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WBGT(暑さ指数)とは?計算式と早見表、湿球温度・黒球温度の意味とエクセルでの求め方

WBGT(暑さ指数)とは?計算式と早見表、湿球温度・黒球温度の意味とエクセルでの求め方

WBGT(暑さ指数)は、熱中症の危険度を1つの数値で表す指標です。単位は気温と同じ℃ですが、値は気温と一致しません。湿球温度・黒球温度・乾球温度という3つの温度から計算するためです。この記事では、3つの温度が何を測っているのかから始めて、計算式、日常生活・運動・室内用の早見表、エクセルで計算する式、職場の基準値までを一次資料で確認します。

まとめ:WBGT(暑さ指数)の要点

  • WBGTはWet Bulb Globe Temperatureの略で、和名は湿球黒球温度。屋外は「0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度」、日射のない屋内は「0.7×湿球温度+0.3×黒球温度」で求める。
  • WBGTで使う湿球温度は、強制通風せず自然の気流と輻射熱にさらした自然湿球温度。強制通風する気象庁の観測や通風乾湿計の湿球温度とは測り方が違う。
  • 気温と湿度だけでWBGTを推定できるのは、日射のない室内に限られる。日本生気象学会の室内用WBGT簡易推定図は、黒球温度と気温が等しく、風速0.2m/s程度の部屋を想定している。
  • 早見表は日常生活用と運動用で「注意」の範囲が違う。職場では、作業強度と暑熱順化の有無で基準値が33から20まで変わり、一律28ではない。
  • 環境省が公表する841地点のうち、黒球温度を実測しているのは47地点。残る794地点は気温・湿度・日射量・風速からの推定値。どちらも強制通風の観測にもとづくため、温室や体育館など生活の場より低めに出やすい。

WBGT(暑さ指数)の定義と、気温と一致しない理由

環境省の熱中症予防情報サイトは、暑さ指数を1954年にアメリカで提案された指標としています。人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目し、汗が蒸発しにくい蒸し暑さや、日射・地面からの照り返しを数値に含める点が、気温との違いです。

単位は℃ですが、環境省は気温との混同を避けるため、同サイトでは単位を省略して「暑さ指数31以上」のように記載しています。数値の後に℃が付いていなくても、それは気温ではなく暑さ指数の値です。WBGTの読み仮名は、環境省と厚生労働省の解説ページには示されていません。公的資料では英字表記と和名の湿球黒球温度で書かれています。

WBGTの構成要素の数え方:環境省の3要素と厚生労働省の4要素

「暑さ指数の要素として正しいのはどれか」という問いは、参照先によって答えの数が変わります。環境省の暑さ指数とは?は「①湿度、②日射・輻射など周辺の熱環境、③気温の3つ」とし、入門ページには「正確には、これら3つに加え、風(気流)も指標に影響します」という注釈があります。厚生労働省の職場のあんぜんサイトは「気温、湿度、日射、気流の4要素」です。差は気流を独立した要素に数えるかどうかだけで、どちらにも湿度は入っています。

よく見かける「湿度7割・輻射熱2割・気温1割」という比率は、環境省と厚生労働省の解説には書かれていません。出どころは屋外の式の係数0.7・0.2・0.1で、0.7が掛かっているのは湿度ではなく湿球温度です。湿球温度は気温にも左右されるため、「湿度が7割を決める」と書くと係数の対象を1つずらしたことになります。

湿球温度・黒球温度・乾球温度の意味と測り方

WBGTの式に入る3つの温度は、どれも温度計で測ります。違うのは温度計の球部に何を付けるかです。

温度 記号 温度計の状態 拾っているもの 屋外の係数
湿球温度 NWB 球部を濡れたガーゼで包む 汗の乾きやすさ(湿度) 0.7
黒球温度 GT 直径約15cmの黒い銅球の中心 日射・輻射熱 0.2
乾球温度 NDB 放射を遮り通風は妨げない 気温そのもの 0.1

