
一方、Composer 2の自己要約では、プロンプトは「会話を要約してください」程度のごく短い指示にすぎません。訓練を通じて、どの情報が高い価値を持つかをモデル自身が判断できるようになっているためです。その結果、出力される要約は平均約1,000トークンにまで圧縮されます。従来方式の約5分の1のトークン数で、かつ圧縮誤差は半減するという、効率と精度の両面での改善が実現しています。この差は長時間タスクほど顕著になり、複数回の要約を挟みながら数百アクションに及ぶ作業を継続できる実力の裏付けとなっています。
200,000トークンのコンテキストウィンドウが長時間タスクに与える実務的効果
Composer 2は200,000トークンのコンテキストウィンドウを備えています。この容量は、一般的なプログラミングファイル数十本分に相当し、中規模のプロジェクト全体をコンテキストに含めた状態での作業が可能になります。前述の自己要約技術と組み合わせることで、実質的にはコンテキストウィンドウの物理的な上限を超えた長時間のタスク処理にも対応します。
実務的な効果としては、リポジトリ全体にまたがるリファクタリングが典型的な恩恵を受ける場面です。たとえば、認証モジュールの置き換えのように数十ファイルへの変更が必要なタスクでは、従来のモデルは途中でコンテキストが途切れて作業が破綻するリスクがありました。Composer 2では、コンテキスト上限に近づくと自動的に要約が行われ、計画の状態・残タスク・過去の要約回数といった情報を含む圧縮コンテキストをもとに作業を継続します。開発者が手動でコンテキストを再構築する手間が大幅に削減されるため、AIに任せられるタスクの複雑さと規模が一段階引き上がります。
コードデータのみで訓練した結果として汎用タスクを捨てた設計上のトレードオフ
Composer 2の設計には、明確なトレードオフが存在します。コードデータのみで訓練されたこのモデルは、ドキュメントの要約、自然言語による長文レポートの作成、数学的な推論といった汎用タスクには対応できません。Aman Sanger氏が「税務処理の手助けも詩の執筆もできない」と述べているとおり、コーディング以外の用途では機能しない設計です。
この割り切りは、コスト面では大きな利点をもたらしています。汎用的な言語理解能力を訓練する必要がないため、モデルサイズを抑えつつコーディング性能を最大化できるからです。しかし、開発業務にはドキュメント作成やコードレビューコメントの生成など、自然言語処理が求められる場面も多く含まれます。そのため、Cursorは引き続きClaude Opus 4.6やGPT-5.4といった外部モデルも選択肢として提供し続けており、タスクの性質に応じてモデルを切り替える運用が前提となっています。万能な単一モデルではなく、目的特化の組み合わせで最適解を出すというCursorのマルチモデル戦略を理解しておくことが重要です。
主要ベンチマーク3種で読み解くComposer 2の実力と限界
Composer 2の性能を評価するうえで避けて通れないのが、ベンチマークスコアの正確な読み解きです。Cursor社はCursorBench、Terminal-Bench 2.0、SWE-bench Multilingualの3つの指標を主に公表していますが、それぞれ測定対象や評価条件が異なります。スコアの数字だけを比較すると誤った判断につながりかねないため、各ベンチマークの特性を理解したうえで、Composer 2が得意とする領域と苦手な領域を見極める視点が必要です。
CursorBench 61.3の内訳と前世代比17ポイント向上の評価項目
CursorBenchは、Cursor社のエンジニアリングチームが実際に完了したタスクをもとに構築された独自のベンチマークです。一般的なコード生成テストとは異なり、実際の開発ワークフローに即した複合的なタスクが含まれている点が特徴です。Composer 2はこのCursorBenchで61.3を記録し、Composer 1.5の44.2から17.1ポイントの改善を達成しました。
外部モデルとの比較では、Claude Opus 4.6が58.2、GPT-5.4 Thinkingが63.9というスコアが公表されています。Composer 2はClaude Opus 4.6を上回っていますが、GPT-5.4 Thinkingにはわずかに届いていません。ただし、このベンチマークはCursor環境内での実行を前提に設計されているため、Cursor上での実務性能を反映しやすい一方で、他のエディタ環境での汎用性を直接測定するものではない点に留意が必要です。CursorBenchの詳細な評価項目や配点基準は完全には公開されていないため、スコアの解釈には慎重さが求められます。
Terminal-Bench 2.0でOpus 4.6超え・GPT-5.4未達の測定条件
Terminal-Bench 2.0は、Laude Instituteが管理するターミナル利用向けのエージェント評価ベンチマークです。実際のソフトウェアエンジニアリングタスクをターミナル環境でどれだけ効率的に遂行できるかを測定します。Composer 2はこのベンチマークで61.7を記録し、Claude Opus 4.6の58.0を3.7ポイント上回りました。一方で、GPT-5.4の75.1とは13.4ポイントの差があります。
ここで重要なのは、各モデルのスコアが異なるharness(実行環境)で計測されている点です。Anthropicモデルのスコアにはclaude code harnessが使用され、OpenAIモデルにはSimple Codex harnessが採用されています。Cursor社のスコアは、Terminal-Bench 2.0用に指定されている公式のHarbor evaluation frameworkのデフォルト設定で算出されました。harnessの違いはスコアに影響を与えるため、異なるモデル間の単純比較には限界があります。Cursor社も5回実行の平均値を報告しており、測定条件の透明性を担保しようとしていますが、完全な同一条件での比較ではない点は認識しておくべきです。
SWE-bench Multilingualの73.7が示す多言語対応の現在地と弱点
SWE-bench Multilingualは、複数のプログラミング言語にわたる実際のGitHub Issueの解決能力を測定するベンチマークです。各タスクでは、問題発生前のコードベース全体とIssue説明文が与えられ、テストを通過するパッチを生成できるかどうかが自動判定されます。Composer 2はこのベンチマークで73.7を記録し、Composer 1.5の65.9から7.8ポイント向上しました。
ただし、Claude Opus 4.6は同ベンチマークで77.8を記録しており、Composer 2を4.1ポイント上回っています。この差は、Python以外の言語での対応力に起因する可能性が指摘されています。SWE-benchの元々のデータセットはPythonリポジトリが中心であり、Multilingual版ではJava・TypeScript・Go・Rustなど他言語のタスクが追加されています。Composer 2がコードデータ全般で訓練されているとはいえ、言語ごとのパフォーマンスにばらつきがある可能性は否定できません。多言語プロジェクトを多く扱う開発チームにとっては、この差が実務上の判断材料になりえます。
Harbor評価フレームワーク採用とharness差異がスコアに与える影響の読み方
ベンチマークスコアを正しく評価するためには、テスト実行環境であるharnessの違いを理解することが不可欠です。Terminal-Bench 2.0では、各モデルが異なるharnessで測定されています。Composer 2のスコアは、公式に指定されたHarbor evaluation frameworkのデフォルト設定で算出されました。一方、Claude Opus 4.6のスコアにはClaude Code harnessが使用され、さらにAnthropic社が最適化した条件では65.4という別のスコアも公表されています。
この事実は、同じモデルであってもharnessの選択や設定の調整によってスコアが大きく変動しうることを示しています。GPT-5.4の75.1というスコアもSimple Codex harnessによるものであり、Harbor frameworkで測定した場合に同じ結果が出る保証はありません。Cursor社は測定手法の透明性を高めるためにフレームワーク名と実行回数を明示していますが、完全に横並びの比較が可能なわけではありません。ベンチマークスコアは参考値として活用しつつ、実際のプロジェクトでのトライアル結果を重視するのが賢明な判断基準です。
自社ベンチマーク中心の公表データを鵜呑みにしないための検証ポイント
Composer 2の性能評価において見落とされがちなのが、公表データの多くがCursor社の自社ベンチマークに基づいている点です。CursorBenchはCursor社のエンジニアが設計したタスクで構成されており、第三者による独立した検証は行われていません。Terminal-Bench 2.0は外部機関の管理ですが、Cursor社が選択したharnessと設定での結果であることに変わりありません。
Cursor社自身もこの点は認識しており、公式ブログでは「普遍的なリーダーシップを主張しているわけではない」という慎重な表現を使用しています。開発者がComposer 2の導入を検討する際には、公開ベンチマークのスコアに加えて、自分のプロジェクトに近い条件でのテストを実施することが重要です。具体的には、実際のコードベースでリファクタリングやバグ修正を試し、Claude Opus 4.6やGPT-5.4の出力結果と比較する方法が有効です。数値上の優劣だけでなく、出力コードの品質・修正の的確さ・コンテキスト維持の安定性など、定性的な評価も含めて総合判断することをおすすめします。
入力トークン0.50ドルから始まるComposer 2の料金体系とコスト最適化戦略
Composer 2の大きな訴求ポイントのひとつが、フロンティアレベルのコーディング性能を低コストで利用できるという価格設定です。StandardとFastの2つのバリアントが用意されており、個人プランからエンタープライズまで幅広い利用形態に対応しています。ここでは、料金体系の全体像と、実務でコストを最適化するための具体的なポイントを解説します。
StandardとFastの2バリアント構成における入出力トークン単価の比較整理
Composer 2には、Standard(標準)とFast(高速)の2つのバリアントが用意されています。Cursor社によると、両者の知能レベルは同等であり、違いは処理速度と価格にあります。Fastバリアントがデフォルトのオプションとして設定されているため、特に変更を加えなければFastが自動的に使用される仕組みです。
| バリアント | 入力トークン単価(/M) | 出力トークン単価(/M) | キャッシュ読み取り単価(/M) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Composer 2 Standard | $0.50 | $2.50 | $0.20 | 低コスト重視 |
| Composer 2 Fast | $1.50 | $7.50 | $0.35 | 速度重視(デフォルト) |