湿球温度とは:濡れたガーゼの蒸発で下がる温度

環境省の暑さ指数の詳しい説明は、湿球温度を「水で湿らせたガーゼを温度計の球部に巻いて観測」する温度と説明しています。ガーゼの水は蒸発するときに熱を奪います。そのため、放射の影響を抑えて十分に通風した湿球温度は、未飽和の空気では気温(乾球温度)より低くなり、湿度100%では気温と一致します。ただし、WBGTに使う自然湿球温度は日射や輻射熱の影響も受けるため、この関係を無条件には適用できません。

湿度(%)との違いは、湿球温度が「蒸発でどこまで冷やせるか」を温度で表している点です。同じ湿度60%でも、気温25℃なら湿球温度は約19.5℃、気温35℃なら約28.5℃です(後述のStull式で計算)。汗による冷却の上限が温度で読めるので、皮膚の汗が蒸発するときの涼しさの度合いを表すとされています。乾球と湿球のどちらが気温かといえば、乾球です。

自然湿球温度と通風湿球温度の違い:強制通風の有無

湿球温度には測り方が2つあります。WBGTで使うのは自然湿球温度(Natural Wet Bulb)で、2005年の厚生労働省の測定方法の通知は「強制通風することなく、輻射(放射)熱を防ぐための球部の囲いをしない環境に置かれた濡れガーゼで覆った温度計が示す値」と定義しています。日本生気象学会の日常生活における熱中症予防指針Ver.4も、乾球と湿球は「自然通風下に置かれている(強制通風ではない)」と明記しています。

これに対して気象庁の気温・湿度は、日射を避ける二重の金属筒の中で秒速約5mの風を強制的に当てて観測します。環境省の当サイトで提供する暑さ指数についてによれば、ISOの規定は自然通風ですが、同サイトの計算には強制通風で観測した値を使っており、自然通風のWBGTのほうが高くなる傾向があります。湿度が低く気温が低い条件ほど差は大きくなります。乾湿計の表やアスマン通風乾湿計で読んだ湿球温度をWBGTの式に入れると、自然通風で測った場合より低めのWBGTになりやすい点に注意してください。

黒球温度とは:黒い銅球が拾う日射と輻射熱

黒球温度は、黒く塗った中空の薄い銅球(直径約15cm)の中心に温度計を入れて測ります。表面はほとんど反射しない塗料で、直射日光や地面・壁からの輻射熱を吸収したあとの球内の平衡温度を読みます。環境省は、弱風時の日なたにおける体感温度とよい相関があるとしています。2005年の厚生労働省の通知「WBGTの値の測定方法等について」は、黒球の条件として直径150mm、平均放射率0.95(つや消し黒色球)、厚さはできるだけ薄いことを挙げ、黒球温度は安定するまで時間がかかるので15分以上置いてから読むとしていました。市販の測定器では、機種ごとの取扱説明書に従って値が安定してから読み取ってください。

日射のない屋内では黒球温度が壁や機械の熱をまとめて拾うため、屋内の式では乾球温度の項がなくなり、黒球温度の係数が0.3に上がります。

湿球温度35℃の「生存限界」はWBGT35とは別の指標

「湿球温度が35度になるとどうなるか」という話題は、WBGT35とは別物です。Sherwood and Huber(2010、PNAS)は、日射を避け、強い風を受け、身体を水で濡らし、衣服を着けず作業もしない条件でも、長時間の曝露では湿球温度おおむね35℃付近が生存可能性の理論的上限になると推定しました。その後、Vecellioら(2022、Journal of Applied Physiology)が若く健康な成人で実験したところ、気温36〜40℃の高湿環境で深部体温を一定に保てなくなる湿球温度は平均30.55℃で、35℃に届いた被験者はいませんでした。高温で乾燥した条件では25.75〜27.82℃とさらに低くなっています。どちらも湿球温度の研究で、日本の暑さ指数の区分とは数値の意味が違います。

WBGTの計算式と、気温・湿度から推定する式

測定値から求める屋外・屋内の式

3つの温度を測れば、式はシンプルです。

  • 屋外(日射あり):WBGT=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
  • 屋内(日射なし):WBGT=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度

たとえば湿球温度26℃・黒球温度45℃・乾球温度33℃の屋外なら、18.2+9.0+3.3で30.5となり、日常生活の指針では「厳重警戒」です。気温33℃だけを見ていると、この数字は出てきません。

環境省が実況値の推定に使う小野式

環境省は、黒球温度を測っていない794地点の実況推定値と全国約840地点の予測値を、小野ら(2014)の式で計算しています。気温Ta(℃)、相対湿度RH(%)、全天日射量SR(kW/m²)、平均風速WS(m/s)を入れる式です。

WBGT=0.735×Ta+0.0374×RH+0.00292×Ta×RH+7.619×SR-4.557×SR²-0.0572×WS-4.064

気温33℃・湿度60%・風速2m/sで計算すると、日射0.8kW/m²では31.3、日射0では28.1です。この計算例では、全天日射量の入力を変えると区分が1段階変わります。ただし、全天日射量0は日中の日陰と同じではありません。この式は気象庁の強制通風の観測値をもとに作られているので、建物の陰やアスファルト上など、個々の現場のWBGTを示すものではありません。

気温・湿度によるWBGT推定の適用条件

気温と湿度の2つからWBGTを引く換算表は、日射のない室内を前提にしています。日本生気象学会の指針Ver.4に載っている室内用WBGT簡易推定図は、日射がなく黒球温度が乾球温度と等しい、温湿度が一様で風速0.2m/s程度の室内を想定した図です。指針は、屋外には適用できない、日射が入る室内や、屋根や壁が日射で熱せられて天井が過熱している室内にも適用してはならない、と明記しています。

2008年版の推定図は、日射のある環境で過小評価し、日射のない室内では過大評価すると指摘され、2021年のVer.3.1で適用条件を明記した図に改訂されました。古い版の換算表を転載したサイトは、今も残っています。

WBGT値の早見表:日常生活・運動・室内用

環境省の暑さ指数とは?に掲載されている指針は2種類で、作成団体も区分の切り方も違います。そこに室内用の推定図を加えた3つを並べます。

日常生活に関する指針(日本生気象学会)

暑さ指数 区分 危険が生じる生活活動
31以上 危険 すべての生活活動
28以上31未満 厳重警戒 すべての生活活動
25以上28未満 警戒 中等度以上の生活活動
25未満 注意 強い生活活動

危険では高齢者は安静状態でも発生の危険性が大きく、外出をなるべく避けて涼しい室内に移動します。厳重警戒では外出時に炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意します。「注意(25未満)」は安全という意味ではなく、激しい運動や重労働をすれば発生しうる水準です。

運動に関する指針(日本スポーツ協会)

暑さ指数 気温(参考) 運動指針
31以上 35℃以上 運動は原則中止
28以上31未満 31〜35℃ 厳重警戒(激しい運動は中止)
25以上28未満 28〜31℃ 警戒(積極的に休憩)
21以上25未満 24〜28℃ 注意(積極的に水分補給)
21未満 24℃未満 ほぼ安全(適宜水分補給)

厳重警戒では10〜20分おきに休憩して水分・塩分を補給し、警戒では激しい運動の際に30分おきくらいに休憩します。運動指針の「注意」は21以上25未満で、日常生活の「注意(25未満)」と範囲が一致しません。日常生活の表では25未満がひとまとめなので、運動の現場で使うと、積極的に水分補給する21〜25と、ほぼ安全とされる21未満を区別できません。

室内用WBGT簡易推定図の抜粋(気温×相対湿度)

日本生気象学会の室内用WBGT簡易推定図Ver.4から、気温25〜35℃・相対湿度40〜80%の範囲を抜き出しました。元の図は気温21〜40℃・湿度20〜100%を1℃・5%刻みで収録しています。日射のない室内専用です。

気温\湿度 40% 50% 60% 70% 80%
35℃ 28 29 30 32 33
34℃ 27 28 30 31 32
33℃ 26 27 29 30 31
32℃ 25 26 28 29 30
31℃ 24 26 27 28 29
30℃ 23 25 26 27 28
29℃ 23 24 25 26 27
28℃ 22 23 24 25 26
27℃ 21 22 23 24 25
26℃ 20 21 22 23 24
25℃ 19 20 21 22 23

室温28℃でも湿度80%なら26で、日常生活の「警戒」に入ります。室温31℃・湿度70%で28となり、職場の対策義務の入口と同じ値です。逆に気温31℃でも湿度40%なら24です。施行通達は「WBGT28度以上」と「気温31度以上」のどちらかを満たせば対象としているので、こうした室内も気温の基準で対象に入ります。