| Composer 1.5(参考) | $3.50 | $17.50 | $0.35 | 旧モデル |
FastはStandardの3倍の価格設定ですが、それでもComposer 1.5と比較すると入力・出力ともに半額以下です。日常的な開発作業ではFastを使い、大規模なバッチ処理やコスト制約の厳しいプロジェクトではStandardに切り替えるという運用が合理的といえます。
Composer 1.5比86%削減を実現した価格設定とキャッシュ読み取り割引の活用法
Composer 2の価格設定で最も注目すべきは、前世代からの劇的なコスト削減です。Composer 1.5と比較して、Standard版は入力トークンで約86%、出力トークンでも同程度の削減を達成しています。Fast版でも入力で約57%、出力で約57%のコスト低下となっており、どちらのバリアントを選択しても前世代より安価に利用できます。
加えて、キャッシュ読み取り(cache-read)の割引制度も見逃せません。同一のプロンプトを再度送信する場合、キャッシュ済みのトークンにはStandard版で0.20ドル/M、Fast版で0.35ドル/Mという大幅な割引が適用されます。反復的なタスクや、類似の指示を複数回出す開発ワークフローでは、このキャッシュ機構を意識的に活用することでコストをさらに抑えることが可能です。プロジェクト固有のルール設定やテンプレートプロンプトを積極的に利用することが、キャッシュヒット率を高めるための実践的なテクニックになります。
Opus 4.6の10分の1・GPT-5.4の5分の1という価格差が生まれる背景
Composer 2のStandard版は、Claude Opus 4.6と比較すると入力トークンで10分の1、出力トークンでも10分の1の価格です。GPT-5.4との比較でも、入力で5分の1、出力で6分の1程度の水準になります。この圧倒的な価格差は、Composer 2がコーディング専用のモデルである点に大きく起因しています。
汎用モデルであるClaude Opus 4.6やGPT-5.4は、自然言語理解・数学的推論・マルチモーダル処理など幅広い能力を備えているため、モデルサイズが大きく推論コストも高くなります。Composer 2はこれらの汎用能力を切り捨てることで、コーディングに必要なパラメータのみに計算資源を集中させています。また、Cursor社が100万人以上のデイリーユーザーから得た利用データを訓練に活用している点も、効率的なモデル設計に寄与しているとみられます。大量のユーザートラフィックがあるからこそ、推論単価をここまで引き下げても事業として成立する構造です。
個人プラン月額20ドルの使用量プールに含まれるComposer枠の消費計算
Cursorの個人向けProプランは月額20ドルで、Composer 2の使用量は専用の使用量プールに含まれています。つまり、他のモデル(Claude Opus 4.6やGPT-5.4など)の使用枠とは別に、Composer専用の利用枠が設けられている仕組みです。Cursor社は「十分な利用枠を含む」と公表していますが、具体的なトークン数の上限は公式ドキュメントでの確認が必要です。
使用量の計算で注意すべきは、Fastバリアントがデフォルト設定であるという点です。Fastの方がトークン単価が3倍高いため、同じ利用枠であればStandardの方が3倍長く使えます。大規模なコード生成やリポジトリ全体のリファクタリングでは、1回のセッションで数万トークンを消費することも珍しくありません。プラン内の使用枠を超過した場合は従量課金(Maxモード)に移行するため、月末に想定外のコストが発生する可能性があります。日常的な使い方としては、簡単な補完やバグ修正にはFastを使い、トークン消費の大きい作業にはStandardを選択することで、使用枠を効率的に消費する運用が推奨されます。
大規模リファクタリング時にFastからStandardへ切り替えるコスト節約の実務例
Composer 2のコスト最適化において最も効果が大きいのが、タスクの特性に応じたバリアントの使い分けです。Fastバリアントは応答速度に優れるため、小規模な修正や対話的なデバッグなど、素早いフィードバックが重要な場面に適しています。一方、リポジトリ全体にまたがる大規模なリファクタリングでは、数十回から数百回のアクションが発生し、トークン消費量が膨大になります。
たとえば、認証ライブラリの全面置き換えを行う場合、数十ファイルへの変更と複数回のテスト実行で合計10万トークン以上の出力が発生する場合があります。Fastバリアントでは出力7.50ドル/Mのため0.75ドル以上のコストになりますが、Standardなら出力2.50ドル/Mで0.25ドル程度に抑えられます。1回あたりの差は小さく見えても、日常的にエージェント型タスクを多用する開発者であれば、月間で数十ドル単位のコスト差になりえます。Cursorの設定画面からモデルの切り替えは簡単に行えるため、タスク開始前にバリアントを確認する習慣をつけることが費用対効果の改善に直結します。
Composer 2を最短で業務に組み込むための導入手順と推奨設定
Composer 2の性能と価格を理解したところで、次に気になるのは実際の導入方法です。Cursorのインストールからモデルの選択、プロジェクトに合わせた初期設定まで、スムーズに業務へ組み込むための手順を段階的に解説します。VS Codeからの移行を検討している方にとっても、既存の開発環境を大きく崩さずにComposer 2を試せる点は大きなメリットです。
Cursorダウンロードからモデル選択画面でComposer 2を有効化するまでの手順
Composer 2の利用を開始するには、まずCursor本体をインストールする必要があります。Cursorは公式サイト(cursor.com/download)からWindows・macOS・Linuxの各プラットフォーム向けにダウンロードできます。初回起動時にはアカウント登録が求められますが、無料のFreeプランでもComposer 2の機能を試すことが可能です。
- 公式サイトからCursorインストーラーをダウンロードし、OSに合わせてインストールを実行する
- 初回起動時にメールアドレスまたはGitHubアカウントで登録を完了する
- エディタ画面右上のモデル選択ドロップダウンから「Composer 2」または「Composer 2 Fast」を選択する
- エージェントモードを有効にするため、チャットパネルのモード切り替えで「Agent」を選択する
- 任意のプロジェクトフォルダを開き、チャット欄にコーディング指示を入力して動作を確認する
Composer 2 Fastがデフォルト設定のため、特に変更を加えなければ自動的にFastバリアントが使用されます。コスト重視の場合は、モデル選択でStandardバリアントを明示的に指定してください。
VS Codeからの移行時に拡張機能と設定を引き継ぐための3つの確認事項
CursorはVS Codeをベースに開発されたエディタであるため、VS Codeからの移行は比較的スムーズです。ただし、完全な互換性が保証されているわけではないため、移行時には以下の3点を確認しておくことで、作業環境の再構築にかかる手間を最小限に抑えられます。
第一に、VS Codeの拡張機能の引き継ぎです。Cursorの初回起動時に「VS Codeの設定をインポートする」オプションが表示されます。これを選択すると、インストール済みの拡張機能・テーマ・キーバインドが自動的にCursorに引き継がれます。ただし、一部のVS Code専用拡張機能は互換性がない場合があるため、移行後に各拡張機能の動作確認を行うことが推奨されます。
第二に、ワークスペース設定の移行です。プロジェクト固有の.vscode/settings.jsonはそのまま利用できますが、Cursor固有の設定は.cursorディレクトリで管理されるため、両者が競合しないかを確認してください。第三に、Git関連の設定です。SSH鍵やGitHubの認証情報はOS側で管理されているため通常は問題ありませんが、GitHub連携機能を使用している場合はCursor側で再認証が必要になるケースがあります。
プロジェクト固有ルールとCursorRulesファイルで精度を上げる初期設定例
Composer 2の出力精度を高めるうえで効果的なのが、プロジェクト固有のルール設定です。Cursorでは、プロジェクトルートに.cursorrulesファイルを配置することで、AIに対してプロジェクト固有の制約やコーディング規約を伝えることができます。このファイルはComposer 2がコードを生成する際のコンテキストとして自動的に読み込まれるため、一貫性のある出力を得やすくなります。
たとえば、TypeScriptプロジェクトであれば「strictモードを常に有効にすること」「anyの使用を禁止すること」「コンポーネントはfunction宣言で記述すること」といったルールを記載します。バックエンドプロジェクトなら「エラーハンドリングには必ずカスタムエラークラスを使用すること」「データベースクエリにはORMを通すこと」などの制約が有効です。これらのルールを明文化しておくことで、Composer 2の生成するコードがチームのコーディング規約から逸脱するリスクを低減できます。ルールファイルは随時更新可能なため、運用しながら精度を改善していくアプローチが実践的です。
エージェントモードとノーマルモードを作業内容で使い分ける判断基準
Cursorには、エージェント(Agent)モードとノーマル(Normal)モードの2つの動作モードが用意されています。Composer 2の能力を最大限に活かすにはエージェントモードの利用が前提となりますが、すべての作業でエージェントモードが最適というわけではありません。モードの特性を理解し、タスクの性質に応じて使い分けることが重要です。
エージェントモードは、Composer 2が自律的にファイルの探索・編集・ターミナルコマンドの実行・テストの確認までを一連の流れで行うモードです。複数ファイルにまたがる機能追加や大規模なリファクタリングには、このモードが適しています。一方、ノーマルモードは単一のプロンプトに対して単一のレスポンスを返すシンプルな構造で、ちょっとした関数の生成やコードの説明を求める場面で十分な場合が多いです。エージェントモードはトークン消費が大きくなりやすいため、シンプルな生成タスクにまでエージェントを使うとコストが無駄に膨らむリスクがあります。作業の複雑さと規模を判断基準として、意識的にモードを切り替える習慣が費用対効果の改善につながります。
初回利用で陥りやすいコンテキスト消費過多を防ぐフォルダ指定のコツ
Composer 2を初めて使う際によく発生するのが、意図せずコンテキストを大量に消費してしまう問題です。エージェントモードでは、Composer 2がプロジェクト内のファイルを自動的に探索し、関連ファイルをコンテキストに含めます。プロジェクト全体をスキャン対象にしていると、node_modulesやdistなどの不要なディレクトリまで読み込まれ、トークンが浪費されることがあります。