WBGT25・28・31・33・35がそれぞれ指す境目

25は日常生活で「警戒」に入る線、28は熱中症患者が著しく増える線で職場の義務化の入口、31は運動を原則中止する線で日常生活の「危険」の入口です。33は熱中症警戒アラート、35は熱中症特別警戒アラートの発表基準です。環境省は平成20年から令和3年の夏季の主要都市の救急搬送データをもとに、日最高WBGTが28を超えると熱中症患者が著しく増加すると説明しています。

エクセルでWBGTを計算する式と早見表の作り方

エクセルで使える式を3つ示します。どれも1行目を見出し、2行目からデータを入れる前提です。相対湿度は、60%なら数値の60を入力してください。セルに「60%」と入力すると内部値が0.6となり、掲載式では正しく計算できません。

測定値からのWBGTと日常生活の区分の判定式

B列に湿球温度、C列に黒球温度、D列に乾球温度を入れ、E列でWBGT、F列で日常生活の区分を出します。屋内ならE列を「0.7×B2+0.3×C2」の式に替え、乾球温度を入れない場合はF列の「COUNT(B2:D2)=3」を「COUNT(B2:C2)=2」に替えます。

E2: =ROUND(0.7*B2+0.2*C2+0.1*D2,1)
F2: =IF(COUNT(B2:D2)=3,IF(E2>=31,"危険",IF(E2>=28,"厳重警戒",IF(E2>=25,"警戒","注意"))),"入力確認")

気温と湿度からの室内WBGTの推定式(Stull式との組み合わせ)

推定図を表として貼り付ける代わりに、式で近い値を出す方法です。まず気温と相対湿度から湿球温度を求めます。Stull(2011、Journal of Applied Meteorology and Climatology)が示した近似式は、標準気圧(1013.25hPa)を前提に、相対湿度5〜99%・気温-20〜50℃の範囲で使えます(低温と低湿度が重なる条件は除く)。湿球温度としての誤差は-1〜+0.65℃で、論文の例では気温20℃・湿度50%で13.7℃になります。エクセルのATAN関数はラジアンで返すので、式をそのまま入れて構いません。湿度100%は適用範囲の外です。

A2: 気温(℃) B2: 相対湿度(%)
C2: =A2*ATAN(0.151977*SQRT(B2+8.313659))+ATAN(A2+B2)-ATAN(B2-1.676331)+0.00391838*B2^1.5*ATAN(0.023101*B2)-4.686035
D2: =ROUNDUP(0.7*C2+0.3*A2,0)
E2: =IF(COUNT(A2:B2)=2,IF(D2>=31,"危険",IF(D2>=28,"厳重警戒",IF(D2>=25,"警戒","注意"))),"入力確認")

D列は屋内の式で、推定図と同じく黒球温度を気温と等しいと置いています。この式で推定図の全340マス(気温21〜40℃×湿度20〜100%、100%の列は99%で代用)を計算して推定図の値と突き合わせると、四捨五入(ROUND)では285マスが一致し、残る55マスも差は1でした。ただし6マスは区分が図より1段階低く出ます。切り上げ(ROUNDUP)にすると区分が図より低く出るマスは0になり、22マスは1段階高く出ます。熱中症対策で使うなら、安全側に倒れる切り上げを勧めます。

これは推定図の格子点との比較で、実測値との誤差を確かめた結果ではありません。Stull式が返すのは通風湿球温度で、推定図の前提(風速0.2m/s)とも測り方が違います。使えるのは推定図と同じ日射のない室内だけで、屋外や窓際、湿度100%付近では推定図そのものか測定器を使ってください。

屋外WBGTの小野式による推定

屋外の推定値が欲しいときは小野式を使います。A列に気温、B列に相対湿度、C列に全天日射量(kW/m²)、D列に平均風速(m/s)を入れます。気象庁の過去データの日射量は1時間あたりのMJ/m²なので、0.2778を掛けてkW/m²に直します(1MJ/m²÷3,600秒=約0.2778kW/m²)。