この問題を防ぐには、Composerに対して作業対象のフォルダを明示的に指定することが効果的です。チャット欄で指示を出す際に「src/componentsディレクトリ内のファイルのみを対象にリファクタリングしてください」のように範囲を限定することで、不要なファイルの読み込みを抑制できます。また、.cursorignoreファイルを配置して、インデックス対象から除外するディレクトリを指定しておく方法も有効です。プロジェクト規模が大きいほどこの設定の効果は顕著になり、コンテキスト消費の最適化とレスポンス速度の向上の両方に寄与します。
競合3ツールとの機能差から導き出すComposer 2の選定基準
Composer 2の導入を検討する際、必ず比較対象となるのがAnthropicのClaude CodeとGitHub Copilotです。いずれもAIコーディング支援ツールとして高い評価を受けていますが、設計思想や強みが大きく異なります。ここでは、それぞれの機能差を整理し、どのような開発スタイルにどのツールが適しているかの判断基準を提示します。
Composer 2とClaude Codeのエージェント型開発における操作性の違い
Claude Codeは、Anthropicが提供するコマンドラインベースのエージェント型コーディングツールです。ターミナルから直接操作する設計で、エディタに依存しない自由度の高い開発が可能です。一方、Composer 2はCursorエディタに統合されたモデルであり、エディタのUI上でチャットやファイル編集が完結するGUI中心の操作体験を提供しています。
開発者コミュニティでは、Claude Codeの方がより直接的でフルにエージェント的な作業が可能だという声がある一方、Cursorのエディタ統合による差分表示やコードレビュー機能を評価する意見もあります。実務的な違いとしては、Claude Codeは単独のモデル(Claude Opus 4.6)の推論能力に全面的に依存するのに対し、Composer 2はCursorのツールチェーン(セマンティック検索・ブラウザツール・ターミナル操作)と密接に統合されている点が挙げられます。GUIでの視覚的なフィードバックを重視するならComposer 2、ターミナル中心の軽量な操作を好むならClaude Codeが適しています。
GitHub Copilotの単一ファイル補完とリポジトリ横断編集力の比較
GitHub Copilotは、コード補完に特化したAIツールとして最も広く普及しています。エディタ内でリアルタイムにコードの続きを提案する「タブ補完」が主要機能であり、コーディングのリズムを崩さずにAIの支援を受けられる点が最大の強みです。ただし、Copilotの補完は基本的に現在開いているファイルのコンテキストに基づいており、リポジトリ全体を横断した編集は得意としていません。
| 比較項目 | Composer 2(Cursor) | GitHub Copilot | Claude Code |
|---|---|---|---|
| 操作形式 | GUIエディタ統合 | エディタ拡張機能 | CLI(コマンドライン) |
| マルチファイル編集 | 対応(リポジトリ横断) | 限定的 | 対応 |
| エージェント機能 | あり(数百ステップ対応) | Workspace機能で一部対応 | フルエージェント |
| コンテキスト上限 | 200,000トークン | モデル依存 | モデル依存 |
| 月額料金(個人) | $20(Proプラン) | $10(Pro)/ $39(Pro+) | 従量課金 |
| 独自モデル | Composer 2 | なし(GPT系) | なし(Claude系) |
Copilotはタブ補完の滑らかさとGitHub・VS Codeとのシームレスな統合が強みです。一方、Composer 2は複数ファイルをまたぐ大規模な編集やリファクタリングで本領を発揮します。日常的なコーディング補完だけが目的であればCopilotでも十分ですが、エージェント型の自律的な開発支援を求めるならComposer 2の優位性は明確です。
Opus 4.6やGPT-5.4を併用できるCursorのマルチモデル戦略
Composer 2の導入がCursorにおける唯一のモデル選択ではない点は、重要な判断材料です。Cursorは引き続きClaude Opus 4.6、GPT-5.4、Claude Sonnet 4.6といったサードパーティモデルをプラットフォーム上で利用可能にしています。タスクごとにモデルを切り替えられるため、開発者はひとつのエディタ環境で複数のモデルを使い分ける柔軟な運用が可能です。
実務的な使い分けとしては、コード生成・リファクタリング・バグ修正にはComposer 2を使い、設計ドキュメントの作成やコードレビューコメントの生成にはClaude Opus 4.6を使うといった組み合わせが考えられます。さらに、Cursorには「Auto」モードが用意されており、タスクの内容に応じて自動的に最適なモデルを選択する機能もあります。Composer 2はコーディング特化モデルとしてコストパフォーマンスに優れていますが、汎用的な推論力が必要な場面では外部モデルの方が適しているケースも少なくありません。この柔軟性こそが、単一モデルしか使えないツールに対するCursorの差別化要因です。
企業導入時にSSO・監査ログ・プライバシーモードで差がつくセキュリティ要件
チームや企業での導入を検討する場合、コーディング性能だけでなくセキュリティ関連の機能が重要な選定基準になります。CursorのTeamsプラン(月額40ドル/ユーザー)では、SAML/OIDC対応のSSO(シングルサインオン)、組織全体でのプライバシーモード管理、ロールベースのアクセス制御が利用可能です。さらに上位のEnterpriseプランでは、AIコード追跡用APIと監査ログ、SCIMによるシート管理といった高度なガバナンス機能が追加されます。
GitHub Copilotも企業向けにはCopilot Businessプランを提供しており、同様のセキュリティ機能を備えています。Claude Codeは2026年3月時点では主に個人開発者やスタートアップを対象としたツールであり、エンタープライズ向けの管理機能はCursorやCopilotほど充実していない面があります。金融・医療・政府関連など、データ管理ポリシーが厳格な業界では、プライバシーモードの有無とコードデータの取り扱いポリシーが導入可否を左右する決定的な要因になりえます。
ツール選定で失敗しないために確認すべき5つのワークフロー適合チェック項目
AIコーディングツールの選定で最も重要なのは、自分の開発ワークフローとの適合性です。ベンチマークスコアや価格だけで判断すると、実際の業務で「思ったほど使えない」という事態に陥りかねません。導入前に確認すべきチェック項目を以下に整理しました。
- 主な開発言語がComposer 2の得意領域に含まれるか(Python・TypeScript・JavaScriptでの実績が多く報告されている一方、ニッチな言語での対応状況は未知数)
- 日常的な作業がタブ補完中心か、エージェント型の自律編集中心か(前者ならCopilot、後者ならComposer 2が向いている)
- プロジェクト規模がコンテキストウィンドウの容量に収まるか(200,000トークンを超える大規模プロジェクトでは自己要約の挙動が結果に影響する)
- チーム全体でのセキュリティ要件とプライバシーポリシーを満たせるか(Teamsプラン以上の機能確認が必須)
- 既存のCI/CDパイプラインやGitHub連携フローとの統合がスムーズか(JetBrains対応やMCPプラグインの活用余地を含む)
これらの項目を事前に整理したうえで、無料プランまたはトライアル期間を使って実際のプロジェクトで試行するのが最も確実な判断方法です。
長時間タスクや多言語対応でComposer 2が抱える実務上の注意点
Composer 2はフロンティアレベルのコーディング性能を低コストで提供する画期的なモデルですが、万能ではありません。特に長時間にわたるタスクでの情報欠落リスクや、Python以外の言語での性能差、汎用推論力の限界など、実務で直面しうる制約がいくつか存在します。導入後に「想定と違った」とならないよう、事前に把握しておくべき注意点を整理します。
自己要約の圧縮精度が低下する場面と情報欠落リスクへの対処パターン
Composer 2の自己要約技術は圧縮誤差を50%削減するという成果を上げていますが、完全に情報の欠落をゼロにできるわけではありません。特にリスクが高いのは、変数名やファイルパスなどの具体的な識別子を多数含むタスクです。自己要約の過程でこれらの細かい情報が省略されると、後続のアクションで誤ったファイルを編集したり、存在しない変数を参照したりする可能性があります。
対処パターンとしては、まずタスクの指示を明確かつ具体的に記述することが基本です。「関連ファイルを修正して」のような曖昧な指示ではなく、対象ファイルのパスや修正内容を具体的に指定します。また、長時間タスクの途中でComposer 2の出力を確認し、意図どおりに進行しているかを定期的にチェックするインクリメンタルな運用が有効です。さらに、Cursorの差分プレビュー機能を活用して、各変更をAcceptする前に内容を確認する習慣をつけることで、要約精度の低下が引き起こすミスを早期に検知できます。
SWE-benchでOpus 4.6に劣後するPython以外の言語対応状況
SWE-bench Multilingualのスコアを見ると、Composer 2の73.7に対してClaude Opus 4.6は77.8と、4.1ポイントの差があります。この差は主にPython以外のプログラミング言語での対応力の違いに起因すると考えられています。Composer 2がコードデータ全般で訓練されているとはいえ、言語ごとのデータ分布や訓練時の最適化度合いにはばらつきがあるのが実態です。
実務への影響としては、Java・Go・Rustなどの言語を主力とするプロジェクトでは、Composer 2の出力品質がPythonプロジェクトと比較して若干低下する可能性を念頭に置く必要があります。特にRustのような厳密な型システムを持つ言語では、コンパイルを通すための細かい型注釈や生存期間(ライフタイム)の指定でミスが発生しやすくなります。多言語プロジェクトを扱うチームでは、言語ごとにComposer 2とClaude Opus 4.6の出力を比較検証し、言語に応じてモデルを切り替える運用を検討するのが現実的な対応策です。
推論深度がOpus 4.6に及ばないとされるシステム運用・保守タスクの実例
Composer 2はコーディングタスクに特化したモデルですが、ソフトウェア開発にはコード生成以外の知的作業も多く含まれます。一部の評価では、Composer 2の推論深度がClaude Opus 4.6に及ばないとされており、特にシステムの運用・保守に関わる複雑な判断が求められるタスクで差が出るとの指摘があります。
たとえば、本番環境で発生したパフォーマンス劣化の根本原因分析では、ログの解析・インフラ構成の理解・ビジネスロジックの把握を総合的に行う必要があり、単純なコード修正とは異なる深い推論能力が求められます。また、セキュリティ脆弱性の調査や、複数のマイクロサービス間の依存関係を考慮した障害対応なども、コード生成特化のモデルだけでは対処しきれないケースです。こうした場面では、Cursorの設定画面からClaude Opus 4.6やGPT-5.4に切り替えて対応することが推奨されます。Composer 2の強みが活きる場面と、汎用モデルが必要な場面を見極めることが重要です。