E2: =0.735*A2+0.0374*B2+0.00292*A2*B2+7.619*C2-4.557*C2^2-0.0572*D2-4.064

エクセルで出した値は、あくまで推定です。施行通達は、対象かどうかを原則として作業場所でWBGTか気温を実測して判断するとし、通風のよい屋外作業では天気予報や環境省のサイトで判断できる場合はそれを用いてもよいとしています。作業を続けてよいかを基準値と比べる場面では、次の章のとおり黒球付きの測定器で実測した値を使うのが基本です。

職場のWBGT基準:義務化の入口と作業強度別の基準値

労働安全衛生規則の改正(令和7年厚生労働省令第57号)が2025年6月1日に施行され、新設の第612条の2により、熱中症を生ずるおそれのある作業について報告体制の整備・重篤化防止の手順作成・関係者への周知が事業者に義務づけられました。厚生労働省によれば、職場の熱中症による死傷者(死亡と休業4日以上)は2025年に1,803人で、2021年の561人から3倍を超えています。体制づくりと罰則は熱中症対策の義務化とは|企業がやること・罰則と2026年ガイドラインの要点で詳しく扱っています。

WBGT28度以上とは:条文ではなく施行通達の定義

労働安全衛生規則第612条の2の条文は「暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業」と書くだけで、28度も31度も出てきません。数値を定めているのは施行通達の基発0520第6号(令和7年5月20日)です。「暑熱な場所」を「湿球黒球温度(WBGT)が28度以上又は気温が31度以上の場所」とし、対象作業を継続して1時間以上または1日4時間を超えて行われることが見込まれる作業としています。

作業強度別のWBGT基準値と着衣補正値

28度は義務の入口で、その環境で働き続けてよいかの基準値は別にあります。2026年3月に策定された職場における熱中症防止のためのガイドラインの表1-1は、JIS Z 8504附属書Aをもとに次の値を示しています。

区分 作業の例 暑熱順化者 非順化者
0 安静 安静、楽な座位 33 32
1 低代謝率 軽い手作業、乗り物の運転 30 29
2 中程度代謝率 くぎ打ち、しっくい塗り 28 26
3 高代謝率 重量物の運搬、ショベル作業 26 23
4 極高代謝率 おのを振るう、階段を昇る 25 20

暑さに慣れていない作業者にショベル作業をさせるなら基準値は23で、28よりずっと低い水準です。「28度を超えなければ問題ない」という運用では、26や23の基準値を超えている作業を見逃します。

実測したWBGTには、服装に応じた着衣補正値を足してから基準値と比べます。表1-2では、織物の作業服は0、作業服の上につなぎ服を重ねると+3、つなぎ服の上に長袖ロング丈の不透湿性エプロンを着けると+4、フードなしの単層の不透湿つなぎ服は+10、フードつきは+11、服の上に着たフードなし不透湿つなぎ服は+12です。基準値を超えたときの休憩の目安も示されています。身体を冷却する服を着ていないなど特段の対策をしていない場合、暑熱順化した作業者で1℃程度の超過なら1時間あたり15分以上、2℃程度で30分以上、3℃程度で45分以上、それ以上なら作業中止が望ましく、順化していない作業者はこれより長い休憩が望ましいとしています。基準値の超過幅から休憩時間を決め、朝礼や巡視で毎日回す現場の運用は、熱中症対策の現場運用|建設・工場で毎日回すWBGT判断と朝礼・巡視の手順で解説しています。

測定器はJIS Z 8504かJIS B 7922の適合品

ガイドラインは、JIS Z 8504またはJIS B 7922に適合したWBGT指数計を使い、黒球のない測定器では屋外や輻射熱のある屋内で正しく測れない場合があるとしています。環境省サイトの地域の値は参考になりますが、直射日光下、炉などの熱源の近く、冷房がなく風通しの悪い屋内での作業は実測が必要です。複数の作業場所で黒球付きセンサーの値を記録し続けたい場合は、IoTセンサーによる計測データの収集・可視化の仕組みで、作業ごとの値を残す方法もあります。

環境省の暑さ指数の算出方法と公表値の性質

環境省の熱中症予防情報サイトは全国841地点の暑さ指数を出していますが、どの地点も同じ方法で測っているわけではありません。

841地点のうち黒球温度の実測は47地点

黒球温度を実測しているのは、気象台の観測露場などに6インチ黒球温度計を置いた47地点(2025年度から47都道府県に1地点ずつ)です。その47地点でも、湿球温度は測っておらず、気象庁の気温・湿度・気圧から近似式で計算しています。残る794地点は、前述の小野式による推定値です。