Cursor環境専用モデルゆえに外部API提供がない制約と回避策の現状
Composer 2の現時点での最大の制約のひとつが、Cursor環境内でのみ利用可能であり、外部APIとして独立して提供されていない点です。つまり、Composer 2の能力を自社の開発パイプラインやCI/CDフローに直接組み込むことは、2026年3月時点ではできません。モデルを使うためには必ずCursorのエディタまたはWebアプリを経由する必要があります。
この制約は、独自のワークフローを構築している開発チームにとって大きなハードルになりえます。たとえば、Pull Requestの自動レビューやコード品質チェックのパイプラインにComposer 2を組み込みたい場合、現状ではCursorのBugbot機能を通じた限定的な連携にとどまります。回避策としては、コード生成やリファクタリングといったインタラクティブなタスクにはCursor内でComposer 2を使い、パイプラインに組み込む自動化タスクにはAPI経由で利用可能なClaude Opus 4.6やGPT-5.4を使用するという役割分担が現実的です。Cursor社が今後API提供を行う可能性はありますが、公式な発表はまだ行われていません。
従量課金で想定外のコストが発生する3つの典型的な使い方と防止策
Composer 2はトークン単価が安価ですが、使い方によっては月額の使用枠を大幅に超過し、想定外の従量課金が発生するリスクがあります。特に注意すべき典型的なパターンを3つ取り上げます。
第一に、エージェントモードでの無制限探索です。Composer 2に広い範囲の作業を指示すると、モデルが自律的にファイルを探索し続けるため、入力トークンが急速に消費されます。対策として、作業対象のディレクトリを限定する指示を必ず含めてください。第二に、Fastバリアントの無意識的な使用です。前述のとおりFastがデフォルト設定のため、Standardの3倍のコストが知らないうちに積み重なるケースがあります。コスト管理を重視するなら、デフォルトをStandardに変更することを検討してください。
第三に、失敗と再試行の繰り返しです。指示が曖昧な場合、Composer 2が意図と異なる修正を行い、それを取り消して再度指示を出すサイクルが発生します。このやり取りごとにトークンが消費されるため、最初の指示を明確かつ具体的に記述する習慣が、コスト削減に直結します。Cursorの設定画面にある使用量モニターを定期的に確認し、消費ペースを把握しておくことも防止策として有効です。
開発チームの規模と用途別に判断するComposer 2の最適な活用シナリオ
ここまでの情報を踏まえ、最後に開発チームの規模と用途に応じたComposer 2の活用シナリオを整理します。個人開発者からエンタープライズまで、それぞれの立場で最も合理的な導入・運用方法は異なります。コスト・生産性・リスクのバランスを考慮した判断基準を提示しますので、自分の状況に当てはめて検討してください。
個人開発者がProプラン月額20ドルでComposer 2を最大活用する運用モデル
個人開発者にとって、CursorのProプラン月額20ドルはComposer 2を本格的に活用するための最も現実的な選択肢です。このプランでは、Composer専用の使用量プールが付与されるほか、タブ補完の無制限利用やBugbotへのアクセスも含まれています。まずは無料のFreeプランで機能を試し、日常的な開発で効果を実感できたらProプランへ移行するのがリスクの低いアプローチです。
コストを最大限に抑えつつ生産性を上げるには、作業の種類に応じたモデルとバリアントの使い分けが鍵になります。日常的なコード補完にはCursorのTab機能を活用し、関数やコンポーネントの新規生成にはComposer 2 Fastを使い、大規模なリファクタリングにはComposer 2 Standardに切り替えます。ドキュメント作成や設計相談にはClaude Sonnet 4.6のような外部モデルを選択することで、使用枠の消費を抑えながら幅広いタスクに対応できます。この使い分けを習慣化すれば、月額20ドルの範囲内で十分に実用的な開発体験を得ることが可能です。
5〜10人規模のチームがTeamsプランで導入する際の費用対効果の試算
チーム規模での導入を検討する場合、CursorのTeamsプランが候補になります。料金はユーザーあたり月額40ドルで、SSO・プライバシーモード管理・利用状況アナリティクスなどの企業向け機能が含まれます。5人のチームで導入した場合、月額200ドル、年間で約2,400ドルのコストです。
費用対効果を考えるうえで重要なのは、Composer 2が削減できる工数の見積もりです。たとえば、週に1回の大規模リファクタリングにこれまで2時間かかっていた作業が、Composer 2のエージェント機能で30分に短縮されたとします。開発者1人あたり週1.5時間の削減で、月に約6時間、5人チームなら月30時間の工数削減になります。エンジニアの時給を5,000円として計算すると、月15万円相当の工数削減効果が期待でき、月額200ドル(約3万円)の投資対効果としては十分に見合う水準です。ただし、この試算はチームメンバーがComposer 2を効果的に使いこなせることが前提であり、導入初期のトレーニングコストも考慮に入れる必要があります。
大規模リファクタリングや新機能実装でComposer 2が最も力を発揮する場面
Composer 2の特性を踏まえると、最も高いROIが期待できるのは「複数ファイルにまたがる反復的な変更作業」です。具体的には、APIのバージョンアップに伴うエンドポイントの一括更新、認証方式の切り替え、データベーススキーマの変更に伴うモデル層の修正、UIコンポーネントライブラリの置き換えなどが該当します。
これらのタスクでは、変更対象のファイルが数十から数百に及ぶことがあり、人手で行う場合は単純な置換ミスや修正漏れが発生しやすい領域です。Composer 2のエージェント機能は、コードベース全体をセマンティック検索で把握したうえで、関連するファイルを自動的に特定し、一貫性のある修正を適用できます。自己要約技術により、作業途中でコンテキストが途切れるリスクも低減されているため、従来のAIツールでは途中で破綻していた大規模タスクにも対応できる可能性が高まっています。反対に、単一ファイル内の小規模な修正やちょっとした関数の生成では、Composer 2のエージェント機能はオーバースペックであり、タブ補完やノーマルモードの方が効率的です。
Claude CodeやCopilotとの併用が有効になるプロジェクト特性の判断基準
すべてのプロジェクトにComposer 2が最適解というわけではありません。プロジェクトの特性によっては、Claude CodeやGitHub Copilotとの併用が、単独利用よりも高い成果を生むケースがあります。併用が有効になる主な判断基準を整理します。
まず、ターミナル中心の開発フローが確立しているチームでは、Claude Codeの方が自然な操作体験を提供します。Cursorのエディタに作業を集約する必然性がない場合、Claude Codeの柔軟性が活きるでしょう。次に、コード補完の速度と滑らかさが最優先のプロジェクトでは、GitHub Copilotのタブ補完が依然として最も洗練されています。日常的な「流れを止めないコーディング」にはCopilotが適しています。一方で、リポジトリ全体を横断する大規模な変更作業や、複雑なタスクチェーンが頻繁に発生するプロジェクトでは、Composer 2のエージェント機能と低コストが最大の価値を発揮します。結論として、単一ツールへの依存を避け、タスクの性質に応じて使い分ける姿勢が、AIコーディングツールの恩恵を最大化する鍵です。
2026年後半のComposer 3開発示唆を踏まえた導入タイミングの考え方
Composer 2のリリースからわずか数日後には、Cursor社の研究者からComposer 3の開発を示唆する発信がすでに確認されています。初代Composerからの5か月で3世代という開発サイクルを考えると、Composer 3が2026年後半に登場する可能性は十分にあります。このような急速な進化のなかで、導入タイミングをどう判断すべきかは多くの開発者にとって悩ましい問題です。
結論としては、「次のバージョンを待つ」よりも「今の業務課題に対して効果があるかを試す」ことを優先すべきです。Cursorは無料プランを提供しており、Composer 2を試すための初期コストは実質ゼロです。AIコーディングツールの性能向上は今後も継続するため、完璧なタイミングを待ち続けるとAIを活用した開発プラクティスの習得自体が遅れます。現時点で大規模なリファクタリングやマルチファイル編集の効率化に課題を感じているなら、Composer 2を試用する価値は十分にあります。導入して得られる経験やワークフローの知見は、Composer 3がリリースされた際にもそのまま活かせるからです。
Composer 2に関するよくある質問
Composer 2とは何ですか?
Cursorを開発するAnysphereが2026年3月にリリースした、コーディング専用のAIモデルです。詩の生成や税務計算といった汎用タスクはできませんが、コードに特化して訓練することで小型化し、推論コストを大幅に下げています。数百ステップの連続処理と200,000トークンのコンテキストウィンドウを備え、リポジトリ全体にまたがる編集をエージェントとして実行できます。
Composer 2の料金はいくらですか?
入力トークンが0.50ドル/M、出力トークンが2.50ドル/Mです。Composer 1.5の入力3.50ドル/M・出力17.50ドル/Mと比べ約86%安くなりました。速度を高めたFastバリアントは入力1.50ドル/M・出力7.50ドル/Mです。個人プラン(月額20ドル)の使用量プールからも消費でき、キャッシュ読み取り割引も用意されています。
Composer 2のFastとStandardはどう使い分けますか?
Standardは知能を優先した既定構成、Fastは同等の知能を保ちつつ応答速度を高めた構成です。単価はFastの方が高いため、日常的な小さな編集はFast、変更点数が多くコストが膨らむ大規模リファクタリングはStandardへ切り替えると総コストを抑えやすくなります。
Composer 2はSonnet 4.6やOpus 4.6と比べてどうですか?
コード特化タスクでの費用対効果が強みで、価格はClaude Opus 4.6の約10分の1です。一方でComposer 2はコード専用のため、汎用的な文章生成や多言語の細かな対応では汎用モデルに及びません。Terminal-Bench 2.0ではOpus 4.6を上回る一方、GPT-5.4には届かないという測定結果も公表されています。用途がコーディングに閉じるならComposer 2、汎用性が要るなら汎用モデルという住み分けになります。
Composer 2とComposer 2.5の違いは何ですか?
Composer 2.5は2026年5月に登場した上位版で、Composer 2と同じKimi K2.5系のチェックポイントを土台にしています。長時間タスクでの一貫性や複雑な指示への追従が改善されており、最新の知能を求める場合の候補になります。ただしモデル名としてのComposer 2は引き続き選択でき、コストを重視するなら現行のComposer 2でも実務上は十分機能します。