気象庁の観測条件と生活の場の暑さ指数の差

計算に使う気象庁の観測は、周囲に建物のない芝生上で、日射を遮り秒速約5mの風を当てた条件です。環境省自身が生活の場の暑さ指数のページで「暑さ指数が高くなりにくい場所」と書いています。同省が測った生活の場との差は、温室で日中2℃程度高く危険な状態になるのが1〜2時間早い、空調のない体育館で午後5〜6時頃に差が最大、高さ50cmでは高さ150cmより平均0.1〜0.3℃高く、風が弱く日射が強いときは2℃程度高い事例があった、というものです。

予測値の精度も公開されています。平成25年度に東京・大阪など6地点で評価した結果、予測値と実況値の誤差の標準偏差は1.2〜1.8℃で、予測値は実況値より平均0.6〜1.6℃高い傾向でした。

2026年度の提供期間と訂正のお知らせ

予測値などの提供は通年ではなく、令和8年度は4月22日から10月21日までです。暑さ指数電子情報提供サービスのページには、2026年度だけで、4月22日から7月22日までの予測値の誤算出、9月2日までの実況推定値の一部の誤算出、9月9日の予測値の配信漏れ、9月20日の黒球温度の観測データを集める回線の障害が告知されています。公表値も訂正が入る前提で、重要な判断は現場の実測と併用するのが安全です。

熱中症警戒アラートと熱中症特別警戒アラート:33と35の境目

熱中症警戒アラートは、府県予報区等内のいずれかの暑さ指数情報提供地点で、翌日・当日の日最高暑さ指数の予測値が33に達する場合に発表されます。区域内の1地点でも33に届けば対象です。2021年に全国運用が始まりました。

熱中症特別警戒アラートは、都道府県内のすべての情報提供地点(気候変動適応法施行規則の別表に掲げるものを除く)で、翌日の日最高暑さ指数の予測値が35に達する場合等に発表されます。改正気候変動適応法の施行にともない2024年に運用が始まり、発表されると市町村長が指定した指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)が開放されます。どちらも予測値にもとづく発表で、個々の場所の値は環境によって大きく異なります。

よくある質問

WBGTは何の略で、どう読みますか?

Wet Bulb Globe Temperatureの略で、和名は湿球黒球温度です。環境省と厚生労働省の解説ページには読み仮名の記載がなく、公的資料では英字表記か湿球黒球温度と書かれています。

暑さ指数の要素として正しいのはどれか?湿度は含まれますか?

湿度は含まれます。環境省は湿度・日射や輻射など周辺の熱環境・気温の3つ、厚生労働省は気温・湿度・日射・気流の4要素としています。数え方に差はありますが、湿度はどちらにも入ります。

WBGT28度以上とはどういう状態ですか?

日常生活の指針では、28以上31未満が「厳重警戒」で、外出時は炎天下を避け室内では室温の上昇に注意する水準、31以上は「危険」で外出をなるべく避ける水準です。職場では、気温31度以上とならんで熱中症対策の義務の対象となる「暑熱な場所」の基準で、施行通達が定めています。日射のない室内なら、気温31℃・湿度70%や気温30℃・湿度80%がおおむね28に当たります。

WBGT35は気温何度くらいですか?

湿度によって変わるので、気温1つには対応しません。日射のない室内用の推定図では、気温38℃・湿度70%、気温40℃・湿度60%などが35に当たります。屋外で日射が強ければ、もっと低い気温でも35に届きます。湿球温度35℃の生存限界の研究とは別の指標です。

WBGTは気温と湿度だけで計算できますか?

日射や発熱体がなく、黒球温度と気温がほぼ等しいなど、室内用推定図の条件を満たす場合に限り推定できます。日本生気象学会の推定図を使い、この記事のエクセルの式は参考値として扱ってください。屋外や日の当たる室内では黒球温度が必要なので、気温と湿度だけでは低めに出ます。職場の判断には黒球付きの測定器で実測した値を使ってください。

